JP2000244029A - 圧電体素子 - Google Patents

圧電体素子

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JP2000244029A
JP2000244029A JP11043089A JP4308999A JP2000244029A JP 2000244029 A JP2000244029 A JP 2000244029A JP 11043089 A JP11043089 A JP 11043089A JP 4308999 A JP4308999 A JP 4308999A JP 2000244029 A JP2000244029 A JP 2000244029A
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piezoelectric thin
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JP11043089A
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Akira Yamada
朗 山田
Chisako Maeda
智佐子 前田
Hidefusa Uchikawa
英興 内川
Koichiro Misu
幸一郎 三須
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 破壊されにくい素子形成領域を有し、信頼性
の高い圧電体素子を提供する。 【解決手段】 基板1の一部を他の部分に比較して薄く
して素子形成領域8を形成し、素子形成領域8上に下部
電極4と上部電極6とによって挟まれた動作領域を備え
ている圧電薄膜5を配置した。さらに素子形成領域8に
動作領域の直下に位置する第1領域8aと該第1領域を
除いた部分である第2領域8bとを形成し、第1領域8
aを第2領域8bより薄くした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は圧電体素子に関し、
詳細には、圧電薄膜を有する圧電体素子の構造に関す
る。
【0002】
【従来の技術】圧電体素子は、共振子、振動子、フィル
ター等に用いられ、圧電薄膜の弾性波を利用するもので
ある。一般的な圧電体素子の構造は、基板上に支持膜を
介して2つの電極に挟まれた圧電薄膜を配置したもので
あり、圧電薄膜で生じた振動は支持膜及び基板に伝搬す
る。従って、圧電薄膜の厚さに対して基板の厚さが非常
に大きい場合、圧電薄膜で生じた振動が基板に吸収さ
れ、振動エネルギーが損失する。このような不具合を防
止するため、従来の圧電体素子では、圧電薄膜の振動に
対応して振動するように基板の一部分の厚さを薄くして
素子形成領域を形成し、この素子形成領域上に支持膜を
介して圧電薄膜を配置していた。詳細には、支持膜には
絶縁体膜を用い、特に圧電体素子を複合共振構造とする
場合、圧電薄膜の厚さを伝播する弾性波の波長の1/2
とし、絶縁体膜の厚さを伝播する弾性波の波長の数倍か
ら数十倍としていた。
【0003】具体的には特開平6−350154号公報
に、基板上に絶縁膜、下部電極、圧電薄膜及び上部電極
を形成し、圧電薄膜の直下部の基板を除去して作製した
浮き構造の圧電体素子が開示されている。
【0004】さらに、圧電体素子を振動子として利用す
る場合、印加電圧に対する振動レスポンスには、印加電
圧に対する主信号と多数のスプリアス振動が共振した副
振動とが混在しやすい。こういった課題に対処するため
に、圧電薄膜の一部分にのみ電極を設け、この電極を設
けた領域に振動エネルギーを閉じ込め、副振動の少な
い、優れた振動レスポンスの振動子を作製することが提
案されている。圧電薄膜のポアソン比が0.3より大き
い場合、圧電薄膜に電極を形成して、圧電薄膜の電極が
形成された領域に質量を付加することで、低域遮断型エ
ネルギー閉じ込めが実現される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
圧電体素子には以下に説明する課題があった。上述した
ように、従来の圧電体素子では、圧電薄膜は支持膜で支
えられ、圧電薄膜が浮いた構造となっている。このよう
な支持膜には応力が残留し、その残留応力が圧電薄膜の
共振領域を変形させ、圧電体素子の特性及び信頼性を低
下させるという課題があった。
【0006】上記課題に対処するため、張力を有する支
