JP2000189153A - 鉱物油分解性微生物の培養方法 - Google Patents

鉱物油分解性微生物の培養方法

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JP2000189153A
JP2000189153A JP10364763A JP36476398A JP2000189153A JP 2000189153 A JP2000189153 A JP 2000189153A JP 10364763 A JP10364763 A JP 10364763A JP 36476398 A JP36476398 A JP 36476398A JP 2000189153 A JP2000189153 A JP 2000189153A
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mineral oil
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Kazuhiko Anada
和彦 穴田
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  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉱物油分解微生物を確実に得て、効率良く培
養する鉱物油分解性微生物の培養方法を提供する。 【解決手段】 自然界に存在する水や土壌から複数の材
料、例えば海生微生物群体を含む海底泥砂層や海中浮遊
層、陸水生微生物群体を含む泥水排水や川や沼の水、陸
土壌微生物群体を含む畑田採掘土壌等を採取し、各材料
ごとに所定の鉱物油が含まれている培地材で作られた培
地に散布し鉱物油分解性微生物の初期培養を行なう。こ
の初期培養された複数の鉱物油分解性微生物を、さらに
所定の鉱物油が含まれている培地材で作られた培地に各
々注入して混合し、慣性培養し変性菌群体を作る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、鉱物油を分解す
る鉱物油分解微生物の培養方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、鉱物油を分解する鉱物油分解微生
物は、近年その存在が確認され、海岸に打ち上げられた
重油を分解する等有効な作用があることが知られてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、鉱物油分解微
生物を選択的に培養して商品化した例はなく、商品化の
ための効率の良い培養方法が望まれていた。
【0004】この発明は、上記従来の技術の問題点に鑑
みてなされたもので、鉱物油分解微生物を確実に得て、
効率良く培養する鉱物油分解性微生物の培養方法を提供
することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、自然界に存
在する水や土壌から複数の材料、例えば海生微生物群体
を含む海底泥砂層や海中浮遊層、陸水生微生物群体を含
む泥水排水や川や沼の水、陸土壌微生物群体を含む畑田
採掘土壌等を採取し、各材料ごとに所定の鉱物油が含ま
れている培地材で作られた培地に散布し鉱物油分解性微
生物の初期培養を行ない、この初期培養された複数の鉱
物油分解性微生物を、さらに所定の鉱物油が含まれてい
る培地材で作られた培地に各々注入して混合し慣性培養
し変性菌群体を作る鉱物油分解微生物の培養方法であ
る。
【0006】さらに、上記の初期培養に使用される培地
は、重油分解微生物の培養には、重油が含まれた重油培
地で培養し、軽油分解微生物の培養には、軽油が含まれ
た軽油培地で軽油分解微生物を培養するものである。
【0007】また、上記の慣性培養に使用される培地
は、重油分解微生物の培養には、重油が含まれた重油用
培地で重油分解微生物を培養し、軽油分解微生物の培養
には、軽油が含まれた軽油用培地で軽油分解微生物を培
養する鉱物油分解微生物の培養方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、この発明の鉱物油分解微生
物の培養方法の一実施形態について説明する。この実施
形態は、海底泥砂層の泥砂物や海中浮遊層の浮遊物を採
取し、これを所定の鉱物油が含まれている培地材で作ら
れた培地に散布し海生微生物群体の鉱物油分解微生物の
初期培養を行なう。そして、泥水排水や、川や沼の水を
採取し、これを所定の鉱物油が含まれている培地材で作
られた培地に散布し陸水生微生物群体の鉱物油分解微生
物の初期培養を行なう。また、畑田採掘土壌や山地採掘
土壌を採取し、所定の鉱物油が含まれている培地材で作
られた培地に散布し陸土壌微生物群の鉱物油分解微生物
の初期培養を行なう。次に、個別に初期培養された上記
各海生微生物群体、陸水生微生物群体、陸土壌微生物群
を混合し、所定の鉱物油が含まれている培地材で作られ
た培地で慣性培養し、新種の変性菌群体を作る。
【0009】この実施形態の鉱物油分解性微生物の培養
方法によれば、簡単で確実に微生物群から鉱物油分解性
微生物を探索し、培養することができ効率が良い。そし
て慣性培養して得られた新種の変性菌体群は高い鉱物油
分解能力を有するため、いろいろな商品に利用すること
が可能である。
【0010】例えばこの菌は、重油や軽油に添加する改
質剤として利用することができ、この改質剤の作用は、
流動性向上、スラッジ分散性向上、燃焼助成、粘度低
下、含水分エマルジョン化、炭化水素質化、水素分解、
炭化水素分子密環状糸切断、酸化安定などがある。この
改質剤によれば、品質の良くない燃料でも燃費が良くな
り、排ガスがきれいになる等の効果がある。
【0011】この実施形態の鉱物油分解微生物の作用を
説明するため、軽油と重油について説明する。軽油は、
原油から分留された軽油留分を水素化脱硫装置により硫
黄分を減少させて製造され、硫黄分は平均0.4%程度
であるが、0.3%程度に減少すれば燃焼効率も向上
