JP2000251669A - 電子放出素子、電子源、画像形成装置及びそれらの製造方法 - Google Patents

電子放出素子、電子源、画像形成装置及びそれらの製造方法

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JP2000251669A
JP2000251669A JP4731699A JP4731699A JP2000251669A JP 2000251669 A JP2000251669 A JP 2000251669A JP 4731699 A JP4731699 A JP 4731699A JP 4731699 A JP4731699 A JP 4731699A JP 2000251669 A JP2000251669 A JP 2000251669A
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Shigeki Yoshida
茂樹 吉田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子放出素子の製造過程において、不良な導
電性膜を高い信頼性で検出し、その結果に基づき良好な
導電性膜に再形成し、歩留まりを向上できる電子放出素
子、電子源、画像形成装置、及び歩留まり良い製造方法
を提供する。 【解決手段】 電子放出素子の製造方法が、基体1上に
一対の素子電極2,3を形成する工程と、基体1上に導
電性膜形成材料を含有する溶液の液滴を付与する工程
と、付与した液滴を熱分解して導電性膜4を形成する工
程と、熱分解して形成される導電性膜4の付与状態を、
導電性膜4に光を照射して検出する工程と、導電性膜付
与状態の異常が検出された場合に、上記溶液の液滴を再
び付与する工程と、素子電極間2,3に通電し導電性膜
4に電子放出部5を形成するフォーミング工程とを有す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子、該
電子放出素子を多数個配置してなる電子源、該電子源を
用いて構成した表示装置や露光装置等の画像形成装置、
及びそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子には大別して熱電子
放出素子と冷陰極電子放出素子の2種類が知られてい
る。冷陰極電子放出素子には電界放出型(以下、「FE
型」と称す。)、金属/絶縁層/金属型(以下、「MI
M型」と称す。)や表面伝導型電子放出素子等が有る。
【0003】FE型の例としては、W.P. Dyke
and W.W. Dolan,“Field Em
ission”, Advance in Elect
ron Physics, 8,89(1956)ある
いはC.A. Spindt, “Physical
Properties of thin−filmfi
eld emission cathodes wit
h molybdenum cones”, J. A
ppl. Phys. ,47,5248(1976)
等に開示されたものが知られている。
【0004】MIM型の例としては、C.A. Mea
d, “Operation ofTunnel−Em
ission Devices”, J. Appl.
Phys., 32,646(1961)等に開示され
たものが知られている。
【0005】表面伝導型電子放出素子の例としては、
M.I. Elinson, Radio Eng.
Electron Phys., 10,1290(1
965)等に開示されたものがある。
【0006】表面伝導型電子放出素子は、絶縁性基板上
に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流す
ことにより、電子放出が生ずる現象を利用するものであ
る。この表面伝導型電子放出素子としては、前記エリン
ソン等によるSnO2 薄膜を用いたもの、Au薄膜によ
るもの[G.Dittmer:“Thin Solid
Films”, 9,317(1972)]、In2
3 /SnO2 薄膜によるもの[M.Hartwell
and C.G. Fonstad:“IEEE T
rans. ED Conf.”, 519(197
5)]、カーボン薄膜によるもの[荒木久 他:真空、
第26巻、第1号、22頁(1983)]等が報告され
ている。
【0007】これらの表面伝導型電子放出素子の典型的
な例として、前述のM.ハートウェルの素子構成を図2
2に模式的に示す。同図において1は基板である。4は
導電性膜で、H型形状のパターンに形成された金属酸化
物薄膜等からなり、後述の通電フォーミングと呼ばれる
通電処理により電子放出部5が形成される。尚、図中の
素子電極間隔Lは、0.5〜1mm、W’は、0.1m
mで設定されている。
【0008】これらの表面伝導型電子放出素子において
は、電子放出を行う前に導電性膜4を予め通電フォーミ
ングと呼ばれる通電処理によって電子放出部5を形成す
るのが一般的である。即ち、通電フォーミングとは、前
記導電性膜4の両端に電圧を印加通電し、導電性膜4を
局所的に破壊、変形もしくは変質させて構造を変化さ
せ、電気的に高抵抗な状態の電子放出部5を形成する処
理である。尚、電子放出部5では導電性膜4の一部に亀
裂が発生しており、その亀裂付近から電子放出が行われ
る。
【0009】上述の表面伝導型電子放出素子は、構造が
単純であることから、大面積に亙って多数素子を配列形
成できる利点がある。そこで、この特徴を活かすための
種々の応用が研究されている。例えば、荷電ビーム源、
表示装置等の画像形成装置への利用が挙げられる。
【0010】従来、多数の表面伝導型電子放出素子を配
列形成した例としては、並列に表面伝導型電子放出素子
を配列し、個々の表面伝導型電子放出素子の両端(両素
子電極)を配線(共通配線とも呼ぶ)にて夫々結線した
行を多数行配列(梯子型配置とも呼ぶ)した電子源が挙
げられる(例えば、特開昭64−31332号公報、特
開平1−283749号公報、同2−257552号公
報)。
【0011】また、特に表示装置においては、液晶を用
いた表示装置と同様の平板型表示装置とすることが可能
で、しかもバックライトが不要な自発光型の表示装置と
して、表面伝導型電子放出素子を多数配置した電子源
と、この電子源からの電子線の照射により可視光を発光
する蛍光体とを組み合わせた表示装置が提案されている
(アメリカ特許第5066883号明細書)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】このような表面伝導型
電子放出素子を用いた電子源の導電性膜を、インクジェ
ット装置を用いて形成する方法が、特開平8−2735
29号公報などに開示されている。インクジェット装置
のインクを吐出する方式には大きく分けて2つの種類が
ある。第1の方式は、ノズルに配設されたピエゾ素子の
収縮圧力により液体の液滴を吐出する方式で、ピエゾジ
ェット方式と呼ばれる。第2の方式は、発熱抵抗体によ
り液体を加熱発砲させ、これにより液滴を吐出する方式
で、バブルジェット方式と呼ばれる。
【0013】このようにして形成される導電性膜は、単
一の電子放出素子の中での膜厚の分布、素子電極間の中
心に対する位置、その形状のばらつきが小さいだけでは
なく、単一の電子源中に多数作製した電子放出素子同士
でも、これらのばらつきが小さいことが必要である。
【0014】例えば、電子源を構成する電子放出素子同
士での導電性膜の位置のばらつきは、電子放出特性のば
らつきを招く。すなわち、導電性膜がドット状(円状)
で形成されるため、電子放出部の長さは素子電極間に沿
う導電性膜の長さで決まり、導電性膜の位置がずれるこ
とでその長さが変化してしまい、電子放出量にばらつき
を生じてしまう。このような位置ずれが生じないよう
に、インクジェット装置の動作条件は、予め十分な検討
を行い、均一な導電性膜形成を確実に行わなければなら
ない。
【0015】多数の電子放出素子を用いた平板型の画像
形成装置などを大型化、高精細化するためには、電子源
に含まれる電子放出素子の数をさらに増加させることが
必要である。しかも、電子源が実用できるものとなるた
めには、すべての電子放出素子が良品でなければならな
い。
【0016】そこで、インクジェット装置を用いて、電
子放出素子の導電性膜を形成する方法においては、単一
の電子放出素子が不良とならないように、インクジェッ
ト装置の制御を確実に行うことに注意が払われるが、電
子放出素子の数が増えるに従い、多数の電子放出素子の
内のいずれかが不良となる確率が大きくなることは避け
られない。
【0017】インクジェット装置による導電性膜の形成
において、不良が発生する原因には様々なものが考えら
れる。例えば、インクジェット装置を制御する電気信号
にノイズが入り、液滴の吐出が正常に行われず、導電性
膜の膜厚が設定値からずれてしまう場合、機械的振動の
ために電子源基板上で液滴の付与される位置がずれてし
まう場合、インクジェット装置の液体中に異物が混入し
て液滴の吐出が正常に行われず、導電性膜の膜厚、位
置、形状が異常となる場合などが起こりうる。
【0018】量産を行う場合、形成すべき電子放出素子
の数が増加するに従って、すべての電子放出素子が良品
となること、即ち、歩留まりを向上させることは、非常
に困難になる。
【0019】歩留まりが低い状態で生産を行うと、製品
のコストは当然高くなり、そればかりでなく、発生する
不良品を処理する必要も生じる。近年、産業活動に伴う
廃棄物の発生を極力制御することが社会的に要請されて
おり、このような観点からも歩留まりの向上は緊急性の
高い課題となっている。
【0020】そこで、前述した表面伝導型電子放出素子
などの製造過程において、不良の導電性膜を良好な導電
性膜にし、歩留まりを向上させることができる電子放出
素子の製造方法が要望されている。
【0021】本発明の目的は、上記問題を鑑み、電子放
出素子の製造過程において、不良な導電性膜を高い信頼
性で検出することにより、その検出結果に基づき良好な
導電性膜に再形成し、歩留まりを向上させることができ
る電子放出素子、並びにそれを用いた電子源、画像形成
装置、及び歩留まり良く製造することができるそれらの
製造方法を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
成された本発明の構成は、以下の通りである。
【0023】即ち、本発明の第一は、基体上に一対の素
子電極を形成する工程と、基体上に導電性膜形成材料を
含有する溶液の液滴を付与する工程と、付与した液滴を
熱分解して導電性膜を形成する工程と、熱分解して形成
される導電性膜の付与状態を検出する工程と、導電性膜
付与状態の異常が検出された場合に、上記溶液の液滴を
再び付与する工程と、素子電極間に通電して、導電性膜
に電子放出部を形成するフォーミング工程とを有するこ
