JP2000193639A - アンモニア検出センサ及びそれを用いたアンモニア検出方法 - Google Patents

アンモニア検出センサ及びそれを用いたアンモニア検出方法

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JP2000193639A
JP2000193639A JP10370499A JP37049998A JP2000193639A JP 2000193639 A JP2000193639 A JP 2000193639A JP 10370499 A JP10370499 A JP 10370499A JP 37049998 A JP37049998 A JP 37049998A JP 2000193639 A JP2000193639 A JP 2000193639A
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oxygen
electrode
ammonia
concentration cell
cell element
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Masashi Kida
真史 喜田
Takaharu Inoue
隆治 井上
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Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低濃度域から高濃度域までの広い範囲でアン
モニア検出が可能であり、また被検出ガス中に窒素酸化
物が含有されていても精度よくアンモニアを検出できる
センサを提供する。 【解決手段】 対向する酸素ポンプ素子3と酸素濃淡電
池素子4との隙間15を処理空間とし、処理空間に面す
る電極11,12をアンモニア酸化反応に対する触媒活
性が高い材質で構成し、酸素濃淡電池素子4の裏面側
(反対空間)の電極13をアンモニア酸化反応に対する
触媒活性が低い材質で構成する。そして、上記処理空間
と反対空間とにアンモニアと酸素とを含有した被検出ガ
スを導入すると、酸素濃淡電池素子4の両側でアンモニ
ア酸化による酸素消費量に差が生じ、濃淡電池起電力が
発生する。酸素ポンプ素子3は処理空間に酸素を汲み込
み、濃淡電池起電力が一定の目標値ECとなるように制
御する。このときの酸素ポンプ素子3に流れる電流に基
づいて、アンモニアの濃度を検出することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アンモニア検出セ
ンサ及びそれを用いたアンモニア検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば自動車用を始め、船舶、飛行機用
あるいは産業用動力源用の内燃機関、あるいはボイラー
等から発生する排気ガス中には、アンモニアが含有され
ていることがある。例えば排気ガス組成がリーン側にず
れると窒素酸化物(いわゆるNOx)が生成しやすくな
るが、この窒素酸化物が水蒸気と反応するとアンモニア
が発生する場合がある。
【0003】ところで、このような排気ガス中のアンモ
ニア濃度を検出するためのセンサとしては、例えば特開
平8−247995号公報に次のような構造を有するも
のが開示されている。すなわち、このセンサは2つの処
理室を有し、その第一処理室内に第一拡散規制流通部を
介してアンモニアを含有する排気ガスを導入し、ジルコ
ニア固体電解質で構成された第一酸素ポンプ素子により
ガス中の酸素を汲み出すとともに、ヒータ加熱により、
含有されるアンモニアを水素と窒素とに熱分解させる。
そして、その水素と窒素とを含有したガスを、第二拡散
規制流通部を介して第二処理室に導き、該第二処理室内
の酸素濃度がほぼ一定となるようにここに第二酸素ポン
プ素子により酸素を汲み込んで、上記アンモニアに由来
する水素を燃焼させる。第二酸素ポンプ素子のポンプ電
流値は、水素の燃焼により消費される酸素量に応じて変
化するので、これを測定することにより、もとの排気ガ
ス中のアンモニア濃度を知ることができる。
【0004】また、文献:Solid State Ionics 1 (199
5), p.514 - 520には、同一の処理室に面して2つの酸
素ポンプ素子を配した構造のセンサを用いるアンモニア
濃度測定方法が開示されている。この方法では、拡散規
制流通部を介して処理室に排気ガスを導き、まず、第一
酸素ポンプ素子の電極上でアンモニアを窒素酸化物に酸
化する。次いでその生じた窒素酸化物を第二酸素ポンプ
素子の電極上で解離させ、このときに第二酸素ポンプ素
子に流れる電流値からアンモニア濃度を測定する。な
お、第一酸素ポンプ素子及び第二酸素ポンプ素子は、前
者の電極上でアンモニアの酸化が、後者の電極上で窒素
酸化物の分解が起こるものとなるよう、その作動温度が
互いに異なる値に設定される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報及び文献に開示されたセンサではアンモニアの検出感
度が非常に低く(例えば前者においては、アンモニア濃
度1000ppmに対し出力電流が17μA、後者はア
ンモニア濃度400ppmに対し出力電流が0.3μ
A)、十分な検出精度が確保できない問題がある。これ
ら従来の技術では、低濃度域の測定が基本的に不可能と
なり、広い濃度範囲でのアンモニア検出ができず、用途
が限られてしまう欠点がある。また、後者の方法におい
ては、被検出ガス中にアンモニア以外に始めから窒素酸
化物が含有されている場合には、正確なアンモニア濃度
測定ができない欠点がある。
【0006】本発明の課題は、低濃度域から高濃度域ま
での広い範囲でアンモニア検出が可能であり、また被検
出ガス中に窒素酸化物が含有されていても精度よくアン
モニアを検出できるセンサと、それを用いたアンモニア
検出方法とを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】本発明の
アンモニア検出センサは、上記課題を解決するために、
酸素イオン伝導性固体電解質により構成され、その両面
に酸素透過性を有する電極が形成されてそれら電極の一
方が処理空間に面して配置される酸素濃淡電池素子と、
酸素イオン伝導性固体電解質により構成されて両面に酸
素透過性を有する電極が形成されてそれら電極の一方が
処理空間に面して配置されるとともに、該酸素濃淡電池
素子に生ずる濃淡電池起電力の絶対値が減少する方向
に、処理空間に酸素を汲み込み又は該処理空間から酸素
を汲み出す酸素ポンプ素子と、酸素ポンプ素子と酸素濃
淡電池素子とを予め定められたセンサ作動温度に加熱す
る加熱素子とを備え、処理空間と、酸素濃淡電池素子を
挟んでこれと反対側の空間(以下、反対空間という)と
に、それぞれアンモニアと酸素とを含有する被検出ガス
が導入され、また、酸素ポンプ素子の処理空間に面する
側の電極を第一電極、酸素濃淡電池素子の処理空間に面
する側の電極を第二電極、酸素濃淡電池素子の反対空間
側の電極を第三電極として、処理空間と反対空間とに導
入された被検出ガス中のアンモニアが、少なくともそれ
ら処理空間と反対空間との一方において、第一〜第三電
極の少なくともいずれかを酸化触媒として被検出ガス中
の酸素と反応することにより消費されるとともに、処理
空間と反対空間との間で酸素との反応によるアンモニア
の消費量に差が生じるように、それら第一〜第三電極の
酸化触媒活性が調整されており、酸素濃淡電池素子の濃
淡電池起電力の絶対値が所定の起電力目標値ECに到達
したときの酸素ポンプ素子に流れる電流値を、被検出ガ
ス中のアンモニア濃度を反映した情報として取り出すよ
うにしたことを特徴とする。
【0008】また、本発明のアンモニア検出方法は、酸
素イオン伝導性固体電解質により構成され、その両面に
酸素透過性を有する電極が形成されてそれら電極の一方
が処理空間に面して配置される酸素濃淡電池素子と、酸
素イオン伝導性固体電解質により構成されて両面に酸素
透過性を有する電極が形成されてそれら電極の一方が処
理空間に面して配置されるとともに、該酸素濃淡電池素
子に生ずる濃淡電池起電力の絶対値が減少する方向に、
処理空間に酸素を汲み込み又は該処理空間から酸素を汲
み出す酸素ポンプ素子と、酸素ポンプ素子と酸素濃淡電
池素子とを予め定められたセンサ作動温度に加熱する加
熱素子とを備えたアンモニア検出センサを被検出雰囲気
中に配置するとともに、処理空間と、酸素濃淡電池素子
を挟んでこれと反対側の空間(以下、反対空間という)
とに、それぞれアンモニアと酸素とを含有する被検出ガ
スを導入し、さらに、アンモニア検出センサにおいて、
酸素ポンプ素子の処理空間に面する側の電極を第一電
極、酸素濃淡電池素子の処理空間に面する側の電極を第
二電極、酸素濃淡電池素子の反対空間側の電極を第三電
極として、処理空間と反対空間とに導入された被検出ガ
ス中のアンモニアを、少なくともそれら処理空間と反対
空間との一方において、第一〜第三電極の少なくともい
ずれかを酸化触媒として被検出ガス中の酸素と反応する
ことにより消費させるとともに、処理空間と反対空間と
の間で酸素との反応によるアンモニアの消費量に差が生
じるように、それら第一〜第三電極の酸化触媒活性を調
整しておき、酸素濃淡電池素子の濃淡電池起電力の絶対
値が所定の起電力目標値ECに到達したときの酸素ポン
プ素子に流れる電流値を、被検出ガス中のアンモニア濃
度を反映した情報として取り出すことを特徴とする。
【0009】本発明によれば、酸素濃淡電池素子を挟ん
で上記処理空間と反対空間側とにアンモニアと酸素とを
