JP2000186042A - ラクトン誘導体を用いる炎症性呼吸器疾患治療剤 - Google Patents

ラクトン誘導体を用いる炎症性呼吸器疾患治療剤

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JP2000186042A
JP2000186042A JP36282698A JP36282698A JP2000186042A JP 2000186042 A JP2000186042 A JP 2000186042A JP 36282698 A JP36282698 A JP 36282698A JP 36282698 A JP36282698 A JP 36282698A JP 2000186042 A JP2000186042 A JP 2000186042A
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JP
Japan
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therapeutic agent
acute
inflammatory respiratory
inflammatory
lactone derivative
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JP36282698A
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English (en)
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Kazuya Takenouchi
一弥 竹之内
Kenji Manabe
健次 真鍋
Yasuhiro Takano
泰宏 高野
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 炎症性呼吸器疾患治療剤として有効な化合物
を提供する。 【解決手段】 下記式[1] [式中、mは0または1を表し、nは0または1を表
す。]で表されるラクトン誘導体を有効成分として含有
し、好中球浸潤抑制作用を有する炎症性呼吸器疾患治療
剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は医薬品として有用な
ラクトン誘導体またはその医薬上許容される溶媒和物を
用いる治療剤に関する。さらに詳しくは、好中球浸潤抑
制作用を有する1α−ヒドロキシビタミンD3系のラク
トン誘導体またはその医薬上許容される溶媒和物を有効
成分とする炎症性呼吸器疾患の治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】気道感染は、病原体が気道の感染予防機
構を乗り越えて侵入した際に成立する病態で、気管支拡
張薬や去痰薬のような気道クリアランスを改善させる治
療を根幹とする。しかし、感染により急性増悪をきたし
た場合には起炎菌に対して抗菌剤治療を強力に行う治療
が主体である。ところが、ほとんどの基礎疾患は急性増
悪を繰り返すたびに確実に悪化してゆくことが多い。さ
らにMRSA等の耐性菌の出現により抗菌剤に頼りすぎ
る現在の治療が見直されつつある。
【0003】最近、慢性下気道感染症に対するエリスロ
マイシンの少量長期投与の有用性が報告され、注目され
ている。慢性下気道感染症とは慢性気管支炎、びまん性
汎細気管支炎、および気管支拡張症等にみられる細菌感
染を総称したものである(他に感染を伴う気管支喘息、
慢性肺気腫、肺結核後遺症などが含まれることもあ
る)。これらは疾患名は異なるが、いずれも多量の膿性
痰、労作性呼吸困難、低酸素血症などの共通した病態を
とることが知られている。エリスロマイシンの作用機序
に関しては単なる抗菌力に基づくものではないと推測さ
れており、細菌そのものよりむしろそれに伴って気道に
集積する炎症細胞、特に好中球に作用しているものと理
解されている。すなわち、感染に基づく種々の刺激によ
り好中球が組織に浸潤して、プロテアーゼや活性酸素を
放出し、これが上皮傷害、繊毛運動障害、粘液過分泌を
もたらし呼吸生理作用に悪影響を及ぼしていること、そ
してエリスロマイシンがこれらの過程に作用しているも
のと考えられている。このような考えから、好中球の肺
組織浸潤を抑制あるいはその機能を抑制する薬剤は炎症
性呼吸困難、例えば慢性下気道感染症の治療剤として有
