JP2000226583A

JP2000226583A - 液晶表示素子

Info

Publication number: JP2000226583A
Application number: JP11027663A
Authority: JP
Inventors: Shiro Konishi; 史郎小西
Original assignee: Hitachi Cable Ltd
Current assignee: Hitachi Cable Ltd
Priority date: 1999-02-04
Filing date: 1999-02-04
Publication date: 2000-08-15

Abstract

(57)【要約】【課題】実用性の高い時分割駆動が可能なポリマ分散
型液晶表示素子を提供する。【解決手段】ネマチック液晶材料以外で分子長軸方向
と一致しない電気双極子モーメントを持つ化合物と非イ
オン系界面活性剤とを含むネマチック液晶が水溶性ポリ
マ媒体中に分散された複合材料を、２枚の透明電極付基
板で挟持した構造の液晶表示素子において、上記非イオ
ン系界面活性剤は、フルオロアルキル基、ポリエチレン
オキシド基、及び芳香環を有する化合物とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示素子に係
り、特にポリマ分散型液晶を利用する液晶表示素子に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】現在、液晶ディスプレイ（ＬＣＤ）は、
主としてネマテック液晶が用いられており、このうち、
直接駆動方式の比較的安価な捩れネマテック（ＴＮ）型
及び超捩れネマテック（ＳＴＮ）型と、アクティブマト
リックス方式の高価な薄膜トランジスタ（ＴＦＴ）型が
広く実用されている。

【０００３】しかし、これらＴＮ型、ＳＴＮ型、及びＴ
ＦＴ型のＬＣＤは、液晶を透明電極付基板で挟持した素
子を更に偏光板で挟み、その偏光板を介して光を透過さ
せるため、光の利用効率が小さく、表示が暗くなってし
まうのでバックライトが必要である。このため、ディス
プレイが厚く、重く、加えて消費電力が大きくなり、携
帯型や反射型ディスプレイには不適である。

【０００４】一方、ネマテック液晶を用いた他のＬＣＤ
としては、ポリマ分散型液晶（以下、ＰＤＬＣと称す
る。）を用いた表示素子が知られている。

【０００５】このＰＤＬＣを用いた表示素子は、偏光板
を用いずに光の散乱を主に利用するので、光の利用効率
が高く、表示が明るいのでバックライトを必要としな
い。このため、上記の問題点を解決できる可能性を有し
ている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ＰＤＬ
Ｃを用いる表示素子で比較的安価に多文字表示を行うに
は、時分割駆動（複数走査ライン駆動）が必要である
が、従来のＰＤＬＣ素子では電気光学特性の急峻さを示
す値であるγ値が大きすぎて（印加電圧に対する透過率
の変化が小さすぎて）、実用性の高い時分割駆動ができ
ず、このため、多文字表示が不可能であるという問題が
あった。

【０００７】そこで、本発明の目的は、実用性の高い時
分割駆動ができ多文字表示が可能なポリマ分散型液晶表
示素子を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に請求項１の発明は、ネマチック液晶材料以外で分子長
軸方向と一致しない電気双極子モーメントを持つ化合物
と非イオン系界面活性剤とを含むネマチック液晶が水溶
性ポリマ媒体中に分散された複合材料を、２枚の透明電
極付基板で挟持した構造の液晶表示素子において、上記
非イオン系界面活性剤は、フルオロアルキル基、ポリエ
チレンオキシド基、及び一個以上のベンゼン構造を有す
る化合物（以下、芳香環と称する。）を有する化合物で
あるものである。

【０００９】請求項２の発明は、上記非イオン系界面活
性剤中のポリエチレンオキシドの数は、５から８の範囲
にあるものである。

【００１０】請求項３の発明は、上記ネマテック液晶材
料以外で分子長軸方向と一致しない電気双極子モーメン
トを持つ化合物の添加量は、ネマテック液晶に対して１
〜１０ｗｔ％であるものである。

【００１１】請求項４の発明は、上記非イオン系界面活
性剤の添加量は、ネマテック液晶に対して１〜１０ｗｔ
％であるものである。

【００１２】上記構成によれば、低駆動電圧で、低γ値
の電気光学特性を有するＰＤＬＣ材料を実現し、実用的
な時分割駆動が可能な素子を提供できる。

【００１３】

【発明の実施の形態】次に、本発明の好適実施の形態を
詳述する。

【００１４】一般に、液晶ディスプレイで多文字表示を
行うには、少なくとも英数値表示の場合で表示ライン数
が８ライン程度は必要であり、従って、γ値は１．５以
下でなければならない。