とを特徴とする電子放出素子の製造方法にある。
【0024】また、本発明の第二は、上記本発明の第一
の方法により製造されることを特徴とする電子放出素子
にある。
【0025】また、本発明の第三は、入力信号に応じて
電子を放出する電子源であって、基体上に、上記本発明
の第二の電子放出素子を複数配置したことを特徴とする
電子源にある。
【0026】また、本発明の第四は、上記本発明の第三
の電子源を製造する方法であって、複数個の電子放出素
子を上記本発明の第一の方法により製造することを特徴
とする電子源の製造方法にある。
【0027】また、本発明の第五は、入力信号に基づい
て画像を形成する装置であって、少なくとも、上記本発
明の第三の電子源と、該電子源から放出される電子線の
照射により画像を形成する画像形成部材とを有すること
を特徴とする画像形成装置にある。
【0028】さらに、本発明の第六は、上記本発明の第
五の画像形成装置を製造する方法であって、電子源を上
記本発明の第四の方法により製造することを特徴とする
画像形成装置の製造方法にある。
【0029】
【発明の実施の形態】次に、本発明の好ましい実施態様
を示す。
【0030】図1は、本発明の電子放出素子の一構成例
を示す模式図であり、図1(a)は平面図、図1(b)
は縦断面図である。図1において、1は基板、2と3は
電極(素子電極)、4は導電性膜、5は電子放出部であ
る。
【0031】基板1としては、石英ガラス、Na等の不
純物含有量を減少させたガラス、青板ガラス、青板ガラ
スにスパッタ法等によりSiO2 を積層した積層体、ア
ルミナ等のセラミックス及びSi基板等を用いることが
できる。
【0032】対向する素子電極2,3の材料としては、
一般的な金属材料を用いることができ、例えばNi、C
r、Au、Mo、W、Pt、Ti、Al、Cu、Pd等
の金属或は合金等から適宜選択される。
【0033】素子電極間隔L、素子電極長さW、導電性
膜4の形状等は、応用される形態等を考慮して、設計さ
れる。素子電極間隔Lは、好ましくは、数百nmから数
百μmの範囲とすることができ、より好ましくは、素子
電極間に印加する電圧等を考慮して数μmから数十μm
の範囲とすることができる。素子電極長さWは、電極の
抵抗値、電子放出特性を考慮して、数μmから数百μm
の範囲とすることができる。素子電極2,3の膜厚d
は、数十nmから数μmの範囲とすることができる。
【0034】尚、図1に示した構成とは別に、基板1上
に、導電性膜4、素子電極2,3の順に形成した構成と
することもできる。
【0035】導電性膜4を構成する材料としては、素子
電極の金属とショットキーバリアを形成するものであれ
ばよく、Si、Ge、GaAs、GaPなどの半導体、
PdO(p)、SnO2 (n)、NiO(p)、VO2
(n),ZnO(n)などの酸化物半導体が挙げられ
る。なお、( )内は半導体の伝導型を示している。
【0036】導電性膜4の膜厚は、素子電極2,3への
ステップカバレージ、素子電極2,3間の抵抗値等を考
慮して適宜設定されるが、通常は、数Å〜数百nmの範
囲とするのが好ましく、より好ましくは1nm〜50n
mの範囲とするのが良い。その抵抗値は、Rsが102
Ω/□から107 Ω/□の値であるのが好ましい。な
お、Rsは、幅がwで長さがlの薄膜の長さ方向に測定
した抵抗Rを、R=Rs(l/w)と置いたときに現れ
る値である。
【0037】電子放出部5は、導電性膜4の一部に形成
された高抵抗の亀裂により構成され、その内部には、数
Åから数十nmの範囲の粒径の導電性微粒子が存在する
場合もある。この導電性微粒子は、導電性膜4を構成す
る材料の元素の一部、あるいは全ての元素を含有するも
のとなる。また、電子放出部5及びその近傍の導電性膜
4には、後述の活性化工程によって形成される炭素ある
いは炭素化合物を有することもできる。
【0038】本発明の電子放出素子の製造方法を具体的
に述べるならば、基体上に形成された対向する一対の素
子電極と、素子電極間に跨るように形成されその一部に
電子放出部を有する導電性膜により構成される電子放出
素子およびそれらを多数集積して構成される電子源の製
造方法であって、導電性膜の形成プロセスが、導電性膜
形成材料を含有する溶液を、インクジェット装置により
所定位置に液滴として付与する工程と、これを乾燥させ
た後加熱処理を行うことにより導電性微粒子膜とする工
程とを有する方法において、さらに次の新規な工程を有
する電子放出素子および電子源の製造方法である。
【0039】本発明の好ましい実施の形態は、インクジ
ェット装置により液滴を付与した後、加熱処理して導電
性膜を形成した段階で、導電性膜に光を照射して素子電
極間の電圧を測定する検査を行う工程と、該検査により
不良と判定された導電性膜を除去する工程と、当該箇所
に改めて液滴を付与し、加熱処理して導電性膜を形成す
る工程とを含むものである。
【0040】ここで、前述した2種類のインクジェット
装置の構造の一例を、図2及び図3に模式的に示す。図
2はピエゾジェット方式によるインクジェット装置を示
し、21はガラス製第1ノズル、22はガラス製第2ノ
ズル、23は円筒形ピエゾ、25、26は吐出する液
体、例えは有機金属化合物の溶液の供給チューブ、27
は電気信号入力端子をそれぞれ示す。該電気信号入力端
子に所定の電圧を印加することにより、上記円筒形ピエ
ゾ23が収縮し、液体を液滴として吐出させるものであ
る。
【0041】図3はバブルジェット方式によるインクジ
ェット装置を示すもので、31は基板、32は発熱抵抗
体、33は支持板、34は液体流路、35は第1ノズ
ル、36は第2ノズル、37はインク流路隔壁、38、
39は所定の液体を内部に有する液体室、310、31
1は液体供給口、312は天井板である。上記発熱抵抗
体32が発熱して、液体が発砲し、これによりノズルか
ら液滴が吐出される。
【0042】なお、上記の例ではいずれもノズルが2本
の場合を示したが、これに限るものではない。
【0043】上述のようなインクジェット装置を用い、
所定の位置にのみ導電性膜形成材料を含有する溶液を液
滴として付与し乾燥させた後、加熱処理により液滴を熱
分解することにより、金属あるいは金属酸化物などの微
粒子からなる導電性膜が形成される。
【0044】本発明の電子放出素子の製造方法としては
様々な方法があるが、その一例を図4及び図5に基づい
て説明する。尚、図4及び図5においても図1に示した
部位と同じ部位には図1に付した符号と同一の符号を付
している。
【0045】以下、図4及び図5を参照して簡単に、上
記導電性膜の検査方法を以下に詳述する。図4及び図5
において、1は電子源を形成する基板であり、2、3は
一対の素子電極である。素子電極間にに跨るように導電
性膜が形成されるが、その際、導電性膜が位置ずれして
形成された場合、本発明方法により修正がなされる。図
2及び図3において、4’は位置ずれが生じて修正が必
要とされる導電性膜を表わしている。
【0046】該導電性膜の位置ずれなどの異常を検出す
るための検査の方法としては、導電膜に光を照射したと
きに両電極の電圧を測定する方法がある。
【0047】いま、例えば、素子電極2、3はPtから
なり、導電性膜4がPdOからなっているとする。Pd
O膜はp型の半導体であり、Pt電極との接合面におい
て、半導体−金属接合(ショットキー接合)を形成して
いる。この接合面へ半導体である導電性膜のバンドギャ
ップ以上のエネルギーをもつ光を照射し、そこに発生す
る光起電力を利用して、導電性膜と一対のPt電極との
位置関係を知ることができる。
【0048】本発明方法の好ましい第1の実施形態は、
図4(a)に示すように、光を導電性膜4全体に照射
し、2つの素子電極間の電圧を測定する方法である。P
dO膜とPt電極との間には、PdO膜が+、Pt電極
が−となるように光起電力が発生するが、素子の構造上
2つのPt電極が導電性膜で接続されているため、ちょ
うどショットキーダイオードを極性が逆向きになるよう
に接続したと考えることができ、導電性膜全体に光が照
射された場合、それぞれのPt電極と導電性膜との間に
発生する起電力は、お互いの起電力を打ち消し合うこと
になる。
【0049】よって、素子電極間の中心に導電性膜が形
成され、それぞれのPt電極と導電性膜との接触面積が
同程度の場合、両電極間の電圧は概ね0Vとなる。素子
電極間の中心にから偏心して導電性膜が形成された場合
は、素子電極と導電性膜の接触面積が大きいほうの極性
が電極間電圧に現れ、その大きさは両電極上で発生した
起電力の差となる(図4(a))。
【0050】両電極の中心と導電性膜の中心の相対的な
位置に対する両電極間に発生する電圧の変化は図4
(c)のようになる。図4(c)では素子電極2に対す
る素子電極3の電圧の変化を示した。
【0051】よって、ある閾値を設けておけば、素子電
極に対する導電性膜の偏心量が、一定の範囲外に形成さ
れている導電性膜を検出することができる。
【0052】本発明は、導電性膜が半導体で金属電極
(素子電極)との間にショットキー接合を形成する場合
であれば適用可能である。
【0053】照射する光は、半導体のバンドギャップよ
りも大きいエネルギーをもつ光であれば、何でもよい。
好ましくは、波長のそろった、光強度のあるレーザーが
よいが、これに限られない。
【0054】本発明方法の好ましい第2の実施形態は、
図5(a)に示すように、導電性膜よりも小さい径の光
スポットを、素子電極間を横切るように導電性膜上を走
査させ、その時の両電極間の電圧変化を測定する方法で
ある。
【0055】本方法の動作を図5(a)に基づいて説明
する。図5(a)は、図4と同様な構成の電子放出素子
を、導電性膜を含み素子電極間を直角に横切る方向から
見た断面図である。
【0056】いま、光スポット7の径Dp>素子電極間
の幅tという関係を満たしており、光スポット7の断面
形状は概ね円形で中心ほど光強度が強いような分布をし
ているものとする。
【0057】例えば、2つの素子電極2、3のうち、素
子電極2上の導電性膜4に光スポット7が位置している
場合(図5(a))、素子電極2と導電性膜4の間には
光起電力が発生する。このとき、素子電極3には素子電
極2と逆極性の電圧が発生している。これは、素子電極
3は導電性膜4が発生する電圧の極性と同じ極性になる
からである。よって、予め電極金属材料と薄膜半導体材
料の組み合わせで決まる極性を確認しておけば、両電極
の電位差の方向を測定することで、素子電極2の方に光
スポット7が位置していることが判別される。
【0058】なお、電極間隙から光スポットの距離が遠
ざかるにつれて、両電極に発生する起電力は低下する
(図5(a))。これは、光照射部において発生したキ
ャリアが、そこから電極間隙までの間の非光照射部の導
電性膜/金属電極界面において再結合するためである。
よって、電極間隙に最も近い電極エッジ付近に光スポッ
トが近づいたとき、起電力の絶対値は最大になる。