含有した被検出ガス(例えば内燃機関からの排気ガス)
が導入され、処理空間に面する側に配置された第一及び
第二電極と、反対空間側に配置された第三電極の酸化触
媒としての活性が、上記処理空間側と反対空間側とでア
ンモニアの酸化による消費量に差が生ずるように調整さ
れており、アンモニアが多く消費される側では酸素も多
く消費されることとなる。これにより、酸素濃淡電池素
子の両側には酸素濃度差が生じ、それに基づく濃淡電池
起電力が発生することとなる。酸素ポンプ素子は、例え
ば処理空間側が低酸素濃度側となる場合には該処理空間
に酸素を汲み込み、逆に高酸素濃度側となる場合には該
処理空間から酸素を汲み出して、上記濃淡電池起電力を
起電力目標値ECになるように制御する。
【0010】そして、濃淡電池起電力が起電力目標値E
Cに到達したときの酸素ポンプ素子に流れる電流(以
下、ポンプ電流という)は、被検出ガス中のアンモニア
の濃度値をほぼ反映した値となることから、これに基づ
いて上記アンモニアの濃度を検出することができ、アン
モニア濃度変化に対するポンプ電流値の変化も大きく、
感度が良好である。また、上記ポンプ電流の値は、被検
出ガス中のアンモニアの濃度が変化しない限り、被検出
ガス中の酸素濃度の影響をほとんど受けず、また、アン
モニアの濃度変化に対するポンプ電流の値の変化もほぼ
直線的となる。これにより、酸素濃度が所定の範囲で変
化しても、被検出ガス中のアンモニアの濃度を精度よく
検出することができる。さらに、被検出ガス中に窒素酸
化物が含有されている場合でも、該窒素酸化物はアンモ
ニア酸化反応には関係しないので、その測定精度に及ぼ
す影響も小さい。
【0011】酸素ポンプ素子及び酸素濃淡電池素子は、
酸素イオン伝導性を有する固体電解質により構成され
る。そのような固体電解質としては、YないしC
aOを固溶させたZrOが代表的なものであるが、そ
れ以外のアルカリ土類金属元素ないし希土類金属元素の
酸化物とZrOとの固溶体を使用してもよい。また、
ベースとなるZrOにはHfOが含有されていても
よい。
【0012】なお、酸素濃淡電池素子は、例えば、被検
出ガスの流通が許容された処理空間としての所定量の隙
間が酸素濃淡電池素子との間に形成されるように、該酸
素濃淡電池素子に対向配置することができる。この場
合、該隙間の大きさは、例えば1mm以下に設定するのが
よい。隙間の大きさが1mmを超えると、隙間による新た
な被検出ガスの流入規制効果が小さくなり、センサの検
出精度が低下する場合がある。また、第一電極の面積S
pと第二電極の面積Ssとの比Sp/Ssを1以上とすれ
ば、第二電極付近の酸素濃度を一定にすることができ、
ひいてはセンサ出力の精度及び安定性を向上させること
ができる。
【0013】上記アンモニア検出センサは、第一電極と
第二電極との少なくともいずれかと、第三電極とのう
ち、一方を触媒活性を高く設定するべき高活性側電極、
他方を触媒活性を低く設定するべき低活性側電極とし、
また、高活性側電極と低活性側電極とはいずれもPdを
含有し、かつ高活性側電極には、Fe及びCuの少なく
とも一方が配合されているものとして構成することがで
きる。
【0014】本発明者らが鋭意検討したところによる
と、酸素ポンプ素子及び酸素濃淡電池素子に形成する電
極のアンモニア酸化反応に対する触媒活性は、Pdの配
合により向上することが判明している。そして、高活性
側電極に、Fe及びCuの少なくとも一方を配合してお
けば、低活性側電極に対する高活性側電極の触媒活性が
相対的に高められる。これにより、低活性側電極と高活
性側電極との間における、酸化消費されるアンモニア量
の差が大きくなり、センサの感度を高めることができ
る。
【0015】FeやCuの配合により、Pdを含んだ電
極の触媒活性が高められるのは、次のように推測され
る。すなわち、Pdは貴金属の中にあっては幾分酸化さ
れやすい性質を有しており、酸化が進行すれば上記触媒
活性は低下する傾向にある。他方、FeやCuはPdよ
りも酸化電位が低いため電極中に配合しておくと、これ
ら成分がPdよりも優先的に酸化される結果、Pd自身
の酸化は抑制され、触媒活性が良好に維持されるものと
考えられる。
【0016】なお、高活性側電極中及び低活性側電極中
のPd含有率はそれぞれ1〜90重量%とするのがよ
い。Pd含有率が1重量%未満では、Pd配合による触
媒活性向上効果がほとんど得られなくなる。他方、90
重量%を超えると、電極酸化による導通不良等が生じや
すくなる。また、高活性側電極中のFe及びCuの各成
分の合計含有率は0.5〜50重量%であるのがよい。
該合計含有量が0.5重量%未満になると、Fe及びC
u配合による触媒活性向上の効果が顕著でなくなる。ま
た、50重量%を超えると、電極酸化による導通不良等
が生じやすくなる。
【0017】なお、Pd、Cu及びFeの各成分は、各
々酸素イオン伝導性固体電解質粒子上に担持された状態
で各電極中に配合されていることが望ましい。これによ
り、電極の触媒活性をさらに高めることができる。例え
ば、Pdを主体とする粒子とCuないしFeを主体とす
る粒子とが、固体電解質粒子上に担持された状態で存在
することにより、両粒子間に一種の局部電池が形成され
て、Pdを主体とする粒子の酸化が一層進みにくくな
り、触媒活性が向上するものと推測される。
【0018】高活性側電極と低活性側電極とはいずれも
Ptを50重量%以上含有するものとして構成すれば、
電極の酸化劣化が進みにくくなり、かつ酸素分子に対す
る解離機能も十分に確保できるので、センサの性能を向
上させる上で一層有利となる。Ptの含有量は、望まし
くは60重量%以上、さらに望ましくは70重量%以上
とするのがよい。
【0019】また、低活性側電極に対する高活性側電極
の触媒活性を相対的に高めるには、次のような構成を採
用してもよい。すなわち、高活性側電極と低活性側電極
とはいずれもPtを50重量%以上含有し、かつ低活性
側電極には、活性抑制成分としてのFe及びCuの少な
くともいずれかを配合する。この構成では、各電極を触
媒活性の高いPtを主体に構成するとともに、低活性側
電極に、Fe及びCuの少なくとも一方を配合しておけ
ば、低活性側電極の触媒活性が高活性側電極と比べて相
対的に低くなる。これにより、低活性側電極と高活性側
電極との間における、酸化消費されるアンモニア量の差
が大きくなり、センサの感度を高めることができる。
【0020】酸素ポンプ素子が酸素濃淡電池素子に対向
配置される場合、両者の隙間は、アンモニア酸化の触媒
として機能する電極がこれに面して対向配置されるか
ら、アンモニア酸化量が大きくなる側の空間として利用
しやすくなる。従って、第二電極を高活性側電極とし、
第三電極を低活性側電極とすれば、酸素濃淡電池素子の
両側における酸素消費量に差を付けやすくなり、センサ
感度を高める上で有利となる。また、第二電極の上記酸
化触媒活性が第三電極よりも大きくなるようにすれば、
被検出ガス中のアンモニアの濃度に対するセンサ出力の
直線性が高められ、ひいてはアンモニアの検出精度をさ
らに向上できる場合がある。なお、該構成において酸素
ポンプ素子は、酸素濃淡電池素子に生ずる濃淡電池起電
力の絶対値が減少するように、隙間に酸素を汲み込むも
のとされる。ここで、第一電極及び第二電極の双方につ
いて、アンモニアに対する酸化触媒活性を第三電極より
も大きくすると、上記隙間と反対空間との間のアンモニ
アの消費量の差がさらに大きくなり、アンモニアの検出
感度を高めることができる。
【0021】次に、本発明のアンモニア検出センサにお
いては、加熱素子を、酸素濃淡電池素子と酸素ポンプ素
子とを、低活性側電極の方が高活性側電極よりも低温と
なるように加熱するものとして構成することができる。
低活性側電極の温度を低温とすることで、これにより、
低活性側電極におけるアンモニアの酸化反応がさらに抑
制され、高活性側電極との間における酸化消費されるア
ンモニア量の差が大きくなり、センサの感度をより高め
ることができる。
【0022】例えば、酸素ポンプ素子及び酸素濃淡電池
素子に使用する酸素イオン伝導性固体電解質として、Z
rO系の固体電解質を使用する場合、高活性側電極の
加熱温度T1は800〜900℃、また、低活性側電極
の加熱温度をT2として、T1−T2が100〜200℃
となっているのがよい。T1 が800℃未満になると、
高活性側電極が設けられている側の素子において、固体
電解質の酸素イオン伝導度が低くなり過ぎ、センサ感度
が不十分となる場合がある。また、900℃を超える
と、ヒータの劣化を招きやすくなる場合がある。他方、
T1−T2が100℃未満になると、低活性側電極におけ
るアンモニアの酸化反応の抑制効果が十分に得られなく
なる。また、200℃を超えると、低活性側電極が形成
されている側の素子において、固体電解質の酸素イオン
伝導度が低くなり過ぎ、センサ感度が不十分となる場合
がある。
【0023】さて、上記構成のアンモニア検出センサに
おいては、酸素濃淡電池素子の濃淡電池起電力の絶対値
が10mV以下に設定された起電力目標値ECに到達し
たときの、上記酸素ポンプ素子に流れる電流値を、被検
出ガス中のアンモニアの濃度を反映した情報として取り
出すことができる。
【0024】一方、酸素を1体積%以上含有し、かつセ
ンサ作動温度において酸素と反応する成分を実質的に含
有しない試験ガスを上記隙間及び反対空間に導入したと
きの、酸素濃淡電池素子に生ずるオフセット起電力の絶
対値をEOS(単位:mV)とし、これに対応して起電力
目標値ECが(EOS−5)mV以上(EOS+5)mV以
下の範囲内で設定されるとともに、酸素濃淡電池素子の
