JP2000240648A - ラジアル磁気軸受装置 - Google Patents

ラジアル磁気軸受装置

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JP2000240648A
JP2000240648A JP11354885A JP35488599A JP2000240648A JP 2000240648 A JP2000240648 A JP 2000240648A JP 11354885 A JP11354885 A JP 11354885A JP 35488599 A JP35488599 A JP 35488599A JP 2000240648 A JP2000240648 A JP 2000240648A
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stator core
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magnetic bearing
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Hiromasa Fukuyama
寛正 福山
Takeshi Takizawa
岳史 滝澤
Shigeru Endo
茂 遠藤
Junichi Ono
純一 小野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 組立時に永久磁石の吸引力によって固着等の
不都合が生じない、つまり製造やメンテナンスに際して
作業性のよいラジアル磁気軸受装置を提供すること。 【解決手段】 調整ナット94を調整することにより、
接触子91の位置を適宜調整することができる。つま
り、調整ナット94をゆるめる方向に回転させると、接
触子91は、ステータコア10の両電磁極部分に吸引・
接続されて動作位置に移動し、ステータコア10を通る
磁気回路は、回転軸1表面のロータコア2をほとんど通
過しない短絡状態に切り替わる。つまり、永久磁石20
を起磁力とする磁気回路が両電磁極部分間と接触子91
とによって閉ループを形成することになり、これによ
り、ステータコア10からの吸引力が回転軸1に及ばな
くなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気吸引力を利用
して回転体を回転自在に支持するラジアル磁気軸受装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、従来の磁気軸受として特公平5
−17406号公報に開示されているものがある。この
例において、ラジアル磁気軸受部は、半径面内において
馬蹄形状にN極とS極が形成されるように巻線された磁
極対が3組以上できるように構成されたラジアルステー
タと、回転軸の外周部分に取り付けられた環状鋼板の積
層体からなるロータとで構成されている。このようなラ
ジアル磁気軸受部においては、回転軸を非接触で支持す
る制御のため、ラジアルステータに適当なバイアス磁束
を形成するバイアス電流を常時流しておく必要があり、
それが比較的大きな電カ損失となっている。
【0003】磁気軸受におけるバイアス電流の必要性を
回避する手段として、バイアス磁束を永久磁石で与える
磁石併用磁気軸受が考えられ、その一例として実開平2
−87120号に開示のものがある。この例では、スラ
スト磁気軸受部において、永久磁石をステータコアの一
部に介在させることとして、バイアス磁束発生のために
バイアス電流を流すことの無駄を省くこととしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような永
久磁石によってバイアス磁束を与える方法をラジアル磁
気軸受部に具体的に適用したものはなかった。これは、
軸受の組み立てに際して、永久磁石の強力な吸引力のた
めに回転軸が容易にいずれかのラジアル磁極面に吸引固
着されてしまい、磁気軸受装置として組み立てることが
実際上困難であったことが大きな原因であった。
【0005】そこで、本発明は、磁気損失の少ない磁石
併用型のラジアル磁気軸受装置であって、組み立てると
きに永久磁石の吸引力によって固着等の不都合が生じな
い、つまり製造やメンテナンスに際して作業性のよいラ
ジアル磁気軸受装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明のラジアル磁気軸受装置は、少なくとも円周
方向周りの所定領域の表層部が強磁性体で形成されてい
る回転軸と、磁性体で形成されるとともに一部断面に永
久磁石を配置してなるヨークと当該ヨークの周囲にそれ
