JP2000225449A - ステンレス鋼スラブの連続鋳造装置 - Google Patents

ステンレス鋼スラブの連続鋳造装置

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JP2000225449A
JP2000225449A JP11030523A JP3052399A JP2000225449A JP 2000225449 A JP2000225449 A JP 2000225449A JP 11030523 A JP11030523 A JP 11030523A JP 3052399 A JP3052399 A JP 3052399A JP 2000225449 A JP2000225449 A JP 2000225449A
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slab
stirring
electromagnetic
liquid phase
continuous casting
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Yoji Kanechika
洋二 金近
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 連続鋳造装置に電磁撹拌装置を設置して等軸
晶率を高めるために最適な配置を決定する。 【解決手段】 連続鋳造装置1で鋳造される鋳片3が完
全に凝固する液相率0%の位置5を基準に、第1の電磁
撹拌装置6を、スラブ幅の2倍だけ上流側に配置する。
さらに第2の電磁撹拌装置7を、第1の電磁撹拌装置6
からスラブ幅の4倍だけ上流側に配置する。各電磁撹拌
装置6,7は、鋳片3内の未凝固部分に、スラブ幅を直
径とする撹拌流れを発生させる。撹拌流れは、磁力線を
作用させる位置の上流側および下流側に一次撹拌流れと
して発生し、さらにそれぞれの上流側および下流側に、
二次撹拌流れが発生する。第1の電磁撹拌装置6では、
一次撹拌流れおよび二次撹拌流れで、液相率0%の位置
5までの溶鋼を効率よく撹拌することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造法でステ
ンレス鋼スラブを製造する際に、等軸晶率を高めて冷間
圧延後のリジング性を改善することができるステンレス
鋼スラブの連続鋳造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ステンレス鋼を連続鋳造する
際に、凝固の途中で電磁撹拌を行うと、等軸晶率が向上
し、冷延板のバンド状組織に起因する割れなどの発生が
減少し、冷間圧延後の鋼板のリジング性が改善されるこ
とが知られている。たとえば日本鉄鋼協会発行の「鉄と
鋼」の第66巻(1980年)第6号第638頁〜64
6頁には、竹内らによって「SUS 430 連続鋳造
スラブの凝固組織に及ぼす電磁撹拌の影響」という論文
が掲載されている。この論文では、垂直型スラブ連続鋳
造装置の第2ローラエプロン内に電磁撹拌装置を設置
し、スラブ凝固組織に及ぼす電磁撹拌の影響を調査して
いる。電磁撹拌によって、凝固組織中に占める等軸晶の
割合が増加し、50%以上の等軸晶率の場合にリジング
性が改善されるという結果が得られている。なお、連続
鋳造した際、スラブの表層部は柱状晶が発達しており、
中心部には等軸晶が形成される。柱状晶はある特有の結
晶方位に優先的に凝固が進行した組織であり、粗大な組
織となっている。等軸晶は結晶方位がランダムに分散し
た組織であり、微細な組織となっている。
【0003】また、「Iron and Steel Engineer」の1
980年October号の第66頁〜第75頁には、Jan Lip
tonらによって、「Experience with electromagneticst
