JP2000211142A - インクジェット記録ヘッド、インクジェット記録ヘッドカ―トリッジ及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド、インクジェット記録ヘッドカ―トリッジ及びインクジェット記録装置

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JP2000211142A
JP2000211142A JP1711699A JP1711699A JP2000211142A JP 2000211142 A JP2000211142 A JP 2000211142A JP 1711699 A JP1711699 A JP 1711699A JP 1711699 A JP1711699 A JP 1711699A JP 2000211142 A JP2000211142 A JP 2000211142A
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ink
liquid
recording head
substrate
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Kazuaki Masuda
和明 益田
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Canon Inc
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2/14016Structure of bubble jet print heads
    • B41J2/14032Structure of the pressure chamber
    • B41J2/14048Movable member in the chamber

Abstract

(57)【要約】 【課題】 液路から吐出口に至るインクの流れ、及び吐
出口からのインクの吐出方向を安定化させることで、高
速かつ高解像度の印字を可能とする。 【解決手段】 インクに与える吐出用の熱エネルギーを
発生する電気熱変換体31が設けられた第1の基板32
上にはオリフィスプレート部36を有する第2の基板3
4が接合される。第2の基板34には、電気熱変換体3
1に対応する位置に溝が形成され、第1の基板32と接
合されることで液路42を構成する。オリフィスプレー
ト部36には、液路42側からレーザビームを照射する
ことで、液路42と連通する吐出口30が形成される。
第2の基板34の溝は、レーザビームをその光軸が液路
42の中心軸と平行になるように照射しても溝の壁部に
レーザビームが照射されない形状であり、吐出口30
は、光軸が液路と平行になるようにレーザビームが照射
されて形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクを吐出する
吐出口が開口したオリフィスプレートを有するインクジ
ェット記録ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクを吐出して被記録媒体に記録を行
うインクジェット記録ヘッドは、一般に、インクを吐出
させるためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子
が複数設けられた第1の基板上に、各エネルギー発生素
子に対応した複数の液路及び各液路にそれぞれ連通する
吐出口(オリフィス)が形成された第2の基板を接合さ
せて構成されている。
【0003】最近、この種のインクジェット記録ヘッド
のオリフィスを加工するのにエキシマレーザーを用いる
ようになってきている。インクをオリフィスから吐出さ
せ、着弾精度良く、記録紙上に着弾させるため、また、
吐出の安定性を高め、印字品位を向上させるためには、
オリフィスは、吐出方向に向かって断面積が減少するテ
ーパ形状とすることが求められる。
【0004】そこで、本出願人らは先に特開平2−18
7346号公報などで開示したように、樹脂製の第2の
基板のオリフィスプレート部分に、被記録媒体側ではな
く液路側からエキシマレーザー光を照射し、前述のテー
パ形状をもつオリフィスの形成方法が知られている。こ
の方法によれば、液路となるべき凹部と、吐出口を形成
するオリフィスプレート部とが一体にたとえば射出成形
で形成し、その後、エキシマレーザーによるオリフィス
加工を行うため、部品数も少なく工程も比較的簡略に済
み、製造コストも低く抑えることが可能であるなど、大
きなメリットがある。
【0005】以下に、レーザ加工でオリフィスを形成し
た従来のインクジェット記録ヘッドについて、図12を
用いて説明する。インクジェット記録ヘッド1017
は、複数のエネルギー発生素子1031が設けられた第
1の基板1032と、第1の基板1032に接合された
第2の基板1034とを有する。第2の基板1034に
は、各エネルギー発生素子1031に対応した複数の液
路1042を構成する溝及び共通液室1033を構成す
る凹部が形成されている。また、第2の基板1034の
前端面であるオリフィスプレート部1036には、各液
路1042とそれぞれ連通する複数の吐出口1030
が、液路1042側からレーザビームを照射することに
より形成される。
【0006】第1の基板1032は、不図示の板状の支
持体上に固定支持される。この支持体は、被記録材10
10の記録面と略垂直になるように位置決めされてい
る。つまり、液路1042の中心軸は被記録材1010
の記録面と略垂直となっている。
【0007】液路1042内にインクが満たされた状態
でエネルギー発生素子1031を駆動して液路1042
内のインクに吐出用のエネルギーを与えることによっ
て、吐出口1030からインクが吐出される。インクジ
ェット記録ヘッド1017には被記録材1010が所定
の間隔をおいて対向配置されており、吐出口1017か
ら吐出したインクが被記録材1010に着弾することで
被記録材1010に記録がなされる。
【0008】ここで、吐出口1030の中心軸1030
Cと流路1042の中心軸1042Cとは、ある角度θ
で交差している。これは、上述のように吐出口1030
をテーパ形状とするためにはレーザビームを液路104