ぞれ巻き付けられた励磁用コイルとを有する電磁部材を
前記回転軸の前記所定領域に対向して円周方向周りに複
数配置してなるラジアル電磁部材群とを備えるラジアル
磁気軸受装置であって、前記電磁部材を含む磁気回路
を、磁力線が前記回転軸を通過する吸引状態と磁力線が
前記回転軸を通過することを回避する短絡状態との間で
切換可能な磁気回路短絡手段をさらに備えることを特徴
とする。
【0007】上記ラジアル磁気軸受装置では、磁気回路
短絡手段が、電磁部材を含む磁気回路を磁力線が回転軸
を通過する吸引状態と磁力線が回転軸を通過することを
回避する短絡状態との間で切換可能であるので、まず磁
気回路を短絡状態にして前記ラジアル電磁部材群間に回
転軸を配置して、ラジアル磁気軸受装置を作業性良く組
み立てることができ、次に磁気回路を吸引状態としてラ
ジアル磁気部材群間に回転軸を非接触で支持する軸受機
能を発揮させることができるようになる。
【0008】上記ラジアル磁気軸受装置において、電磁
部材のヨークは、例えばコ字状の磁性鋼板積層体とする
ことができる。
【0009】また、磁気回路短絡手段は、移動によって
ヨークの両端の電磁極近傍に接触して磁気回路の短絡状
態を実現するとともに、移動によってヨークの両端の電
磁極近傍から離間して磁気回路の吸引状態を実現する磁
性体を備えるものとすることができる。
【0010】さらに、磁気回路短絡手段は、磁気軸受の
組立時にヨークに掛け渡される一方、組立終了後には除
去される短絡連結板を備えるものとすることができる。
【0011】さらに、磁気回路短絡手段は、上記短絡連
結板において、永久磁石の発生する磁束の短絡量を調整
する短絡連結調整部を備えるものとすることができる。
【0012】さらに、ラジアル電磁部材群を組み付ける
ハウジングは、板状の鋼板を機械加工ないしボルト締結
により組み立てた構造とされてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】〔第1実施形態〕以下、図面を参
照して本発明の第1実施形態につき説明する。図1は、
実施形態のラジアル磁気軸受装置の要部をその軸心に沿
って示す縦断面図であり、図2は、図1のラジアル磁気
軸受装置のA−A矢視の部分断面図である。
【0014】ハウジング100内において回転自在に支
持されている回転軸1の外周には、ロータコア2が嵌合
されている。このロータコア2は、I型磁性鋼板の円周
方向積層体であり、各ロータコア2の外周に配置された
保持部材3によって締まり嵌めで締め付けられており、
軸線方向両側の固定リング4によって回転軸1に対して
固定されている。
【0015】ロータコア2の半径方向外方には、ヨーク
であるコ字形のステータコア10が、ハウジング100
に対して円周方向に等間隔で4つ配置されている。3つ
以上であれば足りるこれらのステータコア10は、断面
がL字状のヨーク本体10aと、ヨーク本体10aの一
端から半径方向内方に延在するヨーク部分10bとから
なる。これらヨーク本体10aとヨーク部分10bは、
それぞれ電磁鋼板積層体からなり、ヨーク本体10aと
ヨーク部分10bとの間には、バイアス磁束発生用の平
板状の永久磁石20が配置されている。また、磁束調節
用の励磁コイル31が、ヨーク本体10aとヨーク部分
10bとにそれぞれ巻き付けられている。ステータコア
10と励磁コイル31とは、回転軸1の円周方向周り等
間隔で配置される電磁部材となっている。ステータコア
10のうちロータコア2に対向する一対の面は、電磁極
になっている。本実施形態では、ステータコア10の両
電磁極の面積を広くして軸受面積を大きくすることによ
り、軸受容量の向上を図っている。ステータコア10
は、ステータベース15に固定されており、ステータベ
ース15は、取付けねじ16によってハウジング100
内面に固定されている。
【0016】なお、永久磁石20を配置したステータコ
ア10と、励磁コイル31とは、電磁部材を構成し、こ
の電磁部材を回転軸1の周方向周りに複数(ここでは4
つ)配置したものを全体としてラジアル電磁部材群と呼
ぶものとする。
【0017】ハウジング100内において回転軸1に対
向して配置された一対の半径方向変位センサー5は、回
転軸1の半径方向、すなわち回転軸1の軸心に垂直な直
交2方向に関する位置を感知する。各半径方向変位セン
サー5の出力は制御装置60で検出され、制御装置60
からは回転軸1をステータコア10間の適所に支持する
ための一対の電流信号が出力される。制御装置60から
の一対の電流信号は、一対の増幅器70でそれぞれ増幅
されて回転軸1を挟んで対向する位置に配置された一対
の励磁コイル31に供給される。