濃淡電池起電力の絶対値が上記起電力目標値ECに到達
したときの酸素ポンプ素子に流れる電流値を、被検出ガ
ス中のアンモニアの濃度を反映した情報として取り出す
こともできる。
【0025】例えば、酸素濃淡電池素子を挟んで隙間側
と反対空間側とで、酸素濃度が互いに等しくなるよう
に、酸素ポンプ素子による隙間への酸素の汲み込みない
しは汲み出しを行うようにすれば、それら両空間でのア
ンモニアの消費量の差に対し、ポンプ電流が直接的に対
応することになるから、アンモニアの濃度をさらに精度
よく検出することができ、また検出結果の解析も容易と
なる。この場合、酸素濃淡電池素子の両側の酸素濃度が
等しくなれば、濃淡電池起電力は理論上は0となるか
ら、酸素ポンプ素子は、該濃淡電池起電力が0となるよ
うに隙間に対する酸素の汲み込みないしは汲み出しを行
うこととなる。しかしながら、酸素濃淡電池素子の両側
の酸素濃度が等しくなっても、通常は、酸素濃淡電池素
子の起電力は0にはならず、一定のオフセット起電力が
残ることが多い。
【0026】本発明者らは、一般に使用されているほと
んどの酸素イオン伝導性固体電解質について、該固体電
解質により酸素濃淡電池素子を構成した場合のオフセッ
ト起電力の絶対値が10mV以下の範囲に収まっている
ことに着眼するとともに、本発明のアンモニア検出セン
サの構成において、起電力目標値ECを10mV以下に
設定し、濃淡電池起電力の絶対値が該起電力目標値EC
に到達したときの酸素ポンプ素子に流れる電流値を検出
信号として採用することで、被検出ガス中のアンモニア
の濃度を正確に検出できることを見い出したのである。
なお、測定雰囲気の酸素濃度範囲が判っている場合は、
その範囲の最大酸素濃度におけるオフセット起電力を起
電力目標値とするのが望ましい。
【0027】一方、本発明者らは鋭意検討の結果、次の
ことを見い出し、アンモニア検出センサの以下の構成を
完成するに至ったのである。すなわち、酸素濃淡電池素
子のオフセット起電力が、検出に係る被検出ガス中の酸
素濃度が低くなるほど変動しやすくなり、一定以下の酸
素濃度におけるオフセット起電力を基準として起電力目
標値ECを設定すると、センサ出力が被検出ガス中の酸
素濃度の影響を受けやすくなる。そしてこれを解決する
ためには、酸素を1体積%以上含有し、かつセンサ作動
温度において酸素と反応する成分を実質的に含有しない
試験ガスを隙間及び反対空間に導入したときの、酸素濃
淡電池素子に生ずるオフセット起電力の絶対値をEOS
(単位:mV)とし、これを基準として起電力目標値E
Cを(EOS−5.0)mV以上(EOS+5.0)mV以
下の範囲内で設定することが有効となる。そして、起電
力目標値ECを上記範囲で設定することで、被検出ガス
中の酸素濃度の影響を受けない、より安定したセンサ出
力を得ることができる。この場合、起電力目標値EC
は、なるべくEOSに近い値として設定することが、セン
サの検出精度を高める上で望ましい。なお、EOSを決定
するための試験ガス中の酸素濃度は、望ましくは10%
以上のものを使用するか、あるいは大気を使用するのが
よい。また、起電力目標値ECを、第一の構成と同様に
10mV以下に設定することにより、より安定で精度の
高いセンサ出力を得ることができる。
【0028】上記アンモニア検出センサにおいては、酸
素ポンプ素子と酸素濃淡電池素子との間の隙間は、これ
をなるべく小さくして(望ましくは1mm以下)当該隙
間による新たな被検出ガスの流入規制効果をなるべく高
めることが、センサの検出精度を向上させる上で有利で
ある。逆に言えば、該隙間の寸法が大きすぎると、触媒
活性を有した電極上でのアンモニアと酸素との反応が不
安定化し、酸素濃淡電池起電力が小さくなってセンサ出
力が十分に得られなくなることもありうる。この傾向
は、被検出ガス中の酸素濃度の変動が大きかったり、あ
るいはガス中の水蒸気濃度が高い場合に特に著しくな
る。また、酸素濃淡電池素子の第三電極の形成された側
に、該酸素濃淡電池素子との間に所定の隙間(別の隙
間)を形成する隙間形成部材を配置する場合は、その隙
間の大きさも同様の理由によりなるべく小さくすること
が望ましい(望ましくは1mm以下)。
【0029】しかしながら、上記素子間の隙間量を小さ
くし過ぎると、今度は焼成により酸素ポンプ素子、酸素
濃淡電池素子あるいは隙間形成部材を製造した際に、焼
成時の僅かな変形が隙間形成量に大きな影響を及ぼし、
センサ個体間で出力のばらつきやすくなる問題が生ずる
こともある。そこで、これを解決するためには次のよう
なセンサ構造とすることが有効である。すなわち、酸素
ポンプ素子の隙間側の電極を第一電極、酸素濃淡電池素
子の隙間側の電極を第二電極、酸素濃淡電池素子の反対
空間側の電極を第三電極として、第二電極及び第三電極
の少なくともいずれかに対し、これと接するように測定
室を形成し、また、測定室の壁部を被測定雰囲気側から
測定室側へ貫くようにガス連通部を形成する。そして、
このガス連通部を、小孔、スリット、及び多孔質セラミ
ック又は多孔質金属により構成された多孔質連通部の少
なくともいずれかを含む拡散規制流通部として構成する
ようにする。
【0030】このようにすれば、隙間の大きさをある程
度以上に大きくした場合でも、被検出ガスは拡散規制流
通部から拡散を規制されつつ測定室に流入し、また測定
室に導入された後は同じく拡散規制流通部により拡散を
規制されつつ被測定雰囲気中へ排出される。従って、一
旦導入された被検出ガスの測定室内での滞留時間が長く
なり、その間に被検出雰囲気中の被検出ガス組成(特に
酸素あるいは水蒸気量)が変化しても、測定室内のガス
への影響が小さくなるので、安定で高いセンサ出力を得
ることができ、ひいてはセンサの検出精度を高めること
ができる。
【0031】測定室及び拡散規制流通部の組は、酸素濃
淡電池素子の第二電極側に形成しても第三電極側に形成
してもいずれでもよいが、酸素ポンプ素子と酸素濃淡電
池素子との隙間及び反対空間のうち、少なくともその触
媒活性の高くなる側、すなわち酸素とアンモニアとの反
応がより活発に起こる側に上記組を形成することが、セ
ンサ出力の向上を図るうえで一層望ましく、該組を双方
の側に形成すればさらによい。
【0032】次に、測定室及び拡散規制流通部の形成形
態であるが、酸素濃淡電池素子と酸素ポンプ素子との間
の隙間側に形成する場合は、第二電極の周囲を取り囲む
ように壁部を形成し、その壁部内面と酸素濃淡電池素子
及び酸素ポンプ素子の各対向面とによって囲まれた空間
を測定室とすることができる。また、拡散規制流通部
は、壁部及び酸素濃淡電池素子の少なくともいずれかに
対しこれを被測定雰囲気側から測定室側へ貫通する形態
で形成され、それら被測定雰囲気と測定室とを互いに連
通させるスリット又は小孔とすることができる。なお、
上記隙間と被測定雰囲気との間で気体の流通を許容する
前述の多孔質セラミック体(あるいは多孔質金属体でも
よい)も、拡散規制流通部として機能しうる。
【0033】拡散規制流通部として上記スリットを形成
する場合、例えば酸素濃淡電池素子と酸素ポンプ素子と
の間に、上記壁部の少なくとも一部を構成する壁部形成
体を配置し、その壁部形成体と酸素濃淡電池素子及び酸
素ポンプ素子の少なくともいずれかとの間に上記スリッ
トを、それら酸素濃淡電池素子ないし酸素ポンプ素子の
板面に沿う形態で形成することができる。これにより、
スリットを介して測定室内に被検出ガスをスムーズにか
つ空間的な偏りを生ずることなく導入することができ
る。
【0034】次に、上記スリットの幅(間隔)をd、酸
素濃淡電池素子及び酸素ポンプ素子の対向方向における
測定室の寸法(以下、測定室の高さという)をhとした
場合、d/hは1/100〜1/4の範囲で調整するの
がよい。d/hが1/4を超えるとスリットにおける被
検出ガスの拡散規制効果が不十分となり、センサ出力が
十分に得られなくなる場合がある。d/hが1/100
未満になると測定室へのガスの流入速度、あるいは測定
室からのガスの流出速度が小さくなり過ぎ、センサの検
出精度が却って低下してしまう場合がある。d/hは、
より望ましくは1/20〜1/8の範囲で設定するのが
よい。なお、スリット内の空間体積Vに対するスリット
内周面の面積の比S/Vは、同様の理由により4〜10
0、望ましくは20〜50の範囲で調整するのがよい。
【0035】一方、スリット幅dの絶対値は、0.01
〜1.0mmの範囲で調整するのがよい。dが1.0m
mを超えると、スリットにおける被検出ガスの拡散規制
効果が不十分となり、センサ出力が十分に得られなくな
る場合がある。一方、dが0.01mm未満になると測
定室へのガスの流入速度、あるいは測定室からのガスの
流出速度が小さくなり過ぎ、センサの検出精度が却って
低下してしまう場合がある。なお、dは、より望ましく
は0.02〜0.5mmの範囲で設定するのがよい。
【0036】スリットは、壁部形成体の厚さ方向(酸素
濃淡電池素子と酸素ポンプ素子との積層方向)中間部に
形成する態様も可能であるが、壁部形成体と酸素濃淡電
池素子及び酸素ポンプ素子の少なくともいずれかとの間
に形成する構成がセンサの製造上より有利である。すな
わち、前者の場合は、壁部形成体となるべきセラミック
成形体(以下、壁部形成用成形体という)に予めスリッ
トとなるべき隙間を穿設しておくか、あるいは該セラミ
ック成形体を厚さ方向に隣接する2部分に形成し、それ
ら部分の間に隙間を生じさせた状態で焼成するなど、若
干の工数増加が不可避となる。一方、後者の場合は、壁
部形成用成形体と酸素濃淡電池素子ないし酸素ポンプ素
子となるべきセラミック成形体(以下、素子形成用成形