持膜を用いて、圧電薄膜の共振領域の膨らみやくぼみ等
の変形を最小にすることが提案されている。しかし、共
振領域全体の変形を抑止する程度の張力を有する支持膜
を形成することができる面積には限界があり、従来のよ
うに圧電薄膜を支える程度の大きさの支持膜を形成する
ことは困難である。また、張力が大きい故、支持膜自身
が剥離することがある。さらに、このように張力が大き
く、かつ圧電体素子に用いることができる材料は非常に
限定されている。つまり、支持膜のみで圧電薄膜を支え
ると、圧電体素子の信頼性が低下するという課題があっ
た。
【0007】上記課題に対処する別の方法として、圧電
薄膜の共振領域の直下部分の基板のみ除去することが提
案されていた。具体的には、基板の裏面にエッチング用
ホールを有するマスクを形成し、エッチング用ホールを
介して基板を除去することが提案されていた。しかしな
がら、通常厚さ100〜数100μmの基板の圧電薄膜
の共振領域の直下領域のみをエッチングし、浮き構造を
精度よく形成するのは従来技術では不可能であった。
【0008】さらに、ポアソン比が0.3以下の圧電薄
膜を用いる場合、この圧電薄膜に高域遮断型エネルギー
閉じ込めを発生させることが望まれている。詳細には、
圧電薄膜の電極が形成された領域の共振周波数を、電極
が形成されていない領域の共振周波数より大きくすると
高域遮断型エネルギー閉じ込めが発生する。しかしなが
ら、通常、圧電薄膜に電極を形成すると、電極の質量が
付加されることで圧電薄膜の電極が形成された領域の共
振周波数は低くなる。従って、高域遮断型エネルギー閉
じ込めを発生させるためには、なんらかの方法で電極が
形成された領域の共振周波数を上昇させる必要がある。
【0009】弾性波素子技術ハンドブックp85には、
圧電薄膜の電極が形成された領域の厚さを電極が形成さ
れていない領域の厚さよりも薄くすると、圧電薄膜の電
極が形成された領域の共振周波数が低くなり、高域遮断
型エネルギー閉じ込めが発生することが報告されてい
る。しかしながら、従来技術によって圧電薄膜の特性を
損なうことなく、かつ低コストで圧電薄膜の厚さを部分
的に薄くすることは不可能であった。即ち、特にポアソ
ン比が0.3以下の圧電薄膜を用いる従来の圧電体素子
の振動レスポンスには、副振動が混在するという課題が
あった。
【0010】本発明は上記課題を鑑みてなされたもので
あり、破壊されにくい素子形成領域を有し信頼性の高い
圧電体素子を提供することを目的とする。
【0011】また、本発明の別の目的は、振動レスポン
スに優れた圧電体素子を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の圧電体素子は、
一部に、他の部分に比較して薄くした素子形成領域を有
する基板と素子形成領域上に形成された圧電振動子とを
備え、圧電振動子が素子形成領域上に下部電極を介して
形成された圧電薄膜と圧電薄膜上に形成された上部電極
とからなり、下部電極と上記上部電極とによって挟まれ
た圧電薄膜を動作領域とした圧電体素子であって、素子
形成領域は動作領域の直下に位置する第1領域と第1領
域を除いた部分である第2領域とからなり、第1領域を
第2領域より薄くしたことを特徴とする。即ち、本発明
の圧電体素子は、素子形成領域の厚さを2段階とし、基
板の厚さが最も薄い領域を限定するものである。このよ
うにすることで、圧電体素子の最も脆弱な部分の面積を
最小限にし、素子形成領域で発生する破壊を防止して、
圧電体素子の信頼性を向上させることができる。
【0013】さらに、本発明の圧電体素子の素子形成領
域を選択エッチングで容易に形成するために、基板をシ
リコン基板とし、第1領域及び第2領域にボロンがドー
ピングされているのが好ましい。具体的なボロン濃度
は、1018個/cc〜1022/ccであるのが好まし
い。
【0014】本発明の別の圧電体素子は、一部に、他の
部分に比較して薄くした素子形成領域を有する基板と素
子形成領域上に設けられた圧電振動子とを備え、圧電振
動子が素子形成領域上に絶縁膜を介して形成された下部
電極と下部電極上に形成された圧電薄膜と該圧電薄膜上
に形成された上部電極とからなり、下部電極と上部電極
とによって挟まれた圧電薄膜を動作領域とした圧電体素
子であって、素子形成領域においてさらに動作領域の直
下に位置する部分が除去されたことを特徴とする。即
ち、本発明の別の圧電体素子は、基板が除去された領域
を限定するものである。このようにすることで、圧電体
