JP2000238163A - 損傷修復複合材及びその使用方法 - Google Patents

損傷修復複合材及びその使用方法

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JP2000238163A
JP2000238163A JP3871399A JP3871399A JP2000238163A JP 2000238163 A JP2000238163 A JP 2000238163A JP 3871399 A JP3871399 A JP 3871399A JP 3871399 A JP3871399 A JP 3871399A JP 2000238163 A JP2000238163 A JP 2000238163A
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shape memory
damage repair
resin
hot
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JP3871399A
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English (en)
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Nobuhiro Goto
信弘 後藤
Hajime Naito
一 内藤
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】外部応力による変形の修復はもとより、衝撃・
疲労荷重等によって生じるクラックや破壊も修復するこ
とができ、しかも修復時の加熱を迅速かつ簡単に行える
ようにする。 【解決手段】損傷修復複合材を、内部に熱溶融材料1を
含む形状記憶樹脂2によって構成し、その形状記憶樹脂
2または熱溶融材料の少なくとも一方に導電性材料3を
含有させる。また、このような損傷修復複合材が外部応
力により変形・損傷した場合には、導電性材料3を介し
て通電を行って、損傷修復複合材を、形状記憶樹脂2の
形状回復温度以上で、かつ熱溶融材料1の溶融温度以上
に加熱することにより、損傷修復複合材を元の形状に戻
すとともに、破壊・クラック等の損傷を修復する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は損傷修復複合材及び
その使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂あるいはそ
れらの繊維強化体は、車輛部材、建築材料等のさまざま
な分野に使用されている。しかし、これらの樹脂成形品
は、衝撃により破壊されやすく、破壊すると修復するこ
とができないので、廃棄する以外に方法がないのが現状
である。具体的には、熱硬化性樹脂からなる成形品は、
衝撃により破壊されやすく、破壊すると修復できないの
で廃棄するしかない。また、熱可塑性樹脂からなる成形
品は、衝撃による破壊はし難いものの、変形が生じやす
く、変形を復元できないという問題がある。なお、変形
あるいは破壊した熱可塑性樹脂製成形品は、マテリアル
リサイクルによる再利用が可能であるが、費用と手間が
かかる。また、回収方法・ルートについては現在のとこ
ろ、完全には確立されていない。さらには、繊維強化体
の場合には、樹脂と繊維の分別及びリサイクルに更なる
費用と手間がかかるし、技術的にも難易度が高い。
【0003】ここで、変形した形状を復元できる材料と
しては形状記憶樹脂が挙げられる。形状記憶樹脂とは、
あらかじめ任意の形状を記憶させておき、低温領域では
変形を受けるが、高温になると記憶した元の形状に復元
する材料のことを言う。すなわち、形状記憶樹脂は、あ
る形状の成形体を別の形状に塑性変形し、冷却してその
形状を固定することができ、加熱すると元の形状に復元
する性質を有する樹脂である。
【0004】このような形状記憶樹脂としては、スチレ
ン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SB
S)、トランスポリイソプレン(TPI)、ポリウレタ
ン樹脂、ハイスチレン樹脂、あるいは特開平2−225