体という)との間に所定量の隙間を形成して焼成するの
みで、上記構造のアンモニア検出センサを簡単に製造す
ることができる。
【0037】上記スリットは、例えばスリット形成が予
定された領域において壁部形成用成形体と素子形成用成
形体との間に、焼成により焼失する材料(例えばカーボ
ンペーストなど)で形成された層を挟み込み、その積層
体を焼成して該層を焼失させることにより形成すること
ができる。この場合、形成されるスリットの幅は、形成
する層の厚さに応じて自由に調整することができる。
【0038】次に、壁部形成体は、酸素ポンプ素子及び
酸素濃淡電池素子の少なくともいずれかと焼成により一
体化することができる。焼成によりこれらを一体化する
ことで、センサの機械的強度を向上させることができ
る。なお、壁部形成体と酸素ポンプ素子及び酸素濃淡電
池素子のいずれか一方との間にのみスリットを形成する
場合には、スリットを形成しない側では壁部形成用成形
体と素子形成用成形体とをそれらの積層面のほぼ全面に
おいて一体化する一方、スリットの形成側においては、
上記シートを積層面に対し部分的に挟み込むことでスリ
ットを形成し、該シートを介在させない積層面領域で壁
部形成用成形体と素子形成用成形体とを一体化する構成
が可能である。この場合、壁部形成体酸素ポンプ素子な
いし酸素濃淡電池素子とは、スリットの形成側において
もスリット形成領域以外の部分で互いに一体化するの
で、センサの強度を一層高めることができる。
【0039】一方、スリットに代えて小孔により拡散規
制流通部を形成する場合には、該小孔を、例えば壁部形
成体に形成できる。この場合、被検出ガスを測定室に対
し偏りなく流入させるには、複数の小孔を、例えば板状
の酸素ポンプ素子ないし酸素濃淡電池素子の板面方向に
所定の間隔で形成するのがよい。また、小孔は、酸素濃
淡電池素子を厚さ方向に貫く形で形成することもでき
る。この場合、該小孔は複数のものを、第二電極ないし
第三電極の周縁に沿って所定の間隔で形成することが、
偏りのない被検出ガスの流入状態を形成する上で望まし
い。
【0040】次に、酸素ポンプ素子及び前記酸素濃淡電
池素子は横長板状に形成でき、拡散規制流通部は、それ
ら酸素ポンプ素子及び酸素濃淡電池素子の板面幅方向両
側に形成されたスリットないし所定間隔で配列する複数
の小孔群とすることができる。こうすれば、上記スリッ
トないし小孔群の一方のものから測定室内に流入した被
検出ガスは、他方のものから排出されるので、測定室内
にスムーズな被検出ガスの流れが形成され、ひいてはセ
ンサ出力の応答性を向上させることができる。
【0041】次に、上記アンモニア検出センサにおいて
は、酸素濃淡電池素子の前記隙間に面しているのとは反
対側に測定室を形成するようにしてもよい。すなわち、
酸素濃淡電池素子の上記反対側と対向して該酸素濃淡電
池素子との間に別の隙間を形成する前述の隙間形成部材
を配置し、その隙間形成部材と酸素濃淡電池素子との間
に第三電極の周囲を取り囲むように壁部を形成し、その
壁部内面と隙間形成部材及び酸素濃淡電池素子の各対向
面とによって囲まれた空間を測定室とする。
【0042】この場合も拡散規制流通部は、前述の酸素
ポンプ素子と酸素濃淡電池素子との間に測定室を形成す
る場合とほぼ同様の態様で形成できる。すなわち、該拡
散規制流通部は、壁部及び隙間形成部材の少なくともい
ずれかに対しこれを被測定雰囲気側から測定室側へ貫通
する形態で形成され、それら被測定雰囲気と測定室とを
互いに連通させるスリット又は小孔として構成できる。
また、隙間形成部材と酸素濃淡電池素子との間に、壁部
の少なくとも一部を構成する壁部形成体を配置でき、該
壁部形成体と隙間形成部材及び酸素濃淡電池素子の少な
くともいずれかとの間に上記スリットを、それら隙間形
成部材ないし酸素濃淡電池素子の板面に沿う形態で形成
することができる。
【0043】また、壁部形成体は、隙間形成部材及び酸
素濃淡電池素子の少なくともいずれかと焼成により一体
化することができる。さらに、隙間形成部材及び酸素濃
淡電池素子は横長板状に形成することができ、拡散規制
流通部は、それら隙間形成部材及び酸素濃淡電池素子の
板面幅方向両側に形成されたスリットとすることができ
る。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に示す実施例を参照して説明する。図1は、本発明の一
実施例としてのアンモニア検出センサ1を示している。
すなわち、アンモニア検出センサ1は、それぞれ横長板
状に形成された第一ヒータ2(加熱素子)、酸素ポンプ
素子3、酸素濃淡電池素子4及び第二ヒータ5(加熱素
子)がこの順序で積層されたものとして構成されてい
る。酸素ポンプ素子3及び酸素濃淡電池素子4は、酸素
イオン伝導性を有する固体電解質により構成されてい
る。そのような固体電解質としては、YないしC
aOを固溶させたZrOが代表的なものであるが、そ
れ以外のアルカリ土類金属ないし希土類金属の酸化物と
ZrOとの固溶体を使用してもよい。また、ベースと
なるZrO にはHfOが含有されていてもよい。本
実施例では、YないしCaOを固溶させたZrO
固体電解質セラミックが使用されているものとする。
一方、第一及び第二ヒータ2,5は、公知のセラミック
ヒータで構成されている。
【0045】酸素ポンプ素子3は横長板状に形成され、
その長手方向における一方の端部寄りにおいてその両面
に、酸素分子解離能を有した多孔質電極10,11が形
成されている。また、酸素濃淡電池素子4(温度検出手
段としても機能する)には、上記酸素ポンプ素子3の電
極10,11に対応する位置においてその両面に、同様
の多孔質電極12,13が形成されている。なお、以下
においては、酸素ポンプ素子3と酸素濃淡電池素子4と
の間に形成されている隙間15に関し、酸素ポンプ素子
3の該隙間15に面さない多孔質電極10を外側電極、
同じく隙間15に面する多孔質電極11を第一電極、隙
間15に面する酸素濃淡電池素子4の多孔質電極12を
第二電極、同じく隙間15に面さない多孔質電極13を
第三電極と呼ぶことにする。
【0046】一方、上記多孔質電極10〜13は、上述
の酸素分子の解離ないし再結合を行う役割のほかに、こ
れと接する排気ガス中のアンモニアと酸素との結合反
応、すなわちアンモニアの燃焼反応を促進する酸化触媒
としても機能する。そして、本発明のアンモニア検出セ
ンサでは、上記4つの電極10〜13のうち、第一電極
11、第二電極12及び第三電極13の3つのものにつ
いて、アンモニアに対する酸化触媒活性が、酸素濃淡電
池素子4の両側(すなわち隙間15側と隙間16側)に
おいて酸素との反応によるアンモニアの消費量に差が生
じるように調整される。なお、隙間15及び隙間16の
大きさはそれぞれ1mm以下の範囲で調整される。また、
第一電極11の面積Spは第二電極12の面積SSと等し
いか、それよりも大きく設定される。
【0047】具体的には、第一電極11と第二電極12
とが、アンモニアに対する酸化触媒活性が高い高活性側
電極として構成されている。具体的には、例えばPtを
50重量%以上(望ましくは60重量%以上、より望ま
しくは70重量%以上:例えば80重量%)含有し、P
d含有率が1〜50重量%(例えば2.3重量%)であ
り、かつFe及びCuの少なくとも一方を合計で0.5
〜50重量%(例えばCuを2.3重量%)含有する多
孔質電極として構成される。なお、FeないしCuとP
dとの各成分は、ZrO固体電解質セラミック粒子に
担持された状態で配合されている。
【0048】上記のような多孔質電極は、例えばPd成
分とFe成分ないしCu成分とを含有する溶液を、Zr
固体電解質セラミック粒子に含浸してこれを所定の
温度で仮焼することにより、Pdと、FeないしCuと
を主体とする微粒子をセラミック粒子表面に担持させた
担持粒子を作る。そして、この担持粒子をPt系金属粉
末に所定量配合して、さらに溶媒及び有機バインダを配
合してペーストを作り、酸素ポンプ素子3あるいは酸素
濃淡電池素子4となるべき固体電解質セラミックグリー
ンシート上に、このペーストを用いて電極パターンを印
刷する。そして、その電極パターンを印刷したグリーン
シートを焼成することにより、ペーストはグリーンシー
トとともに焼結されて多孔質電極となる。
【0049】図3は、こうして形成された多孔質電極
の、推定される構造を模式的に示すものである。すなわ
ち、Pt系金属粒子は空隙を残留させた状態で網目状に
結合して骨格構造を作る一方、Pd系金属粒子とFe系
粒子ないしCu系粒子(これらは、金属層を形成してい
てもよいし、酸化数の小さい酸化物粒子として存在して
いても、いずれでもよい)とは、セラミック粒子表面に
担持された状態で、上記Pt系金属の骨格中に分散した
形になるものと考えられる。Pdは、アンモニアの酸化
に対する触媒活性が高い物質であるが、Ptよりは幾分
酸化されやすい性質を有していることから、その酸化が
進行すれば上記触媒活性は低下する傾向にある。しかし
ながら、そのPdよりも酸化電位が低いFe系金属粒子
あるいはCu系金属粒子(以下、容易酸化性金属粒子と
いう)を担持粒子の形で配合しておくと、該容易酸化性
金属粒子が一種の犠牲アノードとして機能し、Pd系金
属粒子の酸化が抑制されて、触媒活性が向上するものと
推測される。
【0050】次に、第三電極13は、アンモニアに対す
る酸化触媒活性が低い低活性側電極として構成されてい
る。具体的には、第一及び第二電極11,12と同様
に、Ptを50重量%以上(望ましくは60重量%以
上、より望ましくは70重量%以上:例えば80重量
%)含有し、Pd含有率が1〜50重量%(例えば2.
