JP2000214004A5 - - Google Patents
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Description
【書類名】 明細書
【発明の名称】 ケーブル状圧力センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内側電極である芯電極と、芯電極の外周に同心状に感圧機能層として可撓性感圧体を設け、前記感圧体の外周の表面に接触するように可撓性外側電極を設けて、前記可撓性感圧体および前記可撓性外側電極の外周に絶縁外被を被覆し、前記可撓性感圧体が有機高分子材料と、圧電性高分子粉末を混合した感圧組成物で構成されたケーブル状圧力センサ。
【請求項2】 有機高分子材料が、ポリウレタン型熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン、ポリウレタン系エラストマーから選ばれた少なくとも一種である請求項1記載のケーブル状圧力センサ。
【請求項3】 圧電性高分子粉末が、ポリフッ化ビニリデン、2フッ化3フッ化エチレン共重合体からなる請求項1および2記載のケーブル状圧力センサ。
【請求項4】 可撓性外側電極の周囲に導電性編組を設け、その外周を絶縁外被で被覆した請求項1から3のいずれか1項に記載のケーブル状圧力センサ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可橈性感圧センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のケーブル状の圧力を検知するセンサは、特開昭62−230071号公報に開示されているようなものがある。その構成について、図4を参照にしながら説明する。図4に示すように、線状導電材1と導電ゴム2とから構成された芯電極3の周囲に可撓性圧電体4を配置し、その周囲に可撓性外電極5を配置し、さらにその周囲に熱収縮チューブから成る外被6を被覆して成るケーブル状圧力センサである。また、可撓性外電極5として、アルミニウム箔や塗装法による銀系導電性塗膜が用いられる。上記記載のケーブル状圧力センサの一部分あるいは、全体に圧力が負荷付加されたとき、圧力センサが歪むため、芯電極3と可撓性外電極5の間に電位差が生じる。この電位差を検出して圧力センサに加えられる圧力や振動の有無を検知している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の感圧ケーブル状圧力センサは、感圧体に合成ゴムや合成樹脂中にチタン酸鉛等のセラミック圧電粉体を配合した複合圧電体が用いられるが、この複合圧電体の誘電率が高い為に、圧力負荷に対して発生する電位差が小さいため正確に圧力検知ができないという課題があった。
【0004】
また、感圧体として圧電性高分子であるポリフッ化ビニリデン樹脂や2フッ化3フッ化ポリエチレン共重合体樹脂(2F−3F樹脂)のみを溶融させ芯線電極上にチュービング被覆形成後、固化させてケーブル状にする感圧素子があるが、上記樹脂で感圧体を形成する場合、圧電性を得るために上記圧電性高分子に高電圧を印加して分極処理をしなければならず、高度な配向状態とするための配向処理が困難であるという課題があった。また、芯電極線上に上記圧電性高分子のフィルムを巻き付ける場合には、フィルムの強度がないために巻き付けるときに切れてしまうという製造上の課題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、内側電極である芯電極と、芯電極の外周に同心状に感圧機能層として可撓性感圧体を設け、前記感圧体の外周の表面に接触するように可撓性外側電極を設けて、前記可撓性感圧体および前記可撓性外側電極の外周に絶縁外被を被覆し、前記可撓性感圧体が有機高分子材料と、圧電性高分子粉末を混合した感圧組成物で構成されたものである。
【0006】
