JP2000236212A - テーパードスロットアンテナ - Google Patents

テーパードスロットアンテナ

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JP2000236212A
JP2000236212A JP11355091A JP35509199A JP2000236212A JP 2000236212 A JP2000236212 A JP 2000236212A JP 11355091 A JP11355091 A JP 11355091A JP 35509199 A JP35509199 A JP 35509199A JP 2000236212 A JP2000236212 A JP 2000236212A
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electric field
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悟 菅原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 D面の交差偏波成分を低減できるテーパード
スロットアンテナを提供すること。 【解決手段】 テーパードスロットアンテナ10は、基
板12と、その基板12上に設けられた金属膜13とか
らなる。金属膜13には、スロットラインのスロット幅
が傾きをもって広くなるテーパー部14が形成されてい
る。基板12の両端には、金属膜13を周期的に矩形状
に取り除くことにより、コルゲート構造16が形成され
ている。このコルゲート構造16の溝の深さは0.04
〜0.12波長、好ましくは0.06〜0.1波長であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移動体通信機器,
小型情報端末,その他の無線装置に利用可能なテーパー
ドスロットアンテナ(Tapered Slot An
tenna)に関し、より詳細には、D面の交差偏波成
分を低減したテーパードスロットアンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】図10は、従来のテーパードスロットア
ンテナの一例を示す斜視図である。このテーパードスロ
ットアンテナ100は、基板120と、その基板120
上に設けられた金属膜130と、から構成されている。
【0003】前記基板120は、ポリイミドなどの誘電
体材料からなり、厚さは10〜100μmである。ま
た、前記金属膜130は、銅を主たる材料として構成さ
れており、その厚さは2〜20μmである。その金属膜
130には、スロットラインのスロット幅が傾きをもっ
て広くなるテーパー部14が形成されている。なお、1
5はアンテナの開口部である。
【0004】このテーパードスロットアンテナ100
は、アンテナの面に対して平行な方向(スロットライン
の進行方向)に電波を放射する。
【0005】テーパードスロットアンテナの構造がスロ
ットラインと同様であることから、マイクロスロットラ
インのように裏面に接地導体を必要としないので、ユニ
プレーナー構造の給電線や整合回路との一体化が容易で
ある。また、テーパードスロットアンテナは、使用可能
な周波数帯域幅が広く、また利得も高いので、移動体通
信機器、小型情報端末、その他の無線装置に利用されて
いる。
【0006】ところが、上記テーパードスロットアンテ
ナ100は、D面の交差偏波成分が−6〜−9dBと高
い。なお、テーパードスロットアンテナの面の呼び方に
ついて説明すると、図11に示すように、テーパードス
ロットアンテナでは、電磁波を放射する方向を含みかつ
基板120に平行な面をE面、基板120に垂直な面を
H面、前記E面および前記H面と45°の角度をなす面
はD面と呼ばれている。また、交差偏波とは、電磁波の
偏波面がアンテナの偏波方向と直交する偏波のことであ
る。
【0007】テーパードスロットアンテナのD面の交差
偏波成分を低減する方法は、「P.R.Achary
a,J.Johansson,and E.L.Kol
lberg,“Slotline antenna f
or millimeterand sub mill
imeter wavelength" ,Proc.2
0th Eur.Microwave Conf.,
Budapest,Hungary, pp353−3
58, Sep.1990」で報告されている。この報
告では、テーパードスロットアンテナのテーパー形状を
BLTSA(Broken Linearly Tap
ered Slot Antenna)と呼ばれる傾き
の異なる3本の直線で構成することにより、D面の交差
偏波成分を−11dBまで低減できたと説明されてい
る。
【0008】ところが、上記報告では、なぜBLTSA
にするとD面の交差偏波成分を低減できるか、また、ど
