JP2000233960A - 建物の電磁遮蔽方法 - Google Patents
建物の電磁遮蔽方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】建物の壁面や床スラブの材料又は内装材として
用いることができる電磁遮蔽モルタル及びコンクリート
を提供する。 【解決手段】遮蔽対象電波に対する単位厚さ当りの透過
係数Tを所定レベルT0以下とする量の金属Fe、Al、M
g、Siの粉体3及び/又はこれら金属の酸化物紛体4を
混練することにより、モルタル又はコンクリートとす
る。好ましくは、セメントに対して50〜300重量%の前
記金属紛体及び/又は金属酸化物紛体と30〜70重量%の
水とを混練することにより電波遮蔽モルタル1とし、セ
メントに対して30〜500重量%の粗骨材7を混練するこ
とにより電波遮蔽コンクリート2とする。更に好ましく
は、金属紛体3び/又は金属酸化物紛体4として、製鋼
工程で発生するダストを用いる。
用いることができる電磁遮蔽モルタル及びコンクリート
を提供する。 【解決手段】遮蔽対象電波に対する単位厚さ当りの透過
係数Tを所定レベルT0以下とする量の金属Fe、Al、M
g、Siの粉体3及び/又はこれら金属の酸化物紛体4を
混練することにより、モルタル又はコンクリートとす
る。好ましくは、セメントに対して50〜300重量%の前
記金属紛体及び/又は金属酸化物紛体と30〜70重量%の
水とを混練することにより電波遮蔽モルタル1とし、セ
メントに対して30〜500重量%の粗骨材7を混練するこ
とにより電波遮蔽コンクリート2とする。更に好ましく
は、金属紛体3び/又は金属酸化物紛体4として、製鋼
工程で発生するダストを用いる。
Description
【0001】
【発明の属する技術の分野】本発明は電磁遮蔽モルタル
及びコンクリートに関し、とくに電磁遮蔽が求められる
建物の壁面や床スラブの材料または内装材として用いる
電磁遮蔽モルタル及びコンクリートに関する。
及びコンクリートに関し、とくに電磁遮蔽が求められる
建物の壁面や床スラブの材料または内装材として用いる
電磁遮蔽モルタル及びコンクリートに関する。
【0002】
【従来の技術】オフィスビル等において、マイクロ波や
ミリ波を用いた無線LANシステム(Local Area Netwo
rk System)、屋内PHS(Personal Handy Phone Syst
em)の普及が進み、建物内部と外部との間または建物内
部の区画相互間の電磁シールド(以下、建物の電磁遮蔽
ということがある。)に対する要求が高まっている。
ミリ波を用いた無線LANシステム(Local Area Netwo
rk System)、屋内PHS(Personal Handy Phone Syst
em)の普及が進み、建物内部と外部との間または建物内
部の区画相互間の電磁シールド(以下、建物の電磁遮蔽
ということがある。)に対する要求が高まっている。
【0003】例えば無線LANシステムや屋内PHSで
は、通信情報の漏洩を防止する観点から建物の電磁遮蔽
が必要とされる。また屋内でPHSを使用する場合は、
異なるフロアー間での干渉やチャンネル数の不足を補う
ために建物の電磁遮蔽が要求される。
は、通信情報の漏洩を防止する観点から建物の電磁遮蔽
が必要とされる。また屋内でPHSを使用する場合は、
異なるフロアー間での干渉やチャンネル数の不足を補う
ために建物の電磁遮蔽が要求される。
【0004】さらにコンサートホール等の建物内施設で
は、携帯電話機の呼出音が迷惑とならないように通信電
波の遮蔽が求められることがある。また電波の影響を受
け易い電子機器等を設けた建物内の放送施設や医療施設
では、施設内の電界強度を機器の耐性レベル以下に抑え
るため、放送電波や携帯電話電波に対する電磁遮蔽が必
要とされる。なお電磁遮蔽は、マイクロ波やミリ波に限
らず、テレビ電波等のVHF帯やUHF帯についても求
められる。
は、携帯電話機の呼出音が迷惑とならないように通信電
波の遮蔽が求められることがある。また電波の影響を受
け易い電子機器等を設けた建物内の放送施設や医療施設
では、施設内の電界強度を機器の耐性レベル以下に抑え
るため、放送電波や携帯電話電波に対する電磁遮蔽が必
要とされる。なお電磁遮蔽は、マイクロ波やミリ波に限
らず、テレビ電波等のVHF帯やUHF帯についても求
められる。
【0005】従来の建物の電磁遮蔽方法の一例は、建物
の外壁、スラブ、仕切壁等を必要な電波減衰レベルが得
られる金属板、金属箔、金属網等の導電性部材又はこれ
らの複合部材等(以下、電磁遮蔽部材という。)で被覆
することにより、建物内部を外部から遮蔽するものであ
る。
の外壁、スラブ、仕切壁等を必要な電波減衰レベルが得
られる金属板、金属箔、金属網等の導電性部材又はこれ
らの複合部材等(以下、電磁遮蔽部材という。)で被覆
することにより、建物内部を外部から遮蔽するものであ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の電磁遮
蔽部材で建物の壁を被覆する方法は、建物の躯体打設後
に電磁遮蔽部材の被覆工事を行なう必要があり、電磁遮
蔽部材の施工に手間がかかるので、全体の施工期間が長
くなる問題点がある。また、複数の電磁遮蔽部材により
壁を被覆する必要がある場合は、部材の継目から電波が
進入し易く、この電波の遮蔽漏れがシールド性能の劣化
の原因となる問題点もある。
蔽部材で建物の壁を被覆する方法は、建物の躯体打設後
に電磁遮蔽部材の被覆工事を行なう必要があり、電磁遮
蔽部材の施工に手間がかかるので、全体の施工期間が長
くなる問題点がある。また、複数の電磁遮蔽部材により
壁を被覆する必要がある場合は、部材の継目から電波が
進入し易く、この電波の遮蔽漏れがシールド性能の劣化
の原因となる問題点もある。
【0007】そこで本発明の目的は、建物の壁面や床ス
ラブの材料又は内装材として用いることができる電磁遮
蔽モルタル及びコンクリートを提供するにある。
ラブの材料又は内装材として用いることができる電磁遮
蔽モルタル及びコンクリートを提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】図1の実施例を参照する
に、本発明の電磁遮蔽モルタル1は、遮蔽対象電波に対
する単位厚さ当りの透過係数Tを所定レベルT0以下と
する量の金属Fe、Al、Mg、Siの粉体3及び/又はこれら
金属の酸化物紛体4を混練してなるものである。一般に
モルタルとは砂等の細骨材とセメントと水とを練混ぜた
ものであるが(建築用語辞典編集委員会「建築用語辞典
(第二版)」(1995-4-10)技報堂、「セメントモルタ
ル」の項)、本発明では金属紛体3及び/又は金属酸化
物紛体4を細骨材して用いることができる。好ましく
は、セメント5に対して50〜300重量%の金属紛体3及
び/又は金属酸化物紛体4と30〜70重量%の水6とを混
練することにより電波遮蔽モルタル1とする。ただし必
要に応じて、本発明の電磁遮蔽モルタル1に、セメント
に対し100重量%以下で柔軟性向上に足る量の砂等の細
骨材7を混練してもよい。
に、本発明の電磁遮蔽モルタル1は、遮蔽対象電波に対
する単位厚さ当りの透過係数Tを所定レベルT0以下と
する量の金属Fe、Al、Mg、Siの粉体3及び/又はこれら
金属の酸化物紛体4を混練してなるものである。一般に
モルタルとは砂等の細骨材とセメントと水とを練混ぜた
ものであるが(建築用語辞典編集委員会「建築用語辞典
(第二版)」(1995-4-10)技報堂、「セメントモルタ
ル」の項)、本発明では金属紛体3及び/又は金属酸化
物紛体4を細骨材して用いることができる。好ましく
は、セメント5に対して50〜300重量%の金属紛体3及
び/又は金属酸化物紛体4と30〜70重量%の水6とを混
練することにより電波遮蔽モルタル1とする。ただし必
要に応じて、本発明の電磁遮蔽モルタル1に、セメント
に対し100重量%以下で柔軟性向上に足る量の砂等の細
骨材7を混練してもよい。
【0009】更に好ましくは、本発明の電磁遮蔽モルタ
ル1に粗骨材7を混練することにより、遮蔽対象電波に
対する単位厚さ当りの透過係数Tを所定レベルT0以下
とする量の金属Fe、Al、Mg、Siの粉体3及び/又はこれ
ら金属の酸化物紛体4が混練された電波遮蔽コンクリー
ト2とすることができる。この場合は、セメント5に対
して50〜500重量%の金属紛体3及び/又は金属酸化物
紛体4と30〜500重量%の細骨材及び粗骨材7と30〜70
重量%の水6とを混練することにより電波遮蔽コンクリ
ート2とすることができる。
ル1に粗骨材7を混練することにより、遮蔽対象電波に
対する単位厚さ当りの透過係数Tを所定レベルT0以下
とする量の金属Fe、Al、Mg、Siの粉体3及び/又はこれ
ら金属の酸化物紛体4が混練された電波遮蔽コンクリー
ト2とすることができる。この場合は、セメント5に対
して50〜500重量%の金属紛体3及び/又は金属酸化物
紛体4と30〜500重量%の細骨材及び粗骨材7と30〜70
重量%の水6とを混練することにより電波遮蔽コンクリ
ート2とすることができる。
【0010】金属紛体3び/又は金属酸化物紛体4は、
例えば製鋼工程で発生するダスト(以下、製鋼ダストと
いうことがある。)とすることができる。製鋼ダストと
は、製鉄所の各作業施設から発生する煤塵、粉塵を乾式
又は湿式集塵機にて捕集した環境集塵ダストであり、発
生する施設別に成分の特性・性状が異なり、施設別に固
有の名称がある。ただし本発明の電波遮蔽モルタル1及
びコンクリート2は製鋼ダストの利用に限定されず、他
の適当な金属紛体3び/又は金属酸化物紛体4が利用可
能である。
例えば製鋼工程で発生するダスト(以下、製鋼ダストと
いうことがある。)とすることができる。製鋼ダストと
は、製鉄所の各作業施設から発生する煤塵、粉塵を乾式
又は湿式集塵機にて捕集した環境集塵ダストであり、発
生する施設別に成分の特性・性状が異なり、施設別に固
有の名称がある。ただし本発明の電波遮蔽モルタル1及
びコンクリート2は製鋼ダストの利用に限定されず、他
の適当な金属紛体3び/又は金属酸化物紛体4が利用可
能である。
【0011】
【発明の実施の形態】金属紛体3び/又は金属酸化物紛
体4(以下、両者を纏めて金属性紛体ということがあ
る。)として製鋼ダストの一種である高炉鋳床集塵ダス
トを用い、本発明の電磁遮蔽モルタル1の遮蔽性能(電
磁波減衰量)を確認する実験を行なった。実験に用いた
高炉鋳床集塵ダストの組成は、40重量%のFe2O3、5重
量%のFeO、0.5重量%のSiO2、0.4重量%のAl2O3、及び
0.6重量%のMgOを含むものであった。鋳床とは高炉本体
の出銑口周りのことである。高炉鋳床集塵ダストとは、
出銑およびスラグ排出作業に伴う排煙及び発塵の防止・
高熱作業雰囲気の改善のために、出銑口部から桶先端及
び落し口に至る桶および開口部に設けたカバーとフー
ド、その間の主な発塵・発煙個所に設置したエアカーテ
ンから、ダクトを介して集塵されたダストである。
体4(以下、両者を纏めて金属性紛体ということがあ
る。)として製鋼ダストの一種である高炉鋳床集塵ダス
トを用い、本発明の電磁遮蔽モルタル1の遮蔽性能(電
磁波減衰量)を確認する実験を行なった。実験に用いた
高炉鋳床集塵ダストの組成は、40重量%のFe2O3、5重
量%のFeO、0.5重量%のSiO2、0.4重量%のAl2O3、及び
0.6重量%のMgOを含むものであった。鋳床とは高炉本体
の出銑口周りのことである。高炉鋳床集塵ダストとは、
出銑およびスラグ排出作業に伴う排煙及び発塵の防止・
高熱作業雰囲気の改善のために、出銑口部から桶先端及
び落し口に至る桶および開口部に設けたカバーとフー
ド、その間の主な発塵・発煙個所に設置したエアカーテ
