JP2000240576A - 下水道の雨水排水制御装置 - Google Patents

下水道の雨水排水制御装置

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JP2000240576A JP11043796A JP4379699A JP2000240576A JP 2000240576 A JP2000240576 A JP 2000240576A JP 11043796 A JP11043796 A JP 11043796A JP 4379699 A JP4379699 A JP 4379699A JP 2000240576 A JP2000240576 A JP 2000240576A
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正 彦 堤
Seiichi Murayama
山 清 一 村
Akihiro Nagaiwa
岩 明 弘 長
Osamu Yamanaka
中 理 山
Masashirou Nakada
田 雅司郎 仲
Norihisa Uenishi
西 範 久 上
Shinichiro Matsubara
原 慎一郎 松
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 流入水質予測モデルを流入量モデルと組み合
わせ、メンテナンス等が困難な水質センサを設けること
なく、安定した雨水排水制御を行うことができる雨水排
水制御装置を提供すること。 【解決手段】 本発明の雨水排水制御装置は、雨水流入
量を入力する雨水流入量入力部26と、水質予測モデル
を有している。流入水質予測演算部27は、雨水流入量
入力部26から入力される雨水流入量と水質予測モデル
とから将来の流入水質を予測する。排水制御部28は、
流入水質予測演算部27が演算した将来の流入水質に基
づいて雨水排水装置7、8を制御する。水質予測モデル
は、雨水流入量をQ、管内の堆積物量をS、流出付加量
をLF 、パラメータをk、m、nとして、流入水質C1
を、dS/dt=LF −(k・Sm ・Qn )、C1
(k・Sm ・Qn-1 )としてモデル化したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、雨水が流入する下
水道設備、例えば下水処理場、ポンプ場、雨水貯留管、
雨水滞水池等において、水質センサを使用しなくても、
河川、湖沼、海域等の公共水域での初期降雨汚濁(ファ
ーストフラッシュ)を起こさないように常に良好な排水
水質を維持できるような、下水道の雨水排水制御装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】雨水が流入する下水道設備として、下水
処理場、ポンプ場、雨水貯留管、雨水滞水池等がある。
下水処理場は、下水を浄化して公共水域に放流する役割
を担い、ポンプ場は下水の運搬及び雨水排水の役割を担
い、雨水貯留管や雨水滞水池は、主に浸水防止の役割を
担っている。
【0003】近年、ポイント汚染源と言われている産業
廃水処理設備においては、高度処理装置の整備が進み、
それらの設備等から放流される水質は非常に良好になっ
てきた。しかしながら、河川、湖沼、海域等の公共水域
での水質は、以前と比べてほとんど改善されていない。
この原因として、ポイント汚染源以外の汚染源であるノ
ンポインド汚染源からの放流水質が改善されていない点
が指摘されている。
【0004】ノンポインド汚染源としては、例えば、下
水処理場における雨水流入排出時の簡易放流口及び直接
放流口、ポンプ場における雨水排水時の放流口、その
他、地下水や雨水排除水路等が挙げられる。
【0005】これらの汚染は、非雨天時に屋根、道路、
雨水桝等に蓄積したゴミ、ヘドロ等の堆積物が、雨天時
に洗い流されてこれらの設備に混入してくるために起こ
るものである。特に、降雨初期に多量の堆積物が流入し
て汚染を起こす現象は、初期降雨汚濁(ファーストフラ
ッシュ)と呼ばれている。
【0006】また、雨水貯留管や雨水滞水池は、一時的
に雨水流入水を貯留して放流、排水できる機能を有して
おり、貯留時に汚濁物を沈殿できるため、ノンポイント
汚染源対策として期待されている設備である。しかしな
がら、その運用によっては、貯留時に汚濁物を除去でき
ず、水質が悪い状態のまま放流を行う可能性もある。
