JP2000246450A - 極低融点金属のプラズマアーク肉盛溶接方法 - Google Patents

極低融点金属のプラズマアーク肉盛溶接方法

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JP2000246450A
JP2000246450A JP11057173A JP5717399A JP2000246450A JP 2000246450 A JP2000246450 A JP 2000246450A JP 11057173 A JP11057173 A JP 11057173A JP 5717399 A JP5717399 A JP 5717399A JP 2000246450 A JP2000246450 A JP 2000246450A
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plasma
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plasma arc
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JP11057173A
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Fumihiko Sakuno
文彦 作野
Yoshiaki Takeda
佳章 武田
Tatsumi Ashino
辰美 芦野
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Nippon Steel Welding and Engineering Co Ltd
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Nippon Steel Welding and Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉄基材表面に極低融点金属を強固にかつ高能
率に肉盛溶接することを目的とする。 【解決手段】 鉄基材表面に極低融点金属の線条体を供
給しながらプラズマアークで肉盛溶接する方法におい
て、プラズマトーチのノズル穴径を2.4〜4.4m
m、ノズル穴のプラズマガス流量を0.06〜0.10
リットル/min/mm2 とする。また、鉄基材表面に
接するプラズマアークが肉盛すべき鉄基材表面全体に行
き渡るように、プラズマトーチを走行または揺動走行す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホワイトメタル等
の極低融点金属を鉄基材表面にプラズマアークで肉盛溶
接する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】製鉄用機械の軸受け、重電機器の軸受
け、船舶機械の軸受け等の軸受け滑動部は、高荷重と回
転軸の高速回転に耐え得るものでなければならない。そ
のために、これらの軸受け滑動部には、従来からJIS
H5401に1種、2種および2種Bとして規定され
るSn、Sb、Cu組成で凝固温度範囲230〜250
℃の極低融点金属のホワイトメタルが肉盛されている。
【0003】従来、極低融点金属の肉盛方法は主に次の
4つの方法で行われている。 (1)置き注ぎ法 (2)遠心鋳造法 (3)TIG溶接方法 (4)プラズマ粉体肉盛溶接方法
【0004】これらの肉盛方法のうち、まず(1)の置
き注ぎ法および鉄基材が円筒形である(2)の遠心鋳造
法は一般に用いられているが、鉄基材との接合力が低い
ので肉盛に先立って鉄基材表面の加工作業(表面凹凸加
工、予熱作業など)が必要で、作業能率が悪い。また、
鉄基材表面の加工を行っても溶着強度が低く肉盛部が剥
離しやすいという問題もある。
【0005】(3)のTIG溶接方法は、鉄基材への溶
け込み量のコントロールが困難で、鉄基材からFeが肉
盛金属に混入して所望の性能が得られなくなる。したが
って、少なくとも2層肉盛溶接することが必要で能率が
悪いという問題がある。(4)のプラズマ粉体肉盛方法
は、たとえば特開平7−99097号公報に開示されて
いる。この方法によれば鉄基材への溶け込みはコントロ
ールできるが、極低融点金属の粉末が粉体噴出口近傍で
溶融あるいは半溶融状態となり、粉体噴出口が塞がれる
場合があり、安定して極低融点金属の粉体を供給するこ
とができない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、鉄基材表面
に極低融点金属を強固にかつ高能率に肉盛溶接すること
ができる極低融点金属のプラズマアーク肉盛溶接方法を
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、極低融
点金属の線条体を供給しながらプラズマアークで鉄基材
表面に肉盛溶接する方法において、プラズマトーチのノ
ズル穴径を2.4〜4.4mm、ノズル穴のプラズマガ
ス流量を0.06〜0.10リットル/min/mm2
とする方法にある。また、プラズマアークが鉄基材表面
の肉盛溶接部全体に当接するように、プラズマトーチを
走行または揺動走行する極低融点金属のプラズマアーク
肉盛溶接方法にある。
【0008】
【発明の実施の形態】図1に本発明に用いるプラズマア
ークトーチの断面図を示す。1はプラズマトーチで、電