のような条件のときにD面の交差偏波成分が低減される
かに関しては何ら説明されていない。したがって、この
報告に基づいて、D面の交差偏波成分を低減したテーパ
ードスロットアンテナを作ることは困難である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
テーパードスロットアンテナではD面の交差偏波成分が
高いため、用途によっては問題になる。例えば、2つの
テーパードスロットアンテナの開口部を同じ方向に向け
ながら直交させて配置し、2つの偏波成分を独立して受
信するシステムでは、D面の交差偏波成分が高いと異な
る偏波に対しても感度を持ってしまうため、2つの偏波
成分がうまく分離できない問題がある。また、テーパー
ドスロットアンテナのD面の交差偏波成分が高くなる理
由についても明らかになっていない。
【0010】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あって、テーパードスロットアンテナのD面の交差偏波
成分が高くなる理由を明らかにし、そのD面の交差偏波
成分を低減できるテーパードスロットアンテナを提供す
ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決しようとするための手段】以上の目的を達
成するために、請求項1に係るテーパードスロットアン
テナは、基板と、前記基板上に設けられている金属膜
と、前記基板上にスロットラインのスロット幅が傾きを
もって広くなるように形成されているテーパー部とを有
し、前記テーパー部の開口部から電界を放射するテーパ
ードスロットアンテナにおいて、前記開口部から放射さ
れる電界の前記基板に垂直な成分に対して逆の位相をも
つ電界を生じさせる電界発生手段を備え、前記電界発生
手段が、前記テーパー部から0.65波長以内の位置に
形成されるものである。
【0012】すなわち、本発明のテーパードスロットア
ンテナでは、開口部から放射される電界の基板に垂直な
成分に対して逆の位相をもつ電界を前記テーパー部から
0.65波長以内で生じさせることにより、開口部から
放射される電界の基板に垂直な成分を打ち消すようにな
っている。後述するように、本発明の発明者らの考察に
よると、開口部から放射される電界の基板に垂直な成分
がD面の交差偏波成分を高くしている。したがって、こ
の成分を打ち消し合う成分を生じさせることによりD面
の交差偏波成分を低減できることとなる。
【0013】また、請求項2に係るテーパードスロット
アンテナは、請求項1に記載のテーパードスロットアン
テナにおいて、前記電界発生手段が、前記金属膜の電磁
波の放射方向に平行な両側端に周期的に形成された複数
の溝からなるコルゲート構造であり、前記溝の深さを
0.04〜0.12波長としたものである。
【0014】すなわち、本発明のテーパードスロットア
ンテナでは、金属膜の電磁波の放射方向に平行な両側端
に溝の深さを0.04〜0.12波長とするコルゲート
構造を形成する。このコルゲート構造によって、開口部
から放射される電界の基板に垂直な成分を打ち消し合う
成分を意図的に生じさせることができるから、D面の交
差偏波成分を低減できることとなる。
【0015】また、請求項3に係るテーパードスロット
アンテナは、請求項1に記載のテーパードスロットアン
テナにおいて、前記電界発生手段が、前記金属膜の電磁
波の放射方向に平行な両側端に周期的に形成された複数
の溝からなるコルゲート構造および前記金属膜の前記コ
ルゲート構造と前記テーパー部との間の部分に形成され
た電磁波の放射方向と平行な線状のスリットであり、前
記コルゲート構造の溝の深さを0.15波長以上とした
ものである。
【0016】すなわち、本発明のテーパードスロットア
ンテナでは、金属膜の電磁波の放射方向に平行な両側端
に溝の深さを0.15波長以上とするコルゲート構造を
形成すると共にそのコルゲート構造とテーパー部との間
に電磁波の放射方向と平行に線状のスリットを形成す
る。このコルゲート構造によってD面の交差偏波成分を
低減でき、コルゲート構造が形成されているために基板
端部で強くなる電界の強度をスリットを形成することに
よって抑制できることになる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明のテーパードスロッ
トアンテナの実施の形態について、〔本発明の概略〕、
〔実施の形態1〕、〔実施の形態2〕の順で、添付の図
面を参照して詳細に説明する。
【0018】〔本発明の概略〕本発明の発明者らの研究
による、テーパードスロットアンテナのD面の交差偏波
成分が高くなる理由を図10および図12を用いて説明
する。なお、図12は、図10に示した従来のテーパー
ドスロットアンテナ100を開口部15側から見た図で
ある。
【0019】テーパードスロットアンテナ100から電
磁波が放射される場合、その電磁波はスロットラインの
伝送モードTから自由空間のモードFへと移り変わって
