JP2000190611A - 印刷装置 - Google Patents

印刷装置

Info

Publication number
JP2000190611A
JP2000190611A JP10372498A JP37249898A JP2000190611A JP 2000190611 A JP2000190611 A JP 2000190611A JP 10372498 A JP10372498 A JP 10372498A JP 37249898 A JP37249898 A JP 37249898A JP 2000190611 A JP2000190611 A JP 2000190611A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
plate cylinder
printing
scraping
printing apparatus
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10372498A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4386980B2 (ja
Inventor
Masayuki Shima
正行 島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tohoku Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Tohoku Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tohoku Ricoh Co Ltd filed Critical Tohoku Ricoh Co Ltd
Priority to JP37249898A priority Critical patent/JP4386980B2/ja
Publication of JP2000190611A publication Critical patent/JP2000190611A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4386980B2 publication Critical patent/JP4386980B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Inking, Control Or Cleaning Of Printing Machines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 文字の滲みや裏移りの増大による印刷品質低
下を防止したり、インキ掻き取り部材の耐久性を確保し
ながら、印刷時における版胴の内周面へのインキ乗り不
足による濃度の低下や立ち上がり不足、濃度ムラ等を発
生させずにインキの漏れも防止して印刷品質低下を防止
できる印刷装置を提供する。 【解決手段】 外周面2aに穿孔製版されたマスタ40
が巻着され、自身の中心軸4線回りで回転駆動される版
胴2の内周面2bにインキ供給部材8,9からインキを
供給し、版胴の開孔部2cとマスタの穿孔部からインキ
を滲出させて印刷用紙103に印刷を行う印刷装置であ
って、版胴の内周面のインキを掻き取る掻取位置とイン
キ供給部材に掻き取ったインキを戻す戻し位置とに移動
自在に設けられたインキ掻き取り部材13を版胴の内部
に配設し、この部材を掻取位置と戻し位置とに掻き取り
部材駆動手段28で選択的に移動させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、版胴内周面のイン
キを掻き取る部材を備えた印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】謄写印刷装置では、印刷用インキとして
エマルジョンインキを使用されることが多い。エマルジ
ョンインキは、カーボンを含む油相成分と水相成分及び
インキによっては溶剤とからなるが、空気に触れた状態
で放置されると、水相成分及び溶剤成分が徐々に蒸発
し、インキ中の油相成分の相対比率が上昇してくる。油
相成分率が上昇してくると、インキは粘性が下がり所謂
インキ緩みとなり、印刷用紙への転移量が増加すると共
に、印刷用紙への浸透性が増大して印刷後のインキのに
じみが大きくなり、細かな文字が滲んで印刷品質の低下
をもたらしてしまう。また、インキの転移量増大は、印
刷用紙上での過剰インキを増大させ、未乾燥インキが次
に搬送・印刷される印刷用紙の裏面に付着する、所謂裏
移りを増大させてしまう。
【0003】この種の間題を解決する1つの手段とし
て、特開平8−282078号公報には、印刷装置内
に設置され、版胴の内周面にインキを供給するインキロ
ーラやドクタローラ等のインキ供給部材及びインキ溜り
部に保持されるインキを、印刷終了後に、密封されたイ
ンキ回収容器内に回収してインキ中の水相成分や溶剤成
分の蒸発を防止して保存し、次回の印刷時には、インキ
回収容器内に保存されたインキをインキローラに供給し
てインキ溜り部を形成し、印刷を行うようにしている。
特開昭53−74908号公報には、インキの水相成分
が蒸発してインキの緩みが生じて印刷品位が低下するの
を防止するのではなく、心胴の外周面に設けられたポリ
エステル薄板等のインキ掻き取り部材を版胴の内周面を
摺接するように配置し、インキ内の粗粒子やワニス成分
によって版胴の開孔部が目詰まりし、印刷ムラが発生す
るのを防止する印刷装置が提案されている。特開平8−
142474号公報には、インキ内の成分で版胴の開孔
部が塞がれるを防止するのではなく、余剰インキによる
インキ漏れを防止するために、常にインキ回収部材を版
胴の内周面に接触させた状態で印刷を行う印刷装置が提
案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特開平8−28207
8号公報に記載の印刷装置では、インキ供給部材やイン
キ溜り部のインキの変成は防止でき、上記間題の改善を
行うことはできるが、版胴の内周面に付着したインキの
変成を防止することはできない。一般に版胴の内周面積
は、版胴の内径が160〜190mm程度あるため、イ
ンキ溜り部やインキ供給部材の表面積に比べて非常に大
きく、空気との接触面積が大変に大きいものとなる。従
って、インキの重量に対する水相成分の蒸発量は大きく
なり、その分インキの変成の度合いはインキ溜り部やイ
ンキ供給部材の表面のインキに比べて非常に大きくなっ
てしまう。そして、版胴放置後の印刷開始時には、イン
キ溜り部のインキが印刷に使用される前に、版胴の内周
面に付着した変成の度合いの大きいインキが先に使用さ
れる。このため、版胴の内周面のインキの変成をできる
だけ抑制しなければ、放置後の印刷初期での文字の滲み
や裏移り増大といった印刷品質低下の防止効果を高くす
ることはできない。しかしながら、版胴の内周面に付着
しているインキと、空気との接触を防止するためには、
版胴の内周面の広い面積でこれを実現させなければなら
ず、機構的に困難な技術である。
【0005】特開昭53−74908号公報に記載の印
刷装置では、心胴の外周面にポリエステル薄板等のイン
キ掻き取り部材を設けて、常にこれが版胴の内周面を擦
ることによりインキ内の粗粒子やワニス成分が版胴の開
孔部を塞ぐのを防止している。しかし、常にインキ掻き
取り部材が版胴の内周面を擦るのは、インキ掻き取り部
材の耐久性を確保できないし、印刷中にはプレスローラ
や圧胴等の押圧部材による押圧が版胴に加わる直前ま
で、版胴の内周面にはインキが乗っていないので、押圧
部材による押圧が加わっても、インキが版胴の外周面側
に浸透するのに時問を要してしまい、濃度の低下や立ち
上がり不足、濃度ムラ等を生じてしまう。また、インキ
掻き取り部材に溜まったインキが、同部材の上で版胴の
軸線方向に広がっていき、インキ掻き取り部材の脇から
あふれ、版胴内でのインキの漏れ(軸線方向での漏れ)
を発生させてしまう。これによって版胴の両端のフラン
ジの間からインキが漏れて、印刷装置内が汚れてしま
う。
【0006】特開平8−142474号公報に記載の印
刷装置でも、インキ掻き取り部材が常に版胴の内周面に
接触した状態にあるため、上述したような濃度の低下や
立ち上がり不足、濃度ムラ等が生じると共に、版胴の両
端のフランジの間からインキが漏れて印刷装置内が汚れ
てしまう。
【0007】本発明は、版胴の内周面の、水相成分の一
部が蒸発して変成してインキ粘度が下がった場合でも、
文字の滲みによる印刷品質の低下や、裏移りの増大によ
る印刷品質低下を防止したり、同時に、インキ掻き取り
部材の耐久性を確保しながら印刷時における版胴の内周
面へのインキ乗り不足による、濃度の低下や立ち上がり
不足、濃度ムラ等を発生させず、インキの漏れも防止し
て印刷品質低下を防止することができる印刷装置を提供
することを、その目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、多孔性支持円
筒体を有し、その外周面に穿孔製版されたマスタが巻着
されると共に自身の中心軸線回りで回転駆動される版胴
