JP2000186275A - 湿式摩擦材 - Google Patents
湿式摩擦材Info
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- JP2000186275A JP2000186275A JP10364039A JP36403998A JP2000186275A JP 2000186275 A JP2000186275 A JP 2000186275A JP 10364039 A JP10364039 A JP 10364039A JP 36403998 A JP36403998 A JP 36403998A JP 2000186275 A JP2000186275 A JP 2000186275A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 摺動中の油液保持能力が高く、特に高負荷条
件下において優れた摩擦性能を備え、高い耐久性を備え
た湿式摩擦材を提供する。 【解決手段】 繊維成分と充填材とを抄紙して得られた
シートに含浸した熱硬化性樹脂を加熱硬化し、成形して
得られたシート成形体を金属支持板に熱圧接合してなる
湿式摩擦材であって、シート成形体のＤＢＰ体積含有率
が２０〜５０％の気孔性状を備えたものであることを特
徴とする湿式摩擦材。但し、ＤＢＰ体積含有率は、シー
ト成形体にＤＢＰ（フタル酸ジブチル）を含浸したの
ち、所定の回転速度で遠心分離して含浸したＤＢＰの一
部を排出し、シート成形体中に残存したＤＢＰを測定し
てシート成形体中のＤＢＰ体積比(Vol％) を算出して得
られた値である。
件下において優れた摩擦性能を備え、高い耐久性を備え
た湿式摩擦材を提供する。 【解決手段】 繊維成分と充填材とを抄紙して得られた
シートに含浸した熱硬化性樹脂を加熱硬化し、成形して
得られたシート成形体を金属支持板に熱圧接合してなる
湿式摩擦材であって、シート成形体のＤＢＰ体積含有率
が２０〜５０％の気孔性状を備えたものであることを特
徴とする湿式摩擦材。但し、ＤＢＰ体積含有率は、シー
ト成形体にＤＢＰ（フタル酸ジブチル）を含浸したの
ち、所定の回転速度で遠心分離して含浸したＤＢＰの一
部を排出し、シート成形体中に残存したＤＢＰを測定し
てシート成形体中のＤＢＰ体積比(Vol％) を算出して得
られた値である。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブレーキパッドや
クラッチフェーシング等として好適に用いられ、特に摺
動中の油保持能力が高く、優れた摩擦性能を備えたペー
パー系摩擦材に関する。
クラッチフェーシング等として好適に用いられ、特に摺
動中の油保持能力が高く、優れた摩擦性能を備えたペー
パー系摩擦材に関する。
【０００２】
【従来の技術】相対する摩擦面間に潤滑油などの油液が
介在する状態で使用される湿式摩擦材はブレーキパッド
やクラッチフェーシング等として有用されており、従来
からペーパー系、ゴム系、焼結金属系など各種の湿式摩
擦材が知られている。近時、これらの摩擦材に要求され
る摩擦性能はますます高度化してきており、特に高負荷
条件での使用環境下において優れた耐久性を有する摩擦
材が望まれており、ペーパー系摩擦材が注目されてい
る。
介在する状態で使用される湿式摩擦材はブレーキパッド
やクラッチフェーシング等として有用されており、従来
からペーパー系、ゴム系、焼結金属系など各種の湿式摩
擦材が知られている。近時、これらの摩擦材に要求され
る摩擦性能はますます高度化してきており、特に高負荷
条件での使用環境下において優れた耐久性を有する摩擦
材が望まれており、ペーパー系摩擦材が注目されてい
る。
【０００３】ペーパー系摩擦材としては、従来から摩擦
