JP4681614B2 - 直線偏波アンテナ及びそれを用いるレーダ装置 - Google Patents

直線偏波アンテナ及びそれを用いるレーダ装置 Download PDF

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Description

本発明は高性能化、高い量産性及び低コスト化を実現するための技術を採用した直線偏波アンテナ(linearly polarized antenna)及びそれを用いるレーダ装置に係り、特に、車載レーダ(automotive radars)として今後使用されるUWB(Ultra−wideband)レーダに適した直線偏波アンテナ及びそれを用いるレーダ装置に関する。
主に、車載用あるいは携帯用の短距離用レーダ(short range radar:SRR)として、22〜29GHzの準ミリ波帯を使用するUWBを利用することが提案されている。
このようなUWBで使用されるレーダ装置のアンテナとしては、放射特性が広帯域であることの他に、車載時に、例えば、車体とバンパーとの隙間等に設置されることを考慮して、小型で且つ薄型平面構造であることが必要である。
また、このアンテナとしては、UWBで規定されている微弱電波で探査が行え、バッテリ駆動可能なように無駄な電力消費を抑えるために、低損失、高利得が要求されており、そのためにアレー化を容易に達成できることが必要である。
また、このアンテナとしては、低コスト化のために、アンテナ素子の給電部がパターン印刷技術で製作できることが望ましい。
ところで、前述のように、UWBレーダでは22〜29GHz帯を使用することになっているが、この帯域の中には電波天文や地球探査衛星業務(EESS)のパッシブセンサを保護するためのRR電波発射禁止帯(23.6〜24.0GHz)が含まれている。
2002年、FCC(米国連邦通信委員会)は、次の非特許文献1において、22〜29GHzに置ける平均電力密度を−41.3dBm以下、ピーク電力密度が0dBm/50MHzとする規定を公開している。
この規定の中には、前記EESSへの電波干渉を抑えるため、仰角サイドロ−プを数年毎に−25dBから−35dBへと低減することも併せて規定されている。
FCC 02−48 New Part 15 Rules,FIRST REPORT AND ORDER
しかしながら、これを実現するためには、UWBレーダに用いるアンテナの垂直方向の寸法が大きくなり、一般の乗用車に搭載することが困難になることが想定される。
このため、FCCは、アンテナのサイドローブに頼らない方法として、2004年に下記非特許文献2で、前記RR電波発射禁止帯の放射電力密度をこれまでより20dB小さい−61.3dBm/MHzとする改定ルールを追加している。
"Second Report and Order and Second Memorandum Opinion and Order"FCC 04−285,Dec.16,2004
従来のUWBレーダは、連続発振器からの連続波(CW)を半導体スイッチでオン/オフする方式を採用している。
この方式では、スイッチのアイソレーションの不完全性により、大きな残留キャリアが発生するため、図18に破線で示すように、前記残留キャリアを、ドップラーレーダ用に割り当てられている24.05〜24.25GHzのSRD(Short Range Device)バンドに避難させている。
しかしながら、SRDバンドは前記RR電波発射禁止帯と極めて接近しており、EESSなどとの干渉が避けられないという深刻な問題がある。
この問題を解決するため、下記の非特許文献3に示すバースト発振器をUWBレーダに用いる方法が提案されている。
"Residual−carrier free burst oscillator for automotive UWD radar applications,"Electronics Letters,28 th April 2005,Vol.41,No.9
バースト発振器はパルスがオンのときのみ発振し、オフでは発振が停止するもので、このようなバースト発振器をUWBレーダに使えば残留キャリアは発生しない。
このため、任意のスペクトル配置ができるので、図18に実線で示すような帯域をUWBレーダに用いることができる結果、RR電波発射禁止帯での放射電力密度を十分低く抑えることが可能となる。
しかし、バースト発振器のみで上記の放射電力密度をスペクトルピークより20dB以上低くするのは容易でない。
この場合、もし、アンテナが上記RR電波発射禁止帯で利得に鋭い落ち込み(ノッチ)を持つ特性を有するものであれば、このアンテナを前記バースト発振器と組み合わせて使用することにより、FCCの新規定を満たすUWBレーダを実現することができる。
本発明は、このようなRR電波発射禁止帯に利得のノッチを有するUWBレーダ用として好適なアンテナを提供することを意図している。
これらの諸要求を満足するアンテナとして、まず、第1に、広帯域の薄型平面アンテナを実現する必要がある。
薄型平面アンテナとしては、誘電体基板上に矩形や円形の平板状のアンテナ素子をパターン形成して構成した所謂パッチアンテナが知られている。
しかるに、このパッチアンテナは一般的に狭帯域であり、これを広帯域化するためには、誘電率の低い基板を用い、その厚さを厚くしなければならない。
また、準ミリ波帯で使用するには低損失の基板が必要であり、このような基板としてテフロン(登録商標)が知られている。
しかるに、このテフロンは金属膜の接合に難点があるため、アンテナの製作が難しく、コスト高になるという問題がある。
そこで、UWDに必要な広帯域の素子アンテナとして、円偏波や直線偏波を用いることが考えられており、円偏波の場合には、スパイラルアンテナ等の良好な特性を有するアンテナがある。
しかるに、最近、実現化が検討されている通信機能を含んだ車載用短距離用レーダの場合には、円偏波を使用することができないので、直線偏波を使用するUWDアンテナが必要となる。
しかるに、直線偏波の場合には、一般的に、広帯域の素子アンテナを得るのが容易ではないという問題がある。
ところで、比較的に広帯域の直線偏波の素子アンテナとしては、ボウタイ(bow tie)アンテナと呼ばれる三角形の対で構成するダイポールアンテナが知られている。
しかるに、このボウタイアンテナをアレーアンテナに用いた場合、各アンテナ間の相互結合のため指向性が乱れやすいという問題がある。
通常、誘電体基板を用いた平面アンテナで広帯域化をはかるには、基板の厚みを伝搬波長の1/4程度に厚くする方法がとられており、これは単一素子で使う場合には有効である。
しかしながら、複数の素子を配列したアレーアンテナの場合には、誘電体基板を厚くすると、誘電体基板表面に沿って伝搬する表面波が励振されて、各エレメントが表面波の影響を互いに受けて所望の特性が得られないという問題がある。
本発明の目的は、上述したような表面波による影響を抑え、広帯域にわたって良好な放射特性を有し、且つRR電波発射禁止帯における放射を抑圧すると共に、高い量産性および低コスト化を実現することが可能な直線偏波アンテナ及びそれを用いるレーダ装置を提供することである。
