JP2000213466A - 液体加圧装置 - Google Patents

液体加圧装置

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JP2000213466A JP11012857A JP1285799A JP2000213466A JP 2000213466 A JP2000213466 A JP 2000213466A JP 11012857 A JP11012857 A JP 11012857A JP 1285799 A JP1285799 A JP 1285799A JP 2000213466 A JP2000213466 A JP 2000213466A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吐出圧力値の圧力変動を最小限にする。 【解決手段】 吸入した液体をプランジャ5の往復動に
より加圧して吐出する往復動ポンプ1と、高圧液体の実
吐出圧力値を計測する圧力計測手段23と、高圧液体を
噴射するノズル21と、プランジャ5の往復動の送り速
度を調整することにより、圧力計測手段23で計測され
た実吐出圧力値を目標値としての圧力設定値に収束させ
るように制御する圧力制御手段25と、ノズル21から
の高圧液体の噴射及び噴射停止を検知する検知手段20
と、を備えた液体加圧装置であって、圧力制御手段25
は、検知手段20により噴射停止を検知した場合に、圧
力設定値付近でプランジャ5の移動を停止させ、検知手
段20により再噴射を検知した場合には最適送り速度で
プランジャ5を移動させるように制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プランジャポンプ
等の往復動ポンプを利用した液体加圧装置に関するもの
であり、特にポンプから吐出される高圧液体の圧力制御
に関する。
【0002】
【従来の技術】サーボモータ等を駆動源にした電動方式
往復動プランジャポンプから吐出される高圧液体の吐出
圧力の制御は、シリンダ内を往復動するプランジャの送
り速度を制御することにより行われるのが一般的であ
る。ここで、高圧液体の吐出圧力がノズル径が一定であ
れば往復動するプランジャの送り速度によって一意的に
決定され、プランジャの送り速度を一定に維持できれ
ば、吐出圧力値も安定状態を保持できることに鑑みて、
高圧液体の圧力制御方法は以下のように行われる。
【0003】まず、予め目標値としての圧力設定値の近
傍に上限閾値と下限閾値とを設ける。そして、圧力セン
サにより実吐出圧力値を計測し、これをフィードバック
しながら実吐出圧力値が圧力設定値に収束するようにプ
ランジャの送り速度を制御する。具体的には、最大送り
速度でプランジャを移動させて、実吐出圧力値を下限閾
値まで一気に到達させる。下限閾値到達後は、実吐出圧
力値をフィードバック制御して最適送り速度を決定す
る。その後は、この最適送り速度を一定に維持するよう
に制御する。そして、実吐出圧力値が上限閾値を超えた
場合には、ノズルからの高圧水の噴射停止を判断してプ
ランジャを停止する。そして、実吐出圧力値が下限閾値
より降下したら、プランジャを最大送り速度で移動させ
るように制御を行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の圧力
制御方法は、プランジャポンプの実吐出圧力値を短時間
に目標の圧力設定値に収束させることができ、また収束
後は安定状態を維持できる点で優れている。
【0005】しかしながら、ノズルにオンオフバルブを
取り付け、ノズルからの高圧液体のジェット噴射及び停
止を頻繁に切り換える場合には、圧力変動が大きくなる
という問題がある。即ち、圧力変動には、プランジャの
移動による場合の他にノズルからの高圧水噴射による圧
力変動もあるため、上限閾値はこれを考慮して目標の圧
力設定値から十分な幅をとって設定しなければならな
い。このため、プランジャの送り停止時には、圧力設定