材を構成する繊維成分として芳香族ポリアミド繊維が使
用されており、特定の構造単位を有する芳香族ポリアミ
ド繊維から得た繊維を用いる摩擦材（特開昭57−85877
号公報）、無機質繊維及び／又は無機質粒子５〜７０重
量％、パラ配向芳香族ポリアミド系重合体５〜７０重量
％、固体潤滑剤１〜３０重量％を主たる配合成分とし、
かつ芳香族ポリアミド繊維を実質的に含まない摩擦材用
組成物（特公平２−41559 号公報）、あるいは芳香族ポ
リアミド繊維を含む繊維成分と粉体成分に結合剤を含浸
成形したクラッチフェーシングにおいて、フェノール系
樹脂とポリイミド樹脂とから構成され、ポリイミド系樹
脂が全体に対し１〜５重量％含まれている結合剤を含浸
したクラッチフェーシング（特開平４−95622 号公報）
などが提案されている。
材を構成する繊維成分として芳香族ポリアミド繊維が使
用されており、特定の構造単位を有する芳香族ポリアミ
ド繊維から得た繊維を用いる摩擦材（特開昭57−85877
号公報）、無機質繊維及び／又は無機質粒子５〜７０重
量％、パラ配向芳香族ポリアミド系重合体５〜７０重量
％、固体潤滑剤１〜３０重量％を主たる配合成分とし、
かつ芳香族ポリアミド繊維を実質的に含まない摩擦材用
組成物（特公平２−41559 号公報）、あるいは芳香族ポ
リアミド繊維を含む繊維成分と粉体成分に結合剤を含浸
成形したクラッチフェーシングにおいて、フェノール系
樹脂とポリイミド樹脂とから構成され、ポリイミド系樹
脂が全体に対し１〜５重量％含まれている結合剤を含浸
したクラッチフェーシング（特開平４−95622 号公報）
などが提案されている。
【０００４】湿式摩擦材は、使用時に潤滑油などの油状
成分が常に摩擦面間に介在することが必要であり、摩擦
材自体の油液保持能力が焼き付け防止や摩擦性能に大き
な影響を与えることとなる。そのため、摩擦材の組織内
部に油液を吸蔵保持するための適度の気孔や空隙を保有
させており、例えば、摩擦基材として連続した気孔が全
気孔率の２０〜７０％である発泡構造をもつ熱硬化性樹
脂を使用することを特徴とする湿式摩擦材（特開平３−
140334号公報）、電磁クラッチ又は電磁ブレーキに使用
される湿式摩擦材であって、２０〜７０重量％のアラミ
ド繊維と３０〜８０重量％のカーボン繊維の不織布と、
該不織布に対して３０〜７０重量％含浸させた熱硬化性
樹脂とからなり、気孔率が１０〜５０容量％であること
を特徴とする湿式摩擦材（特開平６−147242号公報）な
どが提案されている。
成分が常に摩擦面間に介在することが必要であり、摩擦
材自体の油液保持能力が焼き付け防止や摩擦性能に大き
な影響を与えることとなる。そのため、摩擦材の組織内
部に油液を吸蔵保持するための適度の気孔や空隙を保有
させており、例えば、摩擦基材として連続した気孔が全
気孔率の２０〜７０％である発泡構造をもつ熱硬化性樹
脂を使用することを特徴とする湿式摩擦材（特開平３−
140334号公報）、電磁クラッチ又は電磁ブレーキに使用
される湿式摩擦材であって、２０〜７０重量％のアラミ
ド繊維と３０〜８０重量％のカーボン繊維の不織布と、
該不織布に対して３０〜７０重量％含浸させた熱硬化性
樹脂とからなり、気孔率が１０〜５０容量％であること
を特徴とする湿式摩擦材（特開平６−147242号公報）な
どが提案されている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】これらの湿式摩擦材の
気孔中に保持された油液は、摩擦板の回転時に遠心力に
より摩擦材の表面部に滲出して摩擦性能の低下を抑制す
るとともに外部に排出され、発生した摩擦熱は排出され
る油液とともに除去され、更に油液の気化による潜熱が
奪われることにより摩擦材が過熱するのを防止してい
