JP2000234051A - ポリカーボネート系熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

ポリカーボネート系熱可塑性樹脂組成物

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JP2000234051A
JP2000234051A JP3697399A JP3697399A JP2000234051A JP 2000234051 A JP2000234051 A JP 2000234051A JP 3697399 A JP3697399 A JP 3697399A JP 3697399 A JP3697399 A JP 3697399A JP 2000234051 A JP2000234051 A JP 2000234051A
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copolymer
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aromatic vinyl
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JP3697399A
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Hideo Kinoshita
秀雄 木下
Hidenori Kurokawa
英紀 黒川
Ikuji Otani
郁二 大谷
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐光性に優れ、且つ、厚み依存性が無く高い
耐衝撃性を有し、成形加工性に優れた樹脂組成物を提供
すること。 【解決手段】 (A)芳香族ポリカーボネート樹脂98
〜40重量%、(B)水素添加スチレン系熱可塑性エラ
ストマー1〜30重量%及び(C)相溶化剤1 〜30重
量%を必須成分とする組成物であって、該(C)が溶解
性パラメーター(SP)値の異なる共重合体分子からな
り、最大のSP値を有する共重合体分子と最小のSP値
を有する共重合体分子との間のSP値差が0.3〜1.
0〔(cal/cm3) 1/2〕であり、かつ該共重合
体の平均SP値が10.6〜11.0〔(cal/cm
3) 1/2〕であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、厚み依存性がなく
高い耐衝撃性を有し、成形加工性に優れ、且つ耐候
(光)性にも優れたポリカーボネート系熱可塑性樹脂組
成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂は、透明性、耐熱
性に優れることに加え、耐衝撃性に優れることから建築
材料、光学材料、工具材料等に使用されている。しかし
ながら、このポリカーボネート樹脂は一般には耐衝撃性
に優れると言われているが、実質的にはその成形品の肉
厚が高くなるといわゆるノッチ効果と言われるわずかな
欠陥があると割れやすい欠点がある。又、更に流動性が
悪く成形加工性に劣る欠点もあり、その使用範囲が限定
されている。この為、実質的にはポリカーボネート樹脂
にABS樹脂を配合し、透明ではないが耐熱性、耐衝撃
性に優れた樹脂として一般に使用されている。このPC
/ABS系樹脂は、自動車用材料、家電用材料、OA機
器用材料等に利用されている。しかしながら、このPC
/ABS系樹脂は、一つの大きな問題点がある。それ
は、耐光性である。即ち、耐衝撃性の厚み依存性を無く
すあるいは流動性を改良する目的で使用されているAB
S樹脂は、ゴム成分としてブタジエン系ゴムを使用して
いる。このブタジエン系ゴムは分子中に二重結合を含む
為に、この成分が原因で着色し外観変化がおこるという
問題がある。この為、この問題点のない耐熱性に優れ、
耐候(光)性にも優れ、且つ厚み依存性がなく高い耐衝
撃性を有し、成形加工性に優れた樹脂が要望されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
の如き状況に鑑み、耐光性に優れ、且つ、厚み依存性が
無く高い耐衝撃性を有し、成形加工性に優れた樹脂組成
物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記特性を
有する材料を開発すべく、ポリカーボネート樹脂の耐衝
撃性の厚み依存性を改良する目的でゴム成分としてブタ
ジエン成分を含まない耐光性に優れた水素添加スチレン
系熱可塑性エラストマーとの組成物の検討を進めたが、
単なるポリカーボネート樹脂と水素添加スチレン系熱可
塑性エラストマーとの組成物では耐衝撃性の厚み依存性
は改良することは出来なかった。しかしながら、このポ
リカーボネート樹脂と水素添加スチレン系熱可塑性エラ
ストマーに、更に特殊な相溶化剤、即ち特殊な構造を有
する芳香族ビニル単量体及び芳香族ビニル単量体と共重
合可能な単量体からなる共重合体及びガラス転移温度
(Tg)が−30℃以下のゴム状重合体と、それにグラ
フトされた芳香族ビニル単量体及び芳香族ビニル単量体
と共重合可能な単量体とからなるグラフト共重合体より
選ばれる少なくとも一種の相溶化剤を添加することによ
り、驚くべきこと耐光性に優れ、厚み依存性の無い高い
耐衝撃性を有し、更に成形加工性にも優れた組成物とな
し得ることを見出し本発明を完成するに至った。更に、