前記目的を達成するために、この発明の第1の態様によれば、
誘電体基板(21、21’、21”)と、
前記誘電体基板の一面側に重合される地板導体(22,22’)と、
前記誘電体基板の反対面に形成された直線偏波型のアンテナ素子(23,23’)と、
それぞれの一端側が前記地板導体に接続され、前記誘電体基板をその厚さ方向に沿って貫通し、且つそれぞれの他端側が前記誘電体基板の反対面まで延びて、前記アンテナ素子を囲むように所定間隔で設けられることにより、キャビティを構成する複数の金属ポスト(30)と、
前記誘電体基板の反対面側に、前記複数の金属ポストの各他端側をその並び方向に沿って短絡し、且つ前記アンテナ素子方向に所定距離延びて設けられ、前記アンテナ素子を挟んで対向する少なくとも一対の不均等幅部分を有している枠状導体(32、32’)と、
を具備する直線偏波アンテナが提供される。
また、前記目的を達成するために、本発明の第2の態様によると、
前記一対の不均等幅部分が、一対の三角形部分であることを特徴とする第1の態様に従う直線偏波アンテナ提供される。
また、前記目的を達成するために、本発明の第3の態様によると、
前記誘電体基板に形成される前記アンテナ素子と該アンテナ素子の前記一対の入力端子の一方に一端側が接続される前記給電ピンとがそれぞれ複数組設けられ、
前記キャビティを構成する複数の金属ポスト及び前記枠状導体が前記複数組の各アンテナ素子を囲むように格子状に形成され、
前記地板導体側に設けられ、前記複数組の各アンテナ素子に前記複数組の給電ピンを介して励振信号を分配供給するための給電部(40)をさらに具備することを特徴とする第の態様に従う直線偏波アンテナが提供される。
また、前記目的を達成するために、本発明の第4の態様によると、
前記給電部は、前記地板導体を挟んで前記誘電体基板の反対側に設けられた給電用誘電体基板(41)と、前記給電用誘電体基板の表面に形成されたマイクロストリップ型の給電ライン(42)とにより構成されていることを特徴とする第3の態様に従う直線偏波アンテナが提供される。
また、前記目的を達成するために、本発明の第5の態様によると、
前記キャビティ及び枠状導体とで共振器を構成し、前記共振器と前記アンテナ素子との構造パラメータを調整して、前記共振器の共振周波数を所望の値に設定することにより、当該直線偏波アンテナの利得が所定範囲で低下する周波数特性となるようにしたことを特徴とする第1乃至第4の態様のいずれか一に従う直線偏波アンテナが提供される。
また、前記目的を達成するために、本発明の第6の態様によると、
前記構造パラメータは、前記キャビティの内寸Lw、前記枠状導体のリム幅L、前記アンテナ素子の全長L、前記アンテナ素子の横幅Wの少なくとも一つを含むことを特徴とする第5の態様に従う直線偏波アンテナが提供される。
また、前記目的を達成するために、本発明の第7の態様によると、
送信アンテナ(51)を介してレーダパルスを空間へ放射する送信部(54)と、
受信アンテナ(52)を介して前記空間から戻ってくる前記レーダパルスの反射波を受信する受信部(55)と、
前記受信部からの受信出力に基づいて前記空間に存在する物体を探査する解析処理部(56)と、
解析処理部からの出力に基づいて前記送信部及び受信部の少なくとも一方を制御する制御部(53)と、を具備し、
前記受信アンテナ及び送信アンテナが、第1及び第2の直線偏波型のアンテナ素子(23,23’)で構成され、前記第1及び第2の直線偏波型のアンテナ素子(23,23’)が、それぞれ、
誘電体基板(21、21’、21”)と、
前記誘電体基板の一面側に重合される地板導体(22,22’)と、
前記誘電体基板の反対面に形成された直線偏波型のアンテナ素子(23,23’)と、
それぞれの一端側が前記地板導体に接続され、前記誘電体基板をその厚さ方向に沿って貫通し、且つそれぞれの他端側が前記誘電体基板の反対面まで延びて、前記アンテナ素子を囲むように所定間隔で設けられることにより、キャビティを構成する複数の金属ポスト(30)と、
前記誘電体基板の反対面側に、前記複数の金属ポストの各他端側をその並び方向に沿って短絡し、且つ前記アンテナ素子方向に所定距離延びて設けられ、前記アンテナ素子を挟んで対向する少なくとも一対の不均等幅部分を有している枠状導体(32、32’)と、を具備し、
前記複数の金属ポストが、それぞれの一端側が前記地板導体に接続され、前記誘電体基板をその厚さ方向に沿って貫通し、且つそれぞれの他端側が前記誘電体基板の反対面まで延びて、前記第1の直線偏波型のアンテナ素子及び前記第2の直線偏波型のアンテナ素子を分離して囲むように所定間隔で設けられることにより、それぞれ、分離したキャビティを構成し、
前記枠状導体(32、32’)として、それぞれ、前記第1の直線偏波型のアンテナ素子及び前記第2の直線偏波型のアンテナ素子とを分離して囲むように所定間隔で設けられる前記複数の金属ポストの各他端側をその並び方向に沿って短絡し、且つ前記第1の直線偏波型のアンテナ素子及び前記第2の直線偏波型のアンテナ素子方向に所定距離延びて前記誘電体基板の反対面側に第1の枠状導体(32)及び第2の枠状導体(32’)とが設けられていることを特徴とするレーダ装置が提供される。
また、前記目的を達成するために、本発明の第8の態様によると、
前記一対の不均等幅部分が、一対の三角形部分であることを特徴とする第7の態様に従うレーダ装置(50)が提供される。
また、前記目的を達成するために、本発明の第9の態様によると、
前記キャビティ及び枠状導体とで共振器を構成し、前記共振器と前記アンテナ素子との構造パラメータを調整して、前記共振器の共振周波数を所望の値に設定することにより、当該直線偏波アンテナの利得が所定範囲で低下する周波数特性となるようにしたことを特徴とする第7の態様又は第8の態様に従うレーダ装置(50)が提供される。
また、前記目的を達成するために、本発明の第10の態様によると、
前記構造パラメータは、前記キャビティの内寸Lw、前記枠状導体のリム幅L、前記アンテナ素子の全長L、前記アンテナ素子の横幅Wの少なくとも一つを含むことを特徴とする第9の態様に従うレーダ装置(50)が提供される。
以上のように構成される本発明の直線偏波アンテナでは、誘電体基板を貫通する金属ポストをアンテナ素子を囲むように並べてキャビティ構造とし、さらに、この金属ポストの先端を並び方向に沿って短絡し、且つアンテナ素子方向に所定距離延びた枠状導体(rim/conducting rim)を設けているので、表面波の発生を抑制でき、アンテナの放射特性を所望の特性にすることができる。
また、本発明の直線偏波アンテナでは、キャビティの共振現象を利用することにより、アンテナ利得の周波数特性がRR電波発射禁止帯で鋭い落ち込み(ノッチ)を持つようにすることができ、上述したEESSや電波天文業務との電波干渉を低減するのに有効である。
さらに、本発明の直線偏波アンテナでは、アレー化した場合でも、アンテナ素子間で表面波の影響による特性の暴れを防止することができる。
