JP2000233245A - 高圧ガス容器のアルミニウム製ライナーの製造方法 - Google Patents

高圧ガス容器のアルミニウム製ライナーの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐力を向上できるとともに時効処理を廃止で
きる高圧ガス容器のアルミニウム製ライナーの製造方法
の提供。 【解決手段】 (1)アルミニウム素材10に溶体化処
理を施し、しかる後塑性ひずみを付与し、その後端口部
を成形してライナー形状にする高圧ガス容器のアルミニ
ウム製ライナーの製造方法。(2)塑性ひずみは、常温
かそれ以上の温度で50%以上の板厚減少率をしごき加
工で付与する。(3)塑性ひずみは、125°C以上の
温度でしごき加工することで付与する。(4)溶体化処
理を施した後塑性ひずみを付与して製造したアルミニウ
ム製ライナー11に、後工程での樹脂硬化時の加熱を利
用して、アルミニウム材料に析出効果を生じさせアルミ
ニウム材料強度を高めるアルミニウム製ライナーの製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高圧ガス容器のア
ルミニウム(アルミニウム合金を含む)製ライナーの製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高圧ガス容器として、たとえば自動車用
天然ガスガスボンベがある。高圧ガス容器は鉄製のも
の、アルミニウム製ライナーの外面に強化用繊維を巻き
付けたもの(フィラメントワインディング)など、種々
のものがある。特開平6−63681号は、高圧ガス容
器のアルミニウム製ライナーの製造方法を開示してい
る。そこでは、アルミニウム合金抽出材に抽伸加工を施
し、この抽伸加工材を溶体化処理し、その後インパクト
加工を施すことにより有底円筒体に成形し、その後冷間
型鍛造によりガス取出口を形成し、時効処理して、小型
高圧ガス容器が製造される。溶体化処理は、インパクト
加工性の向上を目的として施され、容器の強度(耐力)
アップを目的としたものではない。一般に、高圧ガス容
器のアルミニウム製ライナーの製造方法は、従来、図8
に示すように、アルミニウムシームレスパイプからなる
素材1を、端口部を閉じ成形してライナー形状に成形
し、溶体化処理(たとえば、520℃×2Hr)を施
し、さらに時効処理(たとえば、180℃×6Hr)を
施す、工程により製造される。溶体化処理では耐力
(0.2%耐力)が約145MPaしかないが時効処理
で約280MPaに上がる。そのため、従来法では、耐
力向上のために、溶体化処理後の時効処理は必須であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来方法で
は、つぎの問題がある。 時効処理で耐力を上げても約280MPaに過ぎな
い。 時効処理は、他工程に比べて多大の時間と作業を要
する。たとえば、アルミニウム素材の溶体化処理には約
2時間を要するが、時効処理には約6時間を要する。し
たがって、時効処理があることによって、作業時間の増
大、工程増、製造の複雑化を招く。 製造の複雑化により素材板厚を最適化することが困
難であること、および時効で出る耐力が約280MPa
に過ぎないこと、などにより、板厚が厚くなり、重量
増、コストアップを招いている。 溶体化処理による変形が容器の最終形状に残ってし
まう。 本発明の目的は、耐力を向上でき、時効処理を廃止で
き、溶体化処理による容器の変形を残さずに高精度に加
工できる、高圧ガス容器のアルミニウム製ライナーの製
造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明は、つぎの通りである。 (1) アルミニウム素材に溶体化処理を施し、しかる
後塑性ひずみを付与し、その後端口部を成形してライナ
ー形状にする高圧ガス容器のアルミニウム製ライナーの
製造方法。 (2) 前記塑性ひずみは、常温かそれ以上の温度で5
0%以上の板厚減少率にてしごき加工することで付与す
る(1)記載の高圧ガス容器のアルミニウム製ライナー
の製造方法。 (3) 前記塑性ひずみは、125°C以上の温度でし
ごき加工することで付与する(1)記載の高圧ガス容器
のアルミニウム製ライナーの製造方法。 (4) アルミニウム素材に溶体化処理を施した後塑性
ひずみを付与し製造したアルミニウム製ライナーに、後
工程の樹脂硬化時の供給熱量を制御し加えることにより
アルミニウム材料中に析出効果を生じさせる、高圧ガス