このポリカーボネート樹脂、水素添加スチレン系熱可塑
性エラストマー及び相溶化剤との組成物に、更にポリス
チレン系樹脂を添加した場合、耐光性にも優れ、厚み依
存性の無い高い耐衝撃性を有し、添加しないものに比較
して更に流動性が改良でき成形加工性に優れた組成物と
なし得ることも見出し本発明を完成するに至った。
【0005】即ち、本発明は、(A)芳香族ポリカーボ
ネート樹脂、(B)水素添加スチレン系熱可塑性エラス
トマー及び(C)相溶化剤を必須成分とする組成物であ
って、該(C)が(a)芳香族ビニル単量体及び芳香族
ビニル単量体と共重合可能な単量体からなる共重合体、
及び(b)ガラス転移温度(Tg)が−30℃以下のゴ
ム状重合体と、それにグラフトされた芳香族ビニル単量
体(M1)及び芳香族ビニル単量体(M1)と共重合可
能な単量体(M2)とからなるグラフト共重合体より選
ばれる少なくとも一種の相溶化剤であり、上記単量体
(M1)と(M2)はそれぞれその単独重合体であって
もよく及び/又は互に共重合していてもよい、を包含し
てなり、上記(C)成分としての該共重合体が、それを
構成する単量体成分の比率に関して不均一な分布を有
し、それによって該共重合体は溶解性パラメーター(S
P)値の異なる共重合体分子からなり、最大のSP値を
有する共重合体分子と最小のSP値を有する共重合体分
子との間のSP値差が0.3〜1.0〔(cal/cm
3) 1/2〕であり、かつ該共重合体の平均SP値が1
0.6〜11.0〔(cal/cm3) 1/2〕である
ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物にする関するもの
である。更に、(A)(B)(C)からなる樹脂組成物
に対してポリスチレン系樹脂を含有する熱可塑性樹脂組
成物に関するものである。
【0006】以下、本発明を詳しく説明する。本発明の
熱可塑性樹脂組成物において(A)成分として使用する
芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ホモポリカーボ
ネートと芳香族コポリカーボネートより選ぶことができ
る。製造方法としては、2官能フェノール系化合物に苛
性アルカリ及び溶剤の存在下でホスゲンを吹き込むホス
ゲン法、あるいは例えば、二官能フェノール系化合物と
炭酸ジエチルとを触媒の存在下でエステル交換させるエ
ステル交換法を挙げることができる。該芳香族ポリカー
ボネートは粘度平均分子量が1万〜10万の範囲が好適
である。ここで、上記2官能フェノール系化合物は、
2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフ
ェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メ
タン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタ
ン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェ
ニル)ブタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,
5−ジプロピルフェニル)プロパン、1,1’−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−フェ
ニル−1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン等であり、特に2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン〔ビスフェノールA〕が好ましい。本発
明において、2官能フェノール系化合物は、単独で用い
てもよいし、あるいはそれらを併用してもよい。
【0007】本発明の熱可塑性樹脂組成物において
(B)成分として使用する水素添加スチレン系熱可塑性
エラストマーは、主として芳香族ビニル単量体と共役ジ
エン単量体からなるブロック共重合体の共役ジエン単量
体部分が部分的あるいはすべて水素添加されたブロック
共重合体である。このブロック共重合体を構成する共役
ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレ
ン等を挙げることができる。このブロック共重合体のブ
ロック構造は、芳香族ビニル単量体からなる重合体ブロ
ックをSで表示し、共役ジエン及び/またはその部分的
あるいはすべて水素添加された単位からなる重合体ブロ
ックをBで表示する場合、SB、S( BS)n、(但
し、nは1〜3の整数)、S( BSB) m、(但し、m
は1〜2の整数)のリニアーブロック共重合体や、(S
B) pX(但し、pは3〜6の整数。Xは四塩化ケイ
素、四塩化スズ、ポリエポキシ化合物等のカップリング
剤残基。)で表示される、B部分を結合中心とする星状
(スター)ブロック共重合体も含む。このなかでもSB
の2型、SBSの3型、SBSBの4型のリニアーブロ
ック共重合体が好ましい。本発明組成物の用途が屋外で
使用されるものである場合には、特に高い耐候性が要求
される。又、屋内で使用される物であっても耐光性が要
求される。ゴム成分としてブタジエンあるいはイソプレ
ンが存在する場合、酸化劣化により着色あるいは分子量
低下により強度低下が起こる。ジエン成分を水素添加し
た水素添加芳香族ビニル単量体/ジエン単量体のブロッ