518号公報に挙げられているようなポリノルボルネン
系樹脂がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、形状記憶樹
脂単体では、変形を回復できるが、繰り返し荷重やクリ
ープ荷重による疲労、あるいは高速衝撃により形状記憶
樹脂自体にクラックや破壊が生じてしまうと、修復でき
ないという問題がある。このような形状記憶樹脂の中
で、特開平2−225518号公報に挙げられているポ
リノルボルネン系樹脂は、機械的強度に優れている反
面、衝撃が過度に加わったり、疲労荷重が加わるとクラ
ックが生じ、ひどい場合には破壊されてしまうという問
題がある。形状記憶樹脂にクラックや破壊が起こらない
ようにするには、樹脂の弾性率を下げる必要があり、そ
うなると機械的強度が要求される用途には使用できなく
なってしまう。また、変形した形状を回復させるために
は、加熱手段により外部から加熱するしかなく、装置が
必要であったり、オーブンやホットブラスター等による
加熱である場合には、装置を所定温度にまで加熱するの
に時間がかかる。また、気温が低い場合には屋外での作
業に適さない。
【0006】本発明はそのような実情に鑑みてなされた
もので、外部応力による変形の修復はもとより、衝撃・
疲労荷重等によって生じるクラックや破壊も修復するこ
とができ、しかも修復時の加熱を迅速かつ簡単に行うこ
とのできる損傷修復複合材及びその使用方法の提供を目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の損傷修復複合材
は、熱溶融材料を内包する形状記憶樹脂からなり、その
形状記憶樹脂または熱溶融材料の少なくとも一方に導電
性材料が含有されていることによって特徴づけられる。
【0008】本発明の損傷修復複合材のより具体的な例
としては、図1に示すように、熱溶融材料1を内部に含
む形状記憶樹脂2からなり、その形状記憶樹脂2に導電
性材料3を含有させた構造を挙げることができる。
【0009】また、他の例として、図2に示すように、
導電性材料としての導電性繊維4が熱溶融材料1によっ
て被覆され、さらに、その熱溶融材料1が形状記憶樹脂
2で被覆された構造を挙げることができる。この図2に
示す例では、導電性繊維により損傷修復複合材が補強さ
れるので、強度・弾性率の向上も期待できる。
【0010】本発明の損傷修復複合材の形態は、特に限
定されず、図1及び図2に示すような平板形状あるいは
図3に示すL字形状のほか、内部に熱溶融材料1を含む
形状記憶樹脂2で構成されているものであれば、どのよ
うな形状のものであってもよい。また、熱溶融材料1
は、必ずしも形状記憶樹脂2中に均一に含まれている必
要はなく、衝撃等の応力がかかる部分がわかっている場
合には、図3に示すように、その部分にのみ含まれてい
てもよい。
【0011】さらに、導電性材料3は、図1に示す形状
記憶樹脂2のみに含有されている形態、図2のように熱
溶融材料1のみに含有されている形態、あるいは、それ
ら形状記憶樹脂2及び熱溶融材料1の双方に含有されて
いる形態のすべてが本発明の範囲に含まれる。なお、導
電性材料3が粒子である場合には、良好かつ均一な発熱
性を得るために、均一分散していることが好ましい。
【0012】ここで、本発明の損傷修復複合材におい
て、熱溶融材料1は、溶融することにより損傷修復材と
して機能することから、形状記憶樹脂2によって囲まれ
ていること、つまり、形状記憶樹脂2の中に熱溶融材料
1が入っていることが必要となる。その理由は、形状記
憶樹脂2によって囲まれていない部分があると、熱溶融
材料1が溶融した際に外部に流れ出してしまい、十分な
修復効果を発揮できなくなることによる。ただし、熱溶
融材料1の粘度が極端に高くて流れ出し難い場合には、
部分的に熱溶融材料1が成形体表面に露出していてもよ
い。
【0013】本発明の損傷修復複合材に用いる形状記憶
樹脂には、熱硬化性のものと熱可塑性のものがあり、具
体的には、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共
重合体(SBS)、トランスポリイソプレン(TP
I)、ノルボルネン系ポリマー、ポリウレタン樹脂、ハ
イスチレン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、特
