JP2000228850A - 希土類樹脂磁石埋設型回転子の製造方法 - Google Patents
希土類樹脂磁石埋設型回転子の製造方法Info
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- JP2000228850A JP2000228850A JP11028239A JP2823999A JP2000228850A JP 2000228850 A JP2000228850 A JP 2000228850A JP 11028239 A JP11028239 A JP 11028239A JP 2823999 A JP2823999 A JP 2823999A JP 2000228850 A JP2000228850 A JP 2000228850A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 ホウ素−ネオジミウム−鉄系磁石粉体を熱可
塑性樹脂と混合して保磁力6〜10kOeの樹脂磁石とする。
この範囲の保磁力にすることで、着磁の容易性と減磁耐
力を兼ね備えた樹脂磁石埋設回転子を得る。この樹脂磁
石を回転子鉄心磁石スロット内に充填、冷却固化するこ
とにより、粉体間に空隙なく強固に固定すると同時に冷
却固化過程での収縮力を磁石と回転子鉄心との間に作用
させ、両者を機械的に強固に一体化する。すなわち、接
着レスで、錆やダスト対策のための表面被覆処理工程な
どを不要とする高信頼性、高効率モータのための希土類
樹脂磁石埋設型回転子の製造方法を提供する。 【解決手段】 ホウ素−ネオジミウム−鉄系磁石粉体を
含む6〜10kOeの範囲の保磁力を有する樹脂磁石の溶融ス
トランドを、積層電磁鋼板の回転子鉄心磁石スロット内
に均質に射出または押出充填し、冷却固化、着磁する。
塑性樹脂と混合して保磁力6〜10kOeの樹脂磁石とする。
この範囲の保磁力にすることで、着磁の容易性と減磁耐
力を兼ね備えた樹脂磁石埋設回転子を得る。この樹脂磁
石を回転子鉄心磁石スロット内に充填、冷却固化するこ
とにより、粉体間に空隙なく強固に固定すると同時に冷
却固化過程での収縮力を磁石と回転子鉄心との間に作用
させ、両者を機械的に強固に一体化する。すなわち、接
着レスで、錆やダスト対策のための表面被覆処理工程な
どを不要とする高信頼性、高効率モータのための希土類
樹脂磁石埋設型回転子の製造方法を提供する。 【解決手段】 ホウ素−ネオジミウム−鉄系磁石粉体を
含む6〜10kOeの範囲の保磁力を有する樹脂磁石の溶融ス
トランドを、積層電磁鋼板の回転子鉄心磁石スロット内
に均質に射出または押出充填し、冷却固化、着磁する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、同期モータや交流
サーボモータなどの高効率化のための希土類樹脂磁石埋
設型回転子の製造方法に関する。
サーボモータなどの高効率化のための希土類樹脂磁石埋
設型回転子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、省資源、省エネルギーの観点から
高信頼性、ならびに高効率モータとして、積層電磁鋼板
のような回転子鉄心の複数磁石スロットに磁石を埋設
し、磁石トルクに加えてリラクタンストルクを利用す
る、いわゆる磁石埋設型回転子を搭載したモータが注目
されている。
高信頼性、ならびに高効率モータとして、積層電磁鋼板
のような回転子鉄心の複数磁石スロットに磁石を埋設
し、磁石トルクに加えてリラクタンストルクを利用す
る、いわゆる磁石埋設型回転子を搭載したモータが注目
されている。
【0003】図1(a),(b)は、回転子鉄心に磁石
を埋設した構成の、いわゆる磁石埋設型回転子の断面図
である。ここで、図1(a)はUSP4,139,790号公報に開
示された突極比ρ>1の逆突極性の磁石埋設型回転子、
図1(b)はUSP3,979,821号公報に開示された突極比ρ
<1の突極性の磁石埋設型磁石回転子である。
を埋設した構成の、いわゆる磁石埋設型回転子の断面図
である。ここで、図1(a)はUSP4,139,790号公報に開
示された突極比ρ>1の逆突極性の磁石埋設型回転子、
図1(b)はUSP3,979,821号公報に開示された突極比ρ
<1の突極性の磁石埋設型磁石回転子である。
【0004】ただし、図中、1,1bはスロットに埋設
した磁石、2,2bは積層電磁鋼板などの回転子鉄心、
3,3bは回転軸スロット、4,4bは磁気バリアスロ
ット、5はアルミニウム2次導体スロットである。ま
た、ここで言う突極比ρとは、q軸方向(d軸に対し電
気角で90度回転した方向)のインダクタンスLqと、d軸
方向(磁極の中心とロータの中心とを結ぶ方向)のイン
ダクタンスLdとの比Lq/Ldである。LqとLdに差があるこ
とは、永久磁石による磁石トルクとともにリラクタンス
トルクも発生することを意味する。ここで、磁石トルク
は、鎖交磁束ψに電気的に直角方向の電流Iqを掛け合わ
せることで発生する。
した磁石、2,2bは積層電磁鋼板などの回転子鉄心、
3,3bは回転軸スロット、4,4bは磁気バリアスロ
ット、5はアルミニウム2次導体スロットである。ま
た、ここで言う突極比ρとは、q軸方向(d軸に対し電
気角で90度回転した方向)のインダクタンスLqと、d軸
方向(磁極の中心とロータの中心とを結ぶ方向)のイン
ダクタンスLdとの比Lq/Ldである。LqとLdに差があるこ
とは、永久磁石による磁石トルクとともにリラクタンス
トルクも発生することを意味する。ここで、磁石トルク
は、鎖交磁束ψに電気的に直角方向の電流Iqを掛け合わ
せることで発生する。
【0005】また、リラクタンストルクはインダクタン
スと電流によって発生する磁束Ld・Id、Lq・Iqに各々電気
的に直角な電流Iq、Idを掛け合わせることで発生する。
すなわち、磁石トルクとリラクタンストルクの和である
モータの発生トルクは下記(1)式で示される。
スと電流によって発生する磁束Ld・Id、Lq・Iqに各々電気
的に直角な電流Iq、Idを掛け合わせることで発生する。
すなわち、磁石トルクとリラクタンストルクの和である
モータの発生トルクは下記(1)式で示される。
【0006】 T=ψ・Iq+(Lq-Ld)Iq×Id=ψ・Icosβ±(I/ |I|)0.5(Lq-Ld)I2×sin2β … (1) ただし、(1)式中、ψ・Icosβは磁石トルク、(I/ |I|)0.