3重量%)含有するものとして構成されるが、Feない
しCuは配合されない。なお、該第三電極13において
もPd成分は担持粒子の形で配合され、電極の製法も、
Fe系金属ないしCu系金属の担持粒子を用いない点を
除いては、第一及び第二電極11,12と同様である。
【0051】ここで、高活性側電極たる第一電極11及
び第二電極12を、例えばその金属成分の実質的に全て
がPtである多孔質電極とする一方、低活性側電極たる
第三電極13は、Ptを主体としつつも、これに、セラ
ミック粒子(例えばZrO系固体電解質セラミック粒
子)に担持させたFe及びCuの少なくともいずれか
を、例えば1〜30重量%配合したものとして構成する
こともできる。この構成では、酸化を受けやすいFeな
いしCuが、アンモニアの酸化反応に対するPtの触媒
活性を抑制する働きをなすと考えられる。
【0052】酸素ポンプ素子3の各多孔質電極10,1
1からは、該素子3の長手方向に沿ってアンモニア検出
センサ1の取付基端側に向けて延びる電極リード部10
a,11aがそれぞれ一体に形成されており、該基端側
において酸素ポンプ素子3には接続端子10b,11b
の一端が埋設されている。そして、例えば、接続端子1
0b,11bは、図2に示すように、金属ペーストを焼
結することにより形成された導通部10fにより、電極
リード部10a,11aの末端に対して電気的に接続さ
れている。また、図1に示すように、酸素濃淡電池素子
4の各多孔質電極12,13にも同様に電極リード部1
2a及び13aが一体に形成されており、それぞれ接続
端子12b,13bが取り付けられている。
【0053】酸素濃淡電池素子4と酸素ポンプ素子3と
の間には、壁部形成体としてのスペーサ部401が介挿
され、そのスペーサ部401の電極11及び12に対応
する位置には、厚さ方向にこれを貫通する窓部401a
が形成されている。スペーサ部401は該窓部401a
により、電極11,12の周囲を取り囲む壁部401b
を形成する。そして、その壁部401bの内面と酸素濃
淡電池素子4及び酸素ポンプ素子3の各対向面とによっ
て囲まれた空間が測定室403(隙間15)とされてい
る。そして、上記測定室403に対応する位置において
壁部401bと酸素ポンプ素子3との間には、該酸素ポ
ンプ素子3の幅方向両側においてそれぞれ測定室403
と外側の被検出雰囲気とを連通させる拡散流通規制部と
してのスリット402が形成されている。
【0054】図1(c)に示すように、該スリット40
2は、第二電極12の幅方向両側において壁部401b
の酸素ポンプ素子3との積層面側部分を一定厚さ切り欠
いた形態で形成されており、同図(a)に示すように、
電極12の対応する縁に沿って酸素ポンプ素子3の長手
方向に延びている。また、その幅dは測定室403の高
さhよりも小さく設定されており、具体的にはd/hが
1/100〜1/4、より望ましくは1/20〜1/8
の範囲で設定されている。また、スリット幅dの絶対値
は、0.01〜1.0mm、より望ましくは0.02〜
0.05mmの範囲で設定されている。さらに、スリッ
ト402内の空間体積Vに対するスリット内周面の面積
の比S/Vは4〜100、望ましくは20〜50の範囲
で調整されている。なお、該スリット402は、同様の
形態で壁部401bと酸素濃淡電池素子4との間に形成
してもよい。
【0055】なお、スペーサ部401(壁部401b)
は、酸素濃淡電池素子4に対してはその積層面のほぼ全
面において、また、酸素ポンプ素子3に対しては、上記
スリット402の形成領域を除いて同様にその積層面の
ほぼ全面において、それぞれ焼成により一体化されてい
る。また、第一ヒータ2及び第二ヒータ5は、スペーサ
6及び8を介して酸素ポンプ素子3及び酸素濃淡電池素
子4に対しそれぞれ積層されている。
【0056】上記アンモニア検出センサ1の要部をなす
酸素ポンプ素子3、スペーサ部401及び酸素濃淡電池
素子4の一体積層体は、例えばそれぞれ上記各部3,4
01,4となるべきセラミックグリーンシート(成形
体)を積層して焼成することにより製造することができ
る。このとき、酸素ポンプ素子3となるべきグリーンシ
ート(セラミック成形体)と、スペーサ部となるべきグ
リーンシートとの間においてスリット402の形成が予
定された領域に、焼成温度で焼失する材料(例えばカー
ボンペーストなど)で形成された所定厚さの層を挟みこ
んでおけば、焼成時にこの層が焼失して上記スリット4
02を簡単に形成することができる。
【0057】このようにすれば、測定室403の高さh
(すなわち隙間15の大きさ)をある程度以上に大きく
した場合でも、排気ガスはスリット402において拡散
を規制されつつ測定室403に流入し、また測定室40
3に導入された後は同じくスリット402を通って拡散
を規制されつつ被測定雰囲気中へ排出される。従って、
一旦導入された排気ガスの測定室403内での滞留時間
が長くなり、その間に被検出雰囲気中の排気ガス組成
(特に酸素あるいは水蒸気量)が変化しても、測定室内
のガスへの影響が小さくなるので、センサ1の出力が向
上し、ひいてはセンサ1の検出精度を高めることができ
る。また、酸素ポンプ素子3及び酸素濃淡電池素子4と
は、スペーサ部401を介して一体化されているから、
センサ400の機械的強度が高められている。
【0058】アンモニア検出センサ1の作動原理の概要
は以下の通りである。すなわち、図1のアンモニア検出
センサ1は、例えば排気管に設けられた取付部に対し、
検出部が該排気管内に位置するように取り付けられる。
図4に示すように、この状態で酸素ポンプ素子3には、
多孔質電極10,11の一方が正、他方が負となるよう
に電圧が印加される。そして、極性が正となる多孔質電
極においては、これと接する排気ガス中の酸素分子が該
電極上で解離され、上記印加された電圧が駆動力となっ
て解離された酸素がイオンの形で素子3内に送り込まれ
る。また、上記電圧印加により素子3内を輸送される酸
素イオンは、極性が負となる多孔質電極上で電子を受け
取り、さらに酸素分子に再結合して雰囲気中に放出され
る。
【0059】また、酸素濃淡電池素子4においては、多
孔質電極12,13には電圧が印加されず、それら電極
12,13とそれぞれ接する排気ガス中の酸素分子が該
電極12,13上で解離され、それぞれ酸素イオンの形
で素子4内に拡散する。そして、電極12側と13側と
で酸素濃度に差がある場合には、素子4内に酸素イオン
の濃度勾配が生じ、その濃度勾配に応じた濃淡電池起電
力が両電極12,13間に生ずることとなる。
【0060】そして、酸素ポンプ素子3と酸素濃淡電池
素子4との間の隙間15と、酸素濃淡電池素子4とヒー
タ5との間の隙間16(反対空間)とに、それぞれアン
モニアと酸素とを含有する排気ガスが導入されると、隙
間15側に位置する電極11,12がいずれもアンモニ
アの酸化に対する触媒活性が高く、隙間16側に位置す
る電極13は上記触媒活性が低いことから、該排気ガス
中のアンモニアの酸化による消費量は、隙間15側にお
いて隙間16側よりも大きくなる。アンモニアの消費量
の大きい側においては、排気ガス中の酸素の消費量も大
きくなることから、隙間16内の酸素濃度は隙間15内
のそれよりも高くなり、酸素濃淡電池素子4には隙間1
6側を正とする濃淡電池起電力が生ずる。
【0061】そして、上記濃淡電池起電力の絶対値が例
えば10mV以下の一定値となるように、酸素ポンプ素
子3により隙間14側から隙間15側へ酸素を汲み込む
と、該酸素ポンプ素子3を流れる電流(以下、酸素ポン
プ電流あるいはポンプ電流という)は、アンモニアの酸
化に消費された酸素量を反映した値となる。また、排気
ガス中のアンモニアの濃度が高くなると、その酸化によ
り消費される酸素量は増大し、結果としてポンプ電流も
大きくなる。従って、ポンプ電流を測定することによ
り、排気ガス中のアンモニアの濃度を知ることができ
る。
【0062】以下、上記アンモニア検出センサを使用し
たセンサシステムについて説明する。図4は、アンモニ
ア検出センサ1を用いたセンサシステムの一例の電気的
構成を示すブロック図である。すなわち、該センサシス
テム50は、上記アンモニア検出センサ1と、マイクロ
プロセッサ51と、それらアンモニア検出センサ1とマ
イクロプロセッサ51とを接続する周辺回路50aとか
ら構成されている。
【0063】アンモニア検出センサ1の酸素濃淡電池素
子4は第二電極12が接地される一方、第三電極13は
反転増幅用のオペアンプ61(ポンプ電流制御手段)の
負端子側に接続されている。一方、オペアンプ61の正
端子側には起電力目標値ECを与えるための電源回路6
5が接続されている。該電源回路65は、起電力目標値
ECの設定値を一定の範囲で変更可能に構成されてい
る。例えば図に示す例においては、3つの固定抵抗66
a〜66cと1つの可変抵抗66dを各辺に備えるブリ
ッジ回路66と、これに接続された電源67とを含んで
構成されている。可変抵抗66dの抵抗レンジをRmin