【0059】光を検出できる電極間隙からの距離は、生
成キャリアの再結合による起電力の低下の程度と、検出
できる電圧によって決ってくる。上述した導電性膜(半
導体)、金属電極においては、検出する最低電圧を数十
μVとすれば、電極間隙から光を検出できる距離の範囲
は概ね数mオーダーで、望ましくは数百μm以下が好適
である。このような非光照射部における生成キャリアの
再結合は、光照射部の電極間隙とは反対側の非光照射部
においても発生している。
【0060】2つの素子電極2、3に跨るように光スポ
ット7が位置している場合は、それぞれの電極に照射さ
れる光スポット7の照射面積に応じて、極性が逆の電圧
がそれぞれその領域に発生し、その差分の電圧が両電極
に発生する。よって、両電極2、3を跨るように光スポ
ット7が移動した場合の素子電極2に対する素子電極3
の電位差は図5(b)のように変化する。
【0061】このように、導電性膜上を光スポットが移
動したときに両電極間からモニターされる光起電力を利
用すると、素子電極と導電性膜との位置関係を把握する
ことができる。
【0062】すなわち、素子電極間の中心に導電性膜4
が形成されている場合、光スポット7の移動に伴う両電
極間に発生する電圧は点対称なプロファイルになるのに
対し(図5(b))、偏心して導電性膜が形成されてい
る場合は、非点対称なプロファイル(図5(c))にな
る。さらに、その非対称性プロファイルの素子電極間の
中心からの左右のプロファイルの距離を比較すること
で、素子電極間の中心からの導電性膜のずれ量をも把握
することができる。
【0063】以上のような第1及び第2の実施形態の検
査方法により、主に形成位置のずれが発生した導電性膜
を不良と判定する。
【0064】導電性膜の除去方法としては、物理的に除
去する方法を採用する。例えば、先端にシリコンゴムな
ど柔らかくて付着性のあるものを付けた細いロッドを、
導電性膜に押しつけて、シリコンゴムに膜を付着させて
取り除く方法等である。
【0065】この際、予め除去すべき導電性膜の基板に
対する付着力を低下させる処理を施すと、導電性膜の除
去が確実に行える。具体的には、導電性膜が導電性の金
属酸化物微粒子により構成されている場合、これを還元
して金属とすると、ガラス基板に対する付着力が小さく
なる場合がある。例えばPdO微粒子により導電性膜が
形成されている場合、水素を含有する雰囲気に曝露する
ことにより容易に金属Pdに還元することができる。
【0066】本発明の電子放出素子および電子源の製造
方法において、以上の導電性膜の除去工程の後、再度液
滴を付与し、これを乾燥加熱することで導電性膜を形成
し、同様な方法で導電性膜の異常がないかを確認する。
【0067】このようにして基板1上の素子電極2,3
間の適切な位置に導電性膜4が形成されることになる。
【0068】次に、フォーミングと呼ばれる通電処理を
施す。素子電極2,3間に通電を行うと、導電性膜4の
部位に電子放出部5が形成される。フォーミング工程に
おいては、瞬間的に導電性膜4の一部に局所的に熱エネ
ルギーが集中し、その部位に構造の変化した電子放出部
5が形成される。
【0069】通電フォーミングの電圧波形の例を図6に
示す。
【0070】電圧波形は、特にパルス波形が好ましい。
これにはパルス波高値を定電圧としたパルスを連続的に
印加する図6(a)に示した手法と、パルス波高値を増
加させながらパルスを印加する図6(b)に示した手法
がある。
【0071】まず、パルス波高値を定電圧とした場合に
ついて図6(a)で説明する。図6(a)におけるT1
及びT2 は電圧波形のパルス幅とパルス間隔である。三
角波の波高値(ピーク電圧)は、電子放出素子の形態に
応じて適宜選択される。このような条件のもと、例え
ば、数秒から数十分間電圧を印加する。パルス波形は、
三角波に限定されるものではなく、矩形波等の所望の波
形を採用することができる。
【0072】次に、パルス波高値を増加させながら電圧
パルスを印加する場合について図6(b)で説明する。
図6(b)におけるT1 及びT2 は、図6(a)に示し
たのと同様とすることができる。三角波の波高値(ピー
ク電圧)は、例えば0.1Vステップ程度づつ、増加さ
せることができる。
【0073】通電フォーミング処理の終了は、パルス間
隔T2 中に、導電性膜4を局所的に破壊,変形しない程
度の電圧を印加し、電流を測定して検知することができ
る。例えば0.1V程度の電圧印加により流れる電流を
測定し、抵抗値を求めて、1MΩ以上の抵抗を示した
時、通電フォーミングを終了させる。
【0074】フォーミング処理以降の電気的処理は、例
えば図7に示すような真空処理装置内で行うことかでき
る。この真空処理装置は測定評価装置としての機能をも
兼ね備えている。図7においても、図1に示した部位と
同じ部位には図1に付した符号と同一の符号を付してい
る。
【0075】図7において、55は真空容器であり、5
6は排気ポンプである。真空容器55内には電子放出素
子が配されている。また、51は電子放出素子に素子電
圧Vf を印加するための電源、50は素子電極2,3間
を流れる素子電流If を測定するための電流計、54は
素子の電子放出部5より放出される放出電流Ie を捕捉
するためのアノード電極、53はアノード電極54に電
圧を印加するための高圧電源、52は電子放出部5より
放出される放出電流Ie を測定するための電流計であ
る。一例として、アノード電極54の電圧を1kV〜1
0kVの範囲とし、アノード電極54と電子放出素子と
の距離Hを2mm〜8mmの範囲として測定を行うこと
ができる。
【0076】真空容器55内には、不図示の真空計等の
真空雰囲気下での測定に必要な機器が設けられていて、
所望の真空雰囲気下での測定評価を行えるようになって
いる。
【0077】排気ポンプ56は、ターボポンプ、ロータ
リーポンプ等からなる通常の高真空装置系と、イオンポ
ンプ等からなる超高真空装置系とにより構成されてい
る。ここに示した電子放出素子基板を配した真空処理装
置の全体は、不図示のヒーターにより加熱できる。
【0078】次に、フォーミングを終えた素子に活性化
工程と呼ばれる処理を施す。
【0079】活性化工程は、例えば、有機物質のガスを
含有する雰囲気下で、通電フォーミングと同様に、素子
電極2,3間にパルスの印加を繰り返すことで行うこと
ができ、この処理により、素子電流If ,放出電流Ie
が、著しく変化するようになる。
【0080】活性化工程における有機物質のガスを含有
する雰囲気は、例えば油拡散ポンプやロータリーポンプ
などを用いて真空容器内を排気した場合に雰囲気内に残
留する有機ガスを利用して形成することができる他、オ
イルを使用しないイオンポンプなどにより一旦十分に排
気した真空中に適当な有機物質のガスを導入することに
よっても得られる。このときの好ましい有機物質のガス
圧は、前述の素子の形態、真空容器の形状や、有機物質
の種類などにより異なるため、場合に応じ適宜設定され
る。適当な有機物質としては、アルカン、アルケン、ア
ルキンの脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコ
ール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類、フェノー
ル、カルボン、スルホン酸等の有機酸類等を挙げること
が出来、具体的には、メタン、エタン、プロパンなどC
n2n+2で表される飽和炭化水素、エチレン、プロピレ
ンなどCn2n等の組成式で表される不飽和炭化水素、
ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、ホルム
アルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルアミン、エチルアミン、フェノール、
蟻酸、酢酸、プロピオン酸等が使用できる。
【0081】この処理により、雰囲気中に存在する有機
物質から、炭素あるいは炭素化合物が素子上に堆積し、
素子電流If 、放出電流Ie が、著しく変化するように
なる。
【0082】炭素あるいは炭素化合物とは、例えばグラ
ファイト(いわゆるHOPG,PG,GCを包含するも
ので、HOPGはほぼ完全なグラファイト結晶構造、P
Gは結晶粒が20nm程度で結晶構造がやや乱れたも
の、GCは結晶粒が2nm程度になり結晶構造の乱れが
さらに大きくなったものを指す。)、非晶質カーボン
(アモルファスカーボン及び、アモルファスカーボンと
前記グラファイトの微結晶の混合物を指す。)であり、
その膜厚は、50nm以下の範囲とするのが好ましく、
30nm以下の範囲とすることがより好ましい。
【0083】活性化工程の終了判定は、素子電流If
放出電流Ie を測定しながら、適宜行うことができる。
【0084】このような工程を経て得られた電子放出素
子は、安定化工程を行うことが好ましい。この工程は、
真空容器内の有機物質を排気する工程である。真空容器
を排気する真空排気装置は、装置から発生するオイルが
素子の特性に影響を与えないように、オイルを使用しな
いものを用いるのが好ましい。具体的には、ソープショ
ンポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げること
が出来る。
【0085】真空容器内の有機成分の分圧は、上記炭素
あるいは炭素化合物がほぼ新たに堆積しない分圧で10
-6Pa以下が好ましく、さらには10-10 Pa以下が特
に好ましい。さらに真空容器内を排気するときには、真
空容器全体を加熱して、真空容器内壁や、電子放出素子
に吸着した有機物質分子を排気しやすくするのが好まし
い。このときの加熱条件は、80〜250℃好ましくは
150℃以上で、できるだけ長時間処理するのが望まし
いが、特にこの条件に限るものではなく、真空容器の大
きさや形状、電子放出素子の構成などの諸条件により適
宜選ばれる条件により行う。真空容器内の圧力は極力低
くすることが必要で、10-5Pa以下が好ましく、さら
には10-6Pa以下が特に好ましい。
【0086】安定化工程を行った後の、駆動時の雰囲気
は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ま
しいが、これに限るものではなく、有機物質が十分除去
されていれば、圧力自体は多少上昇しても十分安定な特
性を維持することが出来る。このような真空雰囲気を採
用することにより、新たな炭素あるいは炭素化合物の堆
積を抑制でき、結果として素子電流If ,放出電流Ie
が、安定する。
【0087】上述した工程を経て得られた本発明の電子
放出素子の基本特性について、図8を参照しながら説明
する。
【0088】図8は、図7に示した真空処理装置を用い
て測定された放出電流Ie 及び素子電流If と、素子電
圧Vf との関係を模式的に示した図である。図8におい