る。
気孔中に保持された油液は、摩擦板の回転時に遠心力に
より摩擦材の表面部に滲出して摩擦性能の低下を抑制す
るとともに外部に排出され、発生した摩擦熱は排出され
る油液とともに除去され、更に油液の気化による潜熱が
奪われることにより摩擦材が過熱するのを防止してい
る。
【０００６】したがって、単に摩擦材に保持される油液
量のみでなく、実際の使用時における油液保持能力が摩
擦材の性能に大きく影響することとなる。そこで、本発
明者らは摩擦材が使用されている摺動中における油液保
持能力について研究を行い、摩擦性能と密接に関係する
気孔性状を示す新規なパラメータとしてＤＢＰ体積含有
率を創出し、その値を特定範囲内に制御することにより
摩擦性能の低下を抑制できることを見出した。
量のみでなく、実際の使用時における油液保持能力が摩
擦材の性能に大きく影響することとなる。そこで、本発
明者らは摩擦材が使用されている摺動中における油液保
持能力について研究を行い、摩擦性能と密接に関係する
気孔性状を示す新規なパラメータとしてＤＢＰ体積含有
率を創出し、その値を特定範囲内に制御することにより
摩擦性能の低下を抑制できることを見出した。
【０００７】本発明は、この知見に基づいて開発された
ものであり、その目的は摺動中の油液保持能力が高く、
優れた摩擦性能を備えたペーパー系摩擦材を提供するこ
とにある。
ものであり、その目的は摺動中の油液保持能力が高く、
優れた摩擦性能を備えたペーパー系摩擦材を提供するこ
とにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による湿式摩擦材は、繊維成分と充填材とを
抄紙して得られたシートに含浸した熱硬化性樹脂を加熱
硬化し、成形して得られたシート成形体を金属支持板に
熱圧接合してなる湿式摩擦材であって、シート成形体の
ＤＢＰ体積含有率が２０〜５０％の気孔性状を備えたも
のであることを構成上の特徴とする。但し、ＤＢＰ体積
含有率は、シート成形体にＤＢＰ（フタル酸ジブチル）
を含浸したのち、所定の回転速度で遠心分離して含浸し
たＤＢＰの一部を排出し、シート成形体中に残存したＤ
ＢＰを測定してシート成形体中のＤＢＰ体積比（ Vol
％）を算出して得られた値である。
めの本発明による湿式摩擦材は、繊維成分と充填材とを
抄紙して得られたシートに含浸した熱硬化性樹脂を加熱
硬化し、成形して得られたシート成形体を金属支持板に
熱圧接合してなる湿式摩擦材であって、シート成形体の
ＤＢＰ体積含有率が２０〜５０％の気孔性状を備えたも
のであることを構成上の特徴とする。但し、ＤＢＰ体積
含有率は、シート成形体にＤＢＰ（フタル酸ジブチル）
を含浸したのち、所定の回転速度で遠心分離して含浸し
たＤＢＰの一部を排出し、シート成形体中に残存したＤ
ＢＰを測定してシート成形体中のＤＢＰ体積比（ Vol
％）を算出して得られた値である。
【０００９】
【発明の実施の形態】本発明の湿式摩擦材を構成するシ
ート成形体の骨格を構成する繊維成分としては、無機繊
維、パルプ、有機繊維の各種繊維が用いられる。例え
ば、無機繊維としては、カーボン繊維、アルミナ繊維、
チタン酸カリウム繊維、ケイ酸カルシウム繊維、シリカ
繊維、ガラス繊維などが、パルプとしてはリンターパル
プが、また有機繊維としてはポリアミド繊維、アラミド
繊維、フェノール繊維、レーヨン繊維などが用いられ
る。
ート成形体の骨格を構成する繊維成分としては、無機繊
維、パルプ、有機繊維の各種繊維が用いられる。例え
ば、無機繊維としては、カーボン繊維、アルミナ繊維、
チタン酸カリウム繊維、ケイ酸カルシウム繊維、シリカ
繊維、ガラス繊維などが、パルプとしてはリンターパル
プが、また有機繊維としてはポリアミド繊維、アラミド
繊維、フェノール繊維、レーヨン繊維などが用いられ