〜Rmaxとして、Rmin<Re<Rmaxとなるある抵抗値R
eにおいてブリッジが平衡し、オペアンプ61の端子へ
の出力電圧が0となるように、固定抵抗66a〜66c
の各抵抗値が調整されている。そして、可変抵抗66d
の抵抗値をReからそれぞれRmin又はRmax側にずらせ
ることにより、起電力目標値ECは0Vを挟んでそれぞ
れ正負両側に一定の範囲で変更可能となる。
【0064】次に、オペアンプ61は、周辺の抵抗器6
1a〜61dとともに差動増幅器を構成し、その出力側
は電流検出用の抵抗器62を介して酸素ポンプ素子3の
外側電極10に接続されている。一方、酸素ポンプ素子
3の第一電極11側は、酸素濃淡電池素子4の第二電極
12と共通接地されている。これにより、オペアンプ6
1は、酸素濃淡電池素子4の濃淡電池起電力入力Em
と、起電力目標値ECとの差電圧Em−ECを反転増幅し
て酸素ポンプ素子3の第一電極11側に印加することと
なる。なお、抵抗器61a及び61bの電気抵抗値をそ
れぞれR1及びR2とすれば、オペアンプ61の電圧ゲイ
ンはA1=R1/R2である。
【0065】ここで、図5に示すように、Em>ECであ
ればEm−EC>0であるから、オペアンプ61の出力電
圧−A1(Em−EC)は負となり、酸素ポンプ素子3に
は第一電極11側が負となるように電圧が印加され、酸
素ポンプ素子3には隙間15に酸素を汲み込む方向にポ
ンプ電流Idが流れる。このポンプ電流Idは、電流検出
用抵抗器62(抵抗値R3)の両端電圧差の形で、周辺
の抵抗器64a〜64dとともに差動増幅器を構成する
オペアンプ64により電圧信号として取り出され、さら
に図4に示すように、ダイポーラ型のA/D変換器70
でデジタル化されてマイクロプロセッサ51に入力され
る。なお、64a,64bは、オペアンプ64のゲイン
調整用抵抗器(それぞれ抵抗値R5、R6)である。
【0066】次に、酸素濃淡電池素子4の第三電極13
側の電圧信号VSは、電圧フォロワ73を経た後ダイポ
ーラ型のA/D変換器71でデジタル変換され、マイク
ロプロセッサ51に入力されるようになっている。ま
た、アンモニア検出センサ1の第一及び第二ヒータ2及
び5は、例えば共通のヒータ通電回路72を介してマイ
クロプロセッサ51に接続されている。図6(a)にヒ
ータ通電回路72の一例を示している。該ヒータ通電回
路72は、マイクロプロセッサ51から与えられるヒー
タ制御値をアナログ変換するD/A変換器80と、これ
に接続された電流増幅用のトランジスタ82とを備え、
このトランジスタ82にヒータ2及び5が接続されてい
る。トランジスタ82は能動領域で作動し、与えられる
ヒータ制御値に応じてヒータ2,5の通電電流を増加さ
せる。
【0067】一方、図6(b)は、PWM(pulse widt
h modulation)制御方式を採用したヒータ通電回路72
の例を示すものである。この回路72の主体をなすのは
PWM制御回路85であり、マイクロプロセッサ51か
ら与えられるヒータ制御電圧値をアナログ変換するD/
A変換器86と、三角波(あるいはのこぎり波)発生回
路87と、それらD/A変換器86及び三角波発生回路
87からの出力がそれぞれ入力されるオペアンプ88と
を含んで構成されている。オペアンプ88は単電源型の
もので、ヒータ制御電圧値と三角波入力値との大小関係
に応じてゼロ及びゼロでない所定電圧Vのいずれかを出
力するコンパレータとして作動する。この場合、そのコ
ンパレータ出力のデューティ比がヒータ制御電圧値に応
じて変化する形となり、ヒータ2,5の発熱が調整され
る。
【0068】図4に戻り、マイクロプロセッサ51は、
周辺回路50aとの間の出入力インターフェースとなる
I/Oポート52と、これに接続されたCPU53、R
AM54及びROM55等により構成されている。その
RAM54には、CPU53のワークエリア54aと、
アンモニアの濃度算出値の格納エリア54bとが形成さ
れている。また、ROM55には、センサシステム50
の被検出成分の出力値決定の演算とその出力制御を司る
制御プログラム55aと、該制御プログラム55aが使
用する濃度変換テーブル55bとが格納されている。な
お、CPU53は、ROM55に格納された制御プログ
ラム55aにより、濃度決定手段の主体として機能す
る。
【0069】なお、図5において、センサ1が排気ガス
と接触するに伴い、隙間15内ではアンモニアと酸素と
が反応することで、酸素濃度が減少し、酸素濃淡電池素
子4には第三電極13側を正とする濃淡電池起電力Em
が発生する。ここで、オペアンプ61に入力される起電
力目標値ECが例えば0であるとすれば、Em−EC>0
であるから、オペアンプ61の出力電圧−A1(Em−E
C)は負となり、酸素ポンプ素子3には第一電極11側
が負となるように電圧が印加され、酸素ポンプ素子3に
は隙間15に酸素を汲み込む方向にポンプ電流Idが流
れる。すると、酸素ポンプ素子3による隙間15への酸
素の汲み込みが進み、濃淡電池起電力Emは次第に小さ
くなるから、酸素ポンプ電流Idは小さくなる方向に制
御される。その結果、最終的には濃淡電池起電力Emは
ほぼ0に近づくように酸素ポンプ電流が制御され、その
ときの酸素ポンプ電流Idの平衡値からアンモニアの濃
度を知ることができる。ポンプ電流Idの信号は、前述
の通りオペアンプ64により電流検出用抵抗器62の両
端電圧の差を取ることで電圧信号に変換され、A/D変
換器70でデジタル化されてマイクロプロセッサ51に
入力される。しかしながら、起電力目標値ECは実際に
は必ずしも0に設定されるとは限らない。その理由につ
いて以下に説明する。
【0070】まず、濃淡電池起電力が0であるというこ
とは、理論上は酸素濃淡電池素子4の両側(すなわち、
隙間15及び16)の酸素濃度が等しくなっていること
を意味する。このことは、ポンプ電流が隙間15と16
とにおけるアンモニアの消費量の差に直接的に対応して
いることも意味するから、アンモニアの濃度を精度よく
検出でき、また検出結果の解析も容易になる。しかしな
がら通常は、隙間15及び16の酸素濃度が等しくなっ
ても、酸素濃淡電池素子4の起電力は実際には0にはな
らず、一定のオフセット起電力が残ることが多い。この
場合は、上記オフセット起電力に対応する起電力目標値
ECを10mV以下の範囲で設定し、濃淡電池起電力の
絶対値が該起電力目標値ECに到達したときの酸素ポン
プ素子3に流れる電流値を検出信号として採用すること
で、排気ガス中のアンモニアの濃度をより正確に検出で
きる。
【0071】また、酸素濃淡電池素子4のオフセット起
電力は、検出に係る排気ガス中の酸素濃度が低くなるほ
ど変動しやすくなり、一定以下の酸素濃度におけるオフ
セット起電力を基準として起電力目標値ECを設定する
と、センサ出力が排気ガス中の酸素濃度の影響を受けや
すくなる。そこで、酸素を例えば1体積%以上(望まし
くは10体積%以上)含有し、かつセンサ作動温度にお
いて酸素と反応する成分を実質的に含有しない試験ガス
を、隙間15及び16にそれぞれ導入したときのオフセ
ット起電力の絶対値をEOS(単位:mV)とし、これを
基準として起電力目標値ECを(EOS−5)mV以上
(EOS+5)mV以下の範囲内で設定することが有効で
ある。
【0072】この起電力目標値ECの変更・調整は、前
述の通り電源回路65の可変抵抗66dの調整により行
うことができる。なお、酸素濃淡電池素子4のオフセッ
ト起電力は、酸素濃淡電池素子4毎に互いに異なる値と
はなっても、同一の酸素濃淡電池素子4においては比較
的長期に亙って安定した値を示し続けることが多い。そ
こで、可変抵抗66dは、例えば装置50の出荷時等に
おいて、使用されている酸素濃淡電池素子4の固有のオ
フセット起電力に対応して一旦抵抗値を調整してしまえ
ば、後は変更の必要性がなくなることも十分に考えられ
る。この場合は、可変抵抗66dを半固定抵抗器により
構成しておけば便利である。
【0073】以下、センサシステム50の作動につい
て、マイクロプロセッサ51のCPU53からみた処理
の流れにより説明する。図7は、濃度変換テーブル55
bの内容の一例を示すものであり、アンモニア濃度の各
値C1、C2、C3、‥‥に対応する第二酸素ポンプ素子
5の出力電流値Id1、Id2、Id3、‥‥の値を記憶して
いる。これらの値は、実験等により予め定められたもの
である。そして、図4に示すCPU53は、制御プログ
ラム55aによりRAM54をワークエリアとして、図
8のフローチャートに示すようなセンサ出力制御を実行
する。
【0074】すなわち、図示しないタイマーにより測定
タイミングを計測し、S1において該タイミングが到来
したら、S2で酸素ポンプ素子3からの出力電流値(ポ
ンプ電流)Idのサンプリングを行う。そして、S3で
そのサンプリングされた値に対応するアンモニア濃度の
値を、図7の濃度変換テーブル55bを参照して補間法
により算出し、S4でその算出した値をRAM54の算
出値格納エリア54bに格納する。なお、該エリア54
