JP2000198853A - 樹脂及び吸水性樹脂 - Google Patents

樹脂及び吸水性樹脂

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JP2000198853A
JP2000198853A JP11302196A JP30219699A JP2000198853A JP 2000198853 A JP2000198853 A JP 2000198853A JP 11302196 A JP11302196 A JP 11302196A JP 30219699 A JP30219699 A JP 30219699A JP 2000198853 A JP2000198853 A JP 2000198853A
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polymer
group
resin
vinyl
monomer
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JP11302196A
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English (en)
Inventor
Yoshiki Nakagawa
佳樹 中川
Kenichi Kitano
健一 北野
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Polymerization Catalysts (AREA)
  • Other Resins Obtained By Reactions Not Involving Carbon-To-Carbon Unsaturated Bonds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、ビニル系重合体により架橋された
カルボキシレート基を側鎖に有する重合体からなる新規
な樹脂を提供することを課題とする。 【解決手段】 本発明は、少なくとも一つの末端に、一
般式1で表される構造を有するビニル系重合体(A)と
カルボキシレート基を側鎖に有する重合体(B)とを架
橋反応させて製造された樹脂。 −C(R1)(R2)(X) (1) (式中、R1及びR2は、ビニル系モノマーの重合性炭素
−炭素二重結合に結合した基に由来する水素原子又は炭
素数1〜20の一価の有機基を表す。Xは塩素、臭素、
又はヨウ素を表す。) この架橋樹脂は、多くの場合、良好な吸水性を有し、吸
水性樹脂として用いることができ、ゴム弾性を持たせる
ことも可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カルボキシレート
基を側鎖に有する重合体を架橋した樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】カルボキシレート基を側鎖に有する重合
体は、吸水性樹脂として広く用いられている。近年、大
量の水を吸収することを目的とし、生理用ナプキン、紙
おむつ等の衛生材料を構成する材料の一つとして吸水性
樹脂等の吸収剤が幅広く利用されている。また衛生材料
以外にも、農園芸用分野、土木業分野において土壌保水
剤、脱水剤等として、あるいは食品等のドリップシート
等に吸水性樹脂等の吸水剤が広範囲に利用されている。
【0003】上記の吸水性樹脂としては、ポリアクリル
酸部分中和物架橋体、架橋ポリビニルアルコール変成
物、架橋イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリ
エチレンオキサイドの架橋体、アクリル酸エステル−酢
酸ビニル共重合体のケン化物、澱粉−アクリロニトリル
グラフト重合体の加水分解物、澱粉−アクリル酸グラフ
ト重合体等が知られている。
【0004】中でも代表的な吸水性樹脂としては、ポリ
アクリル酸塩が挙げられる。一般に、このポリアクリル
酸塩の架橋方法としては、ジメタクリレート等の多官能
モノマーを重合中に添加する方法が挙げられる。しか
し、この方法では、ネットワーク構造を制御するのが困
難で、また、重合段階でゲルになるので、後からの成形
等が容易ではない。
【0005】一方、ラジカル重合が可能なビニル系モノ
マー種は多種多様であり、様々な特性を有する重合体の
合成が可能である。例えば、(メタ)アクリル系重合体
は、上述のポリエーテル系重合体、炭化水素系重合体又
はポリエステル系重合体では得られない高い耐候性、透
明性等の特性を有している。しかしながら、上に例示し
たようなイオン重合や縮重合で得られる重合体に対し
て、ラジカル重合で得られるビニル系重合体の主鎖末端
への官能基の導入法はまだほとんど実用化されていな
い。従って、これまで多くの研究者によって、その簡便
な製造方法が検討されてきたが、それらを工業的に製造
することは容易ではない。末端に官能基を有する(メ
タ)アクリル系重合体の製造例として、例えば、特開平
8−208759号公報、特1603919には、連鎖
移動剤としてメルカプトカルボン酸を用いた、カルボキ
シル基末端(メタ)アクリル系重合体の合成法が開示さ
れている。また、特開平5−262808公報には、水
酸基を有するジスルフィドを用いて、両末端に水酸基を
有する(メタ)アクリル系重合体を合成する方法が開示
されている。しかしながら、末端に確実に官能基を導入
するためには、連鎖移動剤を大量に使用しなければなら
ず、製造工程上問題がある。また、これらの方法では通
常のラジカル重合が用いられているため、得られる重合
体の分子量、分子量分布(数平均分子量と数平均分子量
の比)のコントロ−ルは困難である。しかし、近年、リ
ビングラジカル重合の研究が飛躍的に進み、特に原子移
動ラジカル重合法により、分子量及び分子量分布が制御
された様々な末端構造を有する重合体が合成できるよう
になってきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ビニル系重
合体により架橋されたカルボキシレート基を側鎖に有す
る重合体からなる新規な樹脂を提供することを課題とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも一
つの末端に、一般式1で表される構造を有するビニル系
重合体(A)とカルボキシレート基を側鎖に有する重合
体(B)とを架橋反応させて製造された樹脂に関する。 −C(R1)(R2)(X) (1) (式中、R1及びR2は、ビニル系モノマーの重合性炭素
−炭素二重結合に結合した基に由来する水素原子又は炭
素数1〜20の一価の有機基を表す。Xは塩素、臭素、
又はヨウ素を表す。) ビニル系重合体(A)の重合体主鎖は、(メタ)アクリ
ル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビ
ニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ
素含有ビニル系モノマーからなる群から選ばれるモノマ
ーを主として重合して製造されることが好ましい。
【0008】さらに、ビニル系重合体(A)のゲルパー
ミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分
子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/M
n)の値が、1.8未満の値であることが好ましく、ま
た、ビニル系重合体(A)の数平均分子量が、500〜
1,000,000の範囲にあることが好ましい。
【0009】ビニル系重合体(A)が、リビングラジカ
ル重合、更に好ましくは、原子移動ラジカル重合により
製造されることが好ましい。
【0010】一方、重合体(B)は、限定はされない
が、ポリアクリル酸塩系重合体であることが好ましく、
そのアルカリ金属イオンは、ナトリウムイオンまたはカ
リウムイオンであることが好ましい。
【0011】本発明はまた、本発明の樹脂からなる吸水
性樹脂でもある。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、少なくとも一つの末端
に、一般式1で表される構造を有するビニル系重合体
(A)とカルボキシレート基を側鎖に有する重合体
(B)とを架橋反応させて製造された樹脂に関する。 −C(R1)(R2)(X) (1) (式中、R1及びR2は、ビニル系モノマーの重合性炭素
−炭素二重結合に結合した基に由来する水素原子又は炭
素数1〜20の一価の有機基を表す。Xは塩素、臭素、
又はヨウ素を表す。) まず、以下に重合体(A)について説明する。 <重合体Aについて>重合体Aは、一般式1に示される
基を少なくとも一つの末端に有するビニル系重合体であ
る。 −C(R1)(R2)(X) (1) (式中、R1及びR2は、ビニル系モノマーの重合性炭素
−炭素二重結合に結合した基に由来する水素原子又は炭
素数1〜20の一価の有機基を表す。Xは塩素、臭素、
又はヨウ素を表す。) ビニル系モノマーの重合性炭素−炭素二重結合に結合し