図1は、本発明による直線偏波アンテナの第1の実施形態の構成を説明するために示す斜視図である。 図2は、本発明による直線偏波アンテナの第1の実施形態の構成を説明するために示す正面図である。 図3は、本発明による直線偏波アンテナの第1の実施形態の構成を説明するために示す背面図である。 図4Aは、図2の4A−4A線拡大断面図である。 図4Bは、図2の変形例における4B−4B線拡大断面図である。 図5は、図2の5−5線拡大断面図である。 図6は、本発明による直線偏波アンテナの第1の実施形態の要部の構成を説明するために示す拡大正面図である。 図7は、本発明による直線偏波アンテナの第1の実施形態の要部の変形例の構成を説明するために示す拡大正面図である。 図8は、本発明による直線偏波アンテナの第1の実施形態の要部の構成を除いたとき及び要部の構成を用いたときの特性図である。 図9は、本発明による直線偏波アンテナの第2の実施形態が適用されるアレーの構成を説明するために示す正面図である。 図10は、本発明による直線偏波アンテナの第2の実施形態が適用されるアレーの構成を説明するために示す側面図である。 図11は、本発明による直線偏波アンテナの第2の実施形態が適用されるアレーの構成を説明するために示す背面図である。 図12Aは、本発明による直線偏波アンテナの第3の実施形態が適用される要部の構成を説明するために示す拡大正面図である。 図12Bは、本発明による直線偏波アンテナの第3の実施形態が適用される要部の変形例の構成を説明するために示す拡大正面図である。 図12Cは、本発明による直線偏波アンテナの第3の実施形態が適用される要部の他の変形例の構成を説明するために示す拡大正面図である。 図13は、図12Cに示す本発明による直線偏波アンテナの第3の実施形態の変形例が適用される要部の構成を用いたときと、図2に示す本発明による直線偏波アンテナの第1の実施形態が適用される要部の構成を用いたときの特性図である。 図14は、本発明による直線偏波アンテナの第4の実施形態が適用されるアレーの構成を説明するために示す正面図である。 図15は、本発明による直線偏波アンテナの第4の実施形態が適用されるアレーの構成を用いたときの特性図である。 図16は、本発明による第5の実施形態が適用されるレーダ装置の構成を説明するために示すブロック図である。 図17は、本発明による第5の実施形態が適用されるレーダ装置に用いられる直線偏波アンテナの構成を説明するために示す正面図である。 図18は、準ミリ波帯UWBのスペクトラムマスクと望ましい使用周波数帯(推奨帯域)を示す図である。
以下、図面に基づいて本発明の幾つかの実施の形態を説明する。
(第1実施形態)
図1乃至図5は、本発明を適用した第1実施形態による直線偏波アンテナ20の基本構造を示している。
すなわち、図1は、本発明による直線偏波アンテナの第1の実施形態の構成を説明するために示す斜視図である。
また、図2は、本発明による直線偏波アンテナの第1の実施形態の構成を説明するために示す正面図である。
また、図3は、本発明による直線偏波アンテナの第1の実施形態の構成を説明するために示す背面図である。
また、図4Aは、図2の4A−4A線拡大断面図である。
また、図4Bは、図2の変形例における4B−4B線拡大断面図である。
また、図5は、図2の5−5線拡大断面図である。
本発明による直線偏波アンテナは、基本的には、図1乃至図5に示すように、誘電体基板21と、前記誘電体基板21の一面側に重合される地板導体22と、前記誘電体基板21の反対面に形成された直線偏波型のアンテナ素子23と、それぞれの一端側が前記地板導体22に接続され、前記誘電体基板21をその厚さ方向に沿って貫通し、且つそれぞれの他端側が前記誘電体基板21の反対面まで延びて、前記アンテナ素子23を囲むように所定間隔で設けられることにより、キャビティを構成する複数の金属ポスト30と、前記誘電体基板21の反対面側に、前記複数の金属ポスト30の各他端側をその並び方向に沿って短絡し、且つ前記アンテナ素子23方向に所定距離延びて設けられる枠状導体32とを有している。
この直線偏波アンテナ20は、具体的には、低誘電率(3.5前後)を有する材質からなる基板で、例えば、その厚さが1.2mmの誘電体基板21と、その誘電体基板21の一面側(図1、図2で背面側)に設けられた地板導体22と、誘電体基板21の反対面側(図1、図2で前面側)に、例えば、パターン印刷技術によって形成された前記キャビティを直線偏波で励振するための一対の素子アンテナ23a、23bからなるダイポール型のアンテナ素子23と、このアンテナ素子23に給電するため1つの給電ピン(feed pin)25と1つの短絡ピン(short pin)26とを有している。
これらの給電ピン25と短絡ピン26とは、それぞれ誘電体基板21をその厚さ方向に貫通し、給電ピン25はさらに地板導体22の穴22aを貫通し、短絡ピン26は地板導体22に短絡される。
上記ダイポール型のアンテナ素子23は、平衡型素子のアンテナであるので、平衡給電も可能である。
その場合には、上記1つの給電ピン25と1つの短絡ピン26の代わりに、2つの給電ピンを設け、この2つの共に地板導体22に形成する2つの穴を通過させるように構成すればよい。
しかしながら、通常は、同軸線路やマイクロストリップ線路等を用いてアンテナに給電する場合が多い。
これらの同軸線路やマイクロストリップ線路等は、いわゆる不平衡線路であるので、上述したダイポール型のアンテナ素子23のような平衡型素子のアンテナに給電する場合には、給電ピンとアンテナとの間にバラン(balun)を挿入する必要がある。
しかしながら、UWDで必要とする広帯域特性を実現するためには、バランが非常に大きくなってしまうので、実用的ではない。
そこで、この問題を解決するために、本発明では、上述したように、ダイポール型のアンテナ素子23を構成する一対の素子アンテナ23a、23bの一方の素子アンテナ23bに給電ピン25を介して、例えば、同軸ケーブルや、地板導体22をアースラインとするコプレーナ線路あるいは後述するマイクロストリップ線路等により給電すると共に、他方の素子アンテナ23aを短絡ピン26を介して地板導体22に短絡する構成とすることにより、実質的には不平衡型の給電線であっても、バランを用いることなく給電することができるようにしている。
これにより、アンテナ素子23から直線偏波の電波を放射することができる。
上記の誘電体基板21の材質としては、準ミリ波帯で低損失のR04003(Rogers社)などの材料を用いることができる。
この誘電体基板21の材質としては、低損失で誘電率が2〜5程度の材料であれば使用可能であり、例えば、ガラスクロステフロン基板や各種熱硬化樹脂基板が候補となる。
ただし、これだけの構造のみによる直線偏波アンテナでは、前記したように、誘電体基板21の表面に沿った表面波が励振されるため、その表面波の影響によって直線偏波アンテナとして所望の特性が得られない。