ては、放出電流Ie が素子電流If に比べて著しく小さ
いので、任意単位で示している。尚、縦・横軸ともリニ
アスケールである。
【0089】図8からも明らかなように、本発明の電子
放出素子は、放出電流Ie に関して次の3つの特徴的性
質を有する。
【0090】即ち、第1に、本素子はある電圧(閾値電
圧と呼ぶ;図8中のVth)以上の素子電圧を印加すると
急激に放出電流Ie が増加し、一方閾値電圧Vth以下で
は放出電流Ie が殆ど検出されない。つまり、放出電流
e に対する明確な閾値電圧Vthを持った非線形素子で
ある。
【0091】第2に、放出電流Ie が素子電圧Vf に単
調増加依存するため、放出電流Ieは素子電圧Vf で制
御できる。
【0092】第3に、アノード電極54(図7参照)に
捕捉される放出電荷は、素子電圧Vf を印加する時間に
依存する。つまり、アノード電極54に捕捉される電荷
量は、素子電圧Vf を印加する時間により制御できる。
【0093】以上の説明より理解されるように、本発明
の電子放出素子は、入力信号に応じて、電子放出特性を
容易に制御できることになる。この性質を利用すると複
数の電子放出素子を配して構成した電子源、画像形成装
置等、多方面への応用が可能となる。
【0094】図8においては、素子電流If が素子電圧
f に対して単調増加する(MI特性)例を示したが、
素子電流If が素子電圧Vf に対して電圧制御型負性抵
抗特性(VCNR特性)を示す場合もある(不図示)。
これらの特性は、前述の工程を制御することで制御でき
る。
【0095】次に、本発明の電子放出素子の応用例につ
いて以下に述べる。本発明の電子放出素子を複数個基板
上に配列し、例えば電子源や画像形成装置が構成でき
る。
【0096】電子放出素子の配列については、種々のも
のが採用できる。一例として、並列に配置した多数の電
子放出素子の個々を両端で接続し、電子放出素子の行を
多数個配し(行方向と呼ぶ)、この配線と直交する方向
(列方向と呼ぶ)で、該電子放出素子の上方に配した制
御電極(グリッドとも呼ぶ)により、電子放出素子から
の電子を制御駆動する梯子状配置のものがある。これと
は別に、電子放出素子をX方向及びY方向に行列状に複
数個配し、同じ行に配された複数の電子放出素子の電極
の一方を、X方向の配線に共通に接続し、同じ列に配さ
れた複数の電子放出素子の電極の他方を、Y方向の配線
に共通に接続するものが挙げられる。このようなものは
所謂単純マトリクス配置である。まず単純マトリクス配
置について以下に詳述する。
【0097】本発明の電子放出素子については、前述し
た通り3つの特性がある。即ち、表面伝導型電子放出素
子からの放出電子は、閾値電圧以上では、対向する素子
電極間に印加するパルス状電圧の波高値と幅で制御でき
る。一方、閾値電圧以下では、殆ど放出されない。この
特性によれば、多数の電子放出素子を配置した場合にお
いても、個々の素子にパルス状電圧を適宜印加すれば、
入力信号に応じて、表面伝導型電子放出素子を選択して
電子放出量を制御できる。
【0098】以下この原理に基づき、本発明の電子放出
素子を複数配して得られる電子源基板について、図9を
用いて説明する。図9において、71は電子源基板、7
2はX方向配線、73はY方向配線である。74は電子
放出素子、75は結線である。
【0099】m本のX方向配線72は、Dx1,Dx
2,……,Dxmからなり、真空蒸着法、印刷法、スパ
ッタ法等を用いて形成された導電性金属等で構成するこ
とができる。配線の材料、膜厚、幅は適宜設計される。
Y方向配線73は、Dy1,Dy2……Dynのn本の
配線よりなり、X方向配線72と同様に形成される。こ
れらm本のX方向配線72とn本のY方向配線73との
間には、不図示の層間絶縁層が設けられており、両者を
電気的に分離している(m,nは、共に正の整数)。
【0100】不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等を用いて形成されたSiO2 等で構成
される。例えば、X方向配線72を形成した基板71の
全面或は一部に所望の形状で形成され、特に、X方向配
線72とY方向配線73の交差部の電位差に耐え得るよ
うに、膜厚、材料、製法が適宜設定される。X方向配線
72とY方向配線73は、それぞれ外部端子として引き
出されている。
【0101】電子放出素子74を構成する一対の素子電
極(不図示)は、それぞれm本のX方向配線72とn本
のY方向配線73に、導電性金属等からなる結線75に
よって電気的に接続されている。
【0102】配線72と配線73を構成する材料、結線
75を構成する材料及び一対の素子電極を構成する材料
は、その構成元素の一部あるいは全部が同一であって
も、また夫々異なってもよい。これらの材料は、例えば
前述の素子電極の材料より適宜選択される。素子電極を
構成する材料と配線材料が同一である場合には、素子電
極に接続した配線は素子電極ということもできる。
【0103】X方向配線72には、X方向に配列した電
子放出素子74の行を選択するための走査信号を印加す
る不図示の走査信号印加手段が接続される。一方、Y方
向配線73には、Y方向に配列した電子放出素子74の
各列を入力信号に応じて変調するための、不図示の変調
信号発生手段が接続される。各電子放出素子に印加され
る駆動電圧は、当該素子に印加される走査信号と変調信
号の差電圧として供給される。
【0104】上記構成においては、単純なマトリクス配
線を用いて、個別の素子を選択し、独立に駆動可能とす
ることができる。
【0105】このような単純マトリクス配置の電子源を
用いて構成した画像形成装置について、図10と図11
及び図12を用いて説明する。図10は、画像形成装置
の表示パネルの一例を示す模式図であり、図11は、図
10の画像形成装置に使用される蛍光膜の模式図であ
る。図12は、NTSC方式のテレビ信号に応じて表示
を行うための駆動回路の一例を示すブロック図である。
【0106】図10において、71は電子放出素子を複
数配した電子源基板、81は電子源基板71を固定した
リアプレート、86はガラス基板83の内面に蛍光膜8
4とメタルバック85等が形成されたフェースプレート
である。82は支持枠であり、該支持枠82には、リア
プレート81、フェースプレート86がフリットガラス
等を用いて接続されている。88は外囲器であり、例え
ば大気中あるいは窒素中で、400〜500℃の温度範
囲で10分間以上焼成することで、封着して構成され
る。
【0107】74は、図1に示したような電子放出素子
である。72,73は、表面伝導型電子放出素子の一対
の素子電極と接続されたX方向配線及びY方向配線であ
る。
【0108】外囲器88は、上述の如く、フェースプレ
ート86、支持枠82、リアプレート81で構成され
る。リアプレート81は主に基板71の強度を補強する
目的で設けられるため、基板71自体で十分な強度を持
つ場合は別体のリアプレート81は不要とすることがで
きる。即ち、基板71に直接支持枠82を封着し、フェ
ースプレート86、支持枠82及び基板71で外囲器8
8を構成してもよい。一方、フェースプレート86とリ
アプレート81の間に、スペーサーと呼ばれる不図示の
支持体を設置することにより、大気圧に対して十分な強
度をもつ外囲器88を構成することもできる。
【0109】図11は、蛍光膜を示す模式図である。蛍
光膜84は、モノクロームの場合は蛍光体のみで構成す
ることができる。カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の配
列により、ブラックストライプ(図11(a))あるい
はブラックマトリクス(図11(b))等と呼ばれる黒
色導電材91と蛍光体92とから構成することができ
る。ブラックストライプ、ブラックマトリクスを設ける
目的は、カラー表示の場合、必要となる三原色蛍光体の
各蛍光体92間の塗り分け部を黒くすることで混色等を
目立たなくすることと、蛍光膜84における外光反射に
よるコントラストの低下を抑制することにある。黒色導
電材91の材料としては、通常用いられている黒鉛を主
成分とする材料の他、導電性があり、光の透過及び反射
が少ない材料を用いることができる。
【0110】ガラス基板83に蛍光体を塗布する方法
は、モノクローム、カラーによらず、沈澱法や印刷法等
が採用できる。蛍光膜84の内面側には、通常メタルバ
ック85が設けられる。メタルバックを設ける目的は、
蛍光体の発光のうち内面側への光をフェースプレート8
6側へ鏡面反射することにより輝度を向上させること、
電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作用さ
せること、外囲器内で発生した負イオンの衝突によるダ
メージから蛍光体を保護すること等である。メタルバッ
クは、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理
(通常、「フィルミング」と呼ばれる。)を行い、その
後Alを真空蒸着等を用いて堆積させることで作製でき
る。
【0111】フェースプレート86には、更に蛍光膜8
4の導電性を高めるため、蛍光膜84の外面側に透明電
極(不図示)を設けてもよい。
【0112】前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体と電子放出素子とを対応させる必要があり、十分
な位置合わせが不可欠となる。
【0113】図10に示した画像形成装置は、例えば以
下のようにして製造される。
【0114】外囲器88内は、適宜加熱しなから、イオ
ンポンプ、ソープションポンプ等のオイルを使用しない
排気装置により不図示の排気管を通じて排気し、10-5
Pa程度の真空度の有機物質の十分に少ない雰囲気にし
た後、封止が成される。外囲器88の封止後の真空度を
維持するために、ゲッター処理を行うこともできる。こ
れは、外囲器88の封止を行う直前あるいは封止後に、
抵抗加熱あるいは高周波加熱等を用いた加熱により、外
囲器88内の所定の位置に配置されたゲッター(不図
示)を加熱し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッター
は通常Ba等が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用によ
り、例えば1×10-5Pa以上の真空度を維持するもの
である。ここで、電子放出素子のフォーミング処理以降
の工程は適宜設定できる。
【0115】次に、単純マトリクス配置の電子源を用い
て構成した表示パネルに、NTSC方式のテレビ信号に
基づいたテレビジョン表示を行う為の駆動回路の構成例
について、図12を用いて説明する。図12において、
101は画像表示パネル、102は走査回路、103は
制御回路、104はシフトレジスタ、105はラインメ
モリ、106は同期信号分離回路、107は変調信号発
