JP2000190271A - 移送装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】従来の係合手段では、係合・解除を間違えた
り、停電やシリンダに対する流体が与えるエネルギの供
給がストップしたりして誤動作したりすると係合が外れ
てしまう。 【解決手段】移送装置の保持部材１を、移動部材９と接
続される接続部２と、接続部２から延出された支持アー
ム３と、支持アーム３の先端を包むように取り付けられ
た片保持具４と、片保持具４から延出され支持アーム３
の基端側に曲折されたＬ字状の係合片５と、片保持具４
に設けられたシリンダ可動部６と、支持アーム３に設け
られたシリンダ固定部７と、シリンダ固定部７に設けら
れシリンダ可動部６を押し出すように作用する弾性体８
で形成する。シリンダ固定部７には、空気圧によってシ
リンダ可動部６を支持アーム３基端側に引き込む駆動部
材を設ける。弾性体８の弾性力は被移送物１０の荷重で
は上記片保持具４を動かすことがない程度にする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は上方から被移送物を
掴んで持ち上げつつ移送する移送装置に関し、特に、掴
む作業に誤動作がなく、掴んだ後、不用意に被移送物が
外れない移送装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、アームロボツトや製造ラインにお
いて被移送物を移送する際の被移送物保持手段として、
図３に示すように、支持棒３の先端に設けたＬ字状の係
合片５を被移送物１０の底面に係合させて保持する係合
手段がある。該係合手段では、前記係合片５を図示外の
シリンダや電磁弁によって係合方向や反係合方向へと摺
動させて被移送物１０に係合させたり解除させたりする
ものである。

【０００３】

【発明が解決しようとしている課題】しかしながら、該
係合手段では、係合・解除を間違えて行ったり、停電や
シリンダに対する流体が与えるエネルギの供給がストッ
プしたりして誤動作したりすると、上記係合が外れてし
まうという課題があった。

【０００４】したがって、本発明の目的は、この課題を
解決し、係合・解除の操作ミスがなく、さらにはエネル
ギの供給を断たれても該係合が外されないことにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
につき鋭意検討を行った結果、被移送物を掴むときだけ
係合部材を駆動部材により動かし、被移送物を離したと
きにのみ作業者の手を煩わせることなく係合が解ける移
送装置を見いだし、本発明を完成させた。

【０００６】すなわち、本発明は、被移送物を掴む保持
部材と、該保持部材を移動させる移動部材を有する移送
装置において、該保持部材が、前記移動部材と接続され
る接続部と、該接続部から棒状に延出された複数の支持
アームと、該支持アームの先端に該支持アームを包むよ
うに取り付けられ該支持アーム上を摺動する片保持具
と、該片保持具から延出され上記支持アームの基端側に
曲折されたＬ字状の係合片と、前記片保持具に設けられ
たシリンダ可動部と、前記支持アームに設けられたシリ
ンダ固定部と、該シリンダ固定部に該シリンダ可動部を
押し出すように取り付けた弾性体と、該シリンダ固定部
に設けられ電気、磁気又は流体によるエネルギを受けた
ときには該シリンダ可動部を上記支持アーム基端側に引
き込む駆動部材を有し、さらに上記弾性体の弾性力が被
移送物の荷重では上記片保持具を動かすことがない程度
であることを特徴とする移送装置である。

【０００７】

【発明の実施の形態】ここで、本発明にかかる移送装置
は、上記保持部材は、上記移動部材によって移動させら
れるものである一方、被移送物を掴むものである。

【０００８】該被移送物としては、様々な形状のものを
対象とすることができるが、後述する片保持具との関係
上、その形状は、その背面の端部が角張っている必要が
あり、具体的には板状体、立方体、これら形状を元にし
た異形状体等がある。

【０００９】上記保持部材は、後述する移動部材と接続
される接続部と、該接続部から棒状に延出された複数の
支持アームと、該支持アームの先端に該支持アームを包
むように取り付けられ該支持アーム上を摺動する片保持
具と、該片保持具から延出され上記支持アームの基端側
に曲折されたＬ字状の係合片と、前記片保持具に設けら
れたシリンダ可動部と、前記支持アーム又は上記接続部
に設けられたシリンダ固定部と、該シリンダ固定部に該
シリンダ可動部を押し出すように取り付けた弾性体と、
該シリンダ固定部に設けられ電気、磁気又は流体による
エネルギを受けたときには該シリンダ可動部を上記支持
アーム基端側に引き込む駆動部材を有するものである。