そこで、この実施形態の直線偏波アンテナ20では、上記構造に加えて、図4A、図5に示しているように、一端側が地板導体22に接続され、誘電体基板21を貫通して、他端側が誘電体基板21の反対面まで延びた、例えば、円柱状の金属ポスト30を、アンテナ素子23を囲むように所定間隔で設けることによって形成される、キャビティ構造を採用している。
さらに、この実施形態の直線偏波アンテナ20では、上記キャビティ構造に加えて、誘電体基板21の反対面側に、各金属ポスト30の他端側をその並び方向に沿って順次短絡し、且つ各金属ポスト30との接続位置からアンテナ素子23方向に所定距離延びた枠状導体32を設けている。
そして、この実施形態の直線偏波アンテナ20では、このキャビティ構造と、枠状導体32との相乗効果によって、表面波を抑圧することができるようにしている。
なお、複数の金属ポスト30は、図4Bに示すように、誘電体基板21を貫通する複数の穴301を形成し、この複数の穴301の内壁にメッキ加工(スルーホールメッキ)することによって複数の中空状の金属ポスト30′として実現することもできる。
この場合、スルーホールメッキによる複数の中空状の金属ポスト30′の下端部は、誘電体基板21の一端側にパターン印刷技術によって形成されるランド302を介して地板導体22に接続されるようになされている。
以下、上記のキャビティ構造と枠状導体32とによる表面波抑圧の効果を説明するために、各部の構造パラメータと、当該構造パラメータを変えて得られた直線偏波アンテナ20の特性についてのシミュレーション結果について説明する。
先ず、各部の構造パラメータとなり得る要素について説明する。
この直線偏波アンテナ20の使用周波数はUWB内の26GHzであり、ダイポール型のアンテナ素子23は、図6に示すよう、一対の入力端子25a、25bを有すると共に、横幅Wが約1.8mm、全長Lが約3.5mmの三角形状のボウタイアンテナを用いている。
なお、以下の説明および実施形態では、直線偏波アンテナ20に採用すべきとしてアンテナ素子23として三角形状の例を示している。
しかるに、図7に示すように、直線偏波アンテナ20に採用すべきアンテナ素子23としては、三角形状に代えて、一対の入力端子25a、25bを有すると共に、所定の突出幅W、全長Lを有する変形菱形形状のアンテナ素子23を用いることもできる。
また、誘電体基板21の外形はアンテナ素子23の中心を中心とする正方形で、図2に示すように、その一辺の長さをL(以下、外形長と記す)とし、キャビティの外形もこれと同心の正方形としている。
また、キャビティは、図4A,Bに示すように、その内寸をLwとし、さらに、枠状導体32のキャビティ内壁から内側へ延びる距離(以下、リム幅と記す)をLとする。
また、キャビティを形成する複数の金属ポスト30の直径は、それぞれ、0.3mmであり、各金属ポスト30の間隔は0.9mmである。
図8は、ボウタイアンテナを用いた3種類のアンテナの垂直面(図1、図2でyz面)の放射指向性を示している。
図8で、F1は複数の金属ポスト30によるキャビティ及び枠状導体32が設けられていない場合の放射指向性のシミュレーション結果を示している。
また、F2は複数の金属ポスト30によるキャビティはあるが枠状導体32がない場合の放射指向性を示している。
また、F3は複数の金属ポスト30によるキャビティ及び枠状導体32の両方を設けた場合の放射指向性を示している。
ここで、直線偏波アンテナとして要求される放射特性は、0°方向を中心として対称でブロードな単峰特性である。
図8から明らかなように、複数の金属ポスト30によるキャビティ及び枠状導体32が設けられていない場合の放射指向性F1では、0°方向を中心としての非対称性が大きく、単峰特性とは言えない指向性になっている。
これは、容易に想像されるように、複数の金属ポスト30によるキャビティが存在しないために、ボウタイアンテナで励振された波が表面波として誘電体基板21内を拡散されてしまう結果である。
一方、複数の金属ポスト30によるキャビティはあるが枠状導体32がない場合の放射指向性F2では金属ポスト30によるキャビティが存在しているので、特性のよいアンテナが得られるように想像されるが、実際には、図8に示されているようにやはり0°方向を中心として非対称である。
これは複数の金属ポスト30によるキャビティだけでは十分に表面波を抑圧できないことを示している。
これに対して、複数の金属ポスト30によるキャビティ及び枠状導体32の両方を設けた場合の放射指向性F3は、0°方向を中心として対称でブロードな単峰特性の指向性になっている。
これは、複数の金属ポスト30によるキャビティと枠状導体32の両方によって、キャビティの外側に伝送していく表面波が抑圧され、キャビティの開口からだけ電波放射が起きるためであり、枠状導体32を設けていることの効果が大きいことが分かる。
なお、リム幅Lは、表面波を抑圧すると共に、後述するように、RR電波発射禁止帯でアンテナ利得にノッチが生じるようにシミュレーションまたは実験により決定される。
典型的なリム幅Lの値は、1.2mmである。
このリム幅L=1.2mmは、表面波の波長のほぼ1/4に相当している。
つまり、このリム幅L=1.2mmの部分は、その先端側からポスト壁側を見たとき、表面波に対してインピーダンスが無限大となるλg/4(λgは管内波長)の長さの伝送路を形成する。
したがって、誘電体基板21の表面に沿った電流が流れないことになり、この電流阻止作用によって表面波の励振が抑圧され、放射特性の暴れを防いでいることになる。
よって、直線偏波アンテナ20を上記した以外の他の周波数帯に適用する場合には、その周波数に応じてリム幅Lを変更設定すればよい。
そして、上記実施形態の直線偏波アンテナ20は、UWBの各種通信システムに用いることができる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態の直線偏波アンテナ20では、UWBレーダ等として必要とされる利得が不足する場合や、ビームを絞る必要がある場合には、上記直線偏波アンテナ20をアレー化にすればよい。
図9乃至図11は、本発明による直線偏波アンテナの第2の実施形態として、アレー化した直線偏波アンテナ20′の構成を示している。
すなわち、図9は、本発明による直線偏波アンテナの第2の実施形態が適用されるアレーの構成を説明するために示す正面図である。
また、図10は、本発明による直線偏波アンテナの第2の実施形態が適用されるアレーの構成を説明するために示す側面図である。
また、図11は、本発明による直線偏波アンテナの第2の実施形態が適用される回転アレーの構成を説明するために示す背面図である。
この第2の実施形態による直線偏波アンテナ20′は、縦長矩形の共通の誘電体基板21′及び地板導体22′に、前記第1の実施形態のアンテナ素子23を、2列4段にアレー化して構成されている。
また、この直線偏波アンテナ20′の地板導体22′側には、複数のアンテナ素子に励振信号を分配給電するための給電部40が形成されている。
誘電体基板21′の表面には、前記第1の実施形態と同様に形成された三角形状のボウタイアンテナによる8つのアンテナ素子23(1)〜23(8)が2列4段に設けられている。