2側から照射する必要があるが、その場合、図13に示
すように、吐出口1030の中心軸1030Cが液路1
042の中心軸1042Cと一致するようにレーザビー
ム1095を照射すると、レーザビーム1095が液路
1042の壁となる部分に当たり、遮られてしまう。そ
こで、レーザビーム1095が液路1042の壁となる
部分に遮られないようにするために、図14に示すよう
に、液路1042の斜め下方から、液路1042の中心
軸1042Cに対して角度θでレーザビーム1095を
照射して吐出口1030を形成している。その結果、先
に述べたように、液路1042の中心軸1042Cと吐
出口1030の中心軸1030Cとが角度θをもって交
差するような構成となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】液路内のインクが吐出
口から吐出する際、インクは液路の中心軸及び吐出口の
中心軸に沿って流れようとする。
【0010】しかし、上述した従来のインクジェット記
録ヘッドでは、両者の中心軸が交差しているため、吐出
口の近傍でインクの流れ方向が急に変わってしまう。こ
れにより、インクの流れが不安定になり、特に、高速印
字のために高い駆動周波数でエネルギー発生素子を駆動
する場合には、吐出口から吐出するインク滴から分離す
るサテライト滴やインクミストが増大し、印字品位を低
下させる原因になり易い。
【0011】また、図12にも示したように、被記録材
1010は液路1042に対してほぼ垂直になるように
配置されるため、被記録材1010の表面に対してイン
クは角度θをもって飛翔着弾することになる。実際の記
録においては、インクジェット記録ヘッド1017を被
記録材1010に対して往復走査しながらインクを吐出
させているが、図15に示すように、インクの吐出方向
が被記録材1010の記録面に対して角度θだけ傾いて
おり、それに更にインクジェット記録ヘッドの走査方向
速度成分も加わるため、往時と復時とではインクの実際
の飛翔方向が大きく異なる。このことは、被記録材10
10へのインクの着弾位置精度を悪くする原因となる。
【0012】上述した事項は、解像度が高い、すなわち
吐出口の配列ピッチが小さなインクジェット記録ヘッド
において問題となってくる。
【0013】そこで本発明は、液路から吐出口に至るイ
ンクの流れ、及び吐出口からのインクの吐出方向を安定
化させることで、高速かつ高解像度の印字を可能とする
インクジェット記録ヘッド、インクジェット記録ヘッド
カートリッジ及びインクジェット記録装置を提供するこ
とを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明のインクジェット記録ヘッドは、液体吐出用のエ
ネルギーを発生するエネルギー発生素子が設けられた第
1の基板と、前記第1の基板に接合されることで前記エ
ネルギー発生素子に対応した液路を構成する溝が形成さ
れるとともに、液体を吐出するために前記液路と連通す
る吐出口がオリフィスプレート部に形成された第2の基
板とを有し、前記吐出口が、前記オリフィスプレート部
に前記液路側からレーザビームを照射することにより形
成されたインクジェット記録ヘッドにおいて、前記第2
の基板の溝は、前記レーザビームをその光軸が前記液路
の中心軸と平行になるように照射しても前記レーザビー
ムが前記溝の壁部に照射されない形状であり、前記吐出
口は、前記レーザビームの光軸が前記液路の中心軸と平
行になるように前記レーザビームが照射されて形成さた
ことを特徴とする。
【0015】上記のとおり構成された本発明では、第2
の基板のオリフィスプレート部に流路側からレーザビー
ムを照射して形成された吐出口は、レーザビームをその
光軸が液路の中心軸と平行になるように照射することに
よって形成されるが、第2の基板の溝は、このようにレ
ーザビームを照射してもレーザビームが溝の壁部に照射
されない形状であるので、レーザビームが第2の基板の
溝の壁部に遮られることなく、中心軸が液路の中心軸と
平行な吐出口が形成される。従って、液体を吐出する際
の液路から吐出口へ至る液体の流れの中で液体の流れ方
向が変わることはなく、安定したインクの流れが得られ
る。また、従来と同様に液路の中心軸が被記録媒体の記
録面と略垂直になるようにインクジェット記録ヘッドを
配置しても、インクは記録面と略垂直に飛翔するので、
被記録媒体へのインクの着弾位置も安定する。
【0016】上記エネルギー発生素子としては、液体に
気泡を発生させるための熱エネルギーを発生するものを
用いることができる。この場合には、第1の基板上にエ
ネルギー発生素子に対面して設けられ、液路内の液体の
流れ方向の上流側の一端が固定され他端が自由端となる
可動部材を設けることで、液路内に発生した気泡の圧力
伝播方向及び気泡の成長方向が吐出口側へ効率的に導か
れる。
【0017】また、本発明のインクジェット記録ヘッド
カートリッジは、上記本発明のインクジェット記録ヘッ
ドと、該インクジェット記録ヘッドに供給される液体を
保持する保持容器とを有するものである。
【0018】本発明のインクジェット記録装置は、上記
本発明のインクジェット記録ヘッドと、該インクジェッ
ト記録ヘッドから液体を吐出させるための駆動信号を供
給する駆動信号供給手段とを有する、または、上記本発
明のインクジェット記録ヘッドと、該インクジェット記
録ヘッドから吐出された液体を受ける被記録媒体を搬送
する被記録媒体搬送手段とを有するものである。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態を詳細に説明する。
【0020】(第1の実施形態)図1は、本発明を適用
したインクジェットプリント装置の一例の概略構成を示
す模式的斜視図である。
【0021】図1において、装置本体1には、螺旋溝2
が刻まれたリードスクリュー3が回転自在に軸支されて
おり、このリードスクリュー3は、駆動モータ4の正逆
回転に連動すべく、伝達ギア5,6を介して回転駆動さ
れる。キャリッジ7は、その支持部8(図6参照)に設
けられたピン(不図示)を螺旋溝2に係合し、かつガイ
ドレール9に摺動自在に案内されており、駆動モータ4
の正逆回転により矢印a,b方向に往復移動する。用紙