ンから、ダクトを介して集塵されたダストである。
【0012】この実験では、図1(A)に示すように、
高炉鋳床集塵ダストからなる金属性紛体3、4と普通ポ
ルトランドセメント5と水6とを、重量比1:1:0.5
の割合で、普通モルタルと同様の方法により混練して電
磁遮蔽モルタル1とし、そのモルタル1により図1
(C)に示すように厚さd=30mmのパネル材16を製造
し、打設から50日経過した後のパネル材16を用いて遮蔽
性能を確認した。また比較のため、砂と普通ポルトラン
ドセメント5と水6とを重量比1:1:0.5の割合で混
練した普通モルタル(以下、比較モルタルという。)に
よりパネル材16を製造し、その遮蔽性能も確認した。
高炉鋳床集塵ダストからなる金属性紛体3、4と普通ポ
ルトランドセメント5と水6とを、重量比1:1:0.5
の割合で、普通モルタルと同様の方法により混練して電
磁遮蔽モルタル1とし、そのモルタル1により図1
(C)に示すように厚さd=30mmのパネル材16を製造
し、打設から50日経過した後のパネル材16を用いて遮蔽
性能を確認した。また比較のため、砂と普通ポルトラン
ドセメント5と水6とを重量比1:1:0.5の割合で混
練した普通モルタル(以下、比較モルタルという。)に
よりパネル材16を製造し、その遮蔽性能も確認した。
【0013】ただし本発明の電磁遮蔽モルタル1は普通
ポルトランドセメントの利用に限定されず、他の適当な
セメントを利用できる。また本発明では、高炉鋳床集塵
ダストのみを細骨材とし砂等の他の細骨材を混練しなく
てもよいが、モルタルの柔らかさを調整するため、セメ
ントに対して100重量%以下で柔軟性向上に足る量の他
の細骨材を混練してもよい。実用的には、セメントに対
して30〜50重量%の他の細骨材を混練した柔らかいモル
タルが好ましい。
ポルトランドセメントの利用に限定されず、他の適当な
セメントを利用できる。また本発明では、高炉鋳床集塵
ダストのみを細骨材とし砂等の他の細骨材を混練しなく
てもよいが、モルタルの柔らかさを調整するため、セメ
ントに対して100重量%以下で柔軟性向上に足る量の他
の細骨材を混練してもよい。実用的には、セメントに対
して30〜50重量%の他の細骨材を混練した柔らかいモル
タルが好ましい。
【0014】打設後50日経過したパネル材16を用いた理
由は、打設後1ヶ月程度の間はモルタルの透過係数Tが
急激に増大し、遮蔽性能が安定しないからである。この
期間はモルタル1内の水和反応が大きく進行するので、
モルタル1内の含水率の減少が透過係数増大の主要な原
因と考えられる。本発明者は、モルタルの含水率の増加
により透過係数Tが大きく減少することを実験的に確認
した。
由は、打設後1ヶ月程度の間はモルタルの透過係数Tが
急激に増大し、遮蔽性能が安定しないからである。この
期間はモルタル1内の水和反応が大きく進行するので、
モルタル1内の含水率の減少が透過係数増大の主要な原
因と考えられる。本発明者は、モルタルの含水率の増加
により透過係数Tが大きく減少することを実験的に確認
した。
【0015】パネル材16の遮蔽性能の測定装置として、
図4に示すように、ベクトルネットワークアナライザ
(VNA)24と電波発信器25及び受信器(ホーンアンテ
ナ)26とを用いた。発信器25及び受信器26を隔壁22で仕
切られたシールドルーム20a、20bにそれぞれ隔壁22の所
定位置と対向させて配置し、その隔壁22の所定位置に設
けた孔に電磁遮蔽モルタル又は比較モルタルのパネル材
16を嵌め込み、パネル材16と隔壁22との間を電波が漏れ
ないように密着させて固定した。シールドルーム20a、2
0bの内面と隔壁22の両面とを電波吸収部材で被覆するこ
とにより、外部からの進入電波やシールドルーム内面で
の反射電波が受信器26で受信されるのを防止した。
図4に示すように、ベクトルネットワークアナライザ
(VNA)24と電波発信器25及び受信器(ホーンアンテ
ナ)26とを用いた。発信器25及び受信器26を隔壁22で仕
切られたシールドルーム20a、20bにそれぞれ隔壁22の所
定位置と対向させて配置し、その隔壁22の所定位置に設
けた孔に電磁遮蔽モルタル又は比較モルタルのパネル材
16を嵌め込み、パネル材16と隔壁22との間を電波が漏れ
ないように密着させて固定した。シールドルーム20a、2
0bの内面と隔壁22の両面とを電波吸収部材で被覆するこ
とにより、外部からの進入電波やシールドルーム内面で
の反射電波が受信器26で受信されるのを防止した。
【0016】電波周波数として800MHz〜4.2GHz帯域を使
用し、送信器25からパネル材16の面に対して垂直となる
ように電波を送出し、パネル材16を透過した電波を受信
器26で受信し、アナライザー24で透過電波の振幅を測定
した。また隔壁22の孔からパネル材16を取り外し、孔の
空隙を介して受信した電波の振幅を測定し、パネル材16
の透過電波の振幅との比からパネル材16の遮蔽性能(電
磁波減衰量)を求めた。実験結果を図5にグラフとして
示す。なお遮蔽性能と透過係数Tとの関係は下記(1)式
で表すことができるので、パネル材16の透過係数Tを遮
蔽性能の値に基づき算出することができる。
用し、送信器25からパネル材16の面に対して垂直となる
ように電波を送出し、パネル材16を透過した電波を受信
器26で受信し、アナライザー24で透過電波の振幅を測定
した。また隔壁22の孔からパネル材16を取り外し、孔の
空隙を介して受信した電波の振幅を測定し、パネル材16
の透過電波の振幅との比からパネル材16の遮蔽性能(電
磁波減衰量)を求めた。実験結果を図5にグラフとして
示す。なお遮蔽性能と透過係数Tとの関係は下記(1)式
で表すことができるので、パネル材16の透過係数Tを遮
蔽性能の値に基づき算出することができる。
【0017】
【数1】 遮蔽性能=-20・log(透過係数T)………………………………(1)
【0018】図5の高炉鋳床集塵ダストのグラフから分
かるように、厚さ30mmとした高炉鋳床集塵ダスト混練モ
ルタル1のパネル材16により、1GHzで約20dB、2GHzで
約27dB、3GHzで約35dBの遮蔽性能を得ることができ
た。また図5の比較モルタルのグラフと高炉鋳床集塵ダ
ストのグラフとの比較から分かるように、高炉鋳床集塵
ダスト混練モルタル1のパネル材16は、比較モルタルの
パネル材16に比し、1GHzで約10dB、2GHzで約19dB、3
GHzで約28dB大きい遮蔽性能を得ることができた。
かるように、厚さ30mmとした高炉鋳床集塵ダスト混練モ
ルタル1のパネル材16により、1GHzで約20dB、2GHzで
約27dB、3GHzで約35dBの遮蔽性能を得ることができ
た。また図5の比較モルタルのグラフと高炉鋳床集塵ダ
ストのグラフとの比較から分かるように、高炉鋳床集塵
ダスト混練モルタル1のパネル材16は、比較モルタルの
パネル材16に比し、1GHzで約10dB、2GHzで約19dB、3
GHzで約28dB大きい遮蔽性能を得ることができた。
【0019】本発明の電波遮蔽モルタル1が比較モルタ
ルより大きな遮蔽性能を有する理由は、以下のように考
えられる。すなわち図3に示すように、比較モルタルに
おける電波の遮蔽はモルタル表面での反射損失とモルタ
ル通過時の吸収損失(図3の)のみであるのに対し、
電波遮蔽モルタル1では更に、セメントにより固化され
た金属性紛体による反射・回析による損失(図3の
)、及び金属酸化物紛体による吸収損失(図3の)
の複合的作用により電波を遮蔽するからである。
ルより大きな遮蔽性能を有する理由は、以下のように考
えられる。すなわち図3に示すように、比較モルタルに
おける電波の遮蔽はモルタル表面での反射損失とモルタ
ル通過時の吸収損失(図3の)のみであるのに対し、
電波遮蔽モルタル1では更に、セメントにより固化され
た金属性紛体による反射・回析による損失(図3の
)、及び金属酸化物紛体による吸収損失(図3の)
の複合的作用により電波を遮蔽するからである。
【0020】また前記組成の高炉鋳床集塵ダストに代え
て、製鋼ダストの一種である高炉2次灰からなる金属性
紛体3、4とセメント5と水6とを重量比1:1:0.5
の割合で混練した電磁遮蔽モルタル1を用い、上記と同
様にして遮蔽性能の確認実験を行なった。実験に用いた
高炉2次灰の組成は、30重量%のFe2O3と10重量%のカ
ーボンを含むものであった。高炉内で鉄鉱石等を還元し
たガスは含塵ガス(高炉ガス)として排出される。高炉
2次灰とは、高炉ガス清浄時に捕集した粉塵で、乾式、
湿式集塵されたダストである。図5のグラフは、この実
験結果をも併せて示す。
て、製鋼ダストの一種である高炉2次灰からなる金属性
紛体3、4とセメント5と水6とを重量比1:1:0.5
の割合で混練した電磁遮蔽モルタル1を用い、上記と同
様にして遮蔽性能の確認実験を行なった。実験に用いた
高炉2次灰の組成は、30重量%のFe2O3と10重量%のカ
ーボンを含むものであった。高炉内で鉄鉱石等を還元し
たガスは含塵ガス(高炉ガス)として排出される。高炉
2次灰とは、高炉ガス清浄時に捕集した粉塵で、乾式、
湿式集塵されたダストである。図5のグラフは、この実
験結果をも併せて示す。
【0021】図5の高炉2次灰のグラフから分かるよう
に、高炉2次灰混練モルタル1の遮蔽性能は、1GHzで
約12dB、2GHzで約18dB、3GHzで約22dBであった。この
遮蔽性能は、高炉鋳床集塵ダスト混練モルタル1の遮蔽
性能に比し、1GHzで約6dB、2GHzで約9dB、3GHzで約1
2dB小さい。この遮蔽性能の減少は、高炉鋳床集塵ダス
ト中の金属性紛体量に比し、高炉2次灰中の金属性紛体
量が少ないことが主要な原因であると考えられる。
に、高炉2次灰混練モルタル1の遮蔽性能は、1GHzで
約12dB、2GHzで約18dB、3GHzで約22dBであった。この
遮蔽性能は、高炉鋳床集塵ダスト混練モルタル1の遮蔽
性能に比し、1GHzで約6dB、2GHzで約9dB、3GHzで約1
2dB小さい。この遮蔽性能の減少は、高炉鋳床集塵ダス
ト中の金属性紛体量に比し、高炉2次灰中の金属性紛体
量が少ないことが主要な原因であると考えられる。
【0022】すなわち図5のグラフは、電波遮蔽モルタ
ル1中に混練する金属性紛体3、4の量の調節により、
特定周波数に対する電波遮蔽モルタル1の遮蔽性能、す
なわち透過係数Tが調整可能であることを示す。本発明
者は、更なる実験の結果、製鋼ダストの組成とモルタル
1中のダスト混練量とパネル材16の厚さdとを調節する
ことにより、特定周波数に対して所定レベルT0の透過
係数を与える電波遮蔽モルタル1のパネル材16が製造で
きることを確認できた。
ル1中に混練する金属性紛体3、4の量の調節により、
特定周波数に対する電波遮蔽モルタル1の遮蔽性能、す
なわち透過係数Tが調整可能であることを示す。本発明
者は、更なる実験の結果、製鋼ダストの組成とモルタル
1中のダスト混練量とパネル材16の厚さdとを調節する
ことにより、特定周波数に対して所定レベルT0の透過
係数を与える電波遮蔽モルタル1のパネル材16が製造で
きることを確認できた。
【0023】以上、電磁遮蔽モルタル1の透過係数につ
いて説明したが、電磁遮蔽コンクリート2の透過係数に
ついても、製鋼ダストの組成とコンクリート2中のダス
ト混練量とパネル材16の厚さdとの調節により、モルタ
ル1の場合と同様に調整できる。ただし電磁遮蔽コンク
リート2の場合は、骨材の混練量が増えるに応じて遮蔽
性能が低下するので、同一組成の製鋼ダストによる同一
厚さのパネル材16でモルタル1と同様の遮蔽性能を得る
ためには、モルタル1の場合に比しダスト混練量を増や
す必要がある。
いて説明したが、電磁遮蔽コンクリート2の透過係数に
ついても、製鋼ダストの組成とコンクリート2中のダス