【0007】このような下水道設備において、ファース
トフラッシュを効果的に防止するため、下水道設備内に
汚濁物の濃度を計測できる水質センサ、例えば濁度計を
設置して、その濁度計の計測値を用いて汚濁物の公共水
域への排水を制御する制御装置が提案されている。
【0008】従来の雨水排水制御装置の一例として、図
10に、下水処理場の雨水排水制御装置を示す。図10
において、51は下水管、52はスクリーン、53は沈
砂池、54はポンプ井、55は水位計、56は濁度計、
57はポンプ、58は制御弁、59〜61は管、62は
制御部、63は河川、64は最初沈殿池である。
【0009】図10に示すように、下水管51は、沈砂
池53の側壁部に接続されている。沈砂池53は、下水
管51と対向する側でポンプ井54に隣接している。ス
クリーン52は、上方側がポンプ井54側に倒れるよう
な傾斜の形態で沈砂池53内に立設されている。水位計
55及び濁度計56は、それぞれポンプ井54内に設置
され、制御部62に接続されている。管59は、ポンプ
井54の底部近傍から延びており、ポンプ57が設けら
れると共に、管60及び管61に分岐している。管60
は弁58を介して河川63に接続され、管61は最初沈
殿池64に接続されている。ポンプ57と弁58は、そ
れぞれ制御部62に接続されている。
【0010】通常の非雨天時には、下水管51内には下
水のみが流れており、下水はスクリーン52、沈砂池5
3、ポンプ井54を順次通過する。一方、水位計55と
濁度計56の計測値に基づいて、制御部62によりポン
プ57の運転と弁58の開閉が制御される。
【0011】図11に、ポンプ57と弁58の制御方法
のフローチャートを示す。水位計55の水位計測値Hと
濁度計56の計測値TUとは、各々1分周期で計測され
る。また、H1 は設定下限水位、H2 は設定上限水位で
あり、TUSVは濁度設定値である。濁度は非雨天時の濁
度が約300度で、ファーストフラッシュ時の濁度が約
1000度以上であるので、TUSVは1000度と設定
されている。
【0012】水位Hが設定上限水位と設定下限水位との
間にある時(例えば非雨天時もしくは小雨時)には、H
1 <H<H2 であるから、TUの計測値がTUSVよりも
小さい時(TU<TUSV)は、ポンプ57をONにする
と共に弁58を閉じて、下水を下水処理場内の最初沈殿
池64に排出する。
【0013】TU≧TUSVの時は、ポンプ57をOFF
にして弁8を閉じることにより、雨水中の汚濁物を沈殿
分離することにする。さらに水位が上昇し、H≧H2と
なった時は、ポンプ58をONにして弁8を開き、最初
沈殿池64と河川63との両方に下水を排出する。な
お、H≦H1の時は、TUの計測値に関係なく、ポンプ
57はOFFであり弁58は閉である。
【0014】また、図11のアルゴリズムでは水位とT
Uの計測値とによってポンプのON−OFFを制御して
いるが、図12のように、水位Hと流量Qとの関係式、
いわゆるQ−Hカーブに基づいて水位HからQ値を算出
し、このQ値とポンプの揚水量との関係式を利用してポ
ンプの流量を一定に制御する態様も実施されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】図10に示した従来の
下水道の排水制御装置においては、次のような問題が発
生している。
【0016】濁度計56は、汚れの付着等により、真値
はTU<TUSVであるのに出力数値が常にTU≧TUSV
になってしまう等、TU≧TUSVの識別に誤動作が生じ
ることがある。さらには、濁度計56が故障して、数値
を出力しなくなることもある。このような場合、弁58
の適切な開閉制御ができなくなり、汚濁物が沈殿分離し
ていない状態で汚濁物を河川63に排出したり、ポンプ
57や弁58が適切に作動せず浸水を発生させるという
問題が生じている。
【0017】濁度計56を常に安定して動作させるため
には、日常のメンテナンスが重要である。しかしなが
ら、流入下水による悪臭ガスが存在し酸素不足である
等、人間にとって非常に悪い環境に濁度計56は設置さ
れているので、メンテナンス作業が非常に困難であり、
メンテナンスのコストも大であった。また、濁度計56
をサンプリング方式にして地上で測定する方法もある
が、この方式を採用する場合においても、サンプリング
のための配管やポンプのメンテナンスが必要であり、同