生器、Vx及びVaは直流電圧源である。
【0116】表示パネル101は、端子Dox1乃至D
oxm、端子Doy1乃至Doyn及び高圧端子87を
介して外部の電気回路と接続している。端子Dox1乃
至Doxmには、表示パネル101内に設けられている
電子源、即ち、m行n列の行列状にマトリクス配線され
た電子放出素子群を1行(n素子)づつ順次駆動する為
の走査信号が印加される。端子Doy1乃至Doynに
は、前記走査信号により選択された1行の電子放出素子
の各素子の出力電子ビームを制御する為の変調信号が印
加される。高圧端子87には、直流電圧源Vaより、例
えば10kVの直流電圧が供給されるが、これは電子放
出素子から放出される電子ビームに、蛍光体を励起する
のに十分なエネルギーを付与する為の加速電圧である。
【0117】走査回路102について説明する。同回路
は、内部にm個のスイッチング素子(図中、S1乃至S
mで模式的に示している)を備えたものである。各スイ
ッチング素子は、直流電圧電源Vxの出力電圧もしくは
0[V](グランドレベル)のいずれか一方を選択し、
表示パネル101の端子Dox1乃至Doxmと電気的
に接続される。各スイッチング素子S1乃至Smは、制
御回路103が出力する制御信号Tscanに基づいて
動作するものであり、例えばFETのようなスイッチン
グ素子を組み合わせることにより構成することができ
る。
【0118】直流電圧源Vxは、本例の場合には電子放
出素子の特性(電子放出閾値電圧)に基づき、走査され
ていない素子に印加される駆動電圧が電子放出閾値電圧
以下となるような一定電圧を出力するよう設定されてい
る。
【0119】制御回路103は、外部より入力される画
像信号に基づいて適切な表示が行われるように、各部の
動作を整合させる機能を有する。制御回路103は、同
期信号分離回路106より送られる同期信号Tsync
に基づいて、各部に対してTscan,Tsft及びT
mryの各制御信号を発生する。
【0120】同期信号分離回路106は、外部から入力
されるNTSC方式のテレビ信号から、同期信号成分と
輝度信号成分とを分離するための回路で、一般的な周波
数分離(フィルター)回路等を用いて構成できる。同期
信号分離回路106により分離された同期信号は、垂直
同期信号と水平同期信号より成るが、ここでは説明の便
宜上Tsync信号として図示した。前記テレビ信号か
ら分離された画像の輝度信号成分は、便宜上DATA信
号と表した。このDATA信号は、シフトレジスタ10
4に入力される。
【0121】シフトレジスタ104は、時系列的にシリ
アルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライン
毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制
御回路103より送られる制御信号Tsftに基づいて
動作する(即ち、制御信号Tsftは、シフトレジスタ
104のシフトクロックであると言い換えてもよ
い。)。シリアル/パラレル変換された画像1ライン分
のデータ(電子放出素子n素子分の駆動データに相当)
は、Id1乃至Idnのn固の並列信号として前記シフ
トレジスタ104より出力される。
【0122】ラインメモリ105は、画像1ライン分の
データを必要時間の間だけ記憶する為の記憶装置であ
り、制御回路103より送られる制御信号Tmryに従
って適宜Id1乃至Idnの内容を記憶する。記憶され
た内容は、Id’1乃至Id’nとして出力され、変調
信号発生器107に入力される。
【0123】変調信号発生器107は、画像データI
d’1乃至Id’nの各々に応じて、電子放出素子の各
々を適切に駆動変調する為の信号源であり、その出力信
号は、端子Doy1乃至Doynを通じて表示パネル1
01内の電子放出素子に印加される。
【0124】前述したように、本発明の電子放出素子は
放出電流Ie に関して以下の基本特性を有している。即
ち、電子放出には明確な閾値電圧Vthがあり、Vth以上
の電圧が印加された時のみ電子放出が生じる。電子放出
閾値以上の電圧に対しては、素子への印加電圧の変化に
応じて放出電流も変化する。このことから、本素子にパ
ルス状の電圧を印加する場合、例えば電子放出閾値電圧
以下の電圧を印加しても電子放出は生じないが、電子放
出閾値電圧以上の電圧を印加する場合には電子ビームが
出力される。その際、パルスの波高値Vmを変化させる
ことにより、出力電子ビームの強度を制御することが可
能である。また、パルスの幅Pwを変化させることによ
り、出力される電子ビームの電荷の総量を制御すること
が可能である。
【0125】従って、入力信号に応じて電子放出素子を
変調する方式としては、電圧変調方式とパルス幅変調方
式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際して
は、変調信号発生器107としては、一定長さの電圧パ
ルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パル
スの波高値を変調できるような電圧変調方式の回路を用
いることができる。パルス幅変調方式を実施するに際し
ては、変調信号発生器107として、一定の波高値の電
圧パルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧
パルスの幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を
用いることができる。
【0126】シフトレジスタ104やラインメモリ10
5は、デジタル信号式のものでもアナログ信号式のもの
でも採用できる。画像信号のシリアル/パラレル変換や
記憶が所定の速度で行なわれれば良いからである。
【0127】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路106の出力信号DATAをデジタル信号化
する必要があるが、これには同期信号分離回路106の
出力部にA/D変換器を設ければ良い。これに関連して
ラインメモリ105の出力信号がデジタル信号かアナロ
グ信号かにより、変調信号発生器107に用いられる回
路が若干異なったものとなる。即ち、デジタル信号を用
いた電圧変調方式の場合、変調信号発生器107には、
例えばD/A変換回路を用い、必要に応じて増幅回路等
を付加する。パルス幅変調方式の場合、変調信号発生器
107には、例えば高速の発振器及び発振器の出力する
波数を計数する計数器(カウンタ)及び計数器の出力値
と前記メモリの出力値を比較する比較器(コンパレー
タ)を組み合わせた回路を用いる。必要に応じて、比較
器の出力するパルス幅変調された変調信号を電子放出素
子の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅器を付加す
ることもできる。
【0128】アナログ信号を用いた電圧変調方式の場
合、変調信号発生器107には、例えばオペアンプ等を
用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてレベルシフト
回路等を付加することもできる。パルス幅変調方式の場
合には、例えば電圧制御型発振回路(VCO)を採用で
き、必要に応じて電子放出素子の駆動電圧にまで電圧増
幅するための増幅器を付加することもできる。
【0129】このような構成をとり得る本発明の画像形
成装置においては、各電子放出素子に、容器外端子Do
x1乃至Doxm、Doy1乃至Doynを介して電圧
を印加することにより、電子放出が生じる。高圧端子8
7を介してメタルバック85あるいは透明電極(不図
示)に高圧を印加し、電子ビームを加速する。加速され
た電子は、蛍光膜84に衝突し、発光が生じて画像が形
成される。
【0130】ここで述べた画像形成装置の構成は、本発
明の画像形成装置の一例であり、本発明の技術思想に基
づいて種々の変形が可能である。入力信号についてはN
TSC方式を挙げたが、入力信号はこれに限られるもの
ではなく、PAL、SECAM方式等の他、これらより
も多数の走査線からなるTV信号(例えば、MUSE方
式をはじめとする高品位TV)方式をも採用できる。
【0131】次に、前述の梯子型配置の電子源及び画像
形成装置について、図13及び図14を用いて説明す
る。
【0132】図13は、梯子型配置の電子源の一例を示
す模式図である。図13において、110は電子源基
板、111は電子放出素子である。112は、電子放出
素子111を接続するための共通配線Dx1〜Dx10
であり、これらは外部端子として引き出されている。電
子放出素子111は、基板110上に、X方向に並列に
複数個配置されている(これを素子行と呼ぶ)。この素
子行が複数個配置されて、電子源を構成している。各素
子行の共通配線間に駆動電圧を印加することで、各素子
行を独立に駆動させることができる。即ち、電子ビーム
を放出させたい素子行には、電子放出閾値以上の電圧を
印加し、電子ビームを放出させたくない素子行には、電
子放出閾値以下の電圧を印加する。各素子行間に位置す
る共通配線Dx2〜Dx9は、例えばDx2とDx3、
Dx4とDx5、Dx6とDx7、Dx8とDx9とを
夫々一体の同一配線とすることもできる。
【0133】図14は、梯子型配置の電子源を備えた画
像形成装置におけるパネル構造の一例を示す模式図であ
る。120はグリッド電極、121は電子が通過するた
めの開口、Dox1乃至Doxmは容器外端子、G1乃
至Gnはグリッド電極120と接続された容器外端子で
ある。110は各素子行間の共通配線を同一配線とした
電子源基板である。図14においては、図10、図13
に示した部位と同じ部位には、これらの図に付したのと
同一の符号を付している。ここに示した画像形成装置
と、図10に示した単純マトリクス配置の画像形成装置
との大きな違いは、電子源基板110とフェースプレー
ト86の間にグリッド電極120を備えているか否かで
ある。
【0134】図14においては、基板110とフェース
プレート86の間には、グリッド電極120が設けられ
ている。グリッド電極120は、電子放出素子111か
ら放出された電子ビームを変調するためのものであり、
梯子型配置の素子行と直交して設けられたストライプ状
の電極に電子ビームを通過させるため、各素子に対応し
て1個ずつ円形の開口121が設けられている。グリッ
ド電極の形状や配置位置は、図14に示したものに限定
されるものではない。例えば、開口としてメッシュ状に
多数の通過口を設けることもでき、グリッド電極を電子
放出素子の周囲や近傍に設けることもできる。
【0135】容器外端子Dox1乃至Doxm及びグリ
ッド容器外端子G1乃至Gnは、不図示の制御回路と電
気的に接続されている。
【0136】本例の画像形成装置では、素子行を1列ず
つ順次駆動(走査)して行くのと同期してグリッド電極