ク共重合体は、耐候性あるいは耐光性も良く、又、耐衝
撃性改良効果も高い。
【0008】本発明の熱可塑性樹脂組成物において
(C)成分として使用する相溶化剤は、(a)芳香族ビ
ニル単量体及び芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量
体からなる共重合体、及び(b)ガラス転移温度(T
g)が−30℃以下のゴム状重合体と、それにグラフト
された芳香族ビニル単量体(M1)及び芳香族ビニル単
量体(M1)と共重合可能な単量体(M2)とからなる
グラフト共重合体より選ばれる少なくとも一種の相溶化
剤である。芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体と
しては、例えば、不飽和ニトリル単量体、アクリル酸エ
ステル単量体、メタクリル酸エステル単量体、アクリル
酸単量体、メタクリル酸単量体、α,β−不飽和カルボ
ン酸無水物単量体及びマレイミド系単量体より選ばれる
一種または二種以上の単量体を挙げることができる。
【0009】上記の芳香族ビニル単量体の具体例として
は、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、2,
4,5−トリブロモスチレン等を挙げることができる。
スチレンが最も好ましいが、スチレンと上記他の芳香族
ビニル単量体を組み合わせてもよい。不飽和ニトリル単
量体の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル等を挙げることができ、アクリル酸エステル単
量体の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸
ブチル等の炭素数が1〜8のアルキル基を有するアクリ
ル酸エステルであり、メタクリル酸エステル単量体の具
体例としては、メタクリル酸メチル等の炭素数が1〜8
のアルキル基を有するメタクリル酸エステルを挙げるこ
とができ、α,β−不飽和カルボン酸無水物単量体の具
体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸等を挙
げることができ、マレイミド系単量体の具体例として
は、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニル
マレイミド等を挙げることができる。中でも、芳香族ビ
ニル単量体と共重合可能な単量体として、不飽和ニトリ
ル単量体であるアクリロニトリルが、芳香族ポリカーボ
ネート樹脂と水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー
との相溶効果が高く最も好ましい。
【0010】本発明で相溶化剤(C)として用いる前記
共重合体(a)と(b)の分子量の指標である溶液粘度
(共重合体10重量%のメチルエチルケトン溶液、測定
温度25℃)は、2〜10cP(センチポアズ)である
ことが好ましい。溶液粘度が2cP未満では耐衝撃性の
改良効果が低下し、一方、10cPを越えると流動性が
低下する。
【0011】本発明で相溶化剤(C)として用いる共重
合体(a)は、通常の溶液重合、塊状重合、懸濁重合、
乳化重合等の方法により製造することができる。共重合
体の溶液粘度の制御は、重合温度、開始剤種と量、及び
連鎖移動剤量により行なうことができる。また、共重合
組成の制御は、仕込み単量体組成により行なうことがで
きる。そして、共重合組成分布の制御は、反応機の選定
により行なうことができる。即ち、組成分布を狭くする
には完全混合型反応機を用い、組成分布を広くするには
プラグフロー型反応機を用いる。組成分布の狭い共重合
体を複数個組み合わせて組成分布を制御することも可能
である。
【0012】本発明で相溶化剤(C)として用いるグラ
フト共重合体(b)は、好ましくは、ガラス転移温度
(Tg)が−30℃以下のゴム状重合体5〜80重量%
と、前記共重合体(a)の説明において示した単量体9
5〜20重量%とのグラフト共重合体である。このグラ
フト共重合体は、マトリックス樹脂中にゴム状重合体が
粒子状に分散してなり、ゴム粒子径は0. 5〜4. 0μ
mが好ましく、特に0.8〜1.5μmが好適である。
上記ゴム状重合体の例としては、ポリブタジエン、ポリ
(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル−
ブタジエン)等のジエン系ゴム及び上記ジエンゴムを水
素添加した飽和ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴ
ム、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム及びエチ
レン−プロピレン−ジエンモノマー三元共重合体(EP
DM)等を挙げることができる。特にジエン系ゴムが好
ましい。
【0013】(C)成分中のゴム状重合体は、ガラス転
移温度(Tg)が−30℃以下であることが必要であ
り、−30℃より高いと耐衝撃性が低下する。(C)成
分として(b)の成分としてジエン系を使用する場合、
耐候性あるいは耐光性はやや低下する傾向にある。従っ
て、このゴム状重合体に於いても水素添加した飽和ゴム
を使用することが好ましい。しかしながら、ジエン系ゴ
ムは、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーに比較