また、各アンテナ素子23(1)〜23(8)は、前記第1の実施形態と同様に、一端側が地板導体22′に接続されている複数の金属ポスト30を並べて形成したキャビティにより囲まれている。
さらに、各アンテナ素子23(1)〜23(8)は、各金属ポスト30との接続位置から各アンテナ素子23方向に所定距離(前記したリム幅L分)延びた枠状導体32′により、各金属ポスト30の他端側をその並び方向に沿って連結している。
すなわち、各アンテナ素子23(1)〜23(8)は、各アンテナ素子毎に表面波の発生を抑圧可能な構成となれている。
なお、この直線偏波アンテナ20′のように複数のアンテナ素子23(1)〜23(8)を縦横に配列した場合、隣合うアンテナ素子の間のキャビティ及び枠状導体32′を共通化して、全体として格子状に形成することができる。
ただし、2つの隣合う2つのアンテナ素子の間に設けられる枠状導体32′は、その両アンテナ素子へ所定距離(前記したリム幅L)延びるように形成される。
各アンテナ素子23(1)〜23(8)の給電点に一端側を接続された各給電ピン25(1)〜25(8)は、誘電体基板21′を貫通し、地板導体22′の穴22a′を非導通に通過し、さらに給電部40を構成する給電用誘電体基板41を貫通してその表面に他端側を突出させている。
そして、給電用誘電体基板41の表面には、図11に示しているように、地板導体22′をアースとするマイクロストリップ型の給電ライン42(a)〜42(h)及び42(b′)〜42(h′)が形成されている。
この給電ライン42(a)〜42(h)及び42(b′)〜42(h′)は、図示しない送信部または受信部に接続される入出力用の給電ライン42aから左右に2分岐された2つの給電ライン42b、42b′と、そのうち左方への延びたライン42bから上下に2分岐された2つのライン42c、42dと、その2つのライン42c、42dからそれぞれ2分岐された4つの給電ライン42e〜42hとを有している。
そして、この4つの給電ライン42e〜42hは、図11において右列のアンテナ素子23(1)〜23(4)の各給電ピン25(1)〜25(4)に接続されている。
また、入出力用の給電ライン42aから右方に分岐したライン42b′も、左方側とほぼ同様に、上下に2分岐された2つの給電ライン42c′、42d′と、その2つのライン42c′、42d′からそれぞれ2分岐された4つの給電ライン42e′〜42h′とを有している。
そして、この4つの給電ライン42e′〜42h′は、図9において左列のアンテナ素子23(5)〜23(8)の各給電ピン25(5)〜25(8)に接続されている。
ここで、入出力用の給電ライン42aからみて各給電ピン25(1)〜25(8)までの線路長はすべて等しく設定されているので、各アンテナ素子は同位相で給電され、放射ビームはアンテナ正面を向くことになる。
このように構成された第2の実施形態による直線偏波アンテナ20′では、個々のアンテナ素子23は、複数の金属ポスト30によるキャビティと枠状導体32′によって表面波の発生が抑圧されるため、素子間の相互結合が小さくなり、前述した第1の実施形態と同様に単峰の指向性となる所望の放射特性が得られる。
また、この第2の実施形態による直線偏波アンテナ20′では、アンテナ素子を縦方向に4段設けてアレー化しているので、垂直面のビーム広がりを適度に狭めることができ、UWB帯におけるRR電波発射禁止帯への成分が含まれている場合であっても、問題となる高仰角方向への放射を抑えることができるので、RR電波発射禁止帯への妨害を低減する効果もある。
上記のアレー化した直線偏波アンテナ20′の給電部40は、給電用誘電体基板41上に形成したマイクロストリップ型の給電ライン42によって各アンテナ素子へ励振信号の分配供給を行っているが、コプレーナ線路で給電部を構成することも可能である。
この場合、前記同様に給電用誘電体基板41の表面上にコプレーナ線路型の給電ラインを形成する方法と、地板導体22′に直接コプレーナ線路型の給電ラインを形成する方法のいずれであってもよい。
特に、後者の方法では、給電用誘電体基板41を省略できるという利点がある。
ところで、本発明の直線偏波アンテナは、誘電体基板21に、複数の金属ポスト30によるキャビティと枠状導体32を設けることによって共振器を構成し、この共振器を直線偏波アンテナ素子23で励振していると考えることができる。
本発明の直線偏波アンテナは、共振器を構成しているので、共振周波数が存在し、その共振周波数では直線偏波アンテナの入力インピーダンスが非常に大きくなり、放射をしなくなる。
この場合、共振器の共振周波数は、前記共振器と直線偏波のアンテナ素子の構造パラメータで決まる。
この構造パラメータは、前述したように、キャビティの内寸Lw、リム幅Lのほか、素子アンテナの巻数、素子の基本長a0、線路幅Wなどである。
したがって、アンテナ利得の周波数特性は、前記共振周波数付近で急激に深い落ち込み(ノッチ)が生じることになる。
この共振周波数を、例えば、前記したRR電波発射禁止帯(23.6〜24.0GHz)に一致させることができればこのようなアンテナをUWBレーダの送信アンテナとして用いることにより、地球探査衛星などとの干渉を大幅に低減することができる。
しかしながら、上記のノッチは一般には狭帯域であるので、製作誤差なども考慮して上記のRR電波発射禁止帯をカパーするためには、ノッチの帯域を十に分広げることが重要となる。
(第3実施形態)
次に、上記ノッチを広帯域化するための構成を採用した本発明による直線偏波アンテナの第3の実施形態について説明する。
図12A、B、Cは、それぞれ、本発明による直線偏波アンテナ20の第3の実施形態が適用される要部の構成及びそれとは異なる2つの変形例の構成を説明するために示す正面図である。
すなわち、図12A、B、Cに示す直線偏波アンテナ20は、いずれも枠状導体32の幅を不均等にしているのが特徴である。
図12Aに示す直線偏波アンテナ20は、枠状導体32の幅を不均等にするためにとり得る任意の形状として波型した場合の一例を示している。
図12Bに示す直線偏波アンテナ20は、枠状導体32の幅を不均等にするためにとり得る任意の形状として円弧で構成される場合の一例を示している。
図12Cに示す直線偏波アンテナ20は、枠状導体32の幅を不均等にするためにとり得る任意の形状として三角形で構成される場合の一例を示している。
これは、前述の図2に示すように枠状導体32が方形の均等幅である場合には、その先端側からポスト壁側を見たとき、共振周波数においてはインピーダンス無限大のλ/4伝送路を形成し、共振が極めて鋭くなるのに対し、枠状導体32の幅を図12A、B、Cに示すように不均等とすることにより共振が鈍くなるためである。
図13は、直線偏波アンテナ20のうち、枠状導体32の構成が最も単純な図12Cに示す前記枠状導体32の形状が三角形の場合の効果を説明する図である。
この場合の具体例として、図12C中のh1を約0.26mm.h2を約1.26mmに選んでいる。
図13中、破線で示す特性は、リム幅L=1.0mmの方形の均等幅である図2に示すような枠状導体32の場合のアンテナ利得の周波数特性である。