5(Lq-Ld)I2t×sin2βはリラクタンストルク、ψは鎖交
磁束、Iは合成電流、βは電流位相、(I/ |I|)は符号、L
dはd軸インダクタンス、Lqはq軸インダクタンス、Iq
はq軸電流、Idはd軸電流である。
5(Lq-Ld)I2t×sin2βはリラクタンストルク、ψは鎖交
磁束、Iは合成電流、βは電流位相、(I/ |I|)は符号、L
dはd軸インダクタンス、Lqはq軸インダクタンス、Iq
はq軸電流、Idはd軸電流である。
【0007】磁石トルクψ・Icosβは電流と磁石によっ
て発生するトルク、リラクタンストルク(I/ |I|)0.5(Lq
-Ld)I2t×sin2βは電機子電流によって生成される磁束
と電機子電流との相互作用によって得られるトルクであ
る。そして、図1(a)に示す突極比ρ>1の逆突極性
ではLd<Lqであり、磁石トルクと同一方向のリラクタン
ストルクが発生する。このリラクタンストルクを利用す
る方が小型、高効率モータとして有利である。
て発生するトルク、リラクタンストルク(I/ |I|)0.5(Lq
-Ld)I2t×sin2βは電機子電流によって生成される磁束
と電機子電流との相互作用によって得られるトルクであ
る。そして、図1(a)に示す突極比ρ>1の逆突極性
ではLd<Lqであり、磁石トルクと同一方向のリラクタン
ストルクが発生する。このリラクタンストルクを利用す
る方が小型、高効率モータとして有利である。
【0008】上記、図1(b)の逆突極性磁石埋設型回
転子の製造方法として、例えば特開昭63-98108号公報に
は回転子鉄心としての積層電磁鋼板に設けたスキュー構
造の複数磁石スロットに方形棒状磁石を空隙なく挿入す
る方法や、2%のエポキシ結合剤を含むUSP4,496,396公
報に開示されたような、ホウ素−ネオジミウム−鉄急冷
磁石粉体を粉末形態で積層電磁鋼板の磁石スロット内に
充填して強圧縮し、さらに300℃でエポキシを重合硬化
する、いわゆるスロット内圧縮成形磁石による方法が開
示されている。
転子の製造方法として、例えば特開昭63-98108号公報に
は回転子鉄心としての積層電磁鋼板に設けたスキュー構
造の複数磁石スロットに方形棒状磁石を空隙なく挿入す
る方法や、2%のエポキシ結合剤を含むUSP4,496,396公
報に開示されたような、ホウ素−ネオジミウム−鉄急冷
磁石粉体を粉末形態で積層電磁鋼板の磁石スロット内に
充填して強圧縮し、さらに300℃でエポキシを重合硬化
する、いわゆるスロット内圧縮成形磁石による方法が開
示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図1(a)に
示す突極比ρ>1の逆突極性(Ld<Lq)で、磁石トルク
と同一方向のリラクタンストルクが発生する構造の磁石
埋設型回転子において、固定子側の逆磁界が入り込むq
軸方向の磁束は磁石に作用し易く、磁石の減磁耐力に課
題があった。
示す突極比ρ>1の逆突極性(Ld<Lq)で、磁石トルク
と同一方向のリラクタンストルクが発生する構造の磁石
埋設型回転子において、固定子側の逆磁界が入り込むq
軸方向の磁束は磁石に作用し易く、磁石の減磁耐力に課
題があった。
【0010】さらに、例えば、難着磁性として知られる
ホウ素−ネオジミウム−鉄系磁石のような方形棒状磁石
を回転子鉄心に設けた磁石スロットに挿入する場合、予
め着磁した磁石を挿入するのが一般的である。その際、
磁石の一部が機械的に欠損し、破片やダストが発生する
と、当該モータの固定子との空隙部分や軸受部分などモ
ータの摺動部に飛散して重大な事故を引起こす危険性が
ある。
ホウ素−ネオジミウム−鉄系磁石のような方形棒状磁石
を回転子鉄心に設けた磁石スロットに挿入する場合、予
め着磁した磁石を挿入するのが一般的である。その際、
磁石の一部が機械的に欠損し、破片やダストが発生する
と、当該モータの固定子との空隙部分や軸受部分などモ
ータの摺動部に飛散して重大な事故を引起こす危険性が
ある。
【0011】一方、回転子鉄心としての積層電磁鋼板に
設けた複数磁石スロット内に2%のエポキシ結合剤を含
むホウ素−ネオジミウム−鉄急冷磁石粉体を粉末形態で
充填し、強圧縮し、さらにエポキシ結合剤を重合硬化す
る、いわゆるスロット内圧縮成形磁石で製造する方法
は、ホウ素−ネオジミウム−鉄急冷磁石粉体を強圧縮す
る際に積層電磁鋼板が変形したり、積層電磁鋼板との間
に生じる摩擦による圧力損失により、圧縮圧力がスロッ
ト奥深くまで伝達せず、低い圧粉体密度と低い残留磁化
Jrの磁石しか得られない。
設けた複数磁石スロット内に2%のエポキシ結合剤を含
むホウ素−ネオジミウム−鉄急冷磁石粉体を粉末形態で
充填し、強圧縮し、さらにエポキシ結合剤を重合硬化す
る、いわゆるスロット内圧縮成形磁石で製造する方法
は、ホウ素−ネオジミウム−鉄急冷磁石粉体を強圧縮す
る際に積層電磁鋼板が変形したり、積層電磁鋼板との間
に生じる摩擦による圧力損失により、圧縮圧力がスロッ
ト奥深くまで伝達せず、低い圧粉体密度と低い残留磁化
Jrの磁石しか得られない。
【0012】さらに、このような状況では僅か2%のエ
ポキシ結合剤でホウ素−ネオジミウム−鉄急冷磁石粉体
を完全に結合することはできず、当該磁石の機械的強度
が低いため磁石埋設型回転子全体の機械的強度に対する
信頼性に悪影響を及ぼす。そればかりか、磁石スロット
の奥深くに存在するホウ素−ネオジミウム−鉄急冷磁石
粉体の防錆処理やダスト対策を施して錆やダストに対す
る信頼性を確保すことも困難であった。また、いずれの
場合も従来からよく用いられているフェライト系磁石に
比べて著しく難着磁性であるから、ホウ素−ネオジミウ
ム−鉄急冷磁石粉体のもつ本来の磁力を十分に活用する
こともできない。
ポキシ結合剤でホウ素−ネオジミウム−鉄急冷磁石粉体
を完全に結合することはできず、当該磁石の機械的強度
が低いため磁石埋設型回転子全体の機械的強度に対する
信頼性に悪影響を及ぼす。そればかりか、磁石スロット
の奥深くに存在するホウ素−ネオジミウム−鉄急冷磁石
粉体の防錆処理やダスト対策を施して錆やダストに対す
る信頼性を確保すことも困難であった。また、いずれの
場合も従来からよく用いられているフェライト系磁石に
比べて著しく難着磁性であるから、ホウ素−ネオジミウ
ム−鉄急冷磁石粉体のもつ本来の磁力を十分に活用する
こともできない。
【0013】
【課題を解決するための手段】本願発明は、樹脂磁石の
保磁力が6〜10kOeとなるように調整した希土類磁石粉体
を含む当該樹脂磁石の溶融ストランドを回転子鉄心磁石
スロット内へ射出充填し、冷却固化後、着磁して当該樹
脂磁石を磁化することを特徴とする希土類樹脂磁石埋設
型回転子の製造方法であり、小さな磁界でフラウ着磁す
ることができ、熱や逆磁界などの減磁に対して、良好な
減磁耐力を有することができる。
保磁力が6〜10kOeとなるように調整した希土類磁石粉体
を含む当該樹脂磁石の溶融ストランドを回転子鉄心磁石
スロット内へ射出充填し、冷却固化後、着磁して当該樹
脂磁石を磁化することを特徴とする希土類樹脂磁石埋設
型回転子の製造方法であり、小さな磁界でフラウ着磁す
ることができ、熱や逆磁界などの減磁に対して、良好な
減磁耐力を有することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明は、上記欠点に鑑みてなさ
れたもので、図1(a)に示すような逆突極性(Ld<L
q)で、マグネットトルクと同一方向のリラクタンスト
ルクが発生する構造の磁石埋設型回転子において、積層
電磁鋼板のような回転子鉄心に設けた磁石スロット内に
保磁力6〜10kOeを有する希土類樹脂磁石の溶融ストラン
ドを射出または押出で磁場中埋設する磁石埋設型回転子
を提供する。
れたもので、図1(a)に示すような逆突極性(Ld<L
