JP2000219506A - フラーレンの製法 - Google Patents
フラーレンの製法Info
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- JP2000219506A JP2000219506A JP11022987A JP2298799A JP2000219506A JP 2000219506 A JP2000219506 A JP 2000219506A JP 11022987 A JP11022987 A JP 11022987A JP 2298799 A JP2298799 A JP 2298799A JP 2000219506 A JP2000219506 A JP 2000219506A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 炭素質同素体であるフラーレンを比較的簡単
な方法で収率良く得ることのできる技術を確立するこ
と。 【解決手段】 電極が対向して配置された型内に炭素質
粉末を充填し、真空下もしくは非酸化性ガス雰囲気下に
パルス電流を通電する。
な方法で収率良く得ることのできる技術を確立するこ
と。 【解決手段】 電極が対向して配置された型内に炭素質
粉末を充填し、真空下もしくは非酸化性ガス雰囲気下に
パルス電流を通電する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフラーレン(中空構
造炭素質同素体)の製法に関し、特に、フラーレンを比
較的簡単な設備で収率よく製造することのできる方法に
関するものである。
造炭素質同素体)の製法に関し、特に、フラーレンを比
較的簡単な設備で収率よく製造することのできる方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知の通りフラーレンとは、1980年代の
後半に発見された中空構造炭素質同素体であり、特にC
60が単離されて以来、C70,C76,C78,C82,C90,
C96などが矢継ぎ早に発見され、それらの特異な物理的
・化学的特性が確認されるに及び、世間の注目を集める
と共にその用途についても様々の研究が始められてい
る。
後半に発見された中空構造炭素質同素体であり、特にC
60が単離されて以来、C70,C76,C78,C82,C90,
C96などが矢継ぎ早に発見され、それらの特異な物理的
・化学的特性が確認されるに及び、世間の注目を集める
と共にその用途についても様々の研究が始められてい
る。
【0003】中でもC60は、これまでの炭素同素体には
見られない球形の炭素骨格上に大きなπ電子共役系を持
ち、光に対して特異な挙動を示すところから、眼や光セ
ンサーを過剰の光照射による障害から守るオプティカル
リミッターや、ポリマーにC 60ドーピングを行なうこと
による光リソグラフ、発光ダイオード、光コンピュー
タ、光起電力を利用する太陽電池など、更にはマイクロ
エレクトロニクスのパターニング、フォトレジスト、表
面被覆剤や接着剤、潤滑剤、触媒、ダイヤモンドのCV
D合成など、様々の分野で積極的な利用研究が進められ
ている。
見られない球形の炭素骨格上に大きなπ電子共役系を持
ち、光に対して特異な挙動を示すところから、眼や光セ
ンサーを過剰の光照射による障害から守るオプティカル
リミッターや、ポリマーにC 60ドーピングを行なうこと
による光リソグラフ、発光ダイオード、光コンピュー
タ、光起電力を利用する太陽電池など、更にはマイクロ
エレクトロニクスのパターニング、フォトレジスト、表
面被覆剤や接着剤、潤滑剤、触媒、ダイヤモンドのCV
D合成など、様々の分野で積極的な利用研究が進められ
ている。
【0004】ところでフラーレンを製造する方法として
は、密閉容器内へヘリウム等の不活性ガスを満たし、そ
の中で炭素電極を用いて該電極に大電流を流してアーク
放電を生ぜしめ、炭素電極の消耗によって生じる煤を集
積して該集積原料から生成したフラーレンを溶媒抽出す
る気化方法が知られており、この他にも熱分解法や燃焼
法等が報告されている。
は、密閉容器内へヘリウム等の不活性ガスを満たし、そ
の中で炭素電極を用いて該電極に大電流を流してアーク
