JP2000239574A - 水中防汚塗料組成物及びその組成物からなる水中防汚膜 - Google Patents

水中防汚塗料組成物及びその組成物からなる水中防汚膜

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JP2000239574A
JP2000239574A JP11039212A JP3921299A JP2000239574A JP 2000239574 A JP2000239574 A JP 2000239574A JP 11039212 A JP11039212 A JP 11039212A JP 3921299 A JP3921299 A JP 3921299A JP 2000239574 A JP2000239574 A JP 2000239574A
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Reiko Takazawa
令子 高澤
Akihiro Wakatsuki
章弘 若月
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 海水又は淡水の生態系や環境に対して安全性
が高く、水中生物の水中構造物への不要な付着を確実に
かつ持続して防止することが可能な水中防汚塗料組成物
と水中防汚膜を提供する。 【解決手段】 水中防汚塗料組成物は、カルボキシル基
を有する水溶性有機高分子又はその塩とアルカリ珪酸塩
又はSiO2とを必須成分として含有する成膜用組成物と、
この成膜用組成物にて形成される膜に付着させる光触媒
用酸化チタン及び/又はSiO2を含む酸化チタンの粉体、
又は光触媒用酸化チタン及び/又はSiO2を含む酸化チタ
ンを含有する付着用組成物とに区分されたものである。
水中防汚膜は、このような水中防汚塗料組成物を使用し
て被塗布材に形成する皮膜である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、海水又は淡水に触
れた状態で設置される水中構造物の表面への水中生物の
付着を防止するために使用される水中防汚塗料組成物及
びその組成物からなる水中防汚膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】海水や淡水に触れた状態で長時間又は長
期間設置される水中構造物としては、例えば、船舶、海
洋構築物、港湾施設、漁網や養殖筏、養殖生簀等の漁業
設備、発電所や臨海プラントにおける冷却用水の取水路
や排水路、橋脚、水門、タンク等がある。そして、この
ような水中構造物においては、海水や淡水に触れる表面
に水中生物が付着して様々な不具合が生じている。例え
ば、海水中に置かれる船舶、海洋構築物、漁業設備、冷
却用水の取水路、排水路等の水中構造物においては、そ
の海水と触れる表面に珪藻、バクテリア等の微細生物や
フジツボ、カキ、ムラサキイガイ、カンザシゴカイ、ホ
ヤ、アオサ、アオノリ等の大型付着動植物等に代表され
る水中生物が付着し、この水中生物の付着により、船舶
の海水抵抗の増加、構造物の劣化、冷却効率の低下、漁
業施設における目詰りによる魚介類の大量死や重量増加
に起因する作業効率の低下等のさまざまな障害が生じて
いる。また、河川水や湖水を利用した工業用水や水道水
を使用する各種冷却装置などでは、その取水路や排水路
や配水管においてバクテリア、珪藻、ラン藻、アオミド
ロ等に代表される水中成分が付着し、この水中生物の付
着により、冷却効率の低下や流量減少などの障害が生じ
ている。
【0003】そこで、従来、このような水中生物が水中
構造物に付着することを防止するため、水中構造物の表
面に塗布して使用する各種の防汚剤が使用されていた。
なかでも、これまでに海洋生物の付着防止に大きな効果
をあげていた防汚剤として、トリブチル錫オキサイド等
の有機スズ化合物や亜酸化銅等の重金属含有化合物を含
有する防汚剤があった。
【0004】しかし、この有機スズ化合物を含有する防
汚剤は、海水中で連続的に溶出することにより防汚効果
を発現しているものであるが、それら化合物が毒性があ
