JP2000221513A - 書換え可能な表示素子、その製造方法、表示体、および表示体の書換え方法 - Google Patents

書換え可能な表示素子、その製造方法、表示体、および表示体の書換え方法

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JP2000221513A
JP2000221513A JP11026895A JP2689599A JP2000221513A JP 2000221513 A JP2000221513 A JP 2000221513A JP 11026895 A JP11026895 A JP 11026895A JP 2689599 A JP2689599 A JP 2689599A JP 2000221513 A JP2000221513 A JP 2000221513A
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Masaki Umetani
雅規 梅谷
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】液晶、二色性色素、および高分子バインダーを
使用した従来の表示素子が、元来、表示素子の表示のコ
ントラストを低下させる要因を有している点、および書
換えの都度、液滴内の液晶の分子と二色性色素の分子が
高分子物質中に溶け込むため、発色濃度が上がらなくな
り、コントラストが低下して、書換え可能な回数が少な
い点を解消する。 【解決手段】液晶・二色性色素15、硬化性化合物14
を、各々の比誘電率の差を利用し、表示素子の電極3〜
外部電極13間に電場をかけることにより、分離を行な
い、分離したまま硬化させる事により、上記の従来技術
が持つ欠点を解消した表示体が得られる。また表示体の
構造が簡単でコントラストも高い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カード等の表示体
に適した、書換え可能な表示素子、その製造方法、表示
体、および表示体の書換え方法に関するもので、画素単
位の細かさで高分子隔壁を形成する新しい方法を応用し
たものである。
【0002】
【従来の技術】表示体に入力する情報の種類や表示体の
使用方法により、種々の表示体が存在する。ビデオモニ
ター用ディスプレイや計器のように、刻一刻の情報の変
化を表示するもの、鉄道の駅での列車の案内や空港等で
の便の案内のように、表示内容の変化に多少の時間を要
するもの等である。公衆電話の料金前払い用カードや交
通機関の料金前払い用カード(鉄道、バス、高速道路料
金等)では、購入時の額面金額から使用の都度、使用可
能な金額が減って行くが、現状では、残金の目安を適当
な間隔の数字目盛りに合わせて小孔を開けたり、金額そ
のものを印字して使用者に見えるようにしている。似た
ようなもので、小売り業者が、顧客の購入金額に応じて
点数を与え、後日、累積点数に応じた優遇を行なうため
に発行する点数カード(ポイントカード)があり、例え
ば、顧客番号、氏名、付与点数、および累積点数等を表
示している。なお、この明細書における「カード」と
は、財布や衣服のポケット等に入れて携帯され、ほぼ名
刺程度の大きさに統一されているものであって、銀行カ
ードやクレジットカード、公衆電話や鉄道の料金前払い
用カード、又は点数カード等に使用されているものを指
す。
【0003】上記のいずれの表示体においても、時間的
間隔の相違はあるとしても、それまでの表示内容を消去
し、新たな情報を表示する必要、即ち、表示を書き換え
る必要があり、そのような用途に適した書換え可能な表
示体が存在する。先に挙げたビデオモニター用ディスプ
レイ、計器、鉄道の駅での連者の案内や空港等での便の
案内のような場合には、発光ダイオードや液晶ディスプ
レイ等が使用されるが、概してディスプレイ自体が大き
い上に、駆動のための回路や電源を要する。しかし、カ
ード用途においては、表示体は薄くて軽量なものでなけ
ればならず、又、個人が保持しているときには、必ずし
も書換えが必要でなく、携帯可能である事が優先され
る。
【0004】上記のような表示体に適する、書換え可能
な表示素子の一つの有効な形式として、ゲスト−ホスト
型液晶表示素子があり、高分子物質中に、液晶化合物お
よび二色性色素を分散させてある層を表示素子としたカ
ードが提案されている(特開平5−295092号、あ
るいは特開平5−301489号)。高分子物質と液晶
は、溶液では相溶性があるが、乾燥された塗膜状態では
相溶性がないものどうしを選択し、また、二色性色素と
しては、液晶との相溶性が高いものを選択して塗料組成
物を調製し、基材に塗布し、乾燥させると、二色性色素
を含有する液晶の液滴が高分子物質中により隔離された
構造の層が形成され、この形成された層に電場をかける
と、液滴内の液晶の分子と二色性色素の分子が配向して
色が消えた透明状態となって見え、加熱すると、配向が
乱れて着色して見えるものである。
【0005】しかし、上記のように塗装して層を形成す
る際に、二色性色素のすべてが液滴内に集まるのではな
く、二色性色素は高分子物質にも僅かながら溶解性を示
すので、二色性色素が液晶中だけでなく、高分子物質中
にも含有されてしまう。高分子物質中の二色性色素は電
場をかけても配向せず、完全には透明にならず、コント
ラストを低下させる原因となる。また、書換えを繰り返
して行くと、高分子物質の劣化により、液滴内の液晶の
分子と二色性色素の分子が、高分子物質中に溶け込んで
行くため、熱をかけたときに発色して見える筈の、液滴
内の液晶の分子と二色性色素の分子が減って、発色濃度
が上がらなくなり、また、高分子物質中に溶け込んだ二
色性色素が着色して見えるため、コントラストも次第に
低下して行く。従って、書換え可能な回数は数十回〜数
百回と少なく、表示素子の交換を頻繁に必要とする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術におい
て、製造した時点で既に、表示素子の表示のコントラス
トを低下させる要因を有している点、および書換えの都
度、液滴内の液晶の分子と二色性色素の分子が高分子物
質中に溶け込むため、発色濃度が上がらなくなり、コン