放電を生ぜしめ、炭素電極の消耗によって生じる煤を集
積して該集積原料から生成したフラーレンを溶媒抽出す
る気化方法が知られており、この他にも熱分解法や燃焼
法等が報告されている。
【0005】アーク放電法は、高温における炭素原子の
クラスター化と強い化学結合を利用する方法がベースと
なっている。熱分解法や燃焼法は、アーク放電法に比べ
て比較的低い温度域で介在する酸素や水素等の活性化が
フラーレンの生成に影響を及ぼしていると考えられてい
る。
クラスター化と強い化学結合を利用する方法がベースと
なっている。熱分解法や燃焼法は、アーク放電法に比べ
て比較的低い温度域で介在する酸素や水素等の活性化が
フラーレンの生成に影響を及ぼしていると考えられてい
る。
【0006】ところがアーク放電法は、炭素電極の気化
速度が非常に遅いためフラーレンの生成効率が低く、生
成比率も20%前後に過ぎないため量産性に問題があ
る。また熱分解法や燃焼法によるフラーレンの生成効率
は更に低い上に、連続生産化などの技術開発が困難であ
るため工業化は更に立ち後れているのが実状である。
速度が非常に遅いためフラーレンの生成効率が低く、生
成比率も20%前後に過ぎないため量産性に問題があ
る。また熱分解法や燃焼法によるフラーレンの生成効率
は更に低い上に、連続生産化などの技術開発が困難であ
るため工業化は更に立ち後れているのが実状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な従
来技術の問題点に着目してなされたものであって、その
目的は、フラーレンを比較的簡単な方法で収率良く得る
ことのできる技術を提供することにある。
来技術の問題点に着目してなされたものであって、その
目的は、フラーレンを比較的簡単な方法で収率良く得る
ことのできる技術を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明にかかるフラーレンの製法とは、電極が
対向して配置された型内に炭素質粉末を充填し、真空下
もしくは非酸化性ガス雰囲気下にパルス電流を通電する
ところに特徴を有している。
のできた本発明にかかるフラーレンの製法とは、電極が
対向して配置された型内に炭素質粉末を充填し、真空下
もしくは非酸化性ガス雰囲気下にパルス電流を通電する
ところに特徴を有している。
【0009】この方法を実施するに当たっては、パルス
電流条件を次の様に設定することにより、フラーレンを
より高い収率で得ることができるので好ましい。 通電電流:50〜30,000A/mm2 ベース電流周期:500〜35,000Hz 矩形パルス周期:0.1〜500Hz パルス周期幅 :15〜85%
電流条件を次の様に設定することにより、フラーレンを
より高い収率で得ることができるので好ましい。 通電電流:50〜30,000A/mm2 ベース電流周期:500〜35,000Hz 矩形パルス周期:0.1〜500Hz パルス周期幅 :15〜85%
【0010】
【発明の実施の形態】本発明者らは前述の様な状況の下
で、フラーレンのより効率の良い製法の確立を期してか
ねてより研究を進めているが、上記の様に電極が対向し
て配置された型内に炭素質粉末を充填し、真空下もしく
は非酸化性ガス雰囲気下にパルス電流を通電する方法を
採用すれば、フラーレンが極めて効率よく生成すること
が確認された。即ち、電極間へのパルス電流の通電によ
って炭素質粉末粒子間にパルス状のアーク放電が起こ
り、それに伴う極めて高い放電熱によって炭素質粉末の
フラーレン化が急速に進行することを知り、上記本発明
に想到したものである。
で、フラーレンのより効率の良い製法の確立を期してか
ねてより研究を進めているが、上記の様に電極が対向し
て配置された型内に炭素質粉末を充填し、真空下もしく
は非酸化性ガス雰囲気下にパルス電流を通電する方法を
採用すれば、フラーレンが極めて効率よく生成すること
が確認された。即ち、電極間へのパルス電流の通電によ
って炭素質粉末粒子間にパルス状のアーク放電が起こ
り、それに伴う極めて高い放電熱によって炭素質粉末の
フラーレン化が急速に進行することを知り、上記本発明
に想到したものである。