に、通電加熱しても溶融せず、形状保持性が良いという
点で、熱硬化性樹脂が好ましい。
【0014】形状記憶樹脂が熱硬化性樹脂であると、機
械的強度に優れた損傷修復複合材を提供することができ
るのはもちろんのこと、通電加熱して損傷修復させる際
に、熱硬化性であることから、溶融せずに形状保持性が
良いため、形状の崩れがなく、元の形状にきれいに復元
することができる、という利点がある。
【0015】熱硬化性形状記憶樹脂としては、架橋ノル
ボルネン系ポリマーが好ましく、特に、ポリジシクロペ
ンタジエンが好ましい。
【0016】架橋ノルボルネン系ポリマーが好ましい理
由は、熱変形温度が高い上に、通電加熱して損傷修復さ
せる際に、過加熱になっても溶融しないという特性があ
ることによる。このような架橋ノルボルネン系ポリマー
は、三環体以上の多環ノルボルネン系モノマーを、重合
触媒により塊状開環重合させることにより得ることがで
きる。三環体以上の多環ノルボルネン系モノマーを使用
する理由は、熱変形温度の高いポリマーが得られること
による。
【0017】なお、ジシクロペンタジエンは、 価格・反
応性・物性・入手の容易さの点から、モルボルネンモノ
マーの中では好ましいと言える。
【0018】ここで、三環体以上のノルボルネン系モノ
マーを塊状開環重合させると、架橋性ポリマーが生成す
るが、ポリマーの架橋度を高めるために、全モノマー中
の少なくとも10重量%、好ましくは30重量%以上の
架橋性モノマーを使用することが好ましい。架橋度を高
めることにより、機械強度及び耐熱性に優れた重合体を
得ることができる。
【0019】具体的な三環体以上のノルボルネン系モノ
マーの例としては、ジシクロペンタジエンやジヒドロジ
シクロペンタジエンなどの三環体ミテトラシクロドデセ
ンなどの四環体、トリシクロペンタジエンなどの五環
体、テトラシクロペンタジエンなどの七環体、これらの
アルキル置換体(例えば、メチル、エチル、プロピル、
ブチル置換体など)、アルキリデン置換体(例えば、エ
チリデン置換体)、アリール置換体(例えば、フェニ
ル、トリル置換体)などが挙げられる。
【0020】架橋性モノマーとは、反応性の二重結合を
2個以上有する多環ノルボルネン系モノマーのことであ
り、その具体例として、ジシクロペンタジエン、トリシ
クロペンタジエン、テトラシクロペンタジエンなどが挙
げられる。ここで、ノルボルネン系モノマーと架橋性モ
ノマーが同一である場合には、特に他の架橋性モノマー
を用いる必要はない。これらのノルボルネン系モノマー
は単独で用いても併用しても良い。
【0021】また、前記した三環体以上のノルボルネン
系モノマーの1種以上と共に開環重合可能な、2−ノル
ボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチリ
デン−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボル
ネンなどの二環体のノルボルネン系モノマー、あるいは
シクロブテン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、
シクロオクテン、シクロドデセンなどの単環シクロオレ
フィンなどを、本発明の目的を損なわない範囲で使用す
ることができる。
【0022】ノルボルネン系モノマーを塊状開環重合さ
せる重合触媒としては、メタセシス触媒が挙げられる。
メタセシス触媒については、まず、触媒と共触媒の併用
系が挙げられる。触媒としては、タングステン、モリブ
デン、タンタルなどのハロゲン化物、オキシハロゲン化
物、酸化物、有機アンモニウム塩などが挙げられる。ま
た、共触媒である活性剤としては、アルキルアルミニウ
ムハライド、アルコキシアルキルアルミニウムハライ
ド、アリールオキシアルキルアルミニウムハライド、有
機スズ化合物などが挙げられる。
【0023】それ以外に、共触媒を用いずに触媒単独で
ノルボルネン系モノマーをメタセシス重合可能な触媒が
あり、その例として、ビス(トリシクロヘキシルホスフ
ィン)ベンジリデンルテニウムクロリドを、はじめとす
るルテニウム−カルベン錯体が挙げられる。
【0024】なお、形状記憶樹脂としては、架橋させた
