JP2000192400A - パルプモールドの製造方法 - Google Patents

パルプモールドの製造方法

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JP2000192400A
JP2000192400A JP10378185A JP37818598A JP2000192400A JP 2000192400 A JP2000192400 A JP 2000192400A JP 10378185 A JP10378185 A JP 10378185A JP 37818598 A JP37818598 A JP 37818598A JP 2000192400 A JP2000192400 A JP 2000192400A
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mold
pulp
molded product
water
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JP10378185A
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Koji Iwasaki
廣司 岩崎
Masanori Murakami
政徳 村上
Shunsuke Shioi
俊介 塩井
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Oji Packaging Systems Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価で寸法精度の良いパルプモールドを効率
よく製造する。 【解決手段】 スラリー組成物のカナダ標準フリーネス
(CSF)が550ml以上のセルロース素材系スラリ
ーを用いて、多数の小孔を有する成形型の小孔から、該
スラリーの媒体である水を除去することによって該成形
型表面にスラリー中の小孔不通過微細成分を堆積させて
厚みが10mm以下の湿潤成形物とした後、80℃以上
の熱風を0.5リッター/cm・分以上の通気量とな
る条件下で堆積層を通過させて、該湿潤成形物を型内に
おいて乾燥する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、安価で寸法精度の
良いパルプモールドの効率的な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、緩衝材といて利用される発泡スチ
ロールは、緩衝性や断熱性等の面で優れた特性を有する
他に、任意の形状に加工することが容易で、価格が安
く、軽量で、しかも外観体裁も良好である等の特徴を有
している。しかし、近年、環境問題への関心が高まるに
つれて、他の所謂プラスチック製品と同様に、使用後の
処理性を問題視する声が高まっている。すなわち、使用
した後、焼却した場合には、高温の発生による炉の損
傷、有毒ガスの発生が指摘されている。また、埋め立て
処理を行った場合は、分解性がなく、さらに嵩張るた
め、処理場の不足を招く一因とも考えられている。
【0003】この発泡スチロールの処理上の問題点を解
決するものとして、最近では、緩衝材としてパルプモー
ルドが注目され、スチロールの代替として用いられるこ
とが多くなってきている。パルプモールドは、再生パル
プを原料として製造され、形状を工夫することで緩衝
力、強度を与えられるものであり、焼却、埋め立ての何
れの処理も容易である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のパルプ
モールド法では、得られた湿潤成形物の乾燥性が極めて
劣るために、寸法精度の良いものが得られるメリットを
有する型内乾燥を行おうとすると金型内に成形物が止ま
る時間が長くなり、高価な金型を多数製造機に取りつけ
て生産する以外、生産効率を上げることが出来ないとい
う問題を有していた。本発明の目的は、安価で寸法精度
の良いパルプモールドの効率的な製造方法を提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、かかる現
状に鑑み、寸法性に優れたパルプモールドを、安価に製
造する方法について鋭意検討した結果、原料として特定
のカナダ標準フリーネス(CSF)を有するスラリー組
成物を用いて湿潤成形物を形成せしめた後に、特定の条
件で乾燥することによって、それを成しうることを見出
し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
スラリー組成物のカナダ標準フリーネス(CSF)が5
50ml以上のセルロース素材系スラリーを用いて、多
数の小孔を有する成形型の小孔から、該スラリーの媒体
である水を除去することによって該成形型表面にスラリ
ー中の小孔不通過微細成分を堆積させて厚みが10mm
以下の湿潤成形物とした後、80℃以上の熱風を0.5
リッター/cm・分以上の通気量となる条件下で堆積
層を通過させて、該湿潤成形物を型内において乾燥する
ことを特徴とするパルプモールドの製造方法である。中
でも、スラリー組成物のカナダ標準フリーネス(CS
F)が600ml以上のセルロース素材系スラリーの使