【0011】該パルス電流通電時の雰囲気条件は、高温
条件下での炭素質粉末の燃焼消耗を避けるため真空もし
くは非酸化性ガス(不活性ガスや窒素ガスなど)雰囲気
下で行われるが、上記放電条件下では炭素質粉末の表面
に吸着している酸素や水素等が通電電解活性化を促進
し、パルス放電によるフラーレンの生成を促進している
ものと思われる。
条件下での炭素質粉末の燃焼消耗を避けるため真空もし
くは非酸化性ガス(不活性ガスや窒素ガスなど)雰囲気
下で行われるが、上記放電条件下では炭素質粉末の表面
に吸着している酸素や水素等が通電電解活性化を促進
し、パルス放電によるフラーレンの生成を促進している
ものと思われる。
【0012】即ちアーク放電を利用した従来のフラーレ
ンの製造では、炭素電極間の放電による高温条件下の電
極消耗によって生じる煤から生成すると考えられている
が、アーク発生は電極間のみで生じるためフラーレンの
生成率には自ずと限界があり、前述した如く高々20%
程度の生成率が得られるに過ぎない。また燃焼法や熱分
解法では、前述の如く系内に存在する酸素や水素による
活性化がフラーレンの生成に好影響を及ぼしていると考
えられているが、フラーレン生成率はアーク放電法より
も更に低いことが確かめられている。
ンの製造では、炭素電極間の放電による高温条件下の電
極消耗によって生じる煤から生成すると考えられている
が、アーク発生は電極間のみで生じるためフラーレンの
生成率には自ずと限界があり、前述した如く高々20%
程度の生成率が得られるに過ぎない。また燃焼法や熱分
解法では、前述の如く系内に存在する酸素や水素による
活性化がフラーレンの生成に好影響を及ぼしていると考
えられているが、フラーレン生成率はアーク放電法より
も更に低いことが確かめられている。
【0013】ところが本発明は、電極間に炭素質粉末を
充満させた状態でパルス電流を印加する方法であり、電
極間にパルス電流を流すことにより、電極間のみならず
充満された各炭素質粉末の間で短周期の無数のアーク発
生が起こり、該無数のアーク発生点でフラーレンの生成
が効率よく進行すると共に、炭素質粉末に吸着している
酸素や水素によるガス生成効果とも相俟って、フラーレ
ンの生成率は後記実施例でも明らかにする如く80%以
上、更には90%以上に激増する。
充満させた状態でパルス電流を印加する方法であり、電
極間にパルス電流を流すことにより、電極間のみならず
充満された各炭素質粉末の間で短周期の無数のアーク発
生が起こり、該無数のアーク発生点でフラーレンの生成
が効率よく進行すると共に、炭素質粉末に吸着している
酸素や水素によるガス生成効果とも相俟って、フラーレ
ンの生成率は後記実施例でも明らかにする如く80%以
上、更には90%以上に激増する。
【0014】従って本発明では、原料となる炭素質粉末
を電極間に存在させると共に、短周期のアーク発生を実
現するため通電条件をパルス波形とすることが不可欠で
あり、後記比較例でも明らかにする如くパルス波形無し
の通電では本発明の如き高い生成率でフラーレンを得る
ことはできない。
を電極間に存在させると共に、短周期のアーク発生を実
現するため通電条件をパルス波形とすることが不可欠で
あり、後記比較例でも明らかにする如くパルス波形無し
の通電では本発明の如き高い生成率でフラーレンを得る
ことはできない。
【0015】パルス通電の具体的な条件は特に限定され
ないが、前述した様なアーク発生点の増大によるフラー
レン生成率向上の目的をより効果的に発揮させるには、
次の様な通電条件を採用することが望ましい。
ないが、前述した様なアーク発生点の増大によるフラー
レン生成率向上の目的をより効果的に発揮させるには、
次の様な通電条件を採用することが望ましい。
【0016】通電電流:50〜30,000A/mm2 通電電流は、アーク力に強く影響を及ぼす因子であり、
該アーク力による高温の確保とそれに伴うフラーレン生
成率向上のためには、電流値を50A/mm2以上、よ
り好ましくは1,000A/mm2 以上とすることが望
ましい。そして電流値を高めるほど相対的にフラーレン
の生成率は上昇するが、該生成率は電流値が約30,0
00A/mm2 程度で飽和し、それ以上に電流値を高め