ト混練量とパネル材16の厚さdとの調節により、モルタ
ル1の場合と同様に調整できる。ただし電磁遮蔽コンク
リート2の場合は、骨材の混練量が増えるに応じて遮蔽
性能が低下するので、同一組成の製鋼ダストによる同一
厚さのパネル材16でモルタル1と同様の遮蔽性能を得る
ためには、モルタル1の場合に比しダスト混練量を増や
す必要がある。
【0024】本発明の電磁遮蔽モルタル1又はコンクリ
ート2を用いて被遮蔽建物の壁及び/又はスラブを形成
すれば、建物の躯体自体に電磁遮蔽機能を持たせること
ができ、躯体とは別に電磁遮蔽部材を設ける必要がなく
なるので、電磁遮蔽部材の施工の手間を省き施工期間の
短縮が図れる。また建物の外壁部分、床や天井部分に本
発明の電磁遮蔽モルタル1又はコンクリート2を一体と
して打設することができるので、従来問題となっていた
電磁遮蔽部材の継目からの電波の漏れを軽減することが
できる。
ート2を用いて被遮蔽建物の壁及び/又はスラブを形成
すれば、建物の躯体自体に電磁遮蔽機能を持たせること
ができ、躯体とは別に電磁遮蔽部材を設ける必要がなく
なるので、電磁遮蔽部材の施工の手間を省き施工期間の
短縮が図れる。また建物の外壁部分、床や天井部分に本
発明の電磁遮蔽モルタル1又はコンクリート2を一体と
して打設することができるので、従来問題となっていた
電磁遮蔽部材の継目からの電波の漏れを軽減することが
できる。
【0025】こうして本発明の目的である「建物の壁面
や床スラブの材料又は内装材として用いることができる
電磁遮蔽モルタル及びコンクリート」の提供が達成でき
る。
や床スラブの材料又は内装材として用いることができる
電磁遮蔽モルタル及びコンクリート」の提供が達成でき
る。
【0026】製鋼ダストは、製鉄プラントの製鋼工程の
副産物として大量に産出されるので、安価である。従っ
て製鋼ダストを利用して本発明の電磁遮蔽モルタル1又
はコンクリート2とすることにより、電磁遮蔽コストの
低減を図ることができる。ただし、製鋼ダスト以外の適
当な金属性紛体3、4を混練した場合でも、その金属性
紛体3、4の組成と混練量とパネル材16の厚さdとを調
節することにより、特定周波数に対して所定レベルT0
の透過係数を与える電波遮蔽モルタル1又はコンクリー
ト2とすることができる。
副産物として大量に産出されるので、安価である。従っ
て製鋼ダストを利用して本発明の電磁遮蔽モルタル1又
はコンクリート2とすることにより、電磁遮蔽コストの
低減を図ることができる。ただし、製鋼ダスト以外の適
当な金属性紛体3、4を混練した場合でも、その金属性
紛体3、4の組成と混練量とパネル材16の厚さdとを調
節することにより、特定周波数に対して所定レベルT0
の透過係数を与える電波遮蔽モルタル1又はコンクリー
ト2とすることができる。
【0027】なお従来から、製鋼用転炉ダストとセメン
トとを配合して成形、構造物化した重量コンクリートが
提案されている(特開平5-319880号公報、特開平6-0248
13号公報)。しかし従来の重量コンクリートは密度を大
きくするために安価な金属鉄、酸化鉄混合物を用いるも
のであり、金属性粉体3、4の混練によりモルタル又は
コンクリートの遮蔽性能を高める技術は従来提案されて
いない。本発明は、金属粉性体3、4の混練量の調節に
よりモルタル又はコンクリートの透過係数Tの調整が可
能であるとの本発明者の知見に基づくものである。
トとを配合して成形、構造物化した重量コンクリートが
提案されている(特開平5-319880号公報、特開平6-0248
13号公報)。しかし従来の重量コンクリートは密度を大
きくするために安価な金属鉄、酸化鉄混合物を用いるも
のであり、金属性粉体3、4の混練によりモルタル又は
コンクリートの遮蔽性能を高める技術は従来提案されて
いない。本発明は、金属粉性体3、4の混練量の調節に
よりモルタル又はコンクリートの透過係数Tの調整が可
能であるとの本発明者の知見に基づくものである。
【0028】
【実施例】図1(B)及び図2は、作業現場において、
鉄筋建物10に設けた型枠(図示せず)内に本発明の電磁
遮蔽モルタル1又はコンクリート2を打設し、図2に示
すように建物10の壁11及び/又はスラブ13を形成する本
発明の実施例を示す。図1(B)の符号14はコンクリー
トミキサー、図2の符号12はデッキプレートを示す。こ
のように作業現場で打設する場合は、モルタル1又はコ
ンクリート2中の金属性紛体3、4の混練量と打設厚さ
dとの調節により、建物10の壁11又はスラブ13に所要の
透過レベルT0を付与することができる。
鉄筋建物10に設けた型枠(図示せず)内に本発明の電磁
遮蔽モルタル1又はコンクリート2を打設し、図2に示
すように建物10の壁11及び/又はスラブ13を形成する本
発明の実施例を示す。図1(B)の符号14はコンクリー
トミキサー、図2の符号12はデッキプレートを示す。こ
のように作業現場で打設する場合は、モルタル1又はコ
ンクリート2中の金属性紛体3、4の混練量と打設厚さ
dとの調節により、建物10の壁11又はスラブ13に所要の
透過レベルT0を付与することができる。
【0029】図2の実施例において、壁11又はスラブ13
の透過レベルT0が打設前に決められている場合は、電
磁遮蔽モルタル1又はコンクリート2中の金属性紛体の
混入量の調節と共に、壁11又はスラブ13の打設厚さdの
設計が必要である。本発明者は、打設厚さdの設計のた
めに、電磁遮蔽モルタル1又はコンクリート2の複素誘
電率ε=εr−jεi(以下、単に誘電率εということが
ある。)が利用できることを見出した。誘電率εによれ
ば、モルタル1又はコンクリート2自体の単位厚さ当り
の遮蔽性能を定めることができる。
の透過レベルT0が打設前に決められている場合は、電
磁遮蔽モルタル1又はコンクリート2中の金属性紛体の
混入量の調節と共に、壁11又はスラブ13の打設厚さdの
設計が必要である。本発明者は、打設厚さdの設計のた
めに、電磁遮蔽モルタル1又はコンクリート2の複素誘
電率ε=εr−jεi(以下、単に誘電率εということが
ある。)が利用できることを見出した。誘電率εによれ
ば、モルタル1又はコンクリート2自体の単位厚さ当り
の遮蔽性能を定めることができる。
【0030】すなわち一般的に、一様の誘電率εを有す
る厚さdの層(一層モデル)の透過係数Tは下記(2)式
で表すことができる(電気情報通信学会技術研究報告、
A・P95-47(1995-09)「ミリ波帯における建材の反射特
性と屈折率の測定」)。ここで、δ=(2πd/λ)(ε
−sin2θ)1/2、k0=2π/λである。またλは遮蔽対象
電波の波長、θは遮蔽対象電波の入射角を示す。R'に
は、遮蔽対象電波の偏波により、下記(3)式のR'sまたは
下記(4)式のR'pを代入する。
る厚さdの層(一層モデル)の透過係数Tは下記(2)式
で表すことができる(電気情報通信学会技術研究報告、
A・P95-47(1995-09)「ミリ波帯における建材の反射特
性と屈折率の測定」)。ここで、δ=(2πd/λ)(ε
−sin2θ)1/2、k0=2π/λである。またλは遮蔽対象
電波の波長、θは遮蔽対象電波の入射角を示す。R'に
は、遮蔽対象電波の偏波により、下記(3)式のR'sまたは
下記(4)式のR'pを代入する。
【0031】例えば図5のように厚さdのパネル材16に
ついて考えると、電磁遮蔽モルタル1又はコンクリート
2の誘電率εは、パネル材16の厚さdと遮蔽対象電波の
波長λと入射角θ(図5では垂直)とに基づき、透過係
数Tの実測値と(2)式との分散が最小となるように推定
することができる。同図の高炉鋳床集塵ダスト混練モル
タル1の場合は、1GHzでは誘電率ε=30−j10、3GHz
ではε=28−j16、5GHzではε=30−j25であると推定
できる。これに対し同図の比較モルタルの場合は、1〜
5GHzの周波数帯において誘電率ε=8-j1であると推定
できる。この誘電率εの実数部εr及び虚数部εiの大き
さの相違が、モルタル自体の遮蔽性能の相違に対応す
る。
ついて考えると、電磁遮蔽モルタル1又はコンクリート
2の誘電率εは、パネル材16の厚さdと遮蔽対象電波の
波長λと入射角θ(図5では垂直)とに基づき、透過係
数Tの実測値と(2)式との分散が最小となるように推定
することができる。同図の高炉鋳床集塵ダスト混練モル
タル1の場合は、1GHzでは誘電率ε=30−j10、3GHz
ではε=28−j16、5GHzではε=30−j25であると推定
できる。これに対し同図の比較モルタルの場合は、1〜
5GHzの周波数帯において誘電率ε=8-j1であると推定
できる。この誘電率εの実数部εr及び虚数部εiの大き
さの相違が、モルタル自体の遮蔽性能の相違に対応す
る。
【0032】
【数2】
【0033】従って、例えば図5の高炉鋳床集塵ダスト
混練モルタル1を用い、3GHz帯に対して所定レベルT0
の透過係数を与える建物10の壁又はスラブを打設する場
合は、モルタル1の3GHz帯に対する誘電率ε=28−j16
を求め、その誘電率εと所定レベルT0とから、(2)式に
基づいて打設すべき壁又はスラブの厚さdを算出するこ
とができる。
混練モルタル1を用い、3GHz帯に対して所定レベルT0
の透過係数を与える建物10の壁又はスラブを打設する場
合は、モルタル1の3GHz帯に対する誘電率ε=28−j16
を求め、その誘電率εと所定レベルT0とから、(2)式に
基づいて打設すべき壁又はスラブの厚さdを算出するこ
とができる。
【0034】また本発明者は、電磁遮蔽モルタル1又は
コンクリート2の誘電率εと遮蔽性能との比較検討か
ら、大きな遮蔽性能を得るためには誘電率εの虚数部ε
iを大きくすることが効果的であることを見出した。下
記表1は、厚さd=20cm、遮蔽対象電波の入射角θ=0
度(垂直入射)と仮定した場合に、周波数f=1.2GHz及
び2.4GHzの2種類の遮蔽対象電波に対する誘電率εと遮
蔽性能との関係の計算結果を示す。なお図5に示すよう
に、周波数f=1.2GHz及び2.4GHzに対する比較モルタル
の遮蔽性能は、それぞれ6dB及び10dBである。
コンクリート2の誘電率εと遮蔽性能との比較検討か
ら、大きな遮蔽性能を得るためには誘電率εの虚数部ε
iを大きくすることが効果的であることを見出した。下
記表1は、厚さd=20cm、遮蔽対象電波の入射角θ=0
度(垂直入射)と仮定した場合に、周波数f=1.2GHz及
び2.4GHzの2種類の遮蔽対象電波に対する誘電率εと遮
蔽性能との関係の計算結果を示す。なお図5に示すよう
に、周波数f=1.2GHz及び2.4GHzに対する比較モルタル
の遮蔽性能は、それぞれ6dB及び10dBである。
【0035】
【表1】
【0036】表1の第6〜9欄の比較から分かるよう
に、誘電率εの実数部εrを大きくしても遮蔽性能は必
ずしも大きくなるとは限らない。これに対し表1の第1
〜4欄に示すように、誘電率εの虚数部εiを大きくす
ることにより遮蔽性能を大きくし、透過係数Tを小さく
することができる。このことから、電磁遮蔽モルタル1
又はコンクリート2に対する金属性紛体3、4の組成及
び/又は混練量を、モルタル1又はコンクリート2の誘
電率εの虚数部εiが大きくなるように選択することが
好ましい。
に、誘電率εの実数部εrを大きくしても遮蔽性能は必
ずしも大きくなるとは限らない。これに対し表1の第1
〜4欄に示すように、誘電率εの虚数部εiを大きくす
ることにより遮蔽性能を大きくし、透過係数Tを小さく
することができる。このことから、電磁遮蔽モルタル1
又はコンクリート2に対する金属性紛体3、4の組成及
び/又は混練量を、モルタル1又はコンクリート2の誘
電率εの虚数部εiが大きくなるように選択することが
好ましい。
【0037】以上説明したように、遮蔽対象電波に対し