様の問題がある。
【0018】一方、本件発明者は、各種シミュレーショ
ン実験を試行して鋭意検討を繰り返すことにより、以下
の知見を見いだした。
【0019】(1)水質予測モデルを流入量モデルと組
み合わせることにより、貯留水の将来の水質を、量的セ
ンサのみで高精度に予測できる。
【0020】(2)流入量予測モデルの改良が進み、流
入量予測の精度が向上したことにより、降雨時の流入量
予測モデルを流入量モデルとして水質予測による制御の
入力値として使用できる。
【0021】(3)これらのシミュレーションは、計算
機能力の向上により、降雨時の短いスパン(数秒)にも
迅速に対応することができ、実際上の制御に十分利用で
きる。
【0022】本発明は、このような点を考慮してなされ
たものであり、水質予測モデルを流入量モデルと組み合
わせ、メンテナンス等が困難な水質センサを設けること
なく、安定した雨水排水制御を行うことができる雨水排
水制御装置を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明は、雨水流入量を
入力する雨水流入量入力部と、水質予測モデルを有し、
雨水流入量入力部から入力される雨水流入量と水質予測
モデルとから将来の流入水質を予測する流入水質予測部
と、雨水排水装置に設けられ、流入水質予測部が予測し
た将来の流入水質に基づいて雨水排水装置を制御する排
水制御部と、を備え、水質予測モデルは、雨水流入量を
Q、管内の堆積物量をS、流出付加量をLF 、パラメー
タをk、m、nとして、流入水質C1 を、dS/dt=
F −(k・Sm ・Qn )、C1 =(k・Sm ・Q
n-1 )としてモデル化したものであることを特徴とする
雨水排水制御装置である。
【0024】また本発明は、雨水流入量を入力する雨水
流入量入力部と、水質予測モデルを有し、雨水流入量入
力部から入力される雨水流入量と水質予測モデルとから
将来の流入水質を予測する流入水質予測部と、雨水排水
装置に設けられ、流入水質予測部が予測した将来の流入
水質に基づいて雨水排水装置を制御する排水制御部と、
を備え、水質予測モデルは、雨水流入量をQ、パラメー
タをk、nとして、流入水質C1 を、C1 =k・Qn
してモデル化したものであることを特徴とする雨水排水
制御装置である。
【0025】本発明によれば、雨水流入量情報を組み込
んだ水質予測モデルを用いて、当該水質予測モデルと雨
水流入量とから将来の流入水質を予測するため、メンテ
ナンス等が困難な水質センサを設けなくても、安定した
雨水排水制御を行うことが可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。
【0027】図1は、本発明の第1の実施の形態による
雨水排水制御装置を示す概略図である。図1に示すよう
に、本発明の第1の実施の形態の雨水排水制御装置40
は、下水管1が沈砂池3の側壁部に接続されている。沈
砂池3は、下水管1と対向する側でポンプ井4に隣接し
ている。スクリーン2が、その上方側がポンプ井4側に
倒れるような傾斜の形態で沈砂池3内に立設されてい
る。
【0028】ポンプ井4内には水位計5が設置されてお
り、水位計5は制御部12に接続されている。ポンプ井
4の底部近傍から管9が延びており、ポンプ7が設けら
れると共に、管10及び管11に分岐している。管10
は制御弁8を介して河川13に接続され、管11は最初
沈殿池14に接続されている。ポンプ7と弁8は、それ
ぞれ制御部12に接続されている。さらに地上雨量計2
1が制御部12に接続されている。
【0029】制御部12について、図2を用いて説明す
る。図2に示すように、本実施の形態の制御部12は、
流入量演算部23と降雨量演算部24とを有している。
流入量演算部23は、水位計5の水位値Hを、Q−Hカ
ーブ(図12参照)等により流入量Qに変換演算する回
路によって構成されている。一方、降雨量演算部24
は、地上雨量計21の雨量値を降雨量に演算する回路に
よって構成されている。
【0030】降雨量演算部24は、降雨量予測部25に
接続されている。降雨量予測部25は、降雨量演算部2
4が演算した降雨量を入力値として、モデル同定等によ
って決定された非線形予測モデルにより、将来の降雨量
を予測演算するようになっている。
【0031】流入量演算部23と降雨量予測部25と