q)で、マグネットトルクと同一方向のリラクタンスト
ルクが発生する構造の磁石埋設型回転子において、積層
電磁鋼板のような回転子鉄心に設けた磁石スロット内に
保磁力6〜10kOeを有する希土類樹脂磁石の溶融ストラン
ドを射出または押出で磁場中埋設する磁石埋設型回転子
を提供する。
【0015】つまり、希土類磁石粉体を含む樹脂磁石の
溶融ストランドを回転子鉄心磁石スロット内へ射出また
は押出で充填し、冷却固化後、着磁操作により樹脂磁石
を磁化する希土類樹脂磁石埋設型回転子の製造方法であ
る。
溶融ストランドを回転子鉄心磁石スロット内へ射出また
は押出で充填し、冷却固化後、着磁操作により樹脂磁石
を磁化する希土類樹脂磁石埋設型回転子の製造方法であ
る。
【0016】ここで、希土類樹脂磁石の保磁力を6〜10k
Oeの範囲に調整したものを使用することにより、冷却固
化後の着磁性を向上させるとともに減磁耐力の大きな樹
脂磁石とすることができる。
Oeの範囲に調整したものを使用することにより、冷却固
化後の着磁性を向上させるとともに減磁耐力の大きな樹
脂磁石とすることができる。
【0017】なお、上記希土類磁石粉体はホウ素−ネオ
ジミウム−鉄系磁石粉体、すなわち溶湯合金を急冷凝固
したホウ素−ネオジミウム−鉄系急冷磁石粉体などを、
必要に応じて適宜カーボンファンクショナルシラン処理
して使用される。
ジミウム−鉄系磁石粉体、すなわち溶湯合金を急冷凝固
したホウ素−ネオジミウム−鉄系急冷磁石粉体などを、
必要に応じて適宜カーボンファンクショナルシラン処理
して使用される。
【0018】また、溶融ストランド中の希土類磁石粉体
の充填キャリヤはポリアミド12、液晶ポリマー、PPS
(ポリフェニレンサルファイド)の群から選ばれる熱可
塑性樹脂が使用され、磁石スロット内への充填時には、
これらの熱可塑性樹脂が希土類磁石粉体のキャリヤとな
り、磁石スロット内で冷却固化することで希土類磁石粉
体を強固に固定化した希土類樹脂磁石を構成する。
の充填キャリヤはポリアミド12、液晶ポリマー、PPS
(ポリフェニレンサルファイド)の群から選ばれる熱可
塑性樹脂が使用され、磁石スロット内への充填時には、
これらの熱可塑性樹脂が希土類磁石粉体のキャリヤとな
り、磁石スロット内で冷却固化することで希土類磁石粉
体を強固に固定化した希土類樹脂磁石を構成する。
【0019】なお、高信頼性で、しかも高効率のモータ
を提供するために、1)熱可塑性樹脂で希土類磁石粉体
を電気的に絶縁し、磁石の電気抵抗を≧10-1Ωcmとし、
一方の回転子鉄心を積層電磁鋼板とする。すると、磁石
埋設型回転子の回転による渦電流損失低減に効果的であ
る。2)回転子鉄心の磁石スロットの構成を、突極比ρ
>1の逆突極性構造としてマグネットトルクと同一方向
のリラクタンストルクが発生する構造の磁石埋設型回転
子とする。3)必要に応じて回転子鉄心のスラスト
(軸)方向端部に係合部を設けた積層電磁鋼板の回転子
鉄心とし、当該磁石スロット内に充填、冷却固化した希
土類樹脂磁石の収縮力で磁石と回転子鉄心を機械的に一
体化する。すると、磁石埋設型回転子全体の剛性が高ま
り高速回転での信頼性確保に効果的である。
を提供するために、1)熱可塑性樹脂で希土類磁石粉体
を電気的に絶縁し、磁石の電気抵抗を≧10-1Ωcmとし、
一方の回転子鉄心を積層電磁鋼板とする。すると、磁石
埋設型回転子の回転による渦電流損失低減に効果的であ
る。2)回転子鉄心の磁石スロットの構成を、突極比ρ
>1の逆突極性構造としてマグネットトルクと同一方向
のリラクタンストルクが発生する構造の磁石埋設型回転
子とする。3)必要に応じて回転子鉄心のスラスト
(軸)方向端部に係合部を設けた積層電磁鋼板の回転子
鉄心とし、当該磁石スロット内に充填、冷却固化した希
土類樹脂磁石の収縮力で磁石と回転子鉄心を機械的に一
体化する。すると、磁石埋設型回転子全体の剛性が高ま
り高速回転での信頼性確保に効果的である。
【0020】以上のように、本発明にかかる希土類樹脂
磁石埋設型回転子の製造方法は、ホウ素−ネオジミウム
−鉄系磁石粉体の希土類元素、遷移金属元素の資源バラ
ンスが有利である。また、ホウ素−ネオジミウム−鉄系
磁石粉体を含む樹脂磁石の溶融ストランドを、積層電磁
鋼板の回転子鉄心磁石スロット内に均質に射出充填また
は押出充填し、冷却固化する。このようにホウ素−ネオ
ジミウム−鉄系磁石粉体を熱可塑性樹脂の冷却固化によ
り、粉体間に空隙なく強固に固定するので錆とダストに
強い。また冷却固化過程での収縮力が磁石と回転子鉄心
との間に作用して機械的に強固に一体化する。したがっ
て、接着レスで、錆やダスト対策のための表面被覆処理
工程、着磁工程などを不要とする高信頼性、高効率モー
タのための希土類樹脂磁石埋設型回転子を製造すること
ができる。
磁石埋設型回転子の製造方法は、ホウ素−ネオジミウム
−鉄系磁石粉体の希土類元素、遷移金属元素の資源バラ
ンスが有利である。また、ホウ素−ネオジミウム−鉄系
磁石粉体を含む樹脂磁石の溶融ストランドを、積層電磁
鋼板の回転子鉄心磁石スロット内に均質に射出充填また
は押出充填し、冷却固化する。このようにホウ素−ネオ
ジミウム−鉄系磁石粉体を熱可塑性樹脂の冷却固化によ
り、粉体間に空隙なく強固に固定するので錆とダストに
強い。また冷却固化過程での収縮力が磁石と回転子鉄心
との間に作用して機械的に強固に一体化する。したがっ
て、接着レスで、錆やダスト対策のための表面被覆処理
工程、着磁工程などを不要とする高信頼性、高効率モー
タのための希土類樹脂磁石埋設型回転子を製造すること
ができる。
【0021】以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0022】本発明で言う希土類磁石粉体とは、1-5SmC
o、2-17SmCoなど希土類コバルト磁石粉体や、2-17-3SmF
eNなどの希土類−鉄窒化物磁石粉体も対象となるが希土
類元素、遷移金属元素などの合金組成からみた資源バラ
ンス、当該磁石粉体固有の磁気ポテンシャル、磁石埋設
型回転子製造との適合性などの観点から実質的にはホウ
素−ネオジミウム−鉄系磁石粉体が好ましい。
o、2-17SmCoなど希土類コバルト磁石粉体や、2-17-3SmF
eNなどの希土類−鉄窒化物磁石粉体も対象となるが希土
類元素、遷移金属元素などの合金組成からみた資源バラ
ンス、当該磁石粉体固有の磁気ポテンシャル、磁石埋設
型回転子製造との適合性などの観点から実質的にはホウ
素−ネオジミウム−鉄系磁石粉体が好ましい。
【0023】ここで言う、ホウ素−ネオジミウム−鉄急
冷磁石粉体とは、例えばJ.F.Herbest,“Rare Earth-Iro
n-Boron Materials ; A New Era in Permanent Magnet
s”Ann.Rev.Sci. Vol-16.(1986)に記載されているよう
にNd:Fe:Bを2:14:1に近い割合で含む溶湯合金を急冷凝
固し、適宜熱処理により結晶粒径20〜100nmのNd2Fe14B
相を結晶化させたもので一般的に残留磁化Jr=8kG,固有
保磁力HCJ≧8kOeで磁気的には等方性である。
冷磁石粉体とは、例えばJ.F.Herbest,“Rare Earth-Iro
n-Boron Materials ; A New Era in Permanent Magnet
s”Ann.Rev.Sci. Vol-16.(1986)に記載されているよう
にNd:Fe:Bを2:14:1に近い割合で含む溶湯合金を急冷凝
固し、適宜熱処理により結晶粒径20〜100nmのNd2Fe14B
相を結晶化させたもので一般的に残留磁化Jr=8kG,固有
保磁力HCJ≧8kOeで磁気的には等方性である。
【0024】さらにホウ素−ネオジミウム−鉄系合金を