り、海洋生態系への悪影響や環境汚染への関与の可能性
が指摘されるようになったため、最近になってそれら化
合物の使用が禁止となった。このため、新たな防汚剤が
衆望されている。
【0005】一方、安全で環境への影響がない防汚剤と
して、フラノテルペンやミリストレイン酸(特開平5-27
1009号公報)、カロテノイド化合物(特開平5-331003号
公報)、ペニジリン(特開平5-331010号公報)等の天然
物由来化合物を含有する防汚剤が提案されている。
【0006】しかし、この天然物由来化合物のような天
然物より抽出する成分は、一般に植物あるいは動物のい
ずれからも微量にしか採取できないため、現段階では防
汚のための有効成分として用いるのは困難であって実用
的ではないという不都合がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情に着目してなされたものであり、その目的とすると
ころは、海水又は淡水の生態系や環境に対して安全性が
高く、水中生物の水中構造物への不要な付着を確実にか
つ持続して防止することが可能な水中防汚塗料組成物と
水中防汚膜を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成し得る
本発明は、カルボキシル基を有する水溶性有機高分子又
はその塩とアルカリ珪酸塩又はSiO2とを必須成分として
含有する成膜用組成物と、この成膜用組成物にて形成さ
れる膜に付着させる光触媒用酸化チタン及び/又はSiO2
を含む酸化チタンの粉体、又は光触媒用酸化チタン及び
/又はSiO2を含む酸化チタンを含有する付着用組成物と
に区分されている水中防汚塗料組成物である。
【0009】ここで、上記成膜用組成物におけるカルボ
キシル基を有する水溶性有機高分子及びその塩として
は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン
酸等から選ばれた1種又は2種以上のカルボキシル基を
有する単量体を単独重合又は共重合して得られる単独重
合体又は共重合体及びその塩や、これら1種又は2種以
上のカルボキシル基を有する単量体とこの単量体と共重
合可能な他の単量体とを共重合して得られる共重合体及
びその塩や、アルギン酸及びその誘導体類やカルボキシ
メチルセルロース等のセルロース誘導体が用いられる。
これらの水溶性有機高分子又はその塩の1種、あるいは
必要に応じて2種以上のものが適宜使用される。この水
溶性有機高分子又はその塩は、その平均分子量が約10
00〜100万からなるものである。
【0010】具体的には、ポリアクリル酸,ポリメタク
リル酸,ポリマレイン酸,ポリイタコン酸,ポリアクリ
ル酸−ポリメタクリル酸の共重合体及びその塩、ポリア
クリル酸を有する共重合体及びその塩、ポリメタクリル
酸等を有する共重合体及びその塩、ポリマレイン酸を有
する共重合体及びその塩、ポリイタコン酸を有する共重
合体及びその塩等である。また、ポリアクリル酸,ポリ
メタクリル酸,ポリマレイン酸又はポリイタコン酸等を
有する共重合体及びその塩とは、分子内の一部に上記各
酸の重合体のいずれかを含む共重合体及びその塩であ
り、例えば、ポリアクリル酸―ポリビニルアルコール共
重合体及びその塩、ポリアクリル酸―ポリイタコン酸共
重合体及びその塩、ポリメタクリル酸―ポリイタコン酸
共重合体及びその塩、ポリアクリル酸―ポリマレイン酸
共重合体及びその塩、ポリメタクリル酸―ポリマレイン
酸共重合体及びその塩、ポリアクリル酸―ポリメタクリ
ル酸―ポリアクリル酸エステル共重合体及びその塩、ポ
リスチレン−ポリマレイン酸共重合体及びその塩、ポリ
ブチレン−ポリマレイン酸共重合体及びその塩、ポリス
チレン−ポリアクリル酸−ポリメタクリル酸共重合体及
びその塩等である。
【0011】また、上記成膜用組成物におけるアルカリ
珪酸塩は、一般式M2O ・n SiO2で示されるものであり、
その式中のMがリチウム(Li) 、ナトリウム(Na)、カリ
ウム(K )又は四級アンモニウムのいずれかであり、しか
も、nが0.5以上、より好ましくは1〜4であること
が好ましい。nが0.5未満である場合には、アルカリ