いく。図10および図12に、このモードの移り変わり
の様子を模式的に示す。
【0020】図12に示すように、伝送モードTの電界
は、基板120に垂直な成分T1,T3,T4,T6
と、基板120に水平な成分T2,T5に分離すること
ができる。このように、スロットラインの伝送モードT
には基板に垂直な成分T1,T3,T4,T6も含まれ
るため、この成分が自由空間に放射されて交差偏波成分
となる。
【0021】この基板120に垂直な成分は、E面(図
12では水平方向)やH面(図12では垂直方向)に対
してはその配置の対称性が高いため、放射電界同士が打
ち消し合う。
【0022】例えば、E面で観察すると、成分T1と成
分T4(または成分T3と成分T6)は大きさが等しく
向きが逆であり、観測点からの距離も等しいので、放射
電界を打ち消し合う。また、H面で観察すると、成分T
1と成分T3(または成分T4と成分T6)は大きさが
等しく向きが逆であり、観測点からの距離も等しいの
で、放射電界を打ち消し合う。このためE面,H面にお
いては、交差偏波成分がそれ程高くないので問題になら
ない。
【0023】ところが、D面(図12では斜め45°方
向)においては、この基板120に垂直な成分の対称性
が崩れているので、交差偏波成分が高くなる。
【0024】そこで、本発明のテーパードスロットアン
テナでは、開口部から放射される電界の基板に垂直な成
分を打ち消し合うような電界成分を意図的に生じさせる
ようにしてD面の交差偏波成分を低減する。
【0025】〔実施の形態1〕図1に、本発明の実施の
形態1に係るテーパードスロットアンテナを示す。図1
(a)は本発明のテーパードスロットアンテナの斜視図
であり、図1(b)は本発明のテーパードスロットアン
テナの上面図である。
【0026】図1に示すように、テーパードスロットア
ンテナ10は、基板12と、その基板12上に設けられ
た金属膜13と、から構成されている。
【0027】基板12は、ポリイミド(例えば、商品
名:カプトン)などの誘電体材料からなり、厚さは10
〜100μmである。また、金属膜13は、銅を主たる
材料として構成されており、その厚さは2〜20μmで
ある。この金属膜13には、スロットラインのスロット
幅が傾きをもって広くなるテーパー部14が形成されて
いる。なお、15はアンテナの開口部である。
【0028】基板12の両端の金属膜13の部分には、
コルゲート構造16が形成されている。テーパードスロ
ットアンテナの端部にコルゲート構造を形成することに
より、基板端部の電界の位相や強度を制御できること
が、本発明者らによって報告されている(IEEE M
TT−S IMS Dig. pp.533−5361
998)。このコルゲート構造16により、開口部15
から放射される電界の基板に垂直な成分を打ち消し合う
ような電界成分を意図的に生じさせることができる。
【0029】図2に、前記テーパードスロットアンテナ
10の一部拡大図を示す。この図に示すように、コルゲ
ート構造16は、金属膜13を周期的に矩形状に取り除
くことにより形成される複数の溝17からなる。図中の
dは溝17の深さ、wは溝17の幅、pは溝17の周期
である。また、Lは開口部15からアンテナ端部までの
長さである。
【0030】このテーパードスロットアンテナ10は、
アンテナの面に対して平行な方向(スロットラインの進
行方向)に電波を放射し、移動体通信機器、小型情報端
末、その他の無線装置に利用することができる。
【0031】さて、D面の交差偏波成分を低減するため
のパラメータを決めるために実験を行った。この実験の
ために、基板12となる50μmのカプトン上に、金属
膜13となる5μmの銅を積層した。そして、アンテナ
の基本構造を、アンテナ長を20mm、開口部の長さを
5mmとし、d4cw04,d5cw04,d5cw0
8の3種類のアンテナを用意した。
【0032】開口部から基板端までの長さLに関して
は、頭にd4が付くアンテナd4cw04では2mm
(0.4波長)、頭にd5が付くアンテナd5cw04
とd5cw08とでは2.5mm(0.5波長)とし
た。また、溝の幅wおよび周期pに関しては、最後にc
w04が付くアンテナd4cw04とd5cw04とで
は幅を0.2mm(0.04波長),周期を0.4mm
(0.08波長)、最後にcw08が付くアンテナd5
cw08とでは幅を0.4mm(0.08波長),周期
を0.8mm(0.16波長)とした。
【0033】そして、上記3つのアンテナd4cw0
4,d5cw04,d5cw08のコルゲート構造の溝
の深さDを変化させて、D面の交差偏波成分の強度を測
定した。なお、測定は60GHz(波長5mm)で行っ
た。この実験の結果を図3(a)に示す。この図では、
縦軸はD面の交差偏波成分の強度を表し、単位はdBで
ある。また、横軸は溝の深さdを表し、単位は波長であ
る。
【0034】溝の深さdが0(ゼロ)〜0.04波長の