【００１０】上記接続部は、棒状の支持アームを一辺に
動かすために該支持アームを複数延出したものである。

【００１１】上記支持アームは、被移送物の大きさや形
状に応じてその長さ、本数、配置等を適宜選択して構成
するものである。該支持アームの構成例としては、上記
接続部および該支持アームとして棒状体を採用し、該支
持アームを互いに間隔を開けつつ平行に並べ、さらに該
接続部に対して垂直に接するように形成する場合や、該
支持アームを放射線状に延ばし、その中心にこれら支持
アーム同士を固定する接続部を設ける場合など、適宜選
択することができる。

【００１２】上記片保持具は、該支持アームの先端に該
支持アームを包むように取り付けられ（内部に開口した
筒を設け）該支持アーム上を摺動する一方、上記Ｌ字状
の係合片を保持するものである。該係合片が上記被移送
物からの荷重を受けた際、該片保持具は上記支持アーム
との摩擦抵抗により位置固定される。該摩擦抵抗を大き
くするために、該片保持具の筒を上記支持アームの外形
より少し大きく形成して上記被移送物からの荷重を受け
た時に斜めになるようにすることもできる。

【００１３】該片保持具の外側にはシリンダ可動部の一
部が取り付けられ、上記支持アーム又は上記接続部には
シリンダ固定部が取り付けられ、これにより該支持アー
ムに対して該片保持具が摺動自在に取り付けられる。ま
た、該片保持具を該支持アームの基端部から遊端部へ引
き込む際には該シリンダ固定部・該シリンダ可動部同士
を引き合う方向にしか駆動しない駆動部材を取り付け、
これにより、該駆動部材を誤操作しても該駆動部材自体
が誤作動しても上記被移送物をみだりに離すことがな
い。

【００１４】該シリンダ可動部を該シリンダ固定部へ引
き込む手段としては、電動モータ、電磁気、流体（空
気、水や油）等のよってすることができ、製品の簡便化
を考えると空気圧による吸引が好ましい。

【００１５】一方、該片保持具を該支持アームの基端部
から遊端部へ押し出す際には該シリンダ固定部・該シリ
ンダ可動部同士を引き合うように取り付けられた弾性体
により駆動させる。該弾性体としては、金属製や合成樹
脂製の弦巻バネ、ゴムなどがある。該弾性体によってシ
リンダ可動部を引っ張る力は、被移送物の荷重では上記
片保持具を動かすことがない程度の弱いものであり、具
体的には、６０ｋｇの被移送物で上記係合片が５個の場
合、３ｋｇ程度、６個の場合、２．５ｋｇ程度である。
ここで、このような値になったのは、例えば該係合片が
５個であれば、１／６の１０ｋｇの負荷をかけた上記係
合片を引き抜く方向に引っ張った結果、該係合片が動い
てしまわない実測に基づくものである。

【００１６】上記係合片は、上記片保持具から延出され
上記支持アームの基端側に曲折されたＬ字状の片であ
り、その大きさ及び長さは上記被移送物の形状に応じて
適宜選択できるものである。

【００１７】上記移動部材は、上記保持部材の支持アー
ムを、上記接続部を介してまとめて移動させる部材であ
り、具体的には、該接続部にボルト・ナット、チェーン
やワイヤで接続したアーム・ロボット、アーム式の搬送
機、Ｘ−Ｙ方向への電気的駆動による移動装置等があ
る。

【００１８】本発明にあっては、上記保持部材の係合・
解除の駆動を別にし、これにより、係合・解除の操作ミ
スがなく、さらにはエネルギの供給を断たれても該係合
が外されない。

【００１９】

【実施例】以下、本発明にかかる実施例について、図１
及び図２に基づき、詳細に説明する。図１は、本実施例
にかかる移送装置を模式的に示した説明図であり、図２
は図１の要部（シリンダ部分）を拡大した説明図であ
る。

【００２０】本実施例において採用した移送装置は、被
移送物１０としての板を掴む保持部材１と、該保持部材
１を移動させるアーム状の移動部材９を有するものであ
る。

【００２１】該移送装置における前記保持部材１は、図
１及び図２に示すように、前記移動部材９と接続される
間接状の接続部２と、該接続部２から棒状に延出された
複数の支持アーム３と、該支持アーム３の先端に該支持
アーム３を包むように取り付けられ該支持アーム３上を
摺動する片保持具４と、該片保持具４から延出され上記
支持アーム３の基端側に曲折されたＬ字状の係合片５
と、前記片保持具４に設けられたシリンダ可動部６と、
前記支持アーム３に設けられたシリンダ固定部７を有す
る。