た基とは、例えば、アクリル酸エステルモノマーの場合
は水素原子とエステル基、メタクリル酸エステルモノマ
ーの場合は、メチル基とエステル基、スチレンモノマー
の場合には水素原子とフェニル基である。ビニル系モノ
マーとしては、限定はされないが、以下に述べられるも
のが挙げられる。重合体(A)の主鎖 重合体(A)の主鎖を構成するビニル系のモノマ−とし
ては特に限定されず、各種のものを用いることができ
る。例示するならば、(メタ)アクリル酸、(メタ)ア
クリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)
アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプ
ロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)ア
クリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−
ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)
アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロ
ヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メ
タ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−
2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メ
タ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、
(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トル
イル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル
酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メ
トキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエ
チル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、
(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グ
リシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−
(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラ
ン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、
(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メ
タ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メ
タ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メ
タ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフル
オロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオ
ロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、
(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メ
タ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフル
オロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオ
ロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオ
ロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロ
ヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル酸系モノマ
ー;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、
クロルスチレン、スチレンスルホン酸及び塩等のスチレ
ン系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプ
ロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノ
マー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシ
シラン等のケイ素含有ビニル系モノマー;無水マレイン
酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及
びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアル
キルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メ
チルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミ
ド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチル
マレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミ
ド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等
のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー;アク
リルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル
系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリ
ン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどのビニ
ルエステル類;エチレン、プロピレンなどのアルケン
類;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン類;塩化
ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコー
ルなどが挙げられ、これらは単独で用いても良いし、複
数を共重合させても構わない。これらの内では、生成物
の物性等から、メタ(アクリル)系モノマー、アクリロ
ニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素
含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマー
が好ましく、さらにスチレン系モノマー及び(メタ)ア
クリル系モノマーが好ましく、更にアクリル酸エステル
系モノマーが好ましく、特にアクリル酸ブチルが好まし
い。本発明においては、これらの好ましいモノマーを他
のモノマーと共重合させても構わなく、その際は、これ
らの好ましいモノマーが重量比で40%含まれているこ
とが好ましい。
【0013】重合体Aの分子量分布は、特に限定されな
いが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定
した重量平均分子量と数平均分子量の比は通常は1.8
未満であり、好ましくは1.7以下であり、より好まし
くは1.6以下であり、さらに好ましくは1.5以下で
あり、特に好ましくは1.4以下であり、最も好ましく
は1.3以下である。本発明でのGPC測定において
は、通常、移動相としてクロロホルムを用い、測定はポ
リスチレンゲルカラムにておこない、数平均分子量等は
ポリスチレン換算で求めることができる。
【0014】また、重合体Aの数平均分子量は特に限定
されないが、500〜1,000,000の範囲が好ま
しく、1000〜100,000がさらに好ましい。重合体(A)の重合方法 重合体(A)は好ましくは、リビングラジカル重合、更
に好ましくは原子移動ラジカル重合により製造される。
【0015】リビング重合とは狭義においては、末端が
常に活性を持ち続けて分子鎖が生長していく重合のこと
を示すが、一般には、末端が不活性化されたものと活性
化されたものが平衡状態にありながら生長していく擬リ
ビング重合も含まれる。本発明における定義も後者であ
る。「リビングラジカル重合法」は近年様々なグループ
で積極的に研究がなされている。その例としては、コバ
ルトポルフィリン錯体(J.Am.Chem.Soc.