と、この版胴の内部に設けられ、版胴の内周面にインキ
を供給するインキ供給部材とを備え、版胴の開孔部及び
マスタの穿孔部からインキを滲出させて印刷用紙に印刷
を行う印刷装置を前提としている。
【0009】そして、請求項1記載の発明は、版胴の内
部に設けられ、版胴の内周面のインキを掻き取る掻取位
置と、掻き取ったインキをインキ供給部材に戻す戻し位
置とに移動自在に設けられたインキ掻き取り部材と、こ
のインキ掻き取り部材を掻取位置と戻し位置とに選択的
に移動する掻き取り部材駆動手段とを有することを特徴
としている。
【0010】請求項2記載の発明は、版胴の内側に設け
られ、版胴の内周面のインキを掻き取る掻取位置と、掻
き取ったインキをインキ供給部材に戻す戻し位置と、掻
取位置と戻し位置との中間に位置する中立位置とに移動
自在に設けられたインキ掻き取り部材と、インキ掻き取
り部材を掻取位置と戻し位置と中立位置とに選択的に移
動する掻き取り部材駆動手段とを有することを特徴とし
ている。
【0011】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載の印刷装置において、インキ供給部材の外周面と版
胴の内周面の双方に接触する接触位置と、両者から離れ
た離間位置とに移動自在に設けられたインキ補充部材
と、インキ補充部材を接触位置と離間位置とに移動する
インキ補充部材駆動手段とを有することを特徴としてい
る。
【0012】請求項4記載の発明は、請求項1、2また
は3記載の印刷装置において、印刷中にはインキ掻き取
り部材が戻し位置または中立位置を占め、印刷終了後に
はインキ掻き取り部材が掻取位置を占め、かつ版胴を所
定回転回転駆動すると共に、この版胴の回転後にインキ
掻き取り部材が戻し位置または中立位置を占めるように
掻き取り部材駆動手段の駆動動作を制御する制御手段を
有することを特徴としている。
【0013】請求項5記載の発明は、請求項4記載の印
刷装置において、制御手段が、インキ掻き取り部材が戻
し位置を占めた後、インキ供給部材を所定回転回数だけ
回転すると共に、この所定回転後に版胴の回転を停止
し、インキ掻き取り部材が戻し位置または中立位置を占
めるように掻き取り部材駆動手段の駆動動作を制御する
ことを特徴としている。
【0014】請求項6記載の発明は、請求項4記載の印
刷装置において、インキの温度または装置の環境温度を
検出する温度検出手段を有し、制御手段が、温度検出手
段の検出結果に応じて、インキ掻き取り部材が掻取位置
を占める時の版胴の回転回数を増減制御することを特微
としている。請求項6記載の発明において、制御手段を
用いて、インキの温度または装置の環境温度が低温度に
は、版胴の回転回数を増大し、インキの温度または装置
の環境温度が高温度には、版胴の回転回数を減少するよ
うに制御してもよい。このように制御すると、低温時の
ようにインキの粘度が高く、インキ掻き取り部材で掻き
取りにくい時には版胴が多く回転されて、インキの掻き
取りが確実になり緩んだインキによる画像劣化を防止で
きる。また、高温時のようにインキの粘度が低く掻き取
り易い場合には版胴が少なく回転されて、印刷終了後、
早く待機状態になることができ、電源をオフすることが
できる。
【0015】請求項7記載の発明は、請求項3記載の印
刷装置において、製版または印刷の前に、インキ補充部
材が接触位置を占めるようにインキ補充部材駆動手段の
駆動動作を制御すると共に、版胴を所定回数だけ回転さ
せ、この版胴の回転後に印刷を開始させる制御手段を有
することを特徴としている。
【0016】請求項8記載の発明は、請求項1乃至6の
何れか1つに記載の印刷装置において、インキ掻き取り
部材は、掻取位置を占めたときに少なくともその先端部
が版胴の内周面と接触可能に設けられ、その先端部が樹
脂または金属等の簿い弾性部材から構成されていること
を特徴としている。請求項9記載の発明は、請求項8記
載の印刷装置において、インキ掻き取り部材の先端部
が、版胴の回転方向の上流側における同版胴の内周面に
対する接触角度が90°以上に設定されていることを特
徴としている。
【0017】請求項10記載の発明は、請求項7記載の
印刷装置において、インキの温度または装置の環境温度
を検出する温度検出手段を有し、制御手段が温度検出手
段の検出結果に応じて版胴の回転回数を増減制御するこ
とを特徴としている。請求項10記載の発明において、
制御手段を用いて、インキの温度または装置の環境温度
が低温度には版胴の回転回数を増大し、インキの温度ま
たは装置の環境温度が高温度には版胴の回転回数を減少
するように制御してもよい。このように制御すると、低
温時のようにインキの粘度が高くとも版胴が多く回転さ
れることで版胴の内周面にインキが十分に供給されるの
で印刷開始時の立ち上がりの遅れを防止できる。また、
高温時のようにインキの粘度が低くても版胴が少なく回
転されることで、版胴の内周面への余分なインキの供給
を抑えられ、インキの漏れや、それによる装置内の汚れ
を防止できる。
【0018】請求項11記載の発明は、請求項7記載の
印刷装置において、インキの粘度を検出する粘度検出手
段を有し、制御手段が、粘度検出手段の検出結果に応じ
て、版胴の回転回数を増減制御する特徴ことを特徴とし
ている。請求項11記載の発明において、制御手段を用
いて、インキの粘度が高い場合には版胴の回転回数を増
大し、インキの粘度が低い場合には版胴の回転回数を減
少するように制御してもよい。このように制御すると、
インキの粘度が高い場合には版胴が多く回転されること
で、版胴の内周面にインキが十分に供給されて印刷開始
時の立ち上がりの遅れを防止できる。また、インキの粘
度が低い場合には版胴が少なく回転されることで、版胴
の内周面への余分なインキの供給を抑えられ、インキの
漏れや、それによる装置内の汚れを防止できると共に、
装置の長時間放置などによってインキ溜り部のインキ状
態が緩んでいても、直接インキ粘度を検出しているの
で、最適な版胴回転回数に制御できて好ましい。
【0019】請求項12記載の発明は、請求項7記載の
印刷装置において、版胴の回転回数が版胴放置時間に応
じて予め設定された版胴回転回数設定手段と、版胴の放
置時間を計測する計測手段とを備え、制御手段が、計測
手段の計測結果に応じて版胴回転回数設定手段から版胴
回転回数を選択して、その選択結果に基づき版胴を回転
駆動することを特徴としている。
【0020】請求項13記載の発明は、請求項7記載の
印刷装置において、インキの温度または装置の環境温度
を検出する温度検出手段またはインキの粘度を検出する
粘度検出手段の少なくとも1つを備え、制御手段が、版
胴回転時の回転速度を、温度検出手段または粘度検出手
段からの検出結果に応じて増減制御することを特徴とし
ている。請求項13記載の発明において、制御手段を用
いて、インキの温度または装置の環境温度が低温度の場
合やインキの粘度が高い場合には版胴の回転速度を増大
し、インキの温度または装置の環境温度が高温度の場合
やインキの粘度が低い場合には版胴の回転速度を減少す
るように制御してもよい。このように制御すると、低温
時のようにインキの粘度が高く、インキが版胴の開孔部
へ押し込まれにくい場合には、版胴の回転速度が上げら
れるので、遠心力やインキ供給部材と版胴の内周面での
速度によるすり込み圧力によるインキの押し込み効果が
増大して印刷開始時の立ち上がりの遅れを防止できる。
また、高温時のようにインキの粘度が低い場合には、版
胴の回転速度が落とされるので、上記の力によるインキ
の押し込み効果が低減してインキの過剰供給が抑制さ
れ、インキの漏れや、それによる装置内の汚れを防止し
ながら、装置立上り時の印刷画像品位を向上することが
できる。
【0021】
【発明の実施の形態】本形態は、孔版印刷装置へ適応し
ている例である。図2において、孔版印刷装置は、版胴
駆動モータ70を含む駆動系で矢印a方向に回転駆動さ
れる版胴2を備えた版胴ユニット1、図示しない原稿の
原稿画像を光学的に読み取る原稿読取部100、製版ユ
ニット101、押圧部材の一形態となる圧胴50、排版
ユニット102、印刷用紙103を積載収納した給紙ト
レイ104を有する給紙ユニット105、排紙トレイ1
06と排紙搬送ユニット107を備えた排紙ユニット1
08が、それぞれ印刷装置本体110に設けられた製版
印刷一体型の印刷装置である。印刷装置本体110に
は、各部を制御する制御手段60が設けられている。印
刷装置としては、原稿読取部100や製版ユニット10
1を持たないものでもよく、この場合には、予め穿孔製
版されたマスタ40を用いればよい。
【0022】印刷用紙103は、給紙・分離用の各ロー
ラを備えた給紙分離ユニット109によって1枚ずつ分
離されて、版胴2と圧胴50との間に形成される印刷部
120に向かって給紙され、給紙分離ユニット109と
印刷部120の間に配置されたレジストローラ対115
によって所定のタイミングで印刷部120に送出され
る。印刷部120を通過した印刷用紙103は、印刷部
120と排紙搬送ユニット107の間で圧胴50の近傍
に配置された分離爪111によって圧胴50から分離さ
れ、駆動ローラ112と従動ローラ113とに巻きかけ