本発明によれば、誘電率の低い材料の圧電性高分子を効果的に芯電極の外周に設けることができるので、ケーブル状圧力センサとして正確に圧力検知することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は、可撓性ケーブル状圧力センサとして、可撓性感圧層に対向した一対の電極間電位が圧力に対して瞬時に鋭敏に変化するため、圧力を検知することができる。
【0008】
本発明の請求項1に記載のケーブル状圧力センサは、内側電極である芯電極の外周に同心状に感圧機能層として感圧体を設け、前記感圧体の外周の表面に接触するように可撓性外側電極を設け、その外周に絶縁性外被で被覆して構成したケーブル状圧力センサである。この構成は、可撓性を維持できるだけでなく、長尺ケーブル状に加工して後に、任意の長さのケーブルに切り取りすることができる。そして、感圧体が有機高分子材料と、圧電性高分子粉末を混合した感圧組成物で構成される。有機高分子材料は、ポリエチレン、ポリウレタンエラストマー、可塑化された塩化ビニル等が挙げられる。これは、圧電性高分子粉末と混合してもその感圧体としての機械強度を保持できる。
【0009】
圧電性高分子はポリフッ化ビニリデン、2フッ化3フッ化ポリエチレン共重合体、2フッ化6フッ化ポリエチレン共重合体が挙げられる。
【0010】
本発明の請求項2記載のケーブル状圧力センサは、有機高分子材料が、ポリウレタン型熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン、ポリウレタン系エラストマーから選ばれた少なくとも一種である。ここに記載された有機高分子材料は、圧電性高分子の粉体と混合しても、有機高分子材料の機械的強度が損なわれない。
【0011】
本発明の請求項3記載のケーブル状圧力センサは、圧電性高分子粉末が、2フッ化3フッ化ポリエチレン共重合体からなるは、圧電性高分子粉末が、2フッ化3フッ化ポリエチレン共重合体から構成されている。誘電率が高く、粉体で入手できる。
【0012】
本発明の請求項4記載のケーブル状圧力センサは、可撓性外側電極の周囲を導電性編組を設け、絶縁性外被で被覆した構成である。ケーブル状圧力センサに荷重が負荷された時に芯電極と可撓性外側電極間に発生する電位差を検出することにより、外部環境からのノイズを防止できる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0014】
(実施例1)
図1は本発明における実施例1のケーブル状圧力センサの要部断面図である。
【0015】
図1において、7は芯電極であり、芯電極7の外周に可撓性感圧体8を形成した後、可撓性感圧体8表面に接触するように可撓性外側電極9が巻き付けられPている。そして、可撓性感圧体8と可撓性外側電極9の外周に絶縁外被10を形成している。
【0016】
可撓性を有するケーブル状圧力センサでは、ケーブル全体としての可撓性確保のために、可撓性を有する芯電極7、可撓性圧電体8や可撓性外電極9で構成される。
【0017】
内側電極としての芯電極7は、従来例で示した構成やニッケルメッキ銅線等金属導体の撚線からなる。可撓性感圧体8は非圧電性高分子と圧電高分子粉末を混合した感圧組成物である。非圧電高分子材料には、有機高分子材料として、ポリウレタンポリウレタン型熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン、ポリウレタン系エラストマーから選ばれる。ここでは、塩素化ポリエチレンを用いた。また、圧電性高分子材料にはポリフッ化ビニリデン、2フッ化3フッ化ポリエチレン共重合体、2フッ化3フッ化エチレン共重合体の粉末、2フッ化6フッ化エチレン共重合体粉末等が用いられるが、ここでは、ポリフッ化ビニリデン樹脂粉体を用いた。選択した塩素化ポリエチレンとポリフッ化ビニリデン樹脂粉体(以降PVDF粉体と称す)とを熱ロールで十分混練した感圧組成物をコニカルスクリュー2軸押出し装置で芯電極7の外周にチュービング成型して、可撓性感圧体8を形成する。可撓性外側電極9は、金属層として、アルミニウム層、銅層、ニッケル層等があるが、これらの中でもアルミニウム層が優れている。アルミニウム層は、銅層に比べ熱的に酸化され難く、また、ニッケル層に比べ柔らかいので機械的インピーダンスが小さいからである。この可撓性外側電極9は可撓性感圧体8の機械的インピーダンスを小さくするために、できるだけ薄い方が好ましい。入手の容易性や価格の点を考慮すると10μm以下が好ましい。そして、可撓性感圧体8や可撓性外側電極9全体を保護するなどのために、絶縁外被10をチュービング加工で形成する。その材料としては、塩化ビニル、ウレタン樹脂等が挙げられるがここでは、塩化ビニル樹脂で外被10を形成した。外被10を形成した後、芯電極7と可撓性外側電極9の間に直流電圧を印加する分極工程を実施した後、ケーブル状感圧素子として完成する。