トラストが低下して、書換え可能な回数が少ない点を解
消する事を課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明においては、従来
技術におけるように、溶解性の差を利用した分離ではな
く、液晶化合物、二色性色素、および硬化性化合物を溶
解した塗料組成物を調製しながらも、各々の成分の比誘
電率の差により、分離をより確実にし、かつ分離した状
態を維持しつつ硬化させる事により、上記の従来技術が
持つ欠点を解消する。
【0008】請求項1の発明は、互いに向き合った2枚
の基材の間が周縁部で密封された内部に、前記2枚の基
材と硬化した高分子物質からなる隔壁とで仕切られ密封
された多数のセルを有し、前記セル内の各々が、液晶と
二色性色素の混合物で満たされていて、前記2枚の基材
のうち、いずれかの基材が電極を有していると共に、前
記2枚の基材の少なくともいずれか一方が透明性を有
し、セル内が透視可能であることを特徴とする書換え可
能な表示素子に関するものである。
【0009】請求項2の発明は、請求項1において、液
晶と二色性色素の比誘電率が、硬化性化合物の比誘電率
よりも0.5〜50大きいことを特徴とする書換え可能
な表示素子に関するものである。
【0010】請求項3の発明は、請求項1において、液
晶がスメクチック液晶であることを特徴とする書換え可
能な表示素子に関するものである。
【0011】請求項4の発明は、請求項1において、少
なくともいずれか一方の基材が柔軟性のある素材からな
ることを特徴とする書換え可能な表示素子に関するもの
である。
【0012】請求項5の発明は、請求項4において、両
方の基材がプラスチックフィルムであることを特徴とす
る書換え可能な表示素子に関するものである。
【0013】請求項6の発明は、請求項1において、電
極が透明性を有するか、もしくは鏡面反射性又は拡散反
射性であることを特徴とする書換え可能な表示素子に関
するものである。
【0014】請求項7の発明は、請求項1において、セ
ルの平面形状が、任意の形状である発明の書換え可能な
表示素子に関するものである。
【0015】請求項8の発明は、いずれかの基材が電極
を有し、また、少なくともいずれか一方の基材が透明性
を有する2枚の基材を準備し、前記の2枚の基材を間隔
を保って重ね合わせる工程、前記の2枚の基材の周縁ど
うしを密封する工程、液晶、二色性色素、および前記液
晶、前記二色性色素よりも誘電率が低い硬化性化合物と
からなる混合物を内面に充填する工程とを行なった後、
前記2枚の基材のいずれかが有する電極と、電極を有し
ていない側の基材の外側に配置した外部電極とを利用し
て電場を作用させることにより、密封された前記2枚の
基材の内側において、電場が作用した部分には前記液晶
と前記二色性色素を、また、電場が作用しなかった部分
には前記硬化性化合物を分離させた状態とし、次いで、
前記の分離させた状態を保持したまま、硬化性化合物を
硬化させることにより、前記2枚の基材の密封された内
部に、前記2枚の基材と硬化した高分子物質からなる隔
壁とで仕切られ密封された多数のセルの各々が液晶と二
色性色素の混合物で満たされていている状態を生成させ
ることを特徴とする書換え可能な表示素子の製造方法に
関するものである。
【0016】請求項9の発明は、請求項8において、混
合物として液晶、二色性色素、および前記液晶、前記二
色性色素よりも誘電率が低い硬化性化合物の混合物にさ
らにスペーサ粒子が分散された液体を使用し、前記液体
を一方の基材の電極側に滴下し、その上に別の基材を重
ね合わせて前記液体を内面に拡げ、次いで周囲を密封す
ることを特徴とする書換え可能な表示素子の製造方法に
関するものである。
【0017】請求項10の発明は、請求項8において、
スペーサ粒子を散布して、2枚の基材の間隔を保って重
ね合わせる工程を行なうことを特徴とする書換え可能な
表示素子の製造方法に関するものである。
【0018】請求項11の発明は、請求項8において、
硬化性化合物が熱硬化性化合物であり、硬化を加熱によ
り行なう書換え可能な表示素子の製造方法に関するもの
である。
【0019】請求項12の発明は、請求項8において、
硬化性化合物が電離放射線硬化性のモノマーまたはオリ
ゴマーであり、硬化を電離放射線の照射により行なうこ
とを特徴とする書換え可能な表示素子の製造方法に関す
るものである。
【0020】請求項13の発明は、請求項8において、
外部電極として、表面に凹凸を有する導電体から構成さ
れたものを使用することを特徴とする書換え可能な表示
素子の製造方法に関するものである。
【0021】請求項14の発明は、互いに向き合った2
枚の基材の間が周縁部で密封された内部に、前記2枚の
基材と硬化した高分子物質からなる隔壁とで仕切られ密
封された多数のセルを有し、前記セル内の各々が、液晶
と二色性色素の混合物で満たされていて、前記2枚の基
材のうち、いずれかの基材が電極を有していると共に、
前記2枚の基材の少なくともいずれか一方が透明性を有
し、セル内が透視可能であることを特徴とする書換え可
能な表示素子を基材の表面の一部に有する表示体に関す
るものである。
【0022】請求項15の発明は、請求項14におい
て、基材がカード基材であることを特徴とする表示体に
関するものである。
【0023】請求項16の発明は、請求項14または1
5記載の表示素子全体に電場を作用させることにより液
晶と二色性色素とを配向させて各セルを透明化させた
後、加熱手段により表示を行わせることを特徴とする表
示体の書換え方法に関するものである。
【0024】請求項17の発明は、請求項14または1
5記載の表示素子全体を加熱することにより液晶と二色
性色素の配向を乱して各セルを着色させた後、表示素子
が有する電極と外部電極を利用して電場を作用させるこ
とにより、電場が作用した部分において液晶と二色性色
素とを配向させて、その部分のセルを透明化させること
により表示を行わせることを特徴とする表示体の書換え
方法に関するものである。
【0025】
【発明の実施の形態】まず、本発明の書換え可能な表示
素子について説明し、その後、その製造方法、表示体、
および表示体の書換え方法について順次説明する。本発
