JP2000226786A - 抄紙用フェルト洗浄方法 - Google Patents

抄紙用フェルト洗浄方法

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JP2000226786A
JP2000226786A JP11028814A JP2881499A JP2000226786A JP 2000226786 A JP2000226786 A JP 2000226786A JP 11028814 A JP11028814 A JP 11028814A JP 2881499 A JP2881499 A JP 2881499A JP 2000226786 A JP2000226786 A JP 2000226786A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製紙工業の脱水工程で使用される抄紙用
フェルトを清浄な状態に保持するための効果的な洗浄方
法を提供する。 【解決手段】 ムチン酸、ガラクトン酸、グルカル酸、
グルコン酸、へプトン酸およびそれらの塩から選ばれた
1種以上のヒドロキシカルボン酸類を0.1〜100g
/L含む苛性アルカリ水溶液を抄紙用フェルトの洗浄液
として用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は製紙工業の脱水工程
で使用される抄紙用フェルトの洗浄方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】製紙工程は、パルプ調成、抄造、脱水、
乾燥等の工程から成り立っている。パルプは抄造して、
抄き網部において大部分の水を取り去り湿紙とするが、
この湿紙は、なお多くの水分を有している。このまま加
熱乾燥すると多量の蒸気を必要とするので、脱水工程を
設けプレス脱水してから乾燥工程へ送られる。脱水工程
は、上下2段のロールからなるプレスロールと、湿紙を
運搬するフェルトの組み合わせからなり、フェルトに載
せられた湿紙はロールの間を通してプレス脱水される。
プレスにおける脱水は、フェルトの搾水性に大きく依存
しており、フェルトに汚れが付着し目詰まりがあると脱
水が十分に行われず、また均一な脱水ができないため、
ドライヤー工程での蒸気消費量が増えたり、また紙切れ
の原因となる。従って、フェルトを常に清浄な状態に保
つことが生産性を増大させる上で極めて重要である。
【0003】パルプ調成工程では、サイズ剤や染料等の
パルプ繊維への定着、歩留まり、濾水向上あるいはピッ
チコントロールを目的として硫酸バンドが多量に添加さ
れている。硫酸バンドはpH条件によって種々の形態の
アルミナ種を形成し、酸性抄紙条件である白水のpHが
4〜5においては、一部は3価のアルミニウムイオンも
しくは水溶性のアルミナ種として存在する。
【0004】脱水工程のフェルトは、搾水効率を良好に
維持するためシャワー水がかけられている。しかし、シ
ャワー水は清水を用いるので、そのpHは白水より高い
ことから、湿紙水分中のアルミナ種はpH上昇により水
酸化アルミニウムとなってフェルト表面およびその内部
に析出し、フェルトの搾水性に悪影響を及ぼすことがあ
る。
【0005】そこで、従来、シャワー水に塩酸、硫酸等
の無機酸を連続添加し、pHの上昇を抑える方法が行わ
れているが、取り扱い上の危険性や系内の腐食性の問題
点があるほか、フェルトを劣化させることがあった。
【0006】また、クエン酸、リンゴ酸等のキレート作
用を有する有機酸を連続添加する方法(特開平4−34
8195号公報)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1
−ジホスホン酸を連続添加する方法(特開平4−202
299号公報)が提案されているが、白水pHが低く、
白水中の溶解アルミニウム濃度が高い抄紙系において
は、多量の薬剤が必要となり、経済面および腐食性の面
で問題点があった。
【0007】また、上述したような連続洗浄のほか、紙
の抄き換え時等に抄造を一旦停止して10〜30分間間
欠洗浄が行われる。間欠洗浄時には、通常、フェルトに
付着したサイズ剤や木材樹脂のケン化、デンプンや微生
物代謝物の水和膨潤、水酸化アルミニウムスケールの溶
解等を目的として苛性ソーダ水溶液が使用されるが、洗
浄時間が短いため、水酸化アルミニウムスケールに対し
て十分な溶解効果が得られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、製紙
工業の脱水工程で使用される抄紙用フェルトを清浄な状
態に保つための効果的な洗浄方法を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、抄紙用フ
ェルトを清浄な状態に保つ洗浄について鋭意検討した結
果、特定のヒドロキシカルボン酸類を含む苛性アルカリ
水溶液を抄紙用フェルトの洗浄液として用いた場合に
は、該フェルトの汚れ、特に水酸化アルミニウムスケー
ルを主体とする汚れに対して優れた洗浄効果を示すこと
を見い出し本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本請求項1の発明は、ムチン
酸、ガラクトン酸、グルカル酸、グルコン酸、へプトン
酸およびそれらの塩から選ばれた1種以上のヒドロキシ
カルボン酸類を0.1〜100g/L含む苛性アルカリ
水溶液を洗浄液として用いる抄紙用フェルト洗浄方法で
あり、請求項2の発明はヒドロキシカルボン酸類として
グルコン酸ソーダを用いる抄紙用フェルト洗浄方法であ
り、請求項3の発明はヒドロキシカルボン酸類としてヘ
プトン酸ソーダを用いる抄紙用フェルト洗浄方法であ
る。
【0011】
【発明の実施形態】以下、本発明について詳細に説明す
る。本発明における抄紙用フェルト洗浄液は、ムチン
酸、ガラクトン酸、グルカル酸、グルコン酸、ヘプトン
酸およびそれらの塩から選ばれた1種以上のヒドロキシ
カルボン酸を含む苛性アルカリ水溶液である。