【００２２】上記シリンダ固定部７には、図示外の駆動
部材が取りつけられている。該駆動部材は、シリンダ固
定部７へ流体（空気）によるエネルギを与えることがで
き、このエネルギにより上記シリンダ可動部６を上記支
持アーム３基端側に引き込む。

【００２３】また、該シリンダ固定部７の内部には該シ
リンダ可動部６を該シリンダ固定部７から押し出すよう
に取りつけられた弾性体８としての弦巻バネがある。該
弦巻バネの弾性力は、上記板１０の荷重では上記片保持
具４を動かすことがない程度に設定されている。

【００２４】本実施例にかかる移送装置は、被移送物を
掴んで移送する工程は次の通りである。

【００２５】上記板１０の上に上記支持アーム３を移動
部材９の移動によって配置し、一方の側にある３つの係
合片を該板１０の縁に係合させる。駆動装置によりシリ
ンダ可動部６をシリンダ固定部７に引き込むことにより
係合片５を板１０の縁に係合させる。このとき、該シリ
ンダ固定部７内にある弾性体８の力は、該引込力より弱
いため、無視された形となる。係合された板１０は、上
記移動部材９の動きによって移送される。移送中に、上
記駆動部材による空気の引き込みは終了する。該終了が
あっても、該板１０の荷重により、上記係合片５は該板
１０から離れることはない。移送先では、該係合片５と
板１０との係合がフリーになるように板１０を置く。該
係合がフリーになるため、上記弾性体８の力によって、
何ら手を加えることなく、上記係合片５は板１０から離
れる。

【００２６】本実施例にあっては、係合のときにしか操
作しないため、係合・解除の操作ミスがなく、さらには
エネルギの供給を断たれても該係合が外されないことに
ある。

【００２７】

【発明の効果】本発明にあっては、被移送物を掴む保持
部材と、該保持部材を移動させる移動部材を有する移送
装置において、該保持部材が、前記移動部材と接続され
る接続部と、該接続部から棒状に延出された複数の支持
アームと、該支持アームの先端に該支持アームを包むよ
うに取り付けられ該支持アーム上を摺動する片保持具
と、該片保持具から延出され上記支持アームの基端側に
曲折されたＬ字状の係合片と、前記片保持具に設けられ
たシリンダ可動部と、前記支持アームに設けられたシリ
ンダ固定部と、該シリンダ固定部に該シリンダ可動部を
押し出すように取り付けた弾性体と、該シリンダ固定部
に設けられ電気、磁気又は流体によるエネルギを受けた
ときには該シリンダ可動部を上記支持アーム基端側に引
き込む駆動部材を有し、さらに上記弾性体の弾性力が被
移送物の荷重では上記片保持具を動かすことがない程度
とし、これにより、係合・解除の操作ミスがなく、さら
にはエネルギの供給を断たれても該係合が外されない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかる実施例としての移送装置を模式
的に示した説明図である。

【図２】図１のシリンダ部分を拡大した説明図である。

【図３】従来例としての移送装置を模式的に示した説明
図である。

【符号の説明】

１ 保持部材 ２ 接続部 ３ 支持アーム ４ 片保持具 ５ 係合片 ６ シリンダ可動部 ７ シリンダ固定部 ８ 弾性体 １０ 被移送物（板）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 3F060 AA01 3F061 AA01 BA03 BB09 BD03 BD10 BE05 DB04

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被移送物（１０）を掴む保持部材（１）
   と、該保持部材（１）を移動させる移動部材（９）を有
   する移送装置において、該保持部材（１）が、前記移動
   部材（９）と接続される接続部（２）と、該接続部
   （２）から棒状に延出された複数の支持アーム（３）
   と、該支持アーム（３）の先端に該支持アーム（３）を
   包むように取り付けられ該支持アーム（３）上を摺動す
   る片保持具（４）と、該片保持具（４）から延出され上
   記支持アーム（３）の基端側に曲折されたＬ字状の係合
   片（５）と、前記片保持具（４）に設けられたシリンダ
   可動部（６）と、前記支持アーム（３）に設けられたシ
   リンダ固定部（７）と、該シリンダ固定部（７）に該シ
   リンダ可動部（６）を押し出すように取り付けた弾性体
   （８）と、該シリンダ固定部（７）に設けられ電気、磁
   気又は流体によるエネルギを受けたときには該シリンダ
   可動部（６）を上記支持アーム（３）基端側に引き込む
   駆動部材を有し、さらに上記弾性体（８）の弾性力が被
   移送物の荷重では上記片保持具（４）を動かすことがな
   い程度であることを特徴とする移送装置。