やプラスチック薄板等の被記録材(プリント媒体)10
は、プラテンローラ11によって紙送りされ、記録位置
では、キャリッジ7の移動方向に沿って延在する紙押さ
え12によりプラテン11の周面に押圧される。
【0022】フォトカプラ13,14は、その配置位置
において、キャリッジ7に取付けられたレバー15の通
過を検出して駆動モータ4の回転方向の逆転の切換え等
を行うためのホームポジション検出手段を構成してい
る。キャリッジ7には、プリント手段を構成するインク
ジェットカートリッジ16が搭載されている。このイン
クジェットカートリッジ16は、図3に示すように、イ
ンクジェットヘッド17を含むインクジェットユニット
18とインク貯蔵部を形成するインクタンク19とを一
体化した構造とされている。
【0023】図1において、プリント領域を外れた位置
(例えば、ホームポジション)には、インクジェットヘ
ッド17の吐出口面(吐出口が配列された前面)を覆う
(キャッピング)ためのキャップ部材20が配設されて
いる。このキャップ部材20は、支持部材21によって
支持され、さらに吸引手段22を備え、キャップ内開口
23を介してインクジェットヘッド17の吸引回復を行
うように構成されている。
【0024】装置本体1の枠部材24に支持板25が取
付けられており、この支持板25に摺動可能に支持され
たクリーニングブレード26は、不図示の駆動手段によ
り、インクジェットヘッド17に対して近接及び離間す
る前後方向に移動可能に構成されている。クリーニング
ブレード16としては、図示のものの他、公知の種々の
形態のものを使用することができる。レバー27は、吸
引回復操作を開始するためのものであり、キャリッジ7
と当接するカム28の移動に伴って移動する。そして、
このレバー27の移動に伴ってギア29やクラッチ切換
え等の公知の伝達手段を制御することにより、駆動モー
タ4からの駆動力の伝達が制御される。
【0025】前述のキャッピング、クリーニング、吸引
回復の各処理は、キャリッジ7がホームポジション側の
領域の移動したときに、リードスクリュー3の作用によ
りそれぞれの対応位置にて行われる。そして、これらの
各処理は、周知のタイミング及びシーケンスを利用して
任意の態様で実施することができる。また、これらの各
処理は単独でもあるいは複合的にも実施することができ
ることは勿論である。
【0026】図2は、図1に示したインクジェットカー
トリッジ16の外観斜視図であり、図3はインクジェッ
トカートリッジ16の分解斜視図である。
【0027】図2及び図3において、インクジェットカ
ートリッジ16は、インクジェットヘッド17を含むイ
ンクジェットユニット18と、インクを収納するインク
タンク19とを一体的に組み付けた構造となっている。
インクジェットヘッド17には、多数の吐出口30が一
体的に形成されている。そして、インクジェットユニッ
ト18は、このインクジェットヘッド17を含む、その
インクジェットヘッド17への電気配線やインク配管等
をまとめたものである。
【0028】本例のインクジェットカートリッジ16
は、インクの収納割合が大きいものであり、インクジェ
ットユニット18の先端部はインクタンク19の前面よ
り僅かに突出している。このインクジェットカートリッ
ジ16は、図6を参照して後述するように、キャリッジ
7の位置決め手段及び電気的接点によってキャリッジ7
に着脱可能に固定支持されるディスポーザブルタイプの
ものである。
【0029】図4は、インクジェットヘッド17の構造
を模式的に示す部分斜視図である。このインクジェット
ヘッド17は、熱エネルギーを利用してインクを吐出す
るインクジェットヘッドであって、熱エネルギーを発生
するための電気熱変換体31を備えたものである。そし
て、このインクジェットヘッド17は、電気熱変換体3
1によって印加される熱エネルギーによりインクに膜沸
騰を生じさせ、その膜沸騰による気泡の成長、収縮によ
って生じる圧力変化を利用して、吐出口30よりインク
を吐出させてプリント(記録ともいう)を行うものであ
る。なお、インクジェットヘッド17の詳細については
後述する。
【0030】図5は、図3中のインクタンク19におけ
るインクジェットユニット18の取付け部を示す模式的
斜視図であり、図6は、インクジェットカートリッジ1
6におけるキャリッジ7への取付け構造を示す断面図で
ある。次に、これらの図とともに、主として図3を参照
して、インクジェットユニット18の構成について説明
する。
【0031】図3において、配線基板37の一端はイン
クジェットヘッド17の第1基板32の配線部分と相互
に接続され、さらに、配線基板37の他端部には、装置
本体の駆動信号供給手段(不図示)からの電気信号を受
けるための各電気熱変換体31(図4参照)に対応した
複数個のパッド38が設けられている。このことによ
り、装置本体からの電気信号は、それぞれの電気熱変換
体31に個別に供給される。
【0032】配線基板37の裏面を平面で支持する金属
製の支持体39は、インクジェットユニット18の底板
となる。押えばね40はM字形状であり、そのM字の中
央で共通液室33(図4参照)の外壁部分を軽圧で押圧
するとともに、その前だれ部41で液路42の一部、好
ましくは吐出口30近傍の領域を線圧で集中押圧する。
第1の基板32と第2の基板34とは、押えばね40の
足部が支持体39の孔43を通って支持体39の裏面側
に係合することによって、挟み込んだ状態で係合され、
押えばね40とその前だれ部41の集中付勢力によって
相互に圧着固定される。
【0033】支持体39は、インクタンク19の2つの
位置決め突起44、及び位置決め用かつ熱融着保持用の
突起45,46(図5参照)のそれぞれに係合する孔4
7,48,49を有する。また、支持体39には、イン
クタンク19からのインク流路を形成するためのインク
供給管52が貫通する孔53が設けられている。支持体
39に対する配線基板37の取付けは、接着材等による
貼着で行われる。
【0034】支持体39の凹部54,55は、それぞれ
突起50,51の近傍に設けられており、組み立てられ
たインクジェットカートリッジ16(図2参照)のイン
クジェットユニット18の周囲の3辺に設けられた平行
溝56,57の延長線上に位置することにより、ゴミや