てもそれ以上のフラーレン生成率が得られるわけではな
く、電力が無駄に消費されるばかりでなく、通電設備費
の負担増にもつながるので、好ましくは10,000A
/mm2 程度以下に抑えるのがよい。
該アーク力による高温の確保とそれに伴うフラーレン生
成率向上のためには、電流値を50A/mm2以上、よ
り好ましくは1,000A/mm2 以上とすることが望
ましい。そして電流値を高めるほど相対的にフラーレン
の生成率は上昇するが、該生成率は電流値が約30,0
00A/mm2 程度で飽和し、それ以上に電流値を高め
てもそれ以上のフラーレン生成率が得られるわけではな
く、電力が無駄に消費されるばかりでなく、通電設備費
の負担増にもつながるので、好ましくは10,000A
/mm2 程度以下に抑えるのがよい。
【0017】 ベース電流周期:500〜35,000Hz 矩形パルス周期:0.1〜500Hz パルス周期幅 :15〜85% ベース電流周期、矩形パルス周期およびパルス周期幅も
フラーレン生成率に影響を及ぼし、高いフラーレン生成
率を確保するにはベース電流周期を500Hz以上、よ
り好ましくは2,000Hz以上、矩形パルス周期を
0.1Hz以上、より好ましくは250Hz以上、パル
ス周期幅は15%以上、より好ましくは40%以上とす
ることが望ましい。但しそれらの値を過度に高めてもフ
ラーレン生成率は飽和状態に達し、それ以上に高めるこ
とは設備的にも電力消費量からしても無駄になるので、
ベース電流周期は35,000Hz以下、より好ましく
は24,000Hz以下、矩形パルス周期は500Hz
以下、より好ましくは250Hz以下、パルス周期幅は
85%以下、より好ましくは60%以下に抑えることが
望ましい。
フラーレン生成率に影響を及ぼし、高いフラーレン生成
率を確保するにはベース電流周期を500Hz以上、よ
り好ましくは2,000Hz以上、矩形パルス周期を
0.1Hz以上、より好ましくは250Hz以上、パル
ス周期幅は15%以上、より好ましくは40%以上とす
ることが望ましい。但しそれらの値を過度に高めてもフ
ラーレン生成率は飽和状態に達し、それ以上に高めるこ
とは設備的にも電力消費量からしても無駄になるので、
ベース電流周期は35,000Hz以下、より好ましく
は24,000Hz以下、矩形パルス周期は500Hz
以下、より好ましくは250Hz以下、パルス周期幅は
85%以下、より好ましくは60%以下に抑えることが
望ましい。
【0018】パルス通電によるアーク放電部(即ちフラ
ーレン生成反応領域)の温度は、放電時に生じる光の色
から判断して1万〜数万℃に達しているものと予測され
るが、具体的な温度は明確でない。
ーレン生成反応領域)の温度は、放電時に生じる光の色
から判断して1万〜数万℃に達しているものと予測され
るが、具体的な温度は明確でない。
【0019】尚本発明で使用される電極として最も一般
的なのは、従来のアーク放電法でも採用される炭素電極
であるが、本発明では上記の様に電極へのパルス電流の
印加により、電極間に充満された無数の炭素質粒子間で
アークを発生させるもので、フラーレンの生成源となる
のは該電極間に充満される炭素質粉末であって、従来の
アーク放電法の如く炭素電極の消耗を必須とするもので
はないから、必ずしも炭素電極であることが必須とされ
るわけではなく、たとえばトリアタングステン(TrO
2 ・W)、W、Moの如き非消耗型の耐熱電極を使用す
ることも可能である。
的なのは、従来のアーク放電法でも採用される炭素電極
であるが、本発明では上記の様に電極へのパルス電流の
印加により、電極間に充満された無数の炭素質粒子間で
アークを発生させるもので、フラーレンの生成源となる
のは該電極間に充満される炭素質粉末であって、従来の
アーク放電法の如く炭素電極の消耗を必須とするもので
はないから、必ずしも炭素電極であることが必須とされ
るわけではなく、たとえばトリアタングステン(TrO
2 ・W)、W、Moの如き非消耗型の耐熱電極を使用す
ることも可能である。
【0020】図1は本発明を実施する際の装置を例示す
る概略説明図であり、環境設定用のチャンバー1内にフ
ラーレン製造用の型2が配置されており、該型2を挟ん
で該型2の上下開口部に密接して上下動する如く、加圧