明の書換え可能な表示素子は、図1の平面図に例示する
ように、観察側である前面側(=手前側)の基材1と、
背面側の基材1’との内面どうしが、基材1および1’
の周縁部においてシール部2により密封されたものであ
る。そして密封された内部は、隔壁4によって仕切られ
た多数のセルを有し、セル内に発消色可能な材料5、例
えば、液晶と二色性色素の混合物が満たされたものであ
る。
【0026】図2については、後に説明するが、図1に
示した書換え可能な表示素子を作製するために使用する
電極13を有した基板11の形状を示している。
【0027】図3および図4は、いずれも、図1に示し
た書換え可能な表示素子のA−A線矢視断面図である。
図3に示すように、書換え可能な表示素子は上面側(=
手前側)の基材1と、電極3を上面側に有する基材1’
とが、周縁部をシール部により密封され、かつ密封され
た内部に、上下の基板1および1’と、両基板1、1’
をつなぐ隔壁4とで仕切られて密封されたセルを有し、
セル内に発消色可能な材料5が満たされている。図4
は、図3のものとほぼ同じで、両者の相違は、電極3を
図3では下側の基材1’上に有しているのに対し、図4
では、上側の基材1の下面に有している点である。
【0028】書換え可能な表示素子の書換えは、セル内
の発消色可能な材料5の発色、および消色により行われ
るので、図3のものを上面側から観察するようにする場
合には、基材1が透明性を有していて、セル内が透視可
能である必要がある。また、図4のものを上面側から観
察するようにする場合には、基材1および電極3がいず
れも透明性を有していて、セル内が透視可能である必要
がある。要は、基材1および1’のいずれかが透明であ
ること、そして、基材1および1’のうち、透明な方の
基材が電極3を有している場合には、その電極が透明性
を有している必要がある。
【0029】図5〜7は、本発明の書換え可能な表示素
子を製造する過程を示す、いずれも断面図であり、図3
に例示する断面構造のものを製造するためのものであ
る。図5は、準備段階を示しており、電極3を上面側に
有する基材1’上に基材1が重ねられ、間がシール部2
により密封されており、かつ、密封された内部に、硬化
性化合物14、並びに液晶と二色性色素の混合物15
が、互いに混合された状態で充填されており、さらに、
基材1の上面側に、下面に多数の電極13を有する基板
11が密着した状態となっている。ここで使用する、電
極13を有する基板11は図2に平面図で示した形状で
あって、図1に示す書換え可能な表示素子における、隔
壁4によって仕切られた多数のセルの平面形状に相当す
る。一例として、電極13は、幅が100μm、間隔が
10μmのストライプ状に形成してある。また、基板
1’上の電極3は、例えば、均一一様な電極である。
【0030】上記の準備段階における内部の状態を図6
に断面図で示す。図に示すように、シール部2により密
封された内部には、硬化性化合物14、並びに液晶と二
色性色素の混合物15が、特に規則性を持たずに存在し
ている。また、基材1上には、下面に多数の電極13を
有する基板11が重ねて置かれており、これら電極13
と、基材1’が上面に有する電極3との間に電圧をかけ
られるよう、図示はしていないが、電源がつながれてい
る。
【0031】上記の状態で、電極13〜電極3間に電圧
をかけると、液晶と二色性色素の誘電率を硬化性化合物
14の誘電率よりも高くなるよう選定しておくと、液晶
と二色性色素の混合物15が、電圧のかかる部分、即
ち、この例では電極13のある部分に集まり、これによ
り、硬化性化合物14は電極13のある部分から排除さ
れて、電極13のない部分に集まって、液晶および二色
性色素と硬化性化合物とが分離した状態になる。
【0032】そこで、電圧をかけた状態を保ったまま、
上下のいずれか透明性を有する側より、セル内部に紫外
線等を照射して、硬化性化合物を硬化させると、上記の
分離した状態が固定され、硬化した硬化性化合物14か
らなる隔壁4が形成されると共に、セル内に液晶および
二色性色素の混合物15からなる発消色可能な材料5が
満たされた状態となる。
【0033】上記の書換え可能な表示素子に使用する各
部分と、書換え可能な表示素子の製造方法について、以
下に説明する。基板1、1’としては、ガラス、石英等
の無機物の板や、プラスチックシートないしフィルム等
が使用される。プラスチックシートないしフィルムを構
成するプラスチックとしては、ポリエチレンテレフタレ
ート、またはポリエチレンナフタレート等のポリエステ
ル樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリイミド樹脂、または
ポリエチレン樹脂等が使用できる。これらの素材には、
さらに表面に金属酸化物や反射能の高い金属薄膜を被覆
してあってもよい。基板1、1’としては、ポリイミド
等の比誘電率の高いものを使用することが好ましく、そ
の誘電率が、セル内の液晶の比誘電率の1/2以下であ
ることが好ましい。
【0034】電極3を構成する素材は、基板1、1’へ
の密着性、パターニングの適性等を考慮して選択する
が、具体的には、アルミニウム、金、銀、銅等の鏡面反
射性、または拡散反射性を有する金属薄膜、あるいは、
透明性を有する酸化インジウム錫等の透明導電性薄膜等
である。通常、蒸着、スパッタリング等の薄膜形成手段
により基板1、1’上に均一に形成するか、必要に応じ
ては、所定のパターン部分のみを残して、そのほかの部
分をエッチング等により除去し、電極パターンを形成し
ておく。電極のパターンは一様均一、またはパターン状
のいずれでもあり得るが、対極として外部に設置する電
極13との間に、選択的に電圧がかかるよう、いずれか
一方を一様均一とし、他方をパターン状とする必要があ
る。
【0035】電極パターンは上記のような手法で作製す
ると、厚みがごく薄いものであり、どこかにリード部を
形成して電源とつなぐ必要があるが、逆に1枚の金属板
を研削するか、パターン状にエッチングする等して、パ
ターン部を高さのある凸部として形成することにより、
リード部をパターン部どうしの間に形成しなくても、電
気的な導通を確保できる利点がある。図8はそのような
電極の例を示し、基板11上に凸状の電極13を有する