値と上限閾値との差が行過ぎ量となってしまい、圧力変
動が大きくなってしまう。
【0006】また、複数のノズルから高圧液体を噴射す
る場合には、各ノズルの噴射及び噴射停止状態に応じて
プランジャの最適送り速度も異なっており、制御が困難
になるという問題がある。
【0007】本発明は、このような問題点に鑑みてなさ
れたものであり、吐出圧力値の追従性を良好にして、目
標の圧力設定値に安定した状態で維持することができる
液体加圧装置を提供することである。本発明の別の目的
は、複数のノズルを有する場合にも実吐出圧力値の制御
を容易に行える液体加圧装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、請求項1に係る発明は、吸入した液体をプランジャ
の往復動により加圧して吐出する往復動ポンプと、前記
高圧液体の実吐出圧力値を計測する圧力計測手段と、前
記高圧液体を噴射するノズルと、前記プランジャの往復
動の送り速度を調整することにより、前記圧力計測手段
で計測された実吐出圧力値を目標値としての圧力設定値
に収束させるように制御する圧力制御手段と、前記ノズ
ルからの前記高圧液体の噴射及び噴射停止を検知する検
知手段と、を備えた液体加圧装置であって、前記圧力制
御手段は、前記検知手段により噴射停止を検知した場合
に、前記圧力設定値付近でプランジャの移動を停止させ
るものであることを特徴とするものである。
【0009】本発明では、検知手段により噴射停止を検
知した場合に、圧力制御手段によって圧力設定値付近で
プランジャの移動を停止させるので、ノズルからの高圧
液体の噴射停止時に実吐出圧力値が目標値としての圧力
設定値より必要以上に超えることはなく、圧力設定値か
らの行過ぎ量を最小限とし追従性を良好にすることがで
きる。このため、ノズルからの高圧液体の噴射圧力の影
響により圧力変動が生じる従来の液体加圧装置に比べ、
吐出圧力値をより安定させることが可能となる。
【0010】ここで、圧力設定値付近とは、目標値とし
ての圧力設定値の他、圧力設定値の近傍に設けた所定の
閾値も含まれる。但し、吐出圧力値の追従性をより良好
にすべく、圧力設定値との差はわずかであることが好ま
しい。
【0011】本発明の圧力制御手段は、噴射停止を検知
した場合に圧力設定値付近でプランジャの移動を停止さ
せるものであればその構成は特に限定されない。例え
ば、圧力制御手段として更に、検知手段により再噴射を
検知した場合に、圧力設定値に到達するまでプランジャ
を最大送り速度で移動し、到達後は所定の最適送り速度
でプランジャを移動させるように制御することは任意で
ある。この場合には、圧力制御手段によって、目標値と
しての圧力設定値からの落ち込みを最小限にすることが
できる。
【0012】尚、本発明の検知手段としては、例えばノ
ズルに取り付けたオンオフバルブの開閉検知するセンサ
等が挙げられる。
【0013】請求項2に係る発明は、請求項1に記載の
液体加圧装置において、前記圧力制御手段は、前記実吐
出圧力値を予め定められた閾値に到達させ、到達後に実
吐出圧力値の制御を行って最適送り速度を決定し、その
後は当該最適送り速度を一定に維持するとともに、前記
検知手段により噴射停止を検知した場合にはプランジャ
の移動を停止させ、前記検知手段により再噴射を検知し
た場合には前記最適送り速度でプランジャを移動させる
ように制御するものであることを特徴とするものであ
る。
【0014】本発明は、請求項1に係る発明の好ましい
態様であり、予め定められた閾値を設け、実吐出圧力値
が当該閾値に到達後に最適送り速度を決定し、これを一
定に維持する液体加圧装置に適用したものである。即
ち、本発明では、短時間に実吐出圧力値を圧力設定値
(目標値)に到達させ、その後は安定性を維持させるこ
とができるという利点に加え、圧力制御手段が検知手段
により噴射停止を検知した場合に、吐出圧力値が閾値到
達後の圧力設定値(目標値)付近にあるときにプランジ
ャの移動を停止する。このため、圧力設定値からの行過
ぎ量を最小限とし追従性を良好にして噴射停止による圧