【００１５】このγ値は、最大透過率の１０％の光透過
率Ｔ₁₀の時の駆動電圧値をＶ₁₀、最大透過率の９０％の
光透過率Ｔ₉₀の時の駆動電圧値をＶ₉₀とすると、次式で
表される値である。

【００１６】γ＝Ｖ₉₀／Ｖ₁₀ すなわち、このγ値が小さいほど、駆動電圧に対する透
過率の変化が大きくなり、表示ライン数を増やすことが
でき、多文字表示が可能となる。

【００１７】しかし、従来のポリマ分散型液晶（ＰＤＬ
Ｃ）素子は、駆動電界は３〜５Ｖ／μｍ、電気光学特性
の急峻性を示す値であるγ値が２以上と高く、このため
３ライン表示程度が限界であった。

【００１８】このため本発明者は、種々検討の結果、水
溶性ポリママトリックス中にネマテック液晶の小滴を分
散させたＰＤＬＣ材料に、ネマテック液晶材料以外で分
子長軸方向と一致しない電気双極子モーメントを持つ化
合物と非イオン系界面活性剤を加えると、駆動電界とγ
値が共に低下するのを見出した。さらに非イオン系界面
活性剤としてエチレンオキシドの数が５から８のポリエ
チレンオキシド基とフルオロアルキル基と芳香環をもつ
化合物を用いることにより、駆動電界が１．０Ｖ／μｍ
以下で、γ値が１．５以下、場合により１．３台にまで
も低下することを見出した。

【００１９】このγ値が１．３程度になると、単純マト
リックス法で８ライン走査まででき、更に多重マトリッ
クス法や上下分割法を用いると、３２ライン走査までも
可能となり、実用的な時分割駆動が可能なＰＤＬＣ素子
を作製できる。

【００２０】本発明において、適用できる液晶は、特に
限定されないが、アゾキシ系化合物、ビフェニル系化合
物、アゾメチン系化合物、ピリミジン系化合物、安息香
酸エステル系化合物、ジオキサン系化合物、フェニルシ
クロヘキサン系化合物、シクロヘキシルカルボン酸エス
テル系化合物、シアノビフェニル系化合物等が用いられ
る。

【００２１】また、本発明に適用できる水溶性ポリマ
は、特に限定されないが、メチルセルロース、ポリビニ
ルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリビニルブチラ
ール等が用いられる。

【００２２】更に、本発明に適用できる非イオン系界面
活性剤は、特に限定されないが、ソルビタン脂肪酸エス
テル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレン
アルキルフェニルエーテル類、フルオロアルキルエチレ
ンオキシド類等が用いられる。

【００２３】但し、添加量は液晶に対して１〜１０ｗｔ
％が望ましく、この範囲を超えると有効性が大幅に減少
する。

【００２４】本発明に適用できるネマテック液晶材料以
外で分子長軸方向と一致しない電気双極子モーメントを
持つ化合物は、特に限定されないが、強誘電性液晶化合
物、キラール化合物、アントラキノン系色素等が用いら
れる。

【００２５】但し、添加量は液晶に対して１〜１０ｗｔ
％が望ましく、この範囲を超えると有効性が大幅に減少
する。

【００２６】

【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と共に詳述す
る。

【００２７】実施例１液晶として、ロディック社製のＲＯ−ＴＮ−４０３を選
び、これに三井東圧社製の青色二色性色素Ｍ−１３７
（アントラキノン系）を４％と、チッソ社製の強誘電性
液晶ＣＳ−１０２９を５％溶解させた。この液５ｇをポ
リビニルアルコール（４０５、クラレ社）の５％水溶液
１０ｇに混合し、更に非イオン系界面活性剤として芳香
環を含むフルオロアルキルポリオキシエチレン（エチレ
ンオキシドの数が６）を５％添加した後、ホモジナイザ
を用いて、回転数１２５００ｒｐｍで撹拌し、エマルジ
ョンを調整した。これをＩＴＯ電極付ガラス基板上にア
プリケータを用いて塗布した後、対向基板を貼り合わせ
て素子を作製した。

【００２８】比較例１液晶として、ロディック社製のＲＯ−ＴＮ−４０３を選
び、これに三井東圧社製の青色二色性色素Ｍ−１３７
（アントラキノン系）を４％と、チッソ社製の強誘電性
液晶ＣＳ−１０２９を５％溶解させた。この液５ｇをポ
リビニルアルコール（４０５、クラレ社）の５％水溶液
１０ｇに混合し、更に非イオン系界面活性剤として芳香
環を含むフルオロアルキルポリオキシエチレン（エチレ
ンオキシドの数が３）を５％添加した後、ホモジナイザ
を用いて、回転数１２５００ｒｐｍで撹拌し、エマルジ
ョンを調整した。これを実施例１と同様にして素子を作
製した。