し、さらに排出ガス成分の硫黄酸化物も減少となる。そ
して現在改質を要求されている項目は、(1)着火性、
(2)揮発性、(3)粘度、(4)低温流動性、(5)
硫黄分、(6)残暑炭素分で、この鉱物油分解微生物を
含有した石油改質剤は上記の項目について改質を行なう
もので、各項目毎に説明する。
【0012】(1) 着火性 ディーゼルエンジンは燃料が高温高圧の圧縮空気の中へ
噴射され、液滴が気化して混合気が形成され、自然着火
して燃焼する。この場合、自然着火温度が低い程よい。
この石油改質剤は、着火性の工程4工程、つまり燃料の
噴射から燃焼終了までの4つの過程で、有効作用をし、
物理的着火遅れ作用、化学的着火遅れ作用に有効で、さ
らに安定性着火、補助燃焼性作用がある。着火性すなわ
ちセタン価は、nパラフィンが最も高く、ナフテン、オ
レフィン、イソパラフィン、芳香族の順である。セタン
価を高める効果を持つセタン向上剤として通常はアルキ
ル硝酸エステルRONO2や、有機過酸化物などがある
が、この石油改質剤に含まれている菌の一種、Pscudomo
nadales(シュドモナス菌)が、軽油の混合体の中でn
・CO2・n・・O2を気泡状で遊走作用をして、同様の
作用を行なう。この作用を図15に示す。
【0013】(2) 揮発性の改良 軽油では、揮発性はあまり問題にならず、低温始動性に
は関係あるが着火性のほうが大きく、後述の低温流動性
も問題が大きい。一方、高沸点留分は排気ガス中の黒煙
や粒子状物質の排出に悪影響を与えるので、90%留出
温度が規定されており、軽油の種類により90%留出温
度は360〜330℃以下に規定されている。この揮発
性には、この石油改質剤に含まれている菌の一種、好気
性Bacillusが拡散作用をすることにより揮発性の調整が
行なわれる。この作用を図16に示す。
【0014】(3) 粘度の改良 粘度は燃焼噴射時の噴射性を左右するもので、粘度が小
さいほど噴射粒子が小さく、一方噴射粒子が小さすぎる
と噴射の貫徹性と称する粒子の広がりが悪くなるので、
ある程度の粘度が必要とされる。また、粘度が低すぎる
と、噴射ポンプや噴射弁の摩擦をもたらすため、粘度の
下限が規定されている。粘度を高めたり低めたりするの
は、炭素群の硫満状態化に基づいて判断される。この石
油改質剤に含まれている菌の一種、嫌気性微生物Psudom
onadalcesおよびRhodobaterialesが作用し粘度の調整を
行なう。この作用を図17に示す。
【0015】(4) 低温流動性の調整作用 冬期のディーゼルエンジン車の低温始動性には低温時の
着火性もあるが、軽油の低温流動性不良による始動不能
がより問題になる。寒冷時にワックスの拆出によりフィ
ルターの目づまりが起こり、ポンプの作動不良を招くた
めである。作動性向上剤にはエチレン−酢酸ビニル系共
重合体、アルケニルコハク酸アミド系等があるが、この
石油改質剤に含まれている菌の種類、Hydromyxales,De
sulfotomaculumが同様の作用を行なう。そして軽油中の
ワックスの結晶拆出はnパラフィンによるもので、結晶
は生長して三次元の構造を形成し、油全体の流動性を失
わせる。この石油改質剤は流動向上性作用があり、0.
01〜0.06%添加すれば、拆出するワックスの結晶
を微細化することにより流動点を下げ、またフィルター
を通過しやすくする。
【0016】(5) 硫黄分、残留炭素分発生の調整性
作用 軽油中の硫黄分は燃焼して硫黄酸化物(SOx)を生成
し、大気汚染やエンジンの腐蝕の原因になる。さらに、
排気ガス中の硫黄酸化物(SOx)は、ディーゼル車の
排気ガス対策の排気ガス再循環法等に悪影響をもたら
し、また排気ガス中の粒子状物質の成分の一部になるこ
とから、硫黄分を当面0.2%に低減することが考えら
れている。現在の硫黄分の規定は、0.5%以下であ
る。この石油改質剤に含まれる菌の一種、Desulfotomac
ulum、RhodobacterialesによってSOx、COxの分解、
変換作用が行なわれる。
【0017】(6) 黒煙及びパティキュート 軽油燃焼エンジンの排気ガスで問題になる黒煙、あるい
はパティキュートと呼ばれる粒子状物質は軽油組成に関
係がある。黒煙はパティキュートの主な成分をなすもの
であるが、後者には高沸点炭化水素成分や、潤滑油に由
来するものなどを含む。この石油改質剤に含まれるメチ
ル酸化菌は、メチル基を持つメタンその他の一炭素化合
物を炭素源、エネルギー源とする好気性菌で石油組成分
解性作用を行なう。
【0018】次に重油について説明する。重油は、残油
(常圧残油、減圧残油、脱硫残油)を、軽油留分(常圧
軽油留分、減圧軽油留分、接触分解の循環油等)と調合
し、粘度、硫黄分、流動点などを規格又は需要の要求に
合わせて製造される残油を含む割合は、A重油では少な
く、C重油で多く、C重油の特に高粘度のものには残油
のみからなるものもある。そして、現在改質を要求され
ている項目は、(1)粘度、(2)硫黄分、(3)残留
炭素分、灰分(4)貯蔵・混合安定性で、この実施形態
の鉱物油分解微生物は上記の項目について改質を行なう
もので、各項毎に説明する。
【0019】(1) 粘度 粘度は燃焼時の噴射性を左右しバーナー(燃焼機)選択
の基準になり、又ポンプで移送するときなど取り扱いの
基準になる。従って、重油は主に粘度により分類され
る。この石油改質剤に含まれる菌の一種、Desulfotomac
ulumによって、粘度が低粘度に傾く。
【0020】(2) 硫黄分 重油中の硫黄分は燃焼して硫黄酸化物(SOx)とな
り、大気汚染の原因となり又ディーゼルエンジンではエ
ンジンの腐蝕摩耗の原因となる。この石油改質剤に含ま
れる菌の一種、Rhodobacterialesによって、硫黄分は硫
黄酸化細菌に変体し、硫黄分を減少させる。
【0021】(3) 残留炭素分、灰分 残留炭素が多いと、ノズルにカーボンが付着し燃焼を阻
害する。灰分は、ボイラーの電熱面に堆積して効率を低
下させる。灰分は重油中の金属の酸化物であるが、特に
バナジウムはナトリウムとともに融点500〜700℃
