JP2000202442A - 硼素含有水中の硼素の分離回収方法 - Google Patents

硼素含有水中の硼素の分離回収方法

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JP2000202442A
JP2000202442A JP11010409A JP1040999A JP2000202442A JP 2000202442 A JP2000202442 A JP 2000202442A JP 11010409 A JP11010409 A JP 11010409A JP 1040999 A JP1040999 A JP 1040999A JP 2000202442 A JP2000202442 A JP 2000202442A
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resin
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Norihito Ono
徳仁 小野
Yoriyasu Fukuda
順康 福田
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硼素とともに他の化合物を含有する水中か
ら、硼素以外の化合物を除去しつつ、硼素を効率よく回
収する。 【解決手段】 硼素と他の化合物を含有する水をpH調
整槽1でpH8.5以下に調整し、これを逆浸透膜処理
装置3で処理して、硼素以外の化合物の大部分を濃縮水
14側に残し、硼素以外の化合物の含有量が少なくなっ
た透過水16を、硼素に対して選択性の高い吸着性の樹
脂を充填したイオン交換樹脂塔5で処理して、透過水中
の硼素をこの樹脂に吸着させ、次に硼素吸着後の樹脂を
溶離剤18で処理して、溶離液19中に硼素を回収す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硼素含有水中の硼
素を有効に回収する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】硼素は健康障害を引き起こす可能性のあ
ることが指摘されており、わが国の自治体のなかにも、
排出基準を条例で定めているところがある。硼素化合物
は種々の物質に含まれており、例えば、ガラス、医薬
品、化粧品、琺瑯、防火剤、防腐剤、殺虫剤、顔料、写
真薬、繊維工業用などで使用されている。したがって、
このような製品を製造する過程で、硼素を含む排水が発
生することがある。また、これらの製品の廃棄物を焼却
する清掃工場などからも、硼素を含む排水が発生する。
【0003】水中に存在する硼素を除去する方法とし
て、逆浸透膜による処理が知られている。すなわち、硼
素は一般に、中性付近の水中では主に非解離状態のB
(OH)3として存在すると考えられており、この状態で
は逆浸透膜を自由に透過するが、この水をアルカリ性、
例えばpH9以上にすると、解離状態のB(OH)4 -とな
ることで逆浸透膜を透過しなくなり、濃縮水側に硼素が
濃縮されることになる。
【0004】また、イオン交換樹脂を用いて硼素を除去
することも知られている。例えば、特公平 3-10378号公
報には、硼素選択性イオン交換樹脂を用いて硼素を吸着
した後、溶離剤で再生して硼素含有脱着液を得る際に、
硼素含有量の少ない初期脱着液、硼素含有量の多い中期
脱着液及び硼素含有量の少ない後期脱着液に分割し、中
期脱着液のみを取り出してそこに濃厚再生液を加え、再
生液として循環使用することにより、脱着液中の硼素濃
度を高めていく方法が開示されている。
【0005】さらに、逆浸透膜による処理とイオン交換
樹脂による処理とを併用して、硼素を除去することも知
られている。例えば、特開平 10-80684 号公報には、硼
素含有水にフッ素化合物などの硼素と錯体を形成する物
質を添加して硼素を錯体の形にし、これを逆浸透膜で処
理して硼素を主に濃縮水側に残し、さらに硼素濃度の低
下した透過水を硼素選択性イオン交換樹脂で処理して、