インク等の不要物が突起50,51に至らないように構
成されている。前記平行溝56が形成されている蓋部材
58は、図6に示すように、インクジェットカートリッ
ジ16の外壁を形成するとともに、インクタンク19と
の間にインクジェットユニット18を収納する空間59
を形成する。また、前記平行溝57が形成されているイ
ンク供給部材60は、インク供給管52側を固定された
片持ち梁として形成され、かつインク供給管52に連続
するインク導管61を有し、さらに、インク導管61の
固定側とインク供給管52との間の毛細管現象を確保す
るための封止ピン62が挿入されている。なお、インク
タンク19とインク供給管52との結合部は圧入でシー
ルされている。
【0035】インク供給部材60は、モールド成形で作
られるため、安価で位置精度が高く、製造上の精度低下
がなく、さらに片持ち梁構造のインク導管61を備えた
構成としての大量生産時においても、そのインク導管6
1のインク受け口35に対する圧接状態が安定してい
る。本例では、この圧接状態下で、封止用接着剤をイン
ク供給部材60側から流し込むだけで、より完全な連通
状態を確実に得ることができる。なお、インク供給部材
60の支持体39に対する固定は、インク供給部材60
の裏面側の2本のピン(不図示)を支持体39の孔6
4,65にそれぞれ貫通させ、これを熱融着することに
より簡単に行われる。この熱融着された裏面部の僅かな
突出領域は、インクタンク19におけるインクジェット
ユニット18の取付け側の側面の窪み(不図示)内に収
められるので、インクジェットユニット18の位置決め
面が正確に得られる。
【0036】次に、インクタンク19について説明す
る。インクタンク19は、基本的にカートリッジ本体6
6とインク吸収体67と蓋部材68とからなり、インク
吸収体67をインクジェットユニット18とは反対側か
らカートリッジ本体66に挿入したのち蓋部材68でこ
れを封止することにより組み立てられる。インク吸収体
67は、インクを含浸して保持するためのものであり、
カートリッジ本体66内に配置される。インク供給口6
9は、インクジェットユニット18にインクを供給する
ためのものであり、その少し内部にフィルター(不図
示)が設けられている。さらに、インクタンク19に
は、その内部を大気に連通するための大気連通口71が
設けられている。
【0037】また、インクタンク19におけるインクジ
ェットユニット18の取付け面の構成は図5に示されて
いる。オリフィスプレート36の吐出口30のほぼ中心
を通って、インクタンク19の底面もしくはキャリッジ
7の表面の載置基準面に平行な直線をL1とすると、支
持体39の2つの孔47にそれぞれ係合する2つの位置
決め用突起44,44はこの直線L1上にある。これら
の位置決め用突起44,44の高さは支持体39の厚み
より僅かに低く、支持体39の位置決めを行う。図5中
の直線L1の延長上には、図6に示すように、キャリッ
ジ7の位置決め用フック74の90度角の係合面75が
係合する爪76が位置しており、キャリッジ7に対する
位置決め作用力が前記直線L1(図5参照)を含む上記
基準面に平行な面領域で作用するように構成されてい
る。後述するように、これらの関係は、インクタンク1
9のみの位置決めの精度をインクジェットヘッド17の
吐出口30の位置決め精度と同等とする上で有効な構成
である。
【0038】また、支持体39のインクタンク19側面
への固定用の孔48,49(図3参照)のそれぞれに対
応するインクタンク19の突起45,46(図5参照)
は、突起44よりも長く、支持体39を貫通する突出し
た部分が熱融着されることによって、支持体39をその
側面に固定する。直線L1に垂直で突起45を通る直線
をL3、突起46を通る直線L2としたとき、直線L3
にはインク供給口69(図3参照)のほぼ中心が位置す
るので、インク供給口69とインク供給管52との結合
状態が安定化し、落下や衝撃によってもこれらの結合状
態への負荷が軽減される。
【0039】また、直線L2と直線L3は一致せず、イン
クジェットヘッド17の吐出口30側の突起44周辺に
突起45,46が存在しているので、さらにインクジェ
ットヘッド17のインクタンク19に対する位置決め補
強効果を生んでいる。なお、図5中の直線L4はインク
供給部材60の装着時の外壁位置である。突起45,4
6は該直線L4に沿っているので、インクジェットヘッ
ド17の先端側構成の重量に対しても充分な強度と位置
精度を与えている。インクタンク19の先端ツバ77
は、キャリッジ7の前板78(図6参照)の穴に挿入さ
れて、インクタンク19の変位が極端に悪くなるような
異変時に対応するように設けられている。
【0040】キャリッジ7に対する抜け止め79(図6
参照)は、キャリッジ7の不図示のバーに対応して設け
られており、インクジェットカートリッジ16が後述の
ように旋回装着された位置で、そのバーの下方に進入す
ることにより、不要に位置決め位置から離脱させる上方
方向への力がインクジェットカートリッジ16に作用し
ても、装着状態を維持することが可能な保護用部材を形
成している。
【0041】インクタンク19は、インクジェットユニ
ット18を装着した後に蓋部材58で覆われることによ
り、インクジェットユニット18を、その下方開口を除
いて包囲するように形成されている。しかし、インクジ
ェットカートリッジ16としては、キャリッジ7に載置
するための前記下方開口がキャリッジ7に近接している
ため、実質的には4方包囲空間を形成することになる。
したがって、この包囲空間内にあるインクジェットヘッ
ド17からの熱は、その空間内を保温空間にする点で有
効である。しかし、長期連続使用のときには、僅かな昇
温の原因となる。そこで、本例においては、支持体39
の自然放熱を助けるために、インクジェットカートリッ
ジ16の上面に前記の包囲空間より小さい幅のスリット
(開口部)80が設けられている。このスリット80を
設けることにより、上記の昇温を防止しつつ、環境に左
右されずにインクジェットユニット18全体の温度分布
の均一化を実現することができる。
【0042】インクジェットカートリッジ16として組
み立てられると、インクは、カートリッジ本体66の内