して安価であり、水素添加スチレン系熱可塑性エラスト
マーの一部をジエン系ゴムに置きかえることはコスト的
にも有利となるのみならず、高度な耐候性を要求されな
い用途には使用することができる。この場合でも(B)
成分である水素添加スチレン系エラストマーが存在する
限り、ゴム成分が全てジエン系ゴムとするより耐候
(光)性に優れ、又、本発明の大きな狙いであるポリカ
ーボネート系樹脂の耐衝撃性厚み依存性の改良もでき
る。
【0014】本発明で相溶化剤(C)として用いるグラ
フト共重合体(b)は、通常の溶液重合、塊状重合、懸
濁重合、乳化重合等の方法により製造することができる
が、特にゴム状重合体、単量体混合物、及び重合溶媒よ
りなる均一な重合原液を攪拌付き連続多段式塊状重合反
応機に供給し、連続的に重合、脱揮する塊状重合法が好
ましい。塊状重合法によりグラフト共重合体(b)を製
造する場合、分子量の指標である溶液粘度の制御は、重
合温度、開始剤種と量、及び連鎖移動剤量により行なう
ことができる。また、共重合組成の制御は、仕込み単量
体組成により行ない、共重合組成分布の制御は、共重合
体(a)の説明において示した方法で行なうことができ
る。そして、ゴム粒子径の制御は、撹はん回転数で行な
い、小粒子化は回転数を上げ、大粒子化は回転数を下げ
ることによる。
【0015】本発明において用いられる相溶化剤(C)
としての共重合体(a)とグラフト共重合体(b)のい
ずれにおいても、芳香族ビニル単量体及び芳香族ビニル
単量体と共重合可能な単量体は、ランダム共重合体を形
成していてもよいし、ブロック共重合体を形成していて
もよいし、グラフト共重合体を形成していてもよい。
【0016】本発明においては、上記(C)成分である
相溶化剤である該共重合体は、それを構成する単量体成
分の比率に関して不均一な分布を有し、それによって該
共重合体は溶解性パラメーター(SP)値の異なる共重
合体分子からなり、最大のSP値を有する共重合体分子
と最小のSP値を有する共重合体分子との間のSP値差
(ΔSP値)が0.3〜1.0〔(cal/cm3)1/2
〕であり、かつ該共重合体の平均SP値が10.6〜
11.0〔(cal/cm3)1/2 〕であることが必須で
あり、好ましくは10.6〜10.9、更に好ましくは
10.7〜10.8である。
【0017】本発明においては、ポリカーボネート樹脂
と水素添加スチレン系エラストマーとの組成物では、ポ
リカーボネートの持つ流動性、即ち成形加工性は改良で
きるが耐衝撃性の厚み依存性は改良することは出来な
い。しかしながら、このポリカーボネート樹脂と水素添
加スチレン系エラストマーに、上述の相溶化剤を加えた
3成分とすることにより、耐候(光)性にも優れ、且
つ、ポリカーボネートの持つ大きな問題点である耐衝撃
性の厚み依存性を改良することができる。本発明で使用
する(C)成分である相溶化剤として有用な共重合体の
一つの例として、特定の、共重合体を構成する単量体成
分の比率に関して不均一な分布を有するアクリロニトリ
ル−スチレン共重合体(AS樹脂)がある。従来のAS
樹脂の共重合組成は均一であり、不均一な組成分布を有
さない。一般に市販のAS樹脂は共重合組成は均一であ
り、本発明で定義される(C)成分とは異なる。このよ
うな市販のAS樹脂を、本発明において芳香族ポリカー
ボネート樹脂と水素添加スチレン系熱可塑性エラストマ
ーの相溶化剤(C)として用いても、芳香族ポリカーボ
ネート樹脂の耐衝撃性の厚み依存性を改良することは出
来ない。不均一な分布を有する特殊なAS樹脂を相溶化
剤として用いることにより始めて本発明の目的を達成す
ることが可能となる。ΔSP値が、0. 3〜1. 0
〔(cal/cm3)1/2 〕の範囲外であると、芳香族ポ
リカーボネート樹脂の耐衝撃性厚み依存性を改良するこ
とが出来ない。ΔSP値は、好ましくは0.3〜0.8
〔(cal/cm3)1/2 〕、さらに好ましくは0.4〜
0.6〔(cal/cm3)1/2 〕である。(C)成分の
平均SP値が10.6未満では、(A)成分との相溶性
が低下し、一方、その平均SP値が11.0を越える
と、(B)成分との相溶性が低下する。(A)成分のS
P値は(B)成分のSP値と差がある。このように
(A)成分と(B)成分のSP値が異なっていても、相
溶化剤(C)のSP値には分布が存在するので、相溶化
剤の最大のSP値を有する共重合体分子が(A)成分と
相溶し、一方最小のSP値を有する共重合体分子が
(B)成分と相溶し、その結果として、(A)成分と
(B)成分が相溶化する。
【0018】なお、水素添加スチレン系熱可塑性エラス
トマー、即ち水素添加芳香族ビニル単量体/ジエン単量
体のブロック共重合体で一般に市販されているものは、
芳香族ビニル単量体含有量は30%付近のものが多いが
本発明では高い芳香族ビニル単量体含有量の水素添加ス
チレン系熱可塑性エラストマーを使用することがより好
ましい。一般に低い芳香族ビニル単量体含有量の水素添
加スチレン系熱可塑性エラストマーを使用すると(C)
成分である本発明の相溶化剤を用いても相分離する方向
にある。これは、(C)成分の一方のSP値と(B)成
分のSP値が異なり(C)成分が相溶化剤としての役割
を果たさない為と推定される。水素添加スチレン系熱可
塑性エラストマーの芳香族ビニル単量体含有量は、40
%以上が好ましい。更に、50%以上がより好ましい。