られて図示しない吸引ファンによる吸引力が作用した多
孔性の搬送ベルト114に吸着搬送されて排紙トレイ1
06に排紙される。
【0023】図1に示す版胴ユニット1の内部に設置さ
れたフレーム3には、中心軸となる版胴支持軸4が固定
されている。フレーム3の一端と反対側の版胴支持軸4
の周りには、図示しない版胴フランジが軸線方向に間隔
を設けて各々回転可能に支持されている。この2つのフ
ランジ間には、多孔性支持円筒体となる印刷領城に多数
の微小貫通孔を有する開孔部2cを形成されたステンレ
ス等の弾性薄板で構成された円筒状の版胴2が固定され
ている。つまり、版胴2の軸線方向の両端には、各々フ
ランジが固定されている。このため、版胴2は版胴支持
軸4の周りに回転可能となっている。フレーム3は、図
中の手前側が印刷装置本体110の手前側に設けた図示
しないフレームの一部に、奥側が版胴支持軸4が印刷装
置本体110の奥側に設けられた図示しないフレームに
それぞれ支持されており、フレーム奥側に配置した図示
しない駆動装置から奥側のフランジを回転駆動し、版胴
2を回転駆動するようになっている。
【0024】版胴2の外周面2aには、版胴2の内周面
2bから供給されたインキを拡散するために、図示しな
いポリエステル等で織られたスクリーンが1枚または2
枚巻装されている。版胴2の外周面2aには、2つのフ
ランジを連結し回転駆動力を伝達するクランパベース5
が設けられている。クランパベース5の上には、穿孔製
版されたマスタ40をクランプするためのマスタクラン
パ6がクランパベース5に開閉自在に設けられている。
マスタ40は、この形態では、製版ユニット3の図示し
ないサーマルヘッドが原稿画像に応じた画像信号に応じ
て発熱されることで加熱穿孔製版されたもので、マスタ
クランパ6にその先端部40aを挟持され、図示しない
スクリーン層上、すなわち版胴2の外周面2aに巻装さ
れる。製版ユニット101では、原稿読取部100で読
み取られた原稿画像に対応する画像信号に基づき、未製
版のマスタを製版しているが、孔版印刷装置にパソコン
等の外部入出力装置が接続され、プリンターとして機能
させる場合には、パソコンからの画像信号に応じて製版
してもよい。
【0025】フレーム3の軸線方向両端には、サブフレ
ーム7がそれぞれ固定されている。各サブフレーム7の
間には、インキ供給部材となるインキローラ8及びドク
タローラ9、インキ供給管11、インキ掻き取り部材1
4、掻き取り部材駆動手段の駆動源となる駆動モータ2
0、インキ補充部材30及びインキ補充部材駆動手段の
駆動源となる電磁ソレノイド35が支持されている。そ
れぞれの部材は、版胴2の内部に配置されている。
【0026】インキローラ8は金属ローラであって、サ
ブフレーム7間に軸8aで回転可能に支持されて図1に
示す版胴駆動モータ70によって版胴2の内周面2b近
傍で版胴2と同一方向に回転駆動される。ドクタローラ
9は、インキローラ8と微小隙間(0.06〜0.1m
m程度)をおいて対向配置されて回転可能に支持されて
おり、版胴駆動モータ70によって矢印方向にインキロ
ーラ8の周速度よりも遅い周速度で回転駆動される。イ
ンキ供給管11には、フレキシブルなインキ搬送パイプ
12の一端が圧入されている。インキ搬送パイプ12の
図示しない他端は、版胴2の外部に設けられた図示しな
いインキ収納容器とつながるインキポンプの吐出側に連
結されている。インキ収納容器には、印刷用エマルジョ
ンインキが収容されている。この印刷用エマルジョンイ
ンキは、図示しないインキポンプによってインキ収納容
器から吸引されてインキ供給管11に供給され、このイ
ンキ供給管11に設けられた供給孔11aからインキロ
ーラ8とドクタローラ9の上に滴下される。ドクタロー
ラ9は、インキローラ8に対して、版胴2の回転方向上
流側に設置されている。滴下されたインキは、インキ溜
り部10を形成しながら、インキローラ8とドクタロー
ラ9の隙間でスクイズされる。スクイズされたインキ
は、この隙間と略等しい厚さのインキ膜をインキローラ
8の外周面8b上に形成する。この厚さを規制されたイ
ンキ膜は、圧胴50による押圧作用によって版胴2の内
周面2bに供給される。
【0027】圧胴50は、図2に示すように、版胴2と
略等しい外径を有し、圧胴支持軸55を中心に版胴2と
同期して矢印b方向に回転駆動される。圧胴50は芯金
51とゴム又は発抱ゴムから成る外周層52とを備え、
図示しない揺動機構により、版胴2に向けて一定の押圧
力で押圧される。圧胴50の外周の一部には、押圧時に
おける圧胴50と、マスタクランパ6及びクランパベー
ス5との干渉を避けるために、凹部53が形成されてい
る。凹部53の一側縁には、圧胴50の外周に対して開
閉可能に設けられた爪部材54が配置されている。爪部
材54は、レジストローラ対115から送り出された印
刷用紙103の先端部を把持して印刷部120を通過
し、この印刷部120を通過後に印刷用紙103を開放
するようになっている。
【0028】圧胴50が回転して印刷用紙103を間に
挟んで版胴2に押圧されると、図1に示すインキローラ
8と版胴2の内周面2bが接触され、インキローラ8の
外周面8bのインキ10Aが版胴2の内周面2bに供給
される。このインキ10Aは、版胴2の開孔部2cの微
小貫通部を通過し、版胴2の外に吐出されて上述のスク
リーンを通過しマスタ40の裏面に供給され、マスタ4
0の穿孔部を通過して印刷用紙103に転移される。こ
のため、版胴2の内周面2bは常にインキ10Aが塗布
された状態となっている。本形態の場合、マスタクラン
パ6が略版胴2の真下に来ている状態が、版胴2の定位
置であり、この位置で版胴2が製版又は印刷前に待機し
ている。
【0029】次に本発明の主要な構成部を説明する。イ
ンキ掻き取り部材13は、その基部を構成する保持部材
14に、樹脂フィルム又は薄い金属板等の弾性部材を固
定して先端部13aを構成している。保持部材14は、
サブフレーム7間に回動自在に取り付けられた回動軸1
5に固定されている。このため、インキ掻き取り部材1
3は、回動軸15が回動することにより、その先端部1
3aが、図3に示すように、版胴2の内周面2bに接す
る掻取位置と、図4に示すように、ドクタローラ9の外
周面9aに接するか又は非常に近接する戻し位置、更に
は図1に示すように、掻取位置と戻し位置の中間に位置
する中立位置に移動可能となっている。
【0030】回動軸15の、サブフレーム7から軸線方
向の外側に突出している一端には、駆動ギヤ16が固定
されている。サブフレーム7の同じ側には、駆動ギヤ1
6と噛合する中間ギヤ17が軸26によって回転可能に
支持されている。中間ギヤ17には、ウォームホイル1
8が取り付けられており、中間ギヤ17と一体となって
回転するようになっている。
【0031】フレーム3に取り付けられたブラケット2
1には、正逆回転可能な駆動モータ20が取り付けられ
ている。駆動モータ20の出力軸にはウォームギア19
が固定されており、このウォームギア19はウォームホ
イル18に噛合している。このような駆動モータ20と
歯車輪列の構成により、駆動モータ20が回転し、その
回転がウォームホイル18、中問ギヤ17を介して駆動
ギヤ16に伝達されることにより回動軸15が回動さ
れ、インキ掻き取り部材13が、掻取位置と戻し位置と
中立位置の3つの位置に選択的に移動される。これら駆
動モータ20と、中問ギヤ17、ウォームホイル18、
ウォームギア19からなる歯車輪列によって掻き取り部
材駆動手段28が構成されている。
【0032】図6に示すように中間ギヤ17とウォーム
ホイル18とが一体となったギヤ部材27には、同部材
よりも軸線方向の外側に、スリッタ22が軸26に固定
されて同軸上に配置されている。スリッタ22の近傍に
は、3つのフォトインタラプタ等の透過型のセンサ2
3,24,25が、サブフレーム7に図示しないブラケ
ット等の支持部材を介して装着されている。スリッタ2
2は、センサ23,24,25の受光部を遮るように配
置されていて、遮蔽板として機能する。スリッタ22に
は、2つのスリット部22a,22bが、軸26を間に
して対称的に設けられている。センサ23,24,25
は、スリット部22a,22bが受光部に位置するとき
にはセンサ出力がオンとなり、スリッタ22の回転方向
の位置を検出し、スリッタ22の位置を検出することに
より、駆動ギヤ16および回動軸15の回転方向の位置
を検出して、インキ掻き取り部材13の回動方向での位
置を検出している。これらスリッタ22とセンサ23,
24,25とにより、本形態では掻き取り部材位置検知
手段29が構成されている。
【0033】センサ23は、インキ掻き取り部材13が
図1に示す中問位置にあることを検知するセンサであ
り、スリット部22aがその受光部に位置した時にセン
サ出力がオンとなり、駆動モータ20の回転を停止し、
インキ掻き取り部材13を中立位置に位置決めする。セ
ンサ24は、インキ掻き取り部材13の先端部13aが
版胴2の内周面2bに圧接する図3に示す掻取位置を検
知するセンサであり、スリッタ22が図6において時計
回り方向に回転し、スリット部22aがその受光部に位
置した時にセンサ出カがオンとなり、駆動モータ20の