irring at SSAB, Oxelosund,slab caster」と題する論
文が掲載され、鉄鋼を連続鋳造する際に電磁撹拌を行
い、偏析を減少させることについて記載されている。ま
た、「Ironmaking and Steelmaking」の1983年第1
0巻第6号の第269頁〜第281頁には、J.P.Birat
らによって、「Electromagnetic stirringon billet,b
loom,and slab continuous casters:state of the ar
t in 1982」と題する論文が掲載され、ビレット、ブル
ームおよびスラブを連続鋳造する装置に電磁撹拌装置を
設置して品質向上が可能であることが記載されている。
また、日本鉄鋼協会発行の「鉄と鋼」の第80巻(19
94年)のT25〜T28には沖森らによって、「高S
i鋼・連続鋳造スラブの凝固組織に及ぼす電磁撹拌の影
響」という論文が掲載され、高Cr鋼であるSUS43
0では、等軸晶率が50%以上あればリジング性が改善
されることなどが示されている。
【0004】さらに、特開昭59−24558には、水
平連続鋳造法でステンレス鋼ビレットを製造する際に、
モールド内の溶鋼に対して電磁撹拌を施して、鋳片の凝
固組織を微細化する先行技術が開示されている。特開昭
59−54450には、湾曲型の連続鋳造装置のピンチ
ロール配設位置近傍で、鋳片引抜き方向に沿ってレール
を設け、電磁撹拌装置がレール上を移動して凝固末期の
適切な位置で撹拌を行い、等軸晶率の増大と、中心偏析
やセンタポロシティなどの鋳造欠陥を改善する先行技術
が開示されている。特開昭61−135465には、高
炭素合金鋼の連続鋳造で少なくともモールド最上部に電
磁撹拌装置を配置し、溶湯を撹拌することによって、等
軸晶率を高め、中心偏析等を防止する先行技術が開示さ
れている。特開平5−329595、特開平5−329
596および特開平5−329597には、連続鋳造を
行うモールド内で電磁撹拌を行って、鋳型内溶鋼のメニ
スカス流速を制御し、表面性状に優れた鋳片を得る先行
技術が開示されている。特開平9−206897には、
鋳片の最終凝固部近傍に鍛圧装置を設け、未凝固末端部
に対して鍛圧を行い、鍛圧装置が設けられる部分から一
定の関係にある長さ分だけ上流側に電磁撹拌装置を設け
て、凝固していない溶鋼の撹拌を行う先行技術が開示さ
れている。
【0005】さらに特開平9−1301には、金属の連
続鋳造で電磁撹拌を行い、凝固構造の改善や品質の改善
を行う先行技術が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ステンレス鋼、特にS
US430などの高Cr鋼種では、冷間加工時の加工割
れ等、いわゆるバンド状組織などの連続鋳造スラブの内
部組織に起因する品質欠陥の改善のために、連続鋳造の
際に電磁撹拌を行い、等軸晶率を高める必要があること
が知られている。さらに、特開昭59−54450の先
行技術のように、電磁撹拌装置の位置を移動させて最適
な位置を求めることは、電磁撹拌装置の設置位置とその
品質改善効果とは大きな相関性を有することを示してい
る。この先行技術のように、電磁撹拌装置の位置を移動
させて最適な位置を求めようとすると、最適な位置であ
るか否かは鋳片の断面組織を調べないと判らないので、
実際に鋳造される鋳片に対して最適な位置に電磁撹拌装
置を調整するまでに時間がかかり、最適な位置でない電
磁撹拌装置を用いて製造される鋳片も多くなってしまう
恐れがある。
【0007】本発明の目的は、連続鋳造装置に電磁撹拌
装置を配置する際に、最も適切な位置に配置して品質の
良いステンレス鋼スラブを製造することができるステン
レス鋼スラブの連続鋳造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、ステンレス鋼
スラブを連続鋳造する際に液相率が0%となる位置を基