1994、116、7943)やニトロキシド化合物な
どのラジカル捕捉剤を用いるもの(Macromole
cules、1994、27、7228)、有機ハロゲ
ン化物等を開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする「原子
移動ラジカル重合」(Atom Transfer R
adical Polymerization:ATR
P)などがあげられる。重合速度が高く、ラジカル同士
のカップリングなどによる停止反応が起こりやすく、制
御の難しいとされるラジカル重合でありながら、リビン
グラジカル重合では停止反応が起こりにくいため、分子
量分布の狭い(Mw/Mn=1.1〜1.5)重合体が
得られるとともに、モノマーと開始剤の仕込み比によっ
て分子量は自由にコントロールすることができる。
【0016】「リビングラジカル重合法」は、その特性
上、分子量分布が狭く、粘度が低い重合体を得ることが
できる上に、特定の官能基を有するモノマーを重合体の
ほぼ任意の位置に導入可能であることから、特定の官能
基を有するビニル系重合体の製造方法としてはより好ま
しい。
【0017】「リビングラジカル重合法」の中でも、有
機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を
開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを
重合する「原子移動ラジカル重合法」(例えば、Mat
yjaszewskiら、ジャーナル・オブ・アメリカ
ン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.So
c.)1995年、117巻、5614頁、マクロモレ
キュールズ(Macromolecules)1995
年、28巻、7901頁,サイエンス(Scienc
e)1996年、272巻、866頁、WO96/30
421号公報,WO97/18247号公報あるいはS
awamotoら、マクロモレキュールズ(Macro
molecules)1995年、28巻、1721頁
などを参照)は、上記の「リビングラジカル重合法」の
特徴に加えて、官能基変換反応に比較的有利なハロゲン
等を末端に有し、開始剤や触媒の設計の自由度が大きい
ことから、特定の官能基を有するビニル系重合体の製造
方法としてはさらに好ましい。本発明においては、この
原子移動ラジカル重合が好ましい。
【0018】この原子移動ラジカル重合では、有機ハロ
ゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有す
る有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有する
カルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化
合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物が開始剤
として用いられる。そして、原子移動ラジカル重合とい
う名称が示す通り、重合体の成長末端には通常は開始剤
由来のハロゲン基が存在し、一般式1で示される構造に
なる。
【0019】以下に本発明においてより好ましい原子移
動ラジカル重合について説明していく。原子移動ラジカル重合の開始剤 以下に原子移動ラジカル重合の開始剤について説明す
る。
【0020】この原子移動ラジカル重合法においては有
機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホニル化合物等が
開始剤として用いられる。ハロゲンの代わりにジチオカ
ーバメート等の基が用いられることもある。これらの化
合物は、ハロゲンが結合している炭素がカルボニル基、
フェニル基、スルフォニル基と結合しており、炭素−ハ
ロゲン結合が活性化されて重合が開始する。具体的に例
示するならば、 C65−CH2X、C65−C(H)(X)CH3、C6
5−C(X)(CH32、 (ただし、上の化学式中、C65はフェニル基、Xは塩
素、臭素、又はヨウ素) R3−C(H)(X)−CO24、R3−C(CH3
(X)−CO24、R3−C(H)(X)−C(O)
4、R3−C(CH3)(X)−C(O)R4、 (式中、R3、R4は水素原子又は炭素数1〜20のアル
キル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜
20のアラルキル基、Xは塩素、臭素、又はヨウ素) R3−C64−SO2X、 (式中、R3は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル
基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20
のアラルキル基、Xは塩素、臭素、又はヨウ素)等が挙
げられる。原子移動ラジカル重合の開始剤として、重合
を開始する官能基以外の官能基を有する有機ハロゲン化
物又はハロゲン化スルホニル化合物を用いることもでき
る。このような場合、一方の主鎖末端に官能基を、他方
の主鎖末端に上記一般式1で表される構造を有する重合
体(A)が製造される。この場合、末端の官能基も、一
般式1で表される構造と同様にカルボキシレート基と架
橋反応を起せるものが好ましい。また、重合体(A)に
より重合体(B)を架橋するためには、一般式1で表わ
される基が一分子に複数個存在することが好ましいの
で、開始剤は後に述べる2官能開始剤等の多官能開始剤
が好ましい。
【0021】上記の官能基を有する開始剤の官能基とし
ては、アルケニル基、架橋性シリル基、ヒドロキシル
基、エポキシ基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。
ただし、アルケニル基を有する開始剤を用いて重合を行
う場合、反応条件によってはアルケニル基の一部が生長
ラジカルと反応するおそれがあるため、反応条件には注
意が必要である。
【0022】アルケニル基を有する有機ハロゲン化物と
しては限定されず、例えば、一般式2に示す構造を有す
るものが例示される。 R67C(X)−R8−R9−C(R5)=CH2 (2) (式中、R5は水素、またはメチル基、R6、R7は水
素、または、炭素数1〜20の1価のアルキル基、アリ
ール基、またはアラルキル、または他端において相互に
連結したもの、R8は、−C(O)O−(エステル
基)、−C(O)−(ケト基)、またはo−,m−,p
−フェニレン基、R9は直接結合、または炭素数1〜2
0の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでい
ても良い、Xは塩素、臭素、またはヨウ素) 置換基R6、R7の具体例としては、水素、メチル基、エ
チル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、
ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。R6とR7は他
端において連結して環状骨格を形成していてもよい。
【0023】一般式2で示される、アルケニル基を有す