部より、インク供給口69、支持体39の孔53、イン
ク供給部材60の中裏面側に設けられた導入口を通し
て、インク供給部材60内に供給され、そのインク供給
部材60の内部を通った後、インク供給部材60の導出
口より、適宜の供給管、第2の基板34のインク受け口
35を通して、共通液室33(図4参照)内へと流入す
る。このインク流路は、本例の場合、インク供給管52
とインク導管61で形成されている。以上の経路におけ
るインク連通用の接続部は、例えば、シリコンゴムやブ
チルゴム等のパッキンにより封止されるか、または圧入
により封止され、このような封止構造によりインク供給
路が確保されている。
【0043】前述のように、インク供給部材60、第2
の基板34とオリフィスプレート36、カートリッジ本
体66をそれぞれ一体成形部品としたので、組み立て精
度が高水準になるばかりでなく、大量生産時の品質向上
に極めて有効となる。また、部品点数が従来例に比べ減
少しているので、所望の優れた特性を確実に発揮するこ
とができる。また、本例においては、インクジェットカ
ートリッジ16を組み立てた後に、図2に示すように、
インク供給部材60の上面部81と、インクタンク19
の細長いスリット80が形成された屋根部材端部82と
の間に、隙間83が存在するようになっている。同様
に、インク供給部材60の下面部84(図3参照)と、
インクタンク19の蓋部材68が接着される下方の薄板
部材のヘッド側端部85(図5参照)との間に、隙間
(不図示)が形成されている。
【0044】これらの隙間は、スリット80の放熱効果
を一層促進するとともに、インクタンク19に不要な力
が作用しても、この力が直接インク供給部材60、ひい
てはインクジェットユニット18に作用することを防止
している。いずれにしても、本例の上述した構成は、従
来例では見られないものであり、それぞれ単独で有効な
効果をもたらすとともに、組み合わせることにより格別
の効果を奏するものである。
【0045】次に、主として図6を参照して、キャリッ
ジ7に対するインクジェットカートリッジ16の取付け
構造について説明する。図6において、プラテンローラ
11は、記録紙等の被記録材(プリント媒体)10を図
6中紙面の裏面側から表面側へ向かって案内する。キャ
リッジ7は、プラテンローラ11の長手方向(軸方向)
に沿って移動するものであり、このキャリッジ7には、
キャリッジ7の前方すなわちプラテンローラ11側にあ
ってインクジェットカートリッジ16の前面側に位置す
る前板78(厚さが例えば2mm)と、後述する電気接
続用支持板86と、インクジェットカートリッジ16を
所定の記録位置に固定するための位置決め用フック74
とが設けられている。
【0046】前記前板78は、インクジェットカートリ
ッジ16の装着方向の2つの基準面に対応する2個の位
置決め用突出面87を有し、インクジェットカートリッ
ジ16の装着後では、その突出面87に向かう垂直な力
を受ける。このため、前板78のプラテンローラ11側
には、その垂直な力の方向に向かう複数の補強用リブ
(不図示)が設けられている。このリブは、インクジェ
ットカートリッジ16の装着時の前面位置LSよりも僅
かに(例えば約0.1mm程度)プラテンローラ11側
へ突出しており、ヘッド保護用突出部を兼ねている。
【0047】前記支持板86は、図6の紙面に垂直に伸
びる複数の補強用リブ88を有し、これらのリブ88の
高さは、プラテンローラ11側からフック74側へ向か
うにつれて段階的に低くなっている。このことによっ
て、インクジェットカートリッジ16は、図6に示すよ
うに傾斜した状態で取付けられる。また、支持板86
は、インクジェットカートリッジ16の配線基板37
(図3参照)のパッド38(図3参照)に対応するパッ
ド89を有するフレキシシブルシート90と、これを裏
面側から各パッド89に対して押圧する弾性力を発生す
るためのポッチ付きゴムパッドシート91とを支持して
いる。
【0048】前記支持板86は、前記パッド38と前記
パッド89との間の電気的接続状態を安定化するため、
上記突出面87の作用方向と逆方向にインクジェットカ
ートリッジ16への作用力を及ぼすためのフック74側
の位置決め面92を突出面87に対応して設け、これら
の間のパッド接触域を形成するとともに、パッド89に
対応するポッチ付きゴムシート91のポッチの変形量を
一義的に規定する。前記位置決め面92は、インクジェ
ットカートリッジ16が記録可能な位置に固定される
と、配線基板37(図3参照)の表面に当接した状態と
なる前記パッド38は前記のL1(図5参照)に関して
対称となるように分布しているので、ポッチ付きゴムパ
ッドシート91の各ポッチの変形量は均一になり、パッ
ド89とパッド38との間の当接圧は一層安定化する。
本例では、パッド38の分布は、上方、下方2列、縦2
列である。
【0049】図6において、フック74は、固定軸93
に係合する長孔を有し、この長孔の移動空間を利用して
図示の位置から反時計方向に回動した後、プラテンロー
ラ11の長手方向に向かって左方側へ移動することによ
り、キャリッジ7に対するインクジェットカートリッジ
16の位置決めを行う。フック74の移動はどのような
ものでもよいが、レバー等で行い得る構成が好ましい。
いずれにしても、このフック74の回動時に、インクジ
ェットカートリッジ16は、プラテンローラ11側へ移
動しつつ、Z方向の2つの位置決め用基準が前板78の
突出面87に当接可能な位置へと移動する。フック74
の左方側移動によって、90度の係合面75がインクジ
ェットカートリッジ16の爪76の90度面に密着しつ
つ、インクジェットカートリッジ16が上記位置決め用
突出面87との接触域を中心に水平面内で旋回し、最終
的にパッド38とパッド89との接触が始まる。
【0050】そして、フック74で所定位置、すなわち
固定位置に保持されると、パッド38とパッド89との
完全接触状態と、上記位置決め用突出面87との完全面
接触と、係合面75と爪76の90度面の2面接触と、
配線基板37(図3参照)と位置決め面92との面接触
とが同時に形成される。こうして、キャリッジ7に対す
るインクジェットカートリッジ16の位置決め保持が完
成する。
【0051】ここで、インクジェットヘッド17につい