回転を停止してインキ掻き取り部材13を掻取位置に位
置決する。センサ25は、インキ掻き取り部材13の先
端部13aがドクタローラ9の近傍又はその外周面9a
と接触する図4に示す戻し位置にあることを検知するセ
ンサであり、スリッタ22が図6において反時計回り方
向に回転し、スリット部22bが受光部に位置した時に
センサ出力がオンとなり、駆動モータ20の回転を停止
し、インキ掻き取り部材13を戻し位置に位置決めす
る。インキ掻き取り部材13の先端部13aは、図3に
示すように版胴2の回転方向の上流側における、版胴2
の内周面2bに対する接触角度θが90°以上となるよ
うに設定されている。
【0034】掻き取り部材駆動手段28では、インキ掻
き取り部材13と駆動モータ20の間において、ウォー
ム19とウォームホイル18が噛合しているので、駆動
モータ20の停止時に外力を受けても、ウォーム19と
ウォームホイル18のガタ分を除いて、インキ掻き取り
部材13の各位置が確実に保持される。
【0035】図1,図5に示すインキ補充ローラ30
は、印刷開始または製版開始前に版胴2の内周面2bに
インキ10Aを補充するためのローラであり、後述のよ
うに、インキローラ8と版胴2の内周面2bの両方に接
触して、インキローラ8上のインキ10Aを版胴2の内
周面2bに転移させるように作用する。インキ補充ロー
ラ30は、インキローラ8の外周面8bと版胴2の内周
面2bの両方に接触するので、版胴2によってロックし
ないように、インキローラ8に対してドクタローラ9と
反対側の、版胴2の回転方向下流側に設置されている。
インキ補充ローラ30は、その両端に設けた回転軸38
を、各サブフレーム7にそれぞれ形成された一対の長孔
7aにそれぞれ貫通させて回転自在に支持されている。
長孔7aは、インキ補充ローラ30が、図5に2点鎖線
で示すように、インキローラ8の外周面8bと版胴2の
内周面2bの両方から離れた離間位置と、図5に実線で
示すようにインキローラ8の外周面8bと版胴2の内周
面2bの両方に接触する接触位置に位置決めされるよう
に、その接離方向に向かって延出形成されている。
【0036】各回転軸38の近傍には、一対の揺動アー
ム31が配置されている。各揺動アーム31は、その一
端31aをサブフレーム7に回転自在に支持された連結
軸32によって連結されており、連結軸32を中心して
双方同時に揺動自在となっている。
【0037】各揺動アーム31の先端部31bには、長
溝39がそれぞれ形成されている。長溝39には、軸3
8がそれぞれ係合している。このため、インキ補充ロー
ラ30は、揺動アーム31が揺動することにより長孔7
aに案内されつつ離間位置と接触位置とに移動可能とな
っている。軸32には、一端に長孔34が形成された連
結レバー41の他端が固定されている。長孔34には、
フレーム3に固定された電磁ソレノイド35の可動軸3
6の端部に固定されたピン33が係合している。この形
態では、連結レバー41を揺動アーム31と個別に設け
ているが、少なくとも何れ一方の揺動アーム31と一体
的に設けてもよい。
【0038】電磁ソレノイド35は、インキ補充ローラ
30を揺動させる駆動源であり、通電されてオン状態と
なると可動軸36を吸引するプルタイプのものが用いら
れている。電磁ソレノイド35と揺動レバー31には、
引っ張りバネ37の両端が係止されていて、通常インキ
補充ローラ30が離間位置を占めるように、揺動アーム
31を引っ張っている。このため、電磁ソレノイド35
がオンされると、揺動レバー31が連結軸32を中心に
図1において反時計回り方向に揺動されて軸38が長孔
7aの右端まで押され、インキ補充ローラ30が図5に
実線で示す接触位置に位置決めされる。一方、電磁ソレ
ノイド35への通電がオフの時には、図1,図3,図4
に示すように、引っ張りバネ37のバネ力により、揺動
アーム31は連結軸32を中心に時計回り方向に付勢さ
れ、インキ補充ローラ30の軸38が長孔7aの左端ま
で引き寄せられて、インキ補充ローラ30が離間位置に
位置決めされる。これら、軸38を支持する長孔7a、
揺動レバー31、連結レバー41、電磁ソレノイド35
及び引っ張りバネ37によって補充部材駆動手段42が
構成されている。電磁ソレノイド35に換えてステップ
モータ等の駆動モータを駆動源として用い、揺動レバー
31との間に歯車輪列等の動力伝達機構を設けてインキ
補充ローラ30を接触位置と離間位置とに移動可能とし
た構成してもよい。
【0039】図2に示す制御手段60は、周知のマイク
ロコンピユータから構成されていて、その主要部となる
CPUには、駆動モータ20、センサ23,24,2
5、電磁ソレノイド35と共に、版胴駆動モータ70や
各ユニットの駆動部がそれぞれ電気的に接続されてい
る。
【0040】このような構成の孔版印刷装置の動作を、
インキ掻き取り部材13とインキ補充ローラ30の動作
を中心に説明する。印刷中は、図6に示すようにセンサ
23がスリッタ22のスリット部22aを検知し、セン
サ出力がオンの状態で駆動モータ20が停止された状態
となっているので、インキ掻き取り部材13は、図1に
示す中立位置に位置決めされて、その先端部13aを版
胴2の内周面2bから離間されている。
【0041】まず印刷終了後の動作を図7,図8の動作
フローを用いて説明する。印刷前に図示しない設定キー
で設定された所定の印刷枚数の印刷が終了すると、図7
のステップR1で印刷終了信号が出される。次にステッ
プR2に移り、版胴2が印刷開始時の定位置に一旦位置
決めされる。版胴2が定位置に停止されると、ステップ
R3で駆動モータ20の回転指令が出されて、駆動モー
タ20が回転を開始する。この時の回転方向は、図1に
おいてウォームホイル18が反時計回り方向に回転する
方向である(以下、この方向を「正転方向」とする)。
【0042】駆動モータ20が正転方向に回転すると、
駆動ギヤ16は時計回り方向に回転し、回動軸15に固
定されたインキ掻き取り部材13の先端部13aが版胴
2の内周面2bに向かう方向に移動する。
【0043】ウォームホイル18が反時計回り方向に回
転すると、図6においてスリッタ22のスリット部22
aはセンサ24に向かって回転し始める。そしてステッ
プR4でセンサ24がスリット部22aを検出して、セ
ンサ出力がオンとなったことが検知されると(YESの
場合)、ステップR7に移り駆動モータ20の回転が停
止する。
【0044】この状態においてインキ掻き取り部材13
の先端部13aは、図3に示す版胴2の内周面2bに接
触した掻取位置を占め、この位置で位置決めされる。イ
ンキ掻き取り都材13の先端部13aは、樹脂又は金属
等の薄い弾性部材から構成されているので、この先端部
13aが少し撓んで、ある程度の圧接力で版胴2の内周
面2bに接するような位置に位置決めされるようにセン
サ24の位置は設定されている。このような位置関係に
センサ24を設けることにより、インキ掻き取り部材1
3の先端部13aが版胴2の内周面2bに十分に圧接さ
れることになり、インキ掻き取り効果を高めることがで
きる。
【0045】ステップR4で、センサ24の出力がオン
とならない場合には、ステップR5に移り一定時間経過
したか、すなわち駆動モータ20が回転したかを判断
し、一定時間以上経過した場合には、駆動モータ20や
その他の駆動部に異常があると判断して、ステップR6
で孔版印刷装置の図示しない操作パネルに設けられたL
CD等の周知の表示部上にエラーメッセージを表示し
て、装置を停止させる。ステップR5において一定時間
以上経過していない場合には、ステップR3に戻り駆動
モータ20の回転を続行する。
【0046】ステップR7で駆動モータ20が停止さ
れ、インキ掻き取り部材13の先端部13aが版胴2の
内周面2bに接する掻取位置に位置決めされるとステッ
プR8に移り、版胴2は前述の版胴駆動モータ70によ
り少なくとも1回以上の回転数だけ回転される。この形
態の場合、インキ掻き取り部材13が、図3に示すよう
にインキローラ8から見てドクタローラ9側に設置され
ているので、版胴2は通常の印刷時と同じ正転方向に回
転される。これにより、版胴2の内周面2bに付着した
インキは、同図に示するように、インキ掻き取り部材1
3の先端部13aですくい上げられるように掻き取られ
る。版胴2の回転数は、少なくとも1回以上であればよ
い。しかし、インキの粘度は装置の環境温度などによっ
て異なるので、インキの温度や環境温度を検知できるサ
ーミスタ等の温度検出手段を配置し、低温時のようにイ
ンキ粘度が高く掻き取りにくい時には、版胴2の回転数
を多くしてインキ掻き取りを確実にし、高温時にはイン
キ粘度が低下して掻き取り易くなるので、版胴2の回転
数を減らすような制御を行うと良い。インキの温度を検
出する場合には、温度検出手段122を図示しないイン
キパックや図1に示すようにインキ溜り部10に設け、
環境温度を検知する場合には例えば、図2に示ように印
刷装置本体110内に温度検出手段121を設け、制御
手段60に接続すればよい。
【0047】ステップR8で、版胴2の内周面2bのイ
ンキの掻き取りが終了すると、ステップR9に移り、ウ
ォームホイル18が図1で時計回り方向に回転するよう
に、駆動モータ20を逆転させる指令が制御手段60か