力変動が少なくなり、吐出圧力値を更に安定させること
が可能となる。
【0015】また、圧力制御手段は、検知手段により再
噴射を検知した場合には最適送り速度でプランジャを移
動させるので、再噴射後直ちにプランジャを最適送り速
度に復帰させることができ、実吐出圧力値の圧力設定値
(目標値)からの落ち込みを最小限として圧力変動がよ
り少なくなり、実吐出圧力値の安定性を図ることができ
る。
【0016】閾値に到達させるまでのプランジャ移動の
送り速度は、特に限定されるものではないが、圧力制御
の速応性を向上させ、より短時間に実吐出圧力値を圧力
設定値に収束させるため、プランジャの最高送り速度で
あることが好ましい。
【0017】尚、閾値は、圧力設定値付近の圧力値であ
ればよいが、追従性を維持するため圧力設定値との差が
少ないことが好ましい。また、閾値は上限値と下限値の
両方を設定しても良い。
【0018】最適送り速度とは、目標値である圧力設定
値にほぼ対応したプランジャの送り速度であり、圧力設
定値に完全に一致させるため、後に補正できるように構
成しても良い。
【0019】本発明の圧力制御手段で、閾値到達後に行
う実吐出圧力値の制御は、プランジャの最適送り速度を
決定できるものであればその構成は限定されるものでは
ない。このような制御としてPID制御を用いることが
できるが、外乱の影響を少なくしてストローク長の短い
プランジャの場合でもより短時間に実吐出圧力値を圧力
設定値付近に収束させるため、比例制御を行うことが好
ましい。
【0020】また、実吐出圧力値が閾値に到達した後、
最初にプランジャの前進端に到達するまでの間に、この
ような比例制御を行って最適送り速度を決定するように
構成すれば、更に圧力設定値への収束を早めることがで
きる。
【0021】請求項3に係る発明は、吸入した液体をプ
ランジャの往復動により加圧して吐出する往復動ポンプ
と、前記高圧液体の実吐出圧力値を計測する圧力計測手
段と、前記高圧液体を噴射する複数のノズルと、前記プ
ランジャの往復動の送り速度を調整することにより、前
記圧力計測手段で計測された実吐出圧力値を目標値とし
ての圧力設定値に収束させるように制御する圧力制御手
段と、各ノズルからの前記高圧液体の噴射及び噴射停止
を検知する検知手段と、を備えた液体加圧装置におい
て、前記圧力制御手段は、前記実吐出圧力値を予め定め
られた閾値に到達させ、到達後に実吐出圧力値の制御を
行って前記複数のノズルの噴射又は噴射停止の状態に応
じた最適送り速度を決定し、その後は当該最適送り速度
を一定に維持するとともに、前記検知手段により前記複
数のノズルの噴射及び噴射停止の状態が変化したことを
検知した場合には、前記最適送り速度を当該変化後の前
記複数のノズルの噴射及び噴射停止の状態に対応した最
適送り速度に切り換えるものであることを特徴とするも
のである。
【0022】本発明は、複数のノズルを有し、各ノズル
から高圧液体を噴射する液体加圧装置に適用したもので
ある。
【0023】ノズルが複数ある場合には、各ノズルの噴
射又は噴射停止の組合せにより圧力変動も異なり、この
ためプランジャの最適送り速度も夫々の状態によって異
なってくる。本発明では、検知手段によって複数のノズ
ルの噴射及び噴射停止の状態が変化したことを検知した
場合には、圧力制御手段によって、現在の最適送り速度
を当該変化後の前記複数のノズルの噴射及び噴射停止の
状態に対応した最適送り速度に切り換えるので、常にノ
ズルの噴射及び噴射停止の状態に適応したプランジャの
最適送り速度を維持することができ、実吐出圧力値の圧
力変動を防止して安定した状態を維持することが可能と
なる。
【0024】本発明における複数のノズルの噴射又は噴
射停止の状態とは、例えば、2個のノズルがある場合に
は、一方が噴射で他方が噴射停止の状態、その逆の状
態、及び両方とも噴射の状態の3通りがある。従って、
この場合、3通りの夫々の状態に適したプランジャの最
適送り速度を定めることになる。
【0025】また、複数のノズルの噴射又は噴射停止の