【0018】
はじめに、可撓性感圧体8の性能を測定するために、感圧体組成物の厚みを0.4mmのシート状に加工し、大きさ20mm角に加工した。そして図2に示すような装置を作成し、発生電圧を測定した。図2では、感圧体組成物シート11を大きさ20mm角、板厚み0.8mmのSUS緩衝板12と板厚5mmのSUS板13で挟持させて、重さ1.991g、直径10mmアルミナ球の高さを変えて落下させ、オシロスコープにより、落下した時に発生する起電圧を測定した。この時比較として、感圧体組成物の構成を塩素化ポリエチレンとセラミック圧電粉体のチタン酸鉛を混練した組成物と比較した。感圧組成物シート両面にAgぺースト電極を形成して分極を行った。なお、分極条件は20KV/mm、1h、である。
【0019】
図2の結果から、塩素化ポリエチレンにPVDF樹脂粉体を混合した感圧組成物シートが塩素化ポリエチレンにチタン酸鉛を混合した感圧組成物シートよりも約5倍の発生電圧の高さを示した。これは、PVDF樹脂粉体の誘電率がチタン酸鉛の誘電率よりもはるかに小さいため感圧体組成物シートの容量が小さくなり、結果としてPVDF樹脂粉体を混練した感圧体シートの発生電圧が大きくなるためである。
【0020】
このPVDF樹脂粉体と塩素化ポリエチレンを混合した圧電組成物を用いた可撓性感圧体8をチュービングしたケーブル状圧力センサが合成ゴム中に無機セラミック圧電粉体を用いた複合圧電体よりも、チュービング厚みが同じであるならば、圧力負荷に対して発生する電圧が大きくなるのは当然である。
【0021】
(実施例2)
図3は、本発明実施例2のケーブル状圧力センサ構成を示す断面図である。図1では、可撓性外側電極9が可撓性感圧体8の表面に巻き付けられた構成である。しかし、図1の構成では、芯電極7と可撓性外側電極9間で圧力負荷に対する誘起電圧を検出するとき外部ノイズを拾い易い。可撓性外側電極9が芯電極7の周囲を完全に覆っていないからである。このような場合、図3に示すように、可撓性外電極9の周囲を導電性編組11で被覆することが望ましい。芯電極7と可撓性外側電極9間から誘起電圧を検出するとき、可撓性外側電極と導電性編組11を短絡して、アース電位に保持することにより外部ノイズを遮断することができる。
【0022】
そして、実施例1での図1、実施例2での図3に示すように絶縁外被10は、可撓性感圧体8の保護、ならびにケーブル状圧力センサの外部環境に直接接触させないためにも必要である。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1にかかるケーブル状圧力センサは、内側電極である芯電極の外周に同心状に感圧機能層として感圧体を設け、前記感圧体の外周の表面に接触するように可撓性外側電極を設け、その外周に絶縁性外被で被覆して構成したケーブル状圧力センサであるので、可撓性を維持できるだけでなく、長尺ケーブル状に加工して後に、任意の長さのケーブルに切り取りすることができる。そして、感圧体が有機高分子材料と、圧電性高分子粉末を混合した感圧組成物で構成されるので、誘電率の高い圧電性高分子粉末を有機材料に混練することができ、無機セラミック圧電粉体よりも高い誘起電圧を発生する感圧体を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の実施例1の要部断面図
【図2】
本発明の実施例1のシート状感圧体組成物の発生電圧比較図
【図3】
本発明の実施例2の要部断面図
【図4】
従来の要部断面図
【符号の説明】
7 芯電極
8 可撓性感圧体