程度の低融点の酸化物V25・Na2O を生成し高温腐
蝕を生じる。この石油改質剤に含まれる菌の一種、Rhod
obacteriales(紅色硫酸菌)の作用に基づきエネルギー
の獲得は光リン酸化によって行なわれ、光のエネルギー
を利用してATPを作る回路的光リン酸化を行ない、
V,Na,K,P等の金属性灰分、粘性構成炭素群が緩
和作用を行ない、灰分は減少する。
【0022】(4) 貯蔵・混合安定性 重油はアスファルテン分やレジン分を含み、これらは油
中で会合して分散していると推定されるが、水分やワッ
クス分とカラムと、スラッジとして分離沈殿することが
ある。また、重油を調合する際に、アスファルテンやレ
ジンの分散系がくずれて拆出することがある。この石油
改質剤に含まれる菌の一種、Pasteuriaramosaの作用に
より分散水分を乳化作用させてスラッジ形成を妨げる。
【0023】このような鉱物油分解微生物の作用は、以
下のような効果をもたらす。まず、石油燃料の主成分で
ある炭化水素の連鎖状態を外し、動粘度を低下させこと
により石油改質剤の持っているエネルギーをより完全燃
焼に近づけ、タンク、配管、エレメント、ギヤーポン
プ、ノズルの掃除が不要となる。黒煙がほとんどなくな
り、燃焼効果アップにともないフェールNOxが減少し
公害防止に効果がある。そして、燃焼後の断熱材となる
カーボンの除去と、カーボンの結合を外して酸素を結合
しやすくすることにより、燃料油と空気との混合比が薄
い希薄燃焼化が起こり、ディフューザー、缶体、煙突の
掃除が不要となる。そしてこの希薄燃焼化により窒素酸
化物の発生が減少しサマールNOxが減少し、有害物質
NOx,CO,HCの全てが減少し、公害防止に効果が
ある。このように排煙や排ガスの匂いが少なくなり、特
に排ガスによる大気汚染が大きな社会問題となっている
ディーゼルエンジンの有害ガスを減少させ、また、排ガ
スが直接室内に溜まる石油ストーブにも有効である。
【0024】また、石油燃料の動粘度低下にともない過
剰燃料の調整を行なうため燃料の節約になる。そして希
薄燃焼化により石油燃料に含まれている硫黄を酸化減少
が起こる前に灰にしてしまう脱硫効果が起こり、ボイラ
ー等の設備の耐久性が上がり、またスラッジがなくなる
のでメンテナンスが楽になる。そして、断熱効果を有す
るカーボンが除去されるため燃費も向上し経済的であ
る。特に、品質が良くない外国の石油燃料の質を向上さ
せることができる。
【0025】この鉱物油分解微生物には、その他に燃焼
助成作用、含水分エマルジョン作用、炭化水素資化作
用、水素分解作用、酸化安定化作用がある。このような
石油改質剤の作用については、各種微生物群体の単独作
用によるものか、多種微生物群体の総合性相乗作用であ
るのかは明確ではない。
【0026】また、この鉱物油分解微生物は、実施例に
示す当開発培地を使用して培養・変形固定化(分生子、
子実体、胞芽)とし、さらに鉱物油の慣性培養処理も行
ない、生産する。鉱物油溶液環境に存在する多種多様な
鉱物油形勢成分を慣性分解資化する機能を獲得してい
る。改質(粘度物質低粘性化)作用の環境微生物類の分
解遺伝子の変形変化は多様であり、多種な遺伝子の移動
が起こり、新規な機能が生じる(酵素、核酸等)ことが
明らかになってきている。
【0027】
【実施例】次にこの発明の第一実施例について図1に基
づいて説明する。まず、海生微生物群から鉱物油分解性
微生物を培養する方法について説明する。海生微生物群
体の採取方法は、海底泥砂層の泥砂物と海中浮遊層の浮
遊物を採取ビンに採取し、冷温室(5〜10℃)にて、
培養開始まで保存する。採取場所は、石川県輪島市特定
場所と富山県富山市岩瀬であった。
【0028】次に海生微生物群体から重油分解微生物と
軽油分解微生物を選択する微生物探索培養について説明
する。まず、培養器具はガラスシャーレ(90¢*20
t)、コロニー接種・保存器具は2000ml耐熱ガラス
ビン、マイクロフィルター貼り付けキャップを使用す
る。そして培地は、以下の表1、表2に示すような鉱物
油(石油系)培地で、軽油を分解する軽油分解微生物用
と、重油を分解する重油分解微生物用の2種類の培地を
準備する。培地製造は2000ml耐熱ガラスビンを使用
する。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】重油用培地の作り方は、まず、蒸留水10
00mlに上記の培地材を順次入れて混合する。ただし、
重油又は軽油は最後に混入する。そして、オートクレー
ブで100℃、2時間処理を行ない、溶解させ滅菌処理
を施す。このときキャップはせずに通気性防菌フィルタ
ーをビン口部に貼り付ける。処理完了後、自然冷却し、
保存庫(冷温)にて保存する。
【0032】次に重油分解微生物を選択する探索培養の
操作方法について説明する。培養器具はガラスシャーレ
(90¢*20t)10個、培養装置はSCH−13型
(シャーレ10個分)、接種操作はクリーンベンチ(小
型無菌ボックスHCB−BM型)内で行なう。まず、こ
のシャーレ10個に、上記の重油用培地を10mmt量
(シャーレ厚さ20mmt量)注入する。そしてこの各
培地の培地表面全体に海生微生物群体を散布するように
接種する。接種後シャーレをキャップし、上記の培養装
置にセットし、雰囲気20〜25℃で168時間培養す
る。培養完了後、培地表面に発生した微生物コロニーを
吸収器(スポイド)にて採取し、コロニー接種保存ビン
の培地に接種し培養する。これを重油分解微生物とす
る。コロニー接種保存ビンは、通気性ミクロフィルター
を付け、キャップをして保存庫(冷温)にて保存する。
【0033】また、軽油用培地の作り方は、上記重油用
培地と同様で、また軽油分解微生物を選択する探索培養
の操作方法は重油分解微生物の探索培養と同様の操作で
行なわれる。
【0034】次に陸水生微生物群から鉱物油分解性微生
物を培養する方法について説明する。まず、陸水生微生
物群の採取について説明する。水田、GSピット、川の
澱み場所及び沼で泥水排水を採取ビンに採取し、冷温室
