JP2000245454A - トリコスポロン属由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ - Google Patents
トリコスポロン属由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼInfo
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Abstract
れる新規フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(FAO
D)を提供する。 【解決手段】 トリコスポロン属(Trichosporon)の菌
体、好ましくは図11に示すトリコスポロン ムコイデ
ス KDK4001(Trichosporon mucoidesKDK4001)
(FERM P−17134)を培養して、得られた菌
体から菌体破砕によりタンパク質を抽出し、精製を行う
ことにより、単一のFAODを得ることができる。この
トリコスポロン ムコイデス KDK4001(Tricho
sporonmucoides KDK4001)(FERM P−1713
4)由来のFAODは、例えば、他の菌体由来のFAO
Dに比べ、FVに対する比活性が高く、FVの酸化分解
能に優れる。
Description
アミノ酸オキシダーゼに関する。
アルブミンや、赤血球中の糖化ヘモグロビン(以下、
「HbA1c」という)等は、生体内血糖値の過去の履
歴を反映しているため、糖尿病の診断や治療等における
重要な指標とされている。
ては、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)法、ミニカラム法、免疫法、酵素法等があげられ
る。この中でも、特にフルクトシルアミノ酸オキシダー
ゼ(FAOD)を用いた酵素法は、他の測定方法に比
べ、正確かつ迅速に糖化タンパク質を測定できる方法で
ある。
ば、以下に示すようにして行うことができる。まず、F
AODが糖化タンパク質に作用し易いように、糖化タン
パク質をプロテアーゼで分解する。そして、この分解物
をFAODで処理し、FAODの酸化還元反応により生
成する過酸化水素量または消費される酸素量を測定する
ことによって、前記糖化タンパク質の量を測定する。
1cに対しての作用に問題があった。
は、HbA1cに対して良く作用する新規FAODの提
供である。
は、そのN末端のバリン残基である。そこで、本発明者
らは、ヘモグロビンを単一炭素源及び窒素源として生育
し、かつフルクトシルバリン(以下、「FV」という)
を単一窒素源として生育することを条件として、自然界
の様々な菌体を分離培養し、それらが産生する酵素につ
いて、FVに対する酸化分解能等を調べた。その結果、
下記式(1)で示される反応を触媒する新規FAODを
産生する菌体を分離することに成功し、本発明に至っ
た。なお、本発明のFAODは、下記式(1)で示すよ
うに、FVに限らず、α−アミノ基が糖化された他のア
ミノ酸に対して活性が極めて高い。また、本発明のFA
ODは、糖化ペプチドまたは糖化タンパク質に対して、
下記式(1)と同様の触媒機能を発揮してもよく、さら
にその他の触媒機能を有していてもよい。本発明のFA
ODを使用することにより、HbA1cの測定を高精度
かつ迅速に行うことが可能となる。また、本発明のFA
ODは、HbA1cの測定以外にも、他の糖化タンパク
質、糖化ペプチドまたは糖化アミノ酸の測定や、その他
の用途に使用できる。
を示す。]
は、糖化反応前の糖に由来する残基を意味し、反応前の
糖がアルドースの場合はアルドース残基であり、反応前
の糖がケトースの場合、ケトース残基である。例えば、
反応前の糖がグルコースの場合は、アマドリ転位によ
り、反応後の構造はフルクトース構造をとるが、この場
合、糖残基(R1)は、グルコース残基(アルドース残
基)となる。また、この糖残基(R1)は、例えば、−
[CH(OH)]n−CH2OHで示すことができる。な
お、nは、0〜6の整数である。
鎖基を示すR2は、例えば、アミノ酸が、グリシン、ア
ラニン、セリン、アスパラギン、アスパラギン酸、グル
タミン酸、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニ
ン、チロシン、バリン、アルギニン、メチオニン、スレ
オニン、ヒスチジン等の場合、それぞれ−H(グリシン
の場合)、アラニン側鎖基、セリン側鎖基、アスパラギ
ン側鎖基、アスパラギン酸側鎖基、グルタミン酸側鎖
基、イソロイシン側鎖基、ロイシン側鎖基、フェニルア
ラニン側鎖基、チロシン側鎖基、バリン側鎖基、アルギ
ニン側鎖基、メチオニン側鎖基、スレオニン側鎖基、ヒ
スチジン側鎖基等を示す。
(1)で示される反応触媒機能を有していれば、配列番
号1〜6に記載のいずれかのアミノ酸配列において、一
個以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されていても
よい。
者らにより単離された菌体としては、トリコスポロン属
(Trichosporon)の菌体があり、その種類としては、新
菌体であるトリコスポロン ムコイデス KDK400
1(Trichosporon mucoidesKDK4001)(FERM P−
17134)があげられる。なお、本発明のFAOD
は、これらの菌体由来には制限されず、例えば、前述の
ようなアミノ酸配列をコードするDNA配列を含む遺伝
子を組み込んだ組換え体由来等であってもよい。
が糖化されたアミノ酸(以下、「α―GA」という)を基
質としたときの比活性が、α―アミノ基以外のアミノ基
が糖化されたアミノ酸を基質としたときの比活性よりも
高いことが好ましい。また、前述のように、HbA1c
は、そのN末端バリン残基が糖化されていることから、
前記α―GAが、α−アミノ基が糖化されたバリン(以
下、「α―GV」という)であることが好ましく、特に
好ましくはFVである。また、前記α―アミノ基以外の
アミノ基が糖化されたアミノ酸が、ε−アミノ基が糖化
されたリジンであることが好ましく、特に好ましくはε
−アミノ基が糖化されたフルクトシルリジン(以下、
「ε−FL」という)である。
の一例を以下に示す。この理化学的性質は、本発明のF
AODを産生する菌体であるトリコスポロン ムコイデ
スKDK4001(Trichosporon mucoides KDK4001)
(FERM P−17134)を後述する方法により培
養し、精製することによって得られたFAOD単一標品
を用いて、以下に示す方法により明らかにされたもので
ある。
法と、酵素反応により消費する酸素量の測定を用いる方
法がある。
るように、各試薬を混合して、前記FAODの添加によ
り反応を開始する。そして、4−アミノアンチピリンの
酸化生成物であるキノン色素の波長505nmにおける
吸収(吸光度)を、ShimadzuUV−2200A
分光光度計(島津製作所社製)を用いて、経時的に測定
する。生成されたキノン色素の分子吸光係数(ε=5.
16×103)と吸光度とから、反応温度30℃で、1
分間に生成する過酸化水素量(μmol)を算出し、こ
の値をFAOD活性とする(単位:U)。
と同様にして反応を開始し、反応液の一定時間(通常、
10分間)における吸光度の増加を測定する。そして、
予め、標準過酸化水素を用いて作成した検量線から、反
応温度30℃で、1分間に生成した過酸化水素量(μm
ol)を算出し、この値をFAOD活性(U)とする。
前記FAOD溶液50μl(約0.01〜1.0U)と
を測定容器内で混合し、これに蒸留水を加え全量を2.
9mlにする。この混合液中に酸素電極(ランクブラザ
ース社製)のセルを入れ、30℃で攪拌し、前記混合液
中の溶存酸素および前記混合液の温度を平衡化する。そ
して、前記混合液に50mM FV100μlを添加
し、消費された酸素量を記録計で連続的に計測し、初速
度を求める。そして、予め、測定容器内の酸素濃度とそ
の記録値とから標準曲線を作成し、この標準曲線から、
反応温度30℃で、1分間に消費された酸素量(μmo
l)を求め、これを酵素単位(U)とする。
−1)と同様に活性測定を行い、各条件における相対活
性(%)を求めた。前記緩衝液としては、0.1M リ
ン酸カリウム緩衝液(以下、「KPB」という)(pH
5.5、pH6.0、pH6.5、pH7.0、pH
7.5、pH8.0)、0.1Mトリス−HCl緩衝液
(pH7.5、pH8.0、pH8.5、pH9.0)
および0.1Mグリシン−NaOH緩衝液(pH8.