ものであり、ここで、基板11と電極13とは同一の金
属板等の導電性の板から作られたものでも、基板11上
に金属板を貼り合わせたものを金属の厚み分をエッチン
グすることにより作製したものであってもよい。図9
は、図8の電極と、均一な対極を用いて形成した隔壁4
を、分かりやすくするため、上側の電極を除いた状態で
示す。
【0036】電極のパターンを設計する際に、局部的に
液晶および二色性色素の混合物、または硬化性化合物が
分離して占めるべき面積比が場所によって極端に異なる
と、液晶および二色性色素の混合物と硬化性化合物との
分離が円滑に行なえなくなることがあるので、この点を
留意して設計する。具体的には、面積0.04mm
2(=言い換えれば、0.2mm×0.2mmの方眼
内)当たりの、液晶および二色性色素の混合物が占める
部分の面積と、硬化性化合物が占める面積とが等しくな
るよう設計する。
【0037】書換え可能な表示素子内の電極と、外部電
極のうち、一方が一様均一な電極の場合には、他方のパ
ターン電極のパターン部と非パターン部の面積比を、そ
れぞれ液晶および二色性色素の混合物が占める面積、お
よび硬化性化合物が占める面積とすればよい。また、内
外いずれの電極もパターン状に形成する際には、上下の
いずれにも電極がある部分を、液晶および二色性色素の
混合物が占める面積とし、上下少なくともいずれか一方
に電極がない部分を、硬化性化合物が占める面積とす
る。これらの面積比に応じて、使用する液晶および二色
性色素と、硬化性化合物との仕込み比率をも決めるが、
例えば、硬化性化合物であるモノマーが硬化してポリマ
ーになる際等に、体積収縮が見込まれるときは、硬化性
化合物の使用量を増やす等、考慮する必要がある。
【0038】液晶としては、原則的には、ネマチック液
晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶等を使用す
ることができる。電源をオフにした状態でも表示が消え
ない、メモリー性を発現させるためには、スメクチック
液晶を使用する事が望ましい。電場をかけたときに、液
晶および二色性色素と硬化性化合物が分離しやすいため
には、粘度が低いものである事が好ましく、その意味で
粘度が1000センチポイズ以下であり、より好ましく
は、300センチポイズ以下である。ただし、粘度の高
いものであっても、液晶およびその他の素材の耐熱性に
問題が無い限り、加熱して粘度を下げて使用することも
できる。
【0039】二色性色素は、例えば、インドールブル
ー、スーダン・ブラックB、スーダン3、スーダン2、
メルク社製のD−37、D−43、およびD−85等、
さらには、三井化学(株)製のS−428等が使用でき
る。
【0040】壁状の仕切りを構成する高分子は、硬化性
化合物を原材料として使用し、重合または架橋により硬
化させたものである。具体的には、熱硬化性化合物や紫
外線または電子線の照射により硬化する電離放射線硬化
性化合物を用いる。熱硬化性化合物としては、フェノー
ル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ア
クリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレ
ート樹脂、エポキシ樹脂、またはシリコーン樹脂等が使
用できる。
【0041】電離放射線硬化性化合物としては、例とし
て、2−エチルヘキシルアクリレート、エトキシジエチ
レングリコールアクリレート、2−ヒドロキシエチルア
クリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2
−フェノキシエチルアクリレート、またはフェノキシジ
エチレングリコールアクリレート等の単官能アクリレー
ト、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグ
リコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ
アクリレート、またはジペンタエリスリトールヘキサア
クリレート等の多官能アクリレートのモノマーないしは
オリゴマーを挙げる事ができ、これらは単独で用いて
も、混合物として用いてもよい。更には、エポキシアク
リレートやウレタンアクリレート、シリコーンアクリレ
ート等も使用できる。液晶および二色性色素と硬化性化
合物とは、後述するように、電場をかけて、互いに相分
離を起こさせる必要上、前者の誘電率は後者の硬化性化
合物の誘電率よりも大きい方が望ましく、誘電率の差と
しては、0.5〜50、好ましくは5〜50である。な
お、液晶、および二色性色素の比誘電率の値は、5〜5
0であることが好ましく、硬化性化合物の比誘電率の値
は、0.1〜20であることが好ましい。
【0042】電離放射線硬化性化合物のうち、紫外線硬
化性化合物を使用する際には、必要に応じて、光重合開
始剤を配合しておく。なお、このほかに、基板1、1’
の間隔を制御する意味で、無機質または有機質のスペー
サ粒子を基板1、1’の間に含んでいてよい。
【0043】本発明の表示素子を製造するには、書換え
可能な表示素子の内部にある電極と外部電極とを使用す
る。ここで、電極をどの位置に構成するかについては、
種々のやり方があり、次のようにまとめられる。 (1)表示素子が両電極を有するケース (2)表示素子が一方の電極のみ有し、他方が外部電極
のケース (3)表示素子が電極を有してなく、両方とも外部電極
のケース なお、(1)、(2)のケースにおいては、表示素子が
有する電極が表示素子の内側か外側かの区別があり、
(1)においては、当然ながら、上側の基板と下側の基
板とで電極を有する側が内側か外側かの組み合わせが4
通りある。上記のうちで、書換え可能な表示素子自体が
両電極を有する(1)のケースが、最も解像度、および
感度が高く、また、両電極とも外部から与える(3)の
ケースが、電極を外した場合の透視性が最も高い。これ
は、透明電極が僅かに着色しているため、コントラスト
を低下させることによる。本発明においては、(2)の
構成とすることにより、解像度、および感度に加えて、
透視性をも確保している。中でも、表示素子が有する電