列に画像1ライン分の変調信号を同時に印加する。これ
により、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像
を1ラインずつ表示することができる。
【0137】以上説明した本発明の画像形成装置は、テ
レビジョン放送の表示装置、テレビ会議システムやコン
ピューター等の表示装置の他、感光性ドラム等を用いて
構成された光プリンターとしての画像形成装置等として
も用いることができる。
【0138】
【実施例】以下に、具体的な実施例を挙げて本発明を説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はなく、本発明の目的が達成される範囲内での各要素の
置換や設計変更がなされたものをも包含する。
【0139】[実施例1]本実施例の電子放出素子の製
造方法を図3(a)〜(f)を用いて、以下に工程を追
って説明する。
【0140】絶縁性基板1として石英基板を用い、これ
を洗剤、純水および有機溶剤により十分に洗浄(図15
(a))後、ホトレジスト(RD−2000N 日立化
成社製)を2500rpm、40秒でスピンナー塗布
し、80℃で25分加熱してプリベークした(図15
(b))。
【0141】電極間隙は10μm、電極間隙方向の長さ
は5mm、電極間隙方向と直角方向の長さを20mmの
電極形状に対応するマスクを用いて密着露光し、RD−
2000−N用の現像液で現像した(図15(c))。
120℃で20分加熱してポストべークした電極の材料
としては導電性を有するものであればどのようなもので
あっても構わないが、本実施例では金属Ptを用いた。
Ar雰囲気中のスパッタリングで膜厚が300nmにな
るまで蒸着した(図15(d))。
【0142】アセトンでリフトオフし、アセトン、イソ
プロピルアルコール、続いて酢酸ブチルで洗浄後、乾燥
した(図15(e))。
【0143】酢酸パラジウムジプロピルアミンを酢酸ブ
チルを溶媒とし、バブルジェット装置を用いて、有機金
属からなるドット状の有機金属薄膜を形成した。ドット
の径は約100μmφであった。これを、空気中におい
て300℃で1時間焼咸し、酸化パラジウム(PdO)
を主体とする導電性膜4を形成した(図15(f))。
PdOの膜厚は、約10nmであった。なお、ピエゾジ
ェットを用いても、同様に導電性膜4を成膜することが
できる。
【0144】本電子放出素子を光学顕微鏡で観察したと
ころ、素子電極間の概ね中心に導電性膜が形成されてい
るのが目視で確認できた(図4(a))。この電子放出
素子を素子Aとする。
【0145】同様な方法で、素子電極間の中心から偏心
させて導電性膜を形成した電子放出素子を作製した(図
4(b))。この素子を光学顕微鏡で観察したところ、
素子電極間の中心から約20μm偏心して導電性膜が形
成されていた。これを素子Bとする。
【0146】このようにして作製した素子の導電性膜全
体に、キセノンランプをレンズで絞って光照射領域を数
mmとした光を照射し、両電極間に発生する電圧を測定
した。素子Aでは、電極電圧が〜0Vであるのに対し、
素子Bでは、素子電極2に対する素子電極3の電圧が〜
+0.2mVであった。この結果より、素子Bの導電性
膜は素子電極間の中心よりも、素子電極2側に偏心して
いることがわかる。
【0147】[実施例2]実施例1で作製した2つの素
子A,Bに対し、次の方法で光を照射し、素子電極間の
電圧を測定した。照射する光にはArレーザー、51
4.5nmを用い、スポット径はレンズ系で絞り約15
μmφとした。素子電極間を直角に横切るように光スポ
ットを走査しながら電極間の電圧変化を上記2素子A,
Bについて測定した。
【0148】素子電極間の中心に導電性膜が形成されて
いる素子Aの場合の電圧変化は図5(b)のように点対
称なプロファイルであり、電圧の絶対値の最大値は概ね
1mV程度であった。これに対し、素子電極間の中心か
ら偏心して導電性膜が形成されている素子Bの場合は図
5(c)のように非点対称なプロファイルとなった。こ
のプロファイルから、素子Bにおいては、素子電極2の
方向に約20μmだけ導電性膜がずれていることがわか
った。
【0149】[実施例3]本実施例の電子源の製造方法
を、図16及び図17を用いて、以下に工程を追って説
明する。
【0150】工程−a 洗浄した青板ガラス上に、SiO2 をスパッタリング法
により0.5μm成膜して、これを基板1として用い
る。基板上にホトレジスト(AZ1370;ヘキスト社
製)をスピンナーにより塗布してレジスト層を形成し、
露光、現像を行って素子電極の形状に対応する開口を設
ける。続いてTiを5nm、Ptを50nmの厚さスパ
ッタリング法により堆積したのち、有機溶剤により上記
レジスト層を除去、リフトオフにより、素子電極16
1、162を形成する(図16(a))。
【0151】工程−b 次に、ピエゾジェット方式のインクジェット装置によ
り、有機パラジウムのエタノールアミン錯体の溶液を液
滴として付与し、導電性膜の前駆体となる膜164を形
成する。上記前駆体膜は略円形でその直径はおよそ40
μmである。正常に形成された前駆体膜に後述する熱処
理を行うと、膜厚がおよそ15nm程度となるように、
前記液滴の付与条件を設定した。また、後述の熱処理の
条件では、微粒子の粒径は10nm程度となる(図16
(b))。なお、ここで使用したインクジェット装置は
図2に示したものと同じ構成を有し、2つのノズルの内
一方を上記前駆体膜の形成に用いた。
【0152】工程−c 続いて、300℃で10分間の熱処理を施し、上記前駆
体膜をPdO微粒子よりなる導電性膜に変化させた(図
16(b))。
【0153】工程−d 実施例1で示した方法により、各素子に光を照射し、素
子電極間の電圧を測定した。電圧の測定には、金属の先
端が鋭利なプローブを電極に接触させることで行った。
両電極間の電圧の絶対値が0.2mV以上の素子を不良
とみなし(例えば、図16(b)の修正が必要な導電性
膜164’)、先端に直径200μm、厚さ500μm
のシリコンゴムを付けた不図示のロッドを、当該素子部
に押し当てて引き上げ、不良と判定された導電性微粒子
膜を上記シリコンゴムに吸着させ、除去した(図16
(c))。
【0154】工程−e 続いて、上記工程で不良の導電性膜を除去した部分に、
前記工程−bと同じ条件で再度前駆体膜を形成し、乾
燥、焼成し、顕微鏡および本発明の方法により、適切な
導電性膜が形成されていることを確認した(図16
(d))。
【0155】工程−f Agペーストを所定の形状にスクリーン印刷し、これを
加熱焼成してY方向配線173を形成する。なお、Y方
向配線の厚みは約20μm、幅は100μmとした(図
17(e))。
【0156】工程−g ガラスペーストを所定の形状に印刷し、これを加熱焼成
して、層間絶縁層174を形成する。このとき素子電極
162の部分は覆わないように切り欠き175を設け
る。層間絶縁層の幅は約250nmで、厚さはY方向配
線と重なる部分で約20μm、他の部分で約35μmと
なるようにした(図17(f))。
【0157】工程−h 続いて、上記層間絶縁層174の上にAgぺーストを印
刷し、これを加熱焼成してX方向配線176を形成し
た。なお、X方向配線の幅は約200μm、厚さは15
μmとした(図17(g))。
【0158】工程−i ここまでの工程で作成した電子源基板(その間に前記導
電性膜が形成されている一対の素子電極が複数配置され
た基板)を用い、図10に示す構成の画像形成装置を形
成した。
【0159】すなわち、前記電子源基板71をフリット
ガラスによりリアプレート81上に固定し、その後、電
子源基板71の5mm上方に、フースプレー―ト86
(ガラス基板83の内面に蛍光膜84とメタルバック8
5が形成されて構成される)を支持枠82を介して配置
し、フェースプレート86、支持枠82、リアプレ一ト
81の接合部にフリットガラスを塗布し、大気中におい
て400℃で10分間焼成することで封着した。
【0160】図10において、74は電子放出素子、7
2、73はそれぞれX方向およびY方向の素子配線であ
る。
【0161】蛍光膜84は、モノクロームの場合は蛍光
体のみから成るが、本実施例では蛍光体はストライプ形
状を採用し、先にブラックストライプを形成し、その間
隙部に各色蛍光体を塗布し、蛍光膜84を作製した。
【0162】ブラックストライプの材料として通常良く
用いられている黒鉛を主成分とする材料を用いた。ガラ
ス基板83に蛍光体を塗布する方法は、スラリー法を用
いた。また、蛍光膜84の内面側には通常メタルバック
85が設けられる。メタルバックは、蛍光膜作成後、蛍
光膜の内面側表面の平滑化処理(通常フィルミングと呼
ばれる)を行い、その後、Alを真空蒸着することで作
製したフェースプレート86には、さらに蛍光膜84の
導電性を高めるため、蛍光膜84の外面側に透明電極が
設けられる場合もあるが、本実施例では、メタルバック
のみで十分な導電性が得られたので省略した。
【0163】前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体と電子放出素子とを対応させなくてはいけないた
め、十分な位置合せを行なった。なお、電子源基板の周
辺に、不図示のゲッターを設置した。
【0164】工程−j 以上のようにして完成した外囲器88内を不図示の排気
管を通じ真空ポンプにて10-4Pa程度の圧力まで排気
し、フォーミング処理により、複数の導電性膜の各々に
電子放出部を形成した。即ち、フォーミング処理は、図
18に示すように、Y方向の配線を共通電極183に接
続し、X方向の配線を1ラインづつ通電処理することに
より行い、複数の導電性膜にそれぞれ電子放出部を形成
した。181がX方向配線、182はY方配線であり、
このY方向配線182は共通電極183を介してグラン
ドに接続されている。X方向配線、Y方向配線の各交点
に対応して、電子放出素子184が一つずつ配置されて
いる。
【0165】185はパルス発生器で、正極はX方向配
線の一つに接続されており、負極は電流測定用抵抗18
6を介してグランドに接続されている。187はパルス
電流をモニターするためのオシロスコープである。
【0166】フォーミング処理に用いた電圧波形は、図
6(b)に示されるものである。
【0167】図6(b)中、T1 およびT2 は電圧波形
のパルス幅とパルス間隔であり、本実施例では、T1
1msec、T2 =10msecとし、三角波の波高値
(ピーク電圧)は0.1Vステップで上昇させてフォー
ミング処理を行った。またフォーミング処理中は、同時
に0.1Vの電圧で、フォーミング用パルスの休止期間
中に抵抗測定用パルスを挿入して、抵抗の測定を行なっ
た。この測定値が1素子あたり100KΩ以上になった
時、フォーミング処理を終了した。
【0168】工程−k 続いて、外囲器88内にアセトンを導入し、圧力を1.