bに書き込まれていた値は上書き消去する。そして、S
5において、そのエリア54bに書き込まれた算出値
を、排気ガス中のアンモニア濃度の情報としてI/Oポ
ート52より出力する。なお、この出力はそのままデジ
タル出力してもよいし、I/Oポート52に接続された
D/A変換器74でアナログ変換して出力してもよい。
【0075】以下、上記アンモニア検出センサ1の各種
変形例について説明する。図9のアンモニア検出センサ
400においては、第二電極12側と同様のスペーサ部
404(窓部404aを有する)を介して、隙間形成部
材としての隙間形成用セラミック板406が一体化され
ており、そのスペーサ部404による壁部404bの内
面と、酸素濃淡電池素子4及び隙間形成用セラミック板
406の各対向面とによって測定室407が形成されて
いる。また、この測定室407に対応する位置において
壁部404bと酸素濃淡電池素子4との間には、第二電
極12側と同様のスリット405が形成されている。ま
た、第二ヒータ5は隙間形成用セラミック板406に積
層されている。該構成により、さらに安定で高出力のセ
ンサを実現できる。
【0076】また、図10に示す例においては、酸素ポ
ンプ素子3及び酸素濃淡電池素子4の板面方向において
壁部401bを貫く小孔410が、第一及び第二電極1
1,12の周方向に沿って所定の間隔で複数形成されて
いる。一方、図11に示す例においては、酸素濃淡電池
素子4を厚さ方向に貫く小孔410が、第三電極13の
周縁に沿って所定の間隔で複数形成されている。
【0077】次に、図12に示す構成においては、酸素
濃淡電池素子4に上記スペーサ部401が焼成により一
体化される一方、酸素ポンプ素子3は一体化せずに分離
して構成した例を示す。この場合、スリット402は、
酸素ポンプ素子3の板面と壁部401bの対向面との間
に形成されることとなる。また、第一のヒータ2、酸素
ポンプ素子3、酸素濃淡電池素子4及び第二ヒータ5が
スペーサ6〜8を介して積層されて積層体31が形成さ
れるとともに、角型の貫通孔30aを有するセラミック
ストッパ30が、積層体31に対し外側から嵌着されて
いる。なお、スペーサ7はスペーサ部401と酸素ポン
プ素子3との間に介挿され、両者の間に所定の大きさの
スリット402を形成する役割を果たす。
【0078】次に、図13〜図15は、酸素濃淡電池素
子4と酸素ポンプ素子3とが、電極13(低活性側電
極)が電極10〜12(高活性側電極)よりも低温とな
るように加熱されるセンサ構成の概念図である。低活性
側電極の温度を低温とすることで、前述の通りセンサの
感度をより高めることができる。
【0079】まず、図13においては、酸素ポンプ素子
3に外側から対向するヒータ2(2aは、その発熱部で
ある)を設け、酸素濃淡電池素子4側にはヒータを設け
ないようにしている。この場合、ヒータ2から遠い第三
電極13はヒータに近い第二電極12よりも低温とな
る。なお、第二電極12と第三電極13とは、酸素ポン
プ素子3と酸素濃淡電池素子4との対向方向と直交する
所定の向き、例えば、各素子3,4の板面長手方向にお
いて互いにずれた位置関係で配置されている。これによ
り、第三電極13の温度を第二電極12よりも低くする
効果がさらに高められている。なお、図14に示すよう
に、第二電極12及び第三電極13をともに、第一電極
11に対してずれた位置関係で配置するようにしてもよ
い。
【0080】次に、図15の構成では、第二電極12と
第三電極13とを互いにずれた位置関係で配置する一
方、第二電極12に対応する位置に発熱部2aが形成さ
れた第一ヒータ2を、酸素ポンプ素子3に対し外側から
対向するように配置している。また、第三電極13に対
応する位置に発熱部5aが形成されるとともに、該第三
電極13を第二電極12よりも低温となるように加熱す
る第二ヒータ5を、酸素濃淡電池素子4に対し外側から
対向するように配置している。これにより、互いにずれ
て配置された第二電極12と第三電極13とが、個別の
ヒータ2,5により互いに異なる温度に加熱されるの
で、第二電極12と第三電極13とに顕著な温度差が生
じやすく、温度制御も容易となる。なお、図16に示す
ように、この場合も、第二電極12及び第三電極13を
ともに、第一電極11に対してずれた位置関係で配置す
るようにしてもよい。
【0081】
【実施例】本発明のアンモニア検出センサの効果を確認
するために、下記の実験を行った。 (実験例1)図1のアンモニア検出センサ1を、Y
粉末とZrO粉末とを含有するセラミックグリーン
シートを用い、各素子3,4が、Y安定化ZrO
焼結体からなるものとして作製した。ただし、各素子
3,4の寸法は4mm×45mm×0.4mmとした。また、
隙間14の大きさは0.06mm、隙間15の大きさは
0.15mm、隙間16の大きさは0.07mmとした。
【0082】高活性側となる電極10〜12は、次のよ
うなペーストを用いて形成している。まず、脱イオン水
10mlに硝酸銅1.70gを溶解させて硝酸銅水溶液
を調製し、この硝酸銅水溶液に硝酸パラジウム溶液(P
d含有率4.390重量%)12.76g加えた水溶液
を、素子3,4と同材質の安定化ZrO粉末2.8g
に含浸させ、120℃で7時間乾燥後、800℃で3時
間焼成して、パラジウム微粒子及び酸化銅微粒子を安定
化ZrO粉末上に担持させた粉体3.92gを得た。
この粉体3.92gをらいかい機で12時間粉砕した
後、Pt粉末20gと適量の有機溶剤とを混合し、さら
にボットミルで4時間粉砕した。次いで、これに、有機
バインダ2gを有機溶剤20gに溶解させたものを添加
し、さらに粘度調整剤5gを添加し4時間粉砕して、高
活性電極形成用ペーストとする。
【0083】また、低活性側となる電極13は、次のよ
うなペーストを用いて形成している。まず、素子3,4
と同材質の安定化ZrO粉末2.8gに、硝酸パラジ
ウム溶液(Pd含有率4.390重量%)12.76g
を含浸させ、120℃で7時間乾燥後、800℃で3時
間焼成し、パラジウム微粒子を安定化ZrO粉末上に
担持させた粉体3.36gを得た。その粉体3.36g
をらいかい機で12時間粉砕した後、Pt粉末20gと
適量の有機溶剤とを混合し、さらにボットミルで4時間
粉砕した。次いで、これに、有機バインダ2gを有機溶
剤20gに溶解させたものを添加し、さらに粘度調整剤
5gを添加し4時間粉砕して、低活性電極形成用ペース
トとする。
【0084】上記各ペーストを用いてセラミックグリー
ンシートに各電極のパターンをスクリーン印刷後、40
0℃で2時間脱バインダー処理し、1500℃で1時間
焼成することにより電極付きの各素子3,4を得た。な
お、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP)
により電極組成を分析したところ、電極13中のPd含
有率は2.4重量%、電極10〜12中のPd及びCu
の含有率は、それぞれ2.3重量%であった。
【0085】上記センサ1を、アンモニア0〜1000
ppm、酸素0〜1000ppm、水蒸気10%、炭酸
ガス10%、残部窒素からなる試験ガス中に保持して素
子3及び4が850℃になるようにヒータ2,5により
加熱した。なお、ガス流量は12l/minとした。図
17に、被測定ガス中の酸素濃度が50ppmのとき
の、アンモニア濃度に対する出力電流(酸素ポンプ電流
Id)変化の測定結果を示す。出力電流値はアンモニア
濃度にほぼ比例して増加しており、アンモニア濃度が1
000ppmのときの電流値も120μAと大きく、ア
ンモニア検出センサとして良好な特性を示していること
がわかる。また、図18は、アンモニア濃度を300p
pmに固定して、酸素濃度を0〜1000ppmまで変
化させたときの出力電流変化の測定結果を示すものであ
る。すなわち、出力電流は、酸素濃度による影響を受け
にくいことがわかる。
【0086】(実験例2)実験例1のアンモニア検出セ
ンサ1において、図16に示すように第二電極12及び
第三電極13を、第一電極11に対してずらせて取り付
けるとともに、酸素ポンプ素子3の温度を800℃、酸
素濃淡電池素子の温度を700℃とし、他は同じ条件に
て実施例1と同様の実験を行った。図19に、被測定ガ
ス中の酸素濃度が50ppmのときの、アンモニア濃度
に対する出力電流変化の測定結果を示す。出力電流値は
アンモニア濃度にほぼ比例して増加しており、しかもア
ンモニア濃度が1000ppmのときの電流値が300
0μAと、実験例1の20倍以上に増加しており、極め
て高感度のセンサ特性が得られていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアンモニア検出センサの一例の要部を
示す平面図、側面図及びそのA−A断面図。
【図2】その端子構造を示す部分断面図。
【図3】担持粒子を分散させた多孔質電極の推定される
構造を示す模式図。
【図4】上記センサを用いたアンモニア検出センサシス
テムの電気的構成の一例を示すブロック図。
【図5】その要部の作動系統を示すブロック図。