大きな誘電率εを与える組成及び量の金属性紛体3、4
が混練された電波遮蔽モルタル1又はコンクリート2を
用い、所定透過レベルT0を与える厚さdで打設するこ
とにより、例えば図2の建物10の壁11及びスラブ13自体
に必要な電磁遮蔽機能を持たせることができる。
大きな誘電率εを与える組成及び量の金属性紛体3、4
が混練された電波遮蔽モルタル1又はコンクリート2を
用い、所定透過レベルT0を与える厚さdで打設するこ
とにより、例えば図2の建物10の壁11及びスラブ13自体
に必要な電磁遮蔽機能を持たせることができる。
【0038】また図1(C)に示すように、電波遮蔽モ
ルタル1又はコンクリート2により所定透過レベルT0
を与える厚さdの電磁遮蔽パネル材16を形成し、そのパ
ネル材16を用いて建物10の外壁11、スラブ13及び仕切壁
に必要な電磁遮蔽機能を持たせることもできる。なお本
発明の電磁遮蔽モルタル1又はコンクリート2と他の建
材とを層状に組み合わせたパネル材を用いる場合は、
(2)式に示す一層モデルに代えて、多層誘電体モデルに
よりそのパネル材の透過係数を求めることが可能であ
る。
ルタル1又はコンクリート2により所定透過レベルT0
を与える厚さdの電磁遮蔽パネル材16を形成し、そのパ
ネル材16を用いて建物10の外壁11、スラブ13及び仕切壁
に必要な電磁遮蔽機能を持たせることもできる。なお本
発明の電磁遮蔽モルタル1又はコンクリート2と他の建
材とを層状に組み合わせたパネル材を用いる場合は、
(2)式に示す一層モデルに代えて、多層誘電体モデルに
よりそのパネル材の透過係数を求めることが可能であ
る。
【0039】更に、例えば壁やスラブの遮蔽性能が不足
する場合には、その壁11やスラブ13上の内装材として、
本発明の電磁遮蔽モルタル1又はコンクリート2を所定
透過レベルT0を与える厚さdで塗布することにより、
壁やスラブの遮蔽機能を高めることも可能である。
する場合には、その壁11やスラブ13上の内装材として、
本発明の電磁遮蔽モルタル1又はコンクリート2を所定
透過レベルT0を与える厚さdで塗布することにより、
壁やスラブの遮蔽機能を高めることも可能である。
【0040】なお、例えば製鋼ダストを混練したモルタ
ル又はコンクリートは黒褐色ないし茶褐色を呈し、本発
明の電磁遮蔽モルタル1又はコンクリート2は意匠的な
配色からみても従来の普通モルタル又はコンクリートに
劣るものではない。また従来の普通モルタルの強度及び
比重(平均値)が54N/mm2及び2.116であるのに対し、製
鋼ダストを混練したモルタルの強度及び比重は63N/mm2
及び2.441であり、本発明の電磁遮蔽モルタル1はこれ
らの点でも優れている。本発明の電磁遮蔽コンクリート
2を重量コンクリートとして護岸用コンクリート、原子
力施設用コンクリートとして用いることも可能である。
ル又はコンクリートは黒褐色ないし茶褐色を呈し、本発
明の電磁遮蔽モルタル1又はコンクリート2は意匠的な
配色からみても従来の普通モルタル又はコンクリートに
劣るものではない。また従来の普通モルタルの強度及び
比重(平均値)が54N/mm2及び2.116であるのに対し、製
鋼ダストを混練したモルタルの強度及び比重は63N/mm2
及び2.441であり、本発明の電磁遮蔽モルタル1はこれ
らの点でも優れている。本発明の電磁遮蔽コンクリート
2を重量コンクリートとして護岸用コンクリート、原子
力施設用コンクリートとして用いることも可能である。
【0041】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の電
磁遮蔽モルタル及び電波遮蔽コンクリートは、遮蔽対象
電波に対する単位厚さ当りの透過係数を所定レベル以下
とする量の金属粉体及び/又は金属酸化物紛体を混練す
るので、次の顕著な効果を奏する。
磁遮蔽モルタル及び電波遮蔽コンクリートは、遮蔽対象
電波に対する単位厚さ当りの透過係数を所定レベル以下
とする量の金属粉体及び/又は金属酸化物紛体を混練す
るので、次の顕著な効果を奏する。
【0042】(イ)金属粉体及び/又は金属酸化物紛体
の組成、混練量を調整することにより、モルタル又はコ
ンクリートに必要な電磁透過レベルを与えることができ
る。 (ロ)建物の躯体自体に電磁遮蔽機能を持たせることが
できるので、躯体とは別に電磁遮蔽部材を施工する手間
を省き、施工期間の短縮が図れる。 (ハ)従来問題となっていた電磁遮蔽部材の継目からの
電波の漏れが軽減でき、遮蔽機能の劣化のおそれが小さ
い。 (ニ)製鋼ダストの利用により製造コストの低減を図る
ことができ、また製鋼ダストのリサイクルに貢献でき
る。 (ホ)電磁遮蔽モルタル又はコンクリートの誘電率に基
づき、所定遮蔽レベルが得られる壁又はスラブの厚さを
設計することができる。
の組成、混練量を調整することにより、モルタル又はコ
ンクリートに必要な電磁透過レベルを与えることができ
る。 (ロ)建物の躯体自体に電磁遮蔽機能を持たせることが
できるので、躯体とは別に電磁遮蔽部材を施工する手間
を省き、施工期間の短縮が図れる。 (ハ)従来問題となっていた電磁遮蔽部材の継目からの
電波の漏れが軽減でき、遮蔽機能の劣化のおそれが小さ
い。 (ニ)製鋼ダストの利用により製造コストの低減を図る
ことができ、また製鋼ダストのリサイクルに貢献でき
る。 (ホ)電磁遮蔽モルタル又はコンクリートの誘電率に基
づき、所定遮蔽レベルが得られる壁又はスラブの厚さを
設計することができる。
【図1】は、本発明の一実施例の説明図である。
【図2】は、鉄筋建物の壁及びスラブの説明図である。
【図3】は、本発明による電磁遮蔽の原理を示す説明図
である。
である。
【図4】は、電磁遮蔽性能の測定装置の説明図である。
【図5】は、本発明のモルタルによる遮蔽性能を示すグ
ラフである。
ラフである。
1…電磁遮蔽モルタル 2…電磁遮蔽コンクリート 3…金属紛体 4…金属酸化物紛体 5…セメント 6…水 7…骨材 10…鉄筋建物 11…建物外壁 12…デッキプレート 13…スラブ 14…コンクリートミキサ 16…電磁遮蔽パネル材 20…シールドルーム 21…電波吸収部材 22…隔壁 24…ネットワークアナライザー 25…送信器 26…受信器
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年2月24日(1999.2.2
4)
4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】
【発明の実施の形態】金属紛体3び/又は金属酸化物紛
体4(以下、両者を纏めて金属性紛体ということがあ
る。)として製鋼ダストの一種である高炉鋳床集塵ダス
トを用い、本発明の電磁遮蔽モルタル1の遮蔽性能(電
磁波減衰量)を確認する実験を行なった。実験に用いた
高炉鋳床集塵ダストの組成は、40重量%のFe2O3、5重
量%のFeO、0.5重量%のSiO2、0.4重量%のAl2O3、及び
0.6重量%のMgOを含むものであった。鋳床とは高炉本体
の出銑口周りのことである。高炉鋳床集塵ダストとは、
出銑およびスラグ排出作業に伴う発煙及び発塵の防止・
高熱作業雰囲気の改善のために、出銑口部から樋先端及
び落し口に至る樋および開口部に設けたカバーとフー
ド、その間の主な発塵・発煙個所に設置したエアカーテ
ンから、ダクトを介して集塵されたダストである。
体4(以下、両者を纏めて金属性紛体ということがあ
る。)として製鋼ダストの一種である高炉鋳床集塵ダス
トを用い、本発明の電磁遮蔽モルタル1の遮蔽性能(電
磁波減衰量)を確認する実験を行なった。実験に用いた
高炉鋳床集塵ダストの組成は、40重量%のFe2O3、5重
量%のFeO、0.5重量%のSiO2、0.4重量%のAl2O3、及び
0.6重量%のMgOを含むものであった。鋳床とは高炉本体
の出銑口周りのことである。高炉鋳床集塵ダストとは、
出銑およびスラグ排出作業に伴う発煙及び発塵の防止・
高熱作業雰囲気の改善のために、出銑口部から樋先端及
び落し口に至る樋および開口部に設けたカバーとフー
ド、その間の主な発塵・発煙個所に設置したエアカーテ
ンから、ダクトを介して集塵されたダストである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】本発明の電波遮蔽モルタル1が比較モルタ
ルより大きな遮蔽性能を有する理由は、以下のように考
えられる。すなわち図3に示すように、比較モルタルに
おける電波の遮蔽はモルタル表面での反射損失とモルタ
ル通過時の吸収損失(図3の)のみであるのに対し、
電波遮蔽モルタル1では更に、セメントにより固化され
た金属性紛体による反射・回折による損失(図3の
)、及び金属酸化物紛体による吸収損失(図3の)
の複合的作用により電波を遮蔽するからである。
ルより大きな遮蔽性能を有する理由は、以下のように考
えられる。すなわち図3に示すように、比較モルタルに
おける電波の遮蔽はモルタル表面での反射損失とモルタ
ル通過時の吸収損失(図3の)のみであるのに対し、
電波遮蔽モルタル1では更に、セメントにより固化され
た金属性紛体による反射・回折による損失(図3の
)、及び金属酸化物紛体による吸収損失(図3の)
の複合的作用により電波を遮蔽するからである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】
【数2】
【手続補正書】
【提出日】平成12年1月13日(2000.1.1
3)
3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 建物の電磁遮蔽方法
【特許請求の範囲】
【請求項3】請求項1又は2の電磁遮蔽方法において、
前記電磁遮蔽モルタルを、セメントに対して50〜300重
量%の前記金属粉体及び/又は金属酸化物粉体と30〜70
重量%の水とを混練したものとしてなる建物の電磁遮蔽
方法。
前記電磁遮蔽モルタルを、セメントに対して50〜300重
量%の前記金属粉体及び/又は金属酸化物粉体と30〜70
重量%の水とを混練したものとしてなる建物の電磁遮蔽
方法。
【請求項4】請求項3の電磁遮蔽方法において、前記電
磁遮蔽モルタルを、セメントに対し100重量%以下で柔
軟性向上に足る量の細骨材を混練したものとしてなる建
物の電磁遮蔽方法。
磁遮蔽モルタルを、セメントに対し100重量%以下で柔
軟性向上に足る量の細骨材を混練したものとしてなる建
物の電磁遮蔽方法。
【請求項5】請求項3又は4の電磁遮蔽方法において、
前記金属粉体及び/又は金属酸化物粉体を製鉄工程で発
生するダストとしてなる建物の電磁遮蔽方法。
前記金属粉体及び/又は金属酸化物粉体を製鉄工程で発
生するダストとしてなる建物の電磁遮蔽方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術の分野】本発明は建物の電磁遮蔽方
法に関し、とくに電磁遮蔽が求められる建物の壁面や床
スラブの材料または内装材として電磁遮蔽モルタル及び
コンクリートを用いる建物の電磁遮蔽方法に関する。
法に関し、とくに電磁遮蔽が求められる建物の壁面や床
スラブの材料または内装材として電磁遮蔽モルタル及び
コンクリートを用いる建物の電磁遮蔽方法に関する。
【0002】
【従来の技術】オフィスビル等において、マイクロ波や
ミリ波を用いた無線LANシステム(Local Area Netwo
rk System)、屋内PHS(Personal Handy Phone Syst
em)の普及が進み、建物内部と外部との間または建物内
部の区画相互間の電磁シールド(以下、建物の電磁遮蔽
ということがある。)に対する要求が高まっている。
ミリ波を用いた無線LANシステム(Local Area Netwo
rk System)、屋内PHS(Personal Handy Phone Syst