【0018】各ステータコア10の両端に設けられてい
る電磁極間には、磁性体製で回転軸1に対向してその軸
心方向に直交する方向に延びる棒状の接触子91が配置
されている。この接触子91は、回転軸1の方向に進退
可能になっている。つまり、この接触子91は、動作位
置(図示の状態)と、待避位置との間ので移動可能とな
っており、動作位置では、ステータコア10の両電磁極
部分に接触してステータコア10を通る磁気回路をロー
タコア2を通過しない短絡状態にするとともに、退避位
置では、ステータコア10の両電磁極部分から十分離間
してステータコア10を通る磁気回路をロータコア2を
通過する吸引状態にする。
【0019】各接触子91からは、この接触子91を動
作位置と退避位置との間で進退させるため一対の位置調
節ねじ92が延びており、これらの位置調節ねじ92
は、ステータベース15から円周方向に延びる一対の鍔
部にそれぞれ対応して形成された一対の穴を貫通してい
る。また、それぞれの位置調節ねじ92には、接触子9
1を回転軸1の軸心方向へ付勢するコイルバネ96が通
されており、それぞれの位置調節ねじ92の先端側に
は、調整ナット94がねじ付けられている。この調整ナ
ット94をナット調整用孔95を利用してハウジング1
00の外部から調整することにより、接触子91の位置
を適宜調整することができる。つまり、両調整ナット9
4をゆるめる方向に回転させると、接触子91は、ステ
ータコア10の両電磁極部分に吸引・接続されて動作位
置に移動し、ステータコア10を通る磁気回路は、回転
軸1表面のロータコア2をほとんど通過しない短絡状態
に切り替わる。つまり、永久磁石20を起磁力とする磁
気回路が両電磁極部分間と接触子91とによって閉ルー
プを形成することになる。これにより、ステータコア1
0からの吸引力が回転軸1に及ばなくなり、ステータコ
ア10から回転軸1を引き抜いたり、ステータコア10
に回転軸1を挿入する作業が簡単なものとなる。なお、
接触子91、位置調節ねじ92、及び調整ナット94
は、磁気回路短絡手段を構成している。
【0020】図3は、接触子91が待避位置に移動した
状態を説明する図である。つまり、両調整ナット94を
締める方向に回転させると、接触子91は、ステータコ
ア10の両電磁極部分から離間して待避位置に移動し、
永久磁石20を起磁力としステータコア10を通る磁気
回路は、両電磁極部を介して回転軸1表面のロータコア
2を通過する吸引状態に切り替わる。これにより、ステ
ータコア10からの吸引力が回転軸1に及ぶとともに、
ステータコア10に設けた励磁コイル31への供給電流
を調節することにより、ステータコア10両端の電磁極
から回転軸1に及ぶ吸引力を自在に制御することが可能
となる。
【0021】次に、回転軸1の位置制御について説明す
る。接触子91を待避位置に移動した状態において、回
転軸1が、目標位置からずれたとき、そのずれ量を半径
方向変位センサー5が検出する。かかる場合、半径方向
変位センサー5は、図1の制御装置60に回転軸1のず
れ量に対応する信号を出力する。制御装置60は、目標
位置からずれた回転軸1を目標位置に戻すように増幅器
70を介して一対の対向する励磁コイル31に制御電流
を流す。なお、制御装置60は、半径方向変位センサー
5の検出するずれ量に基づき、回転軸1の現在の位置
が、目標位置と一致したときに、制御電流がゼロになる
よう制御電流を流す、フィードバック制御を行う。ここ
で、永久磁石はその磁束が位置制御するために必要とな
るバイアス磁束を与えている。そして、目標位置が永久
磁石20のバランスする位置と一致する場合には目標位
置での制御電流がほぼゼロとなる利点を持つ。すなわ
ち、その状態での制御電流は、回転軸の微少変動を抑え
る微分動作のみの微少電流となる。 〔第1実施形態の第1変形例〕以下、本発明に係る第1
実施形態の第1変形例に係るラジアル磁気軸受装置につ
いて説明する。この第1実施形態の第1変形例に係る装
置は、第1実施形態の装置を変形したものであるため、
同一部分には同一の符号を付して重複説明を省略する。
図4は、第1実施形態の第1変形例に係るラジアル磁気
軸受装置の要部をその軸心に沿って示す縦断面図であ
る。
【0022】このステータコア210は、ヨーク本体2
10aとヨーク部分210bとを備えるが、第1実施形
態の場合と異なり、励磁コイル31の組み込みの作業性
を高めるため、これらの本体210a及び部分210b
のうち回転軸1に対向する電磁極部分は、先端に向かっ
て細くなっている。これに合わせて、この接触子291
の形状も、断面が台形状となっており、回転軸1から離
間する方向に移動することによってステータコア210
の両電磁極部分に接触して磁気回路を短絡状態にする動