ときは、3つのアンテナともD面の交差偏波成分の強度
が−10dBより高い。溝の深さdが0.04〜0.1
2波長のときは、3つのアンテナともD面の交差偏波成
分の強度が急激に低くなり、アンテナd4cw04では
−17.5dBと最も低い。溝の深さdが0.12〜
0.2波長のときは、3つのアンテナともD面の交差偏
波成分の強度がまた−10dBより高くなる。
【0035】図3(a)から分かるように、溝の深さd
が0.06〜0.1波長のときにD面の交差偏波成分が
特に低減される。したがって、実施の形態1に係るテー
パードスロットアンテナ10においては、コルゲート構
造16の溝の深さを0.04〜0.12波長、好ましく
は0.06〜0.1波長とする。これにより、テーパー
ドスロットアンテナ10では、D面の交差偏波成分は低
減される。つまり、このようなコルゲート構造16によ
り、基板端部の電界の位相を反転させ強度を強くし、開
口部15から放射される電界の基板に垂直な成分と逆の
位相を持つ電界をテーパー部14近傍で生じさせ、D面
の交差偏波成分を低減することができる。
【0036】次に、開口部から基板端までの長さLの最
適な値を決めるための実験を行った。この実験のため
に、基板12となる50μmのカプトン上に、金属膜1
3となる5μmの銅を積層した。そして、アンテナの基
本構造を、アンテナ長を20mm、開口部の長さを5m
mとし、アンテナの両端に溝の深さdを0.4mm
(0.08波長)、幅wを0.2mm(0.04波
長)、周期pを0.4mm(0.08波長)とするコル
ゲート構造を形成した。
【0037】そして、このアンテナの開口部から基板端
までの長さLを変化させて、D面の交差偏波成分の強度
を測定した。なお、測定はやはり60GHz(波長5m
m)で行った。この実験の結果を図3(b)に示す。こ
の図でも、縦軸はD面の交差偏波成分の強度を表し、単
位はdBである。また、横軸は溝の深さdを表し、単位
は波長である。なお、比較のために、基板の端部にコル
ゲート構造が形成されていない従来のテーパードスロッ
トアンテナのD面の交差偏波成分の強度を点線で表し、
本発明のテーパードスロットアンテナのD面の交差偏波
成分の強度を実線で表す。
【0038】本発明のテーパードスロットアンテナにお
いては、D面の交差偏波成分の強度が、開口部から基板
端までの長さLが0.3〜0.4波長のときに徐々に低
くなり、0.4波長付近で約−17.5dBと最低値と
なって、開口部から基板端までの長さLが0.4〜0.
7波長のときに徐々に高くなる。ところが、従来のテー
パードスロットアンテナにおいては、開口部から基板端
までの長さLが変化してもD面の交差偏波成分の強度は
略一定である。また、本発明のテーパードスロットアン
テナのD面の交差偏波成分の強度は、開口部から基板端
までの長さLの値に関わらず、従来のテーパードスロッ
トアンテナのD面の交差偏波成分の強度よりも低い。
【0039】図3(b)から分かるように、開口部から
基板端までの長さLが0.6波長以下のときにD面の交
差偏波成分が低減される。
【0040】ところで、一般にテーパードスロットアン
テナの放射電界は、テーパー部からおよそ0.4波長程
度外側に広がっている。また、逆相の電界を用いて打ち
消し合うようにするには少なくとも0.25(1/4)
波長以内の距離にコルゲート構造16を設ける必要があ
ると考えられる。したがって、図1に示すコルゲート構
造16を、テーパー部14から0.65波長以内に設け
れば良いと考えられる。
【0041】図3(b)に示す結果は、上記条件を立証
したものとなっており、従って、実施の形態1のテーパ
ードスロットアンテナ10では、テーパー部14からコ
ルゲート構造16までの長さL(開口部から基板端まで
の長さ)を0.65波長以内とする。図3(b)に示す
ように、長さLが0.3波長以下になると特性が劣化し
てしまうので、長さLの下限は0.3となる。これによ
り、テーパードスロットアンテナ10では、D面の交差
偏波成分は低減される。
【0042】この2つの実験から、テーパードスロット
アンテナ10の端部に形成されているコルゲート構造1
6の溝17の深さdを0.04〜0.12波長、好まし
くは0.06〜0.1波長とし、開口部15から基板端
までの長さLを0.65波長以内とすると、開口部15
から放射される電界の基板12に垂直な成分を打ち消し
合うような電界成分を最適に生じさせることができ、D
面の交差偏波成分を最も低減できることとなる。
【0043】次に、実施の形態1の発明を適用したテー
パードスロットアンテナを形成し、E面,H面,D面そ
れぞれの指向性を測定する実験を行った。この実験のた
めには、基板12となる50μmのポリイミド上に、金
属膜13となる5μmの銅を積層した。そして、アンテ
ナ長を20mm、開口部の長さを5mm、開口部から基
板端までの長さLを2.5mm(0.5波長)とした。
また、アンテナの端部に溝の深さdを0.4mm(0.