部材を兼ねる一対の電極3a,3bが配置されている。
そして該電極3a,3bにはパルス電源装置4からパル
ス電流が通電される様に構成されると共に、加圧用のサ
ーボモータ5により該電極3a,3bを型2の内面に沿
って上下に移動させて任意の内部圧力に調整できる様に
構成されている。
る概略説明図であり、環境設定用のチャンバー1内にフ
ラーレン製造用の型2が配置されており、該型2を挟ん
で該型2の上下開口部に密接して上下動する如く、加圧
部材を兼ねる一対の電極3a,3bが配置されている。
そして該電極3a,3bにはパルス電源装置4からパル
ス電流が通電される様に構成されると共に、加圧用のサ
ーボモータ5により該電極3a,3bを型2の内面に沿
って上下に移動させて任意の内部圧力に調整できる様に
構成されている。
【0021】また上記チャンバー1内は、バルブ6等を
介して真空ポンプ7に接続されると共に、バルブ8等を
介してガス供給手段9に接続され、上記真空ポンプ7に
よりチャンバー1内を減圧し、あるいは必要に応じてガ
ス供給手段9から不活性ガス等がチャンバー1内に供給
できる様になっている。更に該チャンバー1には、型2
の外面温度を検出する温度センサー(熱電対や放射温度
計など)10、フラーレン生成反応に伴う形状変化に応
じた電極3a,3bの変位(上下動)を検知する変位セ
ンサー11、チャンバー1内の真空度を検出する圧力セ
ンサー12等が設けられており、上記サーボモータ5お
よび各センサー10〜12は制御ボックス13に接続さ
れている。
介して真空ポンプ7に接続されると共に、バルブ8等を
介してガス供給手段9に接続され、上記真空ポンプ7に
よりチャンバー1内を減圧し、あるいは必要に応じてガ
ス供給手段9から不活性ガス等がチャンバー1内に供給
できる様になっている。更に該チャンバー1には、型2
の外面温度を検出する温度センサー(熱電対や放射温度
計など)10、フラーレン生成反応に伴う形状変化に応
じた電極3a,3bの変位(上下動)を検知する変位セ
ンサー11、チャンバー1内の真空度を検出する圧力セ
ンサー12等が設けられており、上記サーボモータ5お
よび各センサー10〜12は制御ボックス13に接続さ
れている。
【0022】そして、下方から電極3bが装入された上
記型2内に炭素質粉末を装填し、上方開口部から電極3
aを装入配置した状態で、フラーレン製造の設定条件に
応じて、チャンバー1内を真空もしくは不活性雰囲気に
保ち、且つ型2内の圧力を制御しつつ、パルス電源装置
4から任意のパルス電流を電極3a,3bへ通電すれ
ば、型2内でフラーレン生成反応が進行する。
記型2内に炭素質粉末を装填し、上方開口部から電極3
aを装入配置した状態で、フラーレン製造の設定条件に
応じて、チャンバー1内を真空もしくは不活性雰囲気に
保ち、且つ型2内の圧力を制御しつつ、パルス電源装置
4から任意のパルス電流を電極3a,3bへ通電すれ
ば、型2内でフラーレン生成反応が進行する。
【0023】ここで用いられる型2および電極3a,3
bの具体的な形状構造は特に限定されないが、一般的な
のは、図2に示す様な円筒状の型と円柱状の電極3a,
3bの組み合わせであり、この他、例えば図3に示す如
く鍋状の炭素質粉体装填部を有する型兼用の下方電極3
aと、該下方電極3b上に近接配置される上方電極3a
の組み合わせも可能である。図3の構成の場合、型内に
装填される炭素質粉末には大きな圧力を作用させること
はできないが、フラーレンの生成反応にはパルスアーク
による高温を必須とするだけで加圧は必要でないので、
この様な開放タイプの型と電極の組み合わせでも本発明
の実施は可能である。但し、型と電極の組み合わせは勿
論図2,3に示した例に限定されるわけではなく、要は
型内に装填された炭素質粉末へのパルス電流の通電が可
能な構成であれば例示した以外にも任意の形状・構造の
組み合わせを採用できる。
bの具体的な形状構造は特に限定されないが、一般的な
のは、図2に示す様な円筒状の型と円柱状の電極3a,
3bの組み合わせであり、この他、例えば図3に示す如
く鍋状の炭素質粉体装填部を有する型兼用の下方電極3
aと、該下方電極3b上に近接配置される上方電極3a