em)の普及が進み、建物内部と外部との間または建物内
部の区画相互間の電磁シールド(以下、建物の電磁遮蔽
ということがある。)に対する要求が高まっている。
【0003】例えば無線LANシステムや屋内PHSで
は、通信情報の漏洩を防止する観点から建物の電磁遮蔽
が必要とされる。また屋内でPHSを使用する場合は、
異なるフロアー間での干渉やチャンネル数の不足を補う
ために建物の電磁遮蔽が要求される。
は、通信情報の漏洩を防止する観点から建物の電磁遮蔽
が必要とされる。また屋内でPHSを使用する場合は、
異なるフロアー間での干渉やチャンネル数の不足を補う
ために建物の電磁遮蔽が要求される。
【0004】さらにコンサートホール等の建物内施設で
は、携帯電話機の呼出音が迷惑とならないように通信電
波の遮蔽が求められることがある。また電波の影響を受
け易い電子機器等を設けた建物内の放送施設や医療施設
では、施設内の電界強度を機器の耐性レベル以下に抑え
るため、放送電波や携帯電話電波に対する電磁遮蔽が必
要とされる。なお電磁遮蔽は、マイクロ波やミリ波に限
らず、テレビ電波等のVHF帯やUHF帯についても求
められる。
は、携帯電話機の呼出音が迷惑とならないように通信電
波の遮蔽が求められることがある。また電波の影響を受
け易い電子機器等を設けた建物内の放送施設や医療施設
では、施設内の電界強度を機器の耐性レベル以下に抑え
るため、放送電波や携帯電話電波に対する電磁遮蔽が必
要とされる。なお電磁遮蔽は、マイクロ波やミリ波に限
らず、テレビ電波等のVHF帯やUHF帯についても求
められる。
【0005】従来の建物の電磁遮蔽方法の一例は、建物
の外壁、スラブ、仕切壁等を必要な電波減衰レベルが得
られる金属板、金属箔、金属網等の導電性部材又はこれ
らの複合部材等(以下、電磁遮蔽部材という。)で被覆
することにより、建物内部を外部から遮蔽するものであ
る。
の外壁、スラブ、仕切壁等を必要な電波減衰レベルが得
られる金属板、金属箔、金属網等の導電性部材又はこれ
らの複合部材等(以下、電磁遮蔽部材という。)で被覆
することにより、建物内部を外部から遮蔽するものであ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の電磁遮
蔽部材で建物の壁を被覆する方法は、建物の躯体打設後
に電磁遮蔽部材の被覆工事を行なう必要があり、電磁遮
蔽部材の施工に手間がかかるので、全体の施工期間が長
くなる問題点がある。また、複数の電磁遮蔽部材により
壁を被覆する必要がある場合は、部材の継目から電波が
進入し易く、この電波の遮蔽漏れがシールド性能の劣化
の原因となる問題点もある。
蔽部材で建物の壁を被覆する方法は、建物の躯体打設後
に電磁遮蔽部材の被覆工事を行なう必要があり、電磁遮
蔽部材の施工に手間がかかるので、全体の施工期間が長
くなる問題点がある。また、複数の電磁遮蔽部材により
壁を被覆する必要がある場合は、部材の継目から電波が
進入し易く、この電波の遮蔽漏れがシールド性能の劣化
の原因となる問題点もある。
【0007】そこで本発明の目的は、短期間で施工でき
且つ電波の遮蔽漏れが軽減できる建物の電磁遮蔽方法を
提供するにある。
且つ電波の遮蔽漏れが軽減できる建物の電磁遮蔽方法を
提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】図1及び2の実施例を参
照するに、本発明の建物の電磁遮蔽方法は、金属Fe、A
l、Mgの粉体3及び/又はこれら金属の酸化物粉体4を
混練した所定厚さdの電磁遮蔽モルタル又はコンクリー
トの遮蔽対象電波に対する透過係数Tを測定し、前記モ
ルタル又はコンクリートの厚さdと透過係数Tと誘電率
εの関係式(下記(2)式参照)へ前記測定した透過係数
Tと前記所定厚さdとを代入することにより前記モルタ
ル又はコンクリートの誘電率εを求め、前記遮蔽対象電
波に対し所望の遮蔽性能を与える壁及び/又はスラブの
厚さdを前記関係式への前記誘電率εの代入により定
め、前記モルタル又はコンクリートを前記定めた厚さd
で打設することにより遮蔽建物の壁及び/又はスラブを
形成してなるものである。
照するに、本発明の建物の電磁遮蔽方法は、金属Fe、A
l、Mgの粉体3及び/又はこれら金属の酸化物粉体4を
混練した所定厚さdの電磁遮蔽モルタル又はコンクリー
トの遮蔽対象電波に対する透過係数Tを測定し、前記モ
ルタル又はコンクリートの厚さdと透過係数Tと誘電率
εの関係式(下記(2)式参照)へ前記測定した透過係数
Tと前記所定厚さdとを代入することにより前記モルタ
ル又はコンクリートの誘電率εを求め、前記遮蔽対象電
波に対し所望の遮蔽性能を与える壁及び/又はスラブの
厚さdを前記関係式への前記誘電率εの代入により定
め、前記モルタル又はコンクリートを前記定めた厚さd
で打設することにより遮蔽建物の壁及び/又はスラブを
形成してなるものである。
【0009】 一般にモルタルとは砂等の細骨材とセメン
トと水とを練混ぜたものであるが(建築用語辞典編集委
員会「建築用語辞典(第二版)」(1995-4-10)技報
堂、「セメントモルタル」の項)、本発明では金属粉体
3及び/又は金属酸化物粉体4を細骨材して用いること
ができる。好ましくは、セメント5に対して50〜300重
量%の金属粉体3及び/又は金属酸化物粉体4と30〜70
重量%の水6とを混練することにより電磁遮蔽モルタル
1とする。ただし必要に応じて、本発明で用いる電磁遮
蔽モルタル1に、セメントに対し100重量%以下で柔軟
性向上に足る量の砂等の細骨材7を混練してもよい。
トと水とを練混ぜたものであるが(建築用語辞典編集委
員会「建築用語辞典(第二版)」(1995-4-10)技報
堂、「セメントモルタル」の項)、本発明では金属粉体
3及び/又は金属酸化物粉体4を細骨材して用いること
ができる。好ましくは、セメント5に対して50〜300重
量%の金属粉体3及び/又は金属酸化物粉体4と30〜70
重量%の水6とを混練することにより電磁遮蔽モルタル
1とする。ただし必要に応じて、本発明で用いる電磁遮
蔽モルタル1に、セメントに対し100重量%以下で柔軟
性向上に足る量の砂等の細骨材7を混練してもよい。
【0010】 好ましくは、本発明で用いる電磁遮蔽モル
タル1に粗骨材7を混練することにより、金属Fe、Al、
Mgの粉体3及び/又はこれら金属の酸化物粉体4が混練
された電磁遮蔽コンクリート2とすることができる。こ
の場合は、セメント5に対して50〜500重量%の金属粉
体3及び/又は金属酸化物粉体4と30〜500重量%の細
骨材及び粗骨材7と30〜70重量%の水6とを混練するこ
とにより電磁遮蔽コンクリート2とすることができる。
タル1に粗骨材7を混練することにより、金属Fe、Al、
Mgの粉体3及び/又はこれら金属の酸化物粉体4が混練
された電磁遮蔽コンクリート2とすることができる。こ
の場合は、セメント5に対して50〜500重量%の金属粉
体3及び/又は金属酸化物粉体4と30〜500重量%の細
骨材及び粗骨材7と30〜70重量%の水6とを混練するこ
とにより電磁遮蔽コンクリート2とすることができる。
【0011】 金属粉体3び/又は金属酸化物粉体4は、
例えば製鉄工程で発生するダスト(以下、製鉄ダストと
いうことがある。)とすることができる。製鉄ダストと
は、製鉄所の各作業施設から発生する煤塵、粉塵を乾式
又は湿式集塵機にて捕集した環境集塵ダストであり、発
生する施設別に成分の特性・性状が異なり、施設別に固
有の名称がある。ただし本発明の電磁遮蔽モルタル1及
びコンクリート2は製鉄ダストの利用に限定されず、他
の適当な金属粉体3び/又は金属酸化物粉体4が利用可
能である。
例えば製鉄工程で発生するダスト(以下、製鉄ダストと
いうことがある。)とすることができる。製鉄ダストと
は、製鉄所の各作業施設から発生する煤塵、粉塵を乾式
又は湿式集塵機にて捕集した環境集塵ダストであり、発
生する施設別に成分の特性・性状が異なり、施設別に固
有の名称がある。ただし本発明の電磁遮蔽モルタル1及
びコンクリート2は製鉄ダストの利用に限定されず、他
の適当な金属粉体3び/又は金属酸化物粉体4が利用可
能である。
【0012】
【発明の実施の形態】金属粉体3び/又は金属酸化物粉
体4(以下、両者を纏めて金属性粉体ということがあ
る。)として製鉄ダストの一種である高炉集塵ダストを
用い、本発明で用いる電磁遮蔽モルタル1の遮蔽性能
(電磁波減衰量)を確認する実験を行なった。実験に用
いた高炉集塵ダストの組成の一例は、40重量%のFe
2O3、5重量%のFeO、0.5重量%のSiO2、0.4重量%のAl
2O3、及び0.6重量%のMgOを含むものであった。高炉集
塵ダストとは、出銑およびスラグ排出作業に伴う発煙及
び発塵の防止・高熱作業雰囲気の改善のために、出銑口
部から樋先端及び落し口に至る樋および開口部に設けた
カバーとフード、その間の主な発塵・発煙個所に設置し
たエアカーテンから、ダクトを介して集塵されたダスト
である。
体4(以下、両者を纏めて金属性粉体ということがあ
る。)として製鉄ダストの一種である高炉集塵ダストを
用い、本発明で用いる電磁遮蔽モルタル1の遮蔽性能
(電磁波減衰量)を確認する実験を行なった。実験に用
いた高炉集塵ダストの組成の一例は、40重量%のFe
2O3、5重量%のFeO、0.5重量%のSiO2、0.4重量%のAl
2O3、及び0.6重量%のMgOを含むものであった。高炉集
塵ダストとは、出銑およびスラグ排出作業に伴う発煙及
び発塵の防止・高熱作業雰囲気の改善のために、出銑口
部から樋先端及び落し口に至る樋および開口部に設けた
カバーとフード、その間の主な発塵・発煙個所に設置し
たエアカーテンから、ダクトを介して集塵されたダスト
である。
【0013】 この実験では、図1(A)に示すように、
高炉集塵ダストからなる金属性粉体3、4と普通ポルト
ランドセメント5と水6とを、重量比1:1:0.5の割
合で、普通モルタルと同様の方法により混練して電磁遮
蔽モルタル1とし、そのモルタル1により図1(C)に
示すように厚さd=30mmのパネル材16を製造し、打設か
ら50日経過した後のパネル材16を用いて遮蔽性能を確認
した。また比較のため、砂と普通ポルトランドセメント
5と水6とを重量比1:1:0.5の割合で混練した普通
モルタル(以下、比較モルタルという。)によりパネル
材16を製造し、その遮蔽性能も確認した。
高炉集塵ダストからなる金属性粉体3、4と普通ポルト
ランドセメント5と水6とを、重量比1:1:0.5の割
合で、普通モルタルと同様の方法により混練して電磁遮
蔽モルタル1とし、そのモルタル1により図1(C)に
示すように厚さd=30mmのパネル材16を製造し、打設か
ら50日経過した後のパネル材16を用いて遮蔽性能を確認
した。また比較のため、砂と普通ポルトランドセメント
5と水6とを重量比1:1:0.5の割合で混練した普通
モルタル(以下、比較モルタルという。)によりパネル
材16を製造し、その遮蔽性能も確認した。
【0014】 ただし本発明で用いる電磁遮蔽モルタル1
は普通ポルトランドセメントの利用に限定されず、他の
適当なセメントを利用できる。また本発明では、高炉集
塵ダストのみを細骨材とし砂等の他の細骨材を混練しな
くてもよいが、モルタルの柔らかさを調整するため、セ
メントに対して100重量%以下で柔軟性向上に足る量の
他の細骨材を混練してもよい。実用的には、セメントに
対して30〜50重量%の他の細骨材を混練した柔らかいモ
ルタルが好ましい。
は普通ポルトランドセメントの利用に限定されず、他の
適当なセメントを利用できる。また本発明では、高炉集
塵ダストのみを細骨材とし砂等の他の細骨材を混練しな
くてもよいが、モルタルの柔らかさを調整するため、セ
メントに対して100重量%以下で柔軟性向上に足る量の
他の細骨材を混練してもよい。実用的には、セメントに