用が特に好ましい。本発明に用いられるセルロース素材
が、撥水化、耐水化、硬化、カール化の何れかの処理の
少なくとも一つを施したパルプであることが好ましい。
中でも、該パルプが古紙パルプであることが好ましい。
本発明に用いられるセルロース素材が、機械パルプであ
ることが好ましい。本発明に用いられるセルロース素材
が、木材を機械的に粉砕して得られた針状粗粉であるこ
とが好ましい。本発明に用いられるセルロース素材が、
麻繊維であることが好ましい。スラリー組成物が、他に
結合強化ファクター0.15以上の繊維系素材を成分と
して含有することが好ましい。本発明では、乾燥処理中
或いは乾燥処理後に、成形物表面へ接着剤の塗布処理が
施されることが好ましい。本発明では、乾燥処理中或い
は乾燥処理後に、成形物表面へフィルムの貼り合わせ処
理が施されることが好ましい。本発明では、乾燥処理中
或いは乾燥処理後或いは成形物表面への後加工処理後
に、更に型内で加圧処理が施されることが好ましい。
【0006】本発明の成功の原因は、カナダ標準フリー
ネス(CSF)が550ml以上の組成物からなるスラ
リーを用いて得られる厚み10mm以下の湿潤成形物
が、大変通気性に優れており、強制的に堆積層中に熱風
を通すことによって非常に乾燥スピードが上がることを
見出した点にある。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明は、カナダ標準フリーネス
(CSF)が550ml以上の組成物からなるスラリー
を用いて、厚み10mm以下の湿潤成形物とした後、8
0℃以上の熱風を0.5リッター/cm・分以上の通
気量となる条件下で堆積層を通過させて、該湿潤成形物
を型内において乾燥させるものである。
【0008】因みに、カナダ標準フリーネス(CSF)
は、JIS−P−8121に規定されている通常はパル
プの濾水性を示す値であるが、本発明ではパルプ以外の
素材或いはパルプ以外の素材を配合した組成物も同測定
法で測定した。
【0009】本発明のスラリー原料として用いられるセ
ルロース素材としては、セルロース系パルプ、セルロー
ス系繊維・粗粉等が挙げられる。他の素材との併用系の
場合にはフリーネス550ml未満のものも用いること
ができが、モールドの乾燥効率の点でフリーネス550
ml以上のものが好ましい。中でも、フリーネス600
ml以上のものが特に好ましい。セルロース系パルプと
しては、例えば、針葉樹、広葉樹をクラフトパルプ化、
サルファイトパルプ化、アルカリパルプ化等して得られ
る未晒又は晒化学パルプ、或いはGP、RMP、TM
P、CTMP等の機械パルプ、或いはコットンパルプ、
リンターパルプ、液体アンモニア処理パルプ、マーセル
化パルプ、撥水化、耐水化、硬化、カール化の何れかの
処理の少なくとも一つを施したパルプ、等当業界公知の
木材パルプ、非木材パルプが挙げられる。また、当然の
ことながら、上記パルプを使って製造された紙類を乾式
或いは湿式で解繊して得られたパルプ、更にそれに撥水
化、耐水化、硬化、カール化の何れかの処理の少なくと
も一つを施したパルプ、等を用いることが出来る。上記
のセルロース系パルプの中でもモールドの乾燥効率の点
で、GP、RMP、TMP、CTMP等の機械パルプ、
撥水化、耐水化、硬化、カール化の何れかの処理の少な
くとも一つを施したパルプ、が特好ましい。中でも、資
源の有効利用の観点から、撥水化、耐水化、硬化、カー
ル化の何れかの処理の少なくとも一つを施した古紙パル
プが特好ましい。セルロース系繊維・粗粉としては、例
えば、木材チップ、バカス、稲藁、ヤシ殻、麻等の粉
砕、断裁品、籾殻、ビール粕、等が挙げられる。中で
も、ファイバーボード用原料に用いられる木材チップの
針状粗粉、麻袋等を粉砕して得られる麻の短繊維は、モ
ールドの乾燥効率が優れている上に、原料調達が容易で
あり特に好ましい。上記の成分は単独使用或いは併用さ
れる。上記成分のスラリー組成物への配合量は必ずしも
この範囲に限定されるものではないが、通常組成物に対
して乾燥重量で40〜100%の範囲で配合される。
【0010】本発明においては、フリーネスが550m
l以上のセルロース素材の選択すれば、セルロース素材
のみでスラリー組成物とすることが出来るが、層間強度
の改善が必要な場合には、結合強化ファクターが0.1
5以上の繊維系素材の添加が有効である。
【0011】結合強化ファクターが0.15以上となり
得る繊維系素材としては、例えば、前記のセルロース系
パルプを更に機械的処理して得られるセルロース系微細
繊維、ウールや絹糸やコラーゲン繊維等の蛋白系繊維、
キチン・キトサン繊維やアルギン酸繊維等の複合糖鎖系
繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエ
チレン−ポリプロピレン鞘芯繊維、ポリアクリロニトリ
ル繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、脂肪族ポリ
エステル繊維、ポリ乳酸繊維、ポリアミド繊維、アセチ
ルセルロース繊維、ポリビニルアルコール繊維等が挙げ
られる。中でも、セルロース系パルプを媒体攪拌ミル、
振動ミル、高圧均質化装置、コロイドミル、叩解機等で
湿式機械処理して得られる数平均繊維長0.01〜0.