の組み合わせも可能である。図3の構成の場合、型内に
装填される炭素質粉末には大きな圧力を作用させること
はできないが、フラーレンの生成反応にはパルスアーク
による高温を必須とするだけで加圧は必要でないので、
この様な開放タイプの型と電極の組み合わせでも本発明
の実施は可能である。但し、型と電極の組み合わせは勿
論図2,3に示した例に限定されるわけではなく、要は
型内に装填された炭素質粉末へのパルス電流の通電が可
能な構成であれば例示した以外にも任意の形状・構造の
組み合わせを採用できる。
【0024】また本発明で原料として使用される炭素質
粉末の種類には一切制限がなく、各種のバイオマスから
得られる炭化物粉末、或いは石炭や石油ピッチ等の化石
燃料に由来する炭化物粉末の全てが有効に利用できる。
尚、化石燃料に由来する炭化物粉末は概して黒鉛成分含
有量が多く、そのためアーク放電法によるフラーレンの
製造原料として好適であるが、本発明であれば黒鉛成分
含有量が比較的少ないと考えられるバイオマス由来の炭
素質粉末からでもフラーレンを非常に高い生成率で製造
できる。
粉末の種類には一切制限がなく、各種のバイオマスから
得られる炭化物粉末、或いは石炭や石油ピッチ等の化石
燃料に由来する炭化物粉末の全てが有効に利用できる。
尚、化石燃料に由来する炭化物粉末は概して黒鉛成分含
有量が多く、そのためアーク放電法によるフラーレンの
製造原料として好適であるが、本発明であれば黒鉛成分
含有量が比較的少ないと考えられるバイオマス由来の炭
素質粉末からでもフラーレンを非常に高い生成率で製造
できる。
【0025】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範
囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、そ
れらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範
囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、そ
れらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0026】実施例1 バイオマスを含む物質の焼成物からなる粒度1〜30μ
mの炭化物粉末10gを、上下にカーボン電極(外径1
0mm)を配置した内寸直径10mm、外径30mm、
長さ50mmの黒鉛型内へ充填し、型内を上下の電極に
より加圧して内圧を250kg/cm2 に維持しつつ、
通電電流1500A/mm2 、通電時発生電圧6〜8
V、ベース電流周期24000Hz、矩形パルス周期2
50Hz、周期幅50%の条件で20分間通電した。こ
の時の黒鉛型の外面温度は700℃であった。
mの炭化物粉末10gを、上下にカーボン電極(外径1
0mm)を配置した内寸直径10mm、外径30mm、
長さ50mmの黒鉛型内へ充填し、型内を上下の電極に
より加圧して内圧を250kg/cm2 に維持しつつ、
通電電流1500A/mm2 、通電時発生電圧6〜8
V、ベース電流周期24000Hz、矩形パルス周期2
50Hz、周期幅50%の条件で20分間通電した。こ
の時の黒鉛型の外面温度は700℃であった。
【0027】通電処理終了後、冷却してから処理物を型
から取出し、フラーレン生成状態を確認するため、生成
物(直径10mm×厚さ10mm)の中央部分5mmを
切断分離し、これを粉砕してイオンミーリング装置によ
って透過型電子顕微鏡用の試料調整を行なった。この調
整試料から任意に観察用試料を取出し、フラーレンの同
定法として現在最も有効な方法とされている透過型電子
顕微鏡によりナノミクロン単位まで拡大して結晶構造を
観察し、フラーレンの生成状態を調べた。その結果、観
察視野内面積の80%に炭素同素体(フラーレン)が確
認された(図4参照)。
から取出し、フラーレン生成状態を確認するため、生成
物(直径10mm×厚さ10mm)の中央部分5mmを
切断分離し、これを粉砕してイオンミーリング装置によ
って透過型電子顕微鏡用の試料調整を行なった。この調
整試料から任意に観察用試料を取出し、フラーレンの同
定法として現在最も有効な方法とされている透過型電子