る有機ハロゲン化物の具体例としては、 XCH2C(O)O(CH2nCH=CH2、 H3CC(H)(X)C(O)O(CH2nCH=C
2、 (H3C)2C(X)C(O)O(CH2nCH=C
2、 CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2nCH=
CH2
【0024】
【化1】 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、nは0〜20の整数) XCH2C(O)O(CH2nO(CH2mCH=C
2、 H3CC(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2
mCH=CH2、 (H3C)2C(X)C(O)O(CH2nO(CH2m
CH=CH2、 CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2nO(C
2mCH=CH2
【0025】
【化2】 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数) o,m,p−XCH2−C64−(CH2n−CH=C
2、 o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(CH2
n−CH=CH2、 o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−(C
2n−CH=CH2、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、nは0〜20の整数) o,m,p−XCH2−C64−(CH2n−O−(C
2m−CH=CH2、 o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(CH2
n−O−(CH2m−CH=CH2、 o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−(C
2n−O−(CH2mCH=CH2、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数) o,m,p−XCH2−C64−O−(CH2n−CH
=CH2、 o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−O−(C
2n−CH=CH2、 o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−O−
(CH2n−CH=CH 2、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、nは0〜20の整数) o,m,p−XCH2−C64−O−(CH2n−O−
(CH2m−CH=CH2、 o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−O−(C
2n−O−(CH2m−CH=CH2、 o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−O−
(CH2n−O−(CH 2m−CH=CH2、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数) アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としてはさらに
一般式3で示される化合物が挙げられる。 H2C=C(R5)−R9−C(R6)(X)−R10−R7 (3) (式中、R5、R6、R7、R9、Xは上記に同じ、R
10は、直接結合、−C(O)O−(エステル基)、−C
(O)−(ケト基)、または、o−,m−,p−フェニ
レン基を表す) R9は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基
(1個以上のエーテル結合を含んでいても良い)である
が、直接結合である場合は、ハロゲンの結合している炭
素にビニル基が結合しており、ハロゲン化アリル化物で
ある。この場合は、隣接ビニル基によって炭素−ハロゲ
ン結合が活性化されているので、R10としてC(O)O
基やフェニレン基等を有する必要は必ずしもなく、直接
結合であってもよい。R9が直接結合でない場合は、炭
素−ハロゲン結合を活性化するために、R12としてはC
(O)O基、C(O)基、フェニレン基が好ましい。
【0026】一般式3の化合物を具体的に例示するなら
ば、 CH2=CHCH2X、CH2=C(CH3)CH2X、 CH2=CHC(H)(X)CH3、CH2=C(CH3
C(H)(X)CH3、 CH2=CHC(X)(CH32、CH2=CHC(H)
(X)C25、 CH2=CHC(H)(X)CH(CH32、 CH2=CHC(H)(X)C65、CH2=CHC
(H)(X)CH265、 CH2=CHCH2C(H)(X)−CO2R、 CH2=CH(CH22C(H)(X)−CO2R、 CH2=CH(CH23C(H)(X)−CO2R、 CH2=CH(CH28C(H)(X)−CO2R、 CH2=CHCH2C(H)(X)−C65、 CH2=CH(CH22C(H)(X)−C65、 CH2=CH(CH23C(H)(X)−C65、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、ア
ラルキル基)等を挙げることができる。
【0027】アルケニル基を有するハロゲン化スルホニ
ル化合物の具体例を挙げるならば、 o−,m−,p−CH2=CH−(CH2n−C64
SO2X、 o−,m−,p−CH2=CH−(CH2n−O−C6
4−SO2X、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、nは0〜20の整数)等である。
【0028】上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン
化物としては特に限定されず、例えば一般式4に示す構
造を有するものが例示される。 R67C(X)−R8−R9−C(H)(R5)CH2−[Si(R112-b(Y)b O]m−Si(R123-a(Y)a (4) (式中、R5、R6、R7、R8、R9、Xは上記に同じ、
11、R12は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、
アリール基、アラルキル基、または(R’3SiO−
(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、
3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよ
い)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R11
たはR12が2個以上存在するとき、それらは同一であっ
てもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水
分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同