作位置と、回転軸1に近接する方向に移動することによ
ってステータコア210の両電磁極部分から十分離間し
て磁気回路を吸引状態にする待避位置(図示の状態)と
の間ので切換可能となっている。つまり、調整ナット9
4を締める方向に回転させると、接触子291は、ステ
ータコア210の電磁極部分と接触する動作位置に移動
し、ステータコア210を通る磁気回路は、接触子29
1を通過する短絡状態となる。一方、調整ナット94を
緩める方向に回転させると、接触子291は、ステータ
コア210の電磁極部分から離間して待避位置に移動
し、ステータコア210を通る磁気回路は、回転軸1表
面のロータコア2を通過する吸引状態となる。これによ
り、ステータコア210からの吸引力が回転軸1に及び
これを非接触で支持することができるようになる。 〔第1実施形態の第2変形例〕以下、本発明に係る第1
実施形態の第2変形例に係るラジアル磁気軸受装置につ
いて説明する。第1実施形態の第2変形例に係る装置
は、第1実施形態の装置を変形したものであるため、同
一部分には同一の符号を付して重複説明を省略する。図
5は、第1実施形態の第2変形例に係るラジアル磁気軸
受装置の要部をその軸心に沿って示す縦断面図である。
【0023】このステータコア310は、ヨーク本体3
10aとヨーク部分310bとを備えるが、第1実施形
態の場合と異なり、これらの部分310a、310bの
うち回転軸1に対向する電磁極部分が断面L字状で回転
軸1に対向する面積が大きくなっている。これに合わせ
て、この接触子391の形状も、断面が長方形状となっ
ており、回転軸1に近接する方向に移動することによっ
てステータコア10の両電磁極部分に接触して磁気回路
を短絡状態にする動作位置と、回転軸1から離間する方
向に移動することによってステータコア10の両電磁極
部分から十分離間して磁気回路を吸引状態にする待避位
置(図示の状態)との間ので移動可能となっている。つ
まり、調整ナット94を緩める方向に回転させると、接
触子391は、ステータコア310の両電磁極部分に近
接して動作位置に移動し、ステータコア310を通る磁
気回路は、接触子391を通過する短絡状態となる。一
方、調整ナット94を締める方向に回転させると、接触
子391は、ステータコア310の両電磁極部分から離
間する退避位置に移動し、ステータコア310を通る磁
気回路は、回転軸1表面のロータコア2を通過する吸引
状態となる。これにより、ステータコア310からの吸
引力が回転軸1に及びこれを非接触で支持することがで
きるようになる。 〔第2実施形態〕次に、図6ないし図10を参照して、
本発明の第2実施形態に係るラジアル磁気軸受装置つい
て説明する。図6は、第2実施形態のラジアル磁気軸受
装置の要部を示す斜視図であって、短絡連結板を除去し
た状態を示す図である。図7は、第2実施形態のラジア
ル磁気軸受装置の要部を示す斜視図であって、短絡連結
板により磁気回路を短絡した状態を示す図である。図8
は、第2実施形態に係るラジアル磁気軸受装置の横断面
図である。図9は、第2実施形態に係るラジアル磁気軸
受装置の要部をその軸心に沿って示す縦断面図であっ
て、短絡連結板を除去した状態を示す図である。図10
は、第2実施形態に係るラジアル磁気軸受装置の要部を
その軸心に沿って示す縦断面図であって、短絡連結板に
より磁気回路を短絡した状態を示す図である。
【0024】図8に示すように、ハウジング400内に
は、回転軸401が回転自在に支持されている。この回
転軸401の径方向外方には、コ字形のステータコア4
02が、ハウジング400の円周方向に等間隔で4つ配
置されている。
【0025】図9に示すように、これらのステータコア
402は、左右対称であって、断面がL字状であり、そ
れぞれ電磁鋼板積層体からなる一対のヨーク本体403
を備えている。これら一対のヨーク本体403の間に
は、バイアス磁束発生用の平板状の永久磁石404が配
置されている。一対のヨーク本体403には、それぞ
れ、一対の磁束調節用の励磁コイル405が巻回されて
いる。
【0026】図6および図8に示すように、一対のヨー
ク本体403の両側には、一対の固定体406が配置さ
れている。各固定体406には、ヨーク本体403を固
定するためのボルト孔407(図8)またはネジ孔40
8が穿設されていると共に、ハウジング400に取り付
けるための一対の取付孔409(図6)が穿設されてい
る。
【0027】一対の固定体406のボルト孔407およ
びネジ孔408に、ボルト410(図8)が通挿され
て、電磁鋼板積層体からなる一対のヨーク本体403が
締め付けられて固定されている。これにより、一対のヨ
ーク本体403の電磁鋼板積層体が極めて堅固に固定さ