状態に応じた最適送り速度は、予め決定しておく他、実
吐出圧力値が閾値に到達した後に行う制御によって決定
しても良い。この場合には、実際のノズルの噴射状況に
応じた最適送り速度を決定することができるので、実吐
出圧力値の制御の安定性がより向上するという利点があ
る。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施形態につい
て、以下、図示例とともに説明する。図1は、第1実施
形態の液体加圧装置の概略構成図である。この実施形態
に係る液体加圧装置では、高圧液体噴射による材料切断
等のためのノズル装置を示しているが、高圧液体が供給
される一定容積の食品加圧処理用圧力容器内の食品を加
圧処理するための装置としても良い。
【0027】図1は液圧回路図であり、この液体加圧装
置は、給液部8、往復動ポンプとしてのプランジャポン
プ1、圧力制御手段としての制御部25、噴射部17、
から構成されている。
【0028】給液部8は、プランジャポンプ1に液体を
供給するためのものであり、圧媒タンク11、給水ポン
プ9からなる。
【0029】圧媒タンク11の液体は、プランジャポン
プ1に送られ、加圧された後、噴射部17から外部へ噴
射されるものである。従って、液体の種類は、材料切断
に使用される場合や食品の加圧処理に使用される場合に
応じて適宜選択できる。
【0030】給水ポンプ9は、この液体を所定の圧力で
プランジャポンプ1に送るためのものであり、回転式ポ
ンプでも往復動ポンプでも連続して供給できるものであ
れば良い。尚、給水ポンプ9を設けないで、プランジャ
ポンプ1に圧媒タンク11内の液体を自己吸引させるこ
とも可能である。
【0031】プランジャポンプ1は、サーボモータ7、
及びサーボモータ7によって駆動されるプランジャ5
A,5Bを有する。両プランジャ5A,5Bは、互いに
等しいストローク長さで可逆的に連動して一体的に往復
運動し、これによってプランジャポンプ1の左右ポンプ
室3A,3Bでは、一方が吸入行程にあるときに他方は
吐出行程を行うように、いわゆるプッシュプル動作を行
う。つまり、プランジャ5Bは、図示の矢印A方向に移
動することによりポンプ室3Bに液体を吸入し(吸入行
程)、逆に矢印B方向に移動することにより前記吸入行
程で吸入した液体を加圧して吐出する(吐出行程)。
尚、プランジャ5Aでは、矢印A,B方向での各行程
が、プランジャ5Bの場合と逆になる。
【0032】ここで、第1実施形態では、プランジャポ
ンプ1とサーボモータ7を採用しているので、制御が容
易になる。
【0033】圧カセンサ23は、プランジャポンプ1か
ら吐出される高圧液体の実吐出圧力を計測するものであ
り、計測結果は電気信号として制御部25に入力され
る。この実施形態では、圧カセンサは圧力計測手段を構
成している。
【0034】プランジャポンプ1は噴射部17へ高圧液
体を吐出するものであるが、高圧液体の吐出圧力は、プ
ランジャ5A,5Bの吸入行程及び吐出行程における往
復動の送り速度によって決定される。そしてこの送り速
度は、サーボモータ7の回転速度を制御する制御部25
によって、圧カセンサから制御部25に入力される信号
に基づいたフィードバック制御により行われる。
【0035】噴射部17は、アキュムレータ19と、オ
ンオフバルブ20と、ノズル21とからなる。
【0036】アキュムレータ19は、ノズル21に連結
されており、ノズル21からの高圧液体の吐出量や吐出
圧力の瞬時的変動を緩和する。
【0037】オンオフバルブ20は、ノズル21からの
高圧液体の噴射及び噴射停止を制御するもので、オン状
態で高圧液体を噴射し、オフ状態で噴射を停止するよう
になっている。このオンオフバルブ20のオンオフ状態
は信号として制御部25に入力される。このため、オン
オフバルブ20は本発明の検知手段を構成する。
【0038】図2に第1実施形態の液体加圧装置の圧力
制御系の制御ブロック図を示す。制御部25は、目標値
としての圧力設定値Psと圧力センサ23からフィード