08波長)、幅wを0.2mm(0.04波長)、周期
pを0.4mm(0.08波長)とするコルゲート構造
を形成した。また、このアンテナの設計周波数を60G
Hzとした。
【0044】図4(a)にE面の指向性、図4(b)に
H面の指向性、図4(c)にD面の指向性、図4(d)
にD面の交差偏波成分の指向性を示す。この図では、縦
軸は相対強度を表し、単位はdBである。また、横軸は
アンテナの放射角度を表し、単位は度である。比較のた
めに、基板の端部にコルゲート構造が形成されていない
従来のテーパードスロットアンテナの指向性を図5に示
す。図4と同様に、図5(a)にE面の指向性、図5
(b)にH面の指向性、図5(c)にD面の指向性、図
5(d)にD面の交差偏波成分の指向性を示す。
【0045】図5(d)に示すように従来のテーパード
スロットアンテナではD面の交差偏波成分が−9dBと
高いのに対して、図4(d)に示すように本発明のテー
パードスロットアンテナではD面の交差偏波成分が−1
3dBと低くなっている。
【0046】このように、上記実施の形態1のテーパー
ドスロットアンテナ10では、開口部15から基板端ま
での長さLを0.65波長以内とし、溝17の深さdを
0.04〜0.12波長、好ましくは0.06〜0.1
波長とするコルゲート構造を基板12の両端に形成する
ことにより、開口部15から放射される電界の基板12
に垂直な成分を打ち消し合うような電界成分を意図的に
生じさせることができ、D面の交差偏波成分を低減でき
る。
【0047】なお、実施の形態1においては、コルゲー
ト構造16の溝17の形状を矩形状としたが、上述した
効果を得ることができるのであれば、矩形以外の形状を
用いることが可能であることはいうまでもない。
【0048】〔実施の形態2〕図6に、本発明の実施の
形態2に係るテーパードスロットアンテナを示す。図6
(a)は本発明のテーパードスロットアンテナの斜視図
であり、図6(b)は本発明のテーパードスロットアン
テナの上面図である。
【0049】図6に示すように、テーパードスロットア
ンテナ20は、基板22と、その基板22上に設けられ
た金属膜23とからなる。
【0050】前記金属膜23には、コルゲート構造16
とテーパー部14との間に線状のスリットS1,S2が
形成されている。なお、コルゲート構造16の溝の深さ
と線状のスリットS1,S2を設けたこと以外の構成に
ついては、上記実施の形態1に係るテーパードスロット
アンテナ10と同じであるので、その説明は省略する。
【0051】図7に、前記テーパードスロットアンテナ
20の一部拡大図を示す。この図に示したように、コル
ゲート構造16は、前記金属膜23を周期的に矩形状に
取り除くことにより形成される複数の溝17からなる。
また、このコルゲート構造16の溝17とテーパー部1
4の間に、電磁波の放射方向および基板22の端部に略
平行に、スリットS1,S2が形成されている。
【0052】上記実施の形態1に係るテーパードスロッ
トアンテナ10では、開口部から放射される電界の基板
に垂直な成分を打ち消し合うような電界成分を意図的に
生じさせているため、基板端部での電界の強度が強くな
る。このように基板端部での電界の強度が強くなると、
アンテナを複数配置するアンテナアレイのような構成で
は、隣接するアンテナ間のクロストークが高くなってし
まう。
【0053】そこで、この実施の形態2に係るテーパー
ドスロットアンテナ20では、このコルゲート構造16
とテーパー部14の間に線状のスリットS1,S2を形
成することにより、基板端部での電界の強度を抑制す
る。なお、基板端部の電界強度を抑制するためには、溝
の深さが0.15波長以上のコルゲート構造を基板端部
に設ければ良いことが本発明者らの研究によって明らか
にされている。
【0054】図8は、図6のテーパードスロットアンテ
ナ20を開口部15側から見た図である。Tはスロット
ラインの伝送モード、Gはスリットに生じる電界であ
る。図中のT3は伝送モードTにより生じる電界の基板
22に垂直な成分、G1,G2は電界Gにより生じる電
界の基板22に垂直な成分である。ここでは、一方のス
リットS1,S2について説明するが、他方のスリット
S1,S2においても同じような現象が起きることにな
