JP2000214902A - 2自由度制御装置 - Google Patents

2自由度制御装置

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JP2000214902A
JP2000214902A JP11016022A JP1602299A JP2000214902A JP 2000214902 A JP2000214902 A JP 2000214902A JP 11016022 A JP11016022 A JP 11016022A JP 1602299 A JP1602299 A JP 1602299A JP 2000214902 A JP2000214902 A JP 2000214902A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 予め定める入力項目の下に自動的に2自
由度化パラメータを発生することにある。 【解決手段】 制御パラメータおよび2自由度化パラメ
ータを用いて、外乱抑制性および目標値追従性を良好に
制御する2自由度制御装置であって、制御パラメータを
設定した後、2自由度化パラメータを求めるに際し、外
乱入力制御応答に関する立上り時間と、目標値変更制御
応答に関する立上り時間と、前記制御パラメータである
積分時間あるいは当該積分時間および微分時間とを用い
て、前記目標値変更制御応答を規定する前記2自由度化
パラメータを発生するパラメータ発生機構2を備えたも
のである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石油,化学,鉄
鋼,電力,製紙などの各種プラント計装分野やサーボ制
御分野などに利用される2自由度制御装置に係り、特に
プラント各箇所の流量,圧力,液位,組成,位置,速
度,回転数などのプロセス変量をフィードバック制御す
る2自由度制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】外乱入力時および目標値変更時の何れで
も制御量を良好にフィードバック制御するためには、従
来から2自由度PID制御装置が用いられている。
【0003】ここで、2自由度PID制御とは、外乱に
対する抑制特性と目標値変更に対する追従特性との双方
を同時に最適化するPID制御である。
【0004】図20は従来の一般的な2自由度PIDま
たは2自由度I−PD制御装置のブロック構成図であ
る。
【0005】この制御装置は2自由度PID(以下、2
自由度I−PDを含む)制御器100および制御対象1
01によって構成され、この2自由PID度制御器10
0は、比例系、積分系および微分系からなっている。
【0006】前記比例系は、目標値Rに係数要素111
の比例項用2自由度化パラメータbを乗算し、この乗算
値から減算要素112にて制御量Yを減算し、加算要素
113に導入する。一方、積分系は、比較要素114に
おいて目標値Rと制御量Yとの制御偏差Eを求め、得ら
れた制御偏差Eについて積分時間TIをもつ積分要素1
15で積分し、加算要素113に導入する。さらに、微
分系は、目標値Rに係数要素116の微分項用2自由度
化パラメータcを乗算して減算要素117に導き、ここ
で乗算値から制御量Yを減算し、得られた減算値につい
て微分時間TDをもつ微分要素118で微分した後、前
記加算要素113に導入する。
【0007】このようにして得られた減算要素112出
力、積分要素115出力および微分要素118出力は加
算要素113で加算された後、この加算値に比例ゲイン
係数要素119の比例ゲインKpを乗算することによっ
て操作量MVを求めた後、外乱量とともに制御対象10
1に印加する。
【0008】また、従来、図21に示すように、目標値
変更を検出し、その影響を打ち消すために予測先行的に
操作量変化を判断し、先回りして操作を実行するフィー
ドフォワード制御方式を採用した2自由度PID制御器
が用いられている。
【0009】この2自由度PID制御器100は、目標
値Rを目標値フィードフォワード要素121に入力し、
ここで比例項用2自由度化パラメータbおよび微分項用
2自由度化パラメータcを用いて、(b+cTDs)な
る演算を実行し、得られた出力を発信する。また、比較
要素114において目標値Rと制御量Yとの制御偏差E
を求めた後、この制御偏差Eについて積分時間TIをも
つ積分要素115で積分し、減算要素122に導入す
る。一方、微分系では,制御量Yに比例・微分要素12
3の比例・微分演算式(1+TDs)を用いて微分し、
減算要素122に導入する。ここで、積分要素115の
出力から比例・微分要素123の出力を減算し、この減
算結果に比例ゲイン係数要素119の比例ゲインKP
乗算し、この乗算値と目標値フィードフォワード要素1
21の出力とを加算要素124で加算し、制御対象10
1(図示せず)に印加する操作量MVを求める構成であ
る。
【0010】さらに、従来、図13に示すように、目標
値フィルタ要素131を付加した2自由度PID制御装
置が用いられている。
【0011】この2自由度PID制御器100は、目標
値Rを目標値フィルタ要素131の2自由度化パラメー
タb,cを用いて、下記演算式により演算を実行し、最
適な目標値追従特性となる演算目標値を算出する。
【0012】 (1+bTIs+cTID)/(1+TIs) ……(1) 以上のようにして求めた演算目標値と制御量Yとを比較
要素114により制御偏差Eを求めた後、この制御偏差
Eに比例・積分要素132にて{1+1/(T Is)}
を演算する。また、制御量Yに微分要素133にて微分
演算を実行する。そして、減算要素134において比例
・積分要素132の出力から微分要素133の出力を減
算し、この得られた減算出力に比例ゲイン係数要素11
9の比例ゲインKpを乗算することによって操作量MV
を求め、外乱量とともに制御対象101(図示せず)に