また、実線で示す特性は、上述したように、h1=0.26mm、h2=1.26mmの三角形の不均等幅である図12Cに示すような枠状導体32の場合のアンテナ利得の周波数特性である。
図13から明らかなように、26GHzにおける利得から10dBi低下したところでの周波数幅は、破線で示す方形の枠状導体32の場合には、約260MHzであるのに対し、実線で示す三角形の枠状導体32の場合には、500MHz以上に及んでいる。
すなわち、RR電波発射禁止帯の幅は400MHzであるから、破線で示す方形の枠状導体32の場合にはノッチの帯域幅がRR電波発射禁止帯の幅400MHzをカバーするのに不十分であるのに対し、実線で示す三角形の枠状導体32の場合にはノッチの帯域幅がRR電波発射禁止帯の幅400MHzを十分にカバーしていることが分かる。
(第4実施形態)
図14は、本発明による直線偏波アンテナの第4の実施形態が適用される要部の構成を説明するために示す正面図である。
すなわち、第4の実施形態が適用される直線偏波アンテナは、図12Cに示したように、前記枠状導体32の形状を三角形にしたアンテナ素子を用いてアレーアンテナを構成した場合である。
図14に示すアレーアンテナの構成は、図9と同じ2×4素子アレーである。
図15は、図14に示すアレーアンテナのアンテナ利得の周波数特性を示している。
この例では、25〜29GHzにわたって利得が15dBiに保たれており、且つ23.6〜24.0GHzに、ピークレベルから約10dBi以上低下した鋭いノッチが生じていると共に、このノッチも必要な帯域幅が得られていることが分かる。
すなわち、本発明による直線偏波アンテナは、共振器、枠状導体あるいはボウタイ型のアンテナ素子のいずれかの構造パラメータを適切に選択することにより、ノッチが生じる周波数やその帯域幅が前記したRR電波発射禁止帯を覆うようにすることができる。
このように、本発明による直線偏波アンテナでは、共振器またはアンテナ素子のいずれか一方、あるいは両方の構造パラメータを適切に選択することにより、ノッチが生じる周波数を前記したRR電波発射禁止帯に容易に一致させることができる。
そして、本発明による直線偏波アンテナは、上記の基本構成に加えて、好ましくは、前記アンテナ素子23、23′が、一対の入力端子25a、25bを有するダイポール型のアンテナ素子23、23′で形成され、一端側が、前記ダイポール型のアンテナ素子23、23′の前記一対の入力端子25a、25bの一方に接続され、他端側が、前記誘電体基板21、21′及び前記地板導体22、22′を貫通して設けられる給電ピン25をさらに具備し、前記ダイポール型のアンテナ素子23、23′の前記一対の入力端子25a、25bの他方が、前記誘電体基板21、21′を貫通して前記地板導体22、22′を短絡することを特徴としている。
また、本発明による直線偏波アンテナは、上記の基本構成に加えて、好ましくは、前記枠状導体32、32′が、前記アンテナ素子23、23′を挟んで対向する少なくとも一対の不均等幅部分、例えば、一対の三角形状部分を有していることを特徴としている。
また、本発明による直線偏波アンテナは、上記の基本構成に加えて、好ましくは、前記誘電体基板21、21′に形成される前記アンテナ素子23、23′と該アンテナ素子23、23′の前記一対の入力端子25a、25bの一方に一端側が接続される前記給電ピン25とがそれぞれ複数組設けられ、前記キャビティを構成する複数の金属ポスト30及び前記枠状導体32、32′が前記複数組の各アンテナ素子23、23′を囲むように格子状に形成され、前記地板導体22、22′側に設けられ、前記複数組の各アンテナ素子23、23′に前記複数組の給電ピン25を介して励振信号を分配供給するための給電部40をさらに具備することを特徴としている。
また、本発明による直線偏波アンテナは、上記の基本構成に加えて、好ましくは、前記給電部40が、前記地板導体22、22′を挟んで前記誘電体基板21、21′の反対側に設けられた給電用誘電体基板41と、前記給電用誘電体基板41の表面に形成されたマイクロストリップ型の給電ライン42とにより構成されていることを特徴としている。
また、本発明による直線偏波アンテナは、上記の基本構成に加えて、好ましくは、前記ダイポール型のアンテナ素子23、23′が、それぞれ、所定の底辺幅Wと所定の高さL/2を有して三角形状に形成され、互いに頂部が対向して配置されたボウタイアンテナを構成することを特徴としている。
また、本発明による直線偏波アンテナは、上記の基本構成に加えて、好ましくは、前記ダイポール型のアンテナ素子23、23′が、それぞれ、所定の突出幅Wで所定の高さL/2を有して変形菱形形状に形成され、互いに一方の頂部が対向して配置されたボウタイアンテナを構成することを特徴としている。
また、本発明による直線偏波アンテナは、上記の基本構成に加えて、好ましくは、前記キャビティ及び枠状導体とで共振器を構成し、前記共振器と前記アンテナ素子23、23′との構造パラメータを調整して、前記共振器の共振周波数を所望の値に設定することにより、当該直線偏波アンテナの利得が所定範囲で低下する周波数特性となるようにしたことを特徴としている。
また、本発明による直線偏波アンテナは、上記の基本構成に加えて、好ましくは、前記構造パラメータは、前記キャビティの内寸Lw、前記枠状導体のリム幅L、前記アンテナ素子23、23′の全長L、前記アンテナ素子の横幅Wの少なくとも一つを含むことを特徴としている。
(第5の実施形態)
図16は、本発明による第5の実施形態が適用されるレーダ装置の構成を説明するために示すブロック図である。
すなわち、図16は、上記した各実施形態による直線偏波アンテナ20、20′を送信アンテナ51及び受信アンテナ52として使用したUWBのレーダ装置50の構成を示している。
この図16に示すレーダ装置50は車載用のレーダ装置であり、制御部53によるタイミング制御を受ける送信部54が、キャリア周波数26GHzのパルス波を所定周期で生成して送信アンテナ51から探査対象の空間1へ放射する。
空間1の物体1aで反射して戻ってきたパルス波は、受信アンテナ52で受信され、その受信信号が受信部55に入力される。
この受信部55は、制御部53によるタイミング制御を受けて受信信号の検波処理を行う。
この検波処理で得られた信号は、解析処理部56に出力され、探査対象の空間1に対する解析処理がなされ、必要であれはその解析結果が制御部53に通知される。
このような構成のレーダ装置50の送信アンテナ51と受信アンテナ52として、前記した直線偏波アンテナ20、20′を用いることができる。
しかるに、車載用とする場合、送信アンテナ51と受信アンテナ52を一体的に形成することが望ましい。
図17は、上記の点を考慮した直線偏波アンテナ60であり、構造的には前記した図15の直線偏波アンテナ20′と同構成の第1及び第2の直線偏波アンテナ20′による送信アンテナ51と受信アンテナ52とを、横長の共通の誘電体基板21″の左右に設けたものである。
