JP2000196157A - 圧電体素子、及び圧電体素子の製造方法、並びにこの圧電体素子を用いたインクジェットヘッド、インクジェットプリンタ - Google Patents
圧電体素子、及び圧電体素子の製造方法、並びにこの圧電体素子を用いたインクジェットヘッド、インクジェットプリンタInfo
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- Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
Abstract
提供する。 【解決手段】 圧電体を水熱法によって基板に形成して
なる圧電体素子において、この圧電体のうちその下地と
なる側に形成される組成不安定領域の厚さを1.0ミク
ロン以下とする。このために、圧電体の下地の表面粗さ
Raを5nm以下となるように、下地層を形成するため
の条件を定める。
Description
製造方法に関する。さらに、本発明は、この圧電体素子
を用いたインクジェット式記録ヘッド、並びにこのイン
クジェットヘッドを用いたインクジェット記録式プリン
タに関する。
たものの一例に、インクリザーバー内のインクを圧電体
の変形によって吐出するように構成したインクジェット
ヘッドがある。このインクジェットヘッドは、プリント
される画像の各ドット毎に区分けされて形成された圧電
体と、各ドットの圧電体毎に圧電体を変形させるための
電気を供給する電極を備えている。区分けされた圧電
体、及び個々の圧電体に対する電極は、半導体製造技術
によって高密度に基板上に形成されている。
ジェットヘッドを備えて、コンピュータ装置からの印刷
データに基づいて各ドット毎にインクを吐出することに
より、所定の文字や絵等の画像を紙などの印刷媒体に印
刷するように動作するものである。
酸鉛(以下、「PZT」と称する。)に代表される圧電
体を備えている。圧電体は、スパッタ法等物理的気相成
長法(PVD)、化学的気相成長法(CVD)、ゾルゲ
ル法、スピンコート法等で基板上に成膜され、次いで、
700〜1000℃での高温熱処理を受けることにより
完成される。
方法として、200℃以下の低温環境下で圧電体を形成
するための反応を進めることができる、いわゆる水熱法
(「水熱合成法」ともいう。)を利用することが考えら
れている。
協会第15回電子材料研究討論会講演予稿集の「水熱合
成法によるPZT結晶膜の作成とその電気特性」(発行
日1995年10月2日)に記載されている。
コン基板上のチタン下地層の表面にPZTの種結晶を析
出させる種結晶形成プロセスと、このPZT種結晶を核
としてPZT結晶を析出・成長させる結晶成長プロセス
とからなる。すなわち、チタンの上にPZTの種結晶が
出来ると、この後の結晶成長プロセスにおいて、この種
結晶を核としてPZTの結晶粒が成長する。
者が鋭意検討したところ、低温で成膜が可能な水熱法に
おいては、たとえ、圧電体が2成分で形成されるもので
あっても、圧電体の組成を均一なものに制御すること
が、次のように困難であることを見い出した。
を厚さ方向に調べると、チタン層上にPZTの組成が均
一に成っていない組成不安定領域が下地層側にPZTの
析出初期において形成される。組成不安定領域とは、圧
電体がその機能を発揮するための組成を備えていない部
分や層をいい、この組成不安定領域の上に、PZTが圧
電体として機能するための均一組成を持った組成安定領
域が形成されている。組成不安定領域は組成不均一領域
ともいって良く、また、組成安定領域は、組成均一領域
といっても良い。
層は、PZTとしては十分に機能しないために、この領
域が多いほどPZTの圧電特性が低下する。したがっ
て、この領域があることを考えて所望の特性の圧電体素