5、pH9.0、pH9.5、pH10.0、pH1
0.5)を使用した。この結果を、図1のグラフに示
す。同図において、はKPB、●はトリス(Tris)
−HCl緩衝液、□はグリシン(Gly)−NaOH緩
衝液をそれぞれ示す。図示のように、至適pHは、pH
6.5〜9.0の範囲であり、pH7.5〜8.0の場
合に優れた活性を示した。
を前記各種緩衝液と混合し、30℃で10分間インキュ
ベートした以外は、前記速度法(A−1)と同様に活性
測定を行い、各条件における残存活性(%)を求めた。
前記緩衝液は、0.1M酢酸緩衝液(pH4.0、pH
4.5、pH5.0、pH5.5)および前記至適pH
の検討に使用した3種類の緩衝液である。この結果を、
図2のグラフに示す。同図において、▲は酢酸緩衝液、
□はKPB、●はTris−HCl緩衝液、△はGly
−NaOH緩衝液をそれぞれ示す。図示のように、pH
4.5〜9.5の範囲で安定であり、pH4.0以下お
よびpH10.5以上で処理した場合に、その残存活性
は10%以下であった。
5℃、50℃、55℃、60℃、65℃)で反応を行っ
た以外は、前記速度法(A−1)と同様に活性測定を行
い、各条件における相対活性(%)を求めた。この結果
を図3のグラフに示す。図示のように、至適温度は、3
0〜55℃の範囲であり、45℃の場合に優れた活性を
示した。
混合し、反応前に各温度(25℃、30℃、35℃、4
0℃、45℃、50℃、55℃、60℃)で10分間イ
ンキュベートした以外は、前記速度法(A−1)と同様
に活性測定を行い、各条件における残存活性(%)を求
めた。この結果を図4のグラフに示す。図示のように、
本発明のFAODは、25〜50℃の範囲で安定である
が、55℃で処理した場合、約90%失活した(残存活
性約10%)。
−1)により測定した。また、前記FVの代わりにε−
FLを使用した以外は、前記速度法(A−1)と同様に
して、ε−FLを用いた場合の比活性を測定した。その
結果、FVを用いた場合の比活性が、79.5U/mg
であり、ε−FLを用いた場合の比活性(41.4U/
mg)よりも高かった。
に活性測定を行い、各基質に対する相対活性(%)を求
めた。これらの結果を下記表1に示す。前記相対活性
は、基質としてFVを用いた場合の比活性を100%と
して表した。
が最も高かった。また、上記の糖化アミノ酸以外の糖化
アミノ酸(α−アミノ基が糖化されたもの)に対して
も、活性が確認された。なお、D−バリンが糖化したも
の(フルクトシル−D−バリン)については、活性はみ
られなかった。
に対するミカエリス定数を求めた。また、基質ε−FL
に対するミカエリス定数は、基質FVの代わりにε−F
Lを用いた以外は、前記速度法(A−1)と同様に活性
測定を行って、求めた。この結果を図5および図6に示
す。図5は、FVについてのラインウェーバー−バーク
の逆数プロットを示すグラフであり、図6は、ε−FL
についてのラインウェーバー−バークの逆数プロットを
示すグラフである。
を求めた結果、基質がFVの場合、Vmax=110μ
mol・min-1・mg-1、Km=0.86mMであ
り、基質がε−FLの場合、Vmax=49.3μmo
l・min-1・mg-1、Km=0.50mMであった。
るようにその金属塩を添加して、30℃で5分間インキ
ュベートした後、前記速度法(A−1)により活性測定
を行い、これらの相対活性(%)を求めた。これらの結
果を下記表2に示す。なお、相対活性は、金属塩無添加
の場合の比活性を100%として表した。
は、Cuイオン、Agイオン、Hgイオンによりほぼ完
全に阻害され、Coイオンにより若干阻害されることが
わかった。
各種阻害剤を添加して、30℃で10分間インキューベ
ートを行った後、前記速度法(A−1)により活性測定
を行い、これらの残存活性(%)を求めた。この結果
を、下記表3に示す。前記残存活性は、前記FAODが
阻害剤未処理の場合の比活性を100%として表した。
下記表3において、PCMBはp−クロロメルクリ安息
香酸、DTNBは5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安
息香酸)、EDTAはエチレンジアミン四酢酸を示す。
チオール(SH)基阻害剤であるPCMBによりほぼ完
全に阻害されたが、その他のSH基阻害剤による阻害は
見られなかった。また、フェニルヒドラジンにより阻害
がみられたが、同じくカルボニル基に作用するヒドラジ
ンおよびヒドロキルアミンによる阻害は見られなかっ
た。
リウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−P
AGE)法により行った。
ex200pg)(ファルマシア社製)カラム(カラム
サイズ:16/60)、溶出溶媒は、0.1MNaCl
含有の0.1M KPB(pH8.5)、分子量の標準
タンパク質は、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(分子量
290,000)、ラクテートデヒドロゲナーゼ(分子
量140,000)、エノラーゼ(分子量67,00
0)、ミオキナーゼ(分子量32,000)およびシト
クロームc(分子量12,400)をそれぞれ用いた。
前記カラムにより前記FAODおよび前記標準タンパク
質の分画をそれぞれ行い、これらの溶出体積から、前記