【0019】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述の
(A)成分である芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)
成分である水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと
(C)成分である相溶化剤とを必須成分とし、且つ主成
分とするものであり、この内(A)、(B)及び(C)
の配合割合は、(A)成分98〜40重量%、(B)成
分1〜30重量%及び(C)成分1〜30重量%であ
る。好ましくは(A)成分96〜50重量%、(B)成
分2〜25重量%及び(C)成分2〜25重量%であ
る。(A)成分が98重量%以上の場合は、ポリカーボ
ネートの耐衝撃性厚み依存性を改良することが困難とな
る。(A)成分が40重量%以下の場合は、ポリカーボ
ネートの持つ、例えば耐熱性等の優れた特性が低下し好
ましくない。(B)成分及び(C)成分が、各々1重量
%以下の場合は、ポリカーボネートの耐衝撃性厚み依存
性を改良することが困難となる。又、(B)成分及び
(C)成分が、各々30重量%以上の場合は、ポリカー
ボネートの持つ優れた特性が低下し好ましくない。
【0020】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述の
(A)成分である芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)
成分である水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと
(C)成分である相溶化剤とを必須成分とし、且つ主成
分とするものであるが、この組成物に他の樹脂成分を加
えることもできる。加えることが出来る樹脂の例として
は、例えば、ポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂、アク
リル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエス
テル系樹脂等を挙げることができる。これらの中でも、
特にポリスチレン系樹脂は、本発明の組成物の特徴を損
なうことなく、更に流動性、即ち成形加工性を改良する
ことが可能となる。又、ポリスチレン系樹脂は、比較的
安価に入手できる為、コスト的にも有利となる。ポリス
チレン系樹脂としては、一般に業界でポリスチレンある
いは耐衝撃性ポリスチレンと言われるものである。ポリ
スチレンは、芳香族ビニル単量体であるスチレン単量体
を単独重合体あるいは場合により、スチレン単量体以外
のビニル単量体を共重合したスチレン系の材料が挙げら
れる。耐衝撃性ポリスチレンは、通常ゴム変性スチレン
重合体である。これは、スチレン重合体のマトリックス
及びその中に分散したゴム粒子よりなる。このゴム変性
スチレン重合体は、ゴム状重合体の存在下にスチレン単
量体及び所望ならばこれと共重合可能なビニル単量体を
加えて、単量体(又はその混合物)を公知の塊状重合
法、塊状懸濁重合法、溶液重合法、または乳化重合法に
より、ゴム状重合体にグラフト重合することにより得た
ものである。この際、ゴム状重合体の例としては、ポリ
ブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ア
クリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴム及び上
記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレンゴ
ム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のアク
リル系ゴム及びエチレン−プロピレン−ジエンモノマー
三元共重合体(EPDM)等を挙げることができる。特
にジエン系ゴムが一般的である。ポリスチレンあるいは
耐衝撃性ポリスチレンでスチレン単量体と共重合あるい
はスチレン以外にグラフト重合させる単量体としては、
メタクリル酸メチル、メタクリル酸、α−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブ
ロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン等を挙
げることができる。耐衝撃性ポリスチレンにおけるゴム
状重合体(ゴム粒子)の量比は、好ましくは5〜80重
量%、特に好ましくは10〜50重量%の範囲である。
この範囲内では、樹脂組成物の耐衝撃性と剛性のバラン
スが良好である。また、この耐衝撃性ポリスチレンゴム
粒子の直径は、0.1〜5.0μmが好ましく、特に
1.0〜2.0μmが更に好適である。本発明組成物に
耐衝撃性ポリスチレンを加える場合、ゴム成分としてジ
エン系ゴムを使用する時、耐候(光)性はやや低下する
傾向にある。しかしながら、ジエン系ゴムは、水素添加
スチレン系熱可塑性エラストマーに比較して安価であ
り、ゴム成分として水素添加スチレン系熱可塑性エラス
トマーの一部をジエン系ゴムに置きかえることはコスト
的にも有利となるのみならず、高度な耐候性を要求され
ない用途には使用することができる。この場合でも
(B)成分である水素添加スチレン系エラストマーが存
在する限り、ゴム成分として全てジエン系のゴムを使用
する場合より耐候(光)性に優れ、且つ、本発明の大き