容器のアルミニウム製ライナーの製造方法。
【0005】上記(1)の高圧ガス容器のアルミニウム
製ライナーの製造方法では、溶体化処理後、塑性ひずみ
を付与することにより、従来の溶体化処理後時効処理で
得られた耐力に比べて耐力を向上させることができ、溶
体化処理後の時効が不要となる。時効廃止により、作業
時間、作業量が減少され、工程減、製造方法が単純化さ
れる。また、製造方法の単純化により塑性ひずみ付与工
程で余分の厚みをつけることなく最終形状に仕上げるこ
とができること、および塑性ひずみ付与工程で従来の時
効による耐力向上以上に耐力を出すことができること、
により、板厚の最適化、低減をはかることができ、重量
低減、コストダウンをはかることができる。また、溶体
化処理により生じる容器の変形が、塑性ひずみ付与によ
り矯正されることにより容器の最終形状まで残らず、高
精度に加工できる。上記(2)、(3)の方法により、
塑性ひずみ付与工程で約320MPa以上の耐力を達成
できる。上記(4)の高圧ガス容器のアルミニウム製ラ
イナーの製造方法は、上記(1)の方法による製造後
に、後工程の樹脂硬化時の供給熱量を制御し加えること
によりアルミニウム材料中に析出効果を生じさせる方法
であり、この析出効果により、塑性ひずみ付与で得られ
た耐力(上記(1)の方法で得られた耐力)に比べて、
耐力をさらに向上させることができる。
【0006】
【発明の実施の形態】図1は本発明の第1実施例の高圧
ガス容器のアルミニウム製ライナーの製造方法を工程順
に示しており、図2は本発明の第2実施例の高圧ガス容
器のアルミニウム製ライナーの製造方法を工程順に示し
ており、図3は本発明の第3実施例の高圧ガス容器のア
ルミニウム製ライナーの製造方法を工程順に示してお
り、図4は、本発明の第1〜第3実施例の方法における
板厚減少率、加工温度と耐力との関係を示しており、図
5は本発明の第4実施例の高圧ガス容器のアルミニウム
製ライナーの製造方法を工程順に示しており、図6、図
7は本発明の第4実施例によりアルミニウム材料の耐力
がさらに向上されることをグラフで示している。図中、
本発明の何れの実施例にも共通または類似する部分に
は、本発明のすべての実施例にわたって同じ符合を付し
てある。
【0007】まず、本発明の何れの実施例にも共通また
は類似する部分を、たとえば、図1、図4、図5を参照
して、説明する。高圧ガス容器のアルミニウム製ライナ
ー11は、たとえば自動車用天然ガスボンベのアルミニ
ウム製ライナーである。アルミニウム製ライナー11の
形状は、たとえば円筒部12とその両端部の半球状部1
3とからなる継目無しライナーである。高圧ガス容器の
アルミニウム製ライナーは、作製後、円筒部または全外
周にFRP用強化繊維15を巻かれ、該繊維に樹脂(熱
硬化性樹脂)を含浸させ、加熱し硬化させて高圧ガス容
器とされる。
【0008】本発明実施例の高圧ガス容器のアルミニウ
ム製ライナー11の製造方法は、アルミニウム素材10
に溶体化処理を施す工程101と、しかる後塑性ひずみ
を付与する工程102と、その後端口部14を成形(口
閉じ成形)してライナー形状にする工程103と、を有
する。本発明実施例の高圧ガス容器のアルミニウム製ラ
イナー11の製造方法は、溶体化処理を施した後塑性ひ
ずみを付与して製造したアルミニウム製ライナー11
に、FRP用強化繊維(フィラメント)15を巻き(ワ
インディング)する工程104と、該繊維15に樹脂
(熱硬化性樹脂、たとえば、エポキシ樹脂)16を含浸
させ加熱・硬化させる樹脂硬化時の供給熱量をアルミニ
ウム製ライナー11に制御し加えてアルミニウム材料中
に析出効果を生じさせアルミニウム材料強度を向上させ
る工程105を、有していてもよい。
【0009】本発明実施例の高圧ガス容器のアルミニウ
ム製ライナーの製造方法は、溶体化工程101の前にア
ルミニウム素材10の提供工程100を有する。アルミ
ニウム素材10は、パイプ状、または一端が閉じられた
パイプ状の形態で溶体化処理工程101に供給される。
アルミニウム製ライナー11のアルミニウム材料は、望
ましくはJIS6000系のような析出硬化型の材料組
成(Al−Mg−Si合金)であり、たとえばA606
1である。また、アルミニウム素材10は、継目なし素
材でり、たとえばシームレスパイプである。溶体化処理
は、たとえば、アルミニウム素材10を520℃〜53
0℃×2Hr加熱しついで急冷することにより行う。溶
体化処理後のアルミニウム材料の耐力は約145MPa
である。