用といえる。
【0004】一方、本発明に用いられるα−ヒドロキシ
ラクトン環をステロイド側鎖に有するビタミンD3誘導
体が知られている[アーカイブス・オブ・バイオケミスト
リー・アンド・バイオフィジクス(Arch. Bio-chem. Biop
hys.)、204巻、339−391頁、1980年;
フェブス・レターズ(FEBS LETTERS)、134巻、20
7−211頁、1981年、特開平6−329696号
公報]。これらの誘導体には血清中のカルシウム濃度低
下作用(特開昭58−118516号公報)、腫瘍細胞
増殖抑制作用(特開昭58−210011号公報)、骨
形成促進作用(特開昭60−185715号公報、特開
平6−329696号公報)などの作用があることが報
告されており、高カルシウム血症、制癌剤、骨粗鬆症な
どの治療剤としての適応が示唆されている。しかしなが
ら、本発明で開示する好中球浸潤抑制作用を特徴とする
炎症性呼吸器疾患治療剤としての適応は知られていな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、好中球浸潤抑制作用を有する炎症性呼吸器
疾患治療剤を見いだすことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的で
鋭意研究した結果、以下の発明に到達した。すなわち、
本発明は、治療有効量の下記一般式[1]
【0007】
【化2】
【0008】[式中、mは0または1を表し、nは0ま
たは1を表す。]で表わされるラクトン誘導体またはそ
の医薬上許容される溶媒和物を含有する、炎症性呼吸器
疾患治療剤である。
【0009】上記式[1]中、化合物構造中に不斉炭素
を含有する場合には、特に指定がない限りその立体配置
は(S)、(R)配置のいずれであってもよく、これら
の異性体の任意の割合の混合物も含まれる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で用いられるラクトン誘導
体は上記式[1]で表わされる。上記式[1]中、mは
0または1を表し、nは0または1を表す。これらの中
でmとnの組み合わせとしては、m=0、n=0;m=
0、n=1;m=1、n=0が好ましい。また、上記式
[1]中、C−23およびC−25の不斉中心について
は、C−23が(S)配置であり、C−25の不斉中心
が(R)配置のもの;C−23が(R)配置であり、C
−25の不斉中心が(R)配置のものが好ましい。
【0011】本発明で用いられる好ましいラクトン化合
物の具体例を示すと以下のとおりである。
【0012】(1) 1α、25−ジヒドロキシ−ビタ
ミンD3−26、23−ラクトン (2) 23(S)、25(R)−1α、25−ジヒド
ロキシ−ビタミンD3−26、23−ラクトン (3) 23(R)、25(R)−1α、25−ジヒド
ロキシ−ビタミンD3−26、23−ラクトン (4) 1α、25−ジヒドロキシ−22−ホモメチレ
ン−ビタミンD3−26、23−ラクトン (5) 23(S)、25(R)−1α、25−ジヒド
ロキシ−22−ホモメチレン−ビタミンD3−26、2
3−ラクトン (6) 23(R)、25(R)−1α、25−ジヒド
ロキシ−22−ホモメチレン−ビタミンD3−26、2
3−ラクトン (7) 1α、25−ジヒドロキシ−26−ホモメチレ
ン−ビタミンD3−26、23−ラクトン (8) 23(S)、25(R)−1α、25−ジヒド
ロキシ−26−ホモメチレン−ビタミンD3−26、2
3−ラクトン (9) 23(R)、25(R)−1α、25−ジヒド
ロキシ−26−ホモメチレン−ビタミンD3−26、2
3−ラクトン
【0013】本発明で用いられるラクトン誘導体は必要
に応じてその医薬上許容される溶媒和物に変換すること
ができる。そのような溶媒としては、水、メタノール、
エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコ
ール、ブタノール、t−ブタノール、アセトニトリル、
アセトン、メチルエチルケトン、クロロホルム、酢酸エ
チル、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、
ベンゼン、トルエン、DMF、DMSO等を挙げること
ができる。特に、水、メタノール、エタノール、プロピ
ルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトニトリ
ル、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチルを好ま
しいものとして挙げることができる。
【0014】上記式[1]で表されるラクトン誘導体の
製造は、文献記載の方法によって行うことができる。例
えば、上記式[1]中、m=0、n=0のラクトン誘導
体は、Wovkulichら、ザ・ジャーナル・オブ・オーガニック
・ケミストリー(J. Org. Chem)、48巻、4433−
4436頁、1983年;畠山ら、ジャーナル・オブ・ケ
ミカル・ソサエティー・ケミカル・コミュニケーション
(J. Chem. Soc., Chem Commun.)、1229−123
1頁、1992年;山本ら、ザ・ジャーナル・オブ・オー
ガニック・ケミストリー(J. Org. Chem)、57巻、3
3−39頁、1992年などに報告の方法などで製造で
きる。また、m=0、n=1;m=1、n=0;m=
1、n=1のラクトン誘導体は、特開平6−32969
6号公報に報告の方法などで製造できる。
【0015】さらにこのようにして得られるラクトン誘
導体は、必要に応じて前述のような医薬上許容される溶
媒和物に変換することができる。
【0016】本発明の治療剤の対象となる炎症性呼吸器
疾患としては、例えばかぜ、急性咽頭炎、急性鼻炎、急
性副鼻腔炎、急性扁桃炎、急性喉頭炎、急性喉頭蓋炎、
急性気管炎などの急性上気道感染症;蓄膿症、慢性副鼻
腔膿瘍、慢性副鼻腔化膿、慢性上顎洞炎、慢性前頭洞
炎、慢性し骨洞炎、慢性蝶形骨洞炎、汎副鼻腔炎などの
慢性副鼻腔炎;アレルギー性鼻炎;慢性気管支炎、びま
ん性汎細気管支炎、気管支拡張症などの慢性下気道感染
症;肺気腫;肺炎;気管支喘息;肺結核後遺症;急性呼
吸窮迫症候群;嚢胞性線維症;および肺線維症からなる
群から選ばれる1種または2種以上の炎症性呼吸器疾患
を挙げることができる。
【0017】これらの中でも、本発明の対象の炎症性呼
吸器疾患としては、かぜ、急性咽頭炎、急性鼻炎、急性
副鼻腔炎、急性扁桃炎、急性喉頭炎、急性喉頭蓋炎、お
よび急性気管支炎などの急性上気道感染症;慢性気管支
炎、びまん性汎細気管支炎、および気管支拡張症などの
慢性下気道感染症;気管支喘息;肺気腫;肺結核後遺
症;嚢胞性線維症からなる群から選ばれる1種または2
種以上の炎症性呼吸器疾患を好ましいものとして挙げら
れる。
【0018】さらには、慢性気管支炎、びまん性汎細気
管支炎、気管支拡張症などの慢性下気道感染症;気管支
喘息;肺気腫;肺結核後遺症;嚢胞性線維症からなる群
から選ばれる1種または2種以上の炎症性呼吸器疾患を
最も好ましいものとして挙げることができる。
【0019】本発明の炎症性呼吸器疾患の治療剤は、経
口的に、あるいは静脈内、皮下、筋肉内、経皮、経鼻、
直腸内等の非経口的に、または吸入によって投与するこ
とができる。
【0020】経口投与のための剤型としては、錠剤、丸
剤、散剤、顆粒剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、カプセ
ル剤などがある。
【0021】錠剤を調製する際には常法に従ってラクト
ース、スターチ、炭酸カルシウム、結晶性セルロース、
あるいはケイ酸などの賦形剤;カルボキシメチルセルロ
ース、メチルセルロース、リン酸カルシウム、あるいは
ポリビニルピロリドン等の結合剤;アルギン酸ナトリウ
ム、重ソウ、ラウリル硫酸ナトリウムやステアリン酸モ
ノグリセライド等の崩壊剤;グリセリン等の潤滑剤;カ
オリン、コロイド状シリカ等の吸収剤;タルク、粒状ホ
ウ酸などの潤滑剤などの添加剤が用いられて製剤化され
る。
【0022】丸剤、散剤または顆粒剤も上記と同様添加
剤を用いて常法に従って製剤化される。
【0023】液剤、懸濁剤、シロップ剤などの液体製剤
も常法に従って製剤化される。担体としては例えばトリ
カプリリン、トリアセチン、ヨード化ケシ油脂肪酸エス
テル等のグリセロールエステル類;水;エタノール等の
アルコール類;流動パラフィン、ココナッツ油、大豆
油、ゴマ油、トウモロコシ油等の油性基剤が用いられ
る。
【0024】カプセル剤は散剤、顆粒剤、液体製剤等を
ゼラチン等のカプセルに充填することにより成型され
る。
【0025】静脈内、皮下、筋肉内投与の剤型としては
無菌の水性あるいは非水溶性溶液剤などの形態にある注
射剤がある。水溶性液剤は例えば生理食塩水などが用い
られる。非水性溶液剤は、例えばプロピレングリコー