素子の最も脆弱な部分の面積を最小限にし、素子形成領
域で発生する破壊を防止して、圧電体素子の信頼性を向
上させることができる。
【0015】さらに、本発明の圧電体素子の素子形成領
域を選択エッチングで容易に形成するために、基板をシ
リコン基板とし、第2領域にボロンがドーピングされて
いるのが好ましい。具体的なボロン濃度は、1018個/
cc〜1022/ccであるのが好ましい。
【0016】本発明の圧電体素子又は本発明の別の圧電
体素子において、ポアソン比が0.3よりも小さい圧電
薄膜を用いて、高域遮断型エネルギー閉じ込めを発生さ
せることもできる。即ち、高域遮断型共振特性を有する
圧電薄膜を用いることで、圧電体素子の振動レスポンス
を向上させることができる。
【0017】上記本発明の圧電体素子及び本発明の別の
圧電体素子で用いる圧電薄膜は、チタン酸鉛を主成分と
するものであるのが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
実施形態にかかる圧電体素子について詳細に説明する。
【0019】実施の形態1.最初に、実施の形態1とし
て、本発明にかかる圧電体素子であるフィルター30に
ついて説明する。図2(a)及び図2(b)に示すよう
に、フィルター30は、基板1の素子形成領域8上に圧
電薄膜5を配置したものである。
【0020】本実施の形態では基板1として、品質安定
性に優れ、低コストであり、さらに材質・プロセスに関
する情報が豊富であり、エッチングが容易であるシリコ
ン単結晶基板を用いるのが好ましいが、本発明はこれに
限定されるものではなく、ガリウム砒素基板等の他の基
板を用いてもよい。
【0021】圧電薄膜5は、基板1上に配置された絶縁
体膜3及び下部電極4を介して素子形成領域8の直上に
配置され、さらに圧電薄膜5の上面には2つの上部電極
6が形成されている。ここで、圧電薄膜5は上部電極6
の直下領域において、厚さに対する周波数で共振する。
即ち上部電極6と下部電極4とに挟まれる領域である共
振領域と、2つの電極に挟まれていない領域である非共
振領域とを備えている。
【0022】尚、本実施の形態1のフィルター30は、
上述した2つの共振領域を備え、2つの共振領域におけ
る振動が、上記2つの上部電極6に挟まれた結合領域に
おいて互いに結合し、フィルターとして機能する。本明
細書では、共振領域と結合領域とをあわせた領域を動作
領域と呼ぶ。
【0023】素子形成領域8は、基板1の圧電薄膜5の
直下領域の厚さを薄くして形成したものである。詳細に
は、素子形成領域8は、第1領域8aと第2領域8bと
を備えている2段構造であり、第1領域8aは、2つの
上部電極6の直下領域即ち共振領域の直下領域8e及
び、2つの上部電極6に挟まれる即ち結合領域の直下領
域を含んでいる。つまり、第1領域8aは、圧電薄膜5
の動作領域の直下に位置する。第2領域8bは、圧電薄
膜5の動作領域以外の部分(以下、非動作領域と呼ぶ)
の直下に位置するように、第1領域8aの周囲に設けら
れ、第1領域8aの厚さが第2領域8bの厚さよりも薄
くなるように形成されている。
【0024】次に、基板1に第1の厚さd1の第1領域
8a及び第2の厚さd2の第2領域8bを形成する方法
について説明する。最初に基板1の素子形成領域8を上
面からボロンをドーピングする。具体的には、素子形成
領域8上に開口部を有するマスクを用いてボロンをドー
ピングする。この際、第1領域8aを形成しようとする
部分には第1の厚さd1に等しい深さまでボロンをドー
ピングし、第2領域8bを形成しようとする部分には第
2の厚さd2に等しい深さまでボロンをドーピングす
る。次に、基板1の上面に絶縁膜3、下部電極4、圧電
薄膜5、上部電極6等を形成する。続いて、基板1の下
面にマスク12を設け、圧電薄膜5の直下の基板1を水
酸化カリウム水溶液で異方エッチングして除去する。こ
の際、ボロンがドーピングされた部分はエッチングされ
ず残存するので、圧電薄膜5の直下に第1領域8aと第
2領域8bとが形成される。このようにすると、基板1
の素子形成領域8を容易に形成することができる。
【0025】第1領域8a及び第2領域8bにボロンを
注入する方法としては、熱拡散法、イオン打ち込み法等
が挙げられる。また、以下の実施例で説明するように、
水酸化カリウム水溶液で基板1のエッチングを行う場
合、第1領域8a及び第2領域8bのボロン濃度を10
13個/cc以上とするのが好ましく、工程の煩雑さ等を