熱可塑性のものも使用できる。また、形状記憶性を有す
るのであれば、熱溶融材料の溶融温度以上の溶融温度を
有する熱可塑性のものも使用可能である。
【0025】本発明の損傷修復複合材に用いる熱溶融材
料は、形状記憶樹脂の熱分解温度より低い溶融温度を有
することが必要である。その理由は、熱溶融材料の溶融
温度が形状記憶樹脂の熱分解温度よりも高いと、形状記
憶樹脂の熱分解温度まで通電加熱しても内部の熱溶融材
料が溶融しなくなり、クラックや剥離を修復できないま
まに、形状記憶樹脂の熱分解が始まるからである。
【0026】熱溶融材料の具体的な例としては、熱可塑
性樹脂、熱可塑性エラストマー、低融点金属等が挙げら
れる。これらのうち、熱可塑性樹脂が最も好ましい。
【0027】その熱可塑性樹脂としては、低密度ポリエ
チレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LL
DPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロ
ピレン(PP)、エチレン−酢酸ビニル共集合体(EV
A)等の汎用樹脂をはじめ、ポリエチレンテレフタレー
ト(PET)、ポリアミド、ポリカーボネート等のエン
ジニアリングプラスチックも使用可能である。
【0028】熱溶融材料の形態としては、板状、棒状、
網状、粒状、粉状等のいずれでもよいが、界面が多すぎ
ると、損傷修復複合材の機械強度が低下してしまうおそ
れがあるため、板状、棒状、網状くらいが好ましい。ま
た、熱溶融材料の含有量は、特に限定はなく、必要な機
械強度等から適宜設定すればよい。
【0029】本発明の損傷修復複合材に用いる導電性材
料としては、粒子状やウィスカー状のカーボンあるいは
グラファイト、二酸化ズズなどの金属酸化物、ニッケ
ル、スズ、銀などの金属粒子、あるいは金属被覆粒子、
ニクロム線、タングステン線などの金属抵抗線、さらに
は導電性繊維等が挙げられる。導電性繊維の種類として
は、炭素繊維、金属繊維、金属コーティングガラス繊維
等の導電性を有する繊維が挙げられる。
【0030】導電性繊維の形態としては、短繊維状、長
繊維状のチョップトストランド、ロービング、ロービン
グクロス、チョップドストランドマット、コンティニュ
アスマット、不織布等が挙げられる。その中でも、価格
及び性能面からはカーボン粒子や金属抵抗線が好まし
く、強度・弾性率が要求される場合には、導電性繊維が
好ましい。以上の導電性材料は、単独で用いても、併用
しても良い。
【0031】そして、本発明の損傷修復複合材には、本
発明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、充填材、
着色剤、高分子改質剤、難燃剤などの各種添加剤を配合
してもよい。
【0032】次に、本発明の損傷修復複合材の使用方法
を、図4を参照しつつ以下に詳細に説明する。
【0033】まず、図4(A)に示す形態の損傷修復複
合材つまり熱溶融材料1を内部に含む形状記憶樹脂2
が、衝撃等の外部応力により変形し、かつ熱溶融材料1
と形状記憶樹脂2との界面に剥離eが生じた場合(図4
(B))、導電性材料3を通電媒体として、損傷修復複
合材を、形状記憶樹脂2の形状回復温度以上でかつ熱溶
融材料1の溶融温度以上に通電加熱する。この通電加熱
により、形状記憶樹脂2が元の形状に復元するととも
に、熱溶融材料1が溶融して形状記憶樹脂2との界面が
隙間なく埋まる(図4(C))。そして、この状態か
ら、冷却により再固化させると、界面剥離も修復されて
元の状態に戻る(図4(D))。
【0034】また、衝撃等の外部応力により、熱溶融材
料1を内部に含む形状記憶樹脂2が変形し、かつ熱溶融
材料1内にクラックf(または破壊)が生じた場合も、
導電性材料3を通電媒体として、損傷修復複合材を形状
記憶樹脂2の形状回復温度以上で、かつ熱溶融材料1の
溶融温度以上に通電加熱する。この通電加熱により、形
状記憶樹脂2が元の形状に復元することはもちろんのこ
と、熱溶融材料1が溶融状態から冷却により再固化した
状態で、クラックf(または破壊)が修復される。さら
に、形状記憶樹脂2自体にクラックや破壊が生じても、
ある程度の損傷までは、通電加熱によって熱溶融材料1
を溶融させ、形状記憶樹脂2のクラック発生部分や破壊