極が表示素子内にある方が、より好ましい。
【0044】書換え可能な表示素子の上下の電極より電
圧をかけることにより、電場をかけられた空間内に電場
を打ち消そうとする力が働き、比誘電率が高い液晶およ
び二色性色素の分子が電極が上下にあり、電場が作用し
た部分に集まり、硬化性化合物は上下の少なくとも一方
に電極のない部分、即ち、電場が作用しない部分に押し
出され、分離が起こる。前記したように、予め、各々が
占めるであろう部分の体積を想定して、液晶および二色
性色素と、硬化性化合物の量比を決めておく。この分離
が起きた状態で、電場をかけたまま、硬化性化合物を硬
化させると、硬化性化合物が重合または架橋して硬化し
た結果生じる高分子が基板1〜1’間を占める隔壁とな
り、上下に電極のある部分が液晶および二色性色素で満
たされる。
【0045】硬化性化合物の硬化を起こさせるには、硬
化性化合物が熱硬化性化合物であれば加熱し、電離放射
線硬化性化合物であれば、紫外線、電子線等の電離放射
線を照射する。なお、上記の電場を利用した相分離の新
手法は、「液晶/高分子ディスプレイにおける高分子壁
の新規な形成方法」として、既に発表されたものである
(Y.Kimほか、SID Digest of Te
chnical Papers、1998年、397頁
〜400頁に掲載)。ただし、そこには、二色性色素を
使用する点の記載がなく、必ず、アドレス電極を使用し
ており、また、本発明におけるように、表示素子を加熱
で発色させ、電場で消色させる書換え可能な表示素子と
しての使用方法および用途については触れられてない。
【0046】なお、電圧の印加、硬化性化合物の硬化る
先立ち、2枚の基板を対向させて配置し、先に周囲をシ
ールしてから、内部に液晶、二色性色素、および硬化性
化合物からなる混合物を充填するか、または、混合物を
一方又は両方の基板の内面に塗布しておき、塗布された
基材を塗布された側を内側にして重ね合わせ、その後
に、周縁部をシールしてもよい。基板どうしを重ね合わ
せるとき、無機質又は有機質の粒子をスペーサとして使
用すると、間隔の制御が容易になるので、使用する事が
望ましく、混合物の塗布に先立って散布するか、混合物
中に練り込んでおいて使用するとよい。なお、周囲を密
封する事は、硬化性化合物の硬化により周囲に壁ができ
て密封できるときは、省略し得るが、作業上必要か、ま
た表示素子として使用する際の耐久性を考慮すると密封
した方がより好ましい。
【0047】液晶および二色性色素と、硬化性化合物と
を分離させるために、電極間にかける電圧は交流でも直
流でもよいが、交流を用いた方が相分離が速く行なわれ
るので、より好ましい。交流を用いるときは、電場の向
きの変化に伴ない、液晶分子も活発に動くために、液
晶、二色性色素、および硬化性化合物からなる混合物が
攪拌され、相分離が促進されるものと考えられる。交流
の場合の周波数および電圧の最適値は、使用する液晶、
二色性色素、硬化性化合物によっても異なるので、一概
には言えないが、周波数としては数Hz〜数100Hz
程度、電圧としては数V/μm〜数10V/μmをかけ
る。
【0048】電場をかける前は、図6に示すように、液
晶と二色性色素(量的には液晶がほとんどを占めるの
で、両者をまとめて符号15で示す。)および硬化性化
合物14はランダムな状態であり、この状態では、二色
性色素の存在により、着色状態として観察できる。電場
をかける事により、液晶と二色性色素とは相対的に誘電
率が高いので、図7中符号15で示すように、上下に電
極のある部分に選択的に集合し、誘電率の低い硬化性化
合物14は、逆に電極の無い部分か上下いずれかに電極
が無い部分に押し出される。先に触れたように、電極の
面積比に対応して、液晶と硬化性化合物の配合比を予め
決めておき、硬化性化合物が電極の無い部分(上下いず
れかに無い場合を含む)を上から下まで確実に充填する
ようにする。
【0049】液晶および二色性色素と、硬化性化合物と
が分離した状態を固定するには、電場をかけたまま、加
熱するか、紫外線または電子線を照射し、電極の無い部
分(上下いずれかに無い場合を含む)に集まった硬化性
化合物を重合または架橋させて硬化させる。加熱で行な
う場合には、基板1、1’をホットプレート上に置く
か、2枚のホットプレートで挟んで行なうとよい。本発
明においては、電極の有無により、硬化性化合物がパタ
ーン化されるので、電離放射線を使用する場合でも、こ
とさらフォトマスクを要しない。電極部分に集まった液
晶や二色性色素が電離放射線照射で劣化する場合や、そ
のほかの必要性により、液晶や二色性色素が集まった部
分に、電極とはネガポジの関係のパターンを用いて、電
離放射線照射をする場合等はフォトマスクを使用する事
もできる。
【0050】上記の工程により、電極の無い部分(上下
いずれかに無い場合を含む)に集まった硬化性化合物が
重合または架橋して硬化し、その位置に高分子の隔壁4
が形成される。図3に示すように、下側の基板上の電極
が均一一様に形成されており、上側の電極パターンが図
2に示すような形状の場合には、図1に示すようなスト
ライプ状の隔壁4が形成される。隔壁4とシール部2と
で多数の一方向に長いセルが形成され、液晶および二色
性色素は、セル内に充填される。
【0051】次に、本発明の表示素子の利用例について
説明する。本発明の表示素子は、種々の形態の表示体と
して使用できるが、基板をフレキシブルな材料で構成す
るときは、表示素子がたわんだときでも、上下の電極間
の距離が保たれるので、人が携帯して、ある程度の曲げ
の力がかかるような用途の表示体ににも向くものであ
る。従って、適当な大きさのシート状の表示素子を作
り、感熱プリンタやレーザー光による印字を行なうこと
によって、コンピュータのメモリ上の情報を一時的に目
で見える状態にするような使用方法に供することがで
き、必要性が無くなった時点で、電場をかけて消去がで
きるから、秘密を要する会議等でA4サイズ等で配付
し、終了後に回収し、情報を消去する等の使用方法にも
適する。また、透過型として使用できるタイプの場合、
オーバーヘッドプロジェクタでの使用も可能である。
【0052】本発明の表示素子を利用し、現在使われて
いる、銀行カードやクレジットカード、公衆電話や鉄道