すなわち、図17は、本発明による第5の実施形態が適用されるレーダ装置に用いられる直線偏波アンテナ60の構成を説明するために示す正面図である。
この直線偏波アンテナ60に設けられている送信アンテナ51及び受信アンテナ52は、前述したように、複数の金属ポスト30によるキャビティ構造と枠状導体32′で各アンテナ素子23を囲っており、表面波の影響がないため、広帯域で、かつRR電波発射禁止帯への放射を抑圧する利得特性を有している。
しかも、図17に示す送信アンテナ51及び受信アンテナ52の給電部(図示せず)は、それぞれ、前記した図15に示したアレー構造としているので、前述したような良好な直線偏波特性となり、送信アンテナ51から探査空間へ放射された直線偏波の、物体1aによる反射波を受信アンテナ52によって高感度に受信することができる。
なお、レーダ装置50の送信アンテナ51及び受信アンテナ52として、前記直線偏波アンテナ20、20″と同等のものを採用してもよい。
すなわち、本発明によるレーダ装置は、基本的には、レーダパルスを送信アンテナ51を介して空間1へ放射する送信部54と、前記空間1から戻ってくる前記レーダパルスの反射波を受信アンテナ52を介して受信する受信部55と、前記受信部55からの受信出力に基づいて前記空間1に存在する物体1aを探査する解析処理部56と、解析処理部56からの出力に基づいて前記送信部54及び受信部55の少なくとも一方を制御する制御部53とを具備し、前記送信アンテナ51及び受信アンテナ52が第1及び第2の直線偏波型のアンテナ素子23、23′で構成され、前記第1及び第2の直線偏波型のアンテナ素子23、23′が、それぞれ、誘電体基板21、21′、21″と、前記誘電体基板21、21′、21″の一面側に重合される地板導体22、22′と、前記誘電体基板21、21′、21″の反対面に形成された直線偏波型のアンテナ素子23、23′と、それぞれの一端側が前記地板導体22、22′に接続され、前記誘電体基板21、21′、21″をその厚さ方向に沿って貫通し、且つそれぞれの他端側が前記誘電体基板21、21′、21″の反対面まで延びて、前記アンテナ素子23、23′を囲むように所定間隔で設けられることにより、キャビティを構成する複数の金属ポスト30と、前記誘電体基板21、21′、21″の反対面側に、前記複数の金属ポスト30の各他端側をその並び方向に沿って短絡し、且つ前記アンテナ素子23、23′方向に所定距離延びて設けられる枠状導体32、32′とを具備し、前記複数の金属ポスト30が、それぞれの一端側が前記地板導体22、22′に接続され、前記誘電体基板21″をその厚さ方向に沿って貫通し、且つそれぞれの他端側が前記誘電体基板21″の反対面まで延びて、前記第1の直線偏波型のアンテナ素子23、23′及び前記第2の直線偏波型のアンテナ素子23、23′とを分離して囲むように所定間隔で設けられることにより、それぞれ、分離したキャビティを構成し、前記枠状導体32、32′として、それぞれ、前記第1の直線偏波型のアンテナ素子23、23′及び前記第2の直線偏波型のアンテナ素子23、23′とを分離して囲むように所定間隔で設けられる前記複数の金属ポスト30の各他端側をその並び方向に沿って短絡し、且つ前記第1の直線偏波型のアンテナ素子23、23′及び前記第2の直線偏波型のアンテナ素子23、23′方向に所定距離延びて前記誘電体基板21″の反対面側に第1の枠状導体32及び第2の枠状導体32′とが設けられていることを特徴としている。
また、本発明によるレーダ装置は、上記の基本構成に加えて、好ましくは、前記アンテナ素子23、23′が、一対の入力端子25a、25bを有するダイポール型のアンテナ素子23、23′で形成され、一端側が、前記ダイポール型のアンテナ素子23、23′の前記一対の入力端子25a、25bの一方に接続され、他端側が、前記誘電体基板21″及び前記地板導体22、22′を貫通して設けられる給電ピン25をさらに具備し、前記ダイポール型のアンテナ素子23、23′の前記一対の入力端子25a、25bの他方が、前記誘電体基板21″を貫通して前記地板導体22、22′を短絡することを特徴としている。
また、本発明によるレーダ装置は、上記の基本構成に加えて、好ましくは、前記枠状導体32、32′が、前記アンテナ素子23、23′を挟んで対向する少なくとも一対の不均等幅部分、例えば、一対の三角形状部分を有していることを特徴としている。
また、本発明によるレーダ装置は、上記の基本構成に加えて、好ましくは、前記誘電体基板21″に形成される前記アンテナ素子23、23′と該アンテナ素子23、23′の前記一対の入力端子25a、25bの一方に接続される前記給電ピン25とがそれぞれ複数組設けられ、前記キャビティを構成する複数の金属ポスト30及び前記枠状導体32、32′が前記複数組の各アンテナ素子23、23′を囲むように格子状に形成され、前記地板導体22、22′側に設けられ、前記複数組の各アンテナ素子23、23′に前記複数組の給電ピン25を介して励振信号を分配供給するための給電部40をさらに具備することを特徴としている。
また、本発明によるレーダ装置は、上記の基本構成に加えて、好ましくは、前記給電部40は、前記地板導体22、22′を挟んで前記誘電体基板21″の反対側に設けられた給電用誘電体基板41と、前記給電用誘電体基板41の表面に形成されたマイクロストリップ型の給電ライン42とにより構成されていることを特徴としている。
また、本発明によるレーダ装置は、上記の基本構成に加えて、好ましくは、前記ダイポール型のアンテナ素子23、23′は、それぞれ、所定の底辺幅Wと所定の高さL/2を有して三角形状に形成され、互いに頂部が対向して配置されたボウタイアンテナを構成することを特徴としている。
また、本発明によるレーダ装置は、上記の基本構成に加えて、好ましくは、前記ダイポール型のアンテナ素子23、23′は、それぞれ、所定の突出幅Wで所定の高さL/2を有して変形菱形形状に形成され、互いに一方の頂部が対向して配置されたボウタイアンテナを構成することを特徴としている。
また、本発明によるレーダ装置は、上記の基本構成に加えて、好ましくは、前記キャビティ及び枠状導体32、32′とで共振器を構成し、前記共振器と前記アンテナ素子23、23′との構造パラメータを調整して、前記共振器の共振周波数を所望の値に設定することにより、当該直線偏波アンテナの利得が所定範囲で低下する周波数特性となるようにしたことを特徴としている。
また、本発明によるレーダ装置は、上記の基本構成に加えて、好ましくは、前記構造パラメータは、前記キャビティの内寸Lw、前記枠状導体32、32′のリム幅L、前記アンテナ素子23、23′の全長L、前記アンテナ素子の23、23′横幅Wの少なくとも一つを含むことを特徴としている。