れていると共に、一対のヨーク本体403と永久磁石4
04とも極めて堅固に固定されているため、ステータコ
ア402の機械的強度を十分に確保することができる。
なお、電磁鋼板積層体同士の間には、接着剤が含浸され
ていてもよい。また、このように、ヨーク本体403が
電磁鋼板積層体から構成されているため、ラジアル磁気
軸受の作動時に変動荷重が作用したとしても、渦電流損
を生じることなく、効率的な載荷力が得られる。
【0028】一対の固定体406の取付孔409(図
6)に、ボルト411(図8および図9)が通挿され
て、ステータコア402がハウジング400に取り付け
られている。このように、一対の固定体406を利用し
てハウジング400に取り付けているため、ステータコ
ア402を簡易に且つ堅固に固定することができる。
【0029】なお、第1実施形態と同様に、ステータコ
ア402と励磁コイル405とは、回転軸401の円周
方向周り等間隔で配置される電磁部材となっている。回
転軸401に対向する一対のヨーク本体403の面は、
電磁極になっている。本実施形態では、一対のヨーク本
体403の両電磁極の面積を広くして軸受面積を大きく
することにより、軸受容量の向上を図っている。また、
永久磁石404を配置したステータコア402と、励磁
コイル405とは、電磁部材を構成し、この電磁部材を
回転軸401の周方向周りに複数(ここでは4つ)配置
したものを全体としてラジアル電磁部材群と呼ぶものと
する。
【0030】図9に示すように、後述する短絡連結板4
20が取り付けられていない状態では、永久磁石404
を起磁力としてステータコア402を通る磁気回路は、
両電磁極部を介して回転軸401表面を通過する吸引状
態になる。これにより、ステータコア402からの吸引
力が回転軸401に及ぶとともに、励磁コイル405へ
の供給電流を調節することにより、ステータコア402
両端の電磁極から回転軸401に及ぶ吸引力を自在に制
御することが可能となる。また、回転軸401の位置制
御についても、第1実施形態と同様に、制御装置は、目
標位置に、回転軸401の現在の位置が一致するよう
に、フィードバック制御を行う。目標位置が永久磁石4
04の吸引力がバランスする位置と一致する場合、制御
電流は、回転軸の微少変動を抑える微分動作のみの微少
電流となる。
【0031】本第2実施形態では、磁気軸受の組立時に
は、図7および図10に示すように、短絡連結板420
が一対のヨーク本体403に掛け渡される一方、組立終
了後には、図6及び図9に示すように、この短絡連結板
420が除去されるようになっている。
【0032】図7および図10に示すように、磁気軸受
の組立時に短絡連結板420が一対のヨーク本体403
に掛け渡された際には、永久磁石404を起磁力とする
磁気回路が、一対のヨーク本体403と短絡連結板42
0とにより短絡して、閉ループのバイパス磁気回路を形
成する。これにより、ステータコア402からの吸引力
が回転軸401に及ばなくなり、ステータコア402か
ら回転軸401を引き抜いたり、ステータコア402に
回転軸401を挿入する作業を容易にすることができ、
磁気軸受の組立時の組立作業の容易化を図ることができ
る。なお、組立時の磁気吸着の問題を解決するために、
短絡連結板420が付加されているのみであるため、従
来公報のように、ラジアル磁気軸受の軸方向の長さが長
くなるといったことを招来することもない。
【0033】一方、短絡連結板420が除去された後の
通常作動時には、上述したように、図6および図9に示
すように、永久磁石404を起磁力としてステータコア
402を通る磁気回路は、両電磁極部を介して回転軸4
01表面を通過する吸引状態になり、上記のように制御
される。 〔第2実施形態の第1変形例〕次に、図11ないし図1
3を参照して、本発明の第2実施形態の第1変形例に係
るラジアル磁気軸受装置ついて説明する。第2実施形態
の第1変形例に係る装置は、第2実施形態の装置を変形
したものであるため、同一部分には同一の符号を付して
重複説明を省略する。図11は、第2実施形態の第1変
形例に係るラジアル磁気軸受装置の要部をその軸心に沿
って示す縦断面図であって、短絡連結板を除去した状態
を示す図である。図12は、第2実施形態の第1変形例
に係るラジアル磁気軸受装置の要部をその軸心に沿って
示す縦断面図であって、短絡連結板により磁気回路を短
絡した状態を示す図である。図13は、第2実施形態の
第1変形例に係るラジアル磁気軸受装置の要部をその軸
心に沿って示す縦断面図であって、短絡連結板によりバ
イアス磁束量を調節する状態を示す図である。
【0034】本第2実施形態の第1変形例では、図12