硼素を除去する方法が開示されている。また特開平 10-
85743 号公報には、硼素含有水をアルカリ性にして逆浸
透膜処理を施すことにより、硼素を前述のとおり解離状
態のB(OH)4 -として主に濃縮水側に残し、次いで硼素
濃度の低下した透過水を硼素選択性イオン交換樹脂で処
理することにより、当該硼素をイオン交換樹脂に吸着さ
せて除去する方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平 10-80684
号公報や特開平 10-85743 号公報に開示される発明の目
的は、硼素が逆浸透膜を透過しないよう、解離状態又は
錯体にして逆浸透膜処理を施すことにより硼素を除去
し、そこで除去しきれない硼素を硼素選択性イオン交換
樹脂で除去することにより、高純度の水を得ることにあ
る。ところが、このような処理を施すと必然的に、逆浸
透膜処理後の濃縮水側には、高濃度の硼素が存在するこ
とになり、その処理が必要になる。この濃縮水側には、
硼素以外の物質も含まれるので、このような高濃度硼素
含有水中の硼素を効率よく回収する方法の開発が望まれ
ていた。
【0007】そこで本発明の目的は、上記の課題を解決
し、硼素とともに他の化合物を含有する水中から、硼素
以外の化合物を除去しつつ、硼素を効率よく回収する方
法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、硼素
と他の化合物を含有し、pHが8.5以下に保たれた水
を逆浸透膜で処理して、水中の硼素と他の化合物を分離
し、逆浸透膜処理後の透過水を硼素に対して選択性の高
い吸着性の樹脂で処理して、透過水中の硼素を当該樹脂
に吸着させ、次いで硼素吸着後の樹脂を溶離剤で処理し
て、溶離液中に硼素を回収する方法を提供するものであ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で処理の対象となる硼素含
有水は、硼素とともに他の化合物を含有するものであ
る。具体的には、硼素を含有する各種の排水や海水など
が対象となりうるが、特に、前記特開平 10-80684 号公
報や特開平 10-85743 号公報に開示されるような、硼素
含有水中の硼素を逆浸透膜を透過しにくい形態にして逆
浸透膜で処理した後の濃縮水、すなわち、硼素とともに
他の化合物が濃縮された水溶液から硼素を効率的に回収
するのに、本発明は有効である。
【0010】硼素とともに水中に存在する他の化合物
は、逆浸透膜を透過しにくい分子径又はイオン径を有
し、一般に硼素含有排水中に存在する無機化合物や有機
化合物であって、もちろん2種以上共存していても差し
支えない。具体的には、塩酸、塩化ナトリウム、塩化マ
グネシウム、塩化カルシウムのような塩化物(水中で
は、塩化物イオン及びその対イオンとして存在する)、
硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムの
ような硫酸塩(水中では、硫酸イオン及びその対イオン
として存在する)、プロピルアルコール、ブチルアルコ
ール、ペンチルアルコール、エチレングリコールのよう
なアルコール類、蟻酸、酢酸、プロピオン酸のようなカ
ルボン酸類、アセトンのようなケトン類、ジメチルエー
テル、ジエチルエーテルのようなエーテル類などが挙げ
られる。
【0011】実験によれば、塩化物ないし塩化物イオン
や硫酸塩ないし硫酸イオンが大量に存在すると、硼素に
対して選択性の高い吸着性樹脂への硼素の吸着を妨害す
ることが判明した。本発明では、このような硼素に対し
て選択性の高い吸着性樹脂への硼素の吸着を妨害する可
能性のある硼素以外の化合物の大部分を、逆浸透膜処理
によって濃縮水側に分離し、硼素以外の化合物の濃度が
低下された透過水を、硼素に対して選択性の高い吸着性
樹脂で処理し、硼素を当該吸着性樹脂に効率よく吸着さ
せる。
【0012】以下、本発明の実施の一形態を示すフロー
チャートである図1をも参照しながら、本発明をさらに
詳細に説明する。図1では、pH調整槽1、逆浸透膜処
理装置3及びイオン交換樹脂塔5が、この順番で直列に