(5〜10℃)にて、培養開始まで保存する。採取場所
は、水田、GSピットが富山県富山市八町地区で、川の
澱み場所及び沼は同県婦負郡八尾町であった。
【0035】次に陸水生微生物群体から重油分解微生物
と軽油分解微生物を選択する微生物探索培養について説
明する。まず、培養器具はガラスシャーレ(90¢*2
0t)、コロニー接種・保存器具は2000ml耐熱ガラ
スビン、マイクロフィルター貼り付けキャップを使用す
る。そして培地は、以下の表3、表4に示すような鉱物
油(石油系)培地で、軽油を分解する軽油分解微生物用
と、重油を分解する重油分解微生物用の2種類の培地を
準備する。培地製造は2000ml耐熱ガラスビンを使用
する。
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】重油用培地の作り方は、まず、蒸留水10
00mlに材料を順次入れる。ただし、重油又は軽油は最
後に混入する。そして、オートクレーブで100℃、2
時間処理を行ない、溶解させ滅菌処理を施す。このとき
キャップはせずに通気性防菌フィルターをビン口部に貼
り付ける。処理完了後、自然冷却し、保存庫(冷温)に
て保存する。
【0039】次に重油分解微生物を選択する探索培養の
操作方法について説明する。培養器具はガラスシャーレ
(90¢*20t)10個、培養装置はSCH−13型
(シャーレ10個分)、接種操作はクリーンベンチ(小
型無菌ボックスHCB−BM型)内で行なう。まず、こ
のシャーレ10個に、上記の重油用培地を10mmt量
(シャーレ厚さ20mmt量)注入する。そしてこの各
培地の培地表面全体に海生微生物群体を散布するように
接種する。接種後シャーレをキャップし、上記の培養装
置にセットし、雰囲気20〜25℃で168時間培養す
る。培養完了後、培地表面に発生した微生物コロニーを
吸収器(スポイド)にて採取し、コロニー接種保存ビン
の培地に接種し培養する。これを重油分解微生物とす
る。コロニー接種保存ビンは、通気性ミクロフィルター
を付け、キャップをして保存庫(冷温)にて保存する。
【0040】また、軽油用培地の作り方は、上記重油用
培地と同様で、また軽油分解微生物を選択する探索培養
の操作方法は重油分解微生物の探索培養と同様の操作で
行なわれる。
【0041】次に陸土壌微生物群体から鉱物油分解微生
物とその培養方法である。まず、陸土壌微生物群体の採
取について説明する。畑田採掘土壌と山地採掘土壌を採
取ビンに採取し、冷温室(5〜10℃)にて、培養開始
まで保存する。採取場所は、畑田採掘土壌が富山県富山
市八町地区で、産地採掘土壌が同県婦負郡八尾町であっ
た。
【0042】次に陸土壌微生物群体から重油分解微生物
と軽油分解微生物を選択する微生物探索培養について説
明する。まず、培養器具はガラスシャーレ(90¢*2
0t)、コロニー接種・保存器具は2000ml耐熱ガラ
スビン、マイクロフィルター貼り付けキャップを使用す
る。そして培地は、以下の表5、表6に示すような鉱物
油(石油系)培地で、軽油を分解する軽油分解微生物用
と、重油を分解する重油分解微生物用の2種類の培地を
準備する。培地製造は2000ml耐熱ガラスビンを使用
する。
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
【0045】重油用培地の作り方は、まず、蒸留水10
00mlに上記の培地材を順次入れて混合する。ただし、
重油又は軽油は最後に混入する。そして、オートクレー
ブで100℃、2時間処理を行ない、溶解させ滅菌処理
を施す。このときキャップはせずに通気性防菌フィルタ
ーをビン口部に貼り付ける。処理完了後、自然冷却し、
保存庫(冷温)にて保存する。
【0046】次に重油分解微生物を選択する探索培養の
操作方法について説明する。培養器具はガラスシャーレ
(90¢*20t)10個、培養装置はSCH−13型
(シャーレ10個分)、接種操作はクリーンベンチ(小
型無菌ボックスHCB−BM型)内で行なう。まず、こ
のシャーレ10個に、重油用培地を10mmt量(シャ
ーレ厚さ20mmt量)注入する。そしてこの各培地の
培地表面全体に陸土壌微生物群体を散布するように接種
する。接種後シャーレをキャップし、上記の培養装置に
セットし、雰囲気20〜25℃で168時間培養する。
培養完了後、培地表面に発生した微生物コロニーを吸収
器(スポイド)にて採取し、コロニー接種保存ビンの培
地に接種し培養する。これを重油分解微生物とする。コ
ロニー接種保存ビンは、通気性ミクロフィルターを付
け、キャップをして保存庫(冷温)にて保存する。
【0047】また、軽油用培地の作り方は、上記重油用
培地と同様で、また軽油分解微生物を選択する探索培養
の操作方法は重油分解微生物の探索培養と同様の操作で
行なわれる。
【0048】このように初期培養と探索培養を行なっ
た、海生微生物群の重油分解微生物と軽油分解微生物、
陸水生微生物の重油分解微生物と軽油分解微生物、陸土
壌微生物の重油分解微生物と軽油分解微生物、上記6種
を混合し慣性培養する操作方法について説明する。ま
ず、培養器具は撹拌セット付きカルスター(1600〜
2000型、全量6器)、保存器具は2000ml耐熱ガ
ラスビンを使用する。
【0049】上記6種の微生物が保存されたコロニー接
種保存ビンから、保存原体を10ml量を分注器で採取
し、それを所定の培地材で作られた培地1000ml入り
のカルスターへ注入する。168時間(1週間)撹拌培
養を行ない、培養完了後、2000ml耐熱ガラスビンに
入れて冷温10℃に保存する。
【0050】上記6種の微生物を混合し慣性培養したも
のは新種の変性菌群体で、燃料の改質剤等の商品を作る
原料となる。そしてこの変性菌群体を使用時培地が減っ
たときは、新しい培地を補充する。
【0051】次にこの発明の第二実施例について図2に
基づいて説明する。まず、海生微生物群体から鉱物油分
解性微生物を培養する方法について説明する。海生微生
物群体の採取方法は、海底泥砂層と海中浮遊層を個別に