および図13に示すように、短絡連結板は、2つの部材
からなり、一対のヨーク本体403の上面と側面に接触
されるL型連結部材421と、このL型連結部材421
に接触すると共に一方のヨーク本体403の側面に接触
してその「短絡連結隙間(d)」を調節するように移動
できる移動部材422とを備えている。さらに、この移
動部材422の移動量を調節するための調節ネジ423
が設けられている。
【0035】図12に示すように、磁気軸受の組立時に
L型連結部材421と移動部材422を取り付けて、調
節ネジ423を調節して、「短絡連結隙間(d)」をゼ
ロにすると、永久磁石404を起磁力とする磁気回路
が、一対のヨーク本体403、L型連結部材421、お
よび移動部材422により短絡して、閉ループのバイパ
ス磁気回路を形成する。これにより、ステータコア40
2からの吸引力が回転軸401に及ばなくなり、ステー
タコア402から回転軸401を引き抜いたり、ステー
タコア402に回転軸401を挿入する作業を容易にす
ることができ、磁気軸受の組立時の組立作業の容易化を
図ることができる。
【0036】図13に示すように、「短絡連結隙間
(d)」を調節すると、永久磁石404、一対のヨーク
本体403、L型連結部材421、および移動部材42
2により形成される閉ループのバイパス磁気回路の磁束
量を調節することができる。このバイパス磁気回路の磁
束量を調節すると、永久磁石404、ステータコア40
2、および回転軸401をにより形成される主磁気回路
(図11)の磁束量を調節して、回転軸401に対する
吸引力を調節することができる。
【0037】すなわち、「短絡連結隙間(d)」を調節
すると、バイパス磁気回路の磁束量を調節し、主磁気回
路(図11)の磁束量を調節して、回転軸401に対す
る吸引力を調節することができる。
【0038】例えば、図8に示すように、回転軸401
の廻りには、4個のステータコア402が周方向に等間
隔で配置されているが、この磁石併用型のラジアル磁気
軸受を「横置き型」として、即ち、回転軸401が略水
平になるように設置した場合には、回転軸401は、そ
の自重により下側にずれる。その結果、上述した零パワ
ー制御している場合に、下側にずれた回転軸401を中
心位置に戻すように制御しようとすると(即ち、回転軸
401の上側のステータコア402の吸引力を増大し
て、回転軸401を上側に持ち上げるように制御する
と)、この上側のステータコア402の励磁コイル40
5には、常時電流が流れることになり、消費電力の増大
を招くといったことがある。
【0039】このような場合、回転軸401の上側のス
テータコア402の「短絡連結隙間(d)」を調節し
て、バイパス磁気回路の磁束量を調節し、主磁気回路
(図11)の磁束量を調節し、回転軸401に対する吸
引力を増大すれば、上述した零パワー制御している場合
に、上側のステータコア402の励磁コイル405に、
常時電流が流れることがなく、消費電力の増大を招くと
いったこともない。なお、この場合、回転軸401の上
側のステータコア402の吸引力を増大すると共に、回
転軸401の下側のステータコア402の「短絡連結隙
間(d)」を調節して、この下側のステータコア402
の吸引力を減少するようにしてもよい。 〔第3実施形態〕次に、図14ないし図20を参照し
て、本発明の第3実施形態に係るラジアル磁気軸受装置
ついて説明する。
【0040】先ず、図14ないし図16を参照して、第
3実施形態に対応する従来例を説明する。図14は、第
3実施形態に対応する従来例に係るラジアル磁気軸受装
置をその軸心に沿って示す縦断面図である。図15は、
図14に示す従来例に係るラジアル磁気軸受装置の横断
面図である。図16は、図14に示す従来例に係るラジ
アル磁気軸受装置のハウジングの斜視図である。
【0041】図14および図15に示すように、ハウジ
ング500,501内において回転自在に支持されてい
る回転軸502の外周には、ロータコア503が嵌合さ
れている。このハウジング500,501は、図16に
示すように、円筒状であり、チューブ材から機械加工に
よりその内径と外径とを加工して仕上げられている。ま
た、ハウジング500には、後述するステータコア50
4を取り付けるための取付座510が形成されている。
【0042】ロータコア503の半径方向外方には、コ
字形のステータコア504が、ハウジング500,50
1に対して円周方向に等間隔で4つ配置されている。3
つ以上であれば足りるこれらのステータコア504は、
断面がL字状のヨーク本体505と、ヨーク本体505
の一端から半径方向内方に延在するヨーク部分506と
からなる。これらヨーク本体505とヨーク部分506