一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,
2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。
mは0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であ
ることを満足するものとする) 一般式4の化合物を具体的に例示するならば、 XCH2C(O)O(CH2nSi(OCH33、 CH3C(H)(X)C(O)O(CH2nSi(OC
33、 (CH32C(X)C(O)O(CH2nSi(OCH
33、 XCH2C(O)O(CH2nSi(CH3)(OC
32、 CH3C(H)(X)C(O)O(CH2nSi(C
3)(OCH32、 (CH32C(X)C(O)O(CH2nSi(C
3)(OCH32、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは
0〜20の整数、) XCH2C(O)O(CH2nO(CH2mSi(OC
33、 H3CC(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2
mSi(OCH33、 (H3C)2C(X)C(O)O(CH2nO(CH2m
Si(OCH33、 CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2nO(C
2mSi(OCH33、 XCH2C(O)O(CH2nO(CH2mSi(C
3)(OCH32、 H3CC(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2
m−Si(CH3)(OCH32、 (H3C)2C(X)C(O)O(CH2nO(CH2m
−Si(CH3)(OCH32、 CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2nO(C
2m−Si(CH3)(OCH32、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは
1〜20の整数、mは0〜20の整数) o,m,p−XCH2−C64−(CH22Si(OC
33、 o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(CH2
2Si(OCH33、 o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−(C
22Si(OCH33、 o,m,p−XCH2−C64−(CH23Si(OC
33、 o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(CH2
3Si(OCH33、 o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−(C
23Si(OCH33、 o,m,p−XCH2−C64−(CH22−O−(C
23Si(OCH33、 o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(CH2
2−O−(CH23Si(OCH33、 o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−(C
22−O−(CH23Si(OCH33、 o,m,p−XCH2−C64−O−(CH23Si
(OCH33、 o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−O−(C
23Si(OCH33、 o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−O−
(CH23−Si(OCH33、 o,m,p−XCH2−C64−O−(CH22−O−
(CH23−Si(OCH33、 o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−O−(C
22−O−(CH23Si(OCH33、 o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−O−
(CH22−O−(CH 23Si(OCH33、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素)等が挙げられる。
【0029】上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン
化物としてはさらに、一般式5で示される構造を有する
ものが例示される。 (R123-a(Y)aSi−[OSi(R112-b(Y)bm−CH2−C(H)( R5)−R9−C(R6)(X)−R10−R7 (5) (式中、R5、R6、R7、R9、R10、R11、R12、a、
b、m、X、Yは上記に同じ) このような化合物を具体的に例示するならば、 (CH3O)3SiCH2CH2C(H)(X)C65、 (CH3O)2(CH3)SiCH2CH2C(H)(X)
65、 (CH3O)3Si(CH22C(H)(X)−CO
2R、 (CH3O)2(CH3)Si(CH22C(H)(X)
−CO2R、 (CH3O)3Si(CH23C(H)(X)−CO
2R、 (CH3O)2(CH3)Si(CH23C(H)(X)
−CO2R、 (CH3O)3Si(CH24C(H)(X)−CO
2R、 (CH3O)2(CH3)Si(CH24C(H)(X)
−CO2R、 (CH3O)3Si(CH29C(H)(X)−CO
2R、 (CH3O)2(CH3)Si(CH29C(H)(X)
−CO2R、 (CH3O)3Si(CH23C(H)(X)−C65、 (CH3O)2(CH3)Si(CH23C(H)(X)
−C65、 (CH3O)3Si(CH24C(H)(X)−C65、 (CH3O)2(CH3)Si(CH24C(H)(X)
−C65、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、ア
ラルキル基)等が挙げられる。
【0030】上記ヒドロキシル基を持つ有機ハロゲン化
物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限
定されず、下記のようなものが例示される。 HO−(CH2n−OC(O)C(H)(R)(X) (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、
アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数) 上記アミノ基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン
化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のよ
うなものが例示される。 H2N−(CH2n−OC(O)C(H)(R)(X) (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、
アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数) 上記エポキシ基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲ
ン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記の
ようなものが例示される。
【0031】
【化3】 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、
アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数) 上述したように本発明においては、多官能開始剤を用い
るのが好ましい。原子移動ラジカル重合法において、開
始点を2個以上有する有機ハロゲン化物、またはハロゲ
ン化スルホニル化合物が開始剤として用いると、生長末
端、すなわち、一般式1で表わされる基を2つ以上有す
る重合体が得られる。それらの具体例としては、 o−,m−,p−XCH2−C64−CH2X、o−,m
−,p−CH3C(H)(X)−C64−C(H)
(X)CH3、o−,m−,p−(CH32C(X)−
64−C(X)(CH32 (ただし、上記式中、C64はフェニレン基を表す。X
は塩素、臭素、またはヨウ素を表す) RO2C−C(H)(X)−(CH2n−C(H)
(X)−CO2R、RO2C−C(CH3)(X)−(C
2n−C(CH3)(X)−CO2R、RC(O)−C
(H)(X)−(CH2n−C(H)(X)−C(O)
R、RC(O)−C(CH3)(X)−(CH2n−C
(CH3)(X)−C(O)R (上記式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリー
ル基またはアラルキル基を表す。nは0〜20の整数を
表し、Xは塩素、臭素、ヨウ素を表す) XCH2−C(O)−CH2X、H3C−C(H)(X)
−C(O)−C(H)(X)−CH3、(H3C)2
(X)−C(O)−C(X)(CH32、C65
(H)(X)−(CH2n−C(H)(X)C65 (上記式中、Xは塩素、臭素またはヨウ素を表し、nは
0〜20の整数を表す) XCH2CO2−(CH2n−OCOCH2X、CH3
(H)(X)CO2−(CH2n−OCOC(H)
(X)CH3、(CH32C(X)CO2−(CH2n
OCOC(X)(CH32 (上記式中、nは1〜20の整数を表す) XCH2C(O)C(O)CH2X、CH3C(H)
(X)C(O)C(O)C(H)(X)CH3、(C
32C(X)C(O)C(O)C(X)(CH32、 o−,m−,p−XCH2CO2−C64−OCOCH2
X、o−,m−,p−CH3C(H)(X)CO2−C6
4−OCOC(H)(X)CH3、o−,m−,p−
(CH32C(X)CO2−C64−OCOC(X)
(CH32、o−,m−,p−XSO2−C64−SO2
X (上記式中、Xは塩素、臭素、またはヨウ素を表す)原子移動ラジカル重合の触媒 上記原子移動ラジカル重合の触媒として用いられる 重
合触媒として用いられる遷移金属錯体としては特に限定
されないが、好ましくは周期律表第7族、8族、9族、
10族、または11族元素を中心金属とする金属錯体錯
体である。更に好ましいものとして、0価の銅、1価の
銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルの
錯体が挙げられる。なかでも、銅の錯体が好ましい。1
価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、
臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一
銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる場合、
触媒活性を高めるために2,2′−ビピリジル及びその
誘導体、1,10−フェナントロリン及びその誘導体、
テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレ
ントリアミン、ヘキサメチルトリス(2−アミノエチ
ル)アミン等のポリアミン等の配位子が添加される。ま
た、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフ
ィン錯体(RuCl2(PPh33)も触媒として好適
である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、
活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類が添加され
る。更に、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体
(FeCl2(PPh32)、2価のニッケルのビスト
リフェニルホスフィン錯体(NiCl2(PP
32)、及び、2価のニッケルのビストリブチルホス
フィン錯体(NiBr2(PBu32)も、触媒として
好適である。原子移動ラジカル重合のモノマー この重合において用いられるビニル系のモノマ−として
は特に制約はなく、既に述べたものを用いることができ
る。原子移動ラジカル重合の溶媒、温度 上記原子移動ラジカル重合は、無溶剤又は各種の溶剤中
で行うことができる。上記溶剤としては、例えば、ベン
ゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテ
ル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;塩化メチ
レン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン
等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノ
ール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、te
rt−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;アセト
ニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニト
リル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶
媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等
のカーボネート系溶媒等が挙げられる。これらは、単独
又は2種以上を混合して用いることができる。また、上
記重合は、室温〜200℃の範囲で行うことができ、好
ましくは、50〜150℃の範囲である。その他の重合体(A)の製造法 重合体(A)は、ハロゲン化物を連鎖移動剤(テローゲ
ン)として用いる重合によっても製造される。ハロゲン
化物として、四塩化炭素や四臭化炭素、塩化メチレン、
臭化メチレン等が用いられる。しかしながら、この場
合、分子量・分子量分布の規制は困難である。
【0032】上記方法により得られる重合体Aの末端ハ