9 可撓性外側電極
10 絶縁外被
11 導電性編組線
【発明の名称】 ケーブル状圧力センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内側電極である芯電極と、芯電極の外周に同心状に感圧機能層として可撓性感圧体を設け、前記感圧体の外周の表面に接触するように可撓性外側電極を設けて、前記可撓性感圧体および前記可撓性外側電極の外周に絶縁外被を被覆し、前記可撓性感圧体が有機高分子材料と、圧電性高分子粉末を混合した感圧組成物で構成されたケーブル状圧力センサ。
【請求項2】 有機高分子材料が、ポリウレタン型熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン、ポリウレタン系エラストマーから選ばれた少なくとも一種である請求項1記載のケーブル状圧力センサ。
【請求項3】 圧電性高分子粉末が、ポリフッ化ビニリデン、2フッ化3フッ化エチレン共重合体からなる請求項1および2記載のケーブル状圧力センサ。
【請求項4】 可撓性外側電極の周囲に導電性編組を設け、その外周を絶縁外被で被覆した請求項1から3のいずれか1項に記載のケーブル状圧力センサ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可橈性感圧センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のケーブル状の圧力を検知するセンサは、特開昭62−230071号公報に開示されているようなものがある。その構成について、図4を参照にしながら説明する。図4に示すように、線状導電材1と導電ゴム2とから構成された芯電極3の周囲に可撓性圧電体4を配置し、その周囲に可撓性外電極5を配置し、さらにその周囲に熱収縮チューブから成る外被6を被覆して成るケーブル状圧力センサである。また、可撓性外電極5として、アルミニウム箔や塗装法による銀系導電性塗膜が用いられる。上記記載のケーブル状圧力センサの一部分あるいは、全体に圧力が負荷付加されたとき、圧力センサが歪むため、芯電極3と可撓性外電極5の間に電位差が生じる。この電位差を検出して圧力センサに加えられる圧力や振動の有無を検知している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の感圧ケーブル状圧力センサは、感圧体に合成ゴムや合成樹脂中にチタン酸鉛等のセラミック圧電粉体を配合した複合圧電体が用いられるが、この複合圧電体の誘電率が高い為に、圧力負荷に対して発生する電位差が小さいため正確に圧力検知ができないという課題があった。
【0004】
また、感圧体として圧電性高分子であるポリフッ化ビニリデン樹脂や2フッ化3フッ化ポリエチレン共重合体樹脂(2F−3F樹脂)のみを溶融させ芯線電極上にチュービング被覆形成後、固化させてケーブル状にする感圧素子があるが、上記樹脂で感圧体を形成する場合、圧電性を得るために上記圧電性高分子に高電圧を印加して分極処理をしなければならず、高度な配向状態とするための配向処理が困難であるという課題があった。また、芯電極線上に上記圧電性高分子のフィルムを巻き付ける場合には、フィルムの強度がないために巻き付けるときに切れてしまうという製造上の課題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、内側電極である芯電極と、芯電極の外周に同心状に感圧機能層として可撓性感圧体を設け、前記感圧体の外周の表面に接触するように可撓性外側電極を設けて、前記可撓性感圧体および前記可撓性外側電極の外周に絶縁外被を被覆し、前記可撓性感圧体が有機高分子材料と、圧電性高分子粉末を混合した感圧組成物で構成されたものである。
【0006】
本発明によれば、誘電率の低い材料の圧電性高分子を効果的に芯電極の外周に設けることができるので、ケーブル状圧力センサとして正確に圧力検知することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は、可撓性ケーブル状圧力センサとして、可撓性感圧層に対向した一対の電極間電位が圧力に対して瞬時に鋭敏に変化するため、圧力を検知することができる。