る。
【0055】この図から分かるように、成分T3と成分
G1は打ち消し合い、成分T3と成分G2は強め合う。
ところが、成分T3と成分G1は空間的に近接している
ため同じ位相を打ち消し合うが、成分T3と成分G2は
空間的に離れているため位相にずれが生じて完全には強
め合わない。このため、基板端部での電界の強度を抑制
することができ、D面の交差偏波成分を低減することが
できる。
【0056】なお、このスリットは上述した機能を満た
すものであるならば、複数本でも良く、また電磁波の放
射方向と厳密に平行でなくても良い。また同様の効果を
得られる構造であれば、上述したスリットに限らずその
他のパターンやその組み合わせでも良い。また、スリッ
トの本数や太さおよび組み合わせかたは、使用するアン
テナに応じて適したものにしても良い。さらに、コルゲ
ート構造16の溝17の形状を矩形状としたが、同様の
効果を得ることができるのであれば、矩形以外の形状を
用いることが可能であることはいうまでもない。
【0057】次に、実施の形態2の発明を適用したテー
パードスロットアンテナを形成し、E面,H面,D面そ
れぞれの指向性を測定する実験を行った。この実験のた
めには、基板12となる50μmのポリイミド上に、金
属膜13となる5μmの銅を積層した。そして、アンテ
ナ長を20mm、開口部の長さを5mm、開口部から基
板端までの長さLを2.5mm(0.5波長)とした。
また、アンテナの端部に溝の深さdを0.8mm(0.
16波長)、幅wを0.2mm(0.04波長)、周期
pを0.4mm(0.08波長)とするコルゲート構造
を形成した。さらに、コルゲート構造とテーパー部の間
に、基板端から1.2mm(0.24波長)〜1.5m
m(0.3波長)の間に幅0.3mm(0.06波長)
の線状のスリットS2と、基板端から1.8mm(0.
36波長)〜2.0mm(0.4波長)の間に幅0.2
mm(0.04波長)の線状のスリットS1を形成し
た。また、このアンテナの設計周波数を60GHzとし
た。
【0058】図9(a)にE面の指向性、図9(b)に
H面の指向性、図9(c)にD面の指向性、図9(d)
にD面の交差偏波成分の指向性を示す。この図では、縦
軸は相対強度を表し、単位はdBである。また、横軸は
アンテナの放射角度を表し、単位は度である。
【0059】図5(d)に示したように従来のテーパー
ドスロットアンテナではD面の交差偏波成分が−9dB
と高いのに対して、図9(d)に示すように本発明のテ
ーパードスロットアンテナではD面の交差偏波成分が−
13.2dBと低くなっている。
【0060】このように、上記実施の形態2のテーパー
ドスロットアンテナ20では、基板22の両端に溝17
の深さdを0.15波長とするコルゲート構造を形成す
ると共に、コルゲート構造16とテーパー部14の間に
線状のスリットを形成することにより、開口部15から
放射される電界の基板12に垂直な成分を打ち消し合う
ような電界成分を意図的に生じさせることができ、かつ
基板端部での電界の強度が強くなってしまうことを防止
できる。また、このテーパードスロットアンテナ20を
アンテナアレイに用いる場合、隣接するアンテナ間のク
ロストークを低くすることが可能であるため、アンテナ
を複数配置するアンテナアレイのような構成にも好適に
用いることができる。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のテーパー
ドスロットアンテナ(請求項1)では、開口部から放射
される電界の基板に垂直な成分に対して逆の位相をもつ
電界を前記テーパー部から0.65波長以内で生じさせ
ることにより(電界発生手段)、開口部から放射される
電界の基板に垂直な成分を打ち消す合うような電界を意
図的に発生させることができるから、D面の交差偏波成
分を低減できる。
【0062】また、本発明のテーパードスロットアンテ
ナ(請求項2)では、開口部から基板端までの長さを
0.65波長以内とし、溝の深さを0.04〜0.12
波長とするコルゲート構造を金属膜の電磁波の放射方向
に平行な両側端に電界発生手段として形成することによ
り、開口部から放射される電界の基板に垂直な成分を打