【0010】塑性ひずみの付与は、たとえば、素材の一
部分(図示例では円筒部12)または全部の、素材板厚
まで変化させる、しごき加工(素材の板厚の変化を伴う
塑性加工)である。塑性ひずみの付与工程において、塑
性ひずみの付与条件によっては、320MPa以上の
0.2%耐力が得られる。320MPaは、従来の溶体
化処理後時効処理による280MPaの耐力に比べて、
14%アップである。強度(耐力)向上に適する塑性ひ
ずみの付与条件を求めるために、加工温度、ひずみ量を
種々に変えて、耐力(0.2%耐力)を求める試験を行
った。加工温度は、常温(冷間加工)、100〜125
°C、125〜150°C、150〜175°Cに変化
させた。また、板厚減少率は15%、35%、55%、
75%に変化させた。結果を図4に示す。
【0011】図4からわかるように、温間での加工の方
が冷間加工に比べて大きな耐力の向上が見られ、しかも
小さな塑性ひずみでも耐力の向上が見られる。また、塑
性ひずみを板厚減少率にして50%以上にすると、冷間
でも大きな耐力向上が見られる。耐力向上が得られる理
由は、加工硬化による他、加工時の素材中の熱発生によ
り時効に近い現象が生じているからであると考えられ
る。
【0012】図4からわかるように、320MPa以上
の0.2%耐力を得るために、塑性ひずみ付与は、常温
かそれ以上の温度で50%以上の板厚減少率で塑性ひず
みを付与するか、あるいは125°C以上の温度で塑性
ひずみを付与することにより行われることが望ましい。
ここで、板厚減少率は、((減少前の板厚−減少後の板
厚)/減少前の板厚)×100%として定義される。ま
た、通常の、溶体化処理(たとえば、500℃×2H
r)後に時効処理(たとえば、180℃×6Hr)を行
った場合に得られる耐力は約280MPa(処理条件に
より若干異なる)であり、図4にそれを合わせ示してあ
る。
【0013】端口部14を成形(口閉じ成形)工程10
4は、しごき加工後に行われ、たとえば、スピニング加
工による。しごき加工後には、時効処理は施されない。
したがって、容器の製造工程から、従来必要であった時
効処理工程が除去されている。
【0014】溶体化処理を施した後塑性ひずみを付与し
て製造したアルミニウム製ライナー11に、工程104
でFRP用強化繊維(フィラメントで、たとえばカーボ
ン、ガラス、アラミド等の繊維)15を巻き、工程10
5で繊維15に熱硬化性樹脂16(たとえば、エポキシ
樹脂)を含浸、加熱・硬化させる場合は、樹脂硬化時の
供給熱量を制御し加え、樹脂硬化のための熱を利用し
て、アルミニウム材料中に析出効果を生じさせることに
より、たとえばMg、Si、Zn等の化合物(たとえ
ば、Mg2 Si、またはそれへの中間化合物)を析出さ
せることにより、材料強度を高める。樹脂硬化時の加熱
を利用してアルミニウム材料に熱量を供給する場合の、
アルミニウム材料に供給される熱量(温度×時間)とア
ルミニウム材料強度(0.2%耐力)との関係は図6に
示す通りである。温度が180℃の場合は時間は約2〜
4時間とし(それ以上だと、過時効により材料耐力が低
下する場合がある)、温度が150℃の場合は時間は約
4時間以上、たとえば6時間とする。温度が120℃よ
り低いと熱量供給時間が長くなり過ぎて生産に適しなく
なる。したがって、樹脂硬化時の供給熱量を制御し加え
る場合、温度は120℃〜200℃とし、望ましくは温
度を150℃〜180℃とし、時間は2〜8Hrとし、
温度が高いほど熱量供給時間を少なくする。
【0015】つぎに、本発明の何れの実施例にも共通ま
たは類似する上記部分の作用を説明する。上記の高圧ガ
ス容器のアルミニウム製ライナー11の製造方法では、
アルミニウム素材10を溶体化処理後、塑性ひずみを付
与することにより、塑性ひずみの付与の仕方によって
は、従来の溶体化処理後時効処理で得られた耐力(28
0MPa)に比べて耐力を320MPa以上に向上させ
ることができ、溶体化処理後の時効を廃止できる。塑性
ひずみ付与後に時効処理を施すと逆に耐力が従来の時効
処理で得られる耐力並みに低下してしまうことがある。
時効廃止により、作業時間、作業量が減少され、工程
減、製造方法が単純化される。また、製造方法の単純化
により塑性ひずみ付与工程で余分の厚みをつけることな
く最終形状に仕上げることができること、および塑性ひ
ずみ付与工程で従来の時効による耐力向上以上に耐力を
出すことができること、により、板厚の最適化、低減を
はかることができ、重量低減、コストダウンをはかるこ
とができる。