バックされてきた実吐出圧力値Pとを入力する。また、
制御部25は、オンオフバルブ20からの信号を入力す
る。そして、圧力設定値Psと実吐出圧力値Pとの偏差
に基づいて後述する制御方法によってプランジャ5A,
5Bの必要な速度が算出され、サーボモータ7に速度指
令が出力され、サーボモータ7は、速度指令に応じた回
転速度によって回転する。このため、制御部25によっ
て、実吐出圧力値に基づいたプランジャ5A,5Bの送
り速度が制御され、この結果、高圧液体の吐出圧力の制
御が行われるようになっている。
【0039】プランジャポンプ1につながる流路の給液
部8側(上流部)には、チェック弁13a,13bが設
けられており、さらに、噴射部17側(下流部)には、
チェック弁15a,15bが設けられている。チェック
弁13a,13bは、給液部8からプランジャポンプ1
への液体の流入のみを許容し、チェック弁15a,15
bは、プランジャポンプ1から噴射部17への液体の流
出のみを許容する。いずれも、下流側から上流側への逆
流れを阻止する向きに配置されている。
【0040】プランジャポンプ1からの高圧液体は、チ
ェック弁15a,15bを通って噴射部17へ送られ
る。
【0041】次に、このように構成された液体加圧装置
の制御部25による高圧液体の圧力制御について説明す
る。図3に、本実施形態における圧力制御のフローチャ
ート図を示す。図4は、制御部25による圧力制御によ
って、実吐出圧力値及びプランジャ5A,5Bの送り速
度の変動状態を示した図であり、図4(a)は、時間と
実吐出圧力値の変動の状態図、図4(b)は、プランジ
ャ5A,5Bの送り速度の変動の状態図である。同図
は、後述する各ステップに対応づけて表示している。
【0042】まず事前に、目標値として圧力設定値Ps
と、閾値α及びβを決定し制御部25に入力する。ここ
で、閾値αは圧力値の上限値(Ps+α)として、閾値
βは圧力値の下限値(Ps−β)として用いられる。
尚、閾値として、下限値のみを設定するようにしてもよ
い。
【0043】そして、サーボモータ7を駆動してプラン
ジャ5A,5Bを往復動させる。プランジャ5A,5B
の送り速度Vは数1〜数3の各式で決定される。
【0044】
【数1】 V=Vmax (P<Ps−βのとき)
【0045】
【数2】V=Vmax(Ps+α−P)/(α+β) (Ps−β
≦P<Ps+αのとき)
【0046】
【数3】 V=0 (Ps+α≦Pのとき)
【0047】ここで、Vmaxは、いずれもプランジャ5
A,5Bの最大送り速度である。
【0048】所定時間毎に実吐出圧力値Pを圧力センサ
23で検出し、実吐出圧力値PがPs−βに達している
か否かを調べる(ステップ301)。そして、実吐出圧
力値PがPs−βに到達していなければ、プランジャ5
A,5Bの送り速度を最大送り速度Vmaxで移動させる
よう速度指令信号をサーボモータ7に送出する(ステッ
プ302)。
【0049】実吐出圧力値PがPs−βに達したら、プ
ランジャ5A,5Bを1ストローク移動させ、最初のス
トローク端に到達するまではプランジャ5A,5Bの送
り速度を数2の式で算出される値となるように比例制御
を行う(ステップ303、ステップ304)。
【0050】プランジャ5A,5Bが最初のストローク
端に到達したら、オンオフバルブの切り換えがない場合
にはストローク端での送り速度を検出し、これを最適送
り速度Vとして決定する(ステップ305)。この
時、最適送り速度Vは、目標値の圧力設定値Psに対
応した送り速度に非常に近い値となっている。このよう
に、実吐出圧力は圧力設定値Ps(目標値)付近で比例
制御が行われるため、圧力設定値に収束していく。
【0051】次に、実吐出圧力値Pが目標値としての圧
力設定値Psに達したか否かを調べ(ステップ30
6)、達していない場合にはプランジャ5A,5Bの送
り速度を数1の式のVmaxに設定する(ステップ30
7)。そして、圧力設定値Psに達した場合には最適送
り速度Vで運転する(ステップ308)。