印加する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで、以上のよう
な各種の2自由度PID制御器では、何れも外乱に対す
る制御応答が最適となるようなPIDパラメータ(比例
ゲインKP,積分時間TI,微分時間TD)を調整した
後、目標値変更に対する追従特性を最適とするための2
自由度化パラメータb,cを試行錯誤的に調整する必要
がある。また、予め制御対象モデルを構築し、オフライ
ンにてある評価関数の下にシミュレーションを実行し、
最適値探索により伝達関数の各パラメータ,つまりPI
Dパラメータおよび2自由度化パラメータb,cを設計
することが行われている。
【0014】その結果、外乱および目標値変更に対して
最適な制御応答となるようなPIDパラメータおよび2
自由度化パラメータb,cを得るために、熟練者による
煩雑な調整作業が必要であり、また調整作業に多くの時
間を必要とする問題がある。
【0015】本発明は上記事情にかんがみてなされたも
ので、目標値変更に対する最適な制御応答を得るための
2自由度化パラメータを迅速、かつ、熟練を要せずに容
易に発生する2自由度制御装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、制御パラメータおよび2自由度化パラメ
ータを用いて、制御対象に対して外乱抑制性および目標
値追従性が共に良好に制御する2自由度制御装置におい
て、外乱入力制御応答に関する立上り時間σDと、目標
値変更制御応答に関する立上り時間σRと、前記制御パ
ラメータである積分時間TIあるいは当該積分時間TI
よび微分時間TDとを用いて、前記目標値変更制御応答
を規定する前記2自由度化パラメータを発生するパラメ
ータ発生機構を設けた構成である。
【0017】なお、以上の入力項目の他に、外乱入力制
御応答規範モデルの2次項係数α2Dおよび目標値変更制
御応答規範モデルの2次項係数α2Rを用い、所定の演算
式により得られる値に比例する値を、前記目標値変更制
御応答を規定する2自由度化パラメータとしてもよい。
【0018】この発明は、以上のような手段を講じたこ
とにより、予め定める所定の入力項目、つまり外乱入力
制御応答に関する立上り時間σD、目標値変更制御応答
に関する立上り時間σR、前記制御パラメータである積
分時間TIあるいは当該積分時間TIおよび微分時間TD
を用い、さらに外乱入力制御応答規範モデルの2次項係
数をα2Dおよび目標値変更制御応答規範モデルの2次項
係数をα2Rを加え、実制御系の伝達関数と規範モデルの
伝達関数とから導かれる所定の演算を実行することによ
り、目標値変更制御応答を規定する2自由度化パラメー
タを発生でき、従来のような試行錯誤的に調整する作業
を省略できる。
【0019】また、別の発明は、制御対象の伝達特性タ
イプ、むだ時間および限界周期、または制御対象の伝達
特性タイプおよび基準化むだ時間を用いて、目標値変更
制御応答を規定する前記2自由度化パラメータを発生す
るパラメータ発生機構を設けたものである。
【0020】この発明は、以上のような手段を講じたこ
とにより、予め制御対象の伝達特性タイプ、むだ時間お
よび限界周期、または制御対象の伝達特性タイプおよび
基準化むだ時間をもとにグラフ関数化すれば、迅速、か
つ、容易に2自由度化パラメータを発生でき、上記発明
と同様の作用を奏するものである。
【0021】さらに、別の発明は、外乱抑制用I−PD
制御系における第1の規範モデルの属性値と目標値追従
性を規定する第2の規範モデルの属性値とが入力され、
これら両属性値の関数として係数値を発生する関数要素
と、この関数要素の係数値、第1の規範モデルの立上り
時間および積分時間を用いて目標値追従性を良好にする
2自由度化パラメータを発生する演算要素とを有するパ
ラメータ発生機構を設けたものである。
【0022】この発明は、外乱抑制用I−PD制御系に
おける第1の規範モデルの属性値と目標値追従性を規定
する第2の規範モデルの属性値との関数として係数値を
発生し、この係数値、第1の規範モデルの立上り時間お
よび積分時間を用いて、目標値追従性を良好にする2自
由度化パラメータを発生するので、試行錯誤的な調整作
業を行わずに自動的に2自由度化パラメータを発生でき
る。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。 (第1の実施の形態)本発明に係わる2自由度制御装置
の一実施の形態を説明するに先立ち、本装置を実現する
ための基本的な考え方について図1を参照して説明す
る。 (1) 先ず、目標値Rおよび制御量Yの入力のもと
に、従来と同様に比例ゲインK、積分時間TI、微分
時間TDの他、比例項用2自由度化パラメータb、微分
項用2自由度化パラメータcを用いて演算し、操作量M
Vを求める2自由度PID制御器1を設けた構成とす
る。なお、2自由度PID制御器1は例えば図11の2
自由度PID制御器100に相当する。 (2) 次に、かかる2自由度PID制御器1におい
て、予め外乱に対する制御応答が最適となるようなPI
Dパラメータである比例ゲインKP、積分時間TI、微
分時間TDを調整し、2自由度PID制御器1に設定す
る。 (3) さらに、新たにパラメータ発生機構2を設け、
ある入力項目Aのもとに自動的に2自由度化パラメータ
b,cを算出する。 (4) このようにしてパラメータ発生機構2により算
出される2自由度化パラメータb,cを発生し、2自由
度PID制御器1に設定するものとする。
【0024】以上の考え方を具体的に実現するために
は、いかなる入力項目Aを用いるか、さらにパラメータ
発生機構2は入力項目Aのもとにいかなる演算を行って
パラメータb,cを求めるかが重要になってくる。
【0025】そこで、以下、入力項目Aおよび演算式を
導き出す手順について説明する。
【0026】従来の一般的な2自由度制御系(図20参
照)に関して伝達関数をもって表わせば、図2(a)に
示すような構成となる。