は、流入量予測部26に接続されている。流入量予測部
26は、非線形のB1ock−orientedモデル
(線形の伝達関数と非線形要素を任意の個数かつ任意の
配置で組み合わせたもの)等を用いて、降雨量予測部2
5により予測された降雨量の予測値と流入量演算部23
により演算された流入量とを入力値として、流入量予測
値を演算する。
【0032】これらの流入量演算部23、降雨量演算部
24、降雨量予測部25及び流入量予測部26の構成や
内部のアルゴリズム式等は、特願平10−224766
号「雨水流入量予測装置及び雨水流入量予測方法」に記
述されているものと同様である。特願平10−2247
66号に記載されている内容は、ここで引用されること
によって、本明細書に組込まれる。
【0033】さて、本実施の形態の制御装置12は、流
入量予測部26にさらに流入水質予測部27が接続され
ている。流入水質予測部27は、流入量予測部26によ
り出力される予測流入量Qを入力値として、以下の
(1)式と(2)式を用いて流入水質予測演算が行われ
る。
【数2】 (1)式では、ゴミやヘドロ等の堆積量Sの微分値が、
SとQのベキ乗に比例するとするモデルであり、SはQ
が大きいほど流出するようになっている。このモデル式
は、1階の常微分方程式であるので、堆積量の初期値S
0 を与えるとルンゲクッタ法で近似解Sを演算できる。
一方、(2)式は、(S・Qn )をQで徐した値を流入
水質予測値C1 とするモデル式である。
【0034】これら両式によるシミュレーション結果
を、図3及び図4に示す。雨水流入量が増加し、流入予
測値Qが増加するに従って、堆積量Sが減少することが
わかる。一方、Sが減少している時間においては、流入
水質予測値C1 が増大し、Sの減少が停止するとC1
雨水流入前のレベルに戻る。
【0035】また、流入量予測部26と流入水質予測部
27とは、管内水質変化予測部28a(管内水質予測
部)に接続されている。管内水質変化予測部28aで
は、流入水質予測値C1 と予測雨水流入量Qを入力値と
して、以下の(3)式の初期水質予測モデルと、(4)
式のストークスの単粒子沈殿モデルと、(5)式の粒子
通過モデルと、(6)式の粒径分布水質変化モデルと、
を用いて管内水質変化予測値C2 を演算する。
【数3】 (5)式のti をx軸に、(6)式のC2 をy軸にプロ
ットした図が、図5である。このスポットデータを、ス
プライン補間式により補間処理した図が、図6である。
【0036】さらに、管内水質変化予測部28aには雨
水排水制御部28bが接続されており、これらが排水制
御部28を構成している。雨水排水制御部29は、管内
水質変化予測部28での出力値C2 を入力値として、図
7に示すアルゴリズムによりポンプ7と弁8のON−O
FF制御を実施するようになっている。
【0037】図7に示すように、水位計5の水位計測値
Hの計測と管内水質変化予測値C2の演算とは、各々1
分周期で計測される。また、H1 は設定下限水位、H2
は設定上限水位であり、CSVは設定基準値である。
【0038】水位Hが設定上限水位と設定下限水位との
間にある時(例えば非雨天時もしくは小雨時)には、H
1 <H<H2 であるから、C2 の値がCSVよりも小さい
時(C2 <CSV)は、ポンプ7をONにすると共に弁8
を閉じて、下水を下水処理場内の最初沈殿池14に排出
する。
【0039】C2 ≧CSVの時は、ポンプ7をOFFにし
て弁8を閉じることにより、雨水中の汚濁物を沈殿分離
することにする。さらに水位が上昇し、H≧H2となっ
た時は、ポンプ8をONにして弁8を開き、最初沈殿池
14と河川13との両方に下水を排出する。なお、H≦
H1の時は、C2 の計測値に関係なく、ポンプ7はOF
Fであり弁8は閉である。
【0040】このような構成からなる雨水排水制御装置
は、以下のように作用する。
【0041】通常の非雨天時には、下水管1内には下水
のみが流れており、下水はスクリーン2、沈砂池3、ポ
ンプ井4を順次通過する。一方、水位計5の計測値及び
地上雨量計21の雨量値に基づいて、制御部12により
ポンプ7の運転と弁8の開閉が制御される。
【0042】制御部12は、まず流入量演算部23が水
位計5の水位値Hから流入量Qを演算し、降雨量演算部
24が地上雨量計21の雨量値から降雨量を演算する。
次に降雨量予測部25が、降雨量演算部24により演算