【0052】このような最適送り速度Vでのプランジ
ャ5A,5Bの運転中に、オンオフバルブがオフ状態と
なり噴射停止信号が入力された場合には、プランジャ5
A,5Bの送り速度Vを0に設定し、プランジャの移動
を停止する(ステップ309、ステップ310)。
【0053】再度、オンオフバルブがオン状態となり噴
射信号が入力され(ステップ311)、実吐出圧力値P
が圧力設定値Ps に達している場合には、プランジャ5
A,5Bの送り速度Vを最適送り速度Vで再運転する
(ステップ306、308)。一方、実吐出圧力値Pが
圧力設定値Ps に達していない場合には、プランジャ5
A,5Bの送り速度Vを最大送り速度Vmaxで再運転し
(ステップ306、307)、圧力設定値Ps に達した
後最適送り速度Vに維持して運転を続ける(ステップ
306、308)。
【0054】このように、本実施形態の液体加圧装置で
は、噴射停止を検知した場合に、圧力設定値付近でプラ
ンジャの移動を停止させるので、ノズルからの高圧液体
の噴射停止時に実吐出圧力値Pが圧力設定値Psより必
要以上に超えることはない。このため、圧力設定値Ps
からの行過ぎ量を最小限とし追従性を良好にすることが
できる。また、噴射停止の状態から噴射に切り換えた場
合には、噴射検知と同時に、又はほぼ同時に最適送り速
度でプランジャを移動させることにより、すぐさま圧力
設定値に近い実吐出圧力を得ることができる。
【0055】一方、オンオフバルブがオン状態でノズル
から高圧液体を噴射中の場合には、プランジャ5A,5
Bの送り速度は最適送り速度Vに維持する(ステップ
309、ステップ308)。但し、プランジャ5A,5
Bのストローク端における往復動の切換時には、プラン
ジャ5A,5Bの送り速度を最大送り速度Vmaxに一時
的に設定する。これは、プランジャ5A,5Bの方向切
換時の脈動による実吐出圧力値Pの低下を防止して、制
御系の追従性を良好にし安定性を向上させるためであ
る。
【0056】又、制御部25では、送り速度を一定値に
保持するが、この場合でも何らかの原因によって実吐出
圧力値Pが、圧力設定値Ps+α以上となった場合に
は、プランジャ5A,5Bを停止させる。一方、圧力設
定値Ps−β以下に低下した場合には、再度比例制御を
行い最適送り速度Vを決定する。このため、実吐出圧
力値Pが大幅に変動した場合でも、直ちに定常状態に復
帰させることができる。
【0057】次に、第2実施形態に係る液体加圧装置に
ついて説明する。第2実施形態の液体加圧装置は、2個
のノズル21と夫々に対応したオンオフバルブ20を有
するものであり、その他の構成については図1と同様な
ので説明を省略する。
【0058】第2実施形態の液体加圧装置は2個のノズ
ルを有するため、3通りの噴射及び噴射停止状態の組合
せがあり、各状態によってプランジャの最適送り速度は
異なっている。ここで、第1ノズルに対する第1バルブ
がオンで、第2ノズルに対する第2バルブがオフの状態
のプランジャの最適送り速度をV0A、第1バルブがオ
フで、第2ノズルに対する第2バルブがオンの状態の最
適送り速度をV0B、第1バルブと第2バルブが共にオ
ンの状態の最適送り速度をV0Cとする。このときの制
御部25に圧力制御を、図5に示すフローチャート図に
基づいて、図3のフローチャートと異なる部分について
のみ説明する。尚、図6は、制御部25による圧力制御
によって、実吐出圧力値及びプランジャ5A,5Bの送
り速度の変動状態を示した図であり、図6(a)は、時
間と実吐出圧力値の変動の状態図、図6(b)は、プラ
ンジャ5A,5Bの送り速度の変動の状態図である。
【0059】プランジャを最大送り速度Vmaxで移動さ
せて吐出圧力値がPs−βを超え、上述の比例制御の
後、最適送り速度Vを決定するとき(ステップ50
5)、最適送り速度Vとしては、そのときのノズルの
噴射及び噴射停止状態における最適送り速度(V0A
0B、V0C、のいずれか)が決定される。例えば、
図5を例にとると、第1バルブと第2バルブが共にオン
であることから、最適送り速度はV0Cに決定されるこ