部分を封止することにより修復できる。
【0035】なお、本発明の損傷修復複合材に電気を流
す手段としては、電極を導電接続する方法が挙げられ
る。電極は、成形時に成形体と一体化してもよいし、後
付けで形成されていてもよいが、製造時に成形体と一体
化するのが好ましい。また、通電手段については、上記
方法に限定されるものではなく、本発明の損傷修復複合
材を効率良く均一に発熱できるようなものであれば、ど
のような方法であってもよい。
【0036】ここで、熱溶融材料1を形状記憶樹脂2内
部に存在させることによって、わざと界面を作り、界面
の剥離で衝撃等のエネルギーを吸収して、形状記憶樹脂
2のクラックや破壊を防ぐことも、本発明の効果として
挙げられる。要は、形状記憶樹脂が破壊しない限りは、
界面や熱溶融材料1が損傷しても、何度でも修復して再
利用できるということである。
【0037】また、当然のことであるが、破壊やクラッ
クが生じない単なる変形の場合に、形状記憶樹脂の形状
回復温度以上に通電加熱することにより、元の形状・状
態に復元することも本発明の範囲に含まれる。 <作用>本発明によれば、形状記憶樹脂の内部に熱溶融
材料を存在させることにより、衝撃等の外部応力に対し
て形状記憶樹脂が破壊されにくい構成とするとともに、
通電加熱による形状記憶樹脂の形状回復と熱溶融材料の
溶融により、変形の復元はもとより剥離やクラックを修
復することができる。特に、界面剥離については、熱溶
融材料の溶融による形状記憶樹脂との再接着により強固
な界面が再構築され、複合材料を元の状態に復元するこ
とができる。
【0038】また、導電性材料が通電媒体となること
で、通電により迅速かつ簡単に変形を復元させ、剥離や
クラックを修復させることができる。さらに、導電性材
料として、導電性繊維を用いることにより、複合材料の
強度・弾性率を向上させることもできる。
【0039】
【実施例】<実施例1> モノマーA液:触媒及びジシクロペンタジエンよりなる
溶液(商品名メトン:帝人メトン株式会社製) モノマーB液:活性剤、活性調節剤及びジシクロペンタ
ジエンよりなる溶液(商品名メトン:帝人メトン株式会
社製) 熱溶融材料:高密度ポリエチレン(HDPE)製平板
(厚み1.2mm) 導電性材料:カーボンブラック まず、80℃に温調した反応射出成形用平板金型(容
積:6mm×150mm×150mm)内に、HDPE
製平板(1.2mm×120mm×120mm)をセッ
トし、金型を閉じた後、金型内に30秒間窒素バージを
行った。
【0040】次に、触媒を含むジシクロペンタジエンA
液と、活性剤を含むジシクロペンタジエンB液(触媒及
び活J 性剤の化合物名は不明)と、カーボンブラックを
重量混合とを、比率が100:100:40になるよう
に、RIM(Reaction injection Molding)成形機にて
金型内に注入した。注入終了より3分後に型開きを行
い、HDPE製平板が、カーボンブラックを含有するポ
リジシクロペンタジエンにより被覆された平板を得た。
【0041】以上の成形で得られた平板(サンプル)を
支持台に固定し、この状態で4mの高さから1kgの球
形重錘を落下させる落錘衝撃試験(JIS K 721
1準拠)を行ったところ、サンプルは割れず、球形重錘
衝突部周辺の変形及び界面剥離が見られた。このサンプ
ルの両端2箇所に電極を導電接続し、50Vの通電によ
り180℃に加熱したところ、曲がった状態から元の平
板形状に復元するまでの時間は2分であった。そして、
室温まで徐冷したところ、元の形状に復元し、界面剥離
も修復した。再度落錘衝撃試験を行ったが、サンプルに
割れはなく、変形及び界面剥離が生じた。このサンプル
に1回目と同様の処理を行ったところ、元の形状に復元
し、界面剥離は修復した。 <実施例2> モノマーA液:触媒及びジシクロペンタジエンよりなる
溶液(商品名メトン:帝人メトン株式会社製) モノマーB液:活性剤、活性調節剤及びジシクロペンタ
ジエンよりなる溶液(商品名メトン:帝人メトン株式会
社製) 熱溶融材料:ポリプロピレン(PP) 導電性材料:炭素繊維クロス(番手317g/ m2 ) まず、80℃に温調した反応射出成形用平板金型(容
積:6mm×150mm×150mm)内に、リード線
を含む電極を両端に導電接続した炭素繊維クロス(0.