ら出され、インキ掻き取り部材13の先端部13aを版
胴2の内周面2bから離間する方向に移動させる。駆動
モータ20は、ステップR10で、スリッタ22のスリ
ット部22bをセンサ25が検知してその出力がオンと
なるまで回転される。センサ25がオンとなる位置は、
インキ掻き取り部材13の先端部13aが、図4に示す
ドクタローラ9の外周面9aに接する位置か又はその近
傍の位置であり、掻き取ったインキをドクタローラ9に
転移させることが可能な位置となっている。
【0048】ステップR10でセンサ25の出力がオン
となった時には、ステップR13に移り駆動モータ20
が停止され、インキ掻き取り部材13の先端部13a
は、ドクタローラ9に接する位置か又はその近傍の戻し
位置に位置決めされる。ステップR10でセンサ25の
出力がオンにならない時には、ステップR11に移り、
駆動モータ20の回転指令が出てから一定時間以上が経
過したかどうか判断される。そして一定時間以上経過し
た場合には、センサ25の出力がオンにならない原因は
インキ掻き取り部材13の駆動機構(歯車輪列)か駆動
モータ20に異常があると判断して、ステップR12に
移り、上述の操作パネル上の表示部にエラーメッセージ
表示を行い、孔版印刷装置を停止させる。一定時間以上
経過していない場合には、ステップR9に戻り、駆動モ
ータ20の回転駆動を続行させる。
【0049】ステップR13で、駆動モータ20の回転
が停止された後には、図8に示すステップR14に移
り、版胴2を印刷時と同じ方向に所定回転数だけ回転さ
せる。版胴2を回転させることにより、インキローラ8
とドクタローラ9も回転するので、インキ掻き取り部材
13の先端部13aに付着している掻き取られたインキ
は、ドクタローラ9に転移してインキ溜り10に搬送さ
れて回収される。
【0050】そして、インキローラ8はドクタローラ9
より速い周速度で回転しているため、図1,図3,図4
の矢印で示す方向にインキ溜り部10も回転流動され、
回収されたインキがインキ溜り部10内で混合される。
なお、この形態では版胴2の回転動作によって、図示し
ない連結駆動機構によりインキローラ8やドクタローラ
9が回転駆動されるように構成されているので、インキ
掻き取り部材13の先端部13aで掻き取られたインキ
をドクタローラ9に回収させるのに、版胴2を印刷時と
同方向に回転させるが、インキローラ8やドクタローラ
9の回転駆動を専用の駆動モータ等で行わせるような機
構の場合には、版胴2を回転させる必要はなく、ドクタ
ローラ9のみを回転させれば良い。
【0051】版胴2の回転数は、掻き取られたインキが
ドクタローラ9に転移されてインキ溜り部10内で混合
されるのに十分な回転数に予め設定されている。室温等
の環境温度やインキ温度が異なる場合には、回収に必要
なドクタローラ9も回転数が異なるので、この回転数を
これらの温度によって制御するようにしても良い。例え
ば、インキ温度が低くてインキ粘度が高く、回収のため
の必要回転数が常温より多い場合には、版胴2の回転数
を多くし、インキ温度が高い場合には、常温時よりも版
胴2の回転数を少なくしても良い。つまり温度検出手段
121,122をインキの粘度を検知する粘度検知手段
として用いてもよい。
【0052】ステップR14で掻き取ったインキのイン
キ溜り部10への回収が終了した後には、ステップR1
5に移り駆動モータ20を正転させる動作に移り、イン
キ掻き取り部材13がドクタローラ9から離間する方向
に動作する。駆動モータ20は、ステップR16で、ス
リッタ22のスリット部22aをセンサ23が検知して
その出力がオンとなるまで回転される。
【0053】センサ23の出力がオンとなる位置は、印
刷中の位置であり、インキ掻き取り部材13が図1に示
す中立位置を占める時である。また、ステップR15で
駆動モータ20が正転駆動されるのと略同時に、ステッ
プR19にて版胴2は印刷または製版開始時の定位置に
停止されるように動作される。
【0054】ステップR16でセンサ23の出力がオン
となった時には、ステップR20に移り駆動モータ20
が停止され、インキ掻き取り部材13の先端部13a
は、掻取位置と戻し位置との間の中立位置に位置決めさ
れる。そして、ステップR19の版胴定位置停止後に、
ステップR21に移り、上述の操作パネル上の表示部に
スタートできるというスタンバイ状態の表示を行い、孔
版印刷装置の動作を停止される。
【0055】一方、ステップR16でセンサ23の出力
がオンとならない時には、ステップR17に移り、駆動
モータ20の回転指令が出てから一定時間以上が経過し
たか否かが判断される。一定時間以上経過した場合に
は、センサ23の出力がオンにならないので、インキ掻
き取り部材13の駆動機構か駆動モータ20に異常があ
ると判断して、ステップR18に移り、上述の操作パネ
ル上の表示部にエラーメッセージの表示を行い、孔版印
刷装置の動作を停止する。一定時間以上経過していない
場合には、ステップR15に戻り、ステップR16でセ
ンサ23の出力がオンとなるまで駆動モータ20の回転
駆動を続行させる。
【0056】以上のような動作により、版胴2の内周面
2bに接触する掻取位置にインキ掻き取り部材13を占
めた状態で、版胴2を回転させて版胴2の内周面2bに
付着したインキを掻き取ることができ、その後、掻き取
ったインキをドクタローラ9の回転を介してインキ溜り
部10に回収することにより、次回の印刷開始時には、
緩んだインキが版胴2の内周面2bに残っておらず、イ
ンキの滲みによる文字滲みや裏移り等の問題を改善でき
る。また、掻き取ったインキをインキ溜り部10に戻す
際に、ドクタローラ9の外周面9aにインキを戻すこと
により、版胴2の回転によってドクタローラ9が回転し
て、回収されたインキが空気との接触面積の小さなイン
キ溜り部10に自動的に回収される。そしてインキ溜り
部10がインキローラ8とドクタローラ8が回転するこ
とにより回転流動して、回収されたインキがインキ溜り
部10に保持されていたインキと混合されるので、回収
されたインキのみが緩んだりせずに次の印刷に備えて保
持される。
【0057】本形態では、インキ掻き取り部材13で掻
き取ったインキをドクタローラ9を介してインキ溜り部
10に回収しているが、直接インキローラ8に回収させ
る形態であっても構わない。但しこの場合、インキロー
ラ8に付着したインキは、インキローラ8上にインキ膜
厚の不均一を生じさせ、印刷画像の部分的な濃度ムラな
どの影響を及ぼすおそれがあり、版胴2が回転してイン
キローラ8も回転することにより、インキローラ8と版
胴2とが接する位置(版胴の回転方向に見て、圧胴50
と版胴2が接する位置の上流側)の版胴2の内周面2b
にインキの溜りを生じさせ、装置の放置によってこのイ
ンキが緩んで、部分的に印刷画像の滲みを発生させるこ
とがあるので、このような問題を回避できる、インキ掻
き取り部材13を用いて掻き取ったインキは、ドクタロ
ーラ9に回収させる方がより好ましいといえる。
【0058】インキ掻き取り部材13は、インキ掻き取
り及び回収動作後に中立位置に位置決めされ、次の印刷
開始または製版開始時にはこの中立位置に位置決めされ
たままであるので、印刷時または製版時に版胴2が回転
する場合でも、版胴2の内周面2bとインキ掻き取り部
材13との接触を常に回避でき、インキ掻き取り部材1
3の先端部13aが摩耗することを防止できる。さらに
インキ掻き取り部材13に沿ってインキが軸線方向に流
れ出し、版胴2内にインキの漏れが発生してフランジか
らインキが漏れ出して、印刷装置本体110内や印刷用
紙103をインキで汚損させたりする事を回避できる
し、インキ掻き取り部材13がインキまみれになること
も回避できる。
【0059】印刷時にはインキ掻き取り部材13が、版
胴2の内周面2bに接触していないので、版胴2の内周
面2bに対してインキが常に塗布されることになり、イ
ンキ不足による印刷画像の立ち上がりの悪化や、濃度ム
ラなどの発生を防止できる。
【0060】インキ掻き取り部材13が常にドクタロー
ラ9やインキローラ8と接することがないので、両ロー
ラの外周面のインキ塗布状態にムラを生じさせることが
無く、画像のムラなどが発生しにくく、印刷中に、回転
している各ローラ上のインキに接することがなく、ドク
タローラ9やインキローラ8上のインキのインキ掻き取
り部材13への転移を防止でき、インキ掻き取り部材1
3がインキまみれになることを回避できる。
【0061】インキ掻き取り部材13の先端部13a
は、図3に示すように版胴2の回転方向の上流側におけ
る、版胴2の内周面2bに対する接触角度θが90°以
上となるように設定されているので、版胴2の回転によ
って版胴2の内周面2bのインキをすくい上げるように
掻き取ることができ、掻取位置において、版胴2の内周
面2bのインキを効率よく確実に掻き取ることができ
る。このような接触角度θに設定されたインキ掻き取り
部材13は、すくい上げる方向に回転軸15によって回
動されるので、回動時に掻き取ったインキを版胴2の内
周面2bに残すことなく、ドクタローラ9に回収させる
ことができる。
【0062】次に、印刷開始または製版開始時の動作を