分が多くなるため膜の被塗布材との密着性がわるくなる
等の不具合がある。
【0012】アルカリ珪酸塩又はSiO2は、SiO2/水溶性
有機高分子又はその塩の固形分比が0.1〜100、よ
り好ましくは1〜10となるように成膜用組成物中に含
有されていることが好ましい。この固形分比が上記数値
範囲を外れると(0.1未満になるか又は100を超え
ると)防汚効果が大幅に低下する等の不具合がある。ま
た、この固形分比が1〜10の範囲では特に防汚効果が
より持続して得られるようになる。
【0013】さらに、上記成膜用組成物には、被塗布材
に対して塗布した場合のその塗膜の被塗布材との密着性
を向上できるという観点から、3つ以上の一級アルコー
ルを分子内に有する3価以上の非環式多価アルコールを
配合することが好ましい。この場合、非環式多価アルコ
ールは、(加熱)乾燥時に蒸発してしまうことがない等
の理由から、トリメチロールエタン、トリメチロールプ
ロパン又はペンタエリスリトールであることが好まし
い。また、非環式多価アルコールの配合量は、0.5〜
10g/l程度であることが好ましい。
【0014】一方、上記粉体としての光触媒用酸化チタ
ン又は付着用組成物における光触媒用酸化チタンは、そ
のいずれも光触媒用のものであり、具体的にはアナター
ゼ型の結晶からなるものである。したがって、この酸化
チタンは、顔料用に使用されるようなルチル型の酸化チ
タンとは異なる。しかも、上記双方の光触媒用酸化チタ
ンは、その酸化チタン単独のもの(SiO2を含まないも
の)に限らず、SiO2を含む(添加した)酸化チタンや、
酸化チタン単独のものとSiO2を含む酸化チタンとが混合
されたものであってもよい。また、このような光触媒用
酸化チタン及び/又はSiO2を含む酸化チタン(以下、単
に「光触媒用酸化チタン類」ともいう)の粉体は、前記
成膜用組成物にて形成される膜に付着させ得る粉末状の
ものである。さらに、この付着用組成物は、上記したよ
うな光触媒用酸化チタン類を少なくとも含有する組成物
であればよく、具体的には、その光触媒用酸化チタン類
を所定の媒体に分散させた溶液の形態や、その光触媒用
酸化チタン類を含有する塗料形態等からなるものが使用
される。溶液形態における媒体としては、例えば、水、
アルコール等が使用可能である。
【0015】この発明の水中防汚塗料組成物は、上記し
た成膜用組成物と光触媒用酸化チタン類の粉体又はその
光触媒用酸化チタン類を含有する付着用組成物とが区分
されて個別化されているものである。なお、この水中防
汚塗料組成物における成膜用組成物と付着用組成物の双
方には、必要に応じて、その塗料組成物やその塗膜の性
能及び塗布性能を高める等の観点から、補助バインダー
樹脂、顔料、硬化剤、各種添加剤、その他の公知の防汚
剤や抗菌剤を適宜選択して配合することができる。
【0016】そして、この成膜用組成物と光触媒用酸化
チタン類の粉体とからなる水中防汚塗料組成物は、その
成膜用組成物を被塗布材に塗布して形成される膜に、そ
の光触媒用酸化チタン類の粉体を付着させるように使用
される。これにより、被塗布材上には本発明による水中
防汚膜が形成される。ここで、上記成膜用組成物にて
(塗布して)形成される膜とは、その成膜用組成物を塗
布した後の膜、その塗布後に乾燥させた後の膜、その乾
燥後に水洗した後の膜、又は、その水洗後に乾燥させた
後の膜のいずれかである。従って、この4種の段階にあ
るいずれかの膜に光触媒用酸化チタン類の粉体を付着さ
せればよい。また、この粉体の付着方法は、特に制約さ
れるものではなく、例えば、その粉体を吹きつけたり、
噴霧する方法などが適用できる。
【0017】また、上述のような区分された2つの組成
物からなる水中防汚塗料組成物は、その成膜用組成物を
被塗布材に塗布して乾燥させた後、その形成された膜に
対して付着用組成物を塗布してその組成物中の光触媒用
酸化チタン類を膜に付着させるように使用される。これ
により、被塗布材上に最終的な水中防汚膜が形成され
る。この他にも、その成膜用組成物を被塗布材に塗布し
て乾燥させた後に水洗してなる膜に、その付着用組成物
を塗布して最終的な水中防汚膜としてもよい。しかし、
この塗料組成物は、このような使用も可能であるが、光