採取し、撹拌セット付きカルスター(1600〜200
0型、2基)に個別に初期培養する。この初期培養に使
われる培地は、以下の表7に示すものである。培地製造
はキャップ付き2000ml耐熱ガラスビンを使用する。
【0052】
【表7】
【0053】この培地材の作り方は、まず蒸留水100
0mlに上記の培地材を順次入れて混合する。そして、オ
ートクレーブで105℃、30分処理を行ない、溶解さ
せ滅菌処理を施す。処理完了後、自然冷却し、保存庫
(冷温)にて保存する。
【0054】次に陸水生微生物群体から鉱物油分解性微
生物を培養する方法について説明する。陸水生微生物群
体の採取方法は、淡水底砂泥層と、淡水(川沼湖)浮遊
層を個別に採取し、撹拌セット付きカルスター(160
0〜2000型、2基)に個別に初期培養する。この初
期培養に使われる培地は、以下の表8に示すものであ
る。培地製造はキャップ付き2000ml耐熱ガラスビン
を使用する。
【0055】
【表8】 この培地材の作り方は、上記のYpSs培地と同様であ
る。
【0056】次に陸土壌微生物群体から鉱物油分解性微
生物を培養する方法について説明する。陸土壌微生物群
体の採取方法は、畑田土壌層と山地土壌層を個別に採取
し、撹拌セット付きカルスター(1600〜2000
型、2基)に個別に初期培養する。この初期培養に使わ
れる培地は、以下の表9に示すものである。培地製造は
キャップ付き2000ml耐熱ガラスビンを使用する。
【0057】
【表9】 この培地材の作り方は、上記のYpSs培地と同様であ
る。
【0058】次に上記の培地で、単独で初期培養された
海生微生物群体の海底泥砂層と海中浮遊層、陸水生微生
物群体の淡水底砂泥層と淡水(川沼湖)浮遊層、陸土壌
微生物群体の畑田土壌層と山地土壌層、上記6種は、混
合し培養を行ない、混合菌群体を作る。培養装置は撹拌
セット付きカルスター(1600〜2000型)であ
る。このとき使われる培地は、以下の表10に示すもの
で、培地製造はキャップ付き2000ml耐熱ガラスビン
を使用する。
【0059】
【表10】 この培地材の作り方は、上記のYpSs培地と同様であ
る。
【0060】次に上記の混合菌群体を、鉱物油分解微生
物群に慣性培養させる。鉱物油分解微生物群は、重油用
培地と軽油用培地の2種類により慣性培養され、培地ご
とに重油分解微生物と軽油分解微生物の二種類に分類さ
れる。培養装置は、撹拌セット付きカルスター(160
0〜2000型、6セット*2=12セット)である。
このとき使われる培地は、以下の表11、表12に示す
もので、培地製造はキャップ付き2000ml耐熱ガラス
ビンを使用する。
【0061】
【表11】
【表12】
【0062】この各培地材の作り方は、まず蒸留水10
00mlに、重油用培地の時は重油を、軽油用培地の時は
軽油を除く上記の培地材を順次入れて混合する。そし
て、オートクレーブで105℃、30分処理を行ない、
溶解させ滅菌処理を施す。処理完了後、冷却する前に重
油又は軽油を加えてよく混合する。そのあと自然冷却
し、保存庫(冷温)にて保存する。
【0063】この混合菌体群は新種の変性菌群体で、重
油用培地で慣性培養したものは重油分解微生物で、また
軽油用培地で慣性培養したものは軽油分解微生物であ
り、各々燃料の改質剤等の商品を作る原料となる。
【0064】なお、鉱物油分解作用を有する微生物(菌
類)の種類を明らかにするため、鉱物油混入泥状水溶液
中の共生菌体群を培養し、顕微鏡で推察特定した。この
試験について以下に説明する。
【0065】まず、石油貯蔵基地のカイショ桝(ゴミ集
積桝)にてヘドロ(泥及び水溶液混入体)を採取した。
臭気は油臭で、上澄み液は浮遊鉱物油、中間層は液状
体、下層は泥状物で、上澄液を培養する操作を行なっ
た。培地は以下の表13に示すようなサブロー寒天培地
であった。
【0066】
【表13】
【0067】各培地の作り方は、まず、蒸留水1000
mlに上記の培地材を順次入れて溶解した。そして¢40
の試験官に入れてオートクレーブで120℃、30分処
理を行ない、その後クリーンベンチ内で20℃以下に冷
却した。この試験管内の培地にこの上澄液を接種し、温
度20℃、WH50%で培養したところ、試験管培地上
層部に菌群体が発生した。
【0068】次にこの菌群体の鉱物油分解能試験を、鉱
物油(C重油)を用いて行なった。まず、数個のシャー
レに各々C重油10cc量を中央部に入れる。C重油の
中へ、上記の菌群体培養液を10cc、20cc、50
cc、100ccと4種類入れた。その結果、菌群体培
養液100ccを入れたものについて、シャーレ全体に
重油が分散状態となった。これについて顕微鏡検査(5
00倍)を行なったところ、油膜を破壊するように菌群
体が作用することが判明し、また顕微鏡観察により以下
の12種類の微生物(菌類)の存在が判明した。
【0069】 No. 微生物(菌類) 1 Bacillus(汚染水水生カビ類) 2 Methylomonadaceae(メチル酸化菌) 3 Methanbacteriacear(メタン菌) 4 Nitrobacteracear(硝化菌) 5 Chlorobiaceae(硫黄緑色菌) 6 Beggiatoales(硫黄細菌) 7 Selenomonas,spirillum(硫酸還元菌) 8 Amorphotheca resinae(クレオソート菌またはケロシン菌) 9 Algae(藻類) 10〜12 Plectomycetes(不明菌)
【0070】次にサブロー寒天培地で培養されたこの菌
群体でさらに鉱物油分解能試験を行なった。まず、数個
のシャーレに各々C重油10cc量を中央部に入れる。
C重油の中へ、上記の菌群体培養液を1cc、2cc、
3cc、5cc、10cc添加し、添加量別の分解度の
速度を、視覚検査により調べた。この結果、経過時間に
より油成分が分解状態になることがわかった。しかし、
これがどの微生物による作用であるか判明することはで
きなかった。
【0071】次に、顕微鏡観察により確認された微生物
(菌類)の特性及び作用性を推察し、顕微鏡観察のスケ