準として、スラブ幅の1.5倍以上で2.5倍以下の範
囲の上流側に電磁撹拌装置が配置されることを特徴とす
るステンレス鋼スラブの連続鋳造装置である。
【0009】本発明に従えば、ステンレス鋼スラブを連
続鋳造する際に、溶鋼が凝固して液相率が0%になる位
置を基準に、その上流側にスラブ幅の1.5倍以上で
2.5倍以下の範囲となる位置に電磁撹拌装置が配置さ
れる。電磁撹拌装置はスラブの表面に垂直な方向の磁場
を発生し、未凝固のスラブ内には円形の溶鋼の流れが発
生する。溶鋼の流れは、磁場の作用する場所の上流側と
下流側とに一次的に発生し、さらにそれぞれの上流側と
下流側とに2次的に発生する。すなわち、磁場の作用位
置から、スラブ幅の2倍までの範囲で溶鋼の流れが発生
すると考えられる。電磁撹拌装置は、凝固が完了する液
相率0%の位置から上流側にスラブ幅の1.5倍以上で
2.5倍以下の範囲に配置されて電磁撹拌を行うので、
凝固直前の溶湯まで撹拌を行い、樹枝状晶の形成を防い
で等軸晶率を高めることができる。
【0010】さらに本発明は、ステンレス鋼スラブを連
続鋳造する際に液相率が0%となる位置を基準とする上
流側で、nを自然数として、{(4n−2)−0.5}
×スラブ幅以上で{(4n−2)+0.5}×スラブ幅
以下となる複数の範囲内の位置に、電磁撹拌装置がそれ
ぞれ配置されることを特徴とするステンレス鋼スラブの
連続鋳造装置である。
【0011】本発明に従えば、ステンレス鋼スラブが凝
固して液相率0%になる位置を基準に、上流側でスラブ
幅の4倍ずつ間隔をあけて複数の電磁撹拌装置が配置さ
れ、未凝固の溶湯を電磁撹拌することができる。電磁撹
拌によって溶湯内にはスラブ幅を直径とする円形の溶湯
の流れが発生し、撹拌が行われる。電磁撹拌装置がスラ
ブ幅の4倍の距離ずつ離れているので、撹拌流が重複し
ないように効率よく溶湯を撹拌し、柱状晶の形成を防い
で、等軸晶率を高めることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態と
して、ステンレス鋼スラブを製造する連続鋳造装置1の
概略的な構成を示す。連続鋳造装置1では、最上部のモ
ールド2からステンレス鋼溶湯を流し込み、湾曲させた
経路に沿って鋳片3を導き、ピンチロール4を経て水平
な方向に引抜きながら、鋳片3は表層部から中心部まで
凝固する。なお、連続鋳造装置1では、鋳片3を湾曲さ
せる部分に多くのロールや冷却装置なども配置されてい
るけれども、図1では説明の便宜のために省略してあ
る。
【0013】鋳片3は、モールド2から鉛直下方に引出
され、ピンチロール4までの間に湾曲して水平な方向に
引出されるまでの間で、凝固を終了する。本実施形態で
は、液相率0%の位置5を基準に、その上流側に対し、
基本的にスラブ幅wの2倍離れた位置に電磁撹拌装置
(以下「EMS」と略称することがある)6を配置し、
未凝固の溶鋼を電磁的に撹拌する。さらに、第2の電磁
撹拌装置7を、第1の電磁撹拌装置6からスラブ幅wの
4倍離れた位置に配置する。なお、モールド2内で溶鋼
の表面にはメニスカス8が形成される。
【0014】図2は、電磁撹拌装置6,7の概要を示
す。連続鋳造装置1は、上フレーム10と下フレーム1
1およびサイドフレーム12で囲まれる空間の内部に鋳
片3を通過させながら冷却し、凝固を進める。電磁撹拌
装置6,7を設置する部分の上フレーム10には、開口
部13を形成し、気水配管14に設けるノズル15か
ら、鋳片3に向けて空気入りの水を噴射し、表面の冷却
を行う。上フレーム10および下フレーム11の表面に
は、非磁性ロール16が配置され、鋳片3を挟持して移
動させる。電磁撹拌装置6,7内には、鋳片3の表面に
垂直な方向の磁場を形成するコイルが収納され、非磁性
ロール16の外側から鋳片3内に磁場を印加する。電磁
撹拌装置6,7は、開口部13内を、鋳片3の搬送方向
に、たとえば400mm程度移動可能であるので、その