触媒用酸化チタン類をより確実に膜に付着させる等の観
点からは、後述するような使用方法を採用することが望
ましい。
【0018】すなわち、上記したような水中防汚塗料組
成物の成膜用組成物を被塗布材に塗布して乾燥させた後
に水洗して乾燥してなる膜に、その塗料組成物の付着用
組成物を塗布して光触媒用酸化チタン類を付着させる。
これにより、被塗布材上に最終的な水中防汚膜が形成さ
れる。
【0019】また、これらの水中防汚膜は、前記粉体を
付着させる水中防汚膜、付着用組成物を塗布する水中防
汚膜のいずれの場合であっても、光触媒用酸化チタン類
を最終的に形成される水中防汚膜中のSiO2/光触媒用酸
化チタンの固形分比が0.01〜100、より好ましく
は0.1〜10となるように膜に付着させていることが
好ましい。この双方の水中防汚膜における固形分比が上
記数値範囲を外れると(0.1未満になるか又は100
を超えると)防汚効果やその持続性が低下する等の不具
合がある。このような固形分比の範囲内となるように光
触媒用酸化チタン類を膜に付着させるには、例えば、光
触媒用酸化チタン類の粉体の付着量、付着用組成物中の
光触媒用酸化チタン類の含有量、付着用組成物の塗布量
等を適宜調整すればよい。なお、この水中防汚膜中の固
形分比を満足するのであれば、そのときのSiO2は成膜用
組成物側のみに存在していても、その成膜用組成物側と
後から付着させる光触媒用酸化チタン類側の双方に存在
していてもよい。特に後者の場合、そのSiO2が成膜用組
成物側にはごく少量で光触媒用酸化チタン類側にほとん
ど存在するようになっていても構わない。
【0020】上記成膜用組成物の塗布手段と付着用組成
物の塗布手段としては、そのいずれの場合であっても、
ロール塗り、刷毛塗り、バーコート法、浸漬法、スピン
コート法、スプレーコート法等を採用することができ
る。この成膜用組成物を塗布して形成する膜は、特に制
限されるものではないが、その乾燥後の膜重量が少なく
とも0.1〜500g/m2 程度となるように形成すれ
ばよい。また、上記成膜用組成物の塗布後の乾燥と上記
膜の水洗後の乾燥は、そのいずれも常温〜330℃の温
度下で10秒〜数日という乾燥時間で行うことが好まし
い。
【0021】また、上記水洗は、工業用水、水道水、イ
オン交換水等の純水や海水等の塩水を用いて行う水洗の
ほか、無機酸又は有機酸を用いて行う酸洗、金属塩溶液
を用いて行う水洗等を含むものである。このような水洗
(酸洗)は、その水又は酸をスプレーする方法、その水
又は酸のなかに浸漬する浸漬法等によって行われる。ま
た、この水洗時間は10秒〜10分程度が好ましい。さ
らに、この水洗作業は、先の成膜組成物からなる膜を形
成してから遅くも数日間の時間が経過する前に行うこと
が望ましい。一方、この水洗を行った後の乾燥は、常温
〜330℃の温度下で10秒〜数日という乾燥時間で行
うことが好ましい。
【0022】この水洗乾燥を経て形成される水中防汚膜
は、通常の塗膜として使用する場合、水中防汚塗料組成
物の成膜用組成物を塗布する被塗布材は、一般に前述し
たような海水や淡水に触れた状態で設置する水中構造物
となる。被塗布材は水中構造物以外の物品であっても構
わない。
【0023】なお、本発明の水中防汚塗料組成物の成膜
用組成物を塗布する被塗布材の表面(その被塗布材全体
である場合も含む)は、少なくとも海水又は淡水中での
使用が可能な材質からなるものであれば如何なる材質か
らなるものであってもよく、その材質としては、例え
ば、アルミニウム、鉄、ステンレス等の金属材料や、プ
ラスチック、発砲スチロール、ゴム、繊維等の有機材料
やセラミックス等の無機材料等が挙げられる。さらに、
被塗布材の表面は、成膜用組成物を塗布するに先立っ
て、予め耐食性を付与させる表面処理や、その成膜用組
成物との密着性等の向上を図るための下地処理等の前処
理を施してもよい。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、実施例及び比較例に基づい
て本発明をさらに詳細に説明する。
【0025】実施例1〜14及び比較例1〜9 [水中防汚塗料組成物の成膜用組成物の調製]表1に示