る。
【００１０】また、充填材としては、黒鉛、二硫化モリ
ブデン、二珪化モリブデン、カシューダスト、珪藻土、
炭酸カルシウム、タルクなどの常用される摩擦調整剤、
固体潤滑剤、体積充填材などが適用される。
ブデン、二珪化モリブデン、カシューダスト、珪藻土、
炭酸カルシウム、タルクなどの常用される摩擦調整剤、
固体潤滑剤、体積充填材などが適用される。
【００１１】これらの繊維成分と充填材は目的とする摩
擦材の性能により適宜な混合比、例えば繊維成分２５〜
８０重量部、充填材２０〜４０重量部の割合で水中に入
れて攪拌混合し、均一な分散液を調製し、分散液は常用
の抄紙装置を用いて抄紙したのち、乾燥することにより
シートが得られる。なお、繊維成分はシート形成時に繋
ぎ材として機能するもので、適宜な長さ、例えば０．５
〜５mm程度の短繊維状に裁断したものが好ましく用いら
れる。
擦材の性能により適宜な混合比、例えば繊維成分２５〜
８０重量部、充填材２０〜４０重量部の割合で水中に入
れて攪拌混合し、均一な分散液を調製し、分散液は常用
の抄紙装置を用いて抄紙したのち、乾燥することにより
シートが得られる。なお、繊維成分はシート形成時に繋
ぎ材として機能するもので、適宜な長さ、例えば０．５
〜５mm程度の短繊維状に裁断したものが好ましく用いら
れる。
【００１２】このシートに熱硬化性樹脂を含浸し、樹脂
成分を加熱硬化して得られたシート成形体を金属支持板
に熱圧接合して湿式摩擦材とするものである。含浸する
熱硬化性樹脂は抄紙シートのバインダーとして機能する
もので、常用されるフェノール系樹脂、フラン系樹脂、
エポキシ系樹脂、イミド系樹脂、メラミン系樹脂などの
樹脂類が適用される。熱硬化性樹脂をシートに含浸する
場合、均一に含浸することが好ましく、例えば、熱硬化
性樹脂をアルコール系やエーテル系などの適宜な有機溶
媒に溶解し、低粘度に調整した熱硬化性樹脂溶液中にシ
ートを浸漬する、あるいは熱硬化性樹脂溶液をシートに
塗布する、などの方法で含浸することができ含浸後のシ
ートは加熱乾燥して有機溶媒が除去される。なお、熱硬
化性樹脂初期縮合物などの液体を用いて含浸することも
できる。
成分を加熱硬化して得られたシート成形体を金属支持板
に熱圧接合して湿式摩擦材とするものである。含浸する
熱硬化性樹脂は抄紙シートのバインダーとして機能する
もので、常用されるフェノール系樹脂、フラン系樹脂、
エポキシ系樹脂、イミド系樹脂、メラミン系樹脂などの
樹脂類が適用される。熱硬化性樹脂をシートに含浸する
場合、均一に含浸することが好ましく、例えば、熱硬化
性樹脂をアルコール系やエーテル系などの適宜な有機溶
媒に溶解し、低粘度に調整した熱硬化性樹脂溶液中にシ
ートを浸漬する、あるいは熱硬化性樹脂溶液をシートに
塗布する、などの方法で含浸することができ含浸後のシ
ートは加熱乾燥して有機溶媒が除去される。なお、熱硬
化性樹脂初期縮合物などの液体を用いて含浸することも
できる。
【００１３】次いで、熱硬化性樹脂を含浸したシートを
加熱して熱硬化性樹脂を硬化成形することにより繊維成
分と充填材とが硬化樹脂により強固に結着して一体化し
たシート成形体が得られ、このシート成形体を鉄板など
の金属支持板に熱圧接合することにより湿式摩擦材が得
られる。この場合、熱硬化性樹脂を半硬化の状態で、す
なわち１００〜２００℃の温度に加熱して半硬化し、半
硬化状態のシートを金属支持板に当接して例えば、温度
１５０〜２５０℃、圧力３０〜１５０kg/cm2の条件で熱
硬化性樹脂を本硬化することにより金属支持板に熱圧接
合される。なお、金属支持板の表面は予めショットブラ
ストなどにより粗面化したのち含浸した熱硬化性樹脂と
同一の樹脂をコートしておくことが好ましい。
加熱して熱硬化性樹脂を硬化成形することにより繊維成