子を得ようとすると、PZTの膜厚を厚くせざるを得な
いが、これでは、インクジェットヘッドにおいて要求が
高い圧電体素子の高密度化が達成されないという不利益
がある。
低減した圧電体素子を提供することを目的とする。本発
明の他の目的は、この組成不安定領域を低減して圧電特
性に優れた圧電体素子を提供することである。本発明の
さらに他の目的は、この圧電体素子を用いたインクジェ
ットヘッド、及びインクジェットプリンタを提供するこ
とである。本発明のさらに他の目的は、既述の圧電体素
子の製造方法を提供することである。
成するために、圧電体素子において、圧電体を水熱法に
より形成する場合における圧電体の組成形成過程の初期
段階で生ずる組成不安定領域の厚さが、1.0ミクロン
以下、好ましくは0.5ミクロン以下、さらに好ましく
は、0.2ミクロン以下であることを特徴とするもので
ある。
た共通電極層と、共通電極上に形成された圧電体層と、
この圧電体層上にさらに形成された個別電極層と、を備
えてなる圧電体素子である。
の表面粗さRaが5nm以下、好ましくは4.0nm以
下であることを特徴とする。この粗さ以下になるよう
に、下地層を基板上に形成する場合の条件を調整する。
圧電体の下地の表面粗さがこの範囲内にあることによ
り、組成不安定領域の厚さを既述のものに制限すること
が可能となる。
に圧電体薄膜のパターンと同じく形成されたチタン層で
ある。水熱法によれば、このチタン上に圧電体の種結晶
を好適に形成することが可能である。
下地をDCマグネトロンスパッタ法によって製造するこ
とが好ましい。さらに、この際のスパッタ時電力密度
は、好適には、4W/cm2以上である。
素子を圧電アクチュエータとして利用したインクジェッ
トヘッドである。さらに他の態様は、このインクジェッ
トヘッドを備えたインクジェットプリンタである。
電体の組成不安定領域を既述の値にすることにより、圧
電体薄膜全体の厚さを低減できるので、圧電体素子を高
密度化して基板上に形成することができる。この結果、
例えば、印刷媒体に高密度で印刷可能なインクジェット
ヘッドなどのアクチュエータを形成することが可能とな
る。
点から圧電体の全体厚を、3ミクロンとした場合、圧電
体(PZT)全体厚に対する組成不安定層の厚さの割合
を7パーセント以下にすることが可能となる。これに対
して従来では、この割合が40パーセントであり高密度
化されるべきインクジェットヘッドには、従来の圧電体
素子は不十分であった。
る際に、基板と圧電体との密着力や結合力を高めるため
に、基板が圧電体の構成金属元素を含む組成を有する
か、あるいは基板上にこの金属からなるコーティングが
形成される。本発明の実施に際しては、本願出願時に既
に報告されている公知の水熱法が広く適用される。
形態と実施例を説明する。図1に本発明に係わる圧電体
薄膜素子の断面図を示す。この圧電体薄膜素子の構造と
製造工程を以下に説明する。先ず、インクキャビティ1
1を有するニッケル電鋳基板10上に共通電極としての
白金12を形成する。さらにこの白金上にチタン膜14
を形成する。
16の結晶を析出させる際の種結晶を形成するための下
地として、さらに、圧電体層16と共通電極である白金
との密着性を向上させるために形成される。
電極を0.2ミクロン厚でスパッタ法によって形成す
る。チタン膜14は、DCマグネトロンスパッタ法によ
って形成する。チタンの膜厚は0.5ミクロンである。
チタンをスパッタするときの電力密度は、4W/cm2
以上、好ましくは、5W/cm2以上、さらに好ましく
は、10W/cm2以上である。DCマグネトロンスパ
ッタの他の条件は、次のとおりである。基板加熱温度は
摂氏150度、スパッタ圧力は0.4Pa。である次に
本発明の実施例について説明する。この実施例は、0.