説明する。印刷開始前には、版胴2の内周面2bのイン
キはインキ掻き取り部材13によって掻き取られ、版胴
2の内周面2bにはインキがほとんど無い状態になって
いる。この状態のままであると、製版後の版付けや印刷
開始直後の印刷時において、インキ供給不足による印刷
用紙103の画像立ち上がりが悪化する。そこで、製版
後の版付け時の印刷用紙103または印刷時に印刷用紙
103が給紙される前に、版胴2の内周面2bにインキ
を十分に補充しておく必要がある。
【0063】このインキ補充は、インキ補充ローラ30
によって行われる。以下、図9に示す動作フローを用い
て図5に示すインキ補充ローラ30の動作を説明する。
孔版印刷装置が、製版または印刷が可能な状態にある時
(上述のスタンバイ状態の時)に、ステップS1で、図
示しない操作パネル上の印刷スタートキー又は製版スタ
ートキーを押下されることにより印刷または製版開始の
指令が出される。次にステップS2に移り、電磁ソレノ
イド35のオンの指令が出され、電磁ソレノイド35の
可動軸36が図5において左方向に吸引される。可動軸
36に挿入されたピン33は連結レバー41に設けられ
た長孔34に係合しているので、これによって、揺動ア
ーム31は図5で反時計回り方向に揺動され、揺動アー
ム31の先端部31bの長溝39に軸38を拘東された
インキ補充ローラ30は、サブフレーム7の長孔7aに
それぞれガイドされて、2点鎖線で示す離間位置から実
線で示す接触位置へと移動される。
【0064】次にステップS3に移り、版胴2の回転指
令が出され、版胴2は印刷時の回転方向に、予め設定さ
れた回転回数だけ回転される。版胴2の回転動作によ
り、インキローラ8の外周面8bに付着しているインキ
は、インキ補充ローラ30を介して版胴2の内周面2b
に転移され、このインキの転移により版胴2の内周面2
bに印刷開始又は製版開始に先立って必要なインキが供
給される。インキ補充ローラ30によって版胴2の内周
面2bに供給されたインキは、インキ補充ローラ30に
よる押圧力によって、版胴2の開孔部2cの多数の微小
貫通孔に押し込まれるような力を受ける、このため、印
刷開始時のインキの流通が良くなり、印刷開始時の印刷
画像立ち上がりの悪化を防止できる。
【0065】ステップS4で版胴2が必要な回転回数だ
け回転したことが制御手段60で判断されると、ステッ
プS5に移るが、回転回数が予め設定された回転回数に
満たない時には、ステップS3に戻り回転は続行され
る。このときの版胴2の回転回数は、上述のように予め
設定されているが、インキの粘度に応じて回転回数が変
化できるように設定しても良い。
【0066】インキの粘度は環境温度やインキそのもの
の温度によって変化する。例えば温度が低い時に粘度が
高く、インキ補充ローラ30を接触位置に移動させて、
版胴2を回転させても、インキがインキローラ8から版
胴2に転移するのに時間がかかるので、このような場合
には版胴2の回転回数が多くなるように制御するのが望
ましい。逆に高温時や放置時間が長くてインキ溜り部1
0のインキ自体が若干緩みを生じて、インキ粘度が低下
している場合には、版胴2の回転回数を少なくして、余
分なインキが版胴2の内周面2bに供給されて、インキ
の漏れ等が発生するのを防止するのが望ましい。
【0067】従って、インキ温度を直接検出したり、あ
るいは環境温度を検出する温度検出手段121,122
を設け、これらによる検出温度からインキ粘度を間接的
に検出して、版胴2の回転回数を上述のように制御する
のが望ましい。つまり温度検知手段121,122をイ
ンキの粘度を検知する粘度検知手段として用いてもよ
い。これらインキ粘度に応じた版胴2の回転回数は、予
め試験的に求めて制御手段60に記憶しておけばよい。
なお、版胴2の回転は、周知の回転角センサを用いて、
版胴駆動モータ70の回転や、版胴2あるいは版胴駆動
モータ70と版胴2とを接続する駆動機構の回転から検
出するようにすればよい。
【0068】また、インキ温度ではなく、インキの粘度
を検出する手段を設け、インキ粘度に応じて版胴2の回
転回数を制御するようにすれば、上述のように長時間放
置等によってインキ溜り部10のインキ自体が緩んでい
ても、最適な版胴2の回転回数に制御できるので、より
好ましい。なお、長時間放置での、インキ緩みが発生し
た時の回転回数制御は、タイムキーパー付きRAM等に
よる機械放置時間を計測する計測手段123を図2示す
制御手段60に設けたり、あるいは個別に設け、放置時
間によって制御するようしても良い。例えば、放置時間
が長いときにはインキ粘度が下がっているので回転回数
を少なくし、放置時間が短い時には回転回数を少なくし
ない。このような放置時間に応じた版胴2の回転回数
は、予め試験的に求めて制御手段60に版胴回転回数設
定手段124として記憶しておき、計測手段123の計
測結果に応じて適宜、記憶されたデータを読み出して版
胴駆動モータ70の駆動を制御して版胴2の回転回数を
可変するようにしてもよい。
【0069】さらには、インキ補充時の版胴2の回転速
度を制御すれば、インキ補充ローラ30によるインキの
開孔部2cの微小貫通孔への押し込み効果をより効果的
にすることもできる。例えば、インキ温度が低くてイン
キ粘度が高く、インキが版胴2の微小貫通孔へ押し込ま
れにくい時には、版胴2の回転速度を上げてインキロー
ラ8との相対速度差を大きくして押し込み効果を高く
し、逆にインキ粘度が低い時には、回転速度を下げてイ
ンキの押し込み効果を下げ、インキの出過ぎを抑制する
ことも、立ち上がり時の印刷画像品質を向上させるのに
効果がある。
【0070】ステップS5に移ると、電磁ソレノイド3
5のオフ指令が出され、可動軸36が引っ張りバネ37
のバネ力により図4において右方側に突出した初期位置
に戻され、インキ補充ローラ30が図4で左方向に戻
り、2点鎖線で示す離間位置に戻される。そして、ステ
ップS6に移り、製版動作又は印刷動作を行うように指
令が出され、製版又は印刷が開始される。
【0071】以上のような動作により、版胴2の内周面
2bとインキローラ8の外周面8bの両方に接触する接
触位置と、両方から離れた離間位置に移動可能なインキ
補充ローラ30が、インキローラ8の外周面8bに付着
されているインキを版胴2の内周面2bに転移させ、必
要な量のインキを補充することができる。従って、イン
キ掻き取り部材13によりインキが掻き取られて、イン
キがほとんど無い状態になっている版胴2の内周面2b
に対して、印刷または製版開始前にインキの補充を行
い、製版後の版付け用紙や印刷開始直後の印刷での、イ
ンキ供給不足を解消して、印刷用紙の画像立ち上がりが
悪化するのを防止することができる。
【0072】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、インキ掻
き取り部材が、版胴の内周面のインキを掻き取る掻取位
置と、掻き取られたインキをインキ供給部材に戻す戻り
位置とに移動可能となるので、版胴の内周面のインキを
回収することができ、版胴の内周面に緩んだインキが存
在することを回避できる。また、回収したインキをイン
キ溜り部に戻すことにより、回収したインキがインキ溜
り部のインキに混入されるので、空気との接触面積は大
きくならず、インキの緩むのを回避できる。
【0073】請求項2記載の発明によれば、インキ掻き
取り部材が、掻取位置と、戻り位置と、両者の間の中立
位置とに位置決めされることにより、インキ掻き取り部
材が常に版胴の内周面と接触することが回避され、イン
キ掻き取り部材の先端部が摩耗することが防止でき、か
つ、インキ掻き取り部材がインキまみれになることも回
避できる。また、版胴の内周面のインキを回収すること
ができ、版胴の内周面に緩んだインキが存在することを
回避できる。さらに、回収したインキをインキ溜り部に
戻すことにより、回収したインキがインキ溜り部のイン
キに混入されるので、空気との接触面積は大きくなら
ず、インキの緩むのを回避できる。
【0074】請求項3記載の発明によれば、インキ掻き
取り部材に加えて、版胴の内周面とインキ供給部材の外
周面の両方に接触する接触位置と、両方から離れた離間
位置に移動可能なインキ補充ローラにより、印刷または
製版開始前にはインキ掻き取り部材によりインキが掻き
取られて、インキがほとんど無い状態になっている版胴
の内周面に対して、インキ供給部材の表面に塗布されて
いるインキが転移されることで版胴の内周面にインキを
補充でき、インキの緩みを防止しながら製版後の版付け
時や印刷開始直後の印刷でのインキ供給不足を解消し
て、版付け及び印刷時の印刷用紙の画像立ち上がりが悪
化することをも防止できる。
【0075】請求項4記載の発明によれば、印刷中には
インキ掻き取り部材が版胴の内周面と接触しない中立位
置あるいは戻し位置に位置決めされており、印刷終了後
にインキを掻き取るき掻取位置に位置決めされ、この状
態で版胴は実質的に所定回転以上回転駆動された後に、
インキ掻き取り部材が掻き取ったインキをインキ供給部
材に戻す戻し位置に位置決めされ、インキ掻き取り部材
はこの戻し位置に位置決めされたままか、もしくは中立
位置に位置決めされ、印刷装置が次期印刷又は製版を受