分と充填材とが硬化樹脂により強固に結着して一体化し
たシート成形体が得られ、このシート成形体を鉄板など
の金属支持板に熱圧接合することにより湿式摩擦材が得
られる。この場合、熱硬化性樹脂を半硬化の状態で、す
なわち１００〜２００℃の温度に加熱して半硬化し、半
硬化状態のシートを金属支持板に当接して例えば、温度
１５０〜２５０℃、圧力３０〜１５０kg/cm2の条件で熱
硬化性樹脂を本硬化することにより金属支持板に熱圧接
合される。なお、金属支持板の表面は予めショットブラ
ストなどにより粗面化したのち含浸した熱硬化性樹脂と
同一の樹脂をコートしておくことが好ましい。
【００１４】本発明の湿式摩擦材は、このシート成形体
の気孔性状としてＤＢＰ体積含有率の値を２０〜５０％
の範囲に設定するものである。ＤＢＰ体積含有率は回
転、摺動中の摩擦材の油液保持能力を示す指標として本
発明者らが創出したパラメータであり、次の方法により
測定される値である。
の気孔性状としてＤＢＰ体積含有率の値を２０〜５０％
の範囲に設定するものである。ＤＢＰ体積含有率は回
転、摺動中の摩擦材の油液保持能力を示す指標として本
発明者らが創出したパラメータであり、次の方法により
測定される値である。
【００１５】ＤＢＰ体積含有率の測定：シート成形体を
基材としてＤＢＰ（フタル酸ジブチル）中に浸漬し、６
０Torrの減圧下に３０分間浸漬してシート成形体の気孔
中にＤＢＰを含浸したのち、吊るした状態で自然にＤＢ
Ｐを滲出させ、ＤＢＰの滲出量が０．２ Vol％／５分以
下に安定した時点でシート成形体中のＤＢＰ含有量を測
定し、シート基材との体積比(Vol％) を求める。なお、
ＤＢＰの滲出量が０．２ Vol％／５分とは、５分間にお
けるＤＢＰの滲出量がシート成形体の体積の０．２％で
あることを意味する。
基材としてＤＢＰ（フタル酸ジブチル）中に浸漬し、６
０Torrの減圧下に３０分間浸漬してシート成形体の気孔
中にＤＢＰを含浸したのち、吊るした状態で自然にＤＢ
Ｐを滲出させ、ＤＢＰの滲出量が０．２ Vol％／５分以
下に安定した時点でシート成形体中のＤＢＰ含有量を測
定し、シート基材との体積比(Vol％) を求める。なお、
ＤＢＰの滲出量が０．２ Vol％／５分とは、５分間にお
けるＤＢＰの滲出量がシート成形体の体積の０．２％で
あることを意味する。
【００１６】次に、ＤＢＰ含浸シート成形体を遠心分離
器を用いて回転速度１６m/秒（1200rpm ）、回転半径１
３０mmの条件で遠心力を付加して５分間処理し、含浸し
たＤＢＰの一部が排出除去された後のシート成形体中に
残存したＤＢＰ量を測定して下記式によりＤＢＰ体積含
有率を算出する。 ＤＢＰ体積含有率（％）＝（Ｗ−Ｗ0 ）／（ρ・Ｖ）×１００… (1) 但し、Ｗ；遠心処理後のシート成形体の重量 (g) Ｗ0 ；ＤＢＰ含浸前のシート成形体の重量 (g) Ｖ；シート成形体の体積 (cm3) ρ；ＤＢＰの密度 (g/cm3)
器を用いて回転速度１６m/秒（1200rpm ）、回転半径１
３０mmの条件で遠心力を付加して５分間処理し、含浸し
たＤＢＰの一部が排出除去された後のシート成形体中に
残存したＤＢＰ量を測定して下記式によりＤＢＰ体積含
有率を算出する。 ＤＢＰ体積含有率（％）＝（Ｗ−Ｗ0 ）／（ρ・Ｖ）×１００… (1) 但し、Ｗ；遠心処理後のシート成形体の重量 (g) Ｗ0 ；ＤＢＰ含浸前のシート成形体の重量 (g) Ｖ；シート成形体の体積 (cm3) ρ；ＤＢＰの密度 (g/cm3)
【００１７】ＤＢＰ体積含有率は、繊維成分の繊維径お
よび長さ、充填材の粒子径およびその分布、繊維成分と
充填材との混合比、熱硬化性樹脂の種類、分子性状、含
浸量などによって制御することができるが、半硬化状態