【図6】ヒータ通電回路のいくつかの例を示すブロック
図。
【図7】濃度変換テーブルの内容例を示す説明図。
【図8】図4のアンモニア検出センサシステムの制御プ
ログラムの処理の流れを示すフローチャート。
【図9】図1のアンモニア検出センサの第一の変形例を
示す平面図、側面図及びそのA−A断面図。
【図10】同じく第二の変形例を示す部分平面図、及び
そのB−B断面図。
【図11】同じく第三の変形例を示す部分平面図及び底
面図。
【図12】同じく第四の変形例を示す平面図、側面図及
びそのA−A断面図。
【図13】同じく第五の変形例を示す側面模式図。
【図14】同じく第六の変形例を示す側面模式図。
【図15】同じく第七の変形例を示す側面模式図。
【図16】同じく第八の変形例を示す側面模式図。
【図17】実験例1のアンモニア検出センサの出力のア
ンモニア濃度依存性を示すグラフ。
【図18】同じく酸素濃度依存性を示すグラフ。
【図19】実験例2のアンモニア検出センサの出力のア
ンモニア濃度依存性を示すグラフ。
【符号の説明】
1,400 アンモニア検出センサ 2 第一ヒータ(加熱素子) 3 酸素ポンプ素子 4 酸素濃淡電池素子 5 第二ヒータ(加熱素子、隙間形成部材) 11 第一電極 12 第二電極 13 第三電極 15 隙間 16 隙間(反対空間)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検出ガス中に含まれるアンモニアの検
    出を行うためのアンモニア検出センサであって、 酸素イオン伝導性固体電解質により構成され、その両面
    に酸素透過性を有する電極が形成されてそれら電極の一
    方が処理空間に面して配置される酸素濃淡電池素子と、 酸素イオン伝導性固体電解質により構成されて両面に酸
    素透過性を有する電極が形成されてそれら電極の一方が
    処理空間に面して配置されるとともに、該酸素濃淡電池
    素子に生ずる濃淡電池起電力の絶対値が減少する方向
    に、前記処理空間に酸素を汲み込み又は該処理空間から
    酸素を汲み出す酸素ポンプ素子と、 前記酸素ポンプ素子と前記酸素濃淡電池素子とを予め定
    められたセンサ作動温度に加熱する加熱素子とを備え、 前記処理空間と、前記酸素濃淡電池素子を挟んでこれと
    反対側の空間(以下、反対空間という)とに、それぞれ
    アンモニアと酸素とを含有する被検出ガスが導入され、 また、前記酸素ポンプ素子の前記処理空間に面する側の
    電極を第一電極、前記酸素濃淡電池素子の前記処理空間
    に面する側の電極を第二電極、前記酸素濃淡電池素子の
    前記反対空間側の電極を第三電極として、前記処理空間
    と前記反対空間とに導入された前記被検出ガス中のアン
    モニアが、少なくともそれら処理空間と前記反対空間と
    の一方において、前記第一〜第三電極の少なくともいず
    れかを酸化触媒として前記被検出ガス中の酸素と反応す
    ることにより消費されるとともに、前記処理空間と前記
    反対空間との間で酸素との反応によるアンモニアの消費
    量に差が生じるように、それら第一〜第三電極の酸化触
    媒活性が調整されており、 前記酸素濃淡電池素子の前記濃淡電池起電力の絶対値が
    所定の起電力目標値ECに到達したときの前記酸素ポン
    プ素子に流れる電流値を、前記被検出ガス中のアンモニ
    ア濃度を反映した情報として取り出すようにしたことを
    特徴とするアンモニア検出センサ。
  2. 【請求項2】 前記酸素ポンプ素子は、前記酸素濃淡電
    池素子との間に前記処理空間として、被測定雰囲気から
    の被検出ガスの流通が許容された所定量の隙間が形成さ
    れるよう該酸素濃淡電池素子に対向配置される請求項1
    記載のアンモニア検出センサ。
  3. 【請求項3】 前記第一電極と第二電極との少なくとも
    いずれかと、前記第三電極とのうち、一方を前記触媒活
    性を高く設定するべき高活性側電極、他方を前記触媒活
    性を低く設定するべき低活性側電極とし、 前記高活性側電極と低活性側電極とはいずれもPdを含
    有し、かつ前記高活性側電極にはFe及びCuの少なく
    とも一方が配合されている請求項1又は2に記載のアン
    モニア検出センサ。
  4. 【請求項4】 前記Pd、Cu及びFeの各成分は、各
    々酸素イオン伝導性固体電解質粒子上に担持されされた
    形で各電極中に配合されている請求項3記載のアンモニ
    ア検出センサ。
  5. 【請求項5】 前記高活性側電極と前記低活性側電極と
    はいずれもPtを50重量%以上含有する請求項4記載
    のアンモニア検出センサ。
  6. 【請求項6】 前記第一電極と第二電極との少なくとも
    いずれかと、前記第三電極とのうち、一方を前記触媒活
    性を高く設定するべき高活性側電極、他方を前記触媒活
    性を低く設定するべき低活性側電極とし、 前記高活性側電極と前記低活性側電極とはいずれもPt
    を50重量%以上含有し、かつ前記低活性側電極にはF
    e及びCuの少なくともいずれかが配合されている請求
    項1又は2に記載のアンモニア検出センサ。
  7. 【請求項7】 前記第一電極と第二電極との少なくとも
    いずれかと、前記第三電極とのうち、一方を前記触媒活
    性を高く設定するべき高活性側電極、他方を前記触媒活
    性を低く設定するべき低活性側電極とし、 前記加熱素子は、前記前記酸素濃淡電池素子と前記酸素
    ポンプ素子とを、前記低活性側電極の方が前記高活性側
    電極よりも低温となるように加熱するものである請求項
    1ないし6のいずれかに記載のアンモニア検出センサ。
  8. 【請求項8】 前記酸素ポンプ素子は、前記酸素濃淡電
    池素子との間に前記処理空間として、被測定雰囲気から
    の被検出ガスの流通が許容された所定量の隙間が形成さ
    れるよう該酸素濃淡電池素子に対向配置され、 また、前記第二電極が前記高活性側電極とされ、前記第
    三電極が前記低活性側電極とされている請求項1ないし
    7のいずれかに記載のアンモニア検出センサ。
  9. 【請求項9】 前記酸素濃淡電池素子の前記濃淡電池起
    電力の絶対値が、10mV以下に設定された起電力目標
    値ECに到達したときの前記酸素ポンプ素子に流れる電
    流値を、前記被検出ガス中のアンモニア濃度を反映した
    情報として取り出すようにした請求項1ないし8のいず
    れかに記載のアンモニア検出センサ。
  10. 【請求項10】 被検出ガス中に含まれるアンモニアの
    検出を行う方法であって、 酸素イオン伝導性固体電解質により構成され、その両面
    に酸素透過性を有する電極が形成されてそれら電極の一
    方が処理空間に面して配置される酸素濃淡電池素子と、 酸素イオン伝導性固体電解質により構成されて両面に酸
    素透過性を有する電極が形成されてそれら電極の一方が
    処理空間に面して配置されるとともに、該酸素濃淡電池
    素子に生ずる濃淡電池起電力の絶対値が減少する方向
    に、前記処理空間に酸素を汲み込み又は該処理空間から
    酸素を汲み出す酸素ポンプ素子と、 前記酸素ポンプ素子と前記酸素濃淡電池素子とを予め定
    められたセンサ作動温度に加熱する加熱素子とを備えた
    アンモニア検出センサを被検出雰囲気中に配置するとと
    もに、 前記処理空間と、前記酸素濃淡電池素子を挟んでこれと
    反対側の空間(以下、反対空間という)とに、それぞれ
    アンモニアと酸素とを含有する被検出ガスを導入し、さ
    らに、 前記アンモニア検出センサにおいて、前記酸素ポンプ素
    子の前記処理空間に面する側の電極を第一電極、前記酸
    素濃淡電池素子の前記処理空間に面する側の電極を第二
    電極、前記酸素濃淡電池素子の前記反対空間側の電極を
    第三電極として、前記処理空間と前記反対空間とに導入
    された前記被検出ガス中のアンモニアを、少なくともそ
    れら処理空間と前記反対空間との一方において、前記第
    一〜第三電極の少なくともいずれかを酸化触媒として前
    記被検出ガス中の酸素と反応することにより消費させる
    とともに、前記処理空間と前記反対空間との間で酸素と
    の反応によるアンモニアの消費量に差が生じるように、
    それら第一〜第三電極の酸化触媒活性を調整しておき、
    前記酸素濃淡電池素子の前記濃淡電池起電力の絶対値が
    所定の起電力目標値ECに到達したときの前記酸素ポン
    プ素子に流れる電流値を、前記被検出ガス中のアンモニ
    ア濃度を反映した情報として取り出すことを特徴とする
    アンモニア検出方法。
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