【0027】同図において1は2自由度PID制御器、
3は制御対象、4は加算要素、Rは目標値、Yは制御
量、Dは外乱である。
【0028】すなわち、2自由度PID制御器1は、目
標値Rと制御量Yが入力され、外乱に対する抑制特性の
ための制御パラメータである比例ゲインKP、積分時間
I、微分時間TD、比例項用2自由度化パラメータbお
よび微分項用2自由度化パラメータcを用い、以下のよ
うな演算式によって操作量MVを求めることができる。
【0029】 KP{bR−Y+(1/TIs)(R−Y)+TDs(cR−Y)} ……(2) 以上の演算式によって求められた操作量MVは外乱Dと
ともに制御対象3に印加する。
【0030】ところで、図2(a)に示す2自由度PI
D制御系は等価ブロック変換すると、仮想的に図2
(b)のような制御系で表わすことができる。5はフィ
ードフォワード制御要素、6は加減算要素、7はフィー
ドバック制御要素である。
【0031】この制御系においてフィードフォワード制
御要素5は、入力される目標値Rに対し、{KP(b+
1/TIs+cTDs)}なる伝達関数を演算し、出力W
を発信する。また、フィードバック制御要素7は、制御
対象3の出力である制御量Yに対し、{KP(1+1/
Is+TD)}なる伝達関数を演算し、出力Vを発信す
る。そして、加減算要素6においてフィードフォワード
制御要素5の出力Wからフィードバック制御要素7の出
力Vを減算し、得られた減算出力を制御対象3に印加
し、制御量Yを発生させる。このとき、外乱Dは加減算
要素6に加算的に加わり、制御対象3に入力される。
【0032】また、制御対象3の伝達関数をGP(s)
とすると、フィードバック制御系における外乱Dから制
御量Yへの伝達関数WD(s)は次式により表わせる。
【0033】 WD(s)=GP(s)/[1+GP(s)KP {1+1/(TIs)+TDs}] =(TI/KP)s/[1+{1+1/(KPP(s))}TIs +TID] ……(3) 他方、外乱Dによる制御量Yの望ましい制御応答を規定
する規範モデルは既に知られているように次式とする
(PID制御、p14(2.11)式またはp31
(2.35)式、著者:須田信英、編者:システム制御
情報学会、発行所:株式会社 朝倉書店参照)。
【0034】 MD(s)={s/(KP/TI)}・[1/(1+σDs+α2DσD +α3DσD)] ……(4) ここで、外乱入力に対する制御応答に関する規範モデル
の係数α2D,α3Dは速応性とロバスト性との兼ね合い
から、例えば表1に示す値とする。この表1は前述する
文献PID制御、p14〜p15参照。
【0035】
【表1】
【0036】ところで、以上のような(3)式の実制御
系と(4)式の規範モデルとは等しい関係になければな
らない。よって、WD(s)=MD(s)について解け
ば、外乱入力に対する制御応答に関する立上り時間σD
およびPIDパラメータKP、T I、TDが決定できる。
そこで、決定されたパラメータを設定したPIDフィー
ドバック制御系に対し、制御対象の入力側にステップ状
外乱を与えたとすると、図7(a)に示すような制御応
答が得られる。
【0037】次に、図2(b)に示す制御系に対し、決
定された制御パラメータKP,TI,TDを設定し、この
ときの目標値Rから制御量Yへの伝達関数WR(s)を
もって表わすと、次式のようになる。
【0038】 WR(s)=[KP{b+1/(TIs)+cTDs}] ・MD(s) ……(5) ここで、前段の[ ]内はフィードフォワード制御要
素5の伝達関数、後段のMD(s)は前記(4)式の規
範モデルの伝達関数である。
【0039】従って、この(5)式は下記する(6)式
で表わせる。
【0040】 WR(s)=(1+bTIs+cTID) /(1+σDs+α2DσD+α3DσD) ……(6) 他方、目標値Rによる制御量Yの望ましい制御応答を規
定する規範モデルは次式で表わすものとする(前述文献
PID制御、p120(6.2)式参照)。
【0041】 MR(s)=1/(σRs+α2RσR+α3RσR) …(7) ここで、目標値変化に対する制御応答に関する規範モデ
ルの係数α2R、α3Rは速応性とロバスト性との兼ね合
いから、例えば前記表1に示す値とする。
【0042】そこで、WR(s)=MR(s)について解
くと、目標値変化に対する制御応答に関する立上り時間
σRは下式の3次方程式の最小実根から求められる。
【0043】 (1−2α2R+α3R)σR−(1−α2R)σDσR +α2DσDσR−α3DσD=0 ……(8) ここで、(6)式のWR(s)=B/Cとし、また
(7)式のMR(s)=1/Zと置けば、WR(s)=M
R(s)の関係から、 B/C=1/Z → Z=C/B ……(9) が導き出せる。
【0044】そこで、C/Bについて演算し、1次項お
よび2次項まで解を導き出し、前記Zの1次項および2
次項とそれぞれ等しい関係に置いて計算すれば、比例項
用2自由度化パラメータbは、 b=(σD−σR)/TI ……(10) なる演算式から決定できる。また、微分項用2自由度化
パラメータcは、 c={(1−α2R)σR−σDσR+α2DσD}/TD ={−σR(σD−σR)+α2DσD−α2RσR}/TD ……(11) なる演算式から決定できる。
【0045】なお、(11)式においてα2D=α2R=
0.5の場合には、 c=(σD−σR)/(2TD) ……(12) となり、2自由度化パラメータb,cは(σD−σR)の
関数であるとも言える。
【0046】従って、以上の説明から明らかなように、
2自由度化パラメータb,cを求めるための入力項目A
および演算式を得ることができたので、以下、その具体
例について説明する。
【0047】図3は本発明に係る2自由度PID制御装
置の一実施の形態を示す構成図である。
【0048】同図(a)に示す制御装置は、2自由度P
ID制御器1にパラメータ発生機構2が接続され、この