極2、ノズル3を備え、電極2とノズル3との間からプ
ラズマを作るプラズマガスを、またノズル3とシールド
ノズル4との間からシールドガスを流す。5はメインア
ーク用の直流電源、6はパイロットアーク用の直流電源
である。7は高周波電源で、カップリングトランスTを
介してメインアーク用直流電源5と電極2に結合する。
メインアーク用の直流電源5は母材8(鉄基材)と電極
2間に、またパイロットアーク用の直流電源6はノズル
3と電極2間に電圧を加え、メインアーク電流Im、パ
イロットアーク電流Ipを供給する。トーチにガスを供
給しそして高周波電源7とパイロットアーク用の直流電
源6により電極2とノズル3との間にパイロットアーク
を発生させ、プラズマトーチ1を母材8に接近させ、メ
インアーク用直流電源5により電極2と母材8との間に
プラズマアークを発生させる。なお、図中Cは高周波電
流のバイパスコンデンサである。
【0009】図2に前記プラズマトーチを用いて極低融
点金属を肉盛溶接する状態を示す。電極2と母材8との
間にプラズマアーク10を発生させ、該プラズマアーク
10中に極低融点金属の線条体11を供給しながら母材
8表面に極低融点金属の肉盛溶接部12を形成する。
【0010】プラズマトーチのノズル穴径Aを2.4〜
4.4mmとし、ノズル穴のプラズマガス流量を0.0
6〜0.10リットル/min/mm2 とすることによ
って、母材表面へ極低融点金属を無欠陥でFeの混入が
少なく、かつ強固に肉盛溶接することができる。プラズ
マアーク溶接トーチとして従来から製造されているもの
は、鋼材などの通常の融点の金属材料への適用を意図し
たものであり、アークの集中を図って十分な溶け込みを
得るワンサイド裏波溶接(キーホール)の場合は、例え
ば板厚8mmでは、2.8mm径の小さいノズルの孔径
を採用する。そのうえでプラズマガス流量を2.3リッ
トル/min(0.37リットル/min/mm2 )程
度と本発明より大流量の条件を採用し、アークのガス冷
却による熱ピンチ効果を発揮させて細く絞り込み、狭い
範囲を集中的に加熱するようにしている。
【0011】ノズル穴径Aが2.4mm未満であると、
プラズマアークが絞られて電圧が高くなる。したがっ
て、プラズマアークが高温となって母材(基材)への溶
け込みが深くなって極低融点金属による溶接金属中にF
eが混入し、目標とする肉盛金属成分が得られなくな
る。逆にノズル穴径Aが4.4mmを超えると、プラズ
マアークが広がり電圧が低くなる。したがって、プラズ
マアークの指向性が悪くなるので極低融点金属による肉
盛溶接金属の母材への密着性が悪くなる。また、未溶融
部も生じるようになる。
【0012】プラズマガス流量が0.06リットル/m
in/mm2 未満であると、アークの吹き付け力が弱く
なり、プラズマアークの指向性が悪くなるので極低融点
金属による肉盛溶接金属の母材への密着性が悪くなる。
また、未溶融部も生じるようになる。逆にプラズマガス
流量が0.10リットル/min/mm2 を超えると、
アークの吹き付け力が強くなりすぎ、プラズマアークの
母材への溶け込みが深くなって極低融点金属による溶接
金属中にFeが混入し、目標とする肉盛金属成分が得ら
れなくなる。
【0013】また、母材表面に接するプラズマアークが
肉盛すべき鉄基材表面全体に行き渡るように、プラズマ
トーチを走行または揺動走行することによって、母材表
面全体に極低融点金属を欠陥なく強固に肉盛溶接するこ
とができる。図3〜図6に走行または揺動走行しなが
ら、極低融点金属を肉盛溶接した例を示す。
【0014】図3(a)、(b)は走行しながら肉盛溶
接を2パスした例で、図3(a)はプラズマアークの母
材表面上における軌跡を示す平面図、図3(b)は肉盛
溶接部の断面図を示す。同様に図5(a)、(b)は揺
動走行しながら肉盛溶接を2パスした例で、図5(a)
はプラズマアークの母材表面上における軌跡を示す平面
図、図5(b)は肉盛溶接部の断面図を示す。図中13
がプラズマアークが母材に接した部分(図3(b)、図
5(b)においては太線によって概念的に示してい
る)、12が極低融点金属による肉盛溶接金属である。
なお図中矢印は溶接進行方向を示す。この場合、走行ま
たは揺動走行時に母材表面に接するプラズマアークが母
材表面のB部分に接していない。極融点金属による肉盛
溶接金属12は融点が極めて低いので、プラズマアーク
が母材表面に接する部分13よりも大きく広がり、図3
(b)および図5(b)のように一見欠陥なく肉盛溶接
されたように見えるが、プラズマアークが接していない
B部分は母材との融合が不完全で、母材表面に極低融点
金属が被さった状態で母材に密着していない。
【0015】一方、図4(a)、(b)は走行しながら
肉盛溶接を2パスした例で、図4(a)はプラズマアー
クの母材表面上における軌跡を示す平面図、図4(b)
は肉盛溶接部の断面図を示す。同様に図6(a)、
(b)は走行揺動しながら肉盛溶接を2パスした例で、
図6(a)はプラズマアークの母材表面上における軌跡
を示す平面図、図6(b)は肉盛溶接部の断面図を示
す。これらは、走行または揺動走行時にプラズマアーク
が母材全面に接しているので、母材表面全体に極低融点
金属を欠陥なく強固に肉盛溶接することができる。以
下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0016】
【実施例】図1に示すプラズマトーチを用いて、JIS