つながれている。pH調整槽1には、処理すべき硼素含
有水11が導入され、ここで必要に応じてpH調整剤1
2が加えられて、その硼素含有水のpHが8.5以下に
調整される。pH調整後の硼素含有水13は、逆浸透膜
処理装置3に導かれ、ここで逆浸透膜処理が施される。
この処理により、硼素以外の化合物は大部分が濃縮水1
4に残り、硼素は濃縮水14と透過水16の両方に同程
度の量存在するようになる。濃縮水14からは、必要に
より硼素以外の物質15を回収した後、残りはpH調整
槽へ戻すのが有利である。逆浸透膜処理後の透過水16
は、硼素に対して選択性の高い吸着性の樹脂が充填され
たイオン交換樹脂塔5に導かれ、この樹脂に硼素を吸着
させ、処理水17が排出される。硼素をある程度吸着し
たら、透過水16の供給を止め、代わりに溶離剤18を
イオン交換樹脂塔に供給して、硼素濃度が高められた硼
素含有液19が回収される。
【0013】本発明により処理される硼素含有水は、ま
ず、pH8.5以下に保たれた状態で逆浸透膜による処
理に付される。処理すべき硼素含有水のpHがすでに
8.5以下になっている場合には、そのまま逆浸透膜処
理に付すことができ、またpHがそれより高い場合は、
適宜酸を加えることによって、pHを8.5以下に調整
する。この際、硼素が逆浸透膜を透過しやすい形態にな
るようにするという観点からは、pH7以下、さらには
酸性に調整するのが好ましい。pH調整に用いる酸は、
硼素含有水のpHを下げることができるものであればよ
く、もちろん硼素含有水中の成分と反応して沈殿などを
生じないものが好ましいが、特にその種類は限定されな
い。例えば、塩酸や硫酸のような鉱酸類、蟻酸や酢酸の
ような有機酸類など、一般的に入手可能な各種の酸が使
用可能である。なお、この際のpHは、酸性側でもある
程度低い方が好ましいので、被処理水のpHが7付近の
場合でも、酸を加えて酸性にするのが有利であるが、p
Hがあまり低くなると、逆浸透膜の劣化が早くなること
から、逆浸透膜処理に付される硼素含有水は、1以上の
pHであるのが好ましい。pHがあまり低い場合には、
適宜アルカリを加えることによって、pHを上げること
ができる。pH調整に用いるアルカリも、硼素含有水の
pHを上げることができるものであればよく、もちろん
硼素含有水中の成分と反応して沈殿などを生じないもの
が好ましいが、特にその種類は限定されない。例えば、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水な
ど、一般的に入手可能なアルカリが使用可能である。
【0014】こうしてpH8.5以下、好ましくは7以
下、さらに好ましくは酸性に保たれた硼素含有水は、次
いで逆浸透膜による処理に付される。この硼素含有水の
pHが8.5以下であれば、硼素は主に非解離のB(O
H)3として存在し、逆浸透膜を自由に透過する。一方、
硼素以外の溶質は逆浸透膜をほとんど透過せず、濃縮水
側に残ることになる。そこで、逆浸透膜処理後の透過水
側では、硼素以外の化合物の濃度が低くなり、相対的に
は硼素量が多くなる。
【0015】ここで用いる逆浸透膜は、水はもちろん、
非解離のB(OH)3 も通すが、他の溶質成分を通しにく
いものであればよい。市販の逆浸透膜には、酢酸セルロ
ース系のほか、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリス
ルホン系など、各種の合成ないしは複合膜があるが、い
ずれも本発明において使用することができる。この逆浸
透膜処理により、硼素とそれ以外の化合物を分離するの
であるが、一般には、被処理水であって、処理後に濃縮
水となる側に、10〜90kg/cm2 (絶対圧)程度の圧
力をかけるのが有利である。この処理は通常、常温付近
で行うことができ、一般には15〜25℃程度の温度が
採用される。
【0016】このようにpHを8.5以下、好ましくは
酸性に調整された硼素含有水を予め逆浸透膜で処理する
ことにより、硼素以外の共存イオンの大部分は濃縮水側
に残り、透過水側に水とともに透過する硼素から分離さ