FAODの分子量を求めた。この結果を図7のグラフに
示す。このグラフは、各種タンパク質の溶出体積と分子
量の対数との関係を示す。このグラフから、ゲルろ過法
によるFAODの分子量は、約46,000(46kD
a)であることがわかった。
8)を用いて、20mAで2時間電気泳動した後、クー
マシーブリリアントブルーG−250(和光純薬工業社
製)によりタンパク染色を行った。なお、分子量の標準
タンパクとして、ウシ血清アルブミン(分子量67,0
00)、オボアルブミン(分子量43,000)、カル
ボニックアンヒドラーゼ(分子量30,000)、トリ
プシンインヒビター(分子量20,100)およびリゾ
チーム(分子量14,300)についても同様に電気泳
動を行った。この結果を図8および図9に示す。図8
は、各種タンパク質の泳動パターンを表し、図9は、前
記泳動パターンをもとに、各種タンパク質の移動度(R
f値)と、分子量の対数との関係を示したグラフであ
る。この結果から、SDS−PAGE法による前記FA
ODの分子量は、約50,000(50kDa)である
ことがわかった。
の結果からモノマー構造であることが推測された。
OD溶液のそれぞれの吸収スペクトルを、Shimad
zuUV−2200A分光光度計(島津製作所社製)を
用いて測定した。その結果を図10に示す。同図におい
て、実線はFAOD溶液のスペクトル、破線はFVを含
有するFAOD溶液の吸収スペクトルをそれぞれ示す。
図示のように、FVを添加することにより、波長450
nmの吸収ピークが消失した。これによりFAODには
補酵素フラビンが関与していることが推測された。
法によりアミノ酸配列の決定を行った。その結果、配列
番号1〜6に記載のアミノ酸配列を有することが確認で
きた。
の比較 下記表4に既存のFAODおよび前記トリコスポロン
ムコイデス KDK4001(Trichosporon mucoides
KDK4001)(FERM P−17134)由来FAOD
の諸性質を示す。
FAODの諸性質についての出典は、アスペルギルス
テレウスGP−1(Aspergillus terreus GP-1)(FE
RMBP−5684)は、国際公開公報WO97/20
039号、ペニシリウムジャンシネルムS−3413
(Penicilium janthinellumS−3413)(FERM
BP−5475)は、特開平8−336386号公
報、ギベレラ フジクロイIFO6356(Gibberella
fujikuroi IFO6356)は、特開平7−2892
53号公報、フサリウム オキスポルムS−1F4(Fu
sarium oxyspor um S-1F4)(FERM BP−501
0)は、特開平7−289253号公報である。
コイデス KDK4001(Trichosporon mucoides KD
K4001)(FERM P−17134)由来のFAOD
は、他のFAODに比べ、FVに対する比活性が優れて
おり、かつε−アミノ基が糖化されているε−FLより
もFVに対する比活性が高い点で他のFAODとは異な
っていた。
菌体について説明する。この菌体としては、例えば、前
述のように、トリコスポロン属(Trichosporon)の菌体
があり、この中でも特に好ましくは、トリコスポロン
ムコイデス KDK4001(Trichosporon mucoides
KDK4001)である。
4001(Trichosporon mucoidesKDK4001)は、本発明
者らが、土壌中より新規に単離した菌体であり、工業技
術院生命工学工業技術研究所に、受託番号FERM P
−17134(寄託日:平成11年1月11日)で、寄
託されている。本菌体の形態を表す顕微鏡写真(100
0倍)を図11に示す。なお、本菌体の菌学的特性は、
下記に示すとおりである。
5〜35℃で生育良好であり、37℃では生育が弱く、
40℃では生育しない。
適である。
酸と前記FAODとを反応させ、この酸化還元反応を測
定することにより、前記糖化アミノ酸の量を測定するこ
とができる。また、糖化タンパク質または糖化ペプチド
の量を測定する場合は、これらをプロテアーゼで分解し
た後、この分解物と前記FAODとを反応させ、この酸
化還元反応を測定することが好ましい。
発明のFAODを産生する菌体であるトリコスポロン属
(Trichosporon)の菌体を培養することによって製造で
きるが、その最適条件は菌体ごとに異なる。以下に、ト
リコスポロン ムコイデス KDK4001(Trichosp
oron mucoides KDK4001)(FERM P−1713
4)の培養条件を示す。
ば、炭素源、窒素源、無機塩、その他栄養素等を適宜含
有する培地が使用できる。前記炭素源としては、通常、
グルコース、フルクトース、キシロース、グリセリン
等、前記窒素源としては、ペプトン、カゼイン消化物、
大豆粉等のタンパク質またはその消化物、あるいは酵母
エキス等の窒素性有機物等がそれぞれ使用できる。ま
た、前記無機物としては、ナトリウム、カリウム、カル
シウム、マンガン、マグネシウム、鉄、コバルト等の塩
類が使用できる。
発明のFAOD収率が良いことから、糖およびアミノ酸
を含有することが好ましい。前記糖としては、例えば、
グルコースが好ましく、アミノ酸としてはロイシンが好
ましい。前記培地中における糖の含量は、0.5〜1.