【0016】市販タンクを購入して自動車用天然ガスボ
ンベを製造した場合と、本発明実施例方法により自動車
用天然ガスボンベを製造した場合の物理的特性を比較す
ると、表1に示すようになる。
【0017】
【表1】
【0018】表1からわかるように、溶体化処理後塑性
ひずみを付与することにより、材料強度が向上できるこ
と、製品形状での熱処理が不要となるため製品の精度が
良好となりしごき工程で最終板厚に成形することが許さ
れること(余分の板厚とする必要がない)により、発生
応力が最も大きくなる容器胴部が8.4mmから3.0
mmに減少でき、−61%もの重量軽減、材料コスト低
減をはかることができる。また、長時間が必要である時
効処理が不要となるため、製作時間が短縮でき、かつコ
スト低減をはかることができる。
【0019】また、溶体化処理を施した後塑性ひずみを
付与して製造したアルミニウム製ライナー11に、樹脂
硬化時の供給熱量を制御し加え、析出効果を生じさせて
材料強度を高める場合は、図6、図7に示すように、
0.2%耐力が350MPa以上に向上させることが可
能であり、本発明の第1〜第3実施例の320MPa以
上の0.2%耐力に比べて、さらに耐力が向上された。
これを、従来の溶体化処理後時効処理を施した0.2%
耐力の280MPaと比較すると、溶体化処理後しごき
加工の320MPaで14%以上の耐力アップが得ら
れ、溶体化処理後しごき加工およびその後の樹脂硬化時
の加熱利用による析出硬化による350MPaで25%
の耐力アップが得られた。
【0020】つぎに、本発明の各実施例に特有な部分を
説明する。本発明の第1実施例は、パイプ材を用いた高
強度容器製造方法である。本発明の第1実施例において
は、図1に示すように、素材供給工程100が、アルミ
ニウムシームレスパイプのアルミニウム素材10を供給
する工程からなり、この状態で工程101で溶体化処理
を施し、工程102でしごき加工を施し、成形工程10
3で一端にスピニング加工により口閉じ加工を施し、つ
いで他端にスピニング加工により口閉じ加工を施す。本
発明の第1実施例では、パイプ材を利用するので、素材
の入手が容易であり、かつ容易に継目なし素材を提供で
きる。
【0021】本発明の第2実施例は、板材を用いた高強
度容器製造方法である。本発明の第2実施例において
は、図2に示すように、素材供給工程100が、アルミ
ニウム板材をスピニング加工またはプレス加工により継
目なしのおわん型に絞り成形してアルミニウム素材10
を供給する工程からなり、この状態で工程101で溶体
化処理を施し、工程102でしごき加工を施し、成形工
程103で開放端にスピニング加工により口閉じ加工を
施す。本発明の第2実施例では、板材を利用するので、
素材が安価で入手が容易であり、かつ成形を施して容易
に継目なし素材を提供できる。
【0022】本発明の第3実施例は、棒材を用いた高強
度容器製造方法である。本発明の第3実施例において
は、図3に示すように、素材供給工程100が、アルミ
ニウム棒材を後方押出成形(型内に棒材を入れ、棒材に
ポンチを押し入れることによりパンチと型との隙間に後
方に素材を押し出しておわん側に成形すること)により
継目なしのおわん型に成形してアルミニウム素材10を
供給する工程からなり、この状態で工程101で溶体化
処理を施し、工程102でしごき加工を施し、成形工程
103で開放端にスピニング加工により口閉じ加工を施
す。本発明の第3実施例では、棒材を利用するので、素
材が安価で入手が容易であり、かつ成形を施して容易に
継目なし素材を提供できる。
【0023】本発明の第4実施例は、本発明の第1〜第
3実施例で製造したアルミニウム製ライナー11に、図
5に示すように工程104でフィラメントを巻き、工程
105で樹脂を含浸させ加熱・硬化させるとともに樹脂
硬化の加熱時の熱を利用して、アルミニウム材料を加熱
しアルミニウム材料中にMg、Si、Zn等の化合物を
析出させることにより材料強度を高める、高強度容器製
造方法である。工程105でのアルミニウム加熱の熱量
は、たとえば、180℃×2〜4Hr、または150℃
×6〜8Hrである。これによって、図6、図7に示す
ように、析出硬化により350MPa程度の材料耐力が
得られ、従来の溶体化処理後時効処理の場合の280M
Paに比べて25%の耐力向上が可能となった。
【0024】
【発明の効果】請求項1の高圧ガス容器のアルミニウム
製ライナーの製造方法によれば、溶体化処理後、塑性ひ
ずみを付与することにより、従来の時効処理で得られた