考慮すると、1018個/cc〜1022/ccであるのが
最も好ましい。しかしながら、本願発明は、これに限定
されるものではなく、ボロン濃度は、1022/ccであ
ってもよい。
【0026】本実施の形態では、チタン酸鉛を主成分と
する圧電薄膜を用いたが本発明はこれに限定されるもの
ではない。例えば、チタン酸ジルコン酸鉛、酸化亜鉛、
窒化アルミニウム、チタン酸ビスマス、ニオブ酸リチウ
ム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸カリウム、チタン酸
バリウム、あるいはこれらを主成分とする無機材料、ポ
リフッ化ビニリデンなどの有機材料からなる圧電薄膜を
用いてもよい。これらのなかで高域遮断型共振特性を有
するチタン酸鉛及びチタン酸鉛系の材料は、優れた圧電
特性とスプリアスの発生し難い材料特性を有するので、
圧電薄膜として利用すると、容易に高域遮断型エネルギ
ー閉じ込めを実現することができる。
【0027】上記フィルター30は、素子形成領域8を
2段構造にし、基板1の最も厚さが薄い第1領域8aを
圧電薄膜5の動作領域の直下領域に限定したものであ
る。即ち、フィルター30の最も脆弱で破壊が発生しや
すい第1領域8aを最小限に限定することで、フィルタ
ー30の破壊が防止され、フィルター30の信頼性は向
上する。同様に、フィルター30の製造工程において
も、素子形成領域8で発生する破壊が防止されるので、
フィルター30の歩留まりが向上する。
【0028】上記実施の形態では、圧電薄膜の動作領域
の直下領域の基板の厚さを最も薄くしたが本発明はこれ
に限定されるものではない。圧電薄膜に上部電極を一つ
のみ備えている場合、即ち共振領域を一つのみ備えてい
る場合には、圧電薄膜の共振領域の直下領域の基板の厚
さを薄くすれば、上記実施の形態と同様の作用・効果が
得られる。
【0029】さらに、チタン酸鉛のような、ポアソン比
が0.3以下である高域遮断型共振特性を有する圧電薄
膜8を利用する場合、圧電薄膜8の動作領域の直下であ
る第1領域8aの厚さを非動作領域の直下である第2領
域8bの厚さよりも薄くする、即ち圧電薄膜5の動作領
域に付加される質量を非動作領域に付加される質量より
も小さくすることで、圧電薄膜8の動作領域の実効共振
周波数が非動作領域の実効共振周波数よりも高くなり、
圧電薄膜8に高域型エネルギー閉じ込めが発生する。つ
まり、第1領域8aの厚さを第2領域8bの厚さよりも
薄くすることで、圧電体素子30の振動レスポンスを向
上させることができる。
【0030】詳細には、高域型エネルギー閉じ込めを発
生させるためには、第1領域8aの厚さd1と第2領域
8bの厚さd2とが、(d2−d1)≧{(上部電極6の密
度)/(基板1の密度)}×(上部電極6の厚さ)を満
たす必要がある。例えば、本実施の形態のように基板1
をシリコンとし、厚さ2000Åのアルミニウムを上部
電極6とする場合、第2領域8bの厚さは、第1領域8
aの厚さよりも2400Å厚いことが必要となる。
【0031】また、低域遮断型材料を圧電薄膜5として
利用する場合、基板1の第1領域8bを圧電薄膜の動作
領域の直下領域よりもやや広く設定してもよい。
【0032】上記実施形態では、一つの圧電薄膜5には
2つの上部電極6が形成された構造、即ち動作領域を2
つ備えているモノリシック圧電フィルター構造を開示し
ているが、本発明はこれに限定されるものではなく、圧
電薄膜5上に上部電極6を一つのみ備え、単体の動作領
域からなる共振器であってもよい。さらに、この共振器
に電圧制御回路を加え、印加電圧により共振周波数を変
化させることができる電圧制御型発信器を構成してもよ
い。この際、電気機械結合係数の大きなチタン酸鉛、チ
タン酸ジルコン酸鉛等を圧電薄膜に用いることで、周波
数可変範囲を大きくすることができる。また、上述した
ように本発明の圧電体素子は薄膜構成であるから、圧電
体素子を用いる各デバイスを小型化することができる。
【0033】実施の形態2.次に、図3、図4(a)及
び図4(b)を参照に本発明の実施の形態2にかかる圧
電体素子であるフィルター30aについて説明する。フ
ィルター30aは上記フィルター30の第1領域8aを
変更したものであり、図示するように圧電薄膜5の動作
領域の直下である第1領域8cから基板1を完全に除去
したものである。フィルター30aの素子形成領域8d
は、第2領域8bにのみボロンを注入して、圧電薄膜5
の直下をエッチングして形成される。フィルター30a