対して30〜50重量%の他の細骨材を混練した柔らかいモ
ルタルが好ましい。
【0015】 打設後50日経過したパネル材16を用いた理
由は、打設後1ヶ月程度の間はモルタルの透過係数Tが
急激に増大し、遮蔽性能が安定しないからである。この
期間はモルタル1内の水和反応が大きく進行するので、
モルタル1内の含水率の減少が透過係数増大の主要な原
因と考えられる。本発明者は、モルタルの含水率の増加
により透過係数Tが大きく減少することを実験的に確認
した。
由は、打設後1ヶ月程度の間はモルタルの透過係数Tが
急激に増大し、遮蔽性能が安定しないからである。この
期間はモルタル1内の水和反応が大きく進行するので、
モルタル1内の含水率の減少が透過係数増大の主要な原
因と考えられる。本発明者は、モルタルの含水率の増加
により透過係数Tが大きく減少することを実験的に確認
した。
【0016】 パネル材16の遮蔽性能の測定装置として、
図4に示すように、ベクトルネットワークアナライザ
(VNA)24と電波発信器25及び受信器(ホーンアンテ
ナ)26とを用いた。発信器25及び受信器26を隔壁22で仕
切られたシールドルーム20a、20bにそれぞれ隔壁22の所
定位置と対向させて配置し、その隔壁22の所定位置に設
けた孔に電磁遮蔽モルタル又は比較モルタルのパネル材
16を嵌め込み、パネル材16と隔壁22との間を電波が漏れ
ないように密着させて固定した。シールドルーム20a、2
0bの内面と隔壁22の両面とを電波吸収部材で被覆するこ
とにより、外部からの進入電波やシールドルーム内面で
の反射電波が受信器26で受信されるのを防止した。
図4に示すように、ベクトルネットワークアナライザ
(VNA)24と電波発信器25及び受信器(ホーンアンテ
ナ)26とを用いた。発信器25及び受信器26を隔壁22で仕
切られたシールドルーム20a、20bにそれぞれ隔壁22の所
定位置と対向させて配置し、その隔壁22の所定位置に設
けた孔に電磁遮蔽モルタル又は比較モルタルのパネル材
16を嵌め込み、パネル材16と隔壁22との間を電波が漏れ
ないように密着させて固定した。シールドルーム20a、2
0bの内面と隔壁22の両面とを電波吸収部材で被覆するこ
とにより、外部からの進入電波やシールドルーム内面で
の反射電波が受信器26で受信されるのを防止した。
【0017】 電波周波数として800MHz〜4.2GHz帯域を使
用し、送信器25からパネル材16の面に対して垂直となる
ように電波を送出し、パネル材16を透過した電波を受信
器26で受信し、アナライザー24で透過電波の振幅を測定
した。また隔壁22の孔からパネル材16を取り外し、孔の
空隙を介して受信した電波の振幅を測定し、パネル材16
の透過電波の振幅との比からパネル材16の遮蔽性能(電
磁波減衰量)を求めた。実験結果を図5にグラフとして
示す。なお遮蔽性能と透過係数Tとの関係は下記(1)式
で表すことができるので、パネル材16の透過係数Tを遮
蔽性能の値に基づき算出することができる。
用し、送信器25からパネル材16の面に対して垂直となる
ように電波を送出し、パネル材16を透過した電波を受信
器26で受信し、アナライザー24で透過電波の振幅を測定
した。また隔壁22の孔からパネル材16を取り外し、孔の
空隙を介して受信した電波の振幅を測定し、パネル材16
の透過電波の振幅との比からパネル材16の遮蔽性能(電
磁波減衰量)を求めた。実験結果を図5にグラフとして
示す。なお遮蔽性能と透過係数Tとの関係は下記(1)式
で表すことができるので、パネル材16の透過係数Tを遮
蔽性能の値に基づき算出することができる。
【0018】
【数1】 遮蔽性能=-20・log(透過係数T)………………………………(1)
【0019】 図5の高炉集塵ダストのグラフから分かる
ように、厚さ30mmとした高炉集塵ダスト混練モルタル1
のパネル材16により、1GHzで約20dB、2GHzで約27dB、
3GHzで約35dBの遮蔽性能を得ることができた。また図
5の比較モルタルのグラフと高炉集塵ダストのグラフと
の比較から分かるように、高炉集塵ダスト混練モルタル
1のパネル材16は、比較モルタルのパネル材16に比し、
1GHzで約10dB、2GHzで約19dB、3GHzで約28dB大きい
遮蔽性能を得ることができた。
ように、厚さ30mmとした高炉集塵ダスト混練モルタル1
のパネル材16により、1GHzで約20dB、2GHzで約27dB、
3GHzで約35dBの遮蔽性能を得ることができた。また図
5の比較モルタルのグラフと高炉集塵ダストのグラフと
の比較から分かるように、高炉集塵ダスト混練モルタル
1のパネル材16は、比較モルタルのパネル材16に比し、
1GHzで約10dB、2GHzで約19dB、3GHzで約28dB大きい
遮蔽性能を得ることができた。
【0020】 本発明の電磁遮蔽モルタル1が比較モルタ
ルより大きな遮蔽性能を有する理由は、以下のように考
えられる。すなわち図3に示すように、比較モルタルに
おける電波の遮蔽はモルタル表面での反射損失とモルタ
ル通過時の吸収損失(図3の)のみであるのに対し、
電磁遮蔽モルタル1では更に、セメントにより固化され
た金属性粉体による反射・回折による損失(図3の
)、及び金属酸化物粉体による吸収損失(図3の)
の複合的作用により電磁波を遮蔽するからである。
ルより大きな遮蔽性能を有する理由は、以下のように考
えられる。すなわち図3に示すように、比較モルタルに
おける電波の遮蔽はモルタル表面での反射損失とモルタ
ル通過時の吸収損失(図3の)のみであるのに対し、
電磁遮蔽モルタル1では更に、セメントにより固化され
た金属性粉体による反射・回折による損失(図3の
)、及び金属酸化物粉体による吸収損失(図3の)
の複合的作用により電磁波を遮蔽するからである。
【0021】 また前記組成の高炉集塵ダストに代えて、
製鉄ダストの一種である高炉2次灰と呼ばれている金属
性粉体3、4とセメント5と水6とを重量比1:1:0.
5の割合で混練した電磁遮蔽モルタル1を用い、上記と
同様にして遮蔽性能の確認実験を行なった。実験に用い
た高炉2次灰の組成は、30重量%のFe2O3と10重量%の
カーボンを含むものであった。高炉内で鉄鉱石等を還元
したガスは含塵ガス(高炉ガス)として排出される。高
炉2次灰とは、高炉ガス清浄時に捕集した粉塵で、乾式
あるいは湿式集塵されたダストである。図5のグラフ
は、この実験結果をも併せて示す。
製鉄ダストの一種である高炉2次灰と呼ばれている金属
性粉体3、4とセメント5と水6とを重量比1:1:0.
5の割合で混練した電磁遮蔽モルタル1を用い、上記と
同様にして遮蔽性能の確認実験を行なった。実験に用い
た高炉2次灰の組成は、30重量%のFe2O3と10重量%の
カーボンを含むものであった。高炉内で鉄鉱石等を還元
したガスは含塵ガス(高炉ガス)として排出される。高
炉2次灰とは、高炉ガス清浄時に捕集した粉塵で、乾式
あるいは湿式集塵されたダストである。図5のグラフ
は、この実験結果をも併せて示す。
【0022】 図5の高炉2次灰のグラフから分かるよう
に、高炉2次灰混練モルタル1の遮蔽性能は、1GHzで
約12dB、2GHzで約18dB、3GHzで約22dBであった。この
遮蔽性能は、高炉集塵ダスト混練モルタル1の遮蔽性能
に比し、1GHzで約6dB、2GHzで約9dB、3GHzで約12dB
小さい。この遮蔽性能の減少は、高炉集塵ダスト中の金
属性粉体量に比し、高炉2次灰中の金属性粉体量が少な
いことが主要な原因であると考えられる。
に、高炉2次灰混練モルタル1の遮蔽性能は、1GHzで
約12dB、2GHzで約18dB、3GHzで約22dBであった。この
遮蔽性能は、高炉集塵ダスト混練モルタル1の遮蔽性能
に比し、1GHzで約6dB、2GHzで約9dB、3GHzで約12dB
小さい。この遮蔽性能の減少は、高炉集塵ダスト中の金
属性粉体量に比し、高炉2次灰中の金属性粉体量が少な
いことが主要な原因であると考えられる。
【0023】 すなわち図5のグラフは、電磁遮蔽モルタ
ル1中に混練する金属性粉体3、4の量の調節により、
特定周波数に対する電磁遮蔽モルタル1の遮蔽性能、す
なわち透過係数Tが調整可能であることを示す。本発明
者は、更なる実験の結果、製鉄ダストの組成とモルタル
1中のダスト混練量とパネル材16の厚さdとを調節する
ことにより、特定周波数に対して所定レベルT0の透過
係数を与える電磁遮蔽モルタル1のパネル材16が製造で
きることを確認できた。
ル1中に混練する金属性粉体3、4の量の調節により、
特定周波数に対する電磁遮蔽モルタル1の遮蔽性能、す
なわち透過係数Tが調整可能であることを示す。本発明
者は、更なる実験の結果、製鉄ダストの組成とモルタル
1中のダスト混練量とパネル材16の厚さdとを調節する
ことにより、特定周波数に対して所定レベルT0の透過
係数を与える電磁遮蔽モルタル1のパネル材16が製造で
きることを確認できた。
【0024】図2に示すように、現場で打設する建物の
壁11又はスラブ13の透過レベルT0 が打設前に決められ
ている場合は、電磁遮蔽モルタル1又はコンクリート2
中の金属性粉体の混入量の調節と共に、壁11又はスラブ
13の打設厚さdの設計が必要である。本発明者は、打設
厚さdの設計のために、電磁遮蔽モルタル1又はコンク
リート2の複素誘電率ε=εr−jεi(以下、単に誘電
率εということがある。)が利用できることを見出し
た。誘電率εによれば、モルタル1又はコンクリート2
自体の単位厚さ当りの遮蔽性能を定めることができる。
壁11又はスラブ13の透過レベルT0 が打設前に決められ
ている場合は、電磁遮蔽モルタル1又はコンクリート2
中の金属性粉体の混入量の調節と共に、壁11又はスラブ
13の打設厚さdの設計が必要である。本発明者は、打設
厚さdの設計のために、電磁遮蔽モルタル1又はコンク
リート2の複素誘電率ε=εr−jεi(以下、単に誘電
率εということがある。)が利用できることを見出し
た。誘電率εによれば、モルタル1又はコンクリート2
自体の単位厚さ当りの遮蔽性能を定めることができる。
【0025】すなわち一般的に、一様の誘電率εを有す
る厚さdの層(一層モデル)の透過係数Tは下記(2)式
で表すことができる(電気情報通信学会技術研究報告、
A・P95-47(1995-09)「ミリ波帯における建材の反射特
性と屈折率の測定」)。ここで、δ=(2πd/λ)(ε
−sin2θ)1/2、k0=2π/λである。またλは遮蔽対象
電波の波長、θは遮蔽対象電波の入射角を示す。(2)式
のR'には、遮蔽対象電波の偏波により、下記(3)式のR's
または下記(4)式のR'pを代入する。
る厚さdの層(一層モデル)の透過係数Tは下記(2)式
で表すことができる(電気情報通信学会技術研究報告、
A・P95-47(1995-09)「ミリ波帯における建材の反射特
性と屈折率の測定」)。ここで、δ=(2πd/λ)(ε
−sin2θ)1/2、k0=2π/λである。またλは遮蔽対象
電波の波長、θは遮蔽対象電波の入射角を示す。(2)式
のR'には、遮蔽対象電波の偏波により、下記(3)式のR's
または下記(4)式のR'pを代入する。
【0026】例えば図5のように厚さdのパネル材16に
ついて考えると、電磁遮蔽モルタル1又はコンクリート
2の誘電率εは、パネル材16の厚さdと遮蔽対象電波の
波長λと入射角θ(図5では垂直)とに基づき、透過係
数Tの実測値と(2)式との分散が最小となるように推定
することができる(以下、説明簡単化のため、(2)式へ
の透過係数Tと厚さdとの代入ということがある。)。
同図の高炉集塵ダスト混練モルタル1の場合は、1GHz
では誘電率ε=30−j10、3GHzではε=28−j16、5GHz
ではε=30−j25であると推定できる。これに対し同図