された降雨量から将来の降雨量を予測演算する。
【0043】続いて流入量予測部26が、非線形のB1
ock−orientedモデル等を用いて流入量予測
値を演算する。さらに流入水質予測部27が、流入量予
測部26により出力される予測流入量Qを入力値として
流入水質予測演算を行い、流入水質予測値C1 を演算す
る図3及び図4に示すように、雨水流入量Qが増加する
に従って、堆積量Sが減少する。一方、Sが減少してい
る時間においては、流入水質予測値C1 が増大し、Sの
減少が停止するとC1 も雨水流入前のレベルに戻る。
【0044】さらに管内水質変化予測部28aが、流入
水質予測値C1 と予測流入量Qを入力値として、管内水
質変化予測値C2 を演算する。その後、雨水排水制御部
28bが、管内水質変化予測部28aでの出力値C2
入力値として、図7のアルゴリズムによりポンプ7と弁
8のON−OFF制御を実施する。
【0045】なお、図7のアルゴリズムでは、水位とC
2 の値によってポンプのON−OFFを制御している
が、水位Hと流量Qとの関係式、いわゆるQ−Hカーブ
(図12参照)によりQを算出し、このQ値とポンプの
揚水量との関係式によって、ポンプの流量を一定に制御
したり、ポンプ井4の水位を一定に制御したり、駆動す
るポンプの台数や出力についての制御を行ってもよい。
【0046】以上のように本実施の形態によれば、流入
水質予測部27の水質モデルとして、(1)式及び
(2)式のようにパラメータの少ない堆積量を加味した
モデルを用いたので、パラメータフィッティングが容易
でかつ精度の高い流入水質予測が可能である。従って、
ポンプ場、下水処理場、雨水滞水池、雨水貯留管等、流
入する雨水を貯留する管とその雨水を排出するポンプを
有する下水道設備において、濁度計やUV計等の水質セ
ンサを使用しなくても、河川、湖沼、海域等の公共用水
で初期降雨汚濁(ファーストフラッシュ)を起こさず常
に良好な排水水質を維持できる。
【0047】また本実施の形態によれば、流入水質モデ
ルの(1)式の解法としてルンゲクッタ法を利用してい
るので、容易にSを導出することができる。
【0048】また本実施の形態によれば、管内水質変化
予測部28aの水質モデルとして、ストークスモデル及
び粒径分布を考慮した(3)式〜(6)式のようなシン
プルな沈殿モデルを使用したので、数時間から数日先ま
での水質変化を、迅速かつ高精度に予測可能である。
【0049】また本実施の形態によれば、雨水排水制御
部28bは図7に示すアルゴリズムに従って作動するた
め、ポンプ7と弁8とがシンブルに制御され、ファース
トフラッシュと浸水とを極めて簡便に抑制することがで
きる。
【0050】また本実施の形態によれば、流入量演算部
26によって、水位計5のH値に基づいて容易に流量を
演算することができる。
【0051】また本実施の形態によれば、地上雨量計2
1の雨量データを用いているため、対象流域にとって最
適の地上雨量データを選択すること等により、高精度の
降雨量の演算が可能である。
【0052】さらに本実施の形態によれば、非線形のB
1ock−orientedモデル等を用いて流入量予
測を行っているので、多種の降雨に対応して高精度の流
入量予測が可能である。
【0053】なお、本実施の形態においては、水質予測
値として濁度に相当する流入水質予測値C1 及び管内水
質変化予測値C2 を演算しているが、濁度以外の指標を
演算(シミュレーション)することも可能である。
【0054】また、UV計によるUV値を指標とするこ
ともできる。また以下の指標も演算することができる。
この場合、各指標と堆積物との相関式(モデル式及び各
種パラメータ)が必要となる。BOD、COD(M
n)、COD(Cr)、NH4 、TN、PO4 、TP、
環境ホルモンは、UV値および濁度と相関があり、大腸
菌群、有害微生物は、濁度と相関がある。
【0055】また、流入水質予測部27が流入水質予測
値C1 を求めるモデルとして、以下の(7)式〜(1
8)式の使用が可能である。
【数4】
【0056】以上のモデル式は、(7)式と(8)式は
それぞれ単独で用いられるが、その他は(9)式+(1
0)式、(11)式+(12)式、(13)式+(1
4)式、(15)式+(16)式、(17)式+(1
8)式という組み合わせで用いられる。
【0057】また、流入水質モデルの微分方程式の解法