ロゲンを、カルボキシレート基を側鎖に有する重合体
(重合体B)で変換することにより、ビニル系重合体を
枝とするグラフト共重合体(共重合体C)が製造され
る。以下に変換方法について詳述する。 <重合体(B)について>以下に重合体(B)について
説明する。
【0033】重合体(A)により架橋される重合体
(B)は、カルボキシレート基を側鎖に有する重合体で
あれば、特に限定されない。本発明の樹脂が架橋体とな
るには、重合体(B)はカルボキシレート基を2個以上
有する必要がある。
【0034】重合体(B)は、カルボキシル基もしくは
酸無水物の構造を有するビニル系重合体に塩基を作用さ
せることにより調製できる。このようなビニル系重合体
として、例えば、(メタ)アクリル酸;無水マレイン
酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル;
フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル;桂皮酸等
のカルボキシル基もしくは酸無水物の構造を有するビニ
ル系モノマーの重合体、もしくはこれらのビニル系モノ
マーを構成単位のうちの一つとするビニル系共重合体が
挙げられる。
【0035】作用させる塩基としては、特に限定されな
いが、例示すると、ナトリウムメトキシド、カリウムメ
トキシド、リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシ
ド、カリウムエトキシド、リチウムエトキシド、ナトリ
ウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブ
トキシド等の金属アルコキシド;炭酸ナトリウム、炭酸
カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸
塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化
物;水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化
物;メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチ
ウム、tert−ブチルリチウム、リチウムジイソプロ
ピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド等の有機
金属;アンモニア;トリメチルアミン、トリエチルアミ
ン、トリブチルアミン等のアルキルアミン、テトラメチ
ルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミ
ン等のポリアミン等のアルキルアミン;ピリジン、ピコ
リン等のピリジン系化合物等が挙げられる。
【0036】また、重合体(B)として、カルボキシル
基を側鎖に有する重合体の側鎖カルボキシル基の一部を
カルボキシレート基に変換したものを用いても何ら問題
はない。上記方法により得られる重合体(B)のうち、
(メタ)アクリル酸塩が特に好ましい。 <重合体(A)と重合体(B)の架橋反応>重合体
(A)と重合体(B)の架橋反応に用いられる溶媒とし
ては、例えば、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶
媒;塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン等の
ハロゲン化炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジオキ
サン、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニ
ソール、ジメトキシベンゼン等のエーテル系溶媒;酢酸
エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトン、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン
系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソ
プロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチ
ルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル、
プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶
媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘ
キサメチルホスホリックトリアミド等のアミド系溶媒;
ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;エチレ
ンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネ
ート系溶媒;水等が挙げられる。これらはそれぞれ単独
で用いてもよいし、二種類以上の溶媒を混合して用いて
もよい。反応温度は特に限定されないが、上記のような
溶媒を用いる場合には、0〜150℃が好ましい。
【0037】また、重合体(A)と重合体(B)を高温
高圧下で、直接反応させることも可能である。例えば、
プレス成型機や押し出し成型機により、架橋させ、その
まま成型することもできる。
【0038】重合体Bの使用量は、重合体Bのカルボキ
シレート基量が重合体Aのハロゲン基量に対して等量以
上になるような量が好ましい。カルボキシレート基量を
ハロゲン基量よりも過剰にすることによって、未反応の
カルボキシレート基を親水性基として共重合体中に残す
ことができる。すなわち、カルボキシレート基量とハロ
ゲン基量の比を調節することによって本発明の樹脂の吸
水性等の物性調整が可能である。 <用途>本発明の樹脂は、多くの場合、良好な吸水性を
有し、吸水性樹脂として用いることができる。また、重
合体(A)及び重合体(B)の性状により、ゴム弾性を
持たせることも可能である。そのためには、重合体
(A)の主鎖がアクリル酸エステル系重合体であること
が好ましい。
【0039】その他に本発明の樹脂は、プラスティック
成形材料、プラスティック耐衝撃改良剤、医用材料、シ
ーリング材、接着剤、粘着材、弾性接着剤、塗料、粉体
塗料、発泡体、電気電子用ポッティング材、フィルム、
ガスケット、各種成形材料、人工大理石等に利用でき
る。
【0040】
【実施例】以下に、この発明の具体的な実施例を比較例
と併せて説明するが、この発明は、下記実施例に限定さ
れない。
【0041】下記実施例中、「数平均分子量」および
「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」
は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。
ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充
填したもの、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。 (製造例1)Br基末端ポリ(アクリル酸ブチル)の合