ッチとともに以下に記す。
【0072】No.1 Bacillus(汚染水性カビ類)
顕微鏡観察略図 図3 Bacillusは生態的には腐生、共生、寄生、自生等があ
る。鉱物油分解に作用するBacillusは共生作用をする腐
生菌の種類である。この種類は一般に汚水性環境に生存
して、共生活動作用をするのが特徴である。故に、共生
菌であるBacillusは、ほかの微生物とともに生活し、相
互または一方が利益を受けて他方は利・不利のない場合
もある。寄生菌作用は宿主から利益を受け、宿主は害を
受け、酵素を生成する。その生成した酵素(グルコース
イソメラーゼ)により油性成分の化糖を生成させて他の
微生物の分解作用を補助するものと推察できる。
【0073】No.2 Methylomonadaceae(メチル酸
化菌) 顕微鏡観察略図 図4 これはメチル基を持つメタンその他の一炭素化合物(メ
タノール、ギ酸、ジメチルエーテル、メチルアミン類)
を炭素源、エネルギー源とする好気性菌である。また場
合によれば炭化水素化合物をもエネルギー源とする。こ
の栄養法はメチロトローフといわれ、メタンはメタノー
ルを得てホルムアルデヒドになる。これはギ酸になるか
または五炭糖(リボース)リン酸系を経て同化される。
ギ酸はセリン、または二酸化炭素になる。メタンはメタ
ン細菌群によって大規模に生成される。生物体の分解に
よっても生じ、また石油、石炭も組成分解をもするとい
われている。ゆえに石油石炭床からも発生する。
【0074】No.3 Methanbacteriacear(メタン
菌) 顕微鏡観察略図 図5 グラム染色反応が不定の嫌気性菌で、炭酸還元菌であ
る。二酸化炭素を最終電子受容体として還元する炭素呼
吸によって、エネルギーを得て一般に有機物を同化す
る。ときには有機物をも同化する。炭素源、エネルギー
源を得て一般に有機物を同化する。ときには無機物をも
同化する。炭素源、エネルギー源となるのは、他菌の発
酵産物であるギ酸、メタノール、酢酸で、その他に水素
分子、窒素分子も利用される。無機物(鉱物油)だけで
も成育するものもあると言われている。この嫌気呼吸に
よって、二酸化炭素は還元されてメタンになる(メタン
発酵)。これは異化型炭酸還元であって、動物の消化器
官や汚水、湖沼の堆積物中などの嫌気的有機物環境で行
なわれる。
【0075】 No.4 Nitrobacteracear(硝化菌) 顕微鏡観察略図 図6 作用概略図 図7 亜硝酸菌と硝酸菌は絶対自養性であり、無機培地のみし
か培養はできず、有機培地では成育しない。アンモニア
を亜硝酸にする亜硝酸菌も、亜硝酸を硝酸にする硝酸菌
も、好気性の土壌菌であって、両者は土壌粒子上で相伴
って生活する。自然界での硝酸菌は、窒素の循環の重要
な一部分として、アンモニアを酸化して硝酸にしてい
る。亜硝酸菌には4属、硝酸菌には3属あるが、アンモ
ニアと亜硝酸の両方を酸化できるものは現在では知られ
ていない。細胞には無機物酸化のチトクロムを含む電子
伝達系があって、ATPと炭酸同化に必要な還元力を得
ている。この場合には、鉱物油は無機物系化合物である
ので、無機物をエネルギーとする微生物群の作用が重要
な役割をするとみたほうが賢明であると判断する。その
代表格である硝化菌(細菌)は2種のグループから形成
されている。その一つはアンモニアを亜硝酸に変えてエ
ネルギーを獲得するアンモニア酸化菌、もう一つは亜硝
酸を酸素と反応させて硝酸に変えて、エネルギーを獲得
する亜硝酸酸化菌である。両者は通常共存して、生成さ
れた亜硝酸を直ぐに硝酸にかえるので、亜硝酸が溜まる
ことは滅多にない。硝化菌にとってエネルギー源はアン
モニアである。石油層の上層部には時にして土壌内の有
機物により発生するアンモニアガスもあり、それに反応
して生活しているものもある。このため自然界でアンモ
ニウムが多いのは、有機物の多い土壌内で、これは有機
物の分解によってアンモニウムが放出されるからであ
る。そして、生成されたアンモニウムを2種(二群)の
硝化菌が酸素の存在する条件下で硝酸に変える汚泥、有
機物性土壌などで酸素が存在する場所にはこの硝化菌が
多く存在する。鉱物油の分解能について硫黄酸化細菌は
現在では注目されていない。ところが干拓地や造成地
(埋立地)でしばらくすると、phが1〜2に下がって
しまうことがある。これは、土壌が酸素の乏しい水底に
あったときに生成された硫化物が干拓や造成によって酸
素と接触するようになって、硫黄酸化菌によって酸素と
反応して硫酸に変えられたからである。硫黄酸化細菌は
硫黄や硫化鉄などから酸素の存在下で硫酸を生成してエ
ネルギーを獲得している。
【0076】No.5 Chlorobiaceae(硫黄緑色菌)
顕微鏡観察略図 図8 淡紅色、淡紫色、スミレ色などで硫化物の多い水中また
は泥状池に存在する。硫黄物は硫酸還元菌によって生成
される。一般に硫化水素が水素供与体で、これを酸化し
て細胞の内か外に硫黄を蓄積する。さらに硫黄は硫酸に
まで酸化される。一部のものは硫黄、チオ硫酸、亜硫酸
を利用する。亜硫酸の硫酸への酸化には硫黄細菌類と同
様にアデノシンホスホ硫酸APSが関係する。鉱物油層
に存在する硫黄紅色菌類は鉱物油の成分組成である硫黄
分を亜硫酸にしてさらに硫酸に変える作用をする。その
作用により炭化水素の相対組成の1分子中の炭素数を変
える。硫黄紅色菌は厳密な嫌気性で硫化物と二酸化炭素
と光があるときに細胞型光合成を行なうが、有機物も同
化することができる(光自養と自養的光他養の任意栄養
が混合栄養)。多くのものが水素供与体として、硫化物
の代わりに有機物を利用することができる(光自養と他
養的光自養の任意栄養)。
【0077】No.6 Beggiatoales(硫黄細菌)
顕微鏡観察略図 図9、作用概略図 図11 硫化物のある淡水、海水、泥状土壌(ヘドロ)に存在
し、硫化物あるいは硫黄を酸化して化学自養を行ない、
あるいは他養生活を行なう。生態は動物の糞、腐った藻
類、へドロ状池、川、あるいは水面に藍藻類に混じって
発見される。成長は一般に速く、チオ硫酸で成育すると