ベ−スに、その溶湯合金を急冷凝固した合金組成REx-Fe
y-Bz-Siu-Tvで示されるFe3B基ホウ素−ネオジミウム−
鉄急冷磁石粉体も、本発明で言うホウ素−ネオジミウム
−鉄急冷磁石粉体に含まれる。ただし、REはNd,Prなど
の希土類元素、TはCr,Vなどを表す。そして特表平6-505
366号公報に開示されるように、ハード磁性相とソフト
磁性相の各スピンの交換結合により構成される磁石粉体
であり、例えば、合金組成Nd3.5Dy1Fe73Co3Ga1B1 8.5で
は残留磁化Jr=1.2kG、固有保磁力HCJ≧3kOeで、しかも
HCJの80%以上まで減磁界を加えてもJrの70%以上の値
までJrがリコイルする強い交換スプリング磁石特性を示
す。
ベ−スに、その溶湯合金を急冷凝固した合金組成REx-Fe
y-Bz-Siu-Tvで示されるFe3B基ホウ素−ネオジミウム−
鉄急冷磁石粉体も、本発明で言うホウ素−ネオジミウム
−鉄急冷磁石粉体に含まれる。ただし、REはNd,Prなど
の希土類元素、TはCr,Vなどを表す。そして特表平6-505
366号公報に開示されるように、ハード磁性相とソフト
磁性相の各スピンの交換結合により構成される磁石粉体
であり、例えば、合金組成Nd3.5Dy1Fe73Co3Ga1B1 8.5で
は残留磁化Jr=1.2kG、固有保磁力HCJ≧3kOeで、しかも
HCJの80%以上まで減磁界を加えてもJrの70%以上の値
までJrがリコイルする強い交換スプリング磁石特性を示
す。
【0025】なお、上記、ホウ素−ネオジミウム−鉄系
磁石粉体類を適度に混合しても減磁曲線に段が生じるこ
となく、それぞれのJr値、HCJ値の中間の任意の値を選
択することができる。したがって、希土類樹脂磁石埋設
型回転子の設計思想や実使用条件に応じて高Jr型から高
HCJ型とすることができる。
磁石粉体類を適度に混合しても減磁曲線に段が生じるこ
となく、それぞれのJr値、HCJ値の中間の任意の値を選
択することができる。したがって、希土類樹脂磁石埋設
型回転子の設計思想や実使用条件に応じて高Jr型から高
HCJ型とすることができる。
【0026】ただし、本発明の場合、樹脂磁石とした際
に、保磁力6kOe〜10kOeの範囲になる磁石粉体を用いる
ことが好ましい。
に、保磁力6kOe〜10kOeの範囲になる磁石粉体を用いる
ことが好ましい。
【0027】ホウ素−ネオジミウム−鉄系磁石粉体を熱
可塑性樹脂、例えばポリアミド−12粉体と混合し、当該
混合粉体をエクストルーダーで混練し、そのダイスヘッ
ドに吐出した樹脂磁石の溶融ストランドをホットカッタ
ーで切断したペレットを用いて積層電磁鋼板などの回転
子鉄心の磁石スロット内へ射出充填するか、あるいは直
接、溶融ストランドを回転子鉄心の磁石スロット内へ押
出充填する。そして当該希土類磁石粉体を冷却固化させ
た後、着磁操作を施して磁石埋設型回転子を製造する。
可塑性樹脂、例えばポリアミド−12粉体と混合し、当該
混合粉体をエクストルーダーで混練し、そのダイスヘッ
ドに吐出した樹脂磁石の溶融ストランドをホットカッタ
ーで切断したペレットを用いて積層電磁鋼板などの回転
子鉄心の磁石スロット内へ射出充填するか、あるいは直
接、溶融ストランドを回転子鉄心の磁石スロット内へ押
出充填する。そして当該希土類磁石粉体を冷却固化させ
た後、着磁操作を施して磁石埋設型回転子を製造する。
【0028】ホウ素−ネオジミウム−鉄系磁石粉体の固
有保磁力HCJの温度係数βは単磁区臨界寸法以上ではNd2
Fe14B結晶粒子径にもよるが-0.4〜-0.6%/℃、キュリー
温度Tcは310〜465℃程度である。
有保磁力HCJの温度係数βは単磁区臨界寸法以上ではNd2
Fe14B結晶粒子径にもよるが-0.4〜-0.6%/℃、キュリー
温度Tcは310〜465℃程度である。
【0029】本方法は、ポリアミド−12のような溶融熱
可塑性樹脂がキャリアになってホウ素−ネオジミウム−
鉄系磁石粉体を積層電磁鋼板の回転子鉄心磁石スロット
内に空隙なく充填することができる。そして熱可塑性樹
脂の冷却固化の収縮力の作用により、磁石粉体を磁石ス
ロット内で強固に固定化すると同時に、当該磁石と積層
電磁鋼板とを機械的に一体化することができる。
可塑性樹脂がキャリアになってホウ素−ネオジミウム−
鉄系磁石粉体を積層電磁鋼板の回転子鉄心磁石スロット
内に空隙なく充填することができる。そして熱可塑性樹
脂の冷却固化の収縮力の作用により、磁石粉体を磁石ス
ロット内で強固に固定化すると同時に、当該磁石と積層
電磁鋼板とを機械的に一体化することができる。
【0030】したがって、希土類磁石粉体を強圧縮する
ことで積層電磁鋼板を変形させることなく、また磁石ス
ロット内奥深くまで均質に破損なしに磁化した磁石を埋
設することができる。さらに、磁石スロット内に埋設し
た磁石は希土類磁石粉体が、ほぼ完全に冷却固化した熱
可塑性樹脂で覆われているため破損やダストが発生する
危惧もなく、耐錆性確保のための特別な表面被覆も不要
である。
ことで積層電磁鋼板を変形させることなく、また磁石ス
ロット内奥深くまで均質に破損なしに磁化した磁石を埋
設することができる。さらに、磁石スロット内に埋設し
た磁石は希土類磁石粉体が、ほぼ完全に冷却固化した熱
可塑性樹脂で覆われているため破損やダストが発生する
危惧もなく、耐錆性確保のための特別な表面被覆も不要
である。
【0031】上記、磁石を埋設する回転子鉄心の磁石ス
ロット形状は、本発明にかかる希土類樹脂磁石埋設型回
転子を、どのような駆動方式のモータとするかで異なる
が、突極比ρ>1の逆突極性(Ld<Lq)として、磁石ト
ルクと同一方向のリラクタンストルクが発生する構成と
することは小型、高効率モータを提供するうえで重要で
ある。
ロット形状は、本発明にかかる希土類樹脂磁石埋設型回
転子を、どのような駆動方式のモータとするかで異なる
が、突極比ρ>1の逆突極性(Ld<Lq)として、磁石ト
ルクと同一方向のリラクタンストルクが発生する構成と
することは小型、高効率モータを提供するうえで重要で
ある。
【0032】次に、本発明で言う回転子鉄心は打抜き加
工などで所定形状の複数磁石スロットを設けた積層電磁
鋼板が好適である。この理由は樹脂磁石の溶融ストラン
ドを磁石スロット内に充填した後の、冷却固化過程で磁
石と回転子鉄心を機械的に一体化することができること
と、渦電流損失低減のためである。また、図1(a),
(b)のように磁石を埋設する磁石スロット以外に回転
軸スロット、磁気抵抗バリアスロット、アルミニウム2
次導体スロットなどを設けた構造であっても差し支えな
い。
工などで所定形状の複数磁石スロットを設けた積層電磁
鋼板が好適である。この理由は樹脂磁石の溶融ストラン
ドを磁石スロット内に充填した後の、冷却固化過程で磁
石と回転子鉄心を機械的に一体化することができること
と、渦電流損失低減のためである。また、図1(a),
(b)のように磁石を埋設する磁石スロット以外に回転
軸スロット、磁気抵抗バリアスロット、アルミニウム2
次導体スロットなどを設けた構造であっても差し支えな
い。
【0033】次に、当該回転子鉄心の複数磁石スロット
内にホウ素−ネオジミウム−鉄系磁石粉体を含む樹脂磁
石の溶融ストランドを射出充填または押出充填により、
空隙なく均質に埋設するための好適な熱可塑性樹脂とし
てはポリアミド−12、PPS(ポリフェニレンサルファイ
ド)を挙げることができる。
内にホウ素−ネオジミウム−鉄系磁石粉体を含む樹脂磁
石の溶融ストランドを射出充填または押出充填により、
空隙なく均質に埋設するための好適な熱可塑性樹脂とし
てはポリアミド−12、PPS(ポリフェニレンサルファイ
ド)を挙げることができる。
【0034】次に、ホウ素−ネオジミウム−鉄系磁石粉