3mm×120mm×120mm)2枚とPPを200
℃の加熱プレスにより一体化した平板(1.5mm×1
20mm×120mm)を、リード線が金型から出るよ
うな状態にしてセットし、金型を閉じた後、金型内に3
0秒間窒素パージを行った。
【0042】次に、触媒を含むジシクロペンタジエンA
液と、活性剤を含むジシクロペンタジエンB液(触媒及
び活性剤の化合物名は不明)とを、混合比率が1/1に
なるように、RIM成形機にて金型内に注入した。注入
終了より3分後に型開きを行い、炭素繊維クロスとPP
とが一体化した平板が、ポリジシクロペンタジエンによ
り被覆された平板を得た。
【0043】得られた平板について、実施例1と同様の
落錘衝撃試験を行ったところ、サンプルは割れず、球形
重錘衝突部周辺の変形及び界面剥離が見られた。このサ
ンプルの両端より出ているリード線を電源に接続し、3
0Vの通電により200℃に加熱したところ、曲がった
状態から元の平板形状に復元するまでの時間は3分であ
った。そして、室温まで徐冷したところ、元の形状に復
元し、界面剥離も修復した。再度、落錘衝撃試験を行っ
たが、サンプルに割れはなく、変形及び界面剥離が生じ
た。このサンプルに1回目と同様の処理を行ったとこ
ろ、元の形状に復元し、界面剥離は修復した。 <比較例1> モノマーA液:触媒及びジシクロペンタジエンよりなる
溶液(商品名メトン:帝人メトン株式会社製) モノマーB液:活性剤、活性調節剤及びジシクロペンタ
ジエンよりなる溶液(商品名メトン:帝人メトン株式会
社製) 80℃に温調した反応射出成形用平板金型(容積:6m
m×150mm×150mm)を用意し、金型を閉じた
後、触媒を含むジシクロペンタジエンA液と、活性剤を
含むジシクロペンタジエンB液(触媒及び活性剤の化合
物名は不明)とを、混合比率が1/1になるように、R
IM成形機にて金型内に注入した。注入終了より3分後
に型開きを行い、ポリジシクロペンタジエン製の平板を
得た。
【0044】得られた平板について、実施例1と同様の
落錘衝撃試験を行ったところ、サンプルの球形重錘衝突
部周辺に多数のクラックが見られた。次に、このサンプ
ルをオーブンにて200℃で10分間加熱処理し、室温
まで徐冷したところ、元の形状に復元したが、クラック
は修復しなかった。再度、落錘衝撃試験を行ったとこ
ろ、サンプルの球形重錘衝突部周辺に割れが見られた。
このサンプルに1回目と同様の処理を行ったところ、元
の形状に復元したが、割れは修復しなかった。
【0045】以上の実施例及び比較例から明らかなよう
に、本発明の損傷修復複合材は、割れにくく、変形の復
元はもとより剥離やクラックなどの損傷を、通電加熱す
ることにより、迅速に修復できることがわかった。
【0046】また、実施例1及び実施例2と、比較例1
の各例で得られた平板について、初期の曲げ強度(JI
S K 7055準拠)及び曲げ弾性率(JIS K
7055準拠)を測定した。また、落錘衝撃試験終了後
に熱処理したサンプルの曲げ強度及び曲げ弾性率を測定
した。その結果を、下記の表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】以上の結果より明らかなように、実施例1
及び実施例2で得られた平板は、衝撃等の外部応力によ
り変形や剥離が生じても、通電加熱を行うことにより、
ほぼ元の機械物性を発現することができる。ところが、
比較例1のような形状記憶樹脂単体だとクラックや破壊
が生じやすく、熱処理により形状は復元するが、クラッ
クや破壊は修復できないので、機械物性が初期の状態よ
りも大幅に低下してしまい、実用に適さなくなってしま
う。また、導電性繊維を用いると、通電媒体としてはも
ちろんのこと、補強効果もあるので、強度・弾性率が向
上した損傷修復複合材が得られることがわかる。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
外部応力により変形、剥離・クラックが生じても、通電