3×10-2Paとし、工程−jと同様にパルス電圧を印
加して前述の活性化処理を行なった。印加したパルスは
波高値18Vの矩形波パルスとした。
【0169】工程−l この後、外囲器全体を200℃に保持しながら10時間
排気を続け、圧力を1.3×10-6Paまで下げ、マト
リクス駆動により表示機能が正常に働くことを確認して
から、不図示の排気管をガスバーナーで熱することで溶
着し外囲器の封止を行った。そして最後に、高周波加熱
によりゲッター処理を行った。
【0170】以上のようにして作製された画像形成装置
は、画像に欠陥がなく、目立つ輝度ばらつきもないもの
であった。
【0171】[実施例4]本実施例は、前述の実施例3
と比べて、複数の電子放出素子の配線方法が異なってい
る。本実施例は、梯子型配線の例を示すものである。
【0172】本実施例においては、図19に示すよう
に、実施例3と同様の方法にて作成された導電性膜19
4を有する一対の素子電極192,193の複数対が接
続された一対の配線195a、195bを複数ライン有
する基板191を、図14のように、電子通過口121
を有するグリッド電極120を備える外囲器内に配置
し、実施例3と同様の方法にて画像表示装置とした。
【0173】本実施例においても、実施例3と同様の効
果を得ることができる。
【0174】[実施例5]本実施例のプロセスは、次の
点を除き、実施例3と同様である。
【0175】すなわち、実施例2と同様な方法で導電性
膜の不良を検出した測定条件の詳細は実施例2と同様で
ある。左右のプロファイルの対称性から判断し、20μ
m以上左右どちらかに電極に対して位置ずれしている素
子部を不良とした。
【0176】不良素子の除去は、まず、導電性膜を水素
還元してから、実施例3と同様な方法にて行った。すな
わち、電子源を約150℃に保持しながら、図20に示
す二重構造のノズルを用いて、不良の素子の部分を局所
的に還元雰囲気に曝露した。図20において、141は
内側ノズル、142は外側ノズル、143は還元性ガス
の気流、144は導電性膜である。
【0177】用いた基体は、水素H2 を窒素N2 により
希釈した混合ガスで、水素の含有率は2%とした。な
お、水素の空気中における爆発範囲の下限は4%であ
り、上記混合ガスを使用するに当たっては、製造装置周
辺の排気を十分に行えば良く、特別の防爆設備は必要と
しない。
【0178】先端に直径200μm、厚さ500μmの
シリコンゴムを付けたロッドを、当該素子部に押し当て
て引き上げ、不良と判定された導電性微粒子膜を上記シ
リコンゴムに吸着させ、除去した。
【0179】以上のようにして作成された画像形成装置
は、画像に欠陥がなく、目立つ輝度ばらつきもないもの
であった。
【0180】[実施例6]図21は、ディスプレイパネ
ル(図10)に、例えばテレビジョン放送を初めとする
種々の画像情報源より提供される画像情報を表示できる
ように構成した本発明の画像形成装置の一例を示す図で
ある。
【0181】図中201はディスプレイパネル、100
1はディスプレイパネルの駆動回路、1002はディス
プレイコントローラ、1003はマルチプレクサ、10
04はデコーダ、1005は入出力インターフェース回
路、1006はCPU、1007は画像生成回路、10
08及び1009及び1010は画像メモリーインター
フェース回路、1011は画像入力インターフェース回
路、1012及び1013はTV信号受信回路、101
4は入力部である。
【0182】尚、本画像形成装置は、例えばテレビジョ
ン信号のように、映像情報と音声情報の両方を含む信号
を受信する場合には当然映像の表示と同時に音声を再生
するものであるが、本発明の特徴と直接関係しない音声
情報の受信、分離、再生、処理、記憶等に関する回路や
スピーカ一等については説明を省略する。
【0183】以下、画像信号の流れに沿って各部の機能
を説明する。
【0184】まず、TV信号受信回路1013は、例え
ば電波や空間光通信等のような無線伝送系を用いて伝送
されるTV信号を受信するための回路である。
【0185】受信するTV信号の方式は特に限られるも
のではなく、例えばNTSC方式、PAL方式、SEC
AM方式等、いずれの方式でもよい。また、これらより
更に多数の走査線よりなるTV信号、例えばMUSE方
式を初めとする所謂高品位TVは、大面積化や大画素数
化に適した前記ディスプレイパネルの利点を生かすのに
好適な信号源である。
【0186】TV信号受信回路1013で受信されたT
V信号は、デコーダ1004に出力される。
【0187】TV信号受信回路1012は、例えば同軸
ケーブルや光ファイバー等のような有線伝送系を用いて
伝送されるTV信号を受信するための回路である。前記
TV信号受信回路1013と同様に、受信するTV信号
の方式は特に限られるものではなく、また本回路で受信
されたTV信号もデコーダ1004に出力される。
【0188】画像入力インターフェース回路1011
は、例えばTVカメラや画像読み取りスキャナーなどの
画像入力装置から供給される画像信号を取り込むための
回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ1004に出
力される。
【0189】画像メモリーインターフェース回路101
0は、ビデオテープレコーダー(以下VTRと略す)に
記憶されている画像信号を取り込むための回路で、取り
込まれた画像信号はデコーダ1004に出力される。
【0190】画像メモリーインターフェース回路100
9は、ビデオディスクに記憶されている画像信号を取り
込むための回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ1
004に出力される。
【0191】画像メモリーインターフェース回路100
8は、静止画ディスクのように、静止画像データを記憶
している装置から画像信号を取り込むための回路で、取
り込まれた静止画像データはデコーダ1004に入力さ
れる。
【0192】入出力インターフェース回路1005は、
本表示装置と、外部のコンピュータもしくはコンピュー
タネットワークもしくはプリンターなどの出力装置とを
接続するための回路である。画像データや文字・図形情
報の入出力を行うのは勿論のこと、場合によっては本画
像形成装置の備えるCPU1006と外部との間で制御
信号や数値データの入出力などを行うことも可能であ
る。
【0193】画像生成回路1007は、前記入出力イン
ターフェース回路1005を介して外部から入力される
画像データや文字・図形情報や、あるいはCPU100
6より出力される画像データや文字・図形情報に基づ
き、表示用画像データを生成するための回路である。本
回路の内部には、例えば画像データや文字・図形情報を
蓄積するための書き換え可能メモリーや、文字コードに
対応する画像パターンが記憶されている読み出し専用メ
モリーや、画像処理を行うためのプロセッサー等を初め
として、画像の生成に必要な回路が組み込まれている。
【0194】本回路により生成された表示用画像データ
は、デコーダ1004に出力されるが、場合によっては
前記入出力インターフェース回路1005を介して外部
のコンピュータネットワークやプリンターに出力するこ
とも可能である。
【0195】CPU1006は、主として本表示装置の
動作制御や、表示画像の生成や選択や編集に関わる作業
を行う。
【0196】例えば、マルチプレクサ1003に制御信
号を出力し、ディスプレイパネルに表示する画像信号を
適宜選択したり組み合わせたりする。その際には表示す
る画像信号に応じてディスプレイパネルコントローラ1
002に対して制御信号を発生し、画面表示周波数や走
査方法(例えばインターレースかノンインターレース
か)や一画面の走査線の数など表示装置の動作を適宜制
御する。また、前記画像生成回路1007に対して画像
データや文字・図形情報を直接出力したり、あるいは前
記入出力インターフェース回路1005を介して外部の
コンピュータやメモリーをアクセスして画像データや文
字・図形情報を入力する。
【0197】尚、CPU1006は、これ以外の目的の
作業にも関わるものであってよい。例えば、パーソナル
コンピュータやワードプロセッサ等のように、情報を生
成したり処理する機能に直接関わってもよい。あるいは
前述したように、入出力インターフェース回路1005
を介して外部のコンピュータネットワークと接続し、例
えば数値計算等の作業を外部機器と協同して行ってもよ
い。
【0198】入力部1014は、前記CPU1006に
使用者が命令やプログラム、あるいはデータなどを入力
するためのものであり、例えばキーボードやマウスの
他、ジョイスティック、バーコードリーダー、音声認識
装置等の多様な入力機器を用いることが可能である。
【0199】デコーダ1004は、前記1007ないし
1013より入力される種々の画像信号を3原色信号、
又は輝度信号とI信号、Q信号に逆変換するための回路
である。尚、図中に点線で示すように、デコーダ100
4は内部に画像メモリーを備えるのが望ましい。これ
は、例えばMUSE方式を初めとして、逆変換するに際
して画像メモリーを必要とするようなテレビ信号を扱う
ためである。
【0200】画像メモリーを備える事により、静止画の
表示が容易になる。あるいは前記画像生成回路1007
及びCPU1006と協同して、画像の間引き、補間、
拡大、縮小、合成を初めとする画像処理や編集が容易に
なるという利点が得られる。
【0201】マルチプレクサ1003は、前記CPU1
006より入力される制御信号に基づき、表示画像を適
宜選択するものである。即ち、マルチプレクサ1003
はデコーダ1004から入力される逆変換された画像信
号の内から所望の画像信号を選択して駆動回路1001
に出力する。その場合には、一画面表示時間内で画像信
号を切り換えて選択することにより、所謂多画面テレビ
のように、一画面を複数の領域に分けて領域によって異
なる画像を表示することも可能である。
【0202】ディスプレイパネルコントローラ1002
は、前記CPU1006より入力される制御信号に基づ
き、駆動回路1001の動作を制御するための回路であ
る。
【0203】ディスプレイパネルの基本的な動作に関わ
るものとして、例えばディスプレイパネルの駆動用電源
(図示せず)の動作シーケンスを制御するための信号を
駆動回路1001に対して出力する。ディスプレイパネ
ルの駆動方法に関わるものとして、例えば画面表示周波
数や走査方法(例えばインターレースかノンインターレ
ースか)を制御するための信号を駆動回路1001に対
して出力する。また、場合によっては、表示画像の輝度
やコントラストや色調やシャープネスといった画質の調
整に関わる制御信号を駆動回路1001に対して出力す
る場合もある。
【0204】駆動回路1001は、ディスプレイパネル
201に印加する駆動信号を発生するための回路であ
り、前記マルチプレクサ1003から入力される画像信
号と、前記ディスプレイパネルコントローラ1002よ
り入力される制御信号に基づいて動作するものである。
【0205】以上、各部の機能を説明したが、図21に
例示した構成により、本画像形成装置においては多様な
画像情報源より入力される画像情報をディスプレイパネ
ル201に表示することが可能である。即ち、テレビジ
ョン放送を初めとする各種の画像信号は、デコーダ10
04におて逆変換された後、マルチプレクサ1003に
おいて適宜選択され、駆動回路1001に入力される。
一方、デイスプレイコントローラ1002は、表示する
画像信号に応じて駆動回路1001の動作を制御するた
めの制御信号を発生する。駆動回路1001は、上記画
像信号と制御信号に基づいてディスプレイパネル201
に駆動信号を印加する。これにより、ディスプレイパネ
ル201において画像が表示される。これらの一連の動
作は、CPU1006により統括的に制御される。
【0206】本画像形成装置においては、前記デコーダ
1004に内蔵する画像メモリや、画像生成回路100
7及び情報の中から選択したものを表示するだけでな
く、表示する画像情報に対して、例えば拡大、縮小、回
転、移動、エッジ強調、間引き、補間、色変換、画像の
縦横比変換等を初めとする画像処理や、合成、消去、接
続、入れ換え、嵌め込み等を初めとする画像編集を行う
ことも可能である。また、本実施例の説明では特に触れ
なかったが、上記画像処理や画像編集と同様に、音声情