としては、ルンゲクッタ法以外の方法、例えばオイラー
法や、差分法等を使用することができる。その他、一般
解を算出する方法を用いてもよい。
【0058】また、管内水質変化予測部28aが管内水
質変化予測値C2 を求めるモデルとして、以下の(1
9)式〜(23)式の使用が可能である。
【数5】
【0059】(21)式は指数関数モデル、(22)式
は多粒子変換モデル、(23)式は3次元の沈殿を示す
偏微分方程式モデルである。(23)式は、有限要素
法、残差法等の解法により演算される。
【0060】その他 流入量演算部23は、直接流量計
で構成することも可能である。また、降雨量演算部24
は、地上雨量計21のデータの他に、レーダ雨量計、レ
ーダ雨量計と地上雨量計との組み合わせ、気象庁配信の
降雨量データ等、種々の計測データを使用する態様が考
えられる。さらに流入量予測部26は、貯留関数法、R
RL法、メッシュ法等の既存の流出量予測モデルや、線
形のARMAX法等の使用が可能である。
【0061】次に、本発明の第2の実施の形態の雨水排
水制御装置について図8及び図9を用いて説明する。図
8は、第2の実施の形態の雨水排水制御装置の概略図で
ある。
【0062】図8に示すように、本実施の形態の雨水排
水制御装置45は、スクリーン2、沈砂池3及びポンプ
井4の代わりに雨水貯留管30を有しており、下水管1
は流入ゲート31を介して管33によって雨水貯留管3
0に接続されている。制御部12は、流入ゲート31に
も接続されている。制御部12の流入水質予測部27に
は、図9に示すように、ゲート開閉制御部35が接続さ
れている。
【0063】その他の構成は、図1及び図2に示す第1
の実施の形態と同様の構成である。第2の実施の形態に
おいて、図1及び図2に示す第1の実施の形態と同一の
部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0064】本実施の形態のゲート開閉制御部35は、
流入水質予測部27によって演算される流入水質予測値
1 と設定基準値CSV’とを比較して、C1 の値が
SV’よりも小さい時(C1 <CSV’)は、流入ゲート
31を閉じ、C1 ≧CSV’の時は、流入ゲート31を開
く。
【0065】本実施の形態によれば、流入ゲート31の
開閉制御を容易に行うことができる。
【0066】その他、流入ゲート31の制御は、流入水
質予測部27によって演算される流入水質予測値C1
基づいて開度を制御したり、先行してゲートの開閉を制
御する態様も可能である。
【0067】なお、開閉制御のための指標として、流入
水質予測値C1 の他に、QとC1 の積算値である予測汚
濁物量、C1 の変化値、C1 の積算値などが使用可能で
ある。
【0068】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、雨水流
入量情報を組み込んだ流入水質モデルを用いて、当該流
入水質モデルと雨水流入量とから将来の流入水質を予測
するため、メンテナンス等が困難な水質センサを設けな
くても、安定した雨水排水制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の雨水排水制御装置の第1の実施の形態
を示す概略図。
【図2】図1の制御部の構成を示す概略ブロック図。
【図3】堆積量のシミュレーション結果の一例を示す
図。
【図4】流入水質予測値のシミュレーション結果の一例
を示す図。
【図5】管内水質変化予測値のシミュレーション結果の
一例を示す図。
【図6】図5のデータをスプライン補間した図。
【図7】図1の雨水排水制御部の作用を示すフロー図。
【図8】本発明の雨水排水制御装置の第2の実施の形態
を示す概略図。
【図9】図8の制御部の構成を示す概略ブロック図。
【図10】従来の雨水排水制御装置を示す概略図。
【図11】図10の制御装置の作用を示すフロー図。
【図12】雨水流入量と水位との関係の一例を示す図。
【符号の説明】