とになる。
【0060】次に第1実施形態と異なる点は、プランジ
ャをその時点での最適送り速度で移動させているときに
2個のノズルに対応したバルブの状態が変化したことを
検知した場合、変化後のバルブの状態に対応するプラン
ジャの最適送り速度が既に決定している場合にはその最
適送り速度に切り換える(ステップ509、ステップ5
10、ステップ511)。変化後のバルブの状態に対応
するプランジャの最適送り速度が未だ決定していない場
合には、上述の比例制御と同様に、プランジャを1スト
ローク移動させて最初のストローク端での送り速度を検
出し、検出された速度に切り換えてこれを最適送り速度
とする(ステップ510、ステップ503、ステッ
プ504、ステップ505)。
【0061】図6の例では、バルブが共にオンの状態か
ら、第1バルブがオフでかつ、第2バルブがオンの状態
に切り替わったので、比例制御により最適送り速度がV
0CからV0Aに切り替わることになる。
【0062】ここで、図7に第2実施形態に係る液体加
圧装置の圧力制御による実吐出圧力値の圧力変動と、従
来装置の圧力制御による圧力変動の状態図を示す。図7
(a)は従来の圧力制御による場合であり、図7(b)
は本実施形態の圧力制御による場合を示す。図7(c)
も、本実施形態の圧力制御による場合であるが、更にオ
ンオフバルブの開閉を頻繁に行った場合における圧力変
動を示している。
【0063】図7からわかるように、本実施形態に係る
液体加圧装置では、ノズルが2個ある場合でも、現在の
最適送り速度を、再度比例制御して変化後の状態に対応
した最適送り速度に切り換えるので、常にノズルの噴射
及び噴射停止の状態に適応したプランジャの最適送り速
度を維持することができ、実吐出圧力値の圧力変動を防
止して安定した状態を維持することが可能となる。特
に、図7(c)に示すように、オンオフバルブの開閉を
頻繁に行った場合でも圧力変動は非常に少ないものとな
る。
【0064】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明は、検知手
段により噴射停止を検知した場合に、圧力設定値付近で
プランジャの移動を停止させる圧力制御手段を備えてい
るので、目標値としての圧力設定値からの行過ぎ量を最
小限とし追従性を良好にすることができる。また、検知
手段により再噴射を検知した場合にはすぐさま最適送り
速度でプランジャを移動させるので、圧力設定値からの
落ち込みを最小限とすることができる。このため、吐出
圧力値をより安定させることができるという効果を有す
る。
【0065】また本発明は、複数のノズルを有する場合
において、実吐出圧力値を予め定められた閾値に到達さ
せ、到達後に実吐出圧力値の制御を行って複数のノズル
の噴射又は噴射停止の状態に応じた最適送り速度を決定
し、その後は当該最適送り速度を一定に維持するととも
に、検知手段により複数のノズルの噴射及び噴射停止の
状態が変化したことを検知した場合には、最適送り速度
を当該変化後の前記複数のノズルの噴射及び噴射停止の
状態に対応した最適送り速度に切り換える圧力制御手段
を備えているので、常にノズルの噴射及び噴射停止の状
態に適応したプランジャの最適送り速度を維持すること
ができ、実吐出圧力値の圧力変動を防止して安定した状
態を維持できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る液体加圧装置の概略構成図
である。
【図2】第1実施形態に係る液体加圧装置の制御ブロッ
ク図である。
【図3】第1実施形態に係る液体加圧装置の圧力制御の
フローチャート図である。
【図4】第1実施形態に係る制御部による実吐出圧力値
及び送り速度の変動の状態図である。図4(a)は、実
吐出圧力値の状態図であり、図4(b)はプランジャの
送り速度の状態図である。
【図5】第2実施形態に係る液体加圧装置の圧力制御の
フローチャート図である。
【図6】第2実施形態に係る制御部による実吐出圧力値