の構造は、圧電薄膜5の直下領域の基板を除去したこと
を除いて、上記圧電体素子30と同様である。
【0034】本実施の形態のフィルター30aは、上記
フィルター30と同じ作用・効果を有するのに加えて、
第1領域8cの基板が除去されているので圧電薄膜5の
動作領域に付加される質量が低減されるため、圧電薄膜
5の共振周波数の低下を防止することができる。従っ
て、高い共振周波数が要求されるフィルターに関して
は、特に有効である。
【0035】
【実施例】実施例1 実施例1として、実施の形態1のフィルター30を製造
した。以下に、その製造方法を説明する。
【0036】実施例1では、基板1として<100>シリ
コン単結晶を用いた。最初に、基板1にプラズマCVD
(Chemical Vapor Deposition)法で二酸化シリコン膜
を形成した。このときの成膜温度を300℃とした。さ
らに、二酸化シリコン膜をパターニングしてマスクを形
成した。続いて、このマスクを用いて、基板1の第2領
域8bの上面から、気相熱拡散法でボロンのドーピング
を行った。具体的な拡散条件は、原料ガスを三塩化ボロ
ンとし、ガス流量約10sccm、拡散温度1000
℃、拡散時間60分とした。こうすることで、第2領域
8bの上面から深さ約5000Åまでの領域のボロン濃
度を1020/ccとした。
【0037】次に、二酸化シリコンのマスクを10vo
l%のフッ酸水溶液で除去した。更に、基板1の全上面
から、前述した気相熱拡散法でボロンをドーピングし
た。この際、拡散温度を1000℃、拡散時間を15分
とすることで、第1領域8aの上面から深さ約2000
Åまでの領域のボロン濃度を1020/ccとした。
【0038】さらに、プラズマCVD法によって、絶縁
膜3として膜厚約100nmの二酸化シリコン膜を形成
した。このとき、反応ガスとしてシランと酸素とを用
い、成膜温度は300℃とした。さらにこの絶縁膜3上
に、膜厚30nmチタンと膜厚70nm金とからなる2
層構造の金属薄膜を下部電極層として蒸着法により作製
した。
【0039】さらに、鉛50mo%過剰のチタン酸鉛焼
結体のターゲットを用い、高周波マグネトロンスパッタ
法によってチタン酸鉛の圧電薄膜層を下部電極層上に形
成した。詳細には、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガ
ス中で、成膜圧力1Pa、基板温度600℃として、厚
さ約1μmのチタン酸鉛を形成した。
【0040】続いて、圧電薄膜層上に厚さ3000Åの
アルミニウムを蒸着し上部電極層とした。さらに、上部
電極層の寸法を100μm×50μm角にパタ−ニング
して、上部電極6を形成した。次に、レジストマスクを
用い70℃の塩酸と硝酸との混合溶液によって、圧電薄
膜層の不要部分をエッチングし除去して、圧電薄膜層の
寸法を200μm×100μmとして、圧電薄膜5を形
成した。
【0041】さらに、イオンミリング法により下部電極
層を、寸法250nm×150nmの形状にパターンニ
ングして、下部電極4を形成した。このとき同時に、基
板1上に上部電極用パッド10と下部電極4に連続する
下部電極用パッド11を形成した。
【0042】続いて、上部電極6と上部電極用パッド1
0との間にレジストを形成し、さらに上部電極6と上部
電極用パッド10とを接続する20μmの金メッキを形
成し、レジストを除去することで金メッキの架橋7を完
成させた。
【0043】次に、基板1の厚さを200μmまで研磨
し、基板1を薄板化した。さらに、蒸着法によって基板
1の下面に厚さ500nmのチタン膜を形成し、10v
ol%のフッ酸水溶液でこのチタン膜に400μm角の
開口部を設け、チタン膜からなるエッチング用マスク1
2を形成した。
【0044】次に、70℃、約10%の水酸化カリウム
を用いて3時間シリコン異方エッチングを行い、基板1
の圧電薄膜5の直下領域を除去した。この際、基板1の
ボロンがドーピングされている部分は、水酸化カリウム
に対して高い耐エッチング性を示すので、エッチングさ
れず残留する。従って、圧電薄膜5の直下の基板1は、
第1領域8aと第2領域8bからなる2段階構造とな
る。このようにして、実施の形態1のフィルターを完成
させた。
【0045】実施例1に関して、圧電薄膜の動作領域の
破壊によるフィルターの損傷の歩留まりは87%であっ
た。また、絶縁膜の残留応力による圧電薄膜の動作領域
の長手方向の変形量をレーザ形状測定器で測定したとこ