成例1 還流管および攪拌機付きの2Lのセパラブルフラスコ
に、CuBr(5.54g、38.6mmol)を仕込
み、反応容器内を窒素置換した。アセトニトリル(7
3.8mL)を加え、オイルバス中70℃で30分間攪
拌した。これにアクリル酸ブチル(132g)、2−ブ
ロモプロピオン酸メチル(14.4mL、0.129m
ol)、ペンタメチルジエチレントリアミン(4.69
mL、0.022mol)を加え、反応を開始した。7
0℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸ブチル(528
g)を90分かけて連続的に滴下し、更に80分間加熱
攪拌した。
【0042】反応混合物をトルエンで希釈し、活性アル
ミナカラムを通した後、揮発分を減圧留去することによ
り片末端Br基ポリ(アクリル酸ブチル)(重合体
[1])を得た。重合体[1]の数平均分子量は580
0、分子量分布は1.14であった。 (実施例1)製造例1で得られた重合体[1](5
g)、ポリ(アクリル酸ナトリウム)(5g;和光純薬
製)をよく混合し、150℃で1時間加熱した。未反応
の重合体[1]をアセトンで抽出することによりグラフ
ト共重合体を得た。グラフト共重合体はアセトンには不
溶であったが、水によく分散した。 (製造例2)Br基末端ポリ(アクリル酸ブチル)の合
成例2 還流管および攪拌機付きの10Lのセパラブルフラスコ
に、CuBr(28.0g、0.20mol)を仕込
み、反応容器内を窒素置換した。アセトニトリル(55
9mL)を加え、オイルバス中70℃で40分間攪拌し
た。これにアクリル酸ブチル(1.00kg)、2、5
−ジブロモアジピン酸ジエチル(117g、0.325
mol)、ペンタメチルジエチレントリアミン(1.7
mL、1.41g、8.1mmol)(これ以降トリア
ミンと表す)を加え、反応を開始した。70℃で加熱攪
拌しながら、アクリル酸ブチル(4.00kg)を連続
的に滴下した。アクリル酸ブチルの滴下途中にトリアミ
ン(8.5mL、7.06g、0.041mol)を追
加した。
【0043】反応混合物をトルエンで希釈し、活性アル
ミナカラムを通した後、揮発分を減圧留去することによ
りBr基末端重合体(重合体[2])を得た。重合体
[2]の数平均分子量は19500、分子量分布は1.
17であった。 (実施例2)製造例1で得られた重合体[2](2.0
g)、ポリ(アクリル酸ナトリウム)(2.0g;和光
純薬製、重合度2700〜7500)をよく混合し、型
枠に流し込んだ。120℃で15時間加熱することによ
り硬化物を得た。硬化物を水に浸すと膨潤した。 (比較例)2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル(0.
5g)、ポリ(アクリル酸ナトリウム)(10.0g;
和光純薬製、重合度2700〜7500)をよく混合
し、型枠に流し込んだ。120℃で5日間加熱したとこ
ろ、堅くて脆い硬化物が得られた。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、少なくとも一つの末端
にハロゲン基を有するビニル系重合体とカルボキシレー
ト基を側鎖に有する重合体を架橋することによって、新
規な架橋樹脂が提供される。この架橋樹脂は、多くの場
合、良好な吸水性を有し、吸水性樹脂として用いること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 30/08 C08F 30/08

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一つの末端に一般式1で表され
    る構造を有するビニル系重合体(A)と、カルボキシレ
    ート基を側鎖に有する重合体(B)とを架橋反応させて
    製造された樹脂。 −C(R1)(R2)(X) (1) (式中、R1及びR2は、ビニル系モノマーの重合性炭素
    −炭素二重結合に結合した基に由来する水素原子又は炭
    素数1〜20の一価の有機基を表す。Xは塩素、臭素、
    又はヨウ素を表す。)
  2. 【請求項2】ビニル系重合体(A)の重合体主鎖が、
    (メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノ
    マー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モ
    ノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群から
    選ばれるモノマーを主として重合して製造される場合の
    請求項1に記載の樹脂。
  3. 【請求項3】(メタ)アクリル酸系モノマーは、アクリ
    ル酸エステルモノマーである請求項2記載の樹脂。
  4. 【請求項4】アクリル酸エステルモノマーは、アクリル
    酸ブチルである請求項3記載の樹脂。
  5. 【請求項5】ビニル系重合体(A)のゲルパーミエーシ
    ョンクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(M
    w)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)の値
    が、1.8未満の値であることを特徴とする請求項1〜
    4のいずれか一項に記載の樹脂。
  6. 【請求項6】ビニル系重合体(A)の数平均分子量が、
    500〜1,000,000の範囲にあることを特徴と
    する請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂。
  7. 【請求項7】ビニル系重合体(A)が、リビングラジカ
    ル重合により製造されるものであることを特徴とする請
    求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂。
  8. 【請求項8】リビングラジカル重合が原子移動ラジカル
    重合であることを特徴とする請求項7記載の樹脂。
  9. 【請求項9】原子移動ラジカル重合の触媒とする金属錯
    体が銅、ニッケル、ルテニウム、鉄の錯体である場合の
    請求項8記載の樹脂。
  10. 【請求項10】原子移動ラジカル重合の触媒とする金属
    錯体が銅錯体である場合の請求項9記載の樹脂。
  11. 【請求項11】重合体(B)がポリアクリル酸塩系重合
    体である場合の請求項1〜10のいずれか一項に記載の
    樹脂。
  12. 【請求項12】ポリアクリル酸塩系重合体のアルカリ金
    属イオンが、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンで
    あることを特徴とする請求項11に記載の樹脂。
  13. 【請求項13】請求項1〜12のいずれか一項に記載の
    樹脂からなる吸水性樹脂。
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