設置位置を調整することができる。鋳片3は、たとえば
700mm〜1400mm程度の幅を有し、厚さは15
0〜200mm程度である。電磁撹拌装置6,7内の電
磁コイルは、鋳片3の表面から230mm程度離れて、
磁束密度800ガウス以上の磁場を発生することができ
る。電磁撹拌装置6,7の周辺では渦電流による発熱防
止と有効磁束の減少を防ぐため、非磁性化を行う。
【0015】図3は、本実施形態で、連続鋳造を行う手
順の概要を示す。ステップs1で連続鋳造を行う鋼種や
スラブの厚みやスラブ幅などが決定されると、手順が開
始される。ステップs2では、スラブ厚み、冷却速度お
よび鋳造速度の関係から、液相率0%の位置5が決定さ
れる。ステップs3では、液相率0%の位置5からスラ
ブ幅の2倍長さ分上方側に電磁撹拌装置6を設置するよ
うに、第1のEMS設置位置が決定される。ステップs
4では、さらに液相率0%の位置5からスラブ幅の6倍
長さ分だけ上方側に、第2の電磁撹拌装置7の設置位置
である第2EMS設置位置が決定される。ステップs5
で、電磁撹拌装置6,7で電磁撹拌を行いながら、連続
鋳造を開始する。本実施形態では、液相率0%の位置5
よりも上流側に存在する液相を、電磁撹拌装置6,7で
連続的に撹拌し、高等軸晶率を得ることができる。
【0016】図4は、電磁撹拌装置6,7で鋳片3の未
凝固部分を撹拌する原理を示す。電磁撹拌装置6,7内
には、軸線が鋳片3の表面に垂直な複数のコイル20,
21が配置され、鉄心22,23もそれぞれ設けられ
て、発生する磁場を鋳片3の表面に集中するようにして
いる。2つのコイル20,21で発生する磁場の方向を
逆にすれば、2つの鉄心22,23および鋳片3を通っ
て、一巡する磁場24が形成される。磁場24が貫く溶
湯中には、磁場24に垂直な方向の誘導電流25が、鋳
片3の引抜き方向に流れる。コイル20,21には交流
電流を流し、その位相が時間的に変化して、鋳片3の幅
方向の一方側の移動方向26側に進むようにする。これ
によって、鋳片3は、コイル20,21の鉄心22,2
3に対して、移動方向26と逆方向の見かけ上の移動方
向27に移動する状態となり、鋳片3内の未凝固の溶湯
には、見かけ上の移動方向27と逆方向の撹拌力28が
発生する。撹拌力28によって、鋳片3内の溶鋼中に
は、円形の一次撹拌流れ29が発生する。
【0017】図5は、鋳片3の溶鋼30中に生じる撹拌
状態の概要を示す。前述のように、電磁撹拌装置6,7
のコイル20,21からの磁力線が鋳片3を貫く部分で
ある撹拌位置31には、幅方向の撹拌力28が発生す
る。幅方向の撹拌力28は、その上下に一次撹拌流れ2
9を発生させる。撹拌位置31の上流側と下流側とに発
生する一次撹拌流れ29は、ほぼ円形の形状に形成され
る。したがって、その直径はスラブ幅と同程度である。
鋳片3の未凝固の溶鋼30中に一次撹拌流れ29が発生
すると、その上流側および下流側には二次撹拌流れ32
がそれぞれ発生する。二次撹拌流れは、一次撹拌流れ2
9の反作用として発生するので、流れの方向はそれぞれ
逆方向となる。電磁撹拌装置6,7で撹拌位置31につ
いて電磁撹拌を行うと、一次撹拌流れ29および二次撹
拌流れが上流側および下流側にそれぞれ生じる一次撹拌
流れ29および二次撹拌流れ32は、ともに鋳片3の
幅、すなわちスラブ幅程度の直径を有する円形の形状と
なるので、1箇所の電磁撹拌装置6,7から、スラブ幅
の2倍の範囲で有効な電磁撹拌が行われると考えること
ができる。なお、一次撹拌流れ29および二次撹拌流れ
32による撹拌速度は、1m/s程度であると予測する
ことができる。これに対して鋳片3の引抜き速度は、1
m/分程度である。
【0018】本実施形態では、図5に示すように、1つ
の撹拌位置31から、スラブ幅の2倍ずつの前後で有効
に電磁撹拌を行うことができるので、1つ目の電磁撹拌
装置6は、液相率0%の位置5から上流側にスラブ幅の