きは世代時間が2時間ほどである。好酸性で、一部のも
のはph1〜2で成育する。一般に硫化水素、チオ硫酸
その他の硫化物を好気酸化して化学自養を行ない、遊離
した硫黄粒を細胞内に蓄積する。蓄積した硫黄粒を硫酸
にまで酸化するものもある。1種類(Beggiatoa Thioth
rix)だけは、第一鉄イオン(Fe2 +)もエネルギー源
とすることができる。酸素がないとき、嫌気呼吸を行な
うこともある。硫黄やチオ硫酸を硝酸塩で嫌気酸化し、
ついには脱窒素を行なう。
【0078】No.7 Selenomonas,spirillum(硫酸
還元菌) 顕微鏡観察略図 図10、作用概略図 図
11 嫌気性菌であって、硫酸呼吸によって有機物及び二酸化
炭素を同化する(他養的化学自養)。他の多くの菌が硫
酸を硫黄源とする同化型硫酸還元を行なうのに対して、
この硫酸呼吸は異化型硫酸還元である。特定有機物(乳
酸、リンゴ酸、ピルビン酸)あるいは水素分子が酸化さ
れ、硫酸が還元される。この還元にはフェレドキキシン
やチトクロムが関係し、チトクロムbを含むもの(Desu
lfotomaculum)及びチトクロムC3を含むものがある。
硫酸の還元で生じた亜硫酸は硫化水素にまで還元される
(硫化水素は硫黄紅色菌によって利用される)。自然界
では有機物と硫黄を含む嫌気環境に広く分布し、地球生
化学的にみて硫黄の循環の重要部分を構成している。
【0079】No.8 Amorphotheca resinae(クレオ
ソート菌またはケロシン菌)顕微鏡観察略図 図12
作用概略図 図13 ジェット燃料や石油製品(燃料油など)、クレオソート
処理を施した材などに発生し、ケロシン菌あるいはクレ
オソート菌と呼ばれ現在注目されている菌である。最近
では石油関連物質に限らず土壌中、汚水中からも分離さ
れているごく普通の菌であることが判明している。この
菌の作用は鉱物油の組成成分である炭化水素を分解して
炭素群の構成を疎開状にして他の菌群と共生作用をして
鉱物油の粘性を低くする作用をする。この菌群は表14
に示す別の培地(ツアベック寒天培地)にて分離溶媒と
した。
【0080】
【表14】
【0081】以上を順次加えて完全に溶解させて操作す
る。ツアベック寒天培地でよく発育して分生子体を形成
するが、また、0.1%クレオソートあるいは石炭酸を
単一炭素源としても発育する雌雄異株性、閉子のう殻は
通常球形〜亜球形、大きさは文献によると52〜122
*40〜90μm、土壌、土壌に接しておかれたマッチ
棒あるいは鉱物油中に生じる時はしばしば上部が突出し
て漏斗状となる。殻壁は菌糸から分泌されるメラミン様
物質からなり、菌糸状ではなく、内部に子のうを不規則
に散財して生じ、子のうは卵型〜亜球状で、大きさは1
2〜27*10〜15μm、8個の子のう胞子を生じ、
膜は塾時消失する。
【0082】No.9 Algae(藻類) 顕微鏡観察略
図 図14 光合成微生物である。光合成により強力な還元物質を生
成する。この還元物質からATPを生成したり、二酸化
炭素や窒素ガスを還元させて、糖やアンモニアを作る作
用。還元すると相手の物質に電子あるいは水素を与える
ことがあり、強力な還元物質を生成するには水を光エネ
ルギーで分解して水素イオン電子または水素を生成して
自ら酸素ガスを生成する。また、藻類の作用に窒素固定
作用がある。鉱物油の分解作用の1作用として還元作
用、窒素固定作用がある。
【0083】また、燃料の改質剤としての作用から推察
し、以下の微生物も含まれている。
【0084】 No.10Corollspora pulcbella 系統;細菌門 No.11Halosphaeriaceae 鉱物油粘度緩和作用及び炭化水素の密環状糸切断作用を
有する。8細胞からなる防錐型の胞子をつくるが、顕微
鏡で見るとその胞子の両端と中央に、気のようなものが
はえている。電子顕微鏡でさらに詳しく観察すると、こ
の毛状のものは胞子の外壁の最外層に縦に剥がれるよう
にして形成されているのがわかる。これがアベンデッジ
で、胞子を海水中に浮遊しやすくするとともに、新たな
生育場所に定着する際のアンカーのようなものとなるな
ど、胞子の分散、伝播に有効に作用している。海生子嚢
菌には、このほかに様々なタイプのアベンデッジが見ら
れることから、アベンデッジは海生子嚢菌の属に区分す
る際の基準となっている。なお、海生の担子菌や不完全
菌も胞子にアベンデッジを備えたり、立体的な形状の胞
子を持つものが多い。これも水中での分散に適応したも
のと考えられる。
【0085】No.12Ceriosporpsis halima 海生浮遊菌類で、水中潜浮作用を有し、これにより酸素
成分移送作用がある。分生子形成保持慣性増殖である。
【0086】 No.13Carbosphaerella leptosphaerioides 海生底置生活菌で、油成分分解性がある。分生子形成保
持慣性増殖である。
【0087】No.14D.hydrocarbonoclasticcus 海底泥砂層生活菌で、炭化水素を資化し、その代謝作用
により有機酸、ガス(CO2,CH4,H2)及び界面活
性性物質を生産し、又分子量の大きい炭化水素の分解に
より鉱物油の粘度を低下させる。胞子嚢形成保持慣性増
殖である。
【0088】No.15Clostrifdium No.16Pseudomonas 海水浮遊菌類で、単独作用及びその他の菌類との総合作
用により、レジン、アスファルテンの分解作用があり、
この分解作用は発酵性である。そして、分生子形成保持
慣性増殖である。
【0089】No.17L,acidophilus 淡水浮遊菌で、単独作用又はその他の菌類との複合作用
(相乗性作用)で脱硫作用があり、クリスタル分生子形
成保持慣性増殖である。
【0090】No.18Clostriudium butyrium 淡水土壌生菌で、単独作用又はその他の菌類との複合作
用(相乗性作用)で粘性度緩和作用があり、分生子形成
保持慣性増殖である。
【0091】No.19Serratia & Proteus 淡水浮遊菌で、単独作用又はその他の菌類との複合作用