な狙いであるポリカーボネート系樹脂の耐衝撃性厚み依
存性の改良もできる。
【0021】本発明は、基本的には、(A)芳香族ポリ
カーボネート樹脂98〜40重量%、(B)水素添加ス
チレン系熱可塑性エラストマー1〜30重量%及び
(C)相溶化剤1 〜30重量%よりなる熱可塑性樹脂組
成物を主成分とするものであるが、これにポリスチレン
系樹脂を加える場合は、(A)(B)(C)からなる樹
脂組成物100重量部に対してポリスチレン系樹脂を1
50重量部を越えない範囲で添加することが好ましい。
150重量部を越える場合は、ポリカーボネート樹脂の
持つ特性が生かせず好ましくない。
【0022】従って、本発明の組成物は、上記の
(A)、(B)及び(C)を主成分とし、必要に応じて
ポリスチレン系樹脂等の芳香族ポリカーボネート樹脂以
外の樹脂を加えたものであるが、本発明の目的を阻害し
ない限り、各種の添加剤を配合することができる。添加
剤としては、例えば亜リン酸エステル系、リン酸エステ
ル系の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェ
ノン系の紫外線吸収剤、脂肪族カルボン酸エステル系、
パラフィン系の滑剤、難燃剤、核剤、離型剤、帯電防止
剤、着色剤等が挙げられる。又、ガラス繊維以外の無機
充填剤、例えば、ガラスピーズ、ガラスフレーク、炭素
繊維、カーボンブラック、硝酸カルシュウム、炭酸カル
シウム、珪酸カルシウム、酸化チタン、アルミナ、シリ
カ、アスベスト、タルク、クレー、マイカ、石英粉、金
属粉等も配合することができる。
【0023】本発明の組成物は、上記の(A)、(B)
及び(C)を主成分とし、更に必要に応じて各種の所望
成分を配合し、適宜温度、例えば250〜320℃で混
練することによって得ることができる。この際の配合及
び混練の方法は、通常実施されている一般的な方法で実
施するが、具体的には、ニーダー、ミキシングロール、
押出機、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサーや混
練ロール等による溶融混練法あるいは溶液ブレンド法を
挙げることができる。本発明の組成物は、これを射出成
形、ブロー成形、押出成形等によって、各種の成形品、
容器、フィルム、シート等に成形できる。又、単独の樹
脂のペレットあるいは2種以上を混練して形成したペレ
ットをペレットブレンドし、このペレットブレンド品を
原料として押出成形あるいは射出成形することもでき
る。
【0024】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性
(特に肉厚になっても割れにくい)、耐熱性に優れ且つ
流動性、即ち成形加工性、耐候(光)性等に優れる。こ
の組成物の成形品は、自動車材料、電気製品用材料、包
装材料、食品容器材料等の種々の用途に使用することが
できる。
【0025】
【実施例】次に実施例をあげて本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 (各種特性の測定方法) (1)SP値(δ)〔溶解性パラメーター(Solubility
Parameter)〕と平均SP値 SP値は Polymer Engineering and Science、14、(2)
、147 (1974 )に記載の Fedors 式、及び該文献に纏
められているΔe1 とΔv1 のデータから算出した。
δ=√〔Σ(Δe1 )/Σ(Δv1 )〕 [ここで、Δe1 は各単位官能基当たりの凝集エネルギ
ー、Δv1 は各単位官能基当たりの分子容を示し、δの
単位は(cal/cm3 )1/2 である。] 尚、共重合体及び共重合体のブレンド物のSP値は、加
成則が成立すると仮定し、共重合体の場合は単量体ユニ
ット、またはブレンド物の場合は各成分共重合体のSP
値の重量比の比例配分により算出し、これを平均SP値
とした。例えば、アクリロニトリル−スチレン共重合体
の平均SP値は、ポリアクリロニトリルのSP値の1
4.39とポリスチレンのSP値の10.52の重量比
の比例配分により算出した。
【0026】(2)相溶化剤の単量体成分の比率の分布
(最大のSP値と最小のSP値) 例えば、相溶化剤がアクリロニトリル−スチレン共重合
体の場合は、液体クロマトグラフィーを用いて、ニトリ
ル(CN)結合をもった充填剤で相溶化剤中のCN基を
展開することにより分析した。具体的には、液体クロマ
トグラフィーとして島津製作所製LC−6Aを、カラム
として米国デユポン社製ZorbaxCNを用い、テト
ラヒドロフランに溶解した試料を、テトラヒドロフラン
とn−ヘプタンの混合溶媒を移動相として45℃で展開
し、UV検出器で波長254nmの吸収値からニトリル
の分布を測定した。得られたピークの右端の部分に対応
するSP値を「最大のSP値」とし、ピークの左端の部
分に対応するSP値を「最小のSP値」とした。例え
ば、図1に示すピークでは、SP値11.0が最大のS
P値で、SP値10.5が最小のSP値である。尚、試
料中のニトリル含有量、分布の決定は、例えば、前もっ
てニトリル含量が既知のAS樹脂(アクリロニトリル−
スチレン共重合体)を用いて検量線を作製しておき、そ
れを基に算出した。また、アクリロニトリルの代わりに
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、不飽和カ