80mmの範囲の微細繊維は、層間強度アップの効果が
特に顕著であり好ましい。結合強化ファクターが0.1
5以上の繊維系素材は、通常スラリー組成物絶乾重量当
たり0〜50重量%の範囲で添加される。
【0012】因みに、本発明で言う結合強化ファクター
(BF)は、(E2−E1)/E1で計算される。但
し、E1は、広葉樹晒クラフトパルプ50重量%と針葉
樹晒クラフトパルプ50重量%とを混合して水性スラリ
ーとし、カナダ標準フリーネス(CSF)500mlま
で叩解し、JIS−P−8209に従って手抄マシンに
て脱水・風乾して坪量60g/mのシートを作製した
後、180℃で2分間熱処理して、20℃、65%RH
に調湿した後測定された超音波弾性率を示す。E2は上
記パルプ繊維の50%を微細繊維で置き換えて水性スラ
リーを調製し、E1を測定するのと同じ方法でシート作
製、測定した場合の超音波弾性率を示す。
【0013】スラリー組成物には、上記原料の他に、性
能向上や機能付与等のために必要に応じて適宜、無機繊
維、金属繊維、紙力増強剤、耐水化剤、撥水剤、熱可塑
性樹脂粒子、発泡性マイクロカプセル、サイズ剤、染
料、顔料、歩留向上剤、填料、PH調整剤、スライムコ
ントロール剤、増粘剤、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、難燃
剤、防腐剤、殺鼠剤、防虫剤、保湿剤、鮮度保持剤、脱
酸素剤、マイクロカプセル、発泡剤、界面活性剤、電磁
シールド材、帯電防止剤、防錆剤、芳香剤、消臭剤等を
選択し配合することができる。これらは複数種併用する
ことも出来る。
【0014】本発明に用いられるスラリーは、上記原料
をフリーネスが550ml以上になるように選択配合し
て、通常攪拌機を有する装置でバッチ式或いは連続的に
調製される。スラリー形成に用いられる媒体としては通
常水が使用される。他に水とアルコール(メタノールあ
るいはエタノール等)の混和液を使用することもでき
る。媒体の加温は乾燥速度を上げる効果がある。スラリ
ーの濃度は、通常乾燥固形分量が0.01〜5重量%の
範囲に調製されるが、分散状態の点で0.01〜2重量
%の範囲のものが好ましい。本発明では、スラリー組成
物としてフリーネスが550ml以上のものを使用する
が、中でも組成物のフリーネスが600ml以上の場
合、乾燥効率が極めて良く特に好ましい。
【0015】パルプモールド成形法は、真空引き通水性
構造の金網張り成形金型をパルプスラリー中に浸漬して
吸引し、水を排出すると同時にパルプを型の表面に堆積
させて湿潤成形物とした後に、金型をパルプスラリーか
ら引上げ、更に吸引等の手段によって水分量を減少さ
せ、次いで、これを乾燥するものであるが、本発明にお
いては、上記の如く調製したスラリー組成物のカナダ標
準フリーネス(CSF)が550ml以上のセルロース
素材系スラリーを用いて、厚みが10mm以下の湿潤成
形物を従来のパルプモールド成形法で得た後に、80℃
以上の熱風を0.5リッター/cm・分以上の通気量
となる条件下で堆積層を通過させ、型内において乾燥さ
せる。
【0016】熱風を湿潤成形物の堆積層を通過させる方
法としては、1加熱エアー(ガス)を湿潤成形物に加圧
装置を使って注入する、2湿潤成形物の反対側面から加
熱エアーを供給しながら吸引する、3湿潤成形物の反対
側面から加熱エアーを加圧注入しながら吸引する方式が
有効である。乾燥に使われる加熱エアー(ガス)の温度
は、通常80〜350℃の範囲のものであり、乾燥効率
の点で120℃以上のものが好ましい。また、熱風の通
気量としては、0.5リッター/cm・分以上で本発
明の効果が十分確認できるが、より好ましくは2リッタ
ー/cm・分以上であり、5リッター/cm・分以
上が特に好ましい。尚、加熱エアーとしては、通常加熱
状態の空気が用いられるが、他に加熱状態の窒素ガス、
加熱水蒸気等を用いることも出来る。
【0017】本発明では、乾燥処理中或いは乾燥処理後
に、成形物の表面強度アップのために表面に接着剤の塗
布処理が施されることが好ましい。成形物表面への塗布
に使われる接着剤としては、例えば、澱粉、加工澱粉、