れる。したがって、透過水側では硼素以外の化合物の濃
度が低くなり、後の硼素に対して選択性を有する吸着性
樹脂による処理の際、硼素の吸着性を高めることができ
る。そして、このような1回の逆浸透膜処理でも、透過
水側に混入する硼素以外の化合物の濃度は相応に小さく
なるが、この透過水をさらに同様の逆浸透膜処理に付す
ことにより、再処理後の透過水側に混入する硼素以外の
化合物の濃度を一層小さくし、したがって後の吸着性樹
脂による硼素の吸着を一層有効ならしめることができ
る。場合によっては、このような逆浸透膜処理をさらに
繰り返すこともできる。
【0017】また、逆浸透膜処理後の濃縮水に含まれる
硼素以外の化合物が回収可能な濃度及び純度になれば、
それを回収することができる。例えば、硫酸ナトリウム
と硼酸を含む混合排水の場合、濃縮水中には硫酸ナトリ
ウムが主に存在する。この溶液中の硫酸イオン濃度に対
する硼酸濃度比がある一定値以下になった時点で濃縮水
を回収する。この時の濃縮水中の硫酸ナトリウム濃度が
低ければ、不足分の硫酸ナトリウムを添加し、濃度が高
ければ、水を加えて適切な濃度にし、再度プラントで硫
酸ナトリウムを使用する。
【0018】一方、逆浸透膜で処理した後の透過水で
は、前述のとおり、原液中にあった硼素以外の化合物の
大部分が除去され、硼素はほぼ原液中の濃度のまま存在
する。このように回収目的物である硼素の量が相対的に
多くなり、それ以外の溶質が相対的に少なくなった透過
水は、次に、硼素に対して選択性の高い樹脂で処理され
る。ここで用いる硼素に対して選択性の高い樹脂は、硼
素を選択的に吸着するイオン交換樹脂であればよく、例
えば、硼素に対して選択性の高いことが知られている多
価アルコール残基を官能基とするイオン交換樹脂が好ま
しく用いられる。
【0019】硼素に対して選択性の高い多価アルコール
残基としては、例えば、グルカミンのN−残基、N−メ
チルグルカミンのN−残基、ジグルカミンのN−残基な
どが挙げられる。このような多価アルコール残基を官能
基とするイオン交換樹脂は、例えば、スチレン/ジビニ
ルベンゼン共重合体のような基体樹脂に、クロロメチル
基のようなアミン反応性基を導入し、これに、グルカミ
ン、N−メチルグルカミン、ジグルカミンのようなアミ
ノ基含有多価アルコールを反応させることにより、得る
ことができる。硼素に対して選択性の高いイオン交換樹
脂として市販されているものには、スチレン/ジビニル
ベンゼン共重合体を樹脂基体とし、N−メチルグルカミ
ンのN−残基を官能基として有する、“デュオライト E
S371N”(商品名、ローム・アンド・ハース社製)、
“アンバーライト IRA743”(商品名、ローム・アンド
・ハース社製)、“ダイヤイオン CRB02”(商品名、三
菱化学社製)などがある。
【0020】硼素に対して選択性の高い吸着性樹脂によ
る処理は、図1では、かかる樹脂をカラムに充填したイ
オン交換樹脂塔を用いる態様を示しており、処理の簡素
化や処理効率、装置のコンパクト化などを考慮すると、
工業的にはこのような樹脂充填塔を用いるカラム通液法
が好ましい。一方で例えば、逆浸透膜で処理した後の透
過水に、硼素に対して選択性の高い吸着性樹脂を浸漬
し、攪拌するバッチ法によっても、同様に硼素を吸着さ
せることができる。 いずれの方法を採用するにして
も、この処理は通常、常温付近又はそれよりやや高めの
温度で行うことができ、具体的には10〜60℃程度の
温度が採用される。またこの処理は、被処理液中の硼素
濃度などによっても異なるが、通常は、逆浸透膜で処理
した後の透過水と吸着性樹脂との接触時間が2分〜1時
間程度となるように行えばよく、カラム通液法を採用す
る場合は、空間速度SVが1〜30hr-1程度の範囲か
ら、適当な値を選択すればよい。
【0021】硼素に対して選択性を有する吸着性樹脂
が、適当な量の硼素、例えば、ほぼ飽和量の硼素を吸着
したら、この樹脂を溶離剤と接触させて、樹脂に吸着さ
れた硼素を溶離する。この際の溶離剤として、通常は酸
性水溶液、具体的には、硫酸、塩酸、硝酸、蟻酸、酢酸