【0012】ヒドロキシカルボン酸類には、構造上右旋
性のもの、左旋性のものと区別される場合があるが、本
発明においてはこれら光学異性体の種類は限定されず、
どちらか一方でもよく、あるいは両方の混合物であって
もよい。ヒドロキシカルボン酸類の塩としては、ソーダ
塩、カリウム塩、アンモニウム塩等を挙げることがで
き、中でも入手しやすいソーダ塩が好ましい。また、ヒ
ドロキシカルボン酸類は1種類を単独に、あるいは2種
以上組み合わせて用いてもよい。
【0013】苛性アルカリ水溶液の苛性アルカリとして
は、例えば苛性ソーダ、苛性カリ等を挙げることがで
き、中でも安価な苛性ソーダが好ましい。
【0014】本発明における洗浄液中のムチン酸、ガラ
クトン酸、グルカル酸、グルコン酸、ヘプトン酸および
それらの塩の濃度は、0.1〜100g/L、好ましく
は1〜50g/L、さらに好ましくは5〜30g/Lで
ある。0.1g/L未満では本発明の意図する効果が十
分でなく、また100g/Lを越えた濃度では効果は十
分に認められるが、経済的見地から好ましくない。
【0015】本発明における洗浄液中の苛性アルカリの
濃度は特に限定されるものではないが、通常5〜50g
/L、好ましくは10〜30g/Lである。
【0016】本発明洗浄液は、ヒドロキシカルボン酸類
と苛性アルカリを溶解させた水溶液であり、その適用方
法は特に限定されるものではない。たとえば、ヒドロキ
シカルボン酸類と苛性アルカリを所定濃度に溶解した洗
浄液を調製し、これを抄紙用フェルトにシャワーする方
法、あるいはシャワー水にヒドロキシカルボン酸類と苛
性アルカリを所定濃度になるように連続注入する方法が
ある。
【0017】本発明により抄紙用フェルトを洗浄するに
は、例えば抄造工程を停止した後、本発明洗浄液をフェ
ルト上にシャワーすればよい。洗浄頻度は工程の必要度
により任意に決められるが、2〜3日に1回、紙の抄き
換え時等に10〜30分間程度行う間欠洗浄、10〜2
0日に1回、1〜2日間かけて抄紙機全体を洗浄する停
抄洗浄が行われる。
【0018】本発明洗浄液には、本発明の効果を損なわ
ない範囲において、界面活性剤やスケール除去剤等その
他の種類の添加剤を併用することに何ら制限を加えるも
のではない。
【0019】
【実施例】以下に、実施例により本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0020】実施例1 酸性上質紙の抄造工程から採取した抄紙用フェルト(材
質:ナイロン)を用いてフェルト洗浄試験を行った。
【0021】(試験方法) 1.洗浄前の採取したフェルトを5cm×15cmの大
きさに切ったフェルトを電気炉で900℃、3時間焼い
た。フェルト上の無機スケール成分を灰分として求め
た。 灰分(900℃):7.4重量% 灰分組成:SiO2 4.3重量% CaO 1.3重量% Al23 87.6重量% MgO 1.0重量% P25 2.6重量% その他 3.2重量%
【0022】2.採取したフェルトを5cm×15cm
の大きさに切って試験用のフェルトとし、これを所定濃
度の洗浄液中に浸漬し、30℃にて20分間保った。次
いでフェルトを取り出し、水洗して薬品を取り除いた
後、乾燥した。このフェルトを電気炉で900℃で3時
間加熱し、灰化させた。下式にて洗浄率を求めた。
【0023】
【数1】
【0024】(試験結果)結果を表1に示した。
【0025】
【表1】
【0026】実施例2 ライナー抄造工程から採取した抄紙用フェルトを使用
し、実施例1と同様にしてフェルトに付着している無機
分を灰分として求めた。
【0027】
【0028】2.採取したフェルトを10cm×20c
mの大きさに切って試験用フェルトとした。このフェル
トを所定濃度の洗浄液に浸漬し、30℃にて30分間保
った。浸漬後のフェルトについて、ガラス製セパラブル
濾過器(容量500mL、濾過面35mmφ)にセット
し、差圧10mmHgに吸引しつつ、水500mLを濾
過器に注ぎ、水がフェルトを通過するのに要した時間を
測定し、この時間を通水時間とした。通水時間はフェル
トの搾水能力を評価する特性値であり、フェルトに付着
あるいは目詰まりしている汚れの量との間に相関関係が
あることに基づいている。
【0029】(試験結果)結果を表2に示した。
【0030】
【表2】
【0031】表1、2の結果から、本発明の抄紙用フェ
ルト洗浄方法は、水酸化アルミニウムスケールを主体と
する抄紙フェルト汚れに対して極めて高い洗浄効果を奏
することが認められた。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、製紙工業の脱水工程で
使用される抄紙用フェルトの汚れ成分である水酸化アル
ミニウムスケールに対し、十分な洗浄効果を有するた
め、フェルトの搾水性が保持される。その結果、フェル
トの汚れに起因する操業性の低下や製品の品質を損なう
ことがなくなり、紙パルプ工業に益するところが大であ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ムチン酸、ガラクトン酸、グルカル酸、
    グルコン酸、へプトン酸およびそれらの塩から選ばれた
    1種以上のヒドロキシカルボン酸類を0.1〜100g
    /L含む苛性アルカリ水溶液を洗浄液として用いる抄紙
    用フェルト洗浄方法。
  2. 【請求項2】 ヒドロキシカルボン酸類がグルコン酸ソ
    ーダである請求項1記載の抄紙用フェルト洗浄方法。
  3. 【請求項3】 ヒドロキシカルボン酸類がヘプトン酸ソ
    ーダである請求項1記載の抄紙用フェルト洗浄方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010163700A (ja) * 2009-01-13 2010-07-29 Hakuto Co Ltd 汚れ防止剤組成物及び汚れ防止方法

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