パラメータ発生機構2には、入力項目Aとして、積分時
間TI、微分時間TD、外乱入力制御応答を規定する立上
り時間σD、目標値変更制御応答を規定する立上り時間
σRが入力され、後記する図4に示す演算手段により2
自由度化パラメータb,cを算出し、2自由度PID制
御器1に設定する構成である。
【0049】同図(b)に示す制御装置は、同図(a)
に示す入力項目の他に、さらに外乱入力制御応答規範モ
デルの2次項係数α2D、目標値変更制御応答規範モデ
ルの2次項係数α2Rも追加入力され、後記する図5に
示す演算手段により2自由度化パラメータb,cを算出
し、2自由度PID制御器1に設定する構成である。
【0050】すなわち、図4(a)に示すパラメータ発
生機構2は比較要素11および除算要素12からなり、
比較要素11は入力される外乱入力制御応答を規定する
立上り時間σDから同じく入力される目標値変更制御応
答を規定する立上り時間σRを減算し、その減算出力を
除算要素12に導入する。この除算要素12は、減算結
果(σD−σR)を積分時間TIで除算し、前記(10)
式の比例項用2自由度化パラメータbを算出し、2自由
度PID制御器1に設定する。
【0051】なお、外乱入力制御応答を規定する立上り
時間σDはPIDパラメータを部分的モデルマッチング
法で設計する際に自動的に決定でき、或いは他の方法を
用いてPIDパラメータを決定する場合にはステップ外
乱が入った時に制御量Yがピーク値に達する時間にほぼ
等しいことから、この時間からも決定可能である。
【0052】また、目標値変更制御応答を規定する立上
り時間σRは前述したように演算により一義的に決定で
き、或いは目標値ステップ変化時の制御量がほぼ50%
に到達する時間として任意に設定できる。
【0053】次に、図4(b)に示すパラメータ発生機
構2は、比較要素13、除算要素14、乗算要素15、
除算要素16および係数要素17が設けられている。こ
の比較要素13および除算要素14は、図4(a)と同
様に比例項用2自由度化パラメータbを算出する。さら
に、乗算要素15において比較要素13の出力と除算要
素14の出力とを乗算し、この乗算結果を除算要素16
に導入し、ここで乗算結果を微分時間TDで除した後、
係数要素17で1/2を乗算すれば、前記(12)式に
基づく微分項用2自由度化パラメータc=(σD−σR)
/(2TID)を算出でき、2自由度PID制御器1
に発信する。
【0054】さらに、図5は図3(b)のパラメータ発
生機構2の内部構成を示す図である。
【0055】このパラメータ発生機構2は、第1の演算
要素21および第2の演算要素22からなり、第1の演
算要素21は(10)式の演算により比例項用2自由度
化パラメータbを算出し、2自由度PID制御器1に発
信する。第2の演算要素22は(11)式の演算により
微分項用2自由度化パラメータcを算出し、同様に2自
由度PID制御器1に発信する。
【0056】次に、パラメータ発生機構2の他の例につ
いて図6を参照して説明する。
【0057】図6(a)は外乱入力および目標値変更に
よる応答制御を規定する立上り時間σD、σRの差信号
(σD−σR)を除算要素12に導き、ここで差信号を積
分時間TIで除算することによって比例項用2自由度化
パラメータbを算出する例である。
【0058】図6(b)は同図(a)と同様に両立上り
時間σD、σRの差信号(σD−σR)を入力する点を除け
ば、図4(b)と同様な構成により2自由度化パラメー
タb,cを算出し、2自由度PID制御器1に発信する
例である。
【0059】なお、以上のようにして決定された入力項
目Aのもとに2自由度化パラメータb,cを設定した場
合の目標値ステップ変更時の制御応答例は図7(b)に
示す通りである。また、比較のため、従来のI−PD性
御時(b=c=0)の制御応答は図7(c)に、基本P
ID制御時(b=c=1)の制御応答は図7(d)に示
す通りである。
【0060】これらの制御応答図から明らかなように、
b=c=0または1に限定されることなく、b,cを任
意の所定値とすることにより、目標値変更時に大きなオ
ーバシュートを発生させることなく、追従性の優れた2
自由度PID制御を実現できる。
【0061】なお、σD、σR、TI、TDは以上記述した
値に限られるものではなく、任意の定めた値を用いて、
(10)式、(11)式の演算式により、2自由度化パ
ラメータb,c決定し設定してもよい。
【0062】従って、以上のような実施の形態によれ
ば、予め定められた入力項目をパラメータ発生機構2に
入力すれば、前述する導出された所定の演算式に基づい
て2自由度化パラメータb,cを求めて2自由度PID
制御器1に設定可能であり、従来のように長時間をかけ
て試行錯誤的に調整しつつ最適パラメータを決定すると
いった手間を省くことができ、調整作業の迅速化および
熟練者によらずにパラメータを決定できる。
【0063】(第2の実施の形態)第1の実施の形態で
は、(1)式〜(11)式の導出過程に基づいて入力項
目A(σD、σR、TI、TD、σ2D、σ2R)を選定し、
これら入力項目Aのもとに所定の演算式により2自由度
化パラメータb,cを決定したが、本実施の形態では、
グラフ関数を用いて2自由度化パラメータb,cを発信
させる構成とするものである。
【0064】すなわち、本実施の形態においては、遅れ
次数をもつ各種の制御対象に関し、前述する各式で求め
られたパラメータb,cをグラフで表わせば、図8
(a)、(b)に示すようになるので、予めパラメータ
発生機構2に図8に示すような関係にあるグラフを関数
として設定しておき、外部から入力される制御対象の伝
達関数(テスト・バッチ)タイプ、むだ時間Lおよび限
界周期Tc、或いはLとTcとの代わりに基準化むだ時
間LN(=L/Tc)を受けたとき、関数としての2自
由度化パラメータb,cを発信するようにしてもよい。
【0065】図9および図10は本発明に係る2自由度
PID制御装置の実施の形態を示す構成図である。