2倍離れた位置に設置している。また、2つ目の電磁撹
拌装置7は、1つ目の電磁撹拌装置6からスラブ幅の4
倍離れた上流側の位置に配置するようにしている。以
下、さらに電気撹拌装置を配置する場合には、上流側に
スラブ幅の4倍ずつ離れた位置に配置すればよい。基準
となる液相率0%の位置5に対してスラブ幅の2倍の間
隔だけ上流側に第1の電磁撹拌装置6を配置し、第2の
電磁撹拌装置以下はスラブ幅の4倍ずつ離して配置する
ようにすれば、鋳片3内部の未凝固の溶鋼部分を、効率
的に撹拌し、柱状晶の成長を抑制して等軸晶率を高める
ことができる。
【0019】図1に示す液相率0%の位置5は、連続鋳
造中の鋳片3の外部から直接知ることは困難である。し
かしながら、液相率0%の位置5は、鋳造条件や冷却条
件に基づいて推定することができる。また、鋳片3の外
部から、鋲を打って確認することもできる。
【0020】連続鋳造装置1は、たとえば半径10.5
mの全湾曲型とする。鋳片3の凝固は、次の第1式に従
って進行すると推定することができる。
【0021】 D = k×√t …(1) ここでDは固相+固液共存層の厚みであり、kは連続鋳
造装置1の装置条件や、冷却速度および鋳造速度によっ
て変化する係数である。kの値としては、たとえば約3
0程度となる。tは、時間である。Dが、スラブの厚み
の1/2となる位置で、鋳片3の凝固は完了するので、
この時間に引抜き速度Vcを乗算して、メニスカス位置
からの液相率0%の位置5を算出することができる。液
相率0%の位置5は、その少し上流側に鋲を打込み、確
認することができる。鋲を打込んだ鋳片の断面を凝固後
に確認し、打込んだ鋲がフラブ側に完全に溶解する位置
から、鋲を打込んだ位置での液相の割合を知ることがで
き、第1式の係数kの補正を行って、液相率0%の位置
5を推定することができる。
【0022】図6は、図1の実施形態で、鋳片3を連続
鋳造する際の凝固の進行状態を模式的に示す。モールド
2のメニスカス8から、溶鋼30は鉛直下方に移動しな
がら冷却される。メニスカス8の位置で等軸晶粒は生成
するけれども、溶鋼過熱度が高いため再溶解してしま
う。モールドと接する凝固界面では、柱状晶33が形成
される。電磁撹拌装置6による撹拌が行われる部分にな
ると、溶鋼30中に撹拌効果によって等軸晶34の粒子
が生成し、そのまま凝固するため、等軸晶帯が形成され
る。たとえ等軸晶34の粒子が存在していても、電磁撹
拌装置6を作用させないと、等軸晶34の粒子は沈降
し、鋳片3の下面側に等軸晶34の粒子の濃化部分がで
きる。つまり鋳片3の下面側の凝固界面における等軸晶
34の容積分率が高くなるけれども、鋳片3の上面側の
等軸晶34の粒子の容積分率は低くなってしまうため、
下側にしか等軸晶34が凝固しない。電磁撹拌装置6を
設置して、完全凝固位置である液相率0%の位置5まで
の部分の電磁撹拌を行えば、図7に示すように、柱状晶
33の割合を低くし、等軸晶34の割合を高くすること
ができる。
【0023】図8は、図1で液相率0%の位置5を基準
として、スラブ幅の倍数で表す電磁攪拌装置6の設置位
置と、鋳片3の断面での等軸晶率との関係を示す。な
お、リジング性を改善することができる等軸晶率の値は
30%以上であればよいことが判明している。この値
は、前述の文献等に示されている50%よりも小さい。
しかしながら、リジング性を左右する要因は等軸晶率の
みではなく、冷間圧延など、スラブからステンレス鋼板
を製造して出荷するまでの多くの工程が影響しており、
それらの違いが等軸晶率の違いに反映されているものと
推定される。したがって、スラブ幅の1.5倍以上で
2.5倍以下の範囲、すなわち(2±0.5)倍の範囲
内の位置に電磁攪拌装置6を配置するようにすれば、リ
ジング性に優れたステンレス鋼板を製造しうることが判
る。
【0024】したがって、図1に示すように、複数の電
磁攪拌装置6,7を備える場合、第1の電磁撹拌装置6