加熱により迅速に変形を復元し、剥離やクラックも修復
できる損傷修復複合材を提供することができる。つま
り、従来は変形や破壊が起きると廃棄する以外に方法が
なかった製品に応用することにより、再利用が可能にな
り、製品寿命を延ばすことができる。その結果として、
廃棄物量の低減に貢献することができる。
【0050】また、本発明において、導電性繊維を用い
ると、通電媒体としてはもちろんのこと、補強効果もあ
るので、強度・弾性率に優れた損傷修復複合材を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の損傷修復複合材の一例を模式的に示す
断面図である。
【図2】本発明の損傷修復複合材の他の例を模式的に示
す断面図である。
【図3】本発明の損傷修復複合材の別の例を模式的示す
断面図である。
【図4】本発明の損傷修復複合材の使用方法の一例の説
明図である。
【符号の説明】
1 熱溶融材料 2 形状記憶樹脂 3 導電性材料 4 導電性繊維
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29C 61/06 B29C 61/06 B29K 86:00 B29L 9:00 Fターム(参考) 4F100 AA37H AD11H AK01A AK01B AK01C AK08B AK08C AK80B AK80C AK80K BA03 BA06 BA10B BA10C CA21 CA21A CA21B CA21C DD31 DJ01H GB90 JB13B JB13C JB16A JK01 JK07 JL15B JL15C JL16 4F210 AA21 AA36 AE01 AG03 AH81 AK08 RA03 RC04 RG01 RG09 RG26 RG28 4F213 AA12 AA36 AE01 AG03 AH81 AK08 WM02 WM03 WM14 4J002 AC06W BB03X BB05X BB06X BB12X BC02W BP01W CE00W CF06X CG00X CK02W CL00X DA016 DA026 DA076 DA086 DA116 DC006 DE096 DL006 FA046 FA066 FA076 FB076 FD116 GT00 4J032 CA38 CA43 CA45 CA46 CD02 CD03 CD04 CD09 CG04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱溶融材料を内包する形状記憶樹脂から
    なり、その形状記憶樹脂または熱溶融材料の少なくとも
    一方に導電性材料が含有されていることを特徴とする損
    傷修復複合材。
  2. 【請求項2】 形状記憶樹脂が熱硬化性樹脂であること
    を特徴とする請求項1記載の損傷修復複合材。
  3. 【請求項3】 熱硬化性樹脂が架橋ノルボルネン系ポリ
    マーであることを特徴とする請求項2記載の損傷修復複
    合材。
  4. 【請求項4】 架橋ノルボルネン系ポリマーがポリジシ
    クロペンタジエンであることを特徴とする請求項3記載
    の損傷修復複合材。
  5. 【請求項5】 熱溶融材料が熱可塑性樹脂であることを
    特徴とする請求項1、2、3または4記載の損傷修復複
    合材。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3、4または5に記載の
    損傷修復複合材が外部応力により変形・損傷した際に、
    その損傷修復複合材に導電性材料を介して通電を行っ
    て、形状記憶樹脂の形状回復温度以上でかつ熱溶融材料
    の溶融温度以上に加熱することにより、損傷修復複合材
    を元の形状に戻すとともに、損傷を修復することを特徴
    とする損傷修復複合材の使用方法。
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