て、図4、及び図4の液路方向に沿った断面図である図
7を参照して詳細に説明する。
【0052】金属製の支持体37には、複数の電気熱変
換体31が並列に設けられた第1の基板32と、各電気
熱変換体31に電圧を印加するための配線(不図示)が
設けられ第1の基板32と電気的に接続された配線基板
37とが支持されている。第1の基板32には、前端面
がオリフィスプレート部36となり、各液路42を構成
する溝及び共通液室33を構成する凹部が形成された第
2の基板が接合され、第2の基板34を第1の基板32
に接合することによって、各電気熱変換体31に対応す
る複数の液路42及び各液路42に共通の共通液室33
が形成される。第1の基板32はシリコン基板からな
り、各電気熱変換体31は、各電気熱変換体31に電力
を供給するアルミニウム等の配線とともに、成膜技術に
より第1の基板32上に一体的に形成されている。
【0053】また、第2の基板34には、共通液室33
にインクを供給するために共通液室33と連通するイン
ク供給口35、及びオリフィスプレート部36に形成さ
れて各液路42と連通する複数の吐出口30が列状に設
けられている。このような、液路42や、インク供給口
35や、オリフィスプレート部36を有する第2の基板
34は、一体成形によって形成される。第2の基板34
の材料としては、ポリスルホンが好ましいが、ポリエー
テルスルホン、ポリフェニリンオキシド、ポリプロピレ
ン等の他の成形用樹脂材料を用いてもよい。
【0054】支持体39の、第1の基板32の支持面A
は、配線基板37の支持面Bに対して、第2の基板34
のオリフィスプレート部36側に向かうにしたがって支
持体39の厚みが厚くなるように、角度αだけ傾いてい
る。それに対応して、第2の基板34の、第1の基板と
の接合面も、配線基板37の支持面Bに対して角度αだ
け傾いている。また、液路42の上壁面についても、共
通液室33から吐出口30に向かうにしたがって液路4
2の高さが低くなるように、配線基板37の支持面Bに
対して角度αだけ傾いている。つまり、液路42は、長
手方向の断面形状が略台形形状となり、共通液室33か
ら吐出口30に向かって横断面積が小さくなっている。
【0055】第2の基板34のオリフィスプレート部3
6に吐出口30を形成する際には、図8に示すように、
エキシマレーザビームを、その光軸LCが液路42の中
心軸42Cと一致するように、液路42側からオリフィ
スプレート部36の裏面である照射面36aに照射す
る。通常、エキシマレーザビーム95はある集光角度を
もっており、良好な加工状態を得るため、この照射面3
6aで焦点を結ぶように調整される。
【0056】本実施形態では、上述したように、液路4
2の長手方向断面が略台形形状となっているので、エキ
シマレーザビーム95をその光軸LCが液路42の中心
軸42Cと一致するように照射しても、エキシマレーザ
ビーム95が第2の基板34の液路壁に遮られることが
ない。その結果、オリフィスプレート部36には、中心
軸36Cが液路42の中心軸42Cと一致した吐出口3
0が形成される。
【0057】再び図4に戻り、上記のとおり構成された
インクジェットヘッド17では、インク供給口35から
共通液室33に供給されたインクは、毛管現象により各
液路42に侵入し、吐出口30でメニスカスを形成して
液路42を満たした状態を保つ。この状態で、装置本体
の駆動信号供給手段からの記録信号に応じて各電気熱変
換体31に駆動信号を選択的に印加することによって、
その電気熱変換体31が発生する熱エネルギーによりイ
ンクに膜沸騰を生じさせ、液路42内に気泡を形成す
る。そして、この気泡の成長によって吐出口30からイ
ンクが吐出され、図7に示すようにインクジェットヘッ
ド17に対向配置された被記録材10に着弾する。
【0058】ここで、液路42の中心軸42Cと吐出口
30の中心軸30Cとは一致しているので、液路42か
ら吐出口30に至るインクの流れの中でインクの流れ方
向が変化することはない。従って、高速印字のために電
気熱変換体31を高い周波数で駆動してもインクの流れ
は安定し、インクが吐出口30から吐出したときのサテ
ライトやインクミストの発生が抑えられるため、印字品
位が向上する。
【0059】また、支持体39の第1の基板32を支持
する領域である支持面Aは配線基板37を支持する領域
である支持面Bに対して傾いており、支持体29を従来
と同様に被記録材10の記録面と略垂直に配置しても、
結果的に液路42の中心軸42Cが被記録材10の記録
面に略垂直になるので、吐出口30から吐出したインク
は被記録材10に対して略垂直に飛翔する。その結果、
キャリッジ7(図1参照)の往復走査による印字の際の
インクの着弾位置のずれが小さくなり、液路42を高密
度に配列した場合でも高精度な印字が可能となる。
【0060】(第2の実施形態)図9は、本発明の第2
の実施形態のインクジェットヘッドの要部の透視斜視図
であり、図10は、図9に示したインクジェットヘッド
の液路の長手方向に沿った断面図である。
【0061】本実施形態のインクジェットヘッド117
も、基本的な構成は、第1の実施形態と同様である。す
なわち、第1の基板132は配線基板137に対して角
度αだけ傾斜して支持体139に取り付けられており、
第2の基板134のオリフィスプレート部136に設け
られた吐出口130は、その中心軸130Cが液路14
2の中心軸142Cと一致するように、レーザビーム加
工によって形成されている。
【0062】本実施形態では、上述した点に加え、さら
に液路142内に可動部材151を設けている。可動部
材151は、第1の基板132上に設けられた台座15
2に支持された片持ち梁状の部材であり、電気熱変換体
131と所定の距離を隔てて対面して電気熱変換体13
1を覆って設けられる。台座152は、液体の吐出動作
によって共通液室133から可動部材151を経て吐出
口130側へ流れる大きな流れの上流側において可動部
材151の一端部を支持することによって可動部材15
1の支点151aを規定し、この支点151aに対して
下流側に自由端151bを持つように、可動部材151
が支持されている。この電気熱変換体131と可動部材
151の間の領域が気泡発生領域153となる。
【0063】台座152は、本実施形態ではAuのメッ