は、それぞれ電磁鋼板積層体からなり、ヨーク本体50
5とヨーク部分506との間には、バイアス磁束発生用
の平板状の永久磁石507が配置されている。また、磁
束調節用の励磁コイル508が、ヨーク本体505とヨ
ーク部分506とにそれぞれ巻き付けられている。
【0043】しかしながら、上述したハウジング50
0,501は、チューブ材から機械加工によりその内径
と外径とを加工して仕上げているが、加工時間が多大に
かかり、その結果、製造コストの高騰を招来するといっ
たことがあり、また、材料の無駄が多いといったことが
あり、さらに、軸受のハウジングとしての機械的強度が
弱いといったことがある。
【0044】なお、上述した第2実施形態では、図6に
示したように、ステータコア402が固定体406に取
り付けてあり、取付部が平坦であるため、ハウジング
も、これに対応して、板状の部材に取り付けて組み立て
る方が好ましいといったことがある。
【0045】第3実施形態は、このような事情に鑑みて
なされたものであって、加工時間を短縮すると共に材料
の無駄を無くして、製造コストの低減を図り、しかも、
機械的強度を十分に強くしたラジアル磁気軸受装置のハ
ウジングを提要することを目的とする。
【0046】以下、図17ないし図20を参照して、本
発明の第3実施形態に係るラジアル磁気軸受装置ついて
説明する。図17は、本発明の第3実施形態に係るラジ
アル磁気軸受装置のハウジングの斜視図である。図18
は、第3実施形態の変形例に係るラジアル磁気軸受装置
のハウジングの斜視図である。図19は、第3実施形態
に係るラジアル磁気軸受装置をその軸心に沿って示す縦
断面図である。図20は、図19に示す第3実施形態に
係るラジアル磁気軸受装置の横断面図である。
【0047】図19および図20に示すように、ハウジ
ング600内に、回転軸602が回転自在に支持されて
いる。回転軸602の半径方向外方には、コ字形のステ
ータコア604が、ハウジング600に対して円周方向
に等間隔で4つ配置されている。3つ以上であれば足り
るこれらのステータコア604は、断面がL字状のヨー
ク本体605と、ヨーク本体605の一端から半径方向
内方に延在するヨーク部分606とからなる。これらヨ
ーク本体605とヨーク部分606は、それぞれ電磁鋼
板積層体からなり、ヨーク本体605とヨーク部分60
6との間には、バイアス磁束発生用の平板状の永久磁石
607が配置されている。また、磁束調節用の励磁コイ
ル608が、ヨーク本体605とヨーク部分606とに
それぞれ巻き付けられている。また、符号610は、タ
ッチダウン軸受を、そして符号611は、ラジアル変位
センサーを示している。
【0048】図17に示すように、ハウジング600
は、板状の鋼板を機械加工して、それらを溶接により、
四角形状に仕上げたものである。また、ハウジング60
0には、4個のステータコア604を取り付けるための
4個の取付座620が形成されている。
【0049】また、変形例として、図18に示すよう
に、ハウジング600は、板状の鋼板を機械加工して、
それらをボルト締結により、四角形状に仕上げたもので
あり、上記と同様に、ハウジング600には、4個のス
テータコア604を取り付けるための4個の取付座62
0が形成されている。
【0050】本第3実施の形態では、上記のように、ハ
ウジング600は、板状の鋼板を機械加工して、溶接に
よりまたはボルト締結により四角形状に仕上げられてい
るため、材料の無駄を無くすことができ、機械加工時間
を短縮することができ、製造コストの低減を図ることが
できる。また、ハウジング600は、板状の鋼板により
四角形状に組み立てられているため、磁気軸受のハウジ
ングとして十分な機械的強度を有することができる。
【0051】なお、本発明は、上述した実施の形態に限
定されず、種々変形可能である。
【0052】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のラジアル磁気軸受装置によれば、磁気回路短絡手段
が、電磁部材を含む磁気回路を磁力線が回転軸を通過す
る吸引状態と磁力線が回転軸を通過することを回避する
短絡状態との間で切換可能であるので、まず磁気回路を
短絡状態にして前記ラジアル電磁部材群間に回転軸を配
置し、次に磁気回路を吸引状態としてラジアル電磁部材
群間に回転軸を非接触で支持するという組立作業性の良
い永久磁石併用ラジアル磁気軸受装置を実現できるよう
になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のラジアル磁気軸受装置の内部構
造を説明する縦断面図である。
【図2】図1に示すラジアル磁気軸受装置の部分横断面
図である。