また、本発明による直線偏波アンテナは、上記直線偏波アンテナの基本構成に加えて、好ましくは、前記アンテナ素子として、第1の直線偏波型のアンテナ素子23、23′と、第2の直線偏波型のアンテナ素子23′、23とが前記誘電体基板21″に形成され、前記複数の金属ポスト30が、それぞれの一端側が前記地板導体22に接続され、前記誘電体基板21″をその厚さ方向に沿って貫通し、且つそれぞれの他端側が前記誘電体基板21″の反対面まで延びて、前記第1の直線偏波型のアンテナ素子23、23′及び前記第2の直線偏波型のアンテナ素子23、23′とを分離して囲むように所定間隔で設けられることにより、それぞれ、分離したキャビティを構成し、前記枠状導体32、32′として、それぞれ、前記第1の直線偏波型のアンテナ素子及び前記第2の直線偏波型のアンテナ素子とを分離して囲むように所定間隔で設けられる前記複数の金属ポスト30の各他端側をその並び方向に沿って短絡し、且つ前記第1の直線偏波型のアンテナ素子23、23′及び前記第2の直線偏波型のアンテナ素子23、23′方向に所定距離延びて前記誘電体基板21″の反対面側に第1の枠状導体32及び第2の枠状導体32′とが設けられることを特徴としている。
また、本発明による直線偏波アンテナは、上記の基本構成に加えて、好ましくは、前記第1の直線偏波型のアンテナ素子23、23′及び前記第2の直線偏波型のアンテナ素子23、23′の一方がレーダ装置50の送信アンテナ51として適用され、他方が前記レーダ装置50の受信アンテナ52として適用されることを特徴としている。
なお、上記第5の実施形態は、本発明による直線偏波アンテナをUWBのレーダ装置に用いた例であるが、本発明による直線偏波アンテナは、UWBのレーダ装置だけでなく、UWB以外の周波数帯で、各種の通信システムにも適用することが可能である。

Claims (10)

  1. 誘電体基板と、
    前記誘電体基板の一面側に重合される地板導体と、
    前記誘電体基板の反対面に形成された直線偏波型のアンテナ素子と、
    それぞれの一端側が前記地板導体に接続され、前記誘電体基板をその厚さ方向に沿って貫通し、且つそれぞれの他端側が前記誘電体基板の反対面まで延びて、前記アンテナ素子を囲むように所定間隔で設けられることにより、キャビティを構成する複数の金属ポストと、
    前記誘電体基板の反対面側に、前記複数の金属ポストの各他端側をその並び方向に沿って短絡し、且つ前記アンテナ素子方向に所定距離延びて設けられ、前記アンテナ素子を挟んで対向する少なくとも一対の不均等幅部分を有している枠状導体と、
    を具備する直線偏波アンテナ。
  2. 前記一対の不均等幅部分が、一対の三角形状部分であることを特徴とする請求項に記載の直線偏波アンテナ。
  3. 前記誘電体基板に形成される前記アンテナ素子と該アンテナ素子の前記一対の入力端子の一方に一端側が接続される前記給電ピンとがそれぞれ複数組設けられ、
    前記キャビティを構成する複数の金属ポスト及び前記枠状導体が前記複数組の各アンテナ素子を囲むように格子状に形成され、
    前記地板導体側に設けられ、前記複数組の各アンテナ素子に前記複数組の給電ピンを介して励振信号を分配供給するための給電部をさらに具備することを特徴とする請求項に記載の直線偏波アンテナ。
  4. 前記給電部は、前記地板導体を挟んで前記誘電体基板の反対側に設けられた給電用誘電体基板と、前記給電用誘電体基板の表面に形成されたマイクロストリップ型の給電ラインとにより構成されていることを特徴とする請求項に記載の直線偏波アンテナ。
  5. 前記キャビティ及び枠状導体とで共振器を構成し、前記共振器と前記アンテナ素子との構造パラメータを調整して、前記共振器の共振周波数を所望の値に設定することにより、当該直線偏波アンテナの利得が所定範囲で低下する周波数特性となるようにしたことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の直線偏波アンテナ。
  6. 前記構造パラメータは、前記キャビティの内寸Lw、前記枠状導体のリム幅LR、前記アンテナ素子の全長LB、前記アンテナ素子の横幅WBの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の直線偏波アンテナ。
  7. 送信アンテナを介してレーダパルスを空間へ放射する送信部と、
    受信アンテナを介して前記空間から戻ってくる前記レーダパルスの反射波を受信する受信部と、
    前記受信部からの受信出力に基づいて前記空間に存在する物体を探査する解析処理部と、
    解析処理部からの出力に基づいて前記送信部及び受信部の少なくとも一方を制御する制御部と、を具備し、
    前記受信アンテナ及び送信アンテナが、第1及び第2の直線偏波型のアンテナ素子で構成され、前記第1及び第2の直線偏波型のアンテナ素子が、それぞれ、
    誘電体基板と、
    前記誘電体基板の一面側に重合される地板導体と、
    前記誘電体基板の反対面に形成された直線偏波型のアンテナ素子と、
    それぞれの一端側が前記地板導体に接続され、前記誘電体基板をその厚さ方向に沿って貫通し、且つそれぞれの他端側が前記誘電体基板の反対面まで延びて、前記アンテナ素子を囲むように所定間隔で設けられることにより、キャビティを構成する複数の金属ポストと、
    前記誘電体基板の反対面側に、前記複数の金属ポストの各他端側をその並び方向に沿って短絡し、且つ前記アンテナ素子方向に所定距離延びて設けられ、前記アンテナ素子を挟んで対向する少なくとも一対の不均等幅部分を有している枠状導体と、を具備し、
    前記複数の金属ポストが、それぞれの一端側が前記地板導体に接続され、前記誘電体基板をその厚さ方向に沿って貫通し、且つそれぞれの他端側が前記誘電体基板の反対面まで延びて、前記第1の直線偏波型のアンテナ素子及び前記第2の直線偏波型のアンテナ素子を分離して囲むように所定間隔で設けられることにより、それぞれ、分離したキャビティを構成し、
    前記枠状導体として、それぞれ、前記第1の直線偏波型のアンテナ素子及び前記第2の直線偏波型のアンテナ素子とを分離して囲むように所定間隔で設けられる前記複数の金属ポストの各他端側をその並び方向に沿って短絡し、且つ前記第1の直線偏波型のアンテナ素子及び前記第2の直線偏波型のアンテナ素子方向に所定距離延びて前記誘電体基板の反対面側に第1の枠状導体及び第2の枠状導体とが設けられていることを特徴とするレーダ装置。
  8. 前記一対の不均等幅部分が、一対の三角形状部分であることを特徴とする請求項に記載のレーダ装置。
  9. 前記キャビティ及び枠状導体とで共振器を構成し、前記共振器と前記アンテナ素子との構造パラメータを調整して、前記共振器の共振周波数を所望の値に設定することにより、当該直線偏波アンテナの利得が所定範囲で低下する周波数特性となるようにしたことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のレーダ装置。
  10. 前記構造パラメータは、前記キャビティの内寸Lw、前記枠状導体のリム幅LR、前記アンテナ素子の全長LB、前記アンテナ素子の横幅WBの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項に記載のレーダ装置。
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