を設置する位置は、液相率0%の位置5から上流側にス
ラブ幅の2倍の位置とすることが好ましい。しかしなが
ら、スラブ幅の1/2程度最適な位置から前後にずれる
程度では、効果に大きな差異は生じないと考えられる。
すなわち、液相率0%の位置5から、スラブ幅1.5倍
程度上流側に電磁撹拌装置6を設置する場合に、2次撹
拌流れ32が液相率0%の位置5よりも下流側まで形成
されることになり、撹拌効率が若干低下する恐れがあ
る。また、電磁撹拌装置6を液相率0%の位置5から上
流側に、スラブ幅の2.5倍程度離れた位置に設置する
と、二次撹拌流れ32が液相率0%の位置5まで届かな
くなってしまう。しかしながら、液相率0%の位置5付
近ではほとんど未凝固の溶鋼30が存在しないので、等
軸晶率の低下を少なくすることができる。
【0025】複数の電磁撹拌装置6,7を設置する場合
に、相互間の間隔がスラブ幅の4倍よりも小さくなる
と、二次撹拌流れ32が重複し、撹拌効率が低下する。
間隔がスラブ幅の4倍よりも大きくなると、二次撹拌流
れ32間に隙間が生じ、充分な電磁撹拌を行うことがで
きずに、等軸晶率が低下する可能性が生じる。しかしな
がら、スラブ幅の半分程度の範囲でのずれは、等軸晶率
の大きな低下はもたらさないので、nを自然数とし、次
の第2式で示す範囲に1または複数の電磁撹拌装置6,
7を設置すればよいことになる。
【0026】 {(4n−2)−0.5}×スラブ幅 ≦ x ≦{(4n−2)+0.5}×スラブ幅 …(2) ここでxは、液相率0%の位置5を基準として上流側に
鋳片3に沿って進む距離を示す。たとえばm台の電磁撹
拌装置を配置するときは、n=1,2,…,mとして、
液相率0%の位置5から上流側に順に配置すればよい。
【0027】本実施形態では、電磁撹拌装置6,7を効
率よく配置し、液相率0%の位置5の直前まで鋳片3が
残存している溶鋼30を電磁撹拌し、等軸晶率を高める
ことができる。このため、SUS430などの高Cr鋼
の冷間圧延などにおけるリジング性を高めることができ
る。また、撹拌を効率よく行うので、凝固終了時の中心
部の偏析なども減少させ、鋳造欠陥を改善することもで
きる。
【0028】
【実施例】以下、図1に示すような連続鋳造装置1を用
いて、次に示すような条件で連続鋳造を行った場合の、
電磁攪拌装置(EMS)の配置位置と凝固後のスラブ3
の断面組織との関係について、図9〜図14に従って説
明する。
【0029】連続鋳造条件 ・鋼種 SUS430 ・鋳造寸法 厚さ×幅 = 200mm×1500mm ・鋳造温度 1545℃ ・鋳造速度 Vc=1.0m/分または2.0m/分 ・凝固定数 K=3.16mm・S-1/2 ・固相+固液共存層厚み計算式
【0030】
【数1】
【0031】ここで、D:固相+固液共存層厚み t:凝固開始からの時間 L:メニスカスからの距離 Vc:鋳造速度 鋳造速度Vc=1.0m/分の場合
【0032】図9は、EMSを設置しない場合の連続鋳
造の概要を(a)で示し、凝固後に得られるスラブ3の
断面組織を(b)に示す。液相率0%の位置5は、メニ
スカス8から10mの位置であり、スラブ3の断面は全
て柱状晶33で等軸晶は得られない。
【0033】図10は、EMSを液相率0%の位置5か
らスラブ幅の2倍未満の位置に設置した場合について示
す。(a)に示すように、EMSの設置位置は液相率0
%の位置5からスラブ幅=W=1.5mと等しい距離だ
け上流側の位置である。(b)に示すように、等軸晶3
4はスラブ3の断面の中央部に生じ、柱状晶33の厚み
は表面から74mmとなる。等軸晶率は26%となり、
メニスカス8より5.5mから等軸晶の凝固が開始して
いることになる。等軸晶率は30%未満であるので、等
軸晶帯が狭く不十分であることが判る。
【0034】図11は、EMSを液相率0%の位置5か
らスラブ幅の2倍となる適正な位置に設置した場合につ
いて示す。(a)に示すように、EMSの設置位置は液