【００２９】比較例２液晶として、ロディック社製のＲＯ−ＴＮ−４０３を選
び、これに三井東圧社製の青色二色性色素Ｍ−１３７
（アントラキノン系）を４％と、チッソ社製の強誘電性
液晶ＣＳ−１０２９を５％溶解させた。この液５ｇをポ
リビニルアルコール（４０５、クラレ社）の５％水溶液
１０ｇに混合し、更に非イオン系界面活性剤として芳香
環を含むフルオロアルキルポリオキシエチレン（エチレ
ンオキシドの数が９）を５％添加した後、ホモジナイザ
を用いて、回転数１２５００ｒｐｍで撹拌し、エマルジ
ョンを調整した。これを実施例１と同様にして素子を作
製した。

【００３０】比較例３液晶として、ロディック社製のＲＯ−ＴＮ−４０３を選
び、これに三井東圧社製の青色二色性色素Ｍ−１３７
（アントラキノン系）を４％溶解させ、チッソ社製の強
誘電性液晶ＣＳ−１０２９は添加しなかった。この液５
ｇをポリビニルアルコール（４０５、クラレ社）の５％
水溶液１０ｇに混合し、更に非イオン系界面活性剤とし
て芳香環を含むフルオロアルキルポリオキシエチレン
（エチレンオキシドの数が６）を５％添加した後、ホモ
ジナイザを用いて、回転数１２５００ｒｐｍで撹拌し、
エマルジョンを調整した。これを実施例１と同様にして
素子を作製した。

【００３１】比較例１は、実施例１において、エチレン
オキシドの数のみを３としたものであり、比較例２は、
エチレンオキシドの数のみを９としたものであり、比較
例３は、エチレンオキシドの数を６のままで強誘電性液
晶を添加しないものである。

【００３２】これら実施例１と比較例１〜３について、
分光光度計を用いて透過率（５５５ｎｍ）の電圧依存性
（γ値）を駆動電界Ｅ₉₀（Ｖ₉₀／膜厚）と共に測定し
た。尚、測定周波数は１０００Ｈｚとした。

【００３３】この測定結果を表１に示す。

【００３４】

【表１】

【００３５】表１から、実施例１と比較例１〜３を比較
すると、実施例１は、駆動電界Ｅ₉₀が、比較例１よりも
０．４Ｖ／μｍ、比較例２よりも０．７Ｖ／μｍ、比較
例３よりも０．９Ｖ／μｍ低い値を示している。また、
実施例１は、γ値が、比較例１よりも０．２５、比較例
２よりも０．１４、比較例３よりも０．２８低い値を示
している。

【００３６】このことから、ネマテック液晶に、ネマテ
ック液晶材料以外で分子長軸方向と一致しない電気双極
子モーメントを持つ化合物と非イオン系界面活性剤の両
方を添加すると共に、その非イオン系界面活性剤をフル
オロアルキル基、ポリエチレンオキシド基、及び芳香環
を有する化合物とすることにより、駆動電界Ｅ₉₀を１．
０Ｖ／μｍ以下にでき、さらにγ値を１．５以下に低下
できることが分かる。

【００３７】

【発明の効果】以上要するに本発明によれば、実用性の
高い時分割駆動ができ多文字表示が可能なポリマ分散型
液晶表示素子を提供する、低γ値の電気光学特性を有す
るＰＤＬＣ材料を実現し、実用的な時分割駆動を可能に
することができる。また、ポリマ分散型液晶表示素子の
駆動電界を低下できる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ネマチック液晶材料以外で分子長軸方向
と一致しない電気双極子モーメントを持つ化合物と非イ
オン系界面活性剤とを含むネマチック液晶が水溶性ポリ
マ媒体中に分散された複合材料を、２枚の透明電極付基
板で挟持した構造の液晶表示素子において、上記非イオ
ン系界面活性剤は、フルオロアルキル基、ポリエチレン
オキシド基、及び芳香環を有する化合物であることを特
徴とする液晶表示素子。
【請求項２】非イオン系界面活性剤中のポリエチレン
オキシドの数は、５から８の範囲にある請求項１記載の
液晶表示素子。
【請求項３】ネマテック液晶材料以外で分子長軸方向
と一致しない電気双極子モーメントを持つ化合物の添加
量は、ネマチック液晶に対して１〜１０ｗｔ％である請
求項１記載の液晶表示素子。
【請求項４】非イオン系界面活性剤の添加量はネマチ
ック液晶に対して１〜１０ｗｔ％である請求項１記載の
液晶表示素子。