1 下水管 2 スクリーン 3 沈砂池 4 ポンプ井 5 水位計 7 ポンプ 8 制御弁 9、10、11 管 12 制御部 13 河川 14 最初沈殿池 21 地上雨量計 23 流入量演算部 24 降雨量演算部 25 降雨量予測部 26 流入量予測部 27 流入水質予測部 28 排水制御部 28a 管内水質変化予測部 28b 雨水排水制御部 30 雨水貯留管 31 流入ゲート 33 管 35 ゲート開閉制御部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長 岩 明 弘 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内 (72)発明者 山 中 理 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内 (72)発明者 仲 田 雅司郎 東京都港区芝浦一丁目1番1号 株式会社 東芝本社事務所内 (72)発明者 上 西 範 久 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内 (72)発明者 松 原 慎一郎 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内 Fターム(参考) 2D063 AA09 3H045 AA09 AA12 AA23 BA19 BA25 CA00 CA16 DA01 DA04 DA15 EA15 EA26 5H004 GA40 GB08 HA04 HB02 HB04 HB05 HB20 JB18 KA12 KC12 KC23 KC24 KC27 LA18

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】雨水流入量を入力する雨水流入量入力部
    と、 水質予測モデルを有し、雨水流入量入力部から入力され
    る雨水流入量と水質予測モデルとから将来の流入水質を
    予測する流入水質予測演算部と、 雨水排水装置に設けられ、流入水質予測部が予測した将
    来の流入水質に基づいて雨水排水装置を制御する排水制
    御部と、を備え、 水質予測モデルは、雨水流入量をQ、管内の堆積物量を
    S、晴天時流出負荷量をLF 、パラメータをk、m、n
    として、流入水質C1 を、 dS/dt=LF −(k・Sm ・Qn ) C1 =(k・Sm ・Qn-1 ) としてモデル化したものであることを特徴とする雨水排
    水制御装置。
  2. 【請求項2】雨水流入量を入力する雨水流入量入力部
    と、 水質予測モデルを有し、雨水流入量入力部から入力され
    る雨水流入量と水質予測モデルとから将来の流入水質を
    予測する流入水質予測部と、 雨水排水装置に設けられ、流入水質予測部が予測した将
    来の流入水質に基づいて雨水排水装置を制御する排水制
    御部と、を備え、 水質予測モデルは、雨水流入量をQ、パラメータをk、
    nとして、流入水質C1 を、 C1 =k・Qn としてモデル化したものであることを特徴とする雨水排
    水制御装置。
  3. 【請求項3】流入水質予測部は、ルンゲクッタ法、オイ
    ラー法及び差分法のうちのいずれかを用いてdS/dt
    =LF −(k・Sm ・Qn )からSを導出するようにな
    っていることを特徴とする請求項1に記載の雨水排水制
    御装置。
  4. 【請求項4】排水制御部は、 水質変化モデルを有し、流入水質予測部が予測した将来
    の流入水質と水質変化モデルとから将来の管内水質を予
    測する管内水質予測部を有することを特徴とする請求項
    1乃至3のいずれかに記載の雨水排水制御装置。
  5. 【請求項5】水質変化モデルは、初期水質をC0 、雨水
    流入量をQ、流入水質をC1 、変化後の管内水質をC
    2 、初期水容積をV、各粒子の沈降速度をvi 、重力加
    速度をg、各粒子の密度をρi 、水の密度をρ0 、各粒
    子の粒子径をdi 、水の粘性定数をμ、各粒子が沈降す
    る時間をti 、水位からの距離をzj 、各粒子の水質分
    布率をRi 、i=1、2、3…は粒径の大きい順とし
    て、管内水質C2 を、 【数1】 としてモデル化したものであることを特徴とする請求項
    4に記載の雨水排水制御装置。
  6. 【請求項6】雨水流入量入力部は、雨水流入量予測装置
    に接続されており、予測された雨水流入量が入力される
    ようになっていることを特徴とする請求項1乃至5のい
    ずれかに記載の雨水排水制御装置。
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