CMC、ヒドロキシエチルセルロース、植物ガム、ゼラ
チン、カゼイン、PVA、尿素ホルムアルデヒド樹脂、
メラミンアルデヒド樹脂、ポリアミド尿素ホルムアルデ
ヒド樹脂、ケトン樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン
樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、
グリセロールポリグリシジルエーテル樹脂、ポリエチレ
ンイミン樹脂、SBR樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル
樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹
脂、天然ゴム、合成ゴム、その他にUV或いはEB硬化
樹脂等を挙げることができ、これらは単独或いは組み合
わせて用いることができる。これらは、通常水或いは溶
剤に溶解して、或いはエマルジョンとして、或いは液体
の場合はそのまま塗布される。中でも、作業環境上水性
系の使用が好ましい。塗布は、通常スプレーによる噴霧
や刷毛塗りや含浸等によって行われる。塗布量は通常乾
燥重量で0.1〜50g/mである。塗布後、必要に
応じて熱風、赤外線、マイクロウェーブ、紫外線、電子
線等を使って乾燥、硬化の処理が施される。
【0018】上記接着剤塗液には、性能向上や機能付与
等のために必要に応じて他に適宜、撥水剤、染料、顔
料、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、難燃剤、殺鼠剤、防虫
剤、鮮度保持剤、脱酸素剤、電磁シールド材、帯電防止
材、防錆剤、芳香剤、消臭剤等が添加される。
【0019】本発明では、乾燥処理中或いは乾燥処理後
に、成形物の表面強度アップ或いは耐水性アップのため
に表面にフィルムの貼り合わせ処理が施されることが好
ましい。成形物表面への貼り合わせに使われるフィルム
としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ナ
イロン、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共
重合体、エチレン酢酸ビニルアルコール共重合体(エバ
ール)、ポリカーボネート、ポリエステル(PET)、
脂肪族ポリエステル、アセテート、セロハン等が挙げら
れるが、中でも、生分解性樹脂或いは水溶性樹脂からな
るフィルムは、廃棄処理が容易であり特に好ましい。具
体的には、ビオノーレ(昭和高分子)、レーシア(三井
化学)、ルナーレZT(日本触媒)、セロハン、ポリビ
ニルアルコール等が挙げられる。また、フィルムとして
顔料や小孔を有するものも使うことが出来る。この貼り
合わせには、通常2〜100μmの範囲の厚さのフィル
ムが使われる。
【0020】貼り合わせ方としては、フィルムが熱可
塑性で、加熱によって成形物に融着する性質を有する場
合には、成形物表面にそれを重ねて加熱下で接着する方
法、フィルムの表面に、水性系,溶剤系,ホットメル
ト型,無溶剤型の接着剤或いは粘着剤を塗布した後に、
場合によっては乾燥して、その後に成形物表面にそれを
重ね、常温下或いは加熱下で接着する方法、成形物の
表面に、水性系,溶剤系,ホットメルト型,無溶剤型の
接着剤或いは粘着剤を塗布した後に、場合によっては乾
燥して、その後にその成形物表面にフィルムを重ね、常
温下或いは加熱下で接着する方法、成形物とフィルム
が水で接着する組み合わせの場合には、フィルムの表面
に水を塗布した後に、成形物表面にそれを重ね、常温下
或いは加熱下で接着する方法、成形物とフィルムが水
で接着する組み合わせの場合には、乾燥途中或いは乾燥
後に水を塗布して表面を濡らした成形物に、フィルムを
重ね、常温下或いは加熱下で接着する方法、等の手段を
用いることができる。貼り合わせに使う接着剤或いは粘
着剤としては、例えば酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、