のシート成形体を金属支持板に熱圧接合する際に下記式
で表されるシート成形体の圧縮率を調節することにより
制御することが簡便であり好ましい。 圧縮率＝（熱圧接合前のシート成形体の厚さ−熱圧接合
後のシート成形体の厚さ）／（熱圧接合前のシート成形
体の厚さ）
よび長さ、充填材の粒子径およびその分布、繊維成分と
充填材との混合比、熱硬化性樹脂の種類、分子性状、含
浸量などによって制御することができるが、半硬化状態
のシート成形体を金属支持板に熱圧接合する際に下記式
で表されるシート成形体の圧縮率を調節することにより
制御することが簡便であり好ましい。 圧縮率＝（熱圧接合前のシート成形体の厚さ−熱圧接合
後のシート成形体の厚さ）／（熱圧接合前のシート成形
体の厚さ）
【００１８】本発明の湿式摩擦材は、回転中あるいは摺
動中の摩擦材の油液保持能力を示す指標としてＤＢＰ体
積含有率を定義し、その値を２０〜５０％の範囲に設定
することにより摩擦性能に優れ、特に高負荷条件で使用
される湿式摩擦材として優れた性能が付与される。
動中の摩擦材の油液保持能力を示す指標としてＤＢＰ体
積含有率を定義し、その値を２０〜５０％の範囲に設定
することにより摩擦性能に優れ、特に高負荷条件で使用
される湿式摩擦材として優れた性能が付与される。
【００１９】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して具
体的に説明する。
体的に説明する。
【００２０】実施例１〜６、比較例１〜４ 繊維成分としてリンターパルプおよびアラミド繊維（重
量比１：１）を、充填材として珪藻土および黒鉛（重量
比１：１）を用い、繊維成分と充填材との混合割合を変
えて水中に分散させ、分散液を抄紙し、乾燥してシート
を作成した。得られたシートをフェノール樹脂初期縮合
物をエタノールに濃度を変えて溶解した溶液中に時間を
変えて浸漬し、異なる量比でフェノール樹脂を含浸した
のち、風乾してエタノールを揮散除去した。次いで、１
００℃で６０分間および１６０℃で１０分間加熱してフ
ェノール樹脂を半硬化し、このシート成形体を外径１５
６mm、内径１０８mmのリング状に打ち抜き裁断して摩擦
ライニングを作製した。この摩擦ライニングを、ショッ
トブラストした鉄製の金属支持板（外径１５６mm、内径
１０８mm、厚さ２．０mm）にフェノール樹脂初期縮合物
をコートし、温度、圧力および接合時間を変え、異なる
圧縮率で熱圧接合して試験用の湿式摩擦材を作製した。
これらの湿式摩擦材の成分組成および熱圧接合時の圧縮
率、ならびにシート成形体のＤＢＰ体積含有率を測定し
て表１に示した。
量比１：１）を、充填材として珪藻土および黒鉛（重量
比１：１）を用い、繊維成分と充填材との混合割合を変
えて水中に分散させ、分散液を抄紙し、乾燥してシート
を作成した。得られたシートをフェノール樹脂初期縮合
物をエタノールに濃度を変えて溶解した溶液中に時間を
変えて浸漬し、異なる量比でフェノール樹脂を含浸した
のち、風乾してエタノールを揮散除去した。次いで、１
００℃で６０分間および１６０℃で１０分間加熱してフ
ェノール樹脂を半硬化し、このシート成形体を外径１５
６mm、内径１０８mmのリング状に打ち抜き裁断して摩擦
ライニングを作製した。この摩擦ライニングを、ショッ
トブラストした鉄製の金属支持板（外径１５６mm、内径
１０８mm、厚さ２．０mm）にフェノール樹脂初期縮合物
をコートし、温度、圧力および接合時間を変え、異なる
圧縮率で熱圧接合して試験用の湿式摩擦材を作製した。
これらの湿式摩擦材の成分組成および熱圧接合時の圧縮
率、ならびにシート成形体のＤＢＰ体積含有率を測定し
て表１に示した。
【００２１】
【表１】 （注）*1 遠心分離する前のシート成形体中のＤＢＰ含有量