0重量%の範囲が好ましく、前記アミノ酸の含量は、
0.5〜1.0重量%の範囲が好ましい。このような培
地の特に好ましい一例として、グルコース−ロイシン褐
変化培地を以下に示す。なお、このグルコース−ロイシ
ン褐変化培地は、グルコースとロイシンとを高温高圧条
件下で褐変反応(メイラード反応)させた培地である。
本発明のFAODは、通常、菌体中に存在する菌体内酵
素であるが、培養を長く行うと菌体外に放出されるおそ
れがあるため、例えば、後述のように培養後の菌体中か
らFAODを回収する場合は、15〜24時間の範囲で
培養することが、特に好ましい。
く、特に好ましくは28℃、pHはpH5.5〜6.0
の範囲が好ましく、特に好ましくはpH6.0であり、
好気条件下で培養することが好ましい。
菌体により適宜決定されるため、前述の条件には制限さ
れない。
ら、本発明のFAODを常法により分離精製することに
より、前記FAODの単一標品を得ることができる。
に、本発明のFAODは菌体内酵素であるため、まず、
菌体を破砕して、酵素を抽出する。前記菌体破砕の方法
としては、摩砕用アルミナ等を用いた摩砕法、フレンチ
プレス等による高圧法、超音波処理法、酵素処理法、凍
結融解法等があげられる。例えば、前記フレンチプレス
を用いる場合、菌体を緩衝液に懸濁し、この懸濁液に、
20,000〜30,000psiの圧力をかけ、瞬間
的に常圧にまで減圧することにより前記菌体を破砕でき
る。
FAODを含有する上清を回収し、前記上清中のFAO
Dを分離精製する。この精製は、既知の方法である、硫
安等による塩析法、等電点沈殿法、イオン交換クロマト
グラフィー、ゲルクロマトグラフィー、アフィニティー
クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、HP
LC等の組み合わせにより行うことができる。これらの
組み合わせとしては、特に制限されないが、例えば、
(1)交換基がジエチルアミノエチル(以下、「DEA
E」という)基である陽イオン交換クロマトグラフィ
ー、(2)硫安分画、(3)交換基がフェニル基である
疎水性クロマトグラフィー、(4)交換基がブチル基で
ある疎水性クロマトグラフィー、(5)交換基が4級ア
ンモニウム(以下、「Q」という)基である強陰イオン
クロマトグラフィー、(6)分画分子量が10,000
〜200,000の範囲であるゲルクロマトグラフィー
の組み合わせ等が採用でき、これにより単一標品が得ら
れる。
KDK4001(Trichosporon mucoides KDK4001)
(FERM P−17134)を培養してFAODを製
造し、前記FAODの精製を行った。
ポロン ムコイデスKDK4001(Trichosporon muc
oides KDK4001)(FERM P−17134)を一白
金耳植菌して、28℃で、24時間培養した後、前培養
として、前記グルコース−ロイシン褐変化培地100m
lに前記培養液を植菌して、28℃で48時間培養し
た。そして、本培養として、新たな前記グルコース−ロ
イシン褐変化培地10リットル(15リットルジャー)
に、前培養の培養液を植菌して、28℃、12時間、攪
拌速度500rpm、通気量5リットル/分の条件で培
養した。
in、4℃)により菌体を回収し(湿重量50g)、1
mM DTTを含む50mM KPB(pH8.0)
(以下、「緩衝液A」という)に懸濁して、菌体をフレ
ンチプレスにより破砕した。菌体破砕後、遠心分離(4
℃、15,000g、20分間)して上清を回収し、こ
れを無細胞抽出液とした。
透析した後、予め前記緩衝液Aで平衡化したDEAE−
セファセル(ファルマシア社製)カラムに吸着させ、こ
のカラムを前記緩衝液Aで洗浄した後、0−0.5M塩
化カリウム濃度勾配により吸着タンパク質を溶出させ
た。そして、溶出後の活性画分を回収し、硫安分画を行
った。まず、前記活性画分溶液に40%飽和になるよう
に硫安を添加し、充分に攪拌した後、遠心分離(4℃、
12,000rpm、10分、以下同じ)して上清を回
収し、前記上清に50%飽和になるように硫安を添加
し、攪拌した後、遠心分離により沈殿を回収した。この
沈殿を前記緩衝液Aに懸濁して、この懸濁液を前記緩衝
液Aで一晩透析した。
を添加し、予め40%硫安飽和の前記緩衝液Aで平衡化