及び送り速度の変動の状態図である。図6(a)は、実
吐出圧力値の状態図であり、図6(b)はプランジャの
送り速度の状態図である。
【図7】従来例の液体加圧装置と本実施形態に係る液体
加圧装置における実吐出圧力値の圧力変動を示す説明図
である。図7(a)は従来例、図7(b)及び(c)は
第2実施形態の液体加圧装置の場合である。
【符号の説明】
1:プランジャポンプ 3:ポンプ室 5:プランジャ 7:サーボモータ 8:給液部 9:給水ポンプ 11:圧媒タンク 13a,13b,15a,15b:チェック弁 17:噴射部 19:アキュムレータ 20:オンオフバルブ 21:ノズル 23:圧力センサ 25:制御部
フロントページの続き (72)発明者 杉森 正 富山県魚津市本江2410 株式会社スギノマ シン内 Fターム(参考) 3H045 AA03 AA09 AA16 AA23 BA36 CA03 CA21 CA28 CA29 DA01 DA05 EA38 3H070 AA03 BB07 BB15 BB25 CC19 DD81 3H071 AA01 BB01 CC00 DD84 5H316 BB07 CC01 DD02 EE22 EE25 EE26 FF01 GG01 GG03 HH04

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸入した液体をプランジャの往復動によ
    り加圧して吐出する往復動ポンプと、前記高圧液体の実
    吐出圧力値を計測する圧力計測手段と、前記高圧液体を
    噴射するノズルと、前記プランジャの往復動の送り速度
    を調整することにより、前記圧力計測手段で計測された
    実吐出圧力値を目標値としての圧力設定値に収束させる
    ように制御する圧力制御手段と、前記ノズルからの前記
    高圧液体の噴射及び噴射停止を検知する検知手段と、を
    備えた液体加圧装置であって、 前記圧力制御手段は、前記検知手段により噴射停止を検
    知した場合に、前記圧力設定値付近でプランジャの移動
    を停止させるものであることを特徴とする液体加圧装
    置。
  2. 【請求項2】 前記圧力制御手段は、前記実吐出圧力値
    を予め定められた閾値に到達させ、到達後に実吐出圧力
    値の制御を行って最適送り速度を決定し、その後は当該
    最適送り速度を一定に維持するとともに、前記検知手段
    により噴射停止を検知した場合にはプランジャの移動を
    停止させ、前記検知手段により再噴射を検知した場合に
    は前記最適送り速度でプランジャを移動させるように制
    御するものであることを特徴とする請求項1に記載の液
    体加圧装置。
  3. 【請求項3】 吸入した液体をプランジャの往復動によ
    り加圧して吐出する往復動ポンプと、前記高圧液体の実
    吐出圧力値を計測する圧力計測手段と、前記高圧液体を
    噴射する複数のノズルと、前記プランジャの往復動の送
    り速度を調整することにより、前記圧力計測手段で計測
    された実吐出圧力値を目標値としての圧力設定値に収束
    させるように制御する圧力制御手段と、各ノズルからの
    前記高圧液体の噴射及び噴射停止を検知する検知手段
    と、を備えた液体加圧装置であって、 前記圧力制御手段は、前記実吐出圧力値を予め定められ
    た閾値に到達させ、到達後に実吐出圧力値の制御を行っ
    て前記複数のノズルの噴射又は噴射停止の状態に応じた
    最適送り速度を決定し、その後は当該最適送り速度を一
    定に維持するとともに、前記検知手段により前記複数の
    ノズルの噴射及び噴射停止の状態が変化したことを検知
    した場合には、前記最適送り速度を当該変化後の前記複
    数のノズルの噴射及び噴射停止の状態に対応した最適送
    り速度に切り換えるものであることを特徴とする液体加
    圧装置。
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