【0008】
本発明の請求項1に記載のケーブル状圧力センサは、内側電極である芯電極の外周に同心状に感圧機能層として感圧体を設け、前記感圧体の外周の表面に接触するように可撓性外側電極を設け、その外周に絶縁性外被で被覆して構成したケーブル状圧力センサである。この構成は、可撓性を維持できるだけでなく、長尺ケーブル状に加工して後に、任意の長さのケーブルに切り取りすることができる。そして、感圧体が有機高分子材料と、圧電性高分子粉末を混合した感圧組成物で構成される。有機高分子材料は、ポリエチレン、ポリウレタンエラストマー、可塑化された塩化ビニル等が挙げられる。これは、圧電性高分子粉末と混合してもその感圧体としての機械強度を保持できる。
【0009】
圧電性高分子はポリフッ化ビニリデン、2フッ化3フッ化ポリエチレン共重合体、2フッ化6フッ化ポリエチレン共重合体が挙げられる。
【0010】
本発明の請求項2記載のケーブル状圧力センサは、有機高分子材料が、ポリウレタン型熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン、ポリウレタン系エラストマーから選ばれた少なくとも一種である。ここに記載された有機高分子材料は、圧電性高分子の粉体と混合しても、有機高分子材料の機械的強度が損なわれない。
【0011】
本発明の請求項3記載のケーブル状圧力センサは、圧電性高分子粉末が、2フッ化3フッ化ポリエチレン共重合体からなるは、圧電性高分子粉末が、2フッ化3フッ化ポリエチレン共重合体から構成されている。誘電率が高く、粉体で入手できる。
【0012】
本発明の請求項4記載のケーブル状圧力センサは、可撓性外側電極の周囲を導電性編組を設け、絶縁性外被で被覆した構成である。ケーブル状圧力センサに荷重が負荷された時に芯電極と可撓性外側電極間に発生する電位差を検出することにより、外部環境からのノイズを防止できる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0014】
(実施例1)
図1は本発明における実施例1のケーブル状圧力センサの要部断面図である。
【0015】
図1において、7は芯電極であり、芯電極7の外周に可撓性感圧体8を形成した後、可撓性感圧体8表面に接触するように可撓性外側電極9が巻き付けられPている。そして、可撓性感圧体8と可撓性外側電極9の外周に絶縁外被10を形成している。
【0016】
可撓性を有するケーブル状圧力センサでは、ケーブル全体としての可撓性確保のために、可撓性を有する芯電極7、可撓性圧電体8や可撓性外電極9で構成される。
【0017】
内側電極としての芯電極7は、従来例で示した構成やニッケルメッキ銅線等金属導体の撚線からなる。可撓性感圧体8は非圧電性高分子と圧電高分子粉末を混合した感圧組成物である。非圧電高分子材料には、有機高分子材料として、ポリウレタンポリウレタン型熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン、ポリウレタン系エラストマーから選ばれる。ここでは、塩素化ポリエチレンを用いた。また、圧電性高分子材料にはポリフッ化ビニリデン、2フッ化3フッ化ポリエチレン共重合体、2フッ化3フッ化エチレン共重合体の粉末、2フッ化6フッ化エチレン共重合体粉末等が用いられるが、ここでは、ポリフッ化ビニリデン樹脂粉体を用いた。選択した塩素化ポリエチレンとポリフッ化ビニリデン樹脂粉体(以降PVDF粉体と称す)とを熱ロールで十分混練した感圧組成物をコニカルスクリュー2軸押出し装置で芯電極7の外周にチュービング成型して、可撓性感圧体8を形成する。可撓性外側電極9は、金属層として、アルミニウム層、銅層、ニッケル層等があるが、これらの中でもアルミニウム層が優れている。アルミニウム層は、銅層に比べ熱的に酸化され難く、また、ニッケル層に比べ柔らかいので機械的インピーダンスが小さいからである。この可撓性外側電極9は可撓性感圧体8の機械的インピーダンスを小さくするために、できるだけ薄い方が好ましい。入手の容易性や価格の点を考慮すると10μm以下が好ましい。そして、可撓性感圧体8や可撓性外側電極9全体を保護するなどのために、絶縁外被10をチュービング加工で形成する。その材料としては、塩化ビニル、ウレタン樹脂等が挙げられるがここでは、塩化ビニル樹脂で外被10を形成した。外被10を形成した後、芯電極7と可撓性外側電極9の間に直流電圧を印加する分極工程を実施した後、ケーブル状感圧素子として完成する。