のような酸性化合物の水溶液が用いられる。この溶離処
理も、カラム通液法及びバッチ法のいずれでも行うこと
ができるが、工業的にはカラム通液法が好ましく、また
通常は、常温付近又はそれよりやや高めの温度、例え
ば、10〜60℃程度の温度で行うことができる。
【0022】このような溶離処理を施すことにより、吸
着性樹脂に吸着された硼素を高濃度で純度よく回収する
ことができる。溶離処理後の吸着性樹脂は、そのまま、
あるいは必要に応じて、水洗又は、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、アンモニアのような塩基性化合物の水
溶液による処理を1種又は複数種組み合わせて行った
後、さらに硼素の吸着に繰り返し使用することができ
る。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらによってなんら制限されるも
のではない。例中、含有量を表す%は、特にことわらな
いかぎり重量基準である。また、水中の硼素濃度は JIS
K 0102 (1998)「工場排水試験方法」の「47.3 IPC
発光分光分析法」に準じて、硫酸イオン濃度は JISK 01
01 (1998)「工業用水試験方法」の「42.4 イオンクロ
マトグラフ法」に準じて、それぞれ測定した。
【0024】実施例1 まず、イオン交換水に硫酸ナトリウムを硫酸イオン量で
5,000ppm、及び硼酸を硼素量で20ppm 添加して、
模擬液を調製した。この模擬液のpHは6.5であっ
た。この模擬液に硫酸を加えてpH5.0に調整した
後、三酢酸セルロース系の逆浸透膜(東洋紡績社製の
“ホロセップ 高圧タイプ HR3155”)を配置した逆浸透
膜処理装置に入れ、原液側に45kg/cm2 の圧力をかけ
て処理した。その後、透過水をもう一度上記の逆浸透膜
処理装置で同様に処理した。1回目の処理で得られた透
過水と濃縮水及び2回目の処理で得られた透過水と濃縮
水の、それぞれ硼素濃度及び硫酸イオン濃度は表1に示
すとおりになった。
【0025】
【表1】
【0026】1回目処理後の濃縮水は、硫酸イオン濃
度、したがって硫酸ナトリウム濃度が大きく高められて
おり、硫酸ナトリウムとして再利用が可能である。
【0027】次に、逆浸透膜処理前の模擬液、逆浸透膜
で1回処理した後の透過水、及び逆浸透膜で2回処理し
た後の透過水につき、硼素選択性イオン交換樹脂による
処理を行った。ここでは、硼素選択性イオン交換樹脂と
してN−メチルグルカミンのN−残基を持つ“デュオラ
イト ES371N”(ローム・アンド・ハース社製)を用
い、その20mlを10mmφのカラムに充填し、そこに2
Nの水酸化ナトリウム水溶液50ml(再生レベル200
g-NaOH/L-樹脂)を通してフリー型に再生し、次いで十
分な量のイオン交換水を流して洗浄した。この樹脂カラ
ムに、上記3種類の液をそれぞれ空間速度SV=5hr-1
で流した。5分毎に流出液をサンプリングし、その中の
硼素濃度が1ppm になった時点で通液を止めた。そし
て、原液中の硼素量と流出液中の硼素量から、上記イオ
ン交換樹脂による硼素吸着量を算出した。その結果を表
2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】実施例2 実施例1で用いたのと同じイオン交換樹脂である“デュ
オライト ES371N”を硼酸水溶液と接触させて、このイ
オン交換樹脂に硼素を3.0g−B/L−樹脂の割合で
吸着させた。こうして硼素を吸着したイオン交換樹脂2
0mlを10mmφのカラムに充填し、常温(25℃)に
て、溶離剤として2Nの塩酸水溶液60mlを空間速度S
V=5hr-1で流し、その後、イオン交換水30mlを同じ
空間速度で流した。 カラム出口から流出した液をすべ
て回収し、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析
装置で硼素を分析して、硼素の溶離率を算出した。ま
た、溶離剤を2Nの塩酸水溶液から4Nの酢酸水溶液に
変更した場合についても、同様の試験を行った。その結