【0066】この制御装置は図3と同様に2自由度PI
D制御器1とパラメータ発生機構2とで構成されている
が、図9はパラメータ発生機構2に図8に示すようなグ
ラフ関数が設定され、入力される制御対象タイプ、むだ
時間Lおよび限界周期Tcに基づいて2自由度化パラメ
ータb,cを発生させる例である。
【0067】図10は同じくパラメータ発生機構2に図
8に示すグラフ関数が設定され、入力される制御対象タ
イプおよび基準化むだ時間LN(L/Tc)に基づいて
同じく2自由度化パラメータb,cを発信し、2自由度
PID制御器1に設定する例である。
【0068】従って、この実施の形態によれば、各種の
制御対象に関し、第1の実施の形態により決定されたパ
ラメータb、cをグラフ関数として予めパラメータ発生
機構2に設定しておけば、制御対象タイプ、むだ時間な
どの入力項目を入力するだけで、迅速に制御対象タイプ
に応じて最適な2自由度化パラメータb,cを発生する
ことができ、煩雑な調整作業を必要とせずに目標値変更
に対して追従性の優れた2自由度PID制御装置を実現
できる。(第3の実施の形態)この実施の形態は、2自
由度PID制御装置に代えて2自由度I−PD制御装置
に適用した例である。I−PD制御は比例動作および微
分動作とも制御量だけによって依存して動作する制御で
ある。
【0069】この2自由度I−PD制御系は、基本的に
は図20ないし図22と同様な構成であることから、2
自由度I−PD制御装置においても概念的には図1と同
様な構成である図11で表わすことができる。
【0070】すなわち、2自由度I−PD制御装置は、
2自由度I−PD制御器1′にパラメータ発生機構2が
接続され、このパラメータ発生機構2は入力される入力
項目Aに基づいて比例項用および微分項用2自由度化パ
ラメータb,cを発生する機構である。
【0071】この2自由度PID制御系は、図20の従
来構成から図12(a)に示すようなブロック図で表す
ことができる。
【0072】図12において31は2自由度I−PD制
御器(2自由度PID制御器)、32は制御対象、33
は加算要素、Rは制御量、Yは制御量、Dは外乱であ
る。
【0073】この2自由度I−PD制御器31は、目標
値Rと制御量Yが入力され、外乱に対する抑制特性のた
めのPIDパラメータである比例ゲインKP、積分時間
I、微分時間TD、比例項用2自由度化パラメータbお
よび微分項用2自由度化パラメータcを用い、以下のよ
うな演算式により操作量MVを求める。
【0074】 KP{bR−Y+(1/TIs)(R−Y)+TDs(cR−Y)} ……(13) このようにして求めた操作量MVは外乱Dとともに制御
対象32に印加する。
【0075】ところで、図12(a)に示す制御系は等
価ブロック変換すると、仮想的に図12(b)のような
フィードフォワード制御要素34とフィードバック制御
要素35とで構成される。32は制御対象、36は加減
算要素である。
【0076】この制御系においてフィードフォワード制
御要素34は、入力される目標値Rに対し、制御要素3
4の伝達関数を乗算し出力Wを発信する。また、フィー
ドバック制御要素35は、制御対象32の出力である制
御量Yに対し、制御要素35の伝達関数を演算し出力V
を発信する。そして、加減算要素36はフィードフォワ
ード制御要素34の出力Wからフィードバック制御要素
35の出力Vを減算し、得られた減算出力を制御対象3
2に印加し、制御量Yを発生させる。このとき、外乱D
は加減算要素36に加算的に加わり、制御対象32に入
力される。
【0077】また、制御対象32の伝達関数をG
P(s)とすると、フィードバック制御系における外乱
Dから制御量Yへの伝達関数WD(s)は次式で表わせ
る。
【0078】 WD(s)=GP(s)/[1+GP(s)KP {1+1/(TIs)+TDs}] =(TI/KP)s/[1+{1+1/(KPP(s))}TIs +TID] ……(14) 他方、外乱Dによる制御量Yの望ましい制御応答を規定
する規範モデルは既に知られているように次式とする
(PID制御、p14(2.11)式またはp31
(2.35)式、著者:須田信英、編者:システム制御
情報学会、発行所:株式会社 朝倉書店)。
【0079】 MD(s)={(TI/KP)s}/(1+σDs+α2DσD +α3DσD+α4DσD) ……(15) ここで、外乱入力に対する制御応答に関する規範モデル
の係数α2D,α3D,α4Dは速応性とロバスト性との兼
ね合いから、例えば表2に示す値とする。
【0080】
【表2】
【0081】ここで、前述と同様にWD(s)=M
D(s)として解くと、外乱入力に対する制御応答に関
する立上り時間σDおよびPIDパラメータKP、TI
Dが決定できる。この決定されたパラメータを設定し
たI−PDフィードバック制御系に対し、制御対象の入
力側にステップ状外乱を与えたとすると、図17に示す
ような制御応答が得られる。
【0082】次に、図12(b)に示す制御系に対し、
決定された制御パラメータKP,TI,TDを設定し、こ
のときの目標値Rから制御量Yへの伝達関数WR(s)
をもって表わすと、次式のようになる。
【0083】 WR(s)=[KP{b+1/(TIs)+cTDs}] ・MD(s)……(16) ここで、前段の[ ]内はフィードフォワード制御要
素34の伝達関数、後段のMD(s)は前記(15)式
の規範モデルの伝達関数である。
【0084】従って、この(16)式は下記する(1
7)式で表わせる。
【0085】 WR(s)=(1+bTIs+cTID)/(1+σDs+α2DσD +α3DσD+α4DσD)……(17) 他方、目標値Rによる制御量Yの望ましい制御応答を規
定する規範モデルは次式で表わすものとする(前述する
文献 PID制御 、p120(6.2)式参照)。
【0086】 MR(s)=1/(1+σRs+α2RσR+α3RσR) …(18) ここで、目標値変化に対する制御応答に関する規範モデ