【0018】
はじめに、可撓性感圧体8の性能を測定するために、感圧体組成物の厚みを0.4mmのシート状に加工し、大きさ20mm角に加工した。そして図2に示すような装置を作成し、発生電圧を測定した。図2では、感圧体組成物シート11を大きさ20mm角、板厚み0.8mmのSUS緩衝板12と板厚5mmのSUS板13で挟持させて、重さ1.991g、直径10mmアルミナ球の高さを変えて落下させ、オシロスコープにより、落下した時に発生する起電圧を測定した。この時比較として、感圧体組成物の構成を塩素化ポリエチレンとセラミック圧電粉体のチタン酸鉛を混練した組成物と比較した。感圧組成物シート両面にAgぺースト電極を形成して分極を行った。なお、分極条件は20KV/mm、1h、である。
【0019】
図2の結果から、塩素化ポリエチレンにPVDF樹脂粉体を混合した感圧組成物シートが塩素化ポリエチレンにチタン酸鉛を混合した感圧組成物シートよりも約5倍の発生電圧の高さを示した。これは、PVDF樹脂粉体の誘電率がチタン酸鉛の誘電率よりもはるかに小さいため感圧体組成物シートの容量が小さくなり、結果としてPVDF樹脂粉体を混練した感圧体シートの発生電圧が大きくなるためである。
【0020】
このPVDF樹脂粉体と塩素化ポリエチレンを混合した圧電組成物を用いた可撓性感圧体8をチュービングしたケーブル状圧力センサが合成ゴム中に無機セラミック圧電粉体を用いた複合圧電体よりも、チュービング厚みが同じであるならば、圧力負荷に対して発生する電圧が大きくなるのは当然である。
【0021】
(実施例2)
図3は、本発明実施例2のケーブル状圧力センサ構成を示す断面図である。図1では、可撓性外側電極9が可撓性感圧体8の表面に巻き付けられた構成である。しかし、図1の構成では、芯電極7と可撓性外側電極9間で圧力負荷に対する誘起電圧を検出するとき外部ノイズを拾い易い。可撓性外側電極9が芯電極7の周囲を完全に覆っていないからである。このような場合、図3に示すように、可撓性外電極9の周囲を導電性編組11で被覆することが望ましい。芯電極7と可撓性外側電極9間から誘起電圧を検出するとき、可撓性外側電極と導電性編組11を短絡して、アース電位に保持することにより外部ノイズを遮断することができる。
【0022】
そして、実施例1での図1、実施例2での図3に示すように絶縁外被10は、可撓性感圧体8の保護、ならびにケーブル状圧力センサの外部環境に直接接触させないためにも必要である。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1にかかるケーブル状圧力センサは、内側電極である芯電極の外周に同心状に感圧機能層として感圧体を設け、前記感圧体の外周の表面に接触するように可撓性外側電極を設け、その外周に絶縁性外被で被覆して構成したケーブル状圧力センサであるので、可撓性を維持できるだけでなく、長尺ケーブル状に加工して後に、任意の長さのケーブルに切り取りすることができる。そして、感圧体が有機高分子材料と、圧電性高分子粉末を混合した感圧組成物で構成されるので、誘電率の高い圧電性高分子粉末を有機材料に混練することができ、無機セラミック圧電粉体よりも高い誘起電圧を発生する感圧体を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の実施例1の要部断面図
【図2】
本発明の実施例1のシート状感圧体組成物の発生電圧比較図
【図3】
本発明の実施例2の要部断面図
【図4】
従来の要部断面図
【符号の説明】
7 芯電極
8 可撓性感圧体
9 可撓性外側電極
10 絶縁外被
11 導電性編組線
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