2ミクロン厚のチタンコーティングがなされた基板上
に、Pb(ZrTi)O3系の圧電体薄膜結晶を形成す
ることを特徴とするものである。種結晶の形成 Pb(NO3)2水溶液50〜500mmol/L、Zr
OCl2水溶液20〜500mmol/L、Sr(N
O3)2水溶液0.01〜500mol/LおよびKOH水溶
液0.1〜8mol/Lを含む混合溶液中に、前記基板が
溶液上部に設置固定され、摂氏120〜190度の温度
範囲で1〜24時間水熱による表面処理を行い、基板面
に対して結晶軸が揃った種結晶が基板上に形成される。
熱反応によりPZTの膜を成長させる。この水熱反応で
使用する反応溶液は、酢酸鉛Pb(NO3)2水溶液、オ
キシ塩化ジルコニウムZrOCl2水溶液、塩化チタン
TiCl4水溶液、及び水酸化カリウムKOH水溶液を
混合することによって調整された。
ッ素樹脂をコーティングして、150℃の前記反応溶液
に投入し、12時間水熱処理を行ったところ、PZT膜
が3乃至6μmの厚さまで成長した。
なる個別電極(上部電極)18を蒸着法とフォトリソグ
ラフィ技術を用いて形成した。この結果、インクキャビ
ティ11上に個別にチタン下地14、チタン下地上に選
択的に形成されたPZT14、PZT上に積層された個
別電極18のパターンが形成された。
のチタン表面の表面粗さを触針式表面粗さ計によって測
定した。また、この圧電体素子の比誘電率、圧電ひずみ
定数が、30Vの矩形波を圧電素子に印加し、レーザー
ドップラー振動計から変位を測定することによって測定
された。
膜の表面粗さRaと、圧電歪み定数d31(pC/N)
と、PZTの表面粗さの関係を示す特性表図である。図
3は、チタン膜をスパッタする際の電力密度を変えた時
のPZTの厚さ方向の組成の変化を示す特性図である。
組成はオージェ分析で行い、Pb,Ti,Zrのみをしめ
してある。(1)は、電力密度が8W/cm2 の場合で
あり、(2)は、4W/cm2の場合である。図3の横
軸中「0」とあるのは、基板に形成された下地チタンの
最表面を示す。基板としては、ニッケル電鋳基板、シリ
コン基板など特に限定されない。
密度が高くなれば、チタン膜表面の粗さが小さくなり、
PZT膜の表面粗さが改善されて圧電体特性が向上す
る。このとき、図3から分かるように、下地の成膜時の
電力密度が高いほど(図3(1))、PZTの組成が一
定に成らない組成不安定層が1ミクロン以下のより小さ
い範囲に制限することができる。この領域は、圧電体と
しての機能を十分発揮しない箇所であり、圧電体素子が
所望の圧電体歪み特定を発揮しようとする場合、組成不
安定層に対してPZTの組成がほぼ均一となっている組
成安定層の割合を多くする必要がある。
領域の上にあるPZTの部分では、Pb、Ti、Zrの
割合が均一であるのに対して、この不均一領域では、圧
電体を構成する各元素の割合が一定になっていない。
る場合には、圧電体膜の厚さを薄くしても所望の圧電体
特性を発揮させるために、この組成不安定領域(組成不
均一領域)をいかに少なくするかが重要である。本発明
によれば、この組成不安定領域を少なくすることができ
ることにより、PZTの全体厚を低減して圧電体を高密
度化しても優れた圧電特性を備えて圧電体素子を提供す
ることが可能となる。
いて説明する。以上の説明によって得られた圧電体素子
をインク吐出用のアクチュエータとして使用したインク
ジェット式記録ヘッド全体の分解斜視図を図4として示
す。
は、インクの供給流路が加圧室基板内に形成されるタイ
プである。同図に示すように、インクジェット式記録ヘ
ッドは主に加圧室基板20A、ノズルユニット2及び基
体25から構成される。
に形成された後、各々に分離される。加圧室基板20A
は複数の短冊状の加圧室21が設けられ、全ての加圧室
21にインクを供給するための共通流路23を備える。
24は各インク室にインクを供給するための供給口であ
る。加圧室21の間は側壁22により隔てられている。
加圧室基板21の基体25側には振動板30A及び圧電
体薄膜素子が設けられている。また、各圧電体薄膜素子
からの配線はフレキシブルケーブルである配線基板に収
束され、基体の外部回路と接続される。
に接合される。ノズルプレートにおける加圧室21に対
応する位置にはインク滴を摘出するためのノズル11が
形成されている。基体25は金属等の鋼体であり、加圧
室基板20Aの取付台となる。
ンクジェット式記録ヘッドが使用されるプリンタの構造
を図5に説明する。プリンタは、ラインプリンタとして
機能可能なように、本体102に、トレイ103、排出
口104および各種操作ボタン9が設けられている。さ
らに本体の内部には、インクジェット式記録ヘッド1、
供給機構6、制御回路8が備えられている。
電体素子を備える。このヘッドは特にラインプリンタ用
のヘッドであり、供給可能な用紙の幅を覆う長さに形成
されている。インクジェット式記録ヘッドは、制御回路
から供給される吐出信号に対応して、用紙の幅いっぱい