の料金前払い用カード、又は点数カード等のカードの一
部に貼る等して、カード基材上にリライタブルな表示部
を有した表示体とすることができる。表示素子を適用す
る位置や大きさは、任意である。
【0053】カード基材は、例えば、ポリ塩化ビニル樹
脂、又はポリエステル樹脂のようなプラスチックシート
であり、透けて見えることを防止する意味で、白色顔料
を練り込んだものが好ましい。カード基材としては、用
途に応じて、2枚のプラスチックシートを積層したり、
表裏を透明なプラスチックシートで被覆する等、複数枚
のプラスチックシートを積層して使用したものであって
もよい。プラスチックシートのようなフレキシブルな基
材を使用することにより、カード全体に柔軟性を持たせ
ることができる。カード基材には、図示しないが、必要
に応じて、次の(1)〜(6)に例示するような種々の
加工や層の積層を施してあってもよい。(1)カード発
行元の商号、カードの名称、会の名称、カードの有効期
限、リーダーライターへの挿入方向、利用に関する注
意、カード保有者の氏名、またはカードの発行番号等の
印刷またはインプリント、(2)磁気記録層の積層、
(3)偽造防止のためのホログラムまた回折格子の積
層、(4)署名用の筆記層の積層、(5)光書き込み可
能な光記録層、演算やメモリのためのIC、LSIの埋
め込み、もしくは(6)昇華転写また写真の貼り付けに
よる画像形成可能な区域の形成等である。
【0054】表示素子は、カード基材の表面に単に積層
するよりも、その厚み分だけ埋め込んで、表示素子を形
成した部分が盛り上がる事無く、そのほかの部分と同一
な面を有している事が好ましい。表示素子上には保護の
ための被覆を行なってもよいが、表示素子の表裏には、
もともと透明基材が積層されているので、格別の被覆を
行わなくても、透明基材で保護のための層を兼ねること
もできる。なお、表示素子は、内部に基材1〜1’間の
間隔を決定し、維持するスペーサ粒子を含んでいた方
が、カードに曲げの力や圧力がかかったときの抵抗が生
じ、表示素子の破壊を防止できる利点がある。
【0055】本発明の表示体の使用に際しては、表示体
の全面に熱をかけることにより、スメクチック液晶の配
向が乱れ、それに伴って二色性色素もランダムな方向を
向き、不透明な着色状態として見え(オフ状態)、ま
た、表示体に電場をかけると、スメクチック液晶と二色
性色素が電場の方向に分子長軸が平行になるよう配列
し、無色透明となる(オン状態)。従って、表示素子を
まず均一に発色させた後、必要な部分にのみ電場をかけ
て透明化することにより文字等を形成するか、一旦、全
面に電場をかけて無色の状態にした後、必要な部分にの
み感熱プリンタやレーザー光で加熱印字して文字やパタ
ーンを形成して使用する。これらの場合において、電場
をかけるには、表示素子内の電極と外部から密着させる
表示素子とは別の外部電極を使用する。カード類として
使用する際には、情報の書換えは、銀行カードであれ
ば、キャッシュディスペンサー、クレジットカードを使
用する商店、料飲店等に設置された端末機、公衆電話や
鉄道の自動券売機、自動改札機、または点数カードを発
行する商店等に設置された端末機等に、加熱、電圧印加
手段を備えた装置により行なわれるので、無用な改ざん
を防止することができ、カードを保持する者にとって
は、表示データがその都度書き換えられるから、最新の
データを見ることができる。
【0056】
【実施例】(実施例1)片面にアルミニウムを蒸着し
た、厚み25μmの鏡面反射性を有するポリエチレンテ
レフタレート樹脂フィルム(大きさ10cm×10c
m)のアルミニウム蒸着面に、直径10μmのスペーサ
粒子を散布し、その上から厚み12.5μmの透明なポ
リイミド樹脂フィルム(大きさ10cm×10cm、比
誘電率;約5)を重ね、封入口を残して、周囲をエポキ
シ樹脂系接着剤でシールした。続いて、スメクチック液
晶(メルク社製、商品名;S−6)、二色性色素(三井
化学(株)製、黒色色素、商品名;S−428)、およ
び紫外線硬化性樹脂(ノーランド社製、商品名;NOA
60)の混合物を準備し、100℃に加熱し、封入口よ
り、内部に充填し、その後、封入口を周囲のシールに用
いたのと同じ接着剤を使用してシールした。使用した混
合物中の各物質の重量比は、S−6/S−428/NO
A60=100/2/17とした。また、各々の比誘電
率は、S−6とS−428が約11であり、NOA60
が5程度であった。
【0057】外部透明電極として、ガラス板(大きさ1
2cm×12cm)に酸化インジウム−錫を蒸着したも
のをエッチングして、幅160μm、間隔10μmのス
トライプパターンを形成したものを準備した。
【0058】上記でシールし、内部に充填した、アルミ
ニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムと
ポリイミド樹脂フィルムとの重ね合わせ体を、23℃ま
で冷却し、ポリイミド樹脂フィルム側より外部透明電極
を密着させ、アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレ
ート樹脂フィルムのアルミニウム蒸着層との間に50H
z、1200Vの交流電圧をかけ、電圧をかけたまま、
30分間静置し、やはり電圧をかけたまま、ま外部透明
電極側から、波長365nmの波長の紫外線(20mW
/cm2 )を30分間照射して、表示素子を得た。
【0059】上記で得られた表示素子全体を100℃に
加熱すると、表示素子全面が黒色に着色し(微視的に
は、幅160μm、間隔10μmのストライプ状に着色
している。)、記号をかたどった外部電極をポリイミド
樹脂フィルム側から密着させて、アルミニウム蒸着ポリ
エチレンテレフタレート樹脂フィルムのアルミニウム蒸
着層との間に交流電場をかけると、外部電極の記号のパ
ターンのある所に応じて表示素子の黒色が消失し、下の
アルミニウム蒸着面である鏡面が透視できるようにな
り、結果として、外部電極の記号の形状が認識できた。
【0060】また、上記で得られた表示素子にベタ(均
一一様)な外部電極をポリイミド樹脂フィルム側から密
着させ、アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート
樹脂フィルムのアルミニウム蒸着層との間に交流電場を
かけると、表示素子全面に渡って、表示素子が透明化
し、下のアルミニウム蒸着面である鏡面が透視できるよ
うになり、これに感熱プリンタで印字すると、レーマル
ヘッドで加熱された部分が黒色に変色し、感熱プリンタ
で印字した通りのパターンが認識できた。上記のいずれ
の方式でパターンを形成したときにも、コントラスト
(=R K場合は、反射濃度比)が3(=1000:
1)以上の良好な性能を示した。
【0061】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、2枚の基材と
硬化した高分子物質で仕切られ密封されたセルからなる
画素部分には、液晶と二色性色素のみが満たされてお
り、かつ使用時に外部から電極を与える構造であるた
め、表示素子自体は片側の電極を有するのみであるた
め、発色時の画像の濃度・コントラストが高い。なお、
表示素子が片側に電極を有するのみであるため、構造を
単純化できる利点もある。また、硬化した高分子物質に
は、液晶と二色性色素が溶け込みにくいため、経時的に
も、発消色の繰り返しによっても、発消色機能の低下が
ごく少ない表示素子が提供できる。
【0062】請求項2の発明によれば、液晶および二色
性色素と、硬化性化合物の比誘電率の差があるので、電
場により分離して微細な構造を作成するのに適した特性
を有している。
【0063】請求項3の発明によれば、請求項1の発明
の効果に加え、散乱と配向の二つの状態を熱と電場の切
替えにより行なえるメモリー性のある表示素子が提供で
きる。
【0064】請求項4の発明によれば、請求項1の発明
の効果に加え、加圧時や多少の曲げに耐える表示素子を
提供できる。
【0065】請求項5の発明によれば、請求項4の発明
の効果に加え、フレキシブルで、かつ軽量な表示素子を
提供できる。
【0066】請求項6の発明によれば、請求項1の発明
の効果に加え、セル内が液晶および二色性色素が配向状
態にある部分において、電極が透明性を有する場合には
下層が透視でき、もしくは、電極が鏡面反射性又は拡散
反射性である場合には、鏡面反射性が得られるか、また
は拡散反射性が得られるので、画像の視認性が向上す
る。なお、電極が鏡面反射性又は拡散反射性である場合
には、表示素子内に反射性層を有しているので、表示素
子以外の別の反射板を必要とせず、表示素子の構造が単
純化でき、また、表示素子内で反射するため、コントラ
ストも高い。
【0067】請求項7の発明によれば、請求項1の発明
の効果に加え、単に、規則的な配列の画素では得られな
い、予めデザインされた形状の画像を滑らかな輪郭で表
示できる。
【0068】請求項8の発明によれば、液晶および二色
性色素と、硬化性化合物とを、各々の比誘電率の違いに
より、電場を作用させて分離させ、分離を保った状態で
硬化性化合物を硬化させることにより、分離が確実かつ
完全に行なわれ、セル単位に液晶および二色性色素が隔
離された表示素子を容易に製造できる利点がある。
【0069】請求項9の発明によれば、請求項8の発明
の効果に加え、2枚の基材の間にスペーサ粒子を分散さ
せた液体を挟むので、表示素子の製造時に、2枚の基材
間の間隔を正確に保つことができ、かつ、加圧により2
枚の基材が接触することが防止されると共に、得られた
表示素子においても、2枚の基材間の間隔の維持が可能
である。
【0070】請求項10の発明によれば、請求項8の発
明の効果に加え、スペーサ粒子を散布して、2枚の基材
を重ね合わせるので、両者の間の間隔を正確に設定し、
維持することができる。
【0071】請求項11の発明によれば、請求項8の発
明の効果に加え、硬化性化合物の硬化を加熱により行え
るので、手段が簡素であり、紫外線照射のように、照射
する側の基材が透明性である必要が必ずしもない。
【0072】請求項12の発明によれば、請求項8の発
明の効果に加え、硬化性化合物の硬化を電離放射線の照
射により行えるので、硬化が短時間で行なえる利点があ
る。
【0073】請求項13の発明によれば、請求項8の発
明の効果に加え、互いに不連続な画素であっても、導通
が容易であり、セル設計上の作成上の制約がない。
【0074】請求項14の発明によれば、外部電極を使
用して、任意のパターンを生じさせて、肉眼で認識でき
る表示体を提供できる。
【0075】請求項15の発明によれば、請求項14の
発明の効果に加え、カードとしての扱いやすさ、そのカ
ードか持つ機能を合わせて享受できる。
【0076】請求項16の発明によれば、電場で一旦透
明化したセルを加熱印字手段で加熱し、表示を行わせる
ことができるので、表示を行わせるための操作が簡易
で、表示素子以外には、消耗品が不要である。
【0077】請求項17の発明によれば、加熱して一様
に発色させたものを部分的に電場を作用させて透明な印
字を行わせることができるので、印字手段がないとき
は、手軽に印字ができず、不正な印字をしにくい利点が
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】表示素子の平面図である。
【図2】外部電極の平面図である。
【図3】表示素子の断面図である。
【図4】表示素子の断面図である。
【図5】表示素子の製造過程を示すための斜視図であ
る。
【図6】表示素子の製造過程を示す断面図である。
【図7】表示素子の製造過程を示す断面図である。
【図8】別の外部電極の平面図である。
【図9】図8の外部電極を使用して得られる隔壁を示す
斜視図である。
【符号の説明】
1 基材 2 シール部 3 均一電極 4 高分子隔壁 13 パターン電極 14 硬化性化合物 15 液晶および二色性色素
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C005 HA01 HA08 HB05 HB09 HB14 JA11 JA26 JB08 JB09 JC06 KA02 KA15 KA41 LA02 LA18 LA20 LB07 LB08 2H088 EA62 FA10 GA04 GA13 JA06 JA21 MA02 2H089 HA39 LA07 LA09 MA04X MA07X NA06 NA24 QA16 RA06 SA16 TA01 TA02 UA09 5B035 AA04 AA08 AA13 BA03 BA04 BB09 BC00 BC02 CA01 CA03 CA06