(相乗性作用)でプロテイン分解作用があり、胞芽形成
保持慣性増殖である。
【0092】No.20Methylomonas No.21Azotrbacter No.22Anabaena 淡水土壌菌で、複合総合作用(連鎖反応)で窒素代謝作
用、窒素酸化物置換作用があり、分生子形成保持慣性増
殖である。
【0093】No.23Bacillus polymyxa No.24Klebsilla pneumomja 含油分土壌菌で、単独作用又はその他の菌類との複合作
用(相乗性作用)で粘性度緩和作用(低粘度化作用)が
あり、胞子形成保持慣性増殖である。
【0094】No.25Pseudomonadales 海水、淡水生活菌で、単独作用又はその他の菌類との複
合作用(相乗性作用)で暗所雰囲気内状況で水素分子か
還元型無機窒素化合物類などを無機物に酸化してATP
と還元力を獲得して炭酸同化作用を行なう。そして分生
子形成保持増殖である。
【0095】No.26Nitrobacter 陸生土壌菌で、単独作用又はその他の菌類との複合作用
(相乗性作用)で窒素の循環作用と脱硫作用があり、分
生子形成保持増殖である。
【0096】No.27Desulfotomaculum No.28D,hydrocarbonoclasticus 火山層土壌菌(硫酸還元菌)類で、単独作用又はその他
多種の菌類との複合作用(相乗性作用)で炭化水素を質
化し、代謝作用により有機酸、ガス(CO2,CH4,H
2)及び界面活性物質を生産し、又分子量の大きい炭化
水素の分解により鉱物油(重油、軽油)の粘度を低下さ
せる作用がある。そして分生子形成保持慣性増殖であ
る。
【0097】No.29Actinomycota 土壌菌で、単独作用又はその他多種の菌類との複合作用
(相乗性作用)で有機酸の分解と、パラフィン、ベンゼ
ン、芳香族アミンを補助分解する。そして胞子形成保持
慣性増殖である。
【0098】No.30P,polycephalum 水生菌(変性菌類)で、単独作用又はその他多種の菌類
との複合作用(相乗性作用)で遊走子による分子体移送
を行なう。そして胞芽形成保持慣性増殖である。
【0099】
【発明の効果】この発明の鉱物油分解微生物の培養方法
は、鉱物油分解微生物を確実に選別して得ることがで
き、効率良く培養することが可能である。これにより、
鉱物油分解微生物を様々な用途に使用することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第一実施例の鉱物油分解微生物の培
養方法の概略図である。
【図2】この発明の第二実施例の鉱物油分解微生物の培
養方法の概略図である。
【図3】鉱物油分解微生物である Bacillus(汚染水水
生カビ類)の顕微鏡観察略図である。
【図4】鉱物油分解微生物である Methylomonadaceae
(メチル酸化菌)の顕微鏡観察略図である。
【図5】鉱物油分解微生物である Methanbacteriacear
(メタン菌)の顕微鏡観察略図である。
【図6】鉱物油分解微生物である Nitrobacteracear
(硝化菌)の顕微鏡観察略図である。
【図7】鉱物油分解微生物である Nitrobacteracear
(硝化菌)の作用を示す概略図である。
【図8】鉱物油分解微生物である Chlorobiaceae(硫黄
緑色菌)の顕微鏡観察略図である。
【図9】鉱物油分解微生物である Beggiatoales(硫黄
細菌)の顕微鏡観察略図である。
【図10】鉱物油分解微生物である Selenomonas,spiri
llum(硫酸還元菌)の顕微鏡観察略図である。
【図11】鉱物油分解微生物である Beggiatoales(硫
黄細菌)と Selenomonas,spirillum(硫酸還元菌)の作
用を示す概略図である。
【図12】鉱物油分解微生物である Amorphotheca resi
nae(クレオソート菌またはケロシン菌)の顕微鏡観察
略図である。
【図13】鉱物油分解微生物である Amorphotheca resi
nae(クレオソート菌またはケロシン菌)の作用を示す
概略図である。
【図14】鉱物油分解微生物である Algae(藻類)の顕
微鏡観察略図である。
【図15】この石油改質剤に含まれる鉱物油分解微生物
の鉱物油着火性に関する作用を示す概略図である。
【図16】この石油改質剤に含まれる鉱物油分解微生物
の鉱物油揮発性に関する作用を示す概略図である。
【図17】この石油改質剤に含まれる鉱物油分解微生物
の鉱物油粘度に関する作用を示す概略図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自然界に存在する水や土壌から複数の材
    料を採取し、各材料ごとに所定の鉱物油が含まれている
    培地材で作られた培地に散布し鉱物油分解性微生物の初
    期培養を行ない、この初期培養された複数の鉱物油分解
    性微生物を所定の培地材で作られた培地に各々注入して
    混合し慣性培養し変性菌群体を作ることを特徴とする鉱
    物油分解微生物の培養方法。
  2. 【請求項2】 上記慣性培養に使用される培地にも、鉱
    物油が含まれていることを特徴とする請求項1記載の鉱
    物油分解微生物の培養方法。
  3. 【請求項3】 上記の初期培養に使用される培地は、重
    油分解微生物の培養には、重油が含まれた重油培地で培
    養し、軽油分解微生物の培養には、軽油が含まれた軽油
    培地で軽油分解微生物を培養することを特徴とする請求
    項1記載の鉱物油分解微生物の培養方法。
  4. 【請求項4】 上記の慣性培養に使用される培地は、重
    油分解微生物の培養には、重油が含まれた重油用培地で
    重油分解微生物を培養し、軽油分解微生物の培養には、
    軽油が含まれた軽油用培地で軽油分解微生物を培養する
    ことを特徴とする請求項1記載の鉱物油分解微生物の培
    養方法。
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