け入れる状態になる。よって、印刷終了後には常に、版
胴の内周面のインキが掻き取られるので、放置時間の長
短にかかわらず、放置中に印刷装置の電源をオフされて
も、次回の印刷または製版時には、常に緩んだインキに
よる文字滲みや裏移り等の間題を回避することができ
る。印刷中にはインキ掻き取り部材は、版胴の内周面と
接触しない位置に位置決めされているので、インキ掻き
取り部材の先端部が摩耗することを防止でき、かつイン
キ掻き取り部材がインキまみれになることも回避でき
る。
【0076】請求項5記載の発明によれば、インキ掻き
取り部材が、戻し位置に位置決めされた後、インキ供給
部材が所定の回転回数だけ回転して、掻き取ったインキ
をインキ溜り部に回収した後に版胴回転が停止し、イン
キ掻き取り部材が、戻し位置に位置決めされたままか、
もしくは中立位置に位置決めされ、印刷装置が次回の印
刷又は製版を受け入れる状態になるので、回収されたイ
ンキは版胴の回転によるインキ供給部材の回転により、
空気との接触面積の小さなインキ溜り部に自動的に回収
される。このためインキ溜り部は各インキ供給部材が回
転することにより回転流動して、回収されたインキがイ
ンキ溜り部に保持されていたインキと混合され、常に緩
んだインキによる文字滲みや裏移り等の間題やインキ掻
き取り部材がインキまみれになることを回避したり、イ
ンキ掻き取り部材の先端部の摩耗を防止しながら、回収
されたインキのみが緩んだりせずに次の印刷に備えて保
持することができる。
【0077】請求項6記載の発明によれば、インキ掻き
取り動作時の版胴の回転回数がインキの温度または環境
温度に応じて増減制御されることにより、インキ粘度が
変化してもインキの掻き取りを確実に行いながら素早く
待機状態とでき、緩んだインキによる画像劣化や、装置
の電源を途中で切るような事態が発生してもその不具合
を防止できる。
【0078】請求項7記載の発明によれば、印刷または
製版開始に先立って、インキ補充ローラを、版胴の内周
面とインキ供給部材の外周面の両方に接触する接触位置
に位置決めし、予め所定の回転回数だけ版胴を回転した
後に印刷を開始することにより、インキ補充ローラがイ
ンキ供給部材の外周面に塗布されているインキを版胴の
内周面に転移させて、内周面に必要な量のインキを補充
でき、インキの緩みを防止しながら製版後の版付け時や
印刷開始直後の印刷でのインキ供給不足を解消して、版
付け及び印刷時の印刷用紙の画像立ち上がりが悪化する
ことをも防止できると共に、製版後の版付け時や印刷開
始直後の印刷での、インキ供給不足による、印刷用紙の
画像立ち上がり悪化を防止することができる。
【0079】請求項8記載の発明によれば、インキ掻き
取り部材は、少なくとも版胴の内周面と接触する先端部
が、樹脂又は金属等の薄い弾性部材から構成されること
により、この先端部が弾性を持って版胴の内周面に接触
するので、上記請求項記載の発明の効果に加えて、特に
インキ掻き取り部材でのインキ掻き取り効果を高めるこ
とができる。
【0080】請求項9記載の発明によれば、インキ掻き
取り部材の先端部が、版胴の回転方向の上流側における
同版胴の内周面に対する接触角度が90°以上に設定さ
れているため、版胴の回転することで版胴の内周面のイ
ンキをすくい上げるように掻き取ることができ、上記請
求項記載の発明の効果に加えて、版胴の内周面のインキ
を効率よく碓実に掻き取ることができる。また、このよ
うな所定の角度を持ってすくい上げる方向に回動するこ
とによって、回動時に掻き取ったインキを版胴の内周面
に残すことなく、インキ供給部材あるいはインキ溜り部
に回収することができる。
【0081】請求項10記載の発明によれば、請求項7
記載の発明において、版胴の回転回数が、インキの温度
又は環境温度を検出する検出手段の検出結果に応じて増
減制御されることにより、環境温度またはインキ温度に
よるインキ粘度を考慮して版胴の回転回数が増減される
ので、版胴へのインキ供給不足や過度なインキ供給が極
めて少なくなり、印刷開始時の画像の立ち上がりの遅れ
や、インキの漏れ等を発生するのを防止できる。
【0082】請求項11記載の発明によれば、請求項7
記載の発明において、版胴の回転回数がインキ粘度に応
じて増減制御されるため、版胴へのインキ供給不足や過
度なインキ供給が極めて少なくなり、印刷開始時の画像
の立ち上がりの遅れや、インキの漏れ等を発生するのを
防止できる上に、長時間放置等によってインキ溜りのイ
ンキ自体が緩んでいても、直接インキ粘度を検出してい
るので、最適な版胴の回転回数に制御できる。
【0083】請求項12記載の発明によれば、請求項7
記載の発明において、版胴の回転回数は、放置時間に応
じて予め設定された回転回数だけ回転されることによ
り、放置時間の長短によるインキの粘度変化に応じて最
適な回転回数に制御されるので、印刷前に版胴の内周面
に十分なインキが転移されると共に、版胴の内周面への
過度なインキ供給が極めて少なくなり、印刷開始時の画
像の立ち上がりの遅れやインキの漏れ等が発生するのを
防止できる。
【0084】請求項13記載の発明によれば、請求項7
記載の発明において、版胴回転時の回転速度が、インキ
温度又は環境温度又はインキ粘度に応じて増減制御され
ることにより、インキ補充ローラによるインキの開孔部
への押し込みを調整でき、特に立ち上がり時の印刷画像
品質を向上させるのに効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の要部となる版胴内部の構成を示す拡大
断面図である。
【図2】本発明の一形態を示す印刷装置の概略構成図で
ある。
【図3】インキ掻き取り部材の掻取位置と、掻き取り部
材駆動手段を構成を示す一部破断拡大断面図である。
【図4】インキ掻き取り部材の戻し位置を示す一部破断
拡大断面図である。
【図5】インキ補充ローラの動作と補充部材駆動手段の
構成を示す一部破断拡大断面図である。
【図6】掻取部材駆動手段とその周部の構成を示す一部
破断拡大断面図である。
【図7】インキ掻き取り部材の制御動作を示すフローチ
ャートである。
【図8】図7の端子に接続するフローチャートであ
る。
【図9】インキ補充ローラの制御動作を示すフローチャ
ートである。
【符号の説明】
2 版胴 2a 外周面 2b 版胴の内周面 2c 版胴の開孔部 4 中心軸 8,9 インキ供給部材 8b,9a 外周面 13 インキ掻き取り部材 13a インキ掻き取り部材の先端部 28 掻き取り部材駆動手段 30 インキ補充部材 40 穿孔製版されたマスタ 42 インキ補充部材駆動手段 60 制御手段 103 印刷用紙 121,122 温度検出手段 122 粘度検出手段 123 計測手段 124 版胴回転回数設定手段

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多孔性支持円筒体を有し、その外周面に穿
    孔製版されたマスタが巻着されると共に自身の中心軸線
    回りで回転駆動される版胴と、この版胴の内部に設けら
    れ、上記版胴の内周面にインキを供給するインキ供給部
    材とを備え、上記版胴の開孔部及び上記マスタの穿孔部
    からインキを滲出させて印刷用紙に印刷を行う印刷装置
    において、 上記版胴の内部に設けられ、上記版胴の内周面のインキ
    を掻き取る掻取位置と、掻き取ったインキを上記インキ
    供給部材に戻す戻し位置とに移動自在に設けられたイン
    キ掻き取り部材と、 上記インキ掻き取り部材を上記掻取位置と戻し位置とに
    選択的に移動する掻き取り部材駆動手段とを有すること
    を特徴とする印刷装置。
  2. 【請求項2】多孔性支持円筒体を有し、その外周面に穿
    孔製版されたマスタが巻着されると共に自身の中心軸線
    回りで回転駆動される版胴と、この版胴の内部に設けら
    れ、上記版胴の内周面にインキを供給するインキ供給部
    材とを備え、上記版胴の開孔部及び上記マスタの穿孔部
    からインキを滲出させて印刷用紙に印刷を行う印刷装置
    において、 上記版胴の内側に設けられ、上記版胴の内周面のインキ
    を掻き取る掻取位置と、掻き取ったインキを上記インキ
    供給部材に戻す戻し位置と、上記掻取位置と上記戻し位
    置との中間に位置する中立位置とに移動自在に設けられ
    たインキ掻き取り部材と、 上記インキ掻き取り部材を上記掻取位置と戻し位置と中
    立位置とに選択的に移動する掻き取り部材駆動手段とを
    有することを特徴とする印刷装置。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の印刷装置におい
    て、 上記インキ供給部材の外周面と上記版胴の内周面の双方
    に接触する接触位置と、両者から離れた離間位置とに移
    動自在に設けられたインキ補充部材と、 上記インキ補充部材を上記接触位置と上記離間位置とに
    移動するインキ補充部材駆動手段とを有することを特徴
    とする印刷装置。
  4. 【請求項4】請求項1、2または3記載の印刷装置にお
    いて、 印刷中には上記インキ掻き取り部材が上記戻し位置また
    は上記中立位置を占め、印刷終了後には上記インキ掻き