SBR樹脂、アクリル系粘着剤等を挙げることができ
る。成形物表面にフィルムを密着させる方法としては、
成形乾燥工程中或いは工程後のまだ金型内にある成形物
の上にフィルムを近づけて、金型を吸引することによっ
て該フィルムを成形物に吸いつけさせる方法が有効であ
り、特に、熱可塑性フィルムを使って加熱しながらこれ
を行うと極めて密着状態の良いものになる。
【0021】成形物は、型内で乾燥されているので寸法
精度の良いものが得られるが、更に乾燥処理中或いは乾
燥処理後或いは後加工処理後に、更に雄型と雌型を組み
合わせた型内で加圧処理(型プレス)を施すこによっ
て、表面平滑性、強度の向上したものを得ることが出来
る。その型プレスは通常常温〜200℃の範囲で行われ
る。
【0022】本発明によって得られるパルプモールド
は、包装材、容器等の当業界で既に公知となっている分
野に用いられる。
【0023】
【実施例】以下に実施例を挙げてより具体的に説明する
が、勿論本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例において「部」及び「%」とある
のは特に断らない限り「固形分重量部」及び「重量%」
を示す。
【0024】<実施例1>非ホルマリン系架橋剤(商品
名:スミテックスNF−500K、住友化学工業社製)
とその架橋助剤(商品名:スミテックスACCELER
ATER MX、住友化学工業社製)をそれぞれ固形分
換算で5部、2部含有する水溶液60部を調製した。次
に、新聞古紙を西日本技術開発製のファイバライザの粗
粉砕機部を使って約1cm角の大きさに粗粉砕した後、
セメント用ミキサーに100部入れ、攪拌しながら上記
架橋剤溶液全量を噴霧して均一に古紙を湿潤させた。続
いて、この湿潤古紙を同ファイバライザの微粉砕機部で
繊維状に解繊した後に、開放容器に入れて、150℃の
送風乾燥器中で60分間加熱して反応を完結させて架橋
古紙繊維を得た。この架橋古紙繊維のカナダ標準フリー
ネス(以下、フリーネスと略す)を測定したところ71
5mlであった。また、固形分濃度1%の広葉樹晒クラ
フトパルプの水スラリーを、平均粒径2mmΦのガラス
ビーズを80%充填した1.5リットル容のダイノミル
(型式:KDL−PILOT型、シンマル・エンタープ
ライゼス社製)装置に350ml/分で導入、通過させ
ることにより数平均繊維長0.28mm、結合強化ファ
クター0.53の微細繊維を得た。この微細繊維の保水
度を測定したところ、285%であった。以上のように
して得られた架橋古紙繊維90部(乾燥重量)と微細繊
維10部(乾燥重量)、及び水を加えて固形分濃度1%
となるように原料スラリーを調整した。尚、この二種類
の混合繊維のフリーネスは670mlであった。次に、
この原料スラリーを小型パルプモールド成形機(型式:
SDM型、ノリタケカンパニー製)のタンクに投入した
後、幅180mm×長さ150mm×深さ40mmの平
底トレー用雄型の成型金型を該スラリー中に浸漬して真
空吸引し、パルプを金型に堆積させた後、金型をスラリ
ーから引き上げ、180度反転させた。この湿潤成型物
の堆積層の厚みは3mmであった。その後吸引を続けて
成型物の水分量を低減させながら、同時にその上から雌
型の金型を押し当て、該金型に設けた小孔から加圧気味
に150℃の熱風を注入して、堆積層中の通気量が5リ
ッター/cm・分となるような条件で乾燥した。乾燥
時間は13秒であった。得られた乾燥成型物は良好な寸
法精度を有していた。
【0025】<実施例2>架橋古紙繊維の代わりにフリ
ーネスが705mlの機械パルプを用いた以外は、実施
例1と同様にして原料スラリーを調整した。尚、この二
種類の混合繊維のフリーネスは650mlであった。次
に、このスラリーを用いた以外は実施例1と同様にして
乾燥成型物を得た。乾燥時間は16秒であった。
【0026】<実施例3>架橋古紙繊維の代わりにフリ
ーネスが730mlのファイバーボード用針状粗粉を用
いた以外は、実施例1と同様にして原料スラリーを調整
した。尚、この二種類の混合繊維のフリーネスは680
mlであった。次に、このスラリーを用いた以外は実施