体の表面処理に使用するカーボンファンクショナルシラ
ンとは下記(3)式で示される。
体の表面処理に使用するカーボンファンクショナルシラ
ンとは下記(3)式で示される。
【0035】YRSiX3 … (3) ただし、上式中Yは加水分解基、Xは有機官能基、Rは
脂肪族残基であり、γ−グリシドキシプロピルトリエト
キシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエ
トキシシランなどが好ましく用いられる。このようなカ
ーボンファンクショナルシランでホウ素−ネオジミウム
−鉄系磁石粉体の表面処理を行う理由は、当該粉体の酸
化を抑制し、射出充填あるいは押出充填時の熱安定性を
確保しつつ、冷却固化したホウ素−ネオジミウム−鉄系
磁石粉体の固定を、より強固にするためである。実際の
表面処理では加水分解基の分解を促進させるべく水を併
用し、低級アルコール類を溶媒としてホウ素−ネオジミ
ウム−鉄系磁石粉体表面に単分子膜以上のカーボンファ
ンクショナルシランを成膜することが好ましい。
脂肪族残基であり、γ−グリシドキシプロピルトリエト
キシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエ
トキシシランなどが好ましく用いられる。このようなカ
ーボンファンクショナルシランでホウ素−ネオジミウム
−鉄系磁石粉体の表面処理を行う理由は、当該粉体の酸
化を抑制し、射出充填あるいは押出充填時の熱安定性を
確保しつつ、冷却固化したホウ素−ネオジミウム−鉄系
磁石粉体の固定を、より強固にするためである。実際の
表面処理では加水分解基の分解を促進させるべく水を併
用し、低級アルコール類を溶媒としてホウ素−ネオジミ
ウム−鉄系磁石粉体表面に単分子膜以上のカーボンファ
ンクショナルシランを成膜することが好ましい。
【0036】以上のように、本発明にかかる希土類樹脂
磁石埋設型回転子の製造方法は、ホウ素−ネオジミウム
−鉄系磁石粉体の希土類元素、遷移金属元素の資源バラ
ンスが有利である。また、ホウ素−ネオジミウム−鉄系
磁石粉体を含む樹脂磁石の溶融ストランドを、積層電磁
鋼板のような回転子鉄心磁石スロット内に均質に射出充
填または押出充填し、冷却固化後、着磁する。ホウ素−
ネオジミウム−鉄系磁石粉体を熱可塑性樹脂の冷却固化
により、粉体間に空隙なく強固に固定するので錆とダス
トに強い。あるいは冷却固化過程での収縮力が磁石と回
転子鉄心との間に作用して機械的に磁石と回転子鉄心と
が強固に一体化する。したがって、接着レスで、錆やダ
スト対策のための表面被覆処理工程などを不要とする高
信頼性、高効率モータのための希土類樹脂磁石埋設型回
転子を製造することができる。
磁石埋設型回転子の製造方法は、ホウ素−ネオジミウム
−鉄系磁石粉体の希土類元素、遷移金属元素の資源バラ
ンスが有利である。また、ホウ素−ネオジミウム−鉄系
磁石粉体を含む樹脂磁石の溶融ストランドを、積層電磁
鋼板のような回転子鉄心磁石スロット内に均質に射出充
填または押出充填し、冷却固化後、着磁する。ホウ素−
ネオジミウム−鉄系磁石粉体を熱可塑性樹脂の冷却固化
により、粉体間に空隙なく強固に固定するので錆とダス
トに強い。あるいは冷却固化過程での収縮力が磁石と回
転子鉄心との間に作用して機械的に磁石と回転子鉄心と
が強固に一体化する。したがって、接着レスで、錆やダ
スト対策のための表面被覆処理工程などを不要とする高
信頼性、高効率モータのための希土類樹脂磁石埋設型回
転子を製造することができる。
【0037】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに詳しく
説明する。ただし、本発明は実施例に限定されるもので
はない。
説明する。ただし、本発明は実施例に限定されるもので
はない。
【0038】[ペレットの製造 および 磁石の特性評
価]合金組成Nd12Fe77Co5B6および、Nd11Fe81.5Co
2B5.5、Nd10.5Fe83.5Co0.5B5.5、Nd10.5Fe83.5B6、Nd10
Fe82.5Co0.5B7を各々急冷凝固し、非晶質部分を結晶化
して、残留磁化Jr8.9〜9.6kG、固有保磁力HCJ5.6〜9.7k
Oeのホウ素−ネオジミウム−鉄急冷磁石粉体A1,A2,A3,A
4,A5を得た。また、合金組成Nd3.5Fe78B18も急冷凝固
し、非晶質部分を結晶化して残留磁化Jr10.5kG、固有保
磁力Hcj3.5kOeのホウ素−ネオジミウム−鉄急冷磁石粉
体A6を得た。さらに、上記希土類磁石粉末の合金組成の
CoやPr濃度を変えた合金で、同様の急冷磁石粉末を作成
し、残留磁化Jr7.0〜8.4kG、固有保磁力Hcj7.1〜24.0kO
eのホウ素−ネオジミウム−鉄急冷磁石粉体B1〜B6を得
た。
価]合金組成Nd12Fe77Co5B6および、Nd11Fe81.5Co
2B5.5、Nd10.5Fe83.5Co0.5B5.5、Nd10.5Fe83.5B6、Nd10
Fe82.5Co0.5B7を各々急冷凝固し、非晶質部分を結晶化
して、残留磁化Jr8.9〜9.6kG、固有保磁力HCJ5.6〜9.7k
Oeのホウ素−ネオジミウム−鉄急冷磁石粉体A1,A2,A3,A
4,A5を得た。また、合金組成Nd3.5Fe78B18も急冷凝固
し、非晶質部分を結晶化して残留磁化Jr10.5kG、固有保
磁力Hcj3.5kOeのホウ素−ネオジミウム−鉄急冷磁石粉
体A6を得た。さらに、上記希土類磁石粉末の合金組成の
CoやPr濃度を変えた合金で、同様の急冷磁石粉末を作成
し、残留磁化Jr7.0〜8.4kG、固有保磁力Hcj7.1〜24.0kO
eのホウ素−ネオジミウム−鉄急冷磁石粉体B1〜B6を得
た。
【0039】上記ホウ素−ネオジミウム−鉄系磁石粉体
を窒素雰囲気中で105μmに粗粉砕したところ、いずれも
比表面積は0.05〜0.07g/m2であった。この比表面積に基
づき単分子膜を形成する量のγ−アミノプロピルトリメ
トキシシラン(2HN-C3H6-Si[OCH3]3、比重d25℃0.94、分
子量221.3、単分子膜被覆面積332m2/g)を使用した。す
なわち、磁石粉体100gに対し、γ−アミノプロピルトリ
メトキシシラン0.0022gの -OCH3基を加水分解し、-SiOH
基とするために必要なイオン交換水0.005gをエタノール
0.243gで希釈し、混合した後、130℃に加熱した。する
と赤外分光分析(IR)で-OCH3基の吸収スペクトル(νCH28
45cm-1)が消滅し、-SiOH基(νCH3350cm-1)を確認した。
すなわち、本発明で言うカーボンファンクショナルシラ
ン処理したホウ素−ネオジミウム−鉄系磁石粉体を得
た。
を窒素雰囲気中で105μmに粗粉砕したところ、いずれも
比表面積は0.05〜0.07g/m2であった。この比表面積に基
づき単分子膜を形成する量のγ−アミノプロピルトリメ
トキシシラン(2HN-C3H6-Si[OCH3]3、比重d25℃0.94、分
子量221.3、単分子膜被覆面積332m2/g)を使用した。す
なわち、磁石粉体100gに対し、γ−アミノプロピルトリ
メトキシシラン0.0022gの -OCH3基を加水分解し、-SiOH
基とするために必要なイオン交換水0.005gをエタノール
0.243gで希釈し、混合した後、130℃に加熱した。する
と赤外分光分析(IR)で-OCH3基の吸収スペクトル(νCH28
45cm-1)が消滅し、-SiOH基(νCH3350cm-1)を確認した。
すなわち、本発明で言うカーボンファンクショナルシラ
ン処理したホウ素−ネオジミウム−鉄系磁石粉体を得
た。
【0040】次いで、各ホウ素−ネオジミウム−鉄系磁
石粉体A1〜A5と、ポリアミド−12粉体、ステアリン酸カ
ルシウム粉体、ヒドラジン系酸化防止剤を、各々92:7.