耐力に比べて耐力を向上させることができ、溶体化処理
後の時効が不要となる。時効廃止により、作業時間、作
業量が減少され、工程減、製造方法が単純化される。ま
た、製造方法の単純化により塑性ひずみ付与工程で余分
の厚みをつけることなく最終形状に仕上げることができ
ること、および塑性ひずみ付与工程で従来の時効による
耐力向上以上に耐力を出すことができること、により、
板厚の最適化、低減をはかることができ、重量低減、コ
ストダウンをはかることができる。また、溶体化処理に
より生じる容器の変形が、塑性ひずみ付与により矯正さ
れることにより容器の最終形状まで残らず、高精度に加
工できる。請求項2の高圧ガス容器のアルミニウム製ラ
イナーの製造方法によれば、塑性ひずみを、常温かそれ
以上の温度で50%以上の板厚減少をしごき加工で付与
するので、塑性ひずみ付与工程で約320MPa以上の
耐力を得ることができる。請求項3の高圧ガス容器のア
ルミニウム製ライナーの製造方法によれば、塑性ひずみ
を、125°C以上の温度でしごき加工することで付与
するので、塑性ひずみ付与工程で約320MPa以上の
耐力を得ることができる。請求項4の高圧ガス容器のア
ルミニウム製ライナーの製造方法によれば、後工程の樹
脂硬化時の供給熱量を制御し加えるので、アルミニウム
材料中に析出効果を生じさせ、この析出効果により、塑
性ひずみ付与で得られた耐力(請求項1の方法で得られ
た耐力)に比べて、アルミニウム材料の耐力をさらに向
上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の高圧ガス容器のアルミニ
ウム製ライナーの製造方法の工程図である。
【図2】本発明の第2実施例の高圧ガス容器のアルミニ
ウム製ライナーの製造方法の工程図である。
【図3】本発明の第3実施例の高圧ガス容器のアルミニ
ウム製ライナーの製造方法の工程図である。
【図4】加工温度、ひずみ量(板厚減少率)と0.2%
耐力との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の第4実施例の高圧ガス容器のアルミニ
ウム製ライナーの製造方法の工程図である。
【図6】本発明の第4実施例の高圧ガス容器のアルミニ
ウム製ライナーの製造方法におけるアルミニウム材料の
0.2%耐力とそれぞれの温度の保持時間との関係を示
す試験結果のグラフである。
【図7】本発明の第4実施例の高圧ガス容器のアルミニ
ウム製ライナーの製造方法で得られる材料耐力を、ひず
み付与で得られる材料耐力および溶体化処理で得られる
材料耐力と比較して示すグラフである。
【図8】従来の高圧ガス容器のアルミニウム製ライナー
の製造方法の工程図である。
【符号の説明】
10 アルミニウム素材 11 アルミニウム製ライナー 12 円筒部 13 半球状部 14 端口部 15 強化繊維(フィラメント) 16 樹脂 100 アルミニウム素材の提供工程 101 溶体化工程 102 塑性ひずみ付与工程 103 容器成形工程 104 フィラメントワインディング工程 105 樹脂加熱・硬化工程(アルミニウム材料の析出
硬化がある工程)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム素材に溶体化処理を施し、
    しかる後塑性ひずみを付与し、その後端口部を成形して
    ライナー形状にする高圧ガス容器のアルミニウム製ライ
    ナーの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記塑性ひずみは、常温かそれ以上の温
    度で50%以上の板厚減少率にてしごき加工することで
    付与する請求項1記載の高圧ガス容器のアルミニウム製
    ライナーの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記塑性ひずみは、125°C以上の温
    度でしごき加工することで付与する請求項1記載の高圧
    ガス容器のアルミニウム製ライナーの製造方法。
  4. 【請求項4】 アルミニウム素材に溶体化処理を施した
    後塑性ひずみを付与し製造したアルミニウム製ライナー
    に、後工程の樹脂硬化時の供給熱量を制御し加えること
    によりアルミニウム材料中に析出効果を生じさせる、高
    圧ガス容器のアルミニウム製ライナーの製造方法。
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