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに向き合った2枚の基材の間が周縁
    部で密封された内部に、前記2枚の基材と硬化した高分
    子物質からなる隔壁とで仕切られ密封された多数のセル
    を有し、前記セル内の各々が、液晶と二色性色素の混合
    物で満たされていて、前記2枚の基材のうち、いずれか
    の基材が電極を有していると共に、前記2枚の基材の少
    なくともいずれか一方が透明性を有し、セル内が透視可
    能であることを特徴とする書換え可能な表示素子。
  2. 【請求項2】 液晶と二色性色素の比誘電率が、硬化性
    化合物の比誘電率よりも0.5〜50大きいことを特徴
    とする請求項1記載の書換え可能な表示素子。
  3. 【請求項3】 液晶がスメクチック液晶であることを特
    徴とする請求項1の書換え可能な表示素子。
  4. 【請求項4】 少なくともいずれか一方の基材が柔軟性
    のある素材からなることを特徴とする請求項1の書換え
    可能な表示素子。
  5. 【請求項5】 両方の基材がプラスチックフィルムであ
    ることを特徴とする請求項4の書換え可能な表示素子。
  6. 【請求項6】 電極が透明性を有するか、もしくは鏡面
    反射性又は拡散反射性であることを特徴とする請求項1
    記載の書換え可能な表示素子。
  7. 【請求項7】 セルの平面形状が、任意の形状である請
    求項1記載の発明の書換え可能な表示素子。
  8. 【請求項8】 いずれかの基材が電極を有し、また、少
    なくともいずれか一方の基材が透明性を有する2枚の基
    材を準備し、前記の2枚の基材を間隔を保って重ね合わ
    せる工程、前記の2枚の基材の周縁どうしを密封する工
    程、液晶、二色性色素、および前記液晶、前記二色性色
    素よりも誘電率が低い硬化性化合物とからなる混合物を
    内面に充填する工程とを行なった後、前記2枚の基材の
    いずれかが有する電極と、電極を有していない側の基材
    の外側に配置した外部電極とを利用して電場を作用させ
    ることにより、密封された前記2枚の基材の内側におい
    て、電場が作用した部分には前記液晶と前記二色性色素
    を、また、電場が作用しなかった部分には前記硬化性化
    合物を分離させた状態とし、次いで、前記の分離させた
    状態を保持したまま、硬化性化合物を硬化させることに
    より、前記2枚の基材の密封された内部に、前記2枚の
    基材と硬化した高分子物質からなる隔壁とで仕切られ密
    封された多数のセルの各々が液晶と二色性色素の混合物
    で満たされていている状態を生成させることを特徴とす
    る書換え可能な表示素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 混合物として液晶、二色性色素、および
    前記液晶、前記二色性色素よりも誘電率が低い硬化性化
    合物の混合物にさらにスペーサ粒子が分散された液体を
    使用し、前記液体を一方の基材の電極側に滴下し、その
    上に別の基材を重ね合わせて前記液体を内面に拡げ、次
    いで周囲を密封することを特徴とする請求項8記載の書
    換え可能な表示素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 スペーサ粒子を散布して、2枚の基材
    の間隔を保って重ね合わせる工程を行なうことを特徴と
    する請求項8記載の書換え可能な表示素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 硬化性化合物が熱硬化性化合物であ
    り、硬化を加熱により行なう請求項8記載の書換え可能
    な表示素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 硬化性化合物が電離放射線硬化性のモ
    ノマーまたはオリゴマーであり、硬化を電離放射線の照
    射により行なうことを特徴とする請求項8記載の書換え
    可能な表示素子の製造方法。
  13. 【請求項13】 外部電極として、表面に凹凸を有する
    導電体から構成されたものを使用することを特徴とする
    請求項8記載の書換え可能な表示素子の製造方法。
  14. 【請求項14】 互いに向き合った2枚の基材の間が周
    縁部で密封された内部に、前記2枚の基材と硬化した高
    分子物質からなる隔壁とで仕切られ密封された多数のセ
    ルを有し、前記セル内の各々が、液晶と二色性色素の混
    合物で満たされていて、前記2枚の基材のうち、いずれ
    かの基材が電極を有していると共に、前記2枚の基材の
    少なくともいずれか一方が透明性を有し、セル内が透視
    可能であることを特徴とする書換え可能な表示素子を基
    材の表面の一部に有する表示体。
  15. 【請求項15】 基材がカード基材であることを特徴と
    する請求項14記載の表示体。
  16. 【請求項16】 請求項14または15記載の表示素子
    全体に電場を作用させることにより液晶と二色性色素と
    を配向させて各セルを透明化させた後、加熱手段により
    表示を行わせることを特徴とする表示体の書換え方法。
  17. 【請求項17】 請求項14または15記載の表示素子
    全体を加熱することにより液晶と二色性色素の配向を乱
    して各セルを着色させた後、表示素子が有する電極と外
    部電極を利用して電場を作用させることにより、電場が
    作用した部分において液晶と二色性色素とを配向させ
    て、その部分のセルを透明化させることにより表示を行
    わせることを特徴とする表示体の書換え方法。
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