ルの係数α2R、α3Rは速応性とロバスト性との兼ね合
いから、例えば前記表2に示す値とする。
【0087】そこで、WR(s)=MR(s)とし、高次
項を無視して解くと、目標値変更に対する制御応答に関
する立上り時間σRと外乱入力に対する制御応答に関す
る立上り時間σDとの立上り時間比σR/σDは下式の3
次方程式の最小実根から求まる。
【0088】 (1−2α2R+α3R)(σR/σD−(1−α2R)(σR/σD +α2D(σR/σD)−α3D=0 ……(19) また、微分時間を用いない2自由度I−P制御では、立
上り時間比σR/σDは次の2次方程式の最小実根として
求まる。
【0089】 (1−α2R)(σR/σD)−(σR/σD)+α2D=0 ……(20) 次に、比例項用2自由度化パラメータb算出用係数β
は、 β=1−(σR/σD) ……(21) また、微分項用2自由度化パラメータc算出用係数γ
は、 γ=(1−α2R)(σR/σD)−(σR/σD)+α2D ……(22) とする。
【0090】よって、これらの値を用いると、比例項用
2自由度化パラメータbは、 b=βσD/TI ……(23) と決定でき、また微分項用2自由度化パラメータcは、 c=γσD/(TID) ……(24) と決定できる。
【0091】そこで、これら係数βおよび係数γを発生
させる関数要素が必要となるが、これら係数を発生させ
る関数要素は以下のように作成する。
【0092】すなわち、ある補間係数λDから定まる
(15)式の規範モデルMD(s)と、ある補間係数λR
から定まる前記(18)式の規範モデルMR(s)とを
用いて、前記(19)式の方程式または前記(20)式
の方程式から立上り時間比σR/σDを求め、前記(2
1)式、(22)式から係数β、γを求める。
【0093】そして、これら補間係数λD,λRの種々の
値に対して係数β、γを求め、x軸をλD、y軸をλR、
z軸をβおよびγとした行列データテーブルを作成し、
補間係数λD,λRを入力すれば、係数β、γを発生する
関数要素を作成できる。
【0094】なお、補間係数λと最大感度Msとの間に
は図15に示す関係があるので、λD,λRの代わりに最
大感度MSD、MSRを用いてもよい。また、2次の規範モ
デルを用いた場合には、λRの代わりとして、規範モデ
ルの分母2次項の係数α2Rを用いてもよい。
【0095】さらに、関数要素例として、例えば図16
(a)に示すように、x軸に3次規範モデルのλD、y
軸に2次規範モデルのα2Rとすれば、2自由度I−P
制御用の係数βを求めるための関数が得られる。また、
図16(b)、(c)に示すように、x軸に4次規範モ
デルのλD、y軸に3次規範モデルのλRとすれば、2自
由度I−PD制御用の係数β、γを求めるための関数が
得られる。
【0096】図13は以上のような説明を踏まえつつ具
体化したパラメータ発生機構の一例を示す構成図であ
る。
【0097】このパラメータ発生機構2は関数要素41
と演算要素42とで構成されている。この関数要素41
は、外乱抑制用I−PD制御系の規範モデルの属性値X
D(λD、MSDなど)と目標値追従性を規定する規範モデ
ルの属性値XR(γR、MSR、α2Rなど)との種々の値の
組みに対して係数βの値を蓄えた行列データテーブルで
あって、入力される属性値XDと属性値XRとに基づい
て、行列データテーブルから蓄えた係数βを発生させ
る。なお、行列データテーブルの代わりに、前記(1
9)式または(20)式と(21)式との演算により、
係数βを発生させる要素であってもよい。
【0098】前記演算要素42は乗算要素43および除
算要素44からなり、そのうち乗算要素43は関数要素
41から発生される係数βに外乱抑制用I−PD制御系
の規範モデルの立上り時間σDを乗算し、除算要素44
に導入する。この除算要素44は、乗算要素43によっ
て得られる乗算値を積分時間TIで除して比例項用2自
由度化パラメータbを算出し、2自由度I−PD制御器
1′、31に設定する。
【0099】図14は2自由度化パラメータ発生機構の
他の例を示す構成図である。
【0100】このパラメータ発生機構2は、2つの関数
要素45、46と、これら関数要素45,46にそれぞ
れ対応する2つの演算要素47,48とによって構成さ
れている。
【0101】これら関数要素45、46は、それぞれ規
範モデルの属性値XDとXRとの種々の値の組みに対して
係数βの値を蓄えた行列データテーブルであって、入力
される属性値XDと属性値XRとに基づいて、それぞれ行
列データテーブルから蓄えた係数β,γを発生させる。
なお、関数要素45である行列データテーブルの代わり
に、前記(19)式または(20)式と(21)式との
演算により係数βを発生させ、また関数要素46である
行列データテーブルの代わりに、前記(19)式と(2
2)式の演算により係数γを発生させる要素であっても
よい。
【0102】前記演算要素47は図13に示す演算要素
42と同様に乗算要素49および除算要素50からな
り、乗算要素49は関数要素45から発生される係数β
に外乱抑制用I−PD制御系の規範モデルの立上り時間
σDを乗算し、除算要素50に導入する。この除算要素
50は、乗算要素49にて得られた乗算値を積分時間T
Iで除して比例項用2自由度化パラメータbを算出す
る。
【0103】一方の演算要素48は、第1の乗算要素5
1、第2の乗算要素52、除算要素53および乗算要素
54からなり、前記(24)式の演算により微分項用2
自由度化パラメータcを算出する。具体的には、第2の
乗算要素52にて得られた立上り時間σDの乗算値σD
と係数γとを乗算要素51にて乗算し、除算要素53に
導入する。この除算要素53は乗算要素51からの乗算
値を乗算要素54により得られる積分時間TIと微分時
間TDとの乗算値で除算し、(24)式により微分項用
2自由度化パラメータcを算出する。そして、各演算要
素47,48で得られたパラメータb,cを例えば図2