【図3】図1のラジアル磁気軸受装置の組立てを説明す
る図である。
【図4】第1実施形態の第1変形例に係るラジアル磁気
軸受装置の内部構造を説明する縦断面図である。
【図5】第1実施形態の第2変形例に係るラジアル磁気
軸受装置の内部構造を説明する縦断面図である。
【図6】第2実施形態のラジアル磁気軸受装置の要部を
示す斜視図であって、短絡連結板を除去した状態を示す
図である。
【図7】第2実施形態のラジアル磁気軸受装置の要部を
示す斜視図であって、短絡連結板により磁気回路を短絡
した状態を示す図である。
【図8】第2実施形態に係るラジアル磁気軸受装置の横
断面図である。
【図9】第2実施形態に係るラジアル磁気軸受装置の要
部をその軸心に沿って示す縦断面図であって、短絡連結
板を除去した状態を示す図である。
【図10】第2実施形態に係るラジアル磁気軸受装置の
要部をその軸心に沿って示す縦断面図であって、短絡連
結板により磁気回路を短絡した状態を示す図である。
【図11】第2実施形態の第1変形例に係るラジアル磁
気軸受装置の要部をその軸心に沿って示す縦断面図であ
って、短絡連結板を除去した状態を示す図である。
【図12】第2実施形態の第1変形例に係るラジアル磁
気軸受装置の要部をその軸心に沿って示す縦断面図であ
って、短絡連結板により磁気回路を短絡した状態を示す
図である。
【図13】第2実施形態の第1変形例に係るラジアル磁
気軸受装置の要部をその軸心に沿って示す縦断面図であ
って、短絡連結板によりバイアス磁束量を調節する状態
を示す図である。
【図14】第3実施形態に対応する従来例に係るラジア
ル磁気軸受装置をその軸心に沿って示す縦断面図であ
る。
【図15】図14に示す従来例に係るラジアル磁気軸受
装置の横断面図である。
【図16】図14に示す従来例に係るラジアル磁気軸受
装置のハウジングの斜視図である。
【図17】本発明の第3実施形態に係るラジアル磁気軸
受装置のハウジングの斜視図である。
【図18】第3実施形態の変形例に係るラジアル磁気軸
受装置のハウジングの斜視図である。
【図19】第3実施形態に係るラジアル磁気軸受装置を
その軸心に沿って示す縦断面図である。
【図20】図19に示す第3実施形態に係るラジアル磁
気軸受装置の横断面図である。
【符号の説明】
1…回転軸 2…ロータコア 3…保持部材 4…固定リング 5…半径方向変位センサー 10…ステータコア 20…永久磁石 31…励磁コイル 60…制御装置 70…増幅器 91…接触子 92…位置調節ねじ 94…調整ナット 100…ハウジング 400…ハウジング 401…回転軸 402…ステータコア 403…ヨーク本体 404…永久磁石 405…励磁コイル 406…固定体 421…L型連結部材 422…移動部材 423…調節ネジ 600…ハウジング 602…回転軸 604…ステータコア 605…ヨーク本体 606…ヨーク部分 607…永久磁石 608…励磁コイル
フロントページの続き (72)発明者 遠藤 茂 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 (72)発明者 小野 純一 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも円周方向周りの所定領域の表
    層部が強磁性体で形成されている回転軸と、 磁性体で形成されるとともに一部断面に永久磁石を配置
    してなるヨークと当該ヨークの周囲にそれぞれ巻き付け
    られた励磁用コイルとを有する電磁部材を前記回転軸の
    前記所定領域に対向して円周方向周りに複数配置してな
    るラジアル電磁部材群とを備えるラジアル磁気軸受装置
    であって、 前記電磁部材を含む磁気回路を、磁力線が前記回転軸を
    通過する吸引状態と磁力線が前記回転軸を通過すること
    を回避する短絡状態との間で切換可能な磁気回路短絡手
    段をさらに備えることを特徴とするラジアル磁気軸受装
    置。
JP11354885A 1998-12-21 1999-12-14 ラジアル磁気軸受装置 Withdrawn JP2000240648A (ja)

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JP10-362379 1998-12-21
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004286176A (ja) * 2003-03-25 2004-10-14 Koyo Seiko Co Ltd 磁気軸受装置

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