相率0%の位置5からスラブ幅の2倍=W×2=3mと
等しい距離だけ上流側の位置である。(b)に示すよう
に、等軸晶34はスラブ3の中央部に生じ、柱状晶33
の厚みは表面から63mmとなる。等軸晶率は37%と
なり、メニスカス8より4mから等軸晶の凝固が開始し
ていることになる。等軸晶率は30%以上であるので、
十分な等軸晶帯が得られていることが判る。
【0035】図12は、EMSを液相率0%の位置5か
らスラブ幅の2倍を超える位置に設置した場合について
示す。(a)に示すように、EMSの設置位置は液相率
0%の位置5からスラブ幅の3倍=W×3=4.5mと
等しい距離だけ上流側の位置である。(b)に示すよう
に、等軸晶34はスラブ3の下側のみに生じている。上
側は液相率0%の位置5より上流側に未攪拌の部分が存
在するため、等軸晶粒が沈降し、等軸晶帯ができないと
推定される。等軸晶率は25%となり、メニスカス8よ
り2.5mから等軸晶の凝固が開始していることにな
る。等軸晶率は30%未満であるので、等軸晶帯が狭く
不十分であることが判る。
【0036】鋳造速度Vc=2.0m/分の場合 図13は、EMSを液相率0%の位置5からスラブ幅の
2倍となる位置に設置した場合について示す。(a)に
示すように、液相率0%の位置5は、メニスカス8から
20mの位置であり、EMSの設置位置は液相率0%の
位置5からスラブ幅の2倍=W×2=3mと等しい距離
だけ上流側の位置である。(b)に示すように、等軸晶
34はスラブ3の中央部に生じ、柱状晶33の厚みは表
面から84mmとなる。等軸晶率は16%となり、メニ
スカス8より14mから等軸晶の凝固が開始しているこ
とになる。等軸晶率は30%未満であるので、等軸晶帯
が狭く不十分であることが判る。鋳造速度が速い場合、
EMSによる攪拌が開始される14m位置では液相が1
6%しかないため、等軸晶帯は16%しか生成しないと
推定される。
【0037】図14は、EMSを液相率0%の位置5か
らスラブ幅の2倍および6倍となる位置にそれぞれ設置
した場合について示す。(a)に示すように、液相率0
%の位置5は、メニスカス8から20mの位置であり、
EMSの設置位置は液相率0%の位置5からスラブ幅の
2倍=W×2=3m、およびスラブ幅の6倍=W×6=
9mとそれぞれ等しい距離だけ上流側の位置である。
(b)に示すように、等軸晶34はスラブ3の中央部に
生じ、柱状晶33の厚みは表面から64mmとなる。等
軸晶率は37%となり、メニスカス8より8mから等軸
晶の凝固が開始していることになる。等軸晶率は30%
以上であるので、十分な等軸晶帯が得られていることが
判る。鋳造速度が速い場合、液相率0%の位置5からス
ラブ幅の2倍および6倍となる位置にそれぞれEMSを
設置すれば、十分な等軸晶帯を得ることができる。
【0038】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、電磁撹拌
装置を、ステンレス鋼が凝固する直前で最も効率的に溶
湯の電磁撹拌を行うことができる位置に設置し、等軸晶
率が高い高品質のステンレス鋼スラブを製造することが
できる。
【0039】さらに本発明によれば、複数の電磁撹拌装
置を相互間の電磁撹拌効果が重複しないように、かつ電
磁撹拌装置間で電磁撹拌が行われない部分が生じないよ
うに配置し、全体としての電磁撹拌効果を高めて、等軸
晶率の高い、冷間圧延後のリジング性が向上したステン
レス鋼スラブを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の連続鋳造装置1の模式
的な構成を示す簡略化した側面図である。
【図2】図1の連続鋳造装置1に用いる電磁撹拌装置
6,7の使用状態を示す簡略化した斜視図である。
【図3】図1の実施形態で、ステンレス鋼スラブの連続
鋳造を行う手順を示すフローチャートである。
【図4】図1の電磁撹拌装置6,7内に撹拌力を発生さ