例1と同様にして乾燥成型物を得た。乾燥時間は12秒
であった。
【0027】<比較例1>架橋古紙繊維の代わりに、フ
リーネスが350mlの化学パルプの固形分濃度1%の
ものを原料スラリーとして用いた以外は実施例1と同様
にして堆積層の厚みが3mmの湿潤成型物を得た。その
後吸引を続けて成型物の水分量を低減させながら、同時
にその上から表面の温度が150℃に加熱された雌型の
金型を押し当て乾燥した。乾燥時間は83秒であった。
【0028】<実施例4>実施例1と同様にして得られ
た架橋古紙繊維75部(乾燥重量)と、ポリエチレン繊
維(SWP,E−620 三井化学製)25部(乾燥重
量)、及び水を加えて固形分濃度1%となるように原料
スラリーを調整した。尚、この二種類の混合繊維のフリ
ーネスは630mlであった。次に、このスラリーを用
いた以外は実施例1と同様にして乾燥成型物を得た。乾
燥時間は18秒であった。乾燥後更に150℃に加熱さ
れた雌型の金型を強く押し当て成型物を圧縮することに
よって、面の平滑性の極めて良い成型物が得られた。
【0029】<実施例5>実施例1と同様にして得られ
た原料スラリーを小型パルプモールド成形機(型式:S
DM型、ノリタケカンパニー製)のタンクに投入した
後、幅180mm×長さ150mm×深さ40mmの平
底トレー用雌型の成型金型を該スラリー中に浸漬して真
空吸引し、パルプを金型に堆積させた後、金型をスラリ
ーから引き上げ、180度反転させた。この湿潤成型物
の堆積層の厚みは3mmであった。その後吸引を続けて
成型物の水分量を低減させながら、同時にその上から雄
型の金型を押し当て、該金型に設けた小孔から加圧気味
に150℃の熱風を注入して、堆積層中の通気量が5リ
ッター/cm・分となるような条件で乾燥した。乾燥
時間は14秒であった。次に、雄型の金型を外した後
に、雌型の金型を吸引しながら、その上から180℃で
軟化させられた10μmのEVAフィルムを近づけ、乾
燥成型物の表面に密着させて、フィルムでシールされた
耐水性の成型物が得られた。
【0030】
【発明の効果】上記のように本発明は、スラリー組成物
のカナダ標準フリーネス(CSF)が550ml以上の
セルロース素材系スラリーを用いて、多数の小孔を有す
る成形型の小孔から、該スラリーの媒体である水を除去
することによって該成形型表面にスラリー中の小孔不通
過微細成分を堆積させて厚みが10mm以下の湿潤成形
物とした後、80℃以上の熱風を0.5リッター/cm
・分以上の通気量となる条件下で堆積層を通過させ
て、該湿潤成形物を型内において乾燥するものであるか
ら、安価で寸法精度の良い成形物を効率的に製造するこ
とが可能である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スラリー組成物のカナダ標準フリーネス
    (CSF)が550ml以上のセルロース素材系スラリ
    ーを用いて、多数の小孔を有する成形型の小孔から、該
    スラリーの媒体である水を除去することによって該成形
    型表面にスラリー中の小孔不通過微細成分を堆積させて
    厚みが10mm以下の湿潤成形物とした後、80℃以上
    の熱風を0.5リッター/cm・分以上の通気量とな
    る条件下で堆積層を通過させて、該湿潤成形物を型内に
    おいて乾燥することを特徴とするパルプモールドの製造
    方法。
JP10378185A 1998-12-22 1998-12-22 パルプモールドの製造方法 Pending JP2000192400A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2003014471A1 (fr) * 2001-08-03 2003-02-20 Kao Corporation Produit en pate moule, dispositif et procede de production correspondants

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