キにより、約10μmの高さで形成した。また、可動部
材151は、Niの電鋳により作製した短冊状の微小片
を接着剤で台座152に固定した。Niの電鋳による可
動部材151は弾性に富んでおり、発泡時には後述する
ように上方に変位するが、気泡の圧力が作用しなくなる
ともとの位置に戻る。
【0064】電気熱変換体131を発熱させると、可動
部材151と電気熱変換体131との間の気泡発生領域
153のインクに熱が作用し、これにより電気熱変換体
131上に、膜沸騰現象に基づく気泡が発生して成長す
る。この気泡の成長に伴う圧力は可動部材151に優先
的に作用し、可動部材151は図10に破線で示される
ように、支点151aを中心に吐出口130側に大きく
開くように変位する。可動部材151の変位もしくは変
位した状態によって、気泡の発生に基づく圧力の伝播や
気泡自身の成長が吐出口130側へ導かれ、吐出口13
0からインクが吐出する。
【0065】つまり、気泡発生領域153上に、液路1
42内のインクの流れの上流側(共通液室133側)に
支点151aを持ち下流側(吐出口130側)に自由端
151bを持つ可動部材151を設けることによって、
気泡の圧力伝播方向が下流側へ導かれ、気泡の圧力が直
接的に効率良く吐出に寄与することになる。そして、気
泡の成長方向自体も圧力伝播方向と同様に下流方向に導
かれ、気泡は上流よりも下流で大きく成長する。このよ
うに、気泡の成長方向自体を可動部材151によって制
御し、気泡の圧力伝播方向を制御することで、吐出効率
や吐出力または吐出速度などの根本的な吐出特性を向上
させることができる。
【0066】一方、気泡が消泡工程に入ると、可動部材
151の弾性力との相乗効果で気泡は急速に消泡し、可
動部材151も最終的には図10に実線で示した初期位
置に復帰する。このとき、気泡発生領域153での気泡
の収縮体積を補うため、また、吐出されたインクの体積
分を補うため、上流側すなわち共通液室133側からイ
ンクが流れ込み、液路142へのインクの充填(リフィ
ル)が行われる。このインクのリフィルは、可動部材1
51の復帰作用に伴って効率良く合理的かつ安定して行
われる。
【0067】本実施形態では、第1の実施形態と同様
に、吐出口130の中心軸130Cを液路142の中心
軸142Cと一致させるために液路142の断面積を液
路142の長手方向に沿って変化させ、共通液室133
側から吐出口130側へ向かって次第に断面積が小さく
なっている。つまり、気泡発生領域153よりも上流側
の空間が下流側の空間よりも大きくなっており、液路1
42の管抵抗は、下流側よりも上流側が小さくなってい
る。
【0068】一般的に液路142内では、気泡の成長に
伴う圧力は液路142の上流側にも下流側にも伝播する
が、第1の実施形態及び本実施形態のような液路形状で
は、気泡発生領域153よりも上流側の管抵抗が小さい
ので、気泡の成長に伴う圧力は、下流側よりも上流側へ
伝播し易くなる。従って、所望の吐出量を得るには、電
気熱変換体131をより大きな電力で駆動する必要があ
る。
【0069】そこで、本実施形態のように可動部材15
1を設けることで、液路142の形状に拘わらず気泡の
圧力伝播方向、さらには気泡の成長方向自体を下流側へ
効率的に導くことが可能となる。なお、上流側の管抵抗
を小さくすることは、上述したように気泡の成長時には
圧力伝播に関して若干のロスを生じるものの、インクの
リフィルに関しては、よりスムーズなリフィルが可能と
なる。
【0070】図11に、本実施形態のインクジェットヘ
ッドの変形例の断面図を示す。図11に示した例では、
第1の基板232及び配線基板(不図示)を支持する支
持体(不図示)は平坦な板であり、第1の基板232は
上記配線基板と平行に、この支持体上に支持されてい
る。そして、液路242は、その長手方向にわたって一
定の高さを有している。つまり、第1の基板232は液
路242の中心軸242Cと平行に配置される。ただ
し、液路242の高さは、第2の基板234のオリフィ
スプレート部236にエキシマレーザビーム295を照
射して吐出口230を形成する際に、エキシマレーザビ
ーム295の光軸を液路242の中心軸242Cと平行
としても、エキシマレーザビーム295が液路壁に照射
されないような高さとなっている。
【0071】これにより、液路242の中心軸242C
と吐出口230の中心軸230Cとは平行となり、イン
ク吐出の際の液路242から吐出口230へ至るインク
の流れ方向が安定するので、印字品位を向上させること
ができる。
【0072】なお図11に示した例では、吐出口側端で
の液路242の高さは第1の実施形態に比べて高くなっ
ており、液路242の吐出口側端面の面積に対する吐出
口230の開口面積の比が小さくなるので、インクを吐
出する際に液路242内のインクが効率的に吐出口23
0へ導かれなくなることが懸念される。しかし、上述し
たような可動部材251を液路242に設けているの
で、気泡の圧力伝播方向及び気泡の成長方向が吐出口2
30側へ効率的に導かれる。しかも、液路242の高さ
が共通液室233側と吐出口230側とで等しいので、
液路242の管抵抗も電気熱変換体231の上流側と下
流側とで等しくなり、気泡の圧力が上流側へ伝播し易く
なることもなくなる。
【0073】以上、本発明について、吐出する液体をイ
ンクとして説明したが、吐出する液体としてはインクに
限られるものではなく、例えば、被記録材が普通紙であ
る場合にインクの耐水性を強化するためにインクに先立
って吐出される耐水強化剤であってもよい。
【0074】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、吐
出口を形成するためのレーザビームが第2の基板の液路
を構成する壁部に遮られることなく、吐出口の中心軸が
液路の中心軸と平行となるので、吐出口の近傍での液体
の流れを安定させることができる。その結果、インクが
吐出口から吐出したときのサテライトやインクミストの
発生を抑制することができ、印字品位を向上させること
ができる。また、従来と同様にインクジェット記録ヘッ
ドを配置してもインクは被記録媒体の記録面と略垂直に
飛翔するので、インクの着弾位置ずれが小さくなり、高