せる原理を示す簡略化した斜視図である。
【図5】図4に示す原理で、鋳片内の溶鋼30に生じる
撹拌流れの概要を示す模式的な正面断面図である。
【図6】図1の連続鋳造装置1で鋳片3が凝固する過程
を模式的に示す側面断面図である。
【図7】図1の連続鋳造装置1で製造されるスラブの断
面組織を模式的に示す簡略化した断面図である。
【図8】図1の連続鋳造装置1で、電磁攪拌装置6を設
置する位置と等軸晶率との関係を示すグラフである。
【図9】EMSを設置しない場合の連続鋳造の模式的な
構成を示す簡略化した側面図、および、凝固後に得られ
るスラブ3の断面組織の概要を示す断面図である。
【図10】EMSを液相率0%の位置5からスラブ幅に
相当する距離だけ上流側の位置に設置した場合の連続鋳
造の模式的な構成を示す簡略化した側面図、および、凝
固後に得られるスラブ3の断面組織の概要を示す断面図
である。
【図11】EMSを液相率0%の位置5からスラブ幅の
2倍の距離だけ上流側の位置に設置した場合の連続鋳造
の模式的な構成を示す簡略化した側面図、および、凝固
後に得られるスラブ3の断面組織の概要を示す断面図で
ある。
【図12】EMSを液相率0%の位置5からスラブ幅の
3倍の距離だけ上流側の位置に設置した場合の連続鋳造
の模式的な構成を示す簡略化した側面図、および、凝固
後に得られるスラブ3の断面組織の概要を示す断面図で
ある。
【図13】EMSを液相率0%の位置5からスラブ幅の
2倍の距離だけ上流側の位置に設置し、鋳造速度を大き
くした場合の連続鋳造の模式的な構成を示す簡略化した
側面図、および、凝固後に得られるスラブ3の断面組織
の概要を示す断面図である。
【図14】EMSを液相率0%の位置5からスラブ幅の
2倍および6倍の距離だけ上流側の位置にそれぞれ設置
し、鋳造速度を図13と同一にした場合の連続鋳造の模
式的な構成を示す簡略化した側面図、および、凝固後に
得られるスラブ3の断面組織の概要を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 連続鋳造装置 2 モールド 3 鋳片 5 液相率0%の位置 6,7 電磁撹拌装置 8 メニスカス 10 上フレーム 13 開口部 16 非磁性ロール 20,21 コイル 22,23 鉄心 24 磁場 25 誘導電流 26 移動方向 27 見かけ上の移動方向 28 撹拌力 29 一次撹拌流れ 30 溶鋼 31 撹拌位置 32 二次撹拌流れ 33 柱状晶 34 等軸晶

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステンレス鋼スラブを連続鋳造する際に
    液相率が0%となる位置を基準として、スラブ幅の1.
    5倍以上で2.5倍以下の範囲の上流側に電磁撹拌装置
    が配置されることを特徴とするステンレス鋼スラブの連
    続鋳造装置。
  2. 【請求項2】 ステンレス鋼スラブを連続鋳造する際に
    液相率が0%となる位置を基準とする上流側で、nを自
    然数として、 {(4n−2)−0.5}×スラブ幅以上で{(4n−
    2)+0.5}×スラブ幅以下となる複数の範囲内の位
    置に、電磁撹拌装置がそれぞれ配置されることを特徴と
    するステンレス鋼スラブの連続鋳造装置。
JP11030523A 1999-02-08 1999-02-08 ステンレス鋼スラブの連続鋳造装置 Withdrawn JP2000225449A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100981566B1 (ko) * 2007-12-18 2010-09-10 주식회사 포스코 페라이트계 스테인리스강의 제조방법 및 이를 위한연속주조장치

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