    取り部材が上記掻取位置を占め、かつ上記版胴を所定回
    転回転駆動すると共に、この版胴の回転後に上記インキ
    掻き取り部材が上記戻し位置または上記中立位置を占め
    るように上記掻き取り部材駆動手段の駆動動作を制御す
    る制御手段を有することを特徴とする印刷装置。
  5. 【請求項5】請求項4記載の印刷装置において、 上記制御手段は、上記インキ掻き取り部材が上記戻し位
    置を占めた後、上記インキ供給部材を所定回転回数だけ
    回転すると共に、所定回転後に上記版胴の回転を停止
    し、上記インキ掻き取り部材が上記戻し位置または上記
    中立位置を占めるように上記掻き取り部材駆動手段の駆
    動動作を制御することを特徴とする印刷装置。
  6. 【請求項6】請求項4記載の印刷装置において、 上記インキの温度または装置の環境温度を検出する温度
    検出手段を有し、 上記制御手段は、上記温度検出手段の検出結果に応じ
    て、上記インキ掻き取り部材が上記掻取位置を占める時
    の上記版胴の回転回数を増減制御することを特微とする
    印刷装置。
  7. 【請求項7】請求項3記載の印刷装置において、 製版または印刷の前に、上記インキ補充部材が接触位置
    を占めるように上記インキ補充部材駆動手段の駆動動作
    を制御すると共に、上記版胴を所定回数だけ回転させ、
    この版胴の回転後に印刷を開始させる制御手段を有する
    ことを特徴とする印刷装置。
  8. 【請求項8】請求項1乃至6の何れか1つに記載の印刷
    装置において、 上記インキ掻き取り部材は、上記掻取位置を占めたとき
    に少なくともその先端部が上記版胴の内周面と接触可能
    に設けられ、その先端部が樹脂または金属等の簿い弾性
    部材から構成されていることを特徴とする印刷装置。
  9. 【請求項9】請求項8記載の印刷装置において、 上記インキ掻き取り部材の先端部は、上記版胴の回転方
    向の上流側における同版胴の内周面に対する接触角度が
    90°以上に設定されていることを特徴とする印刷装
    置。
  10. 【請求項10】請求項7記載の印刷装置において、 上記インキの温度または装置の環境温度を検出する温度
    検出手段を有し、 上記制御手段は、上記温度検出手段の検出結果に応じ
    て、上記版胴の回転回数を増減制御することを特徴とす
    る印刷装置。
  11. 【請求項11】請求項7記載の印刷装置において、 上記インキの粘度を検出する粘度検出手段を有し、 上記制御手段は、上記粘度検出手段の検出結果に応じ
    て、上記版胴の回転回数を増減制御することを特徴とす
    る印刷装置。
  12. 【請求項12】請求項7記載の印刷装置において、 上記版胴の回転回数が版胴放置時間に応じて予め設定さ
    れた版胴回転回数設定手段と、上記版胴の放置時間を計
    測する計測手段とを備え、 上記制御手段は、上記計測手段の計測結果に応じて上記
    版胴回転回数設定手段から上記版胴回転回数を選択し
    て、その選択結果に基づき上記版胴を回転駆動すること
    を特徴とする孔版印刷装置。
  13. 【請求項13】請求項7記載の印刷装置において、 上記インキの温度または装置の環境温度を検出する温度
    検出手段または上記インキの粘度を検出する粘度検出手
    段の少なくとも1つを備え、 上記制御手段は、上記版胴回転時の回転速度を、上記温
    度検出手段または上記粘度検出手段からの検出結果に応
    じて増減制御することを特徴とする印刷装置。
JP37249898A 1998-12-28 1998-12-28 印刷装置 Expired - Lifetime JP4386980B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP37249898A JP4386980B2 (ja) 1998-12-28 1998-12-28 印刷装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP37249898A JP4386980B2 (ja) 1998-12-28 1998-12-28 印刷装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000190611A true JP2000190611A (ja) 2000-07-11
JP4386980B2 JP4386980B2 (ja) 2009-12-16

Family

ID=18500547

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP37249898A Expired - Lifetime JP4386980B2 (ja) 1998-12-28 1998-12-28 印刷装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4386980B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001253159A (ja) * 2000-03-13 2001-09-18 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷装置
CN114290799A (zh) * 2021-12-23 2022-04-08 苏州云之安电子有限公司 一种可快速固化油墨的印刷装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001253159A (ja) * 2000-03-13 2001-09-18 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷装置
JP4495822B2 (ja) * 2000-03-13 2010-07-07 東北リコー株式会社 孔版印刷装置
CN114290799A (zh) * 2021-12-23 2022-04-08 苏州云之安电子有限公司 一种可快速固化油墨的印刷装置
CN114290799B (zh) * 2021-12-23 2023-07-11 苏州云之安电子有限公司 一种可快速固化油墨的印刷装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP4386980B2 (ja) 2009-12-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2826069B2 (ja) 製版印刷装置
JP2000190611A (ja) 印刷装置
JP3210808B2 (ja) 孔版印刷装置及びそれに用いられる吸着部材
US20060185534A1 (en) Stencil printer
JP4495822B2 (ja) 孔版印刷装置
JP3210814B2 (ja) 孔版印刷装置
JP3691592B2 (ja) 孔版印刷装置
JP3723068B2 (ja) 製版印刷装置および製版印刷方法
JP2002079652A (ja) ドラムユニットおよび孔版印刷装置
JP3581749B2 (ja) 孔版印刷装置
JP4365479B2 (ja) 孔版印刷装置
JP2001260327A (ja) 孔版印刷装置
JP4846934B2 (ja) 孔版印刷装置
JP2838220B2 (ja) 孔版印刷装置
JPH08183238A (ja) 孔版印刷装置
JP3027537B2 (ja) 孔版印刷装置
JP3731018B2 (ja) 孔版印刷装置
JP4136131B2 (ja) 版胴装置
JP3880270B2 (ja) 印刷装置のインク供給機構
JPH11129599A (ja) 孔版印刷方法
JP3702045B2 (ja) 印刷方法、印刷装置、搬送装置、搬送ローラ
JP5152902B2 (ja) 孔版印刷装置
JP2009143076A (ja) 孔版印刷装置
JP2005231067A (ja) 孔版印刷装置
JPH09314817A (ja) 孔版印刷装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051201

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080929

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081007

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081113

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090929

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090930

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121009

Year of fee payment: 3