9:0.05:0.05(重量比)に計量し、ヘンシェルミキサーを
用いて均質になるまで混合した。また、磁石粉体A1とA6
とを重量比で5:5、6:4、7:3の割合で混合した磁石粉体
(各々A7,A8,A9とする)を用いて、同様にポリアミド−12
粉体、ステアリン酸カルシウム粉体、ヒドラジン系酸化
防止剤を、各々92:7.9:0.05:0.05(重量比)に計量し、ヘ
ンシェルミキサーを用いて均質になるまで混合した。さ
らに磁石粉体B1〜B6も、同様にポリアミド−12粉体、ス
テアリン酸カルシウム粉体、ヒドラジン系酸化防止剤
を、各々92:7.9:0.05:0.05(重量比)に計量し、ヘンシェ
ルミキサーを用いて均質になるまで混合した 上記合計14種類の樹脂混合磁性粉を用いて、成形圧8〜1
0ton/cm2の加圧成形により直径5mm、高さ5mmの円柱状サ
ンプルを作製し、60kOeおよび25kOeパルス着磁を行い、
VSMによる残留磁化Jrおよび、保磁力HCJを測定した結果
を(表1)に示す。なお、60kOe以上の磁界を印加した
場合は、どのサンプルもほぼ60kOeの場合と同程度の結
果となり、60kOeで十分フル着磁されていると考えられ
る。
石粉体A1〜A5と、ポリアミド−12粉体、ステアリン酸カ
ルシウム粉体、ヒドラジン系酸化防止剤を、各々92:7.
9:0.05:0.05(重量比)に計量し、ヘンシェルミキサーを
用いて均質になるまで混合した。また、磁石粉体A1とA6
とを重量比で5:5、6:4、7:3の割合で混合した磁石粉体
(各々A7,A8,A9とする)を用いて、同様にポリアミド−12
粉体、ステアリン酸カルシウム粉体、ヒドラジン系酸化
防止剤を、各々92:7.9:0.05:0.05(重量比)に計量し、ヘ
ンシェルミキサーを用いて均質になるまで混合した。さ
らに磁石粉体B1〜B6も、同様にポリアミド−12粉体、ス
テアリン酸カルシウム粉体、ヒドラジン系酸化防止剤
を、各々92:7.9:0.05:0.05(重量比)に計量し、ヘンシェ
ルミキサーを用いて均質になるまで混合した 上記合計14種類の樹脂混合磁性粉を用いて、成形圧8〜1
0ton/cm2の加圧成形により直径5mm、高さ5mmの円柱状サ
ンプルを作製し、60kOeおよび25kOeパルス着磁を行い、
VSMによる残留磁化Jrおよび、保磁力HCJを測定した結果
を(表1)に示す。なお、60kOe以上の磁界を印加した
場合は、どのサンプルもほぼ60kOeの場合と同程度の結
果となり、60kOeで十分フル着磁されていると考えられ
る。
【0041】
【表1】
【0042】この結果から60kOeパルス着磁に対する25k
Oeパルス着磁の比を算出し、60kOeパルス着磁の保磁力
との関係を図2に示した。
Oeパルス着磁の比を算出し、60kOeパルス着磁の保磁力
との関係を図2に示した。
【0043】図より、樹脂磁石の保磁力、すなわち60kO
eパルス着磁した場合の保磁力が10kOeを越えると、25kO
eパルス着磁では、十分な着磁ができないことが判る。
eパルス着磁した場合の保磁力が10kOeを越えると、25kO
eパルス着磁では、十分な着磁ができないことが判る。
【0044】すなわち、保磁力が10kOeより大きな樹脂
磁石を用いた場合、25kOeパルス着磁では十分な着磁が
できず、磁石の磁気特性を有効に使うことができない。
磁石を用いた場合、25kOeパルス着磁では十分な着磁が
できず、磁石の磁気特性を有効に使うことができない。
【0045】そのため、本発明に使用する樹脂磁石の保
磁力は10kOe以下が好ましい。
磁力は10kOe以下が好ましい。
【0046】次に、上記と同様の円柱状サンプルを60kO
eパルス着磁した後、VSMにより磁界をかけずに振動させ
て磁束密度のみ測定した。その後、120℃の恒温器中で5
h、エージングを行い、再びVSMにより磁界をかけずに振
動させて磁束密度のみ測定した。エージング前後の磁束
密度の変化から、不可逆減磁率を算出し、その不可逆減
磁率と各樹脂磁石の保磁力との関係を図3に示す。
eパルス着磁した後、VSMにより磁界をかけずに振動させ
て磁束密度のみ測定した。その後、120℃の恒温器中で5
h、エージングを行い、再びVSMにより磁界をかけずに振
動させて磁束密度のみ測定した。エージング前後の磁束
密度の変化から、不可逆減磁率を算出し、その不可逆減
磁率と各樹脂磁石の保磁力との関係を図3に示す。
【0047】この図より、樹脂磁石の保磁力が6kOe未満
では不可逆減磁率が大きくなり、減磁耐力が劣ることが
判る。そのため、本発明の樹脂磁石の保磁力は6kOe以上
あることが好ましい。
では不可逆減磁率が大きくなり、減磁耐力が劣ることが
判る。そのため、本発明の樹脂磁石の保磁力は6kOe以上
あることが好ましい。
【0048】また、エージングの温度を120℃から100
℃、あるいは80℃に変更して、他は上記と同じ条件で処
理した。その結果、どの磁性粉の場合も減磁率は、120
℃よりも100℃、100℃よりも80℃の方が小さくなるが、
保磁力に対する減磁率の変化は同じであり、6kOe以上で
はほぼ一定の小さな減磁率だが、保磁力が6kOe未満にな
ると減磁率は大きくなる傾向であった。
℃、あるいは80℃に変更して、他は上記と同じ条件で処
理した。その結果、どの磁性粉の場合も減磁率は、120
℃よりも100℃、100℃よりも80℃の方が小さくなるが、
保磁力に対する減磁率の変化は同じであり、6kOe以上で
はほぼ一定の小さな減磁率だが、保磁力が6kOe未満にな
ると減磁率は大きくなる傾向であった。
【0049】以上、着磁性および熱減磁の結果を考慮し
て、本発明の樹脂磁石の保磁力は6kOe〜10kOeの範囲が
好ましい。
て、本発明の樹脂磁石の保磁力は6kOe〜10kOeの範囲が
好ましい。
【0050】次に、上記14種類の樹脂混合磁性粉をスク
リュー径20mmの単軸エクストルーダを用いてペレット化
した。溶融温度280℃で混練し、ダイスヘッドから吐出
したホウ素−ネオジミウム−鉄系磁石粉体を含む樹脂磁
石の溶融ストランドをホットカットしてペレットを得
た。
リュー径20mmの単軸エクストルーダを用いてペレット化
した。溶融温度280℃で混練し、ダイスヘッドから吐出
したホウ素−ネオジミウム−鉄系磁石粉体を含む樹脂磁
石の溶融ストランドをホットカットしてペレットを得
た。
【0051】[希土類樹脂磁石埋設型回転子の製造]図4
のような突極比ρ>1の逆突極性(Ld<Lq)で、マグネッ
トトルクと同一方向のリラクタンストルクが発生する構
造に8極のアーク状磁石スロットb2と回転軸スロット
b3を設けた板厚0.5mm、外径80mmの打抜き電磁鋼板b
1を用意した。そして、この電磁鋼板b1を50mmに積層
して回転子鉄心とした。ただし、この磁石スロットは幅
3.5および1.8mmの円弧状で1極当たりが2層構造になっ
ている。
のような突極比ρ>1の逆突極性(Ld<Lq)で、マグネッ
トトルクと同一方向のリラクタンストルクが発生する構
造に8極のアーク状磁石スロットb2と回転軸スロット
b3を設けた板厚0.5mm、外径80mmの打抜き電磁鋼板b
1を用意した。そして、この電磁鋼板b1を50mmに積層
して回転子鉄心とした。ただし、この磁石スロットは幅
3.5および1.8mmの円弧状で1極当たりが2層構造になっ
ている。
【0052】この回転子鉄心を射出充填装置の金型キャ
ビティに装填し、油圧シリンダーで金型を型締めした。
そして、上記方法で作成したペレットを280℃に加熱し
たシリンダーからの熱伝導で可塑化し、これを射出スク
リューの後退により射出ノズルへ移送した。
ビティに装填し、油圧シリンダーで金型を型締めした。
そして、上記方法で作成したペレットを280℃に加熱し
たシリンダーからの熱伝導で可塑化し、これを射出スク
リューの後退により射出ノズルへ移送した。
【0053】次に、回転停止した射出スクリューを射出
ノズル方向へ前進させ、射出ノズルから希土類磁石のポ
リアミド−12溶融ストランドを吐出した。吐出したポリ
アミド−12溶融ストランドは金型に設けたスプルー、ラ
ンナー、ゲートを介して直接回転子鉄心の磁石スロット
に射出充填した。
ノズル方向へ前進させ、射出ノズルから希土類磁石のポ
リアミド−12溶融ストランドを吐出した。吐出したポリ