0に示す2自由度I−PD制御器1′に発信する。
【0104】なお、2自由度I−PD制御器1′として
は、図20に示したものに限定されず、これを等価ブロ
ック変換して得られる図21に示す目標値フィードフォ
ワード型や図22に示す目標値フィルタ型、さらにはル
ープ補償型やフィードバック補償型などであってもよい
(PID制御、p75、著者:須田信英、朝倉書店)。
【0105】また、図20に示す微分要素118として
完全微分型で表記したが、1次遅れ要素が付加された不
完全微分型であってもよい。
【0106】次に、パラメータ発生機構への入力につい
て説明する。外乱を最も良好に抑制できるように規範モ
デルを用いてPID値を設計した場合、この時に使用し
た規範モデルで補間係数λD、最大感度MSD、分母2次
項の係数α2R、立上り時間σDは一義的に決まるので、
これらを使用する。規範モデルを用いずにPID値を調
整した場合、操作端にステップ入力を加えたときの補間
係数λDを種々変えて描いた制御応答(図17)と比較
し、形状がもっとも近い波形の補間係数λDから、規範
モデルおよび立上り時間σD(制御応答がほぼピークに
達する時間)を同定して使用する。
【0107】なお、図17(a)は4次の規範モデルの
制御応答図であって、微分動作を用いた2自由度I−P
D制御系を用いる場合に使用される。また、図17
(b)は3次の規範モデルの制御応答図であって、微分
動作を用いない2自由度I−P制御系に使用される。
【0108】また、目標値変更の過度時に発生する操作
量の変化を小さくする場合やロバスト性を増やしたい場
合には立上り時間σDとして前記により定まる値よりも
大きい値を、また応答を早めたい場合には小さい値を入
力する。
【0109】また、例えばI−PD制御系の規範モデル
を自動的に同定する機構を付加し、I−PD制御器で用
いられている積分時間TI、微分時間TDとともに同定結
果の入力項目を本発明のパラメータ発生機構に自動的に
入力すれば、オート(セルフ)チューニング2自由度I
−PD制御系を構成することができる。
【0110】さらに、目標値変更の追従性を規定する規
範モデルとしては、補間係数λRや分母2次項の係数α2
Rを種々変えて描いた制御応答波形(図18)を参照
し、オーバシュート量などから、その制御系で最も適切
な形状を与える補間係数λRや分母2次項の係数α2R、
つまり規範モデルの属性値を決定して入力する。なお、
図18(a)は目標値単位ステップ変更時の補間係数λ
Rを種々変えた場合の3次規範モデルの制御応答図であ
って、2自由度I−PD制御に用いられ、図18(b)
は目標値単位ステップ変更時の分母2次項の係数を種々
変えた場合の2次の規範モデルの制御応答図であって、
2自由度I−P制御時に用いられる。
【0111】図19は、本発明によるパラメータ発生機
構2から2自由度化パラメータを発生し、2自由度I−
P(D)制御器に設定し、制御対象を制御したときの制
御応答の一例である。なお、比較のために、1自由度I
−P(D)制御器およびPI(D)制御器で制御した場
合についてその制御応答を示している。
【0112】この図から明らかなように、本発明による
I−PD制御の場合、目標値変更時に大きなオーバシュ
ートを発生させることなく、しかも速応性をもたせて応
答させることができ、目標値追従性を大幅に向上させる
ことができる。
【0113】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、所
定の入力項目のもとに目標値変更時の制御応答を規定す
る2自由度化パラメータを自動的に発生でき、従来のよ
うに長時間かけて試行錯誤的に調整する作業を省略で
き、また熟練者に頼らずに短時間に2自由度化パラメー
タを発生できる。
【0114】よって、外乱に対しても目標値変更に対し
ても、迅速に最適な制御性を実現できる2自由度制御装
置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる2自由度制御装置の第1およ
び第2の実施の形態を説明する概念構成図。
【図2】 本発明の原理を説明する2自由度PID制御
系のブロック線図。
【図3】 本発明に係わる2自由度制御装置における入
力項目を含む全体のブロック構成図。
【図4】 図3に示すパラメータ発生機構の具体的な構
成例を示す図。
【図5】 図3に示すパラメータ発生機構の具体的な構
成例を示す図。
【図6】 図3に示すパラメータ発生機構の具体的な構
成例を示す図。
【図7】 本発明に係わる2自由度制御装置を用いた場
合の制御応答例を示す図。
【図8】 図3に示すパラメータ発生機構に設定する関
数を説明する図。
【図9】 本発明に係わる2自由度制御装置の第2の実
施形態を示すブロック構成図。
【図10】 本発明に係わる2自由度制御装置の第2の
実施形態の他の例を示すブロック構成図。
【図11】 本発明に係わる2自由度制御装置の第3の
実施の形態を説明する概念構成図。
【図12】 本発明の原理を説明する2自由度I−PD
制御系のブロック線図。
【図13】 パラメータ発生機構の具体的な構成例を示
す図。
【図14】 パラメータ発生機構の具体的な構成例を示
す図。
【図15】 規範モデルの補間係数と最大感度との関係
を示す図。
【図16】 関数要素の関数特性を示す図。
【図17】 PID値設計あるいはI−PD制御系の特
性同定に使用するステップ外乱入力時の規範モデルの制
御応答を示す図。
【図18】 2自由度I−P(D)制御設計に使用する
目標値単位ステップ変更時の規範モデルの制御応答を示
す図。
【図19】 本発明に係わる2自由度制御装置を用いた
場合の制御応答例を示す図。
【図20】 従来公知の一般的な2自由度PIDまたは
2自由度I−PD制御系の概略構成を示す図。
【図21】 従来公知のフィードフォワード要素をもつ
2自由度制御装置の構成図。
【図22】 従来公知の目標値フィルタ要素をもつ2自
由度制御装置の構成図。