したフェニル−セファロース(ファルマシア社製)カラ
ムに吸着させ、このカラムを40%硫安飽和の前記緩衝
液Aで洗浄した後、硫安濃度40−0%飽和の直線濃度
勾配により吸着タンパク質を溶出させた。そして、溶出
後の活性画分を回収し、これを前記緩衝液Aで一晩透析
した。
を添加し、これを予め40%硫安飽和の前記緩衝液Aで
平衡化したブチル−トヨパール(東ソー社製)カラムに
吸着させ、このカラムを40%硫安飽和の前記緩衝液A
で洗浄した後、硫安濃度40−0%飽和の直線濃度勾配
により吸着タンパク質を溶出させた。そして、溶出後の
活性画分を回収し、前記緩衝液Aで一晩透析を行った。
したQ−セファロース(ファルマシア社製)カラムに吸
着させ、このカラムを前記緩衝液Aで洗浄した後、0−
1.0M KClの直線濃度勾配により吸着タンパク質
を溶出させた。そして、溶出後の活性画分を回収した。
含有の0.1M KPB(pH8.5)で平衡化したス
ーパーデックス200pg(ファルマシア社製)カラム
にアプライして、タンパク質を溶出させた。そして、溶
出後の活性画分を回収し、単一の精製酵素を得た。
D活性およびタンパク質量を測定した。その結果を下記
表5に示す。なお、活性は、基質としてFVを用いて前
述の速度法(A−1)により測定し、タンパク質は、B
io−Radタンパク質分析キット(Bio−Rad社
製)と、標準タンパク質であるウシ血清アルブミンとを
用いて、常法により定量した。
U/mgの比活性である、単一精製されたFAODが得
られた。
は、糖化アミノ酸の中でもα―GAに対して良く作用
し、特にHbA1cのN末端アミノ酸残基に対応するF
Vに対する比活性が高い。したがって、例えば、このF
AODをHbA1cの測定に使用すれば、その測定を正
確かつ簡便に行うことができるようになり、HbA1c
の糖尿病診断の指標としての有用性をさらに高めること
に貢献できる。
グラフである。
る。
ウェバー−バークの逆数プロットを示すグラフである。
インウェバー−バークの逆数プロットを示すグラフであ
る。
量との関係を示すグラフである。
す図である。
動度と分子量との関係を示すグラフである。
混合液の吸収スペクトルを示すグラフである。
属(Trichosporon)の菌体の一例の顕微鏡写真である。
Claims (3)
- 【請求項1】 トリコスポロン属(Trichosporon)が産
生するフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ。 - 【請求項2】 配列番号1〜6に記載のいずれかのアミ
ノ酸配列を有するフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ。 - 【請求項3】 トリコスポロン ムコイデス KDK4
001(Trichosporonmucoides KDK4001)(FERM
P−17134)由来の請求項1または2記載のフルク
トシルアミノ酸オキシダーゼ。
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EP2096173A1 (en) | 2003-05-21 | 2009-09-02 | Asahi Kasei Pharma Corporation | Method of measuring glycolated hemoglobin A1C, enzyme to be used therefor and process for producing the same |
-
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- 1999-02-26 JP JP05006199A patent/JP4262820B2/ja not_active Expired - Fee Related
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WO2007010950A1 (ja) | 2005-07-19 | 2007-01-25 | Kikkoman Corporation | 糖化蛋白質の測定方法および測定キット |
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