【００２２】これらの湿式摩擦材について慣性型摩擦試
験機により、摩擦材２枚と相手板鋼材Ｓ４５Ｃ３枚とを
交互に配置して摩擦面を４面として下記の条件で摩擦試
験を行い、その結果を表２に示した。 摩擦面積；９９．５cm2 （外径 156mm、内径 108mm） 有効半径；６６mm 慣性モーメント；０．２１kgfms2 係合面圧；３０kgf/cm2 潤滑油；三菱石油（株）製エンジン油 SAE #30、油温８
０℃ 供給油量；２．０ l/min（5ml/cm2/min ）
験機により、摩擦材２枚と相手板鋼材Ｓ４５Ｃ３枚とを
交互に配置して摩擦面を４面として下記の条件で摩擦試
験を行い、その結果を表２に示した。 摩擦面積；９９．５cm2 （外径 156mm、内径 108mm） 有効半径；６６mm 慣性モーメント；０．２１kgfms2 係合面圧；３０kgf/cm2 潤滑油；三菱石油（株）製エンジン油 SAE #30、油温８
０℃ 供給油量；２．０ l/min（5ml/cm2/min ）
【００２３】摩擦係数μは周速１０m/s 時のトルクか
ら、μ＝Ｔ／（Ｐ×Ｚ×Ｒ）式により算出した。但しＴ
はトルク、Ｐは総押付力、Ｚは摩擦面数、Ｒは有効半径
である。また、周速を６．９m/s から１．４m/s づつ上
げていった際のトルク波形の異常を観測して限界試験を
行い、単位吸収エネルギー量(kgfm/cm2)×単位吸収仕事
率(kgfm/cm2/s)から限界値を算出した。摩擦面温度は周
速１０m/s 時の相手板の温度およびその時の摩耗量を示
した。
ら、μ＝Ｔ／（Ｐ×Ｚ×Ｒ）式により算出した。但しＴ
はトルク、Ｐは総押付力、Ｚは摩擦面数、Ｒは有効半径
である。また、周速を６．９m/s から１．４m/s づつ上
げていった際のトルク波形の異常を観測して限界試験を
行い、単位吸収エネルギー量(kgfm/cm2)×単位吸収仕事
率(kgfm/cm2/s)から限界値を算出した。摩擦面温度は周
速１０m/s 時の相手板の温度およびその時の摩耗量を示
した。
【００２４】
【表２】 （注）*2 層間剥離が発生した
【００２５】表１、２の結果から、シート成形体のＤＢ
Ｐ体積含有率が２０〜５０％の範囲内にある実施例の湿
式摩擦材は、範囲外にある比較例の湿式摩擦材に比べて
摩擦係数μが大きく、また摩耗量が少ないことが判る。
更に、限界値が高いので焼付きが発生する時の負荷が大
きく、したがって焼付くことなしに高負荷条件での使用
が可能となる。
Ｐ体積含有率が２０〜５０％の範囲内にある実施例の湿
式摩擦材は、範囲外にある比較例の湿式摩擦材に比べて
摩擦係数μが大きく、また摩耗量が少ないことが判る。
更に、限界値が高いので焼付きが発生する時の負荷が大
きく、したがって焼付くことなしに高負荷条件での使用
が可能となる。
【００２６】
【発明の効果】以上のとおり、本発明の湿式摩擦材によ
ればペーパー系摩擦材を対象にして、摩擦性能、特に摺
動中の摩擦材の油液保持能力を示す指標としてＤＢＰ体
積含有率を定義し、その値を特定範囲に設定することに
より摺動中において高い含油性を付与することができ、
耐久性が高く、また摩擦性能の低下が抑制され、特に高
負荷条件下で使用される湿式摩擦材として極めて有用で
ある。
ればペーパー系摩擦材を対象にして、摩擦性能、特に摺
動中の摩擦材の油液保持能力を示す指標としてＤＢＰ体
積含有率を定義し、その値を特定範囲に設定することに
より摺動中において高い含油性を付与することができ、
耐久性が高く、また摩擦性能の低下が抑制され、特に高