ち消し合うような電界成分を意図的に生じさせることが
できるから、D面の交差偏波成分を低減できる。
【0063】また、本発明のテーパードスロットアンテ
ナ(請求項3)では、電界発生手段として、溝の深さを
0.15波長とするコルゲート構造を金属膜の電磁波の
放射方向に平行な両側端に形成すると共に、コルゲート
構造とテーパー部の間に電磁波の放射方向に平行な線状
のスリットを形成することにより、開口部から放射され
る電界の基板に垂直な成分を打ち消し合うような電界成
分を意図的に生じさせることができると共に、基板端部
での電界の強度が強くなってしまうことを防止できるか
ら、D面の交差偏波成分を低減できると共にアンテナア
レイのような構成に用いたときも隣接するアンテナ間に
クロストークが発生しなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係るテーパードスロッ
トアンテナの構成図である。
【図2】図1のテーパードスロットアンテナの一部拡大
図である。
【図3】D面の交差偏波成分を低減するためのパラメー
タを得る実験の結果の説明図である。
【図4】実施の形態1の発明を適用したテーパードスロ
ットアンテナのE面,H面,D面の指向性の説明図であ
る。
【図5】従来のテーパードスロットアンテナのE面,H
面,D面の指向性の説明図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係るテーパードスロッ
トアンテナの構成図である。
【図7】図6のテーパードスロットアンテナの一部拡大
図である。
【図8】図6のテーパードスロットアンテナの電界分布
を表す説明図である。
【図9】実施の形態2の発明を適用したテーパードスロ
ットアンテナのE面,H面,D面の指向性の説明図であ
る。
【図10】従来のテーパードスロットアンテナの斜視図
である。
【図11】テーパードスロットアンテナのE面,H面,
D面の概念説明図である。
【図12】テーパードスロットアンテナのD面の交差偏
波成分が高くなる理由を説明するための原理説明図であ
る。
【符号の説明】
10,20 テーパードスロットアンテナ 12,22 基板 13,23 金属膜 14 テーパー部 15 開口部 16 コルゲート構造 17 溝 S1,S2 スリット T 伝送モード F 自由空間のモード

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、前記基板上に設けられている金
    属膜と、前記基板上にスロットラインのスロット幅が傾
    きをもって広くなるように形成されているテーパー部と
    を有し、前記テーパー部の開口部から電界を放射するテ
    ーパードスロットアンテナにおいて、 前記開口部から放射される電界の前記基板に垂直な成分
    に対して逆の位相をもつ電界を生じさせる電界発生手段
    を備え、 前記電界発生手段は、前記テーパー部から0.65波長
    以内の位置に形成されることを特徴とするテーパードス
    ロットアンテナ。
  2. 【請求項2】 前記電界発生手段は、前記金属膜の電磁
    波の放射方向に平行な両側端に周期的に形成された複数
    の溝からなるコルゲート構造であり、 前記溝の深さは、0.04〜0.12波長であることを
    特徴とする請求項1に記載のテーパードスロットアンテ
    ナ。
  3. 【請求項3】 前記電界発生手段は、前記金属膜の電磁
    波の放射方向に平行な両側端に周期的に形成された複数
    の溝からなるコルゲート構造および前記金属膜の前記コ
    ルゲート構造と前記テーパー部との間の部分に形成され
    た電磁波の放射方向と平行な線状のスリットであり、 前記コルゲート構造の溝の深さは、0.15波長以上で
    あることを特徴とする請求項1に記載のテーパードスロ
    ットアンテナ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2017175394A (ja) * 2016-03-24 2017-09-28 三菱電機株式会社 アンテナ装置

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