G4051 S45C、板厚45mm、幅400m
m、長さ500mmの母材に極低融点金属としてワイヤ
径3.2mmのJIS H5401 2種のホワイトメ
タルの線条体(スプール巻)を用いて肉盛溶接した。主
な溶接条件を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】表2に示すプラズマトーチのノズル穴径、
ノズル穴のプラズマガス流量、揺動(オシレート)幅お
よび母材の肉盛溶接部面積に対するプラズマアークの当
接率の条件を各種変えて肉盛溶接した。肉盛溶接後超音
波探傷試験で欠陥(融合不良)の有無および有りの場合
はその面積を調べた。また、肉盛溶接された極低融点金
属中のFe混入量を分析によって調べた。それらの結果
を表2にまとめて示す。なお、肉盛溶接された極低融点
金属へのFeの混入量は0.40%以下であれば諸性能
に問題がない。
【0019】
【表2】
【0020】表2中試験No.1〜6が本発明例、試験
No.7〜12が比較例である。本発明例である試験N
o.1〜6は、プラズマトーチのノズル穴径およびノズ
ル穴のプラズマガス流量が適正で、母材に接するプラズ
マアークが母材の肉盛溶接部全体に行き渡っているの
で、極低融点金属の肉盛溶接金属部に欠陥の発生がな
く、Feの混入量も少なく極めて満足な結果であった。
【0021】比較例中試験No.7は、プラズマトーチ
のノズル穴径が小さいので、プラズマアークが絞られて
電圧が高くなり、プラズマアークが高温となって母材へ
の溶け込みが深くなって極低融点金属による肉盛溶接金
属中にFeが多く混入した。試験No.8は、プラズマ
トーチのノズル穴径が大きいので、プラズマアークが広
がり電圧が低くなり、プラズマアークの指向性が悪くな
って極低融点金属による肉盛溶接金属部に未溶融部が生
じた。
【0022】試験No.9は、プラズマガス流量が低い
ので、アークの吹き付け力が弱くなり、プラズマアーク
の指向性が悪くなって極低融点金属による肉盛溶接金属
部に未溶融部が生じた。試験No.10は、プラズマガ
ス流量が高いので、アークの吹き付け力が強くなりす
ぎ、プラズマアークの母材への溶け込みが深くなって極
低融点金属による肉盛溶接金属中にFeが多く混入し
た。試験No.11および試験No.12は、母材表面
に接するプラズマアークが母材の肉盛溶接部全体に行き
渡っていないので、極低融点金属による肉盛溶接金属部
に未溶融部が生じた。
【0023】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の極低融点
金属のプラズマアーク肉盛溶接方法によれば、鉄基材表
面に極低融点金属を強固にかつ高能率に肉盛溶接するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いるプラズマトーチの断面図であ
る。
【図2】本発明の肉盛溶接の状態を示す断面図である。
【図3】(a)はプラズマアークの軌跡を示す平面図、
(b)は溶接部断面図で、走行しながら肉盛溶接を2パ
スした比較例を示す。
【図4】(a)はプラズマアークの軌跡を示す平面図、
(b)は溶接部断面図で、走行しながら肉盛溶接を2パ
スした本発明例を示す。
【図5】(a)はプラズマアークの軌跡を示す平面図、
(b)は溶接部断面図で、揺動走行しながら肉盛溶接を
2パスした比較例を示す。
【図6】(a)はプラズマアークの軌跡を示す平面図、
(b)は溶接部断面図で、揺動走行しながら肉盛溶接を
2パスした本発明例を示す。
【符号の説明】
1 プラズマトーチ 2 電極 3 ノズル 4 シールドノズル 5 メインアーク用直流電源 6 パイロットアーク用直流電源 7 高周波電源 8 母材(鉄基材) 9 ノズル穴 10 プラズマアーク 11 極低融点金属の線状体 12 極低融点金属の肉盛溶接金属 13 プラズマアークが母材に接した部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 芦野 辰美 東京都中央区築地三丁目5番4号 日鐵溶 接工業株式会社内 Fターム(参考) 4E001 AA03 BB11 DD02 DF04 DF09 LH10 ME10 NA01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 極低融点金属の線条体を供給しながらプ
    ラズマアークで鉄基材表面に肉盛溶接する方法におい
    て、プラズマトーチのノズル穴径を2.4〜4.4m
    m、ノズル穴のプラズマガス流量を0.06〜0.10
    リットル/min/mm2 とすることを特徴とする極低
    融点金属のプラズマアーク肉盛溶接方法。
  2. 【請求項2】 プラズマアークが鉄基材表面の肉盛溶接
    部全体に当接するように、プラズマトーチを走行または
    揺動走行することを特徴とする請求項1記載の極低融点
    金属のプラズマアーク肉盛溶接方法。
JP11057173A 1999-03-04 1999-03-04 極低融点金属のプラズマアーク肉盛溶接方法 Pending JP2000246450A (ja)

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Cited By (5)

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