の比較モルタルの場合は、1〜5GHzの周波数帯におい
て誘電率ε=8-j1であると推定できる。この誘電率εの
実数部εr及び虚数部εiの大きさの相違が、モルタル自
体の遮蔽性能の相違に対応する。
ついて考えると、電磁遮蔽モルタル1又はコンクリート
2の誘電率εは、パネル材16の厚さdと遮蔽対象電波の
波長λと入射角θ(図5では垂直)とに基づき、透過係
数Tの実測値と(2)式との分散が最小となるように推定
することができる(以下、説明簡単化のため、(2)式へ
の透過係数Tと厚さdとの代入ということがある。)。
同図の高炉集塵ダスト混練モルタル1の場合は、1GHz
では誘電率ε=30−j10、3GHzではε=28−j16、5GHz
ではε=30−j25であると推定できる。これに対し同図
の比較モルタルの場合は、1〜5GHzの周波数帯におい
て誘電率ε=8-j1であると推定できる。この誘電率εの
実数部εr及び虚数部εiの大きさの相違が、モルタル自
体の遮蔽性能の相違に対応する。
【0027】
【数2】
【0028】従って、例えば図5の高炉集塵ダスト混練
モルタル1を用い、3GHz帯に対して所定レベルT0の透
過係数を与える建物10の壁又はスラブを打設する場合
は、モルタル1の3GHz帯に対する誘電率ε=28−j16を
求め、その誘電率εと所定レベルT0とから、(2)式に基
づいて打設すべき壁又はスラブの厚さdを算出すること
ができる。
モルタル1を用い、3GHz帯に対して所定レベルT0の透
過係数を与える建物10の壁又はスラブを打設する場合
は、モルタル1の3GHz帯に対する誘電率ε=28−j16を
求め、その誘電率εと所定レベルT0とから、(2)式に基
づいて打設すべき壁又はスラブの厚さdを算出すること
ができる。
【0029】 以上、電磁遮蔽モルタル1の透過係数につ
いて説明したが、電磁遮蔽コンクリート2の透過係数に
ついても、製鉄ダストの組成とコンクリート2中のダス
ト混練量と壁11又はスラブ13の厚さdとの調節により、
モルタル1の場合と同様に調整できる。ただし電磁遮蔽
コンクリート2の場合は、骨材の混練量が増えるに応じ
て遮蔽性能が低下するので、同一組成の製鉄ダストによ
る同一厚さのパネル材16でモルタル1と同様の遮蔽性能
を得るためには、モルタル1の場合に比しダスト混練量
を増やす必要がある。
いて説明したが、電磁遮蔽コンクリート2の透過係数に
ついても、製鉄ダストの組成とコンクリート2中のダス
ト混練量と壁11又はスラブ13の厚さdとの調節により、
モルタル1の場合と同様に調整できる。ただし電磁遮蔽
コンクリート2の場合は、骨材の混練量が増えるに応じ
て遮蔽性能が低下するので、同一組成の製鉄ダストによ
る同一厚さのパネル材16でモルタル1と同様の遮蔽性能
を得るためには、モルタル1の場合に比しダスト混練量
を増やす必要がある。
【0030】 本発明は、電磁遮蔽モルタル1又はコンク
リート2を用いて遮蔽建物の壁及び/又はスラブを形成
するので、建物の躯体自体に電磁遮蔽機能を持たせるこ
とができ、躯体とは別に電磁遮蔽部材を設ける必要がな
くなるので、電磁遮蔽部材の施工の手間を省き施工期間
の短縮が図れる。また建物の外壁部分、床や天井部分に
本発明の電磁遮蔽モルタル1又はコンクリート2を一体
として打設することができるので、従来問題となってい
た電磁遮蔽部材の継目からの電波の漏れを軽減すること
ができる。
リート2を用いて遮蔽建物の壁及び/又はスラブを形成
するので、建物の躯体自体に電磁遮蔽機能を持たせるこ
とができ、躯体とは別に電磁遮蔽部材を設ける必要がな
くなるので、電磁遮蔽部材の施工の手間を省き施工期間
の短縮が図れる。また建物の外壁部分、床や天井部分に
本発明の電磁遮蔽モルタル1又はコンクリート2を一体
として打設することができるので、従来問題となってい
た電磁遮蔽部材の継目からの電波の漏れを軽減すること
ができる。
【0031】 こうして本発明の目的である「短期間で施
工でき且つ電波の遮蔽漏れが軽減できる建物の電磁遮蔽
方法」の提供が達成できる。
工でき且つ電波の遮蔽漏れが軽減できる建物の電磁遮蔽
方法」の提供が達成できる。
【0032】製鉄ダスト は、製鉄プラントの製鉄工程の
副産物として大量に産出されるので、安価である。従っ
て製鉄ダストを利用して本発明の電磁遮蔽モルタル1又
はコンクリート2とすることにより、電磁遮蔽コストの
低減を図ることができる。ただし、製鉄ダスト以外の適
当な金属性粉体3、4を混練した場合でも、その金属性
粉体3、4の組成と混練量とパネル材16の厚さdとを調
節することにより、特定周波数に対して所定レベルT0
の透過係数を与える電磁遮蔽モルタル1又はコンクリー
ト2とすることができる。
副産物として大量に産出されるので、安価である。従っ
て製鉄ダストを利用して本発明の電磁遮蔽モルタル1又
はコンクリート2とすることにより、電磁遮蔽コストの
低減を図ることができる。ただし、製鉄ダスト以外の適
当な金属性粉体3、4を混練した場合でも、その金属性
粉体3、4の組成と混練量とパネル材16の厚さdとを調
節することにより、特定周波数に対して所定レベルT0
の透過係数を与える電磁遮蔽モルタル1又はコンクリー
ト2とすることができる。
【0033】 なお従来から、製鋼用転炉ダストとセメン
トとを配合して成形、構造物化した重量コンクリートが
提案されている(特開平5-319880号公報、特開平6-0248
13号公報)。しかし従来の重量コンクリートは密度を大
きくするために安価な金属鉄、酸化鉄混合物を用いるも
のであり、金属性粉体3、4の混練により遮蔽性能を高
めたモルタル又はコンクリートの厚さの調整により施工
期間の短縮化及び電波漏れの軽減を図る技術は従来提案
されていない。本発明は、金属粉性体3、4の混練量の
調節によりモルタル又はコンクリートの単位厚さ当りの
透過係数Tの調整が可能であり、そのモルタル又はコン
クリートの誘電率に基づき建物の壁やスラブの厚さを定
めれば建物の壁やスラブに所望の遮蔽性能を付与できる
との本発明者の知見に基づくものである。
トとを配合して成形、構造物化した重量コンクリートが
提案されている(特開平5-319880号公報、特開平6-0248
13号公報)。しかし従来の重量コンクリートは密度を大
きくするために安価な金属鉄、酸化鉄混合物を用いるも
のであり、金属性粉体3、4の混練により遮蔽性能を高
めたモルタル又はコンクリートの厚さの調整により施工
期間の短縮化及び電波漏れの軽減を図る技術は従来提案
されていない。本発明は、金属粉性体3、4の混練量の
調節によりモルタル又はコンクリートの単位厚さ当りの
透過係数Tの調整が可能であり、そのモルタル又はコン
クリートの誘電率に基づき建物の壁やスラブの厚さを定
めれば建物の壁やスラブに所望の遮蔽性能を付与できる
との本発明者の知見に基づくものである。
【0034】
【実施例】図1(B)及び図2は、作業現場において、
鉄筋建物10に設けた型枠(図示せず)内に本発明の電磁
遮蔽モルタル1又はコンクリート2を打設し、図2に示
すように建物10の壁11及び/又はスラブ13を形成する本
発明の実施例を示す。図1(B)の符号14はコンクリー
トミキサー、図2の符号12はデッキプレートを示す。こ
のように作業現場で打設する場合は、モルタル1又はコ
ンクリート2中の金属性粉体3、4の混練量と打設厚さ
dとの調節により、建物10の壁11又はスラブ13に所要の
透過レベルT0を付与することができる。
鉄筋建物10に設けた型枠(図示せず)内に本発明の電磁
遮蔽モルタル1又はコンクリート2を打設し、図2に示
すように建物10の壁11及び/又はスラブ13を形成する本
発明の実施例を示す。図1(B)の符号14はコンクリー
トミキサー、図2の符号12はデッキプレートを示す。こ
のように作業現場で打設する場合は、モルタル1又はコ
ンクリート2中の金属性粉体3、4の混練量と打設厚さ
dとの調節により、建物10の壁11又はスラブ13に所要の
透過レベルT0を付与することができる。
【0035】 また本発明者は、電磁遮蔽モルタル1又は
コンクリート2の誘電率εと遮蔽性能との比較検討か
ら、大きな遮蔽性能を得るためには誘電率εの虚数部ε
iを大きくすることが効果的であることを見出した。下
記表1は、厚さd=20cm、遮蔽対象電波の入射角θ=0
度(垂直入射)と仮定した場合に、周波数f=1.2GHz及
び2.4GHzの2種類の遮蔽対象電波に対する誘電率εと遮
蔽性能との関係の計算結果を示す。なお図5に示すよう
に、周波数f=1.2GHz及び2.4GHzに対する比較モルタル
の遮蔽性能は、それぞれ6dB及び10dBである。
コンクリート2の誘電率εと遮蔽性能との比較検討か
ら、大きな遮蔽性能を得るためには誘電率εの虚数部ε
iを大きくすることが効果的であることを見出した。下
記表1は、厚さd=20cm、遮蔽対象電波の入射角θ=0
度(垂直入射)と仮定した場合に、周波数f=1.2GHz及
び2.4GHzの2種類の遮蔽対象電波に対する誘電率εと遮
蔽性能との関係の計算結果を示す。なお図5に示すよう
に、周波数f=1.2GHz及び2.4GHzに対する比較モルタル
の遮蔽性能は、それぞれ6dB及び10dBである。
【0036】
【表1】
【0037】表1の第6〜9欄の比較から分かるよう
に、誘電率εの実数部εrを大きくしても遮蔽性能は必
ずしも大きくなるとは限らない。これに対し表1の第1
〜4欄に示すように、誘電率εの虚数部εiを大きくす
ることにより遮蔽性能を大きくし、透過係数Tを小さく
することができる。このことから、電磁遮蔽モルタル1
又はコンクリート2に対する金属性粉体3、4の組成及
び/又は混練量を、モルタル1又はコンクリート2の誘
電率εの虚数部εiが大きくなるように選択することが
好ましい。
に、誘電率εの実数部εrを大きくしても遮蔽性能は必
ずしも大きくなるとは限らない。これに対し表1の第1
〜4欄に示すように、誘電率εの虚数部εiを大きくす
ることにより遮蔽性能を大きくし、透過係数Tを小さく
することができる。このことから、電磁遮蔽モルタル1
又はコンクリート2に対する金属性粉体3、4の組成及
び/又は混練量を、モルタル1又はコンクリート2の誘
電率εの虚数部εiが大きくなるように選択することが
好ましい。
【0038】 以上説明したように、遮蔽対象電波に対し
大きな誘電率εを与える組成及び量の金属性粉体3、4
が混練された電磁遮蔽モルタル1又はコンクリート2を
用い、所定透過レベルT0を与える厚さdで打設するこ
とにより、例えば図2の建物10の壁11及びスラブ13自体
に必要な電磁遮蔽機能を持たせることができる。
大きな誘電率εを与える組成及び量の金属性粉体3、4
が混練された電磁遮蔽モルタル1又はコンクリート2を
用い、所定透過レベルT0を与える厚さdで打設するこ
とにより、例えば図2の建物10の壁11及びスラブ13自体
に必要な電磁遮蔽機能を持たせることができる。
【0039】 また図1(C)に示すように、電磁遮蔽モ
ルタル1又はコンクリート2により所定透過レベルT0
を与える厚さdの電磁遮蔽パネル材16を形成し、そのパ
ネル材16を用いて建物10の外壁11、スラブ13及び仕切壁
に必要な電磁遮蔽機能を持たせることもできる。なお本
発明の電磁遮蔽モルタル1又はコンクリート2と他の建
材とを層状に組み合わせたパネル材を用いる場合は、
(2)式に示す一層モデルに代えて、多層誘電体モデルに
よりそのパネル材の透過係数を求めることが可能であ
る。
ルタル1又はコンクリート2により所定透過レベルT0
を与える厚さdの電磁遮蔽パネル材16を形成し、そのパ
ネル材16を用いて建物10の外壁11、スラブ13及び仕切壁
に必要な電磁遮蔽機能を持たせることもできる。なお本
発明の電磁遮蔽モルタル1又はコンクリート2と他の建
材とを層状に組み合わせたパネル材を用いる場合は、
