JP2000230830A - エネルギー閉込め振動子およびその製造方法およびそれを用いた振動ジャイロ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エネルギー閉込め効果を高め、加工性が安易
な振動ジャイロ用のエネルギー閉込め振動子を提供す
る。 【解決手段】 圧電板１に駆動電極３、検出電極４，５
を設け、その裏面にリング状の砥石６を用いて、凹溝２
を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、携帯用ビデオ等に
用いられる圧電振動ジャイロに関し、特にエネルギー閉
込め振動子の構造とその製造方法とそれを用いた振動ジ
ャイロに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、エネルギー閉込め振動子は、ＦＭ
波用のセラミックフィルタ等に使用されていた。圧電振
動ジャイロ用にエネルギー閉込め振動子を使用するため
には、圧電板の支持が容易であり、かつ、耐振動特性お
よび耐衝撃性に優れたものでなくてはならない。

【０００３】エネルギー閉込め振動子の場合、圧電板の
外周には振動が生じないため、支持が容易であるが、振
動ジャイロに用いる場合は、従来の用途と異なり、圧電
板の外周を支持すると、電気的特性に影響が出ていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来
のエネルギー閉込め振動子において、次のような欠点が
ある。即ち、振動ジャイロ等に用いる場合、エネルギー
閉込めの効果を高めるためには、圧電板に軸対称に形成
した駆動電極と検出電極の裏面に、同軸で、かつ、駆動
電極と検出電極を内包するリング状の溝を形成すること
が有効である。前記リング状の溝を形成するためには、
加工が容易で、かつ、精度がある加工を行わなければな
らない。そのためには、従来の凹溝の加工方法にかわる
加工方法を検討する必要がある。

【０００５】従って、本発明は、エネルギー閉込め振動
子において、振動ジャイロ等の用途に対応して、圧電板
に駆動電極と検出電極を形成し、その裏面にリング状の
凹溝を設けた構造にし、かつ、前記凹溝を必要に応じた
溝幅と溝の深さを、精度、加工性を有する製造方法を提
供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、振動ジ
ャイロ等に用いられるエネルギー閉込め振動子におい
て、圧電板の支持による特性の変化を減じ、耐振動特
性、耐衝撃性に優れた構造にするため、圧電板上に軸対
称に駆動電極と検出電極を設け、圧電板の裏面に前記軸
対称の軸と同軸のリング状の凹溝を具備した構造により
得られる。

【０００７】また、前記凹溝を形成する手段として、リ
ング状の砥石またはリング状に配置した砥石を、所定の
中心軸に対して回転させて凹溝を形成することにより所
定の精度と加工性が得られる。

【０００８】即ち、本発明は、圧電板に駆動および検出
電極を軸対称に形成し、前記圧電板の裏面に前記駆動電
極と検出電極の軸を中心とし、前記駆動および検出電極
を内包するリング状の凹溝を具備するエネルギー閉込め
振動子である。

【０００９】また、本発明は、上記リング状の凹溝を形
成する手段として、リング状の砥石またはリング状に配
置した砥石を、中心軸に対して回転させながら上下して
得るエネルギー閉込め振動子の製造方法である。

【００１０】また、本発明は、上記エネルギー閉込め振
動子を用いた振動ジャイロである。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら説明する。

【００１２】図１（ａ）は、本発明のエネルギー閉込め
振動子の斜視図である。圧電板１に、駆動電極３と検出
電極４，５が形成されている。圧電板１に使用する材料
は、ジルコン酸チタン酸鉛系磁器を用いた。

【００１３】駆動電極３と検出電極４，５は、Ａｇペー
ストをスクリーン印刷法またはＡｇ，Ｎｉ等のスパッタ
または蒸着法により形成できる。その後、分極処理を施
して、エネルギー閉込め振動子を作る。

【００１４】図１（ｂ）は、図１（ａ）の裏面の斜視図
である。駆動電極３と検出電極４，５の中心軸と同軸に
て、凹溝２が形成されている。

【００１５】凹溝２の加工方法は、図 １（ｂ）に示す
ように、所定のリング状の砥石６を使用して砥石６を回
転させながら矢印７方向に上下し、凹溝２を加工した。
なお、圧電板１は、ジルコン酸チタン酸鉛であり、加工
が困難なため、砥石６の研磨部にダイヤモンド等の研磨
剤を使用し、砥粒の大きさと回転数を選定することによ
り、加工精度と加工時間の最適化をはかった。

【００１６】以下に、具体例を述べる。２５ｍｍ角で、
厚さ２ｍｍの圧電板を用いて、エネルギー閉込め用振動
子を試作した。図２に、凹溝を設けた本発明のエネルギ
ー閉込め用振動子の周波数−インピーダンス特性を示
す。また、比較のため、図３に、凹溝のない平板の周波
数−インピーダンス特性を示す。

【００１７】図２及び図３の特性から、凹部を設けた方
が共振時のインピーダンスが小さく、Ｑｍも凹溝なしで
はＱｍ＝６５０に対して、凹溝ありではＱｍ＝７９０
と、特性が向上していることがわかる。

【００１８】

【発明の効果】以上、説明したごとく、本発明によれ
ば、振動ジャイロ用エネルギー閉込め振動子において、
圧電板に軸対称に形成された駆動電極と検出電極の裏面
に、駆動電極と検出電極を内包するリング状の凹溝を形
成することにより、インピーダンス特性が向上し、圧電
振動ジャイロに使用できるエネルギー閉込め振動子が得
られた。

【００１９】また、所定のリング状の砥石を回転して凹
溝加工する方法において、砥石の大きさと回転数を選定
することにより、所定の加工精度、加工時間が得られ
た。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の振動ジャイロ用エネルギー閉込め振動
子の斜視図。図１（ａ）は、本発明の振動ジャイロ用エ
ネルギー閉込め振動子の斜視図（電極面）。図１（ｂ）
は、図１（ａ）の裏面の斜視図（凹溝面）。

【図２】凹溝なしのエネルギー閉込め振動子の周波数−
インピーダンス特性を示す図。

【図３】本発明のエネルギー閉込め振動子（凹溝あり）
の周波数−インピーダンス特性を示す図。

【符号の説明】

１ 圧電板 ２ 凹溝 ３ 駆動電極 ４，５ 検出電極 ６ 砥石 ７ 矢印

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 圧電板に駆動および検出電極を軸対称に
   形成し、前記圧電板の裏面に前記駆動電極と検出電極の
   軸を中心とし、前記駆動および検出電極を内包するリン
   グ状の凹溝を具備することを特徴とするエネルギー閉込
   め振動子。
2. 【請求項２】 請求項１記載のリング状の凹溝を形成す
   る手段として、リング状の砥石またはリング状に配置し
   た砥石を、中心軸に対して回転させながら上下して得る
   ことを特徴とするエネルギー閉込め振動子の製造方法。
3. 【請求項３】 請求項１記載のエネルギー閉込め振動子
   を用いたことを特徴とする振動ジャイロ。