ろ、変形量は0.2μm以下であり、ほとんど変形は発
生していないことが判った。
【0046】さらに、実施例1のフィルターの共振特性
を図5に示す。図5からは、実施例1の圧電体素子の共
振周波数は1.6GHzであることが判る。また、共振
点での通過特性がきれいな台形形状を示すことから、チ
タン酸鉛からなる圧電薄膜で高域遮断型エネルギー閉じ
込めが発生していることが判る。
【0047】比較例.比較例として、素子形成領域に第
2領域を備えていないフィルターを製作した。比較例に
関して、圧電薄膜の動作領域の破壊によるフィルターの
損傷の歩留まりは62%であった。また、絶縁膜の残留
応力による圧電薄膜の動作領域の変形量をレーザ形状測
定器で測定したところ、変形量は0.5〜1μm以下で
あった。
【0048】さらに、比較例のフィルターの共振特性を
図6に示す。上記図5と図6とを比較すると、素子形成
領域が一段構造の比較例のフィルターの圧電薄膜では、
エネルギー閉じ込めは発生していないことが判る。
【0049】実施例2.実施例2として実施の形態2の
フィルターを製作した。実施例2のフィルターの製造方
法は、ボロンを第2領域にのみドーピングしたこと及
び、絶縁膜を膜厚約100nmの窒化シリコンとしたこ
とを除いて、実施例1と同様である。詳細には、窒化シ
リコン膜は、反応ガスとしてシランとアンモニアを用い
て、成膜温度を300℃として、プラズマCVD法によ
って形成した。
【0050】実施例2のフィルターの共振周波数は、
1.85GHzであった。これは、圧電薄膜の動作領域
の直下の基板を完全に除去したため、圧電薄膜に付加さ
れる質量が低減されため、実施例1のフィルターの共振
周波数よりも高くなったと考えれる。
【0051】実施例3.実施例3として、圧電薄膜を低
域遮断型材料である窒化アルミとする実施の形態2のフ
ィルターを製作した。詳細には、高周波マグネトロンス
パッタ法を用い、基板温度を500℃、圧力1Pa、タ
ーゲットを金属アルミニウムとし、アルゴンガス50
%、窒素ガス50%の混合ガス中で膜厚約0.9μmの窒
化アルミを成膜した。
【0052】実施例3に関して、圧電薄膜の動作領域の
破壊によるフィルターの損傷の歩留まりは91%であっ
た。また、共振周波数は2.2GHzであった。
【0053】
【発明の効果】上述したように本発明の圧電体素子は、
素子形成領域の厚さを2段階構造とし、基板の厚さが最
も薄い領域を限定するものである。このようにすること
で、圧電体素子の最も脆弱な部分の面積を最小限にし、
素子形成領域で発生する破壊を防止して、圧電体素子の
信頼性を向上させることができる。
【0054】本発明の圧電体素子において、シリコン基
板の第1領域及び第2領域を形成しようとする領域に予
めボロンをドーピングすることで、第1領域及び第2領
域を容易に形成することができる。
【0055】本発明の圧電体素子において、第1領域及
び第2領域を形成しようとする領域にドーピングするボ
ロン濃度を1018個/cc〜1022/ccとすること
で、より容易に第1領域及び第2領域を形成することが
できる。
【0056】本発明の圧電体素子は、圧電薄膜の動作領
域の直下の基板のみを除去するものである。このように
することで、圧電体素子の最も脆弱な部分の面積を最小
限にし、素子形成領域で発生する破壊を防止して、圧電
体素子の信頼性を向上させることができる。
【0057】本発明の圧電体素子において、シリコン基
板の第2領域を形成しようとする領域に予めボロンをド
ーピングすることで、第2領域とを容易に形成すること
ができる。
【0058】本発明の圧電体素子において、第2領域を
形成しようとする領域にドーピングするボロン濃度を1
18個/cc〜1022/ccとすることで、より容易に
第2領域とを形成することができる。
【0059】本発明の圧電体素子において、高域遮断型
共振特性を有する圧電薄膜を用いて、圧電薄膜に高域遮
断型エネルギー閉じ込めを発生させ、圧電体素子の振動
レスポンスを向上させることができる。
【0060】さらに、本発明の圧電体素子において、チ
タン酸鉛を主成分とする圧電薄膜を用いることで、優れ
た圧電特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1にかかるフィルターの
平面図を示す。
【図2】 本発明の実施の形態1にかかるフィルターを
示すもので、(a)は図1の線IIa―IIaに沿った
断面図を、(b)は図1の線IIb―IIbに沿った断