に設けられたノズルからインクを吐出可能に構成されて
いる。
1,602等の機械構造を備えている。モータは、制御
回路から供給される駆動信号Sdに対応して回転可能に
なっている。機械構造は、モータの回転力をローラに伝
達可能に構成されている。ローラは、モータの回転力が
伝達されると回転するようになっており、回転によりト
レイに載置された用紙を引き込み、ヘッドによって印刷
可能に供給するようになっている。
ンターフェース回路などを備え、コネクタを介してコン
ピュータから供給される印字情報に対応させて、駆動信
号を供給機構に供給したり、吐出信号をインクジェット
式記録ヘッドに供給したりできるようになっている。ま
た、制御回路は操作パネルからの操作信号に対応させて
動作モードの設定、リセット処理などが行えるようにな
っている。
組成不安定領域を極力低減した圧電体素子を提供するこ
とができる。さらに、この組成不安定領域を低減して圧
電特性に優れた圧電体素子を提供することができる。ま
たさらに、この圧電体素子を用いてインクの吐出性能に
優れたインクジェットヘッド及びインクジェットプリン
タを提供することができる。
素子)の断面図である。
Ra、圧電歪み定数d31(pC/N)、そしてPZT
の表面粗さの関係を示す特性表図である。
時のPZTの厚さ方向の組成の変化を示す特性図であ
る。
ある。
Claims (15)
- 【請求項1】 圧電体を水熱法によって基板に形成して
なる圧電体素子において、この圧電体のうちその下地と
なる側に形成される組成不安定領域の厚さが1.0ミク
ロン以下であることを特徴とする圧電体素子。 - 【請求項2】 前記基板上に形成された共通電極を備
え、この共通電極上に請求項1の圧電体を形成し、さら
にこの圧電体上に個別電極を形成してなる圧電体素子。 - 【請求項3】 前記圧電体の下地の表面粗さRaが5n
m以下である請求項1または2記載の圧電体素子。 - 【請求項4】 圧電体を水熱法によって基板に形成して
なる圧電体素子において、前記圧電体を基板に形成する
際の下地の表面粗さRaが5nm以下である圧電体素
子。 - 【請求項5】 前記圧電体の下地としてチタン層が形成
されてなる請求項3又は4記載の圧電体素子。 - 【請求項6】 前記下地がDCマグネトロンスパッタ法
によって形成される請求項3乃至5のいずれか1項記載
の圧電体薄膜素子。 - 【請求項7】 スパッタ時の電力密度が4W/cm2以
上である請求項6記載圧電体素子。 - 【請求項8】 前記組成不安定層の厚さが、0.5ミク
ロン以下である請求項1記載の圧電体素子。 - 【請求項9】 前記組成不安定層の厚さが、0.2ミク
ロン以下である請求項8記載の圧電体素子。 - 【請求項10】 基板に圧電体のパターンを形成してな
る圧電体素子の製造方法において、表面粗さRaが5n
m以下になるように、前記圧電体を基板に積層する際の
下地を形成する工程をさらに含む圧電体素子の製造方
法。 - 【請求項11】 前記下地がチタンから形成されてなる
請求項10記載の方法。 - 【請求項12】 前記下地をDCマグネトロンスパッタ
法によって、前記スパッタ時の電力密度が4W/cm2
以上になるように、形成した請求項10又は11記載の
圧電体素子の製造方法。 - 【請求項13】 請求項1乃至9の何れか1項記載の圧
電体素子を変形素子として備えた圧電アクチュエータ。 - 【請求項14】 インクジェット式記録ヘッドである請
求項13記載の圧電アクチュエータ。 - 【請求項15】 請求項14記載のインクジェット式記
録ヘッドを用いたインクジェットプリンタ。
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Cited By (2)
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WO2002027809A1 (fr) * | 2000-09-27 | 2002-04-04 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Element a pellicule dielectrique mince, actionneur comprenant cet element, tete a jet d'encre et enregistreur a jet d'encre |
KR100489828B1 (ko) * | 2003-04-07 | 2005-05-16 | 삼성전기주식회사 | Fbar 소자 및 그 제조방법 |
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1998
- 1998-12-28 JP JP37323998A patent/JP2000196157A/ja active Pending
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