ルボン酸無水物等の単量体を用いる場合も、同様にし
て、クロマトグラフィーにより単量体成分の比率の分布
を求めることができる。
【0027】(3)相溶化剤の溶液粘度 相溶化剤をメチルエチルケトン(MEK)に溶解して1
0重量%樹脂溶液を作製する。但し、グラフト共重合体
については、MEKでゴム分から樹脂分を抽出し、上記
と同様に10重量%樹脂溶液を作製する。次いで、この
溶液10mlを粘度計に入れ、25℃の恒温槽中で落下
時間t1 (秒)を測定した。一方、既に粘度が既知の粘
度計校正用標準液(JIS Z8809−1978に基
づき作製)を用いて上記と同様の操作で落下時間t0
(秒)を求め、以下の数式により粘度管係数K(viscom
eter coefficient)を算出し、樹脂溶液の落下時間t1
(秒)と粘度管係数Kとの積から溶液粘度を得た。単位
はセンチポアズ(cP)。 粘度管係数K=(η0 d)/(t0 d0 ) η0 :標準液の25℃における粘度(cP) t0 :標準液の25℃における落下時間(秒) d:10重量%のポリマー溶液の密度(g/cm3) d0 :標準液の25℃における密度(g/cm3 )
【0028】(4)Izod衝撃強度 ASTM−D256に準拠した方法で23℃で測定した
(Vノッチ、1/4インチ試験片) (5)落錘衝撃強度 落錘衝撃試験機(東洋精機製作所製)を使用し、落錘先
端直径:13.6mm、重量:5kg、落下高さ:10
0cm、ホルダー直径:37mm、試験片厚さ:3m
m、温度:23℃、湿度:50%の条件で降伏荷重、最
大荷重、全吸収エネルギーを測定した。 (6)メルトフローレート(MFR) 溶融流動性の指標でASTM−D1238に準拠した方
法で測定した。荷重10kg、溶融温度220℃の条件
で10分間あたりの押出量(g/10分)から求めた。
なお、MFRは、成形時の流動性の確認の為、成形品を
粉砕して測定した。
【0029】 (使用原材料) (1)芳香族ポリカーボネート(PC) 市販の下記のビスフェノールA型ポリカーボネートを使用した。 ・住友ダウ(株)製 「カリバー 200−13」 (PC−1) なお、PCのSP値は11.3である。 (2)水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー ・旭化成工業(株)製 「タフテックH−1081」 (HTR−1) (スチレン含有量60%、数平均分子量8万) ・旭化成工業(株)製 「タフテックH−1065」 (HTR−2) (スチレン含有量30%、数平均分子量6万) (3)ポリスチレン系樹脂 ・旭化成工業(株)製 「A&Mポリスチレン−685」 (PS−1) ・旭化成工業(株)製 「A&M耐衝撃性ポリスチレン−H8117」 (HIPS−1)
【0030】(4-1)相溶化剤A(AS−1) アクリロニトリル 3.4重量部、スチレン 81.6
重量部、エチルベンゼン 15重量部、及び開始剤とし
て、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,
5−トリメチルシクロヘキサン 0.03重量部の混合
液を0.7リットル/時間の速度で、撹拌機付の直列3
段式プラグフロー型反応機に連続的に送液して、第1段
は撹拌数100rpm、126℃、第2段は20rp
m、135℃、第3段は10rpm、147℃で重合を
行なった。引き続きこの重合液を230℃の脱揮装置に
導き、未反応単量体及び溶媒を除去し、ランダム共重合
体を得た。得られた共重合体を分析した結果、共重合体
の単量体成分の比率は、アクリロニトリル単位6重量
%、スチレン単位94重量%であり、平均SP値は1
0.75であった(単量体成分の比率は赤外吸収スペク
トル法による) また、液体クロマトグラフィー分析に
より、共重合体の単量体成分の比率の分布を測定したと
ころ、アクリロニトリル単位は0〜12重量%であり、
共重合体分子の最大SP値は11.0であり、最小SP
値は10.5であり、ΔSP値は0.5であった。な
お、このAS−1の溶液粘度は7.0であった。
【0031】(4-2)相溶化剤B(AS−2) AS−1の製造において、反応機を完全混合型反応機に
変更すること以外同一の実験を繰り返した。得られた共
重合体を分析した結果、共重合体の単量体成分の比率
が、アクリロニトリル単位11重量%、スチレン単位8
9重量%であった(赤外吸収スペクトル法による)。ま
た、液体クロマトグラフィー分析により、共重合体の単
量体成分の比率の分布を測定したところ、アクリロニト
リル単位は7〜12重量%であり、共重合体分子の最大
SP値は11.0であり、最小SP値は10.8であ
り、ΔSP値は0.2であった。なおこのAS−2の溶
液粘度は7.0であった。
【0032】(実施例1〜7 比較例1〜5)実施例1
〜7は、まず、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマ
ー(HTR−1あるいはHTR−2)ペレットと相溶化
剤(AS−1)ペレットとを表1記載の重量比でブレン
ドし、二軸押出機(ナカタニ機械製AS−30)を使用
し、ペレタイズした(溶融温度:260℃) 次いで、
この水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと相溶化
剤との混合物よりなるペレットと芳香族ポリカーボネー
ト(PC−1)ペレット及び実施例によってはポリスチ
レン系樹脂(PS−1あるいはHIPS−1)ペレット