面図を示す。
【図3】 本発明の実施の形態2にかかるフィルターの
平面図を示す。
【図4】 本発明の実施の形態2にかかるフィルターを
示すもので、(a)は図3の線IVa―IVaに沿った
断面図を、(b)は図1の線IVb―IVbに沿った断
面図を示す。
【図5】 実施例1のフィルターの共振特性を示す。
【図6】 比較例のフィルターの共振特性を示す。
【符号の説明】
1 基板、 3 絶縁膜、 4 下部電極、 5 圧電
薄膜、 6 上部電極、 7 架橋、 8 素子形成
領域、 8a 第1領域、 8b 第2領域。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内川 英興 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 三須 幸一郎 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 5J108 AA01 AA07 BB04 CC04 CC11 EE03 EE04 EE07 KK01 KK02 KK07

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一部に、他の部分に比較して薄くした素
    子形成領域を有する基板と上記素子形成領域上に形成さ
    れた圧電振動子とを備え、該圧電振動子が上記素子形成
    領域上に下部電極を介して形成された圧電薄膜と該圧電
    薄膜上に形成された上部電極とからなり、上記下部電極
    と上記上部電極とによって挟まれた圧電薄膜を動作領域
    とした圧電体素子であって、 上記素子形成領域は上記動作領域の直下に位置する第1
    領域と該第1領域を除いた部分である第2領域とからな
    り、上記第1領域を上記第2領域より薄くしたことを特
    徴とする圧電体素子。
  2. 【請求項2】 上記基板はシリコン基板であり、 上記第1領域及び上記第2領域にボロンがドーピングさ
    れていることを特徴とする請求項1記載の圧電体素子。
  3. 【請求項3】 上記第1領域及び第2領域のボロン濃度
    が、1018個/cc〜1022/ccであることを特徴と
    する請求項2記載の圧電体素子。
  4. 【請求項4】 一部に、他の部分に比較して薄くした素
    子形成領域を有する基板と上記素子形成領域上に設けら
    れた圧電振動子とを備え、該圧電振動子が上記素子形成
    領域上に絶縁膜を介して形成された下部電極と該下部電
    極上に形成された圧電薄膜と該圧電薄膜上に形成された
    上部電極とからなり、上記下部電極と上記上部電極とに
    よって挟まれた圧電薄膜を動作領域とした圧電体素子で
    あって、 上記素子形成領域においてさらに上記動作領域の直下に
    位置する部分が除去されたことを特徴とする圧電体素
    子。
  5. 【請求項5】 上記基板はシリコン基板であり、 上記第2領域にはボロンがドーピングされていることを
    特徴とする請求項4記載の圧電体素子。
  6. 【請求項6】 上記第2領域のボロン濃度が、1018
    /cc〜1022個/ccであることを特徴とする請求項
    5記載の圧電体素子。
  7. 【請求項7】 上記圧電薄膜が高域遮断型共振特性を有
    することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一つ
    に記載の圧電体素子。
  8. 【請求項8】 上記圧電体膜はチタン酸鉛を主成分とす
    ることを特徴とする請求項7に記載の圧電体素子。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002319715A (ja) * 2001-04-19 2002-10-31 Denso Corp 圧電体素子及びこれを用いたインジェクタ
JP2007195248A (ja) * 2001-01-24 2007-08-02 Koninkl Philips Electronics Nv 超音波変換器のアレイ
JP2018067902A (ja) * 2016-10-17 2018-04-26 ウィン セミコンダクターズ コーポレーション 質量調整構造付きバルク音波共振器およびバルク音波フィルター

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