精度な印字を行うことができる。
【0075】さらに、エネルギー発生素子として、液体
に気泡を発生させるための熱エネルギーを発生するもの
を用いた場合、第1の基板上にエネルギー発生素子に対
面する可動部材を設けることで、吐出効率、吐出力、吐
出速度といった吐出特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したインクジェットプリント装置
の一例の概略構成を示す模式的斜視図である。
【図2】図1に示すインクジェットカートリッジの外観
斜視図である。
【図3】インクジェットカートリッジの分解斜視図であ
る。
【図4】インクジェットヘッドの要部の拡大透視斜視図
である。
【図5】図3に示すインクタンクにおけるインクジェッ
トユニットの取付け部を示す模式的斜視図である。
【図6】インクジェットカートリッジにおけるキャリッ
ジへの取付け構造を示す断面図である。
【図7】図4に示すインクジェットヘッドの液路の長手
方向に沿った断面図である。
【図8】図4に示すインクジェットヘッドの第2の基板
への、レーザビームの照射による吐出口の形成を説明す
る図である。
【図9】本発明の第2の実施形態のインクジェットヘッ
ドの要部の透視斜視図である。
【図10】図9に示すインクジェットヘッドの液路の長
手方向に沿った断面図である。
【図11】図9に示すインクジェットヘッドの変形例
の、液路の長手方向に沿った断面図である。
【図12】従来のインクジェットヘッドの液路の長手方
向に沿った断面図である。
【図13】レーザビームの光軸を液路の中心軸と一致さ
せて吐出口を形成する場合の、レーザビームと液路との
関係を説明する図である。
【図14】レーザビームの光軸を液路の中心軸と交差さ
せて吐出口を形成する場合の、レーザビームと液路との
関係を説明する図である。
【図15】図12に示すインクジェットヘッドでの、被
記録材へのインクの着弾位置ずれを説明する図である。
【符号の説明】
1 装置本体 2 螺旋溝 3 リードスクリュー 7 キャリッジ 9 ガイドレール 10 被記録材 11 プラテンローラ 12 紙押さえ 16 インクジェットカートリッジ 17,117 インクジェットヘッド 18 インクジェットユニット 19 インクタンク 30,130,230 吐出口 30C,130C,230C 中心軸 31,131,231 電気熱変換体 32,132,232 第1の基板 33,133,233 共通液室 34,134,234 第2の基板 35 インク供給口 36,136,236 オリフィスプレート部 37,137 配線基板 39,139 支持体 42,142 液路 42C,142C 中心軸 60 インク供給部材 66 カートリッジ本体 67 インク吸収体 151,251 可動部材 151a 支点 151b 自由端 152 台座

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体吐出用のエネルギーを発生するエネ
    ルギー発生素子が設けられた第1の基板と、前記第1の
    基板に接合されることで前記エネルギー発生素子に対応
    した液路を構成する溝が形成されるとともに、液体を吐
    出するために前記液路と連通する吐出口がオリフィスプ
    レート部に形成された第2の基板とを有し、前記吐出口
    が、前記オリフィスプレート部に前記液路側からレーザ
    ビームを照射することにより形成されたインクジェット
    記録ヘッドにおいて、 前記第2の基板の溝は、前記レーザビームをその光軸が
    前記液路の中心軸と平行になるように照射しても前記レ
    ーザビームが前記溝の壁部に照射されない形状であり、 前記吐出口は、前記レーザビームの光軸が前記液路の中
    心軸と平行になるように前記レーザビームが照射されて
    形成さたことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記液路は、断面積が前記吐出口に向か
    って小さくなる形状である請求項1に記載のインクジェ
    ット記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記エネルギー発生素子は、液体に気泡
    を発生させるための熱エネルギーを発生するものである
    請求項1または2に記載のインクジェット記録ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記第1の基板上に、前記エネルギー発
    生素子に対面して設けられ、前記液路内の液体の流れ方
    向の上流側の一端が固定され他端が自由端となる可動部
    材を有する請求項3に記載のインクジェット記録ヘッ
    ド。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1項に記載
    のインクジェット記録ヘッドと、該インクジェット記録
    ヘッドに供給される液体を保持する保持容器とを有する
    インクジェットヘッドカートリッジ。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし4のいずれか1項に記載
    のインクジェット記録ヘッドと、該インクジェット記録
    ヘッドから液体を吐出させるための駆動信号を供給する
    駆動信号供給手段とを有するインクジェット記録装置。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし4のいずれか1項に記載
    のインクジェット記録ヘッドと、該インクジェット記録
    ヘッドから吐出された液体を受ける被記録媒体を搬送す
    る被記録媒体搬送手段とを有するインクジェット記録装
    置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11312136B2 (en) 2020-03-23 2022-04-26 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Ink jet head

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