を表1〜2記載の重量比でペレットブレンドし、このペ
レットブレンド品を原料として射出成形機(日本製鋼所
製100EP)を使用し、成形した(シリンダー温度:
280℃、金型温度:80℃)。
【0033】得られた成形品の物性評価結果を表1及び
表2に示す。なお、実施例2は、破壊状態が脆性破壊で
あるが、アイゾット衝撃強度及びMFRが優れているの
で使用上問題がない。そして、比較例1は、芳香族ポリ
カーボネート(PC−1)のペレットを原料として上と
同じ条件で射出成形した。又、比較例2、3は芳香族ポ
リカーボネート(PC−1)ペレットと水素添加スチレ
ン系熱可塑性エラストマー(HTR−1)ペレットある
いは相溶化剤(AS−1)ペレットとのブレンド品を原
料として上と同じ条件で射出成形した。さらに、比較例
4は、相溶化剤(AS−1)に代えて相溶化剤(AS−
2)を用い以外は実施例1と同様にして、比較例5は、
水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー(HTR−
1)ペレットを使用せず、その重量分多い芳香族ポリカ
ーボネート(PC−1)ペレットを用いる以外は実施例
4と同様にして射出成形した。得られた成形品の物性評
価結果を表1、表2に併記する。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組
成物は、厚み依存性の無い高い耐衝撃性を示し、成形加
工性に優れ、且つ耐候(光)性にも優れ、この組成物
は、自動車用材料、家電用材料、OA機器用材料等に使
用することができる。特に耐候(光)性が良いことから
屋外あるいは屋内でも明るい場所での使用材料に利用す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例及び比較例で用いた相溶化剤
〔アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)〕
のアクリロニトリルの組成分布を示した液体クロマトグ
ラフィーの測定結果であり、各図中には、最小SP値、
最大SP値、最も量の多い共重合体分子のSP値、最大
のSP値と最小のSP値との間のSP値差(ΔSP値)
及び平均SP値を示した。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 25:14) (72)発明者 大谷 郁二 東京都千代田区有楽町1丁目1番2号 旭 化成工業株式会社内 Fターム(参考) 4J002 BC063 BC073 BH013 BN143 BP012 CG011 FD010 FD050 FD070 GG02 GN00 GQ00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)芳香族ポリカーボネート樹脂98
    〜40重量%、(B)水素添加スチレン系熱可塑性エラ
    ストマー1〜30重量%及び(C)相溶化剤1 〜30重
    量%を必須成分とする組成物であって、該(C)が
    (a)芳香族ビニル単量体及び芳香族ビニル単量体と共
    重合可能な単量体からなる共重合体、及び(b)ガラス
    転移温度(Tg)が−30℃以下のゴム状重合体と、そ
    れにグラフトされた芳香族ビニル単量体(M1)及び芳
    香族ビニル単量体(M1)と共重合可能な単量体(M
    2)とからなるグラフト共重合体より選ばれる少なくと
    も一種の相溶化剤であり、上記単量体(M1)と(M
    2)はそれぞれその単独重合体であってもよく及び/又
    は互に共重合していてもよい、を包含してなり、上記
    (C)成分としての該共重合体が、それを構成する単量
    体成分の比率に関して不均一な分布を有し、それによっ
    て該共重合体は溶解性パラメーター(SP)値の異なる
    共重合体分子からなり、最大のSP値を有する共重合体
    分子と最小のSP値を有する共重合体分子との間のSP
    値差が0.3〜1.0〔(cal/cm3) 1/2〕で
    あり、かつ該共重合体の平均SP値が10.6〜11.
    0〔(cal/cm3) 1/2〕であることを特徴とす
    る熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (A)(B)(C)からなる樹脂組成物
    100重量部に対してポリスチレン系樹脂を150重量
    部を越えない範囲で含有する請求項1記載の熱可塑性樹
    脂組成物。
  3. 【請求項3】 水素添加スチレン系熱可塑性エラストマ
    ーは、芳香族ビニル単量体/共役ジエン単量体の水素添
    加ブロック共重合体であり、芳香族ビニル単量体含有量
    が40%以上である請求項1及び2記載の熱可塑性樹脂
    組成物。
  4. 【請求項4】 上記(C)相溶化剤中の芳香族ビニル単
    量体と共重合可能な単量体が、不飽和ニトリル単量体、
    アクリル酸エステル単量体、メタクリル酸エステル単量
    体、アクリル酸単量体、メタクリル酸単量体、α,β−
    不飽和カルボン酸無水物及びマレイミド系単量体よりな
    る群から選ばれる少なくとも1種の単量体である請求項
    1〜3記載の熱可塑性樹脂組成物。
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