【符号の説明】
1…2自由度PID制御器 1′…2自由度I−PD制御器 2…パラメータ発生機構 21、22…演算要素 σD…外乱入力制御応答に関する立上り時間 σR…目標値変更制御応答に関する立上り時間 TI…積分時間 TD…微分時間 α2D…外乱入力制御応答規範モデルの2次項係数 α2R…目標値変更制御応答規範モデルの2次項係数 41,45,46…関数要素 42,47,48…演算要素
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H004 GA05 GA07 GA21 GB02 GB03 GB06 HA02 HA03 HA05 HA07 HA08 KA78 KB02 KB04 KB06 KB09 KB13 KB15 KB32 KC27 LA03 MA19

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御パラメータおよび2自由度化パラメ
    ータを用いて、制御対象に対して外乱抑制性および目標
    値追従性を共に良好に制御する2自由度制御装置におい
    て、 外乱入力制御応答に関する立上り時間と、目標値変更制
    御応答に関する立上り時間と、前記制御パラメータであ
    る積分時間あるいは当該積分時間および微分時間とを用
    いて、前記目標値変更制御応答を規定する前記2自由度
    化パラメータを発生するパラメータ発生機構を備えたこ
    とを特徴とする2自由度制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載するパラメータ発生機構
    において、 外乱入力制御応答に関する立上り時間をσD、外乱入力
    制御応答規範モデルの2次項係数をα2D、目標値変更制
    御応答に関する立上り時間をσR、目標値変更制御応答
    規範モデルの2次項係数をα2R、積分時間をTI、微分
    時間をTDとしたとき、 {(1−α2R)・σR2−σD・σR+α2D・σD2}/TI
    ・TD なる演算式により得られる値に比例する値を、前記目標
    値変更制御応答を規定する2自由度化パラメータとする
    演算手段を設けたことを特徴とする2自由度制御装置。
  3. 【請求項3】 制御パラメータおよび2自由度化パラメ
    ータを用いて、制御対象に対して外乱抑制性および目標
    値追従性を共に良好に制御する2自由度制御装置におい
    て、 制御対象の伝達特性タイプ、むだ時間および限界周期、
    または制御対象の伝達特性タイプおよび基準化むだ時間
    を用いて、目標値変更制御応答を規定する前記2自由度
    化パラメータを発生するパラメータ発生機構を備えたこ
    とを特徴とする2自由度制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載するパラメータ発生機構
    において、 各種の制御対象に関し、請求項1ないし請求項3におい
    て得られる目標値変更制御応答を規定する2自由度化パ
    ラメータをグラフ関数として設定してなることを特徴と
    する2自由度制御装置。
  5. 【請求項5】 制御パラメータおよび2自由度化パラメ
    ータを用いて、制御対象に対して外乱抑制性および目標
    値追従性を共に良好に制御する2自由度制御装置におい
    て、 外乱抑制用I−PD制御系における第1の規範モデルの
    属性値と目標値追従性を規定する第2の規範モデルの属
    性値とが入力され、これら両属性値の関数として係数値
    を発生する関数要素と、この関数要素の係数値、第1の
    規範モデルの立上り時間および積分時間を用いて目標値
    追従性を良好にする2自由度化パラメータを発生する演
    算要素とを有するパラメータ発生機構を備えたことを特
    徴とする2自由度制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載する2自由度制御装置に
    おいて、 前記関数要素は、前記第1の規範モデルの属性値と前記
    第2の規範モデルの属性値の種々の値の組に対する係数
    値を保持する行列データテーブルを設け、入力される前
    記両属性値から係数値を発生することを特徴とする2自
    由度制御装置。
  7. 【請求項7】 請求項5または請求項6に記載する2自
    由度制御装置において、 前記第1の規範モデルは、外乱を良好に抑制するPID
    パラメータを設計するために使用するモデル、あるいは
    I−PD制御系の特性を同定して得られるモデルである
    ことを特徴とする2自由度制御装置。
  8. 【請求項8】 請求項5ないし請求項7の何れか1つに
    記載する2自由度制御装置において、 前記規範モデルの属性値は、前記両規範モデルの補間係
    数、該両規範モデルの最大感度および該両規範モデルの
    伝達関数係数値のうち、何れか1つを用いることを特徴
    とする2自由度制御装置。
  9. 【請求項9】 請求項5に記載する2自由度制御装置に
    おいて、 前記演算要素は、前記関数要素から発生される係数値に
    前記第1の規範モデルの立上り時間を乗じ、この乗算値
    を積分時間で除することにより2自由度化パラメータを
    発生することを特徴とする2自由度制御装置。
  10. 【請求項10】 請求項5に記載する2自由度制御装置
    において、 前記演算要素は、前記関数要素から発生される係数値に
    前記第1の規範モデルの立上り時間の2乗を乗じ、この
    乗算値を積分時間と微分時間との乗算値で除算すること
    により2自由度化パラメータを発生することを特徴とす
    る2自由度制御装置。
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