顕微鏡によりナノミクロン単位まで拡大して結晶構造を
観察し、フラーレンの生成状態を調べた。その結果、観
察視野内面積の80%に炭素同素体(フラーレン)が確
認された(図4参照)。
【0028】実施例2 フラーレンが含まれていないバイオマス由来の炭化物粉
末を直径0.1〜10μmに微粉砕し、該微粉末を内径
10mm、外径16mm、深さ10mm、床厚5mmの
鍋底黒鉛型(下部電極)内に充満させ、該黒鉛型の上方
開口部に直径10mm、長さ50mmの黒鉛電極(上部
電極)を、充満した前記微粉末が僅かに加圧される程度
に押し付ける。次いで上記電極間に、通電電流2500
A/mm 2 、通電時発生電圧6〜8V、ベース電流周期
24000Hz、矩形パルス周期350Hz、周期幅5
0%の条件で20分間通電した。この時の黒鉛型の外面
温度は2400℃であった。
末を直径0.1〜10μmに微粉砕し、該微粉末を内径
10mm、外径16mm、深さ10mm、床厚5mmの
鍋底黒鉛型(下部電極)内に充満させ、該黒鉛型の上方
開口部に直径10mm、長さ50mmの黒鉛電極(上部
電極)を、充満した前記微粉末が僅かに加圧される程度
に押し付ける。次いで上記電極間に、通電電流2500
A/mm 2 、通電時発生電圧6〜8V、ベース電流周期
24000Hz、矩形パルス周期350Hz、周期幅5
0%の条件で20分間通電した。この時の黒鉛型の外面
温度は2400℃であった。
【0029】通電処理終了後、冷却して型から処理物を
取り出し、上記実施例1と同様の方法で試料調整および
フラーレン生成状態を確認したところ、観察視野内の全
面に炭素同素体(フラーレン)が観察された(生成率:
ほぼ100% 、図5参照)。
取り出し、上記実施例1と同様の方法で試料調整および
フラーレン生成状態を確認したところ、観察視野内の全
面に炭素同素体(フラーレン)が観察された(生成率:
ほぼ100% 、図5参照)。
【0030】比較例3 前記実施例2で使用したのと同じ炭化物微粉末を、同じ
く実施例2で用いたのと同じ鍋底黒鉛型(下部電極)内
に充満させ、同寸法の炭素電極で上記微粉末が僅かに加
圧される程度に押し付ける。次いで上記電極間に、パル
ス成分を含まない通電電流2500A/mm2 、通電時
発生電圧6〜8V、ベース電流周期0Hz、矩形パルス
周期(なし)の条件で20分間通電した。この時の黒鉛
型の外面温度は2400℃であった。
く実施例2で用いたのと同じ鍋底黒鉛型(下部電極)内
に充満させ、同寸法の炭素電極で上記微粉末が僅かに加
圧される程度に押し付ける。次いで上記電極間に、パル
ス成分を含まない通電電流2500A/mm2 、通電時
発生電圧6〜8V、ベース電流周期0Hz、矩形パルス
周期(なし)の条件で20分間通電した。この時の黒鉛
型の外面温度は2400℃であった。
【0031】通電処理終了後、冷却して型から処理物を
取り出し、上記実施例2と同様の方法で試料調整および
フラーレン生成状態を確認したところ、観察視野内には
面積率で5%の炭素同素体(フラーレン)が認められた
に過ぎなかった。
取り出し、上記実施例2と同様の方法で試料調整および
フラーレン生成状態を確認したところ、観察視野内には
面積率で5%の炭素同素体(フラーレン)が認められた
に過ぎなかった。
【0032】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、電
極間に炭素質粉末を装填してパルス電流を印加する方法
を採用することにより、従来は高々20%程度の生成率
しか得ることのできなかったフラーレン(炭素質同素
体)を80%以上、更には100%に近い生成率で容易
に製造することができる。その結果、フラーレンの製造
コストを大幅に下げることができ、その応用分野を大幅
に拡大することが可能となる。
極間に炭素質粉末を装填してパルス電流を印加する方法
を採用することにより、従来は高々20%程度の生成率
しか得ることのできなかったフラーレン(炭素質同素
体)を80%以上、更には100%に近い生成率で容易
に製造することができる。その結果、フラーレンの製造
コストを大幅に下げることができ、その応用分野を大幅
に拡大することが可能となる。