報に関しても処理や編集を行なうための専用回路を設け
てもよい。
【0207】従って、本画像形成装置は、テレビジョン
放送の表示機器、テレビ会議の端末機器、静止画像及び
動画像を扱う画像編集機器、コンピュータの端末機器、
ワードプロセッサを初めとする事務用端末機器、ゲーム
機などの機能を一台で兼ね備えることが可能で、産業用
あるいは民生用として極めて応用範囲が広い。
【0208】図21に示した表示装置は、本発明の技術
的思想に基づいて種々の変形が可能である。例えば図2
1の構成要素の内、使用目的上必要のない機能に関わる
回路は省いても差し支えない。また、これとは逆に、使
用目的によっては更に構成要素を追加してもよい。例え
ば、本表示装置をテレビ電話機として応用する場合に
は、テレビカメラ、音声マイク、照明機、モデムを含む
送受信回路等を構成要素に追加するのが好適である。
【0209】本表示装置においては、とりわけ電子放出
素子を電子ビーム源とするディスプレイパネルの薄型化
が容易であるため、表示装置の奥行きを小さくすること
ができる。それに加えて、大面積化が容易で輝度が高く
視野角特性にも優れるため、臨場感あふれ迫力に富んだ
画像を視認性良く表示することが可能である。また、均
一な特性を有する多数の電子放出素子を備える電子源を
用いたことにより、従来の表示装置と比較して非常に均
一で明るい高品位なカラーフラットテレビが実現され
た。
【0210】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
素子電極間に電子放出部を有する導電性膜を備える電子
放出素子の製造過程において、不良の導電性膜を良好な
導電性膜に修正することができるので、電子放出素子の
製造の歩留まりを向上させることができる。
【0211】特に、複数の電子放出素子を備える電子源
の製造過程にあっては、部分的に発生した不良の導電性
膜を部分的に修正することができ、多数の電子放出素子
を集積した電子源を形成し、さらにこの電子源を用いた
画像形成装置を作成する場合には、歩留まりを著しく向
上させることができ、画像欠陥がなく、目立った輝度の
ばらつきのない画像形成尨置を提供することができ、低
電流で明るい高品位な画像形成装置、例えばカラーフラ
ットテレビが実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子放出素子の一例を示す模式図
である。
【図2】ピエゾジェット方式のインクジェット装置の構
成を示す模式図である。
【図3】バブルジェット方式のインクジェット装置の構
成を示す模式図である。
【図4】本発明において、導電性膜付与状態の異常を検
出する手段およびその様子を示す図である。
【図5】本発明において、導電性膜付与状態の異常を検
出する手段およびその様子を示す図である。
【図6】本発明の電子放出素子の製造に際して採用でき
る通電処理における電圧波形の一例を示す模式図であ
る。
【図7】本発明の電子放出素子の製造に用いることので
きる真空処理装置(測定評価装置)の一例を示す概略構
成図である。
【図8】本発明の電子放出素子の電子放出特性を示す図
である。
【図9】本発明の単純マトリクス配置の電子源の一例を
示す模式図である。
【図10】本発明の画像形成装置の表示パネルの一例を
示す模式図である。
【図11】表示パネルにおける蛍光膜の一例を示す模式
図である。
【図12】本発明の画像形成装置にNTSC方式のテレ
ビ信号に応じて表示を行うための駆動回路の一例を示す
ブロック図である。
【図13】本発明の梯子型配置の電子源の一例を示す模
式図である。
【図14】本発明の画像形成装置の表示パネルの一例を
示す模式図である。
【図15】本発明に好適な表面伝導型電子放出素子の製
造方法を示す模式図である。
【図16】マトリクス配線の電子源を形成する工程を説
明するための模式図である。
【図17】マトリクス配線の電子源を形成する工程を説
明するための模式図である。
【図18】フォーミング工程での配線を説明するための
模式図である。
【図19】梯子型配線の電子源の構成を説明する模式図
である。
【図20】局所的に還元雰囲気を形成するための装置の
構成を示す模式図である。
【図21】実施例6の画像表示装置のブロック図であ
る。
【図22】従来例の表面伝導型電子放出素子の模式図で
ある。
【符号の説明】
1 基板 2,3 素子電極 4 導電性膜 5 電子放出部 21 ガラス製第1ノズル 22 ガラス製第2ノズル 23 円筒形ピエゾ 25、26 液体供給チューブ 27 電気信号入力端子 31 基板 32 発熱抵抗体 33 支持板 34 液体流路 35 第1ノズル 36 第2ノズル 37 インク流路隔壁 38、39 液体室 50 素子電流If を測定するための電流計 51 電子放出素子に素子電圧Vf を印加するための電
源 52 電子放出部5より放出される放出電流Ie を測定
するための電流計 53 アノード電極54に電圧を印加するための高圧電
源 54 電子放出部5より放出される電子を捕捉するため
のアノード電極 55 真空容器 56 排気ポンプ 71 電子源基板 72 X方向配線 73 Y方向配線 74 電子放出素子 75 結線 81 リアプレート 82 支持枠 83 ガラス基板 84 蛍光膜 85 メタルバック 86 フェースプレート 87 高圧端子 88 外囲器 91 黒色導電材 92 蛍光体 101 表示パネル 102 走査回路 103 制御回路 104 シフトレジスタ 105 ラインメモリ 106 同期信号分離回路 107 変調信号発生器 Vx,Va 直流電圧源 110 電子源基板 111 電子放出素子 112 電子放出素子を配線するための共通配線 120 グリッド電極 121 電子が通過するための開口 141 内側ノズル 142 外側ノズル 143 還元性ガスの気流 144 導電性膜 181 X方向配線 182 Y方向配線 183 共通電極 184 電子放出素子 185 パルス発生器 186 電流測定用抵抗 187 オシロスコープ 191 基板 192,193 素子電極 194 導電性膜 195a,195b 配線 201 ディスプレイパネル 310、311 液体供給口 312 天井板 1001 ディスプレイパネルの駆動回路 1002 ディスプレイコントローラ 1003 マルチプレクサ 1004 デコーダ 1005 入出力インターフェース回路 1006 CPU 1007 画像生成回路 1008、1009、1010 画像メモリーインター
フェース回路 1011 画像入力インターフェース回路 1012、1013 TV信号受信回路 1014 入力部

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に一対の素子電極を形成する工程
    と、 基体上に導電性膜形成材料を含有する溶液の液滴を付与
    する工程と、 付与した液滴を熱分解して導電性膜を形成する工程と、 熱分解して形成される導電性膜の付与状態を、導電性膜
    に光を照射して検出する工程と、 導電性膜付与状態の異常が検出された場合に、上記溶液
    の液滴を再び付与する工程と、 素子電極間に通電して、導電性膜に電子放出部を形成す
    るフォーミング工程とを有することを特徴とする電子放
    出素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記導電性膜の付与状態を検出する工程
    が、導電性膜全体に光を照射して、素子電極間の電圧を
    測定することを特徴とする請求項1に記載の電子放出素
    子の製造方法。
  3. 【請求項3】 導電性膜よりも小さい径の光スポットを
    少なくとも素子電極間を横切る方向へ導電性膜上を走査
    し、その移動に対する素子電極間の電圧を測定すること
    を特徴とする請求項1に記載の電子放出素子の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記溶液の液滴を再び付与する工程が、
    導電性膜の付与状態の検出結果に基づいて異常のある導
    電性膜を還元雰囲気に曝露した後、これを除去する工程
    の後に行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載の電子放出素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記溶液の液滴を付与する工程が、イン
    クジェット法により液滴を付与することを特徴とする請
    求項1〜4のいずれかに記載の電子放出素子の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 インクジェット法が、熱エネルギーによ
    って溶液内に気泡を形成させて該溶液を液滴として吐出
    させるバブルジェット方式である請求項5に記載の電子
    放出素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 インクジェット法が、力学的エネルギー
    を利用して溶液を吐出させるピエゾジェット方式である
    ことを特徴とする請求項5に記載の電子放出素子の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 フォーミング工程の後に、フォーミング
    工程より高い真空度下で電子放出素子に電圧を印加する
    安定化工程を有することを特徴とする請求項1〜7のい
    ずれかに記載の電子放出素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 フォーミング工程の後に、有機物質の存
    在下で電子放出素子に電圧を印加する活性化工程を有す
    ることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電
    子放出素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 活性化工程の後に、フォーミング工程
    及び活性化工程より高い真空度下で電子放出素子に電圧
    を印加する安定化工程を有することを特徴とする請求項
    9に記載の電子放出素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかに記載の方
    法で製造されたことを特徴とする電子放出素子。
  12. 【請求項12】 電子放出素子が、表面伝導型電子放出
    素子であることを特徴とする請求項11に記載の電子放
    出素子。
  13. 【請求項13】 入力信号に応じて電子を放出する電子
    源であって、基体上に、請求項11又は12に記載の電
    子放出素子を複数配置したことを特徴とする電子源。
  14. 【請求項14】 前記複数の電子放出素子が、マトリク
    ス状に配線されていることを特徴とする請求項13に記
    載の電子源。
  15. 【請求項15】 前記複数の電子放出素子が、梯子状に
    配線されていることを特徴とする請求項13に記載の電
    子源。
  16. 【請求項16】 請求項13〜15のいずれかに記載の
    電子源を製造する方法であって、複数個の電子放出素子
    を請求項1〜10のいずれかに記載の方法により製造す
    ることを特徴とする電子源の製造方法。
  17. 【請求項17】 入力信号に基づいて画像を形成する装
    置であって、少なくとも、請求項13〜15のいずれか
    に記載の電子源と、該電子源から放出される電子線の照
    射により画像を形成する画像形成部材とを有することを
    特徴とする画像形成装置。
  18. 【請求項18】 請求項17に記載の画像形成装置を製
    造する方法であって、電子源を請求項16に記載の方法
    により製造することを特徴とする画像形成装置の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009506495A (ja) * 2005-08-26 2009-02-12 エレクトロニクス アンド テレコミュニケーションズ リサーチ インスチチュート 急激な金属−絶縁体転移を利用した電子放出素子及びこれを備えるディスプレイ

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