(2)式に示す一層モデルに代えて、多層誘電体モデルに
よりそのパネル材の透過係数を求めることが可能であ
る。
【0040】 更に、例えば壁やスラブの遮蔽性能が不足
する場合には、その壁11やスラブ13上の内装材として、
本発明の電磁遮蔽モルタル1又はコンクリート2を所定
透過レベルT0を与える厚さdで塗布することにより、
壁やスラブの遮蔽機能を高めることも可能である。
する場合には、その壁11やスラブ13上の内装材として、
本発明の電磁遮蔽モルタル1又はコンクリート2を所定
透過レベルT0を与える厚さdで塗布することにより、
壁やスラブの遮蔽機能を高めることも可能である。
【0041】 なお、例えば製鉄ダストを混練したモルタ
ル又はコンクリートは黒褐色ないし茶褐色を呈し、本発
明の電磁遮蔽モルタル1又はコンクリート2は意匠的な
配色からみても従来の普通モルタル又はコンクリートに
劣るものではない。また従来の普通モルタルの強度及び
比重(平均値)が54N/mm2及び2.116であるのに対し、製
鉄ダストを混練したモルタルの強度及び比重は63N/mm2
及び2.441であり、本発明の電磁遮蔽モルタル1はこれ
らの点でも優れている。本発明の電磁遮蔽コンクリート
2を重量コンクリートとして護岸用コンクリート、原子
力施設用コンクリートとして用いることも可能である。
ル又はコンクリートは黒褐色ないし茶褐色を呈し、本発
明の電磁遮蔽モルタル1又はコンクリート2は意匠的な
配色からみても従来の普通モルタル又はコンクリートに
劣るものではない。また従来の普通モルタルの強度及び
比重(平均値)が54N/mm2及び2.116であるのに対し、製
鉄ダストを混練したモルタルの強度及び比重は63N/mm2
及び2.441であり、本発明の電磁遮蔽モルタル1はこれ
らの点でも優れている。本発明の電磁遮蔽コンクリート
2を重量コンクリートとして護岸用コンクリート、原子
力施設用コンクリートとして用いることも可能である。
【0042】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の建
物の電磁遮蔽方法は、金属粉体及び/又は金属酸化物粉
体が混練された電磁遮蔽モルタル又はコンクリートの遮
蔽対象電波に対する誘電率を求め、遮蔽対象電波に対し
所望の遮蔽性能を与える壁及び/又はスラブの厚さを前
記誘電率に基づき定め、電磁遮蔽モルタル又はコンクリ
ートを前記定めた厚さで打設することにより遮蔽建物の
壁又はスラブを形成するので、次の顕著な効果を奏す
る。
物の電磁遮蔽方法は、金属粉体及び/又は金属酸化物粉
体が混練された電磁遮蔽モルタル又はコンクリートの遮
蔽対象電波に対する誘電率を求め、遮蔽対象電波に対し
所望の遮蔽性能を与える壁及び/又はスラブの厚さを前
記誘電率に基づき定め、電磁遮蔽モルタル又はコンクリ
ートを前記定めた厚さで打設することにより遮蔽建物の
壁又はスラブを形成するので、次の顕著な効果を奏す
る。
【0043】 (イ)金属粉体及び/又は金属酸化物粉体
の組成、混練量を調整することにより、モルタル又はコ
ンクリートに必要な電磁透過レベルを与えることができ
る。 (ロ)建物の躯体自体に電磁遮蔽機能を持たせることが
できるので、躯体とは別に電磁遮蔽部材を施工する手間
を省き、施工期間の短縮が図れる。 (ハ)従来問題となっていた電磁遮蔽部材の継目からの
電波の漏れが軽減でき、遮蔽機能の劣化のおそれが小さ
い。 (ニ)製鉄ダストの利用により製造コストの低減を図る
ことができ、また製鉄ダストのリサイクルに貢献でき
る。
の組成、混練量を調整することにより、モルタル又はコ
ンクリートに必要な電磁透過レベルを与えることができ
る。 (ロ)建物の躯体自体に電磁遮蔽機能を持たせることが
できるので、躯体とは別に電磁遮蔽部材を施工する手間
を省き、施工期間の短縮が図れる。 (ハ)従来問題となっていた電磁遮蔽部材の継目からの
電波の漏れが軽減でき、遮蔽機能の劣化のおそれが小さ
い。 (ニ)製鉄ダストの利用により製造コストの低減を図る
ことができ、また製鉄ダストのリサイクルに貢献でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の一実施例の説明図である。
【図2】は、鉄筋建物の壁及びスラブの説明図である。
【図3】は、本発明による電磁遮蔽の原理を示す説明図
である。
である。
【図4】は、電磁遮蔽性能の測定装置の説明図である。
【図5】は、本発明のモルタルによる遮蔽性能を示すグ
ラフである。
ラフである。
【符号の説明】 1…電磁遮蔽モルタル 2…電磁遮蔽コンクリート 3…金属粉体 4…金属酸化物粉体 5…セメント 6…水 7…骨材 10…鉄筋建物 11…建物外壁 12…デッキプレート 13…スラブ 14…コンクリートミキサ 16…電磁遮蔽パネル材 20…シールドルーム 21…電波吸収部材 22…隔壁 24…ネットワークアナライザー 25…送信器 26…受信器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C04B 111:94 (72)発明者 横田 依早弥 東京都調布市飛田給二丁目19番1号 鹿島 建設株式会社技術研究所内 (72)発明者 塚田 卓 東京都調布市飛田給二丁目19番1号 鹿島 建設株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 2E001 DH01 EA01 EA04 FA03 FA10 FA11 FA13 GA03 HA01 HA04 HB02 JB01 4G012 PA04 PA11 PA13 PA28 5E321 AA44 BB31 GG05 GG11
Claims (11)
- 【請求項1】遮蔽対象電波に対する単位厚さ当りの透過
係数を所定レベル以下とする量の金属Fe、Al、Mg、Siの
粉体及び/又はこれら金属の酸化物紛体を混練してなる
電磁遮蔽モルタル。 - 【請求項2】請求項1の電磁遮蔽モルタルにおいて、セ
メントに対して50〜300重量%の前記金属紛体及び/又
は金属酸化物紛体と30〜70重量%の水とを混練してなる
電磁遮蔽モルタル。 - 【請求項3】請求項2の電磁遮蔽モルタルにおいて、セ
メントに対し100重量%以下で柔軟性向上に足る量の細
骨材を混練してなる電磁遮蔽モルタル。 - 【請求項4】請求項1〜3の何れかの電磁遮蔽モルタル
において、前記金属紛体及び/又は金属酸化物紛体を製
鋼工程で発生するダストとしてなる電磁遮蔽モルタル。 - 【請求項5】遮蔽対象電波に対する単位厚さ当りの透過
係数を所定レベル以下とする量の金属Fe、Al、Mg、Siの
粉体及び/又はこれら金属の酸化物紛体を混練してなる
電磁遮蔽コンクリート。 - 【請求項6】請求項5の電磁遮蔽コンクリートにおい
て、セメントに対して50〜500重量%の前記金属紛体及
び/又は金属酸化物紛体と30〜500重量%の骨材と30〜7
0重量%の水とを混練してなる電磁遮蔽コンクリート。 - 【請求項7】請求項5又は6の電磁遮蔽コンクリートに
おいて、前記金属紛体及び/又は金属酸化物紛体を製鋼
工程で発生するダストとしてなる電磁遮蔽コンクリー
ト。 - 【請求項8】請求項1の電磁遮蔽モルタル又は請求項5
の電磁遮蔽コンクリートにより形成した電磁遮蔽パネル
材。 - 【請求項9】請求項1の電磁遮蔽モルタル又は請求項5
の電磁遮蔽コンクリートにより被遮蔽建物の壁及び/又
はスラブを形成してなる建物の電磁遮蔽方法。 - 【請求項10】請求項1の電磁遮蔽モルタル又は請求項
5の電磁遮蔽コンクリートにより被遮蔽建物の内装面を
被覆してなる建物の電磁遮蔽方法。 - 【請求項11】請求項9又は10の電磁遮蔽方法におい
て、前記電磁遮蔽モルタル又は電磁遮蔽コンクリートの
遮蔽対象電波に対する誘電率を求め、前記被遮蔽建物に
付与すべき前記遮蔽対象電波に対する透過係数と前記誘
電率とに基づき前記被遮蔽建物の壁の厚さ、スラブの厚
さ又は内装面の厚さを定めてなる建物の電磁遮蔽方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3353299A JP3185980B2 (ja) | 1999-02-10 | 1999-02-10 | 建物の電磁遮蔽方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3353299A JP3185980B2 (ja) | 1999-02-10 | 1999-02-10 | 建物の電磁遮蔽方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000233960A true JP2000233960A (ja) | 2000-08-29 |
JP3185980B2 JP3185980B2 (ja) | 2001-07-11 |
Family
ID=12389172
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3353299A Expired - Fee Related JP3185980B2 (ja) | 1999-02-10 | 1999-02-10 | 建物の電磁遮蔽方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3185980B2 (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002138593A (ja) * | 2000-11-01 | 2002-05-14 | Kajima Corp | 電磁遮蔽壁体の構築方法 |
JP2002321961A (ja) * | 2001-04-27 | 2002-11-08 | Taiheiyo Material Kk | 重量モルタル |
JP2016128761A (ja) * | 2015-01-09 | 2016-07-14 | 有限会社豊栄産業 | 放射線遮蔽用コンクリート組成物及び放射線遮蔽用コンクリート組成物により形成された放射性物質保管用容器 |
WO2018206862A1 (fr) * | 2017-05-11 | 2018-11-15 | Buendia Jose | Stabilite thermique-hydrometrie |
CN113277784A (zh) * | 2020-07-14 | 2021-08-20 | 李焕醒 | 一种具有电磁波吸收功能的浮石混凝土 |
-
1999
- 1999-02-10 JP JP3353299A patent/JP3185980B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002138593A (ja) * | 2000-11-01 | 2002-05-14 | Kajima Corp | 電磁遮蔽壁体の構築方法 |
JP2002321961A (ja) * | 2001-04-27 | 2002-11-08 | Taiheiyo Material Kk | 重量モルタル |
JP2016128761A (ja) * | 2015-01-09 | 2016-07-14 | 有限会社豊栄産業 | 放射線遮蔽用コンクリート組成物及び放射線遮蔽用コンクリート組成物により形成された放射性物質保管用容器 |
WO2018206862A1 (fr) * | 2017-05-11 | 2018-11-15 | Buendia Jose | Stabilite thermique-hydrometrie |
CN113277784A (zh) * | 2020-07-14 | 2021-08-20 | 李焕醒 | 一种具有电磁波吸收功能的浮石混凝土 |
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