【図1】本発明を実施する際の装置を例示する概略説明
図である。
図である。
【図2】本発明で使用される型と電極の好ましい組み合
わせを例示する説明図である。
わせを例示する説明図である。
【図3】本発明で使用される型と電極の他の好ましい組
み合わせを例示する説明図である。
み合わせを例示する説明図である。
【図4】実施例1で得たフラーレンを示す透過型電子顕
微鏡写真である。
微鏡写真である。
【図5】実施例2で得たフラーレンを示す透過型電子顕
微鏡写真である。
微鏡写真である。
1 チャンバー1 2 型 3a,3b 電極 4 パルス電源装置4 5 サーボモータ 7 真空ポンプ 9 ガス供給手段 10 温度センサー 11 変位センサー 12 圧力センサー12 13 制御ボックス
Claims (2)
- 【請求項1】 電極が対向して配置された型内に炭素質
粉末を充填し、真空下もしくは非酸化性ガス雰囲気下に
パルス電流を通電することを特徴とするフラーレンの製
法。 - 【請求項2】 下記のパルス通電条件を採用する請求項
1に記載の製法。 通電電流:50〜30,000A/mm2 ベース電流周期:500〜35,000Hz 矩形パルス周期:0.1〜500Hz パルス周期幅 :15〜85%
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11022987A JP2000219506A (ja) | 1999-01-29 | 1999-01-29 | フラーレンの製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11022987A JP2000219506A (ja) | 1999-01-29 | 1999-01-29 | フラーレンの製法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000219506A true JP2000219506A (ja) | 2000-08-08 |
Family
ID=12097907
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11022987A Pending JP2000219506A (ja) | 1999-01-29 | 1999-01-29 | フラーレンの製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000219506A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110342499A (zh) * | 2019-07-26 | 2019-10-18 | 广西科学院 | 一种生物质高温碳化末端微氧烧蚀制备类富勒烯碳球的方法 |
WO2020189632A1 (ja) * | 2019-03-20 | 2020-09-24 | ビタミンC60バイオリサーチ株式会社 | 炭素クラスター製造用の成形体とその製造方法 |
-
1999
- 1999-01-29 JP JP11022987A patent/JP2000219506A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020189632A1 (ja) * | 2019-03-20 | 2020-09-24 | ビタミンC60バイオリサーチ株式会社 | 炭素クラスター製造用の成形体とその製造方法 |
JPWO2020189632A1 (ja) * | 2019-03-20 | 2021-10-14 | ビタミンC60バイオリサーチ株式会社 | 炭素クラスター製造用の成形体とその製造方法 |
JP7059440B2 (ja) | 2019-03-20 | 2022-04-25 | ビタミンC60バイオリサーチ株式会社 | 炭素クラスター製造用の成形体とその製造方法 |
CN110342499A (zh) * | 2019-07-26 | 2019-10-18 | 广西科学院 | 一种生物质高温碳化末端微氧烧蚀制备类富勒烯碳球的方法 |
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