負荷条件下で使用される湿式摩擦材として極めて有用で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 3J058 BA32 BA46 BA76 EA36 GA04 GA06 GA07 GA20 GA23 GA27 GA28 GA33 GA34 GA35 GA38 GA62 GA67 GA68 GA78 GA83 GA88 GA92 GA93 GA94 4F071 AA09 AA41 AA42 AA51 AA54 AA60 AB03 AB18 AB20 AB21 AB23 AB26 AB28 AC10 AE17 AH09 AH17 DA01 DA10 DA11 DA13 DA20
Claims (1)
- 【請求項１】 繊維成分と充填材とを抄紙して得られた
シートに含浸した熱硬化性樹脂を加熱硬化し、成形して
得られたシート成形体を金属支持板に熱圧接合してなる
湿式摩擦材であって、シート成形体のＤＢＰ体積含有率
が２０〜５０％の気孔性状を備えたものであることを特
徴とする湿式摩擦材。但し、ＤＢＰ体積含有率は、シー
ト成形体にＤＢＰ（フタル酸ジブチル）を含浸したの
ち、所定の回転速度で遠心分離して含浸したＤＢＰの一
部を排出し、シート成形体中に残存したＤＢＰを測定し
てシート成形体中のＤＢＰ体積比（ Vol％）を算出して
得られた値である。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10364039A JP2000186275A (ja) | 1998-12-22 | 1998-12-22 | 湿式摩擦材 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10364039A JP2000186275A (ja) | 1998-12-22 | 1998-12-22 | 湿式摩擦材 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2000186275A true JP2000186275A (ja) | 2000-07-04 |
Family
ID=18480831
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP10364039A Pending JP2000186275A (ja) | 1998-12-22 | 1998-12-22 | 湿式摩擦材 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2000186275A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| RU2484328C2 (ru) * | 2011-08-25 | 2013-06-10 | Открытое акционерное общество "Термостойкие изделия и инженерные разработки" (ОАО "ТИИР") | Фрикционная накладка |
-
1998
- 1998-12-22 JP JP10364039A patent/JP2000186275A/ja active Pending
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| RU2484328C2 (ru) * | 2011-08-25 | 2013-06-10 | Открытое акционерное общество "Термостойкие изделия и инженерные разработки" (ОАО "ТИИР") | Фрикционная накладка |
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Legal Events
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