ル、ポリエチレングリコールまたはオリーブ油のような
植物油、オレイン酸エチル、ヨード化ケシ油脂肪酸エス
テルのような注射しうる有機エステル類などが用いられ
る。これらの製剤には必要に応じて等張化剤、防腐剤、
湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定剤などが添加され、また
バクテリア保留フィルターをとおす濾過、殺菌剤の配
合、あるいは照射等の処理を適宜行うことによって無菌
化できる。また無菌の固形製剤を製造し、使用直前に無
菌水または無菌の注射用溶媒に溶解して使用することが
できる。
【0026】また本発明化合物は、α,β、または、γ
−シクロデキストリンあるいはメチル化シクロデキスト
リン等と包接化合物を形成して使用することもできる。
またリポ化の形態にした注射剤でもよい。
【0027】経皮投与用薬剤の剤形としては、軟膏、ク
リーム、ローション、液剤等が挙げられる。
【0028】軟膏の基剤としては、例えばヒマシ油、オ
リーブ油、ゴマ油、サフラワー油などの脂肪油;ラノリ
ン;白色、黄色もしくは親水ワセリン;ロウ;オレイル
アルコール、イソステアリルアルコール、オクチルイド
デカノール、ヘキシルデカノールなどの高級アルコール
類;グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、
プロピレングリコール、ソルビトール、1,3−ブタン
ジオールなどのグリコール類などが挙げられる。また、
本発明化合物の可溶化剤としてエタノール、ジメチルス
ルホキシド、ポリエチレングリコールなどを用いてもよ
い。また、必要に応じて、パラオキシ安息香酸エステ
ル、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、ソルビン酸、ホ
ウ酸などの保存剤;ブチルヒドロキシアニソール、ジブ
チルヒドロキシトルエンなどの酸化防止剤などを用いて
もよい。
【0029】また、経皮吸収促進を図るため、ジイソプ
ロピルアジペート、ジエチルセバケート、エチルカプロ
エート、エチルラウレートなどの吸収促進剤を加えても
よい。また、安定化を図るため、本発明化合物はα,β
またはγ−シクロデキストリンあるいはメチル化シクロ
デキストリン等と包接化合物を形成して使用することも
できる。
【0030】軟膏は通常の方法によって製造することが
できる。クリーム剤としては水中油型クリーム剤の形態
が本発明化合物の安定化を図るうえで好ましい。またそ
の基剤としては、前述したように、脂肪油、高級アルコ
ール類、グリコール類などが用いられ、またジエチレン
グリコール、プロピレングリコール、ソルビタンモノ脂
肪酸エステル、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナト
リウムなどの乳化剤が用いられる。さらに、必要に応じ
て前述したような保存剤、酸化防止剤などを添加しても
よい。また、軟膏剤の場合と同様に、本発明化合物をシ
クロデキストリン、メチル化シクロデキストリンの包接
化合物として用いることもできる。クリーム剤は通常の
方法によって製造することができる。
【0031】ローション剤としては、懸濁型、乳剤型、
溶液型ローション剤が挙げられる。懸濁型ローション剤
は、アルギン酸ナトリウム、トラガント、カルボキシメ
チルセルロースナトリウムなどの懸濁化剤を用い、必要
に応じて酸化防止剤、保存剤などを加えて得られる。
【0032】乳化型ローション剤は、ソルビタンモノ脂
肪酸エステル、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナト
リウムなどの乳化剤を用い、通常の方法で得られる。溶
剤としては、本発明化合物をエタノールなどのアルコー
ル溶液に溶解し、必要に応じて酸化防止剤、保存剤など
を添加したものが挙げられる。
【0033】これらの剤形以外でも、パスタ剤、パップ
剤、エアゾール剤等の剤形が挙げられる。かかる製剤は
通常の方法によって製造することができる。
【0034】経鼻による投与の製剤は、液状または粉末
状の組成物として与えられる。液状剤の基剤としては
水、食塩水、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液等が用いられ、
さらに界面活性剤、酸化防止剤、安定剤、保存剤、粘性
付与剤を含んでいてもよい。粉末状剤の基剤としては、
水吸収性のものが好ましく、