アミド−12溶融ストランドは金型に設けたスプルー、ラ
ンナー、ゲートを介して直接回転子鉄心の磁石スロット
に射出充填した。
【0054】磁石スロットへの射出充填の完了は射出ス
クリューの位置または圧力センサーで検知できる。ポリ
アミド−12可塑化ペレットは磁石スロット中でポリアミ
ド−12が冷却固化し、ホウ素−ネオジミウム−鉄系磁石
粉体は、そのまま磁石スロットに埋設された希土類磁石
となる。
クリューの位置または圧力センサーで検知できる。ポリ
アミド−12可塑化ペレットは磁石スロット中でポリアミ
ド−12が冷却固化し、ホウ素−ネオジミウム−鉄系磁石
粉体は、そのまま磁石スロットに埋設された希土類磁石
となる。
【0055】図5はホウ素−ネオジミウム−鉄系磁石粉
体A1等を含む希土類樹脂磁石を磁石スロットに埋設し
た磁石埋設型回転子と積層電磁鋼板からなる回転子鉄心
との境界部分のマクロ組織をSEM(走査型電子顕微鏡)観
察した断面図である。
体A1等を含む希土類樹脂磁石を磁石スロットに埋設し
た磁石埋設型回転子と積層電磁鋼板からなる回転子鉄心
との境界部分のマクロ組織をSEM(走査型電子顕微鏡)観
察した断面図である。
【0056】図から明らかなように希土類樹脂磁石は積
層電磁鋼板を強圧縮により変形させることなく、当該磁
石スロット奥深くまで均質に磁場中充填され、ホウ素−
ネオジミウム−鉄系磁石粉体はポリアミド−12により空
隙なく強固に固定されている。またポリアミド−12の冷
却固化に伴う収縮力は積層電磁鋼板b2からなる回転子
鉄心と希土類磁石とを機械的に強固に一体化している。
したがって、磁気回路として高いパーミアンス係数を確
保することができる。さらに、磁石スロット内に埋設し
た希土類樹脂磁石は磁石粉体が、ほぼ完全に冷却固化し
たポリアミド−12で覆われているため破損やダストが発
生する危惧もなく、耐錆性確保のための特別な表面被覆
も不要である。
層電磁鋼板を強圧縮により変形させることなく、当該磁
石スロット奥深くまで均質に磁場中充填され、ホウ素−
ネオジミウム−鉄系磁石粉体はポリアミド−12により空
隙なく強固に固定されている。またポリアミド−12の冷
却固化に伴う収縮力は積層電磁鋼板b2からなる回転子
鉄心と希土類磁石とを機械的に強固に一体化している。
したがって、磁気回路として高いパーミアンス係数を確
保することができる。さらに、磁石スロット内に埋設し
た希土類樹脂磁石は磁石粉体が、ほぼ完全に冷却固化し
たポリアミド−12で覆われているため破損やダストが発
生する危惧もなく、耐錆性確保のための特別な表面被覆
も不要である。
【0057】[希土類樹脂磁石埋設型回転子の着磁]上
記のように作製した希土類樹脂磁石埋設型回転子を外周
8極着磁ヨークにて着磁した。この着磁ヨークの巻線は
1極当たり25ターンであり、着磁条件は、2000μFで275
0V、約8kAのパルス着磁を行った。どの樹脂磁石を用い
た場合でも2750V以上の電圧で着磁しても表面フラック
ス量はそれ以上ほとんど変化しなかったため、この条件
で着磁を行った。
記のように作製した希土類樹脂磁石埋設型回転子を外周
8極着磁ヨークにて着磁した。この着磁ヨークの巻線は
1極当たり25ターンであり、着磁条件は、2000μFで275
0V、約8kAのパルス着磁を行った。どの樹脂磁石を用い
た場合でも2750V以上の電圧で着磁しても表面フラック
ス量はそれ以上ほとんど変化しなかったため、この条件
で着磁を行った。
【0058】次に、上記回転子鉄心の磁石スロットに埋
設した磁化したままの希土類樹脂磁石を径5mm高さ2mmに
切出してVSM(測定磁界±15kOe)で室温の磁気特性を測定
した。その結果、射出充填後の磁石粉体の保磁力を、
(表1)の60kOeパルス着磁した場合の各樹脂磁石の保
磁力で除した、いわゆる着磁率を(表2)に示す。
設した磁化したままの希土類樹脂磁石を径5mm高さ2mmに
切出してVSM(測定磁界±15kOe)で室温の磁気特性を測定
した。その結果、射出充填後の磁石粉体の保磁力を、
(表1)の60kOeパルス着磁した場合の各樹脂磁石の保
磁力で除した、いわゆる着磁率を(表2)に示す。
【0059】
【表2】
【0060】この結果、樹脂磁石埋設型回転子として成
形して着磁した場合、樹脂磁石の保磁力が10kOe以下で
あれば、射出成形した後の着磁操作によって、95%以上
の着磁率が得られ、ホウ素−ネオジミウム−鉄系磁石粉
体本来の磁力を十分に引き出すことができる程度まで、
着磁できることが判った。なお、上記回転子鉄心磁石ス
ロット内の希土類樹脂磁石の電気抵抗を四探針法で測定
したところ4〜7×10-1Ωcmであった。
形して着磁した場合、樹脂磁石の保磁力が10kOe以下で
あれば、射出成形した後の着磁操作によって、95%以上
の着磁率が得られ、ホウ素−ネオジミウム−鉄系磁石粉
体本来の磁力を十分に引き出すことができる程度まで、
着磁できることが判った。なお、上記回転子鉄心磁石ス
ロット内の希土類樹脂磁石の電気抵抗を四探針法で測定
したところ4〜7×10-1Ωcmであった。
【0061】[希土類樹脂磁石埋設型回転子の減磁]次
に、各磁石埋設型回転子を120℃の大気中で2hエージン
グした後の表面フラックス量を測定し、エージング後の
フラックス量減少率を算出した結果を(表3)に示す。
に、各磁石埋設型回転子を120℃の大気中で2hエージン
グした後の表面フラックス量を測定し、エージング後の
フラックス量減少率を算出した結果を(表3)に示す。
【0062】
【表3】
【0063】また、各樹脂磁石の保磁力と不可逆減磁率
の関係を図6に示す。その結果、本実施例に使用したデ
ザインの回転子の場合、使用する樹脂磁石の保磁力が7k
Oe以上の場合に、不可逆減磁率を小さく抑えることがで
きることが判る。
の関係を図6に示す。その結果、本実施例に使用したデ
ザインの回転子の場合、使用する樹脂磁石の保磁力が7k
Oe以上の場合に、不可逆減磁率を小さく抑えることがで
きることが判る。
【0064】以上の結果より、本発明のホウ素−ネオジ
ミウム−鉄系磁石粉体を用いた樹脂磁石を埋設した回転
子においても、樹脂磁石の保磁力の範囲は、着磁性およ
び減磁耐力の点から7〜10kOeであることが好ましい。
ミウム−鉄系磁石粉体を用いた樹脂磁石を埋設した回転
子においても、樹脂磁石の保磁力の範囲は、着磁性およ
び減磁耐力の点から7〜10kOeであることが好ましい。
【0065】なお、上記樹脂磁石およびそれを用いた磁
石埋設型回転子において、用いる樹脂をポリアミド−12
から、PPSに変更したサンプルも同様に作成した。
石埋設型回転子において、用いる樹脂をポリアミド−12
から、PPSに変更したサンプルも同様に作成した。
【0066】その場合、磁石粉体と、PPS粉体、ステア
リン酸カルシウム粉体、ヒドラジン系酸化防止剤の割合
は、各々91:8.9:0.05:0.05(重量比)に変更し、ペレット
化や射出充填時の温度を280℃から330℃に変更した。そ
れらのサンプルの磁気特性は、ポリアミド−12を用いた
場合よりも小さくなったが、着磁性や120℃のエージン
グによる熱減磁の傾向は、ポリアミド−12の場合と同様
であり、樹脂磁石の保磁力が6〜10kOeの範囲が最も好ま
しいことが判った。
リン酸カルシウム粉体、ヒドラジン系酸化防止剤の割合
は、各々91:8.9:0.05:0.05(重量比)に変更し、ペレット
化や射出充填時の温度を280℃から330℃に変更した。そ
れらのサンプルの磁気特性は、ポリアミド−12を用いた
場合よりも小さくなったが、着磁性や120℃のエージン
グによる熱減磁の傾向は、ポリアミド−12の場合と同様
であり、樹脂磁石の保磁力が6〜10kOeの範囲が最も好ま
しいことが判った。
【0067】本実施例では、射出充填による樹脂磁石埋
設型回転子について述べたが、勿論これに限定されるわ
けではなく、押出充填により回転子を製造しても構わな
い。その場合、射出充填よりも樹脂磁石中に占める磁性
粉の割合を若干大きくすることができるため、より高効
率のモータを得ることが可能となる。
設型回転子について述べたが、勿論これに限定されるわ
けではなく、押出充填により回転子を製造しても構わな
い。その場合、射出充填よりも樹脂磁石中に占める磁性