果、2N塩酸を溶離剤とした場合は、98%の硼素が溶
離され、4N酢酸を溶離剤とした場合は、80%の硼素
が溶離されていた。
【0030】次に、硼素を溶離した後の上記溶離液50
mlを蒸留装置で蒸留して、塩酸又は酢酸を留去した。そ
して、酸留去後の留去液中の硼素と酸の濃度を測定し
て、硼素の純度〔={硼素濃度/(硼素濃度+酸濃
度)}×100 〕を算出した。その結果、2N塩酸を溶離
剤とした場合及び4N酢酸を溶離剤とした場合のいずれ
も、硼素純度は99%以上であった。
【0031】以上のように、硫酸イオンを大量に含む模
擬液をそのまま硼素選択性イオン交換樹脂“デュオライ
ト ES371N”で処理した場合には、硼素の吸着量が十分
でないが、その液を酸性にして逆浸透膜で処理した後、
“デュオライト ES371N”で処理すれば、硼素の吸着量
が格段に向上する。そして、こうして硼素を吸着した後
の樹脂を酸性水溶液からなる溶離剤で処理すれば、硼素
以外の化合物の含量が少なく、かつ硼素を高濃度で含有
する溶離液が得られるので、硼素を有効に回収再利用で
きる。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、硼素含有水中の硼素を
効率よく回収できる。そして、硼素が吸着された硼素選
択性樹脂は、溶離剤により容易に再生でき、それによ
り、高濃度で純度の高い硼素含有溶液が得られるので、
そこから容易に硼素を回収再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示すフローチャートで
ある。
【符号の説明】
1……pH調整槽、 3……逆浸透膜処理装置、 5……イオン交換樹脂塔、 11……処理される硼素含有水、 12……pH調整剤、 13……pH調整後の硼素含有水、 14……濃縮水、 15……硼素以外の化合物、 16……透過水、 17……排出される処理水、 18……溶離剤、 19……回収される硼素含有水(溶離液)。
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Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】硼素と他の化合物を含有し、pHが8.5
    以下に保たれた水を逆浸透膜で処理して、水中の硼素と
    他の化合物を分離し、逆浸透膜処理後の透過水を硼素に
    対して選択性の高い吸着性の樹脂で処理して、透過水中
    の硼素を該樹脂に吸着させ、次いで硼素吸着後の樹脂を
    溶離剤で処理して、溶離液中に硼素を回収することを特
    徴とする、硼素含有水中の硼素の分離回収方法。
  2. 【請求項2】逆浸透膜で処理する前にpH調整剤を加え
    て、硼素と他の化合物を含有する水のpHを8.5以下
    に調整する請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】逆浸透膜で処理する前の水をpH7以下に
    保つ請求項1又は2記載の方法。
  4. 【請求項4】逆浸透膜で処理した後の透過水を、さらに
    少なくとも1回逆浸透膜による処理に付す請求項1〜3
    のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】硼素に対して選択性の高い吸着性の樹脂
    が、多価アルコール残基を官能基として有するものであ
    る請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】多価アルコール残基が、グルカミン残基、
    N−メチルグルカミン残基及びジグルカミン残基から選
    ばれる請求項5記載の方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010069399A (ja) * 2008-09-17 2010-04-02 Toshiba Corp ホウ素分離システム
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