す種類及び量(又は固形分比)のSiO2含有原料{アルカ
リ珪酸塩(M2O ・n SiO2)又はコロイダルシリカ}及び
カルボキシル基含有水溶性有機高分子と必要に応じて配
合する表1に示す種類及び量の多価アルコールとを、水
性媒体としてのイオン交換水に添加して建浴し、実施例
1〜14及び比較例1〜4の水中防汚塗料組成物におけ
る成膜用組成物をそれぞれ調製した。
【0026】表1に示すコロイダルシリカGは日産化学
(株)製:スノーテックスST-C(固形分20%)であり、
また、カルボキシル基含有水溶性有機高分子A〜Fは以
下のものである。すなわち、Aは平均分子量60000のポ
リアクリル酸カリウム(ロームアンドハース社製:アキ
ュマー1510、固形分25%をKOHで当量中和したもの)、
Bは平均分子量60000のポリアクリル酸ナトリウム(ロ
ームアンドハース社製:アキュマー1510、固形分25%を
NaOHで当量中和したもの)、Cは平均分子量60000のポ
リアクリル酸−ポリメタクリル酸共重合体(日本純薬
(株)製:ジュリマーAC-20H、固形分20%)、Dは平均
分子量60000のポリアクリル酸(ロームアンドハース社
製:アキュマー1510、固形分25%)、Eは平均分子量40
000のポリアクリル酸アンモニウム−ポリアクリル酸エ
ステル共重合体(日本純薬(株)製:ジュリマーAT-51
0、固形分30%をアンモニウム中和したもの)、Fは平
均分子量40000のポリアクリル酸−ポリアクリル酸エス
テル共重合体(日本純薬(株)製:ジュリマーAT-510、
固形分30%)である。さらに、表1に示す多価アルコー
ルKはペンタエリスリトール(三井東圧化学(株)製:
ペントール)である。
【0027】[水中防汚塗料組成物の付着用組成物の調
製]付着用組成物として、光触媒用酸化チタン溶液I,
J,Kと光触媒用酸化チタン塗料Lをそれぞれ用意し
た。ここで、その溶液IはPW-1010 (触媒化成工業製:
固形分 8.8%)、JはSTS-21(石原産業(株)製:固形
分40%)、KはCSB-M(堺化学工業製: 固形分40%)であ
る。また、その塗料LはST-K03(石原産業(株)製:固
形分10%)である。
【0028】[試験片の作製]アルミニウム板(JIS 10
50、 100×150×15mm)に膜厚10μmの陽極酸化皮膜
を形成したものを被塗布材として使用した。実施例1〜
12及び比較例1〜4、6では、このアルミニウム板の
表面に、調製した各水中防汚塗塗料組成物の成膜用組成
物を乾燥後の膜重量が10g/m2 となるように塗布し
た後、250℃で20秒間乾燥させ、次いで、その塗布
後のアルミニウム板を水道水に1分間浸漬して水洗した
後に引き上げてから180℃で1分間乾燥させて成膜し
た。また、実施例13、14及び比較例1〜3では、上
記アルミニウム板の表面に上記成膜用組成物を乾燥後の
膜重量が10g/m2 となるように塗布した後、250
℃で20秒間乾燥させて成膜した。また、比較のため、
上記成膜用組成物に予め表1に示す種類及び量の光触媒
酸化チタンJを加えた組成物を作製し、それを上記アル
ミニウム板に塗布する予定であった(比較例5)が、そ
の組成物がゲル化してしまい成膜させることができなか
った。
【0029】次に、各成膜用組成物からなる膜を形成し
たアルミニウム板の膜上に、表2に示す種類の酸化チタ
ンを含む各付着用組成物をその酸化チタンが表2に示す
付着量となるようにそれぞれ塗布(例えばそのまま塗
布、希釈して塗布、重ね塗り)した後、250℃で20
秒間乾燥させて、各実施例及び比較例に係る水中防汚膜
がそれぞれ形成された各試験片を得た。また、比較のた
め、アルミニウム板に上記膜を形成したのみで付着用組
成物を塗布しない試験片(比較例6)を作製した。表2
中に、水中防汚膜中のSiO2の量(d)と水中防汚膜に付
着している光触媒用酸化チタンの量(e)とを併せて示
した。このうち皮膜中のSiO2の量(d)については、成
膜用組成物の全固形分(a)に占めるSiO2の量(b)の
割合(c)を算出し、この割合から膜重量が10g/m
2 の皮膜中のSiO2の量(d)を換算{d=(c/10
0)×10}して求めた。
【0030】また、参考のために、比較例7として前記
した同様のアルミニウム板そのものを、比較例8として
前記した同様のアルミニウム板の表面に膜厚10μmの
陽極酸化皮膜を形成したものを、比較例9として塩化ビ
ニル板(100×150×15mm)そのものを、各比較例に係る
試験片として用意した。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】[水中防汚膜の密着性試験]得られた実施
例1〜14及び比較例1〜4、6に係る試験片を用い、
その各試験片における水中防汚膜の湿潤時(wet)及
び乾燥時(dry)における密着性について次のような
試験を行った。すなわち、湿潤時における密着性試験
は、各試験片の水中防汚膜上に1mlの水滴をたらした
後、その膜面を指で10回こすった時の防汚膜の密着状
態を調べた。また、乾燥時における密着性試験は、各試
験片の水中防汚膜面をキムワイプで10回こすった時の
防汚膜の密着状態を調べた。そして、各試験により調べ
た防汚膜の密着状態について、そのいずれの場合も、以
下の基準で評価した。このときの結果を表3に示す。 (評価基準) ◎:膜剥がれまったくなし ○:膜剥がれほとんどなし △:膜剥がれ少々あり
【0034】[防汚試験]また、得られた実施例1〜1
4及び比較例1〜4、6〜9に係る試験片を用いて次の
ような防汚試験を行った。すなわち、各試験片を清水市
折戸湾の海面下1.5mに浸漬し、1ヵ月経過後、3ヵ
月経過後及び6ヵ月経過後にそれぞれ引き上げて試験片
の表面に付着した生物の付着状況を観察し、以下の基準
で評価した。その結果を表3に示す。 (評価基準) ◎:生物付着量(面積)が試験片の全表面積の5%未満 ○:生物付着量が試験片の全表面積の5%以上20%未
満 △:生物付着量が試験片の全表面積の20%以上50%
未満 ×:生物付着量が試験片の全表面積の50%以上70%
未満 ××:生物付着量が試験片の全表面積の70%以上
【0035】
【表3】
【0036】表3の「防汚膜の密着性」の結果から明ら
かなように、成膜用組成物の塗布膜を水洗して得た防汚
膜の密着性(実施例1〜12)は、その水洗をせずに得
た防汚膜の密着性(実施例13〜14)に比べて、特に
湿潤時において良好であった。また、この水洗の有無に
かかわらず、多価アルコールを配合した場合の防汚膜の
密着性(実施例9〜10、12、14)は、それを配合
しない場合の密着性(実施例1〜8、11、13)に比
べて良好であった。
【0037】また、表3の「水中生物の付着状況」の結
果から明らかなように、実施例1〜14では、水中生物
の付着がほとんどみられず、長期間にわたって試験当初
の清浄な表面状態が維持されていた。特に、光触媒用酸
化チタンを皮膜に後から付着させることにより、その防
汚膜の密着性がより良好となるとともに水中生物の付着
を防止する防汚効果がより長期にわたり持続して得られ
ている。なお、比較例6のように光触媒用酸化チタンを
付着していない皮膜のみの試験片では、実施例に比べて
防汚効果が劣る。これに対し、水中防汚皮膜を有してい
ない比較例7〜9(防汚膜を形成しない例)では言うに
及ばず、水中防汚皮膜を有している比較例1〜4でも、
多量の水中生物が付着した。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の水中防汚
塗料組成物及び水中防汚膜は、有機スズ化合物や重金属
含有化合物を含有するものではないので安全性が高いも
のであり、しかも、水中生物の水中構造物への不要な付
着を確実にかつ持続して防止することができる。特に、
光触媒用酸化チタン類を成膜用組成物からなる膜に付着
させていることにより、得られた水中防汚膜がより良好
となるうえ、上記したような水中生物の付着を防止する
防汚効果をより継続して得ることができる。また、SiO2
/水溶性有機高分子又はその塩の固形分比を特定の範囲
に設定したり、あるいは、特定の非環式多価アルコール
を配合した場合には、その防汚膜の密着性がより向上
し、また防汚効果がより確実に持続して得られるように
なる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J038 CG031 CG071 GA06 HA216 HA446 HA456 JA21 KA04 NA05

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボキシル基を有する水溶性有機高分
    子又はその塩とアルカリ珪酸塩又はSiO2とを必須成分と
    して含有する成膜用組成物と、この成膜用組成物にて形
    成される膜に付着させる光触媒用酸化チタン及び/又は
    SiO2を含む酸化チタンの粉体、又は光触媒用酸化チタン
    及び/又はSiO2を含む酸化チタンを含有する付着用組成
    物とに区分されていることを特徴とする水中防汚塗料組
    成物。
  2. 【請求項2】 アルカリ珪酸塩又はSiO2を、SiO2/水溶
    性有機高分子又はその塩の固形分比が0.1〜100と
    なるように成膜用組成物中に配合している請求項1記載
    の水中防汚塗料組成物。
  3. 【請求項3】 成膜用組成物中のアルカリ珪酸塩は一般
    式M2O ・n SiO2で示されるものであり、その式中のMが
    リチウム、ナトリウム、カリウム又は四級アンモニウム
    であり、かつ、nが0.5以上である請求項1記載の水
    中防汚塗料組成物。
  4. 【請求項4】 成膜用組成物に、3つ以上の一級アルコ
    ールを分子内に有する3価以上の非環式多価アルコール
    を配合している請求項1記載の水中防汚塗料組成物。
  5. 【請求項5】 非環式多価アルコールが、トリメチロー
    ルエタン、トリメチロールプロパン又はペンタエリスリ
    トールである請求項4記載の水中防汚塗料組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の水中防
    汚塗料組成物の成膜用組成物を被塗布材に塗布して形成
    される膜に、その塗料組成物の光触媒用酸化チタン及び
    /又はSiO2を含む酸化チタンの粉体を付着させてなるこ
    とを特徴とする水中防汚膜。
  7. 【請求項7】 光触媒用酸化チタンの粉体を、水中防汚
    膜中のSiO2/光触媒用酸化チタンの固形分比が0.01
    〜100となるように膜に付着させている請求項6記載
    の水中防汚膜。
  8. 【請求項8】 請求項1〜5のいずれかに記載の水中防
    汚塗料組成物の成膜用組成物を被塗布材に塗布して乾燥
    させてなる膜に、その塗料組成物の付着用組成物を塗布
    して光触媒用酸化チタン及び/又はSiO2を含む酸化チタ
    ンを付着させてなることを特徴とする水中防汚膜。
  9. 【請求項9】 請求項1〜5のいずれかに記載の水中防
    汚塗料組成物の成膜用組成物を被塗布材に塗布して乾燥
    させた後に水洗して乾燥させてなる膜に、その塗料組成
    物の付着用組成物を塗布して光触媒用酸化チタン及び/
    又はSiO2を含む酸化チタンを付着させてなることを特徴
    とする水中防汚膜。
  10. 【請求項10】 光触媒用酸化チタン及び/又はSiO2
    含む酸化チタンを、水中防汚膜中のSiO2/光触媒用酸化
    チタンの固形分比が0.01〜100となるように膜に
    付着させている請求項8又は9記載の水中防汚膜。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005097400A (ja) * 2003-09-24 2005-04-14 Chugoku Marine Paints Ltd 防汚塗料組成物、防汚塗膜、該防汚塗膜で被覆された船舶、水中構造物、漁具または漁網ならびにこれらの防汚方法
JP2011152102A (ja) * 2010-01-28 2011-08-11 Sunrise Sangyo Co Ltd 長期アルカリ性安定被膜、および長期アルカリ性安定被膜を用いた動物を飼育する建築物の防疫方法

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