粉の割合を若干大きくすることができるため、より高効
率のモータを得ることが可能となる。
【0068】
【発明の効果】以上のように、本発明にかかる希土類樹
脂磁石埋設型回転子の製造方法は、ホウ素−ネオジミウ
ム−鉄系磁石粉体の希土類元素、遷移金属元素の資源バ
ランスが有利である。また、ホウ素−ネオジミウム−鉄
系磁石粉体を含む保磁力6〜10kOeの樹脂磁石の溶融スト
ランドを、積層電磁鋼板のような回転子鉄心磁石スロッ
ト内に均質に射出充填または押出充填し、冷却固化した
後、着磁する。その際、保磁力が10kOe以下であるた
め、小さな磁界でほとんどフル着磁することができ、磁
石の特性を有効に利用することができる。また、保磁力
が6kOe以上であることから、熱や逆磁界などの減磁に対
して、良好な減磁耐力を有する回転子を得ることができ
る。さらに、磁化したホウ素−ネオジミウム−鉄系磁石
粉体を熱可塑性樹脂の冷却固化により、粉体間に空隙な
く強固に固定するので錆とダストに強い。あるいは冷却
固化過程での収縮力が磁石と回転子鉄心との間に作用し
て機械的に磁石と回転子鉄心とが強固に一体化する。し
たがって、接着レスで、錆やダスト対策のための表面被
覆処理工程などを不要とする高信頼性、高効率モータの
ための希土類樹脂磁石埋設型回転子を製造することがで
きる。
脂磁石埋設型回転子の製造方法は、ホウ素−ネオジミウ
ム−鉄系磁石粉体の希土類元素、遷移金属元素の資源バ
ランスが有利である。また、ホウ素−ネオジミウム−鉄
系磁石粉体を含む保磁力6〜10kOeの樹脂磁石の溶融スト
ランドを、積層電磁鋼板のような回転子鉄心磁石スロッ
ト内に均質に射出充填または押出充填し、冷却固化した
後、着磁する。その際、保磁力が10kOe以下であるた
め、小さな磁界でほとんどフル着磁することができ、磁
石の特性を有効に利用することができる。また、保磁力
が6kOe以上であることから、熱や逆磁界などの減磁に対
して、良好な減磁耐力を有する回転子を得ることができ
る。さらに、磁化したホウ素−ネオジミウム−鉄系磁石
粉体を熱可塑性樹脂の冷却固化により、粉体間に空隙な
く強固に固定するので錆とダストに強い。あるいは冷却
固化過程での収縮力が磁石と回転子鉄心との間に作用し
て機械的に磁石と回転子鉄心とが強固に一体化する。し
たがって、接着レスで、錆やダスト対策のための表面被
覆処理工程などを不要とする高信頼性、高効率モータの
ための希土類樹脂磁石埋設型回転子を製造することがで
きる。
【図1】(a)永久磁石を埋設した構成の磁石回転子の
断面図 (b)同磁石回転子の断面図
断面図 (b)同磁石回転子の断面図
【図2】樹脂磁石の保磁力と着磁率の関係を示す図
【図3】樹脂磁石の保磁力と不可逆減磁率の関係を示す
図
図
【図4】突極比ρ>1の磁石スロットと回転軸スロット
を設けた打抜き電磁鋼板を示す図
を設けた打抜き電磁鋼板を示す図
【図5】磁石と積層電磁鋼板との境界部分の断面図
【図6】樹脂磁石埋設型回転子における樹脂磁石の保磁
力と不可逆減磁の関係を示す図
力と不可逆減磁の関係を示す図
Claims (9)
- 【請求項1】 樹脂磁石の保磁力が6〜10kOeとなるよう
に調整した希土類磁石粉体を含む当該樹脂磁石の溶融ス
トランドを回転子鉄心磁石スロット内へ射出充填し、冷
却固化後、着磁して当該樹脂磁石を磁化することを特徴
とする希土類樹脂磁石埋設型回転子の製造方法。 - 【請求項2】 樹脂磁石の保磁力が6〜10kOeとなるよう
に調整した希土類磁石粉体を含む当該樹脂磁石の溶融ス
トランドを回転子鉄心磁石スロット内へ押出充填し、冷
却固化後、着磁して当該樹脂磁石を磁化することを特徴
とする希土類樹脂磁石埋設型回転子の製造方法。 - 【請求項3】 希土類磁石粉体が、ホウ素−ネオジミウ
ム−鉄系急冷磁石粉体である請求項1または2記載の希
土類樹脂磁石埋設型回転子の製造方法。 - 【請求項4】 溶融ストランド中の希土類磁石粉体キャ
リヤがポリアミド12、PPS(ポリフェニレンサルファイ
ド)から選ばれる熱可塑性樹脂である請求項1〜3のい
ずれか1項に記載の希土類樹脂磁石埋設型回転子の製造
方法。 - 【請求項5】 カーボンファンクショナルシラン処理し
た希土類磁石粉体である請求項1または2記載の希土類
樹脂磁石埋設型回転子の製造方法。 - 【請求項6】 回転子鉄心磁石スロット内の希土類樹脂
磁石の電気抵抗が≧10 -1Ωcmである請求項1または2記
載の希土類樹脂磁石埋設型回転子の製造方法。 - 【請求項7】 回転子鉄心を積層電磁鋼板とし、磁石ス
ロット内に充填、冷却固化した希土類樹脂磁石の収縮力
で機械的に一体化する請求項1または2記載の希土類樹
脂磁石埋設型回転子の製造方法。 - 【請求項8】 回転子鉄心のスラスト(軸)方向端部に
係合部を設け、磁石スロット内に充填、冷却固化した希
土類樹脂磁石の収縮力で回転子全体の剛性を高める請求
項1または2記載の希土類樹脂磁石埋設型回転子の製造
方法。 - 【請求項9】 回転子鉄心磁石スロットの構成が、突極
比ρ>1の逆突極性構造である請求項1または2記載の
希土類樹脂磁石埋設型回転子の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11028239A JP2000228850A (ja) | 1999-02-05 | 1999-02-05 | 希土類樹脂磁石埋設型回転子の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11028239A JP2000228850A (ja) | 1999-02-05 | 1999-02-05 | 希土類樹脂磁石埋設型回転子の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000228850A true JP2000228850A (ja) | 2000-08-15 |
Family
ID=12243050
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11028239A Withdrawn JP2000228850A (ja) | 1999-02-05 | 1999-02-05 | 希土類樹脂磁石埋設型回転子の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000228850A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002027893A1 (fr) * | 2000-09-25 | 2002-04-04 | Toshiba Carrier Corporation | Rotor de moteur electrique |
US10707621B2 (en) | 2016-06-03 | 2020-07-07 | Sony Corporation | Connector device and coaxial connector |
-
1999
- 1999-02-05 JP JP11028239A patent/JP2000228850A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002027893A1 (fr) * | 2000-09-25 | 2002-04-04 | Toshiba Carrier Corporation | Rotor de moteur electrique |
US10707621B2 (en) | 2016-06-03 | 2020-07-07 | Sony Corporation | Connector device and coaxial connector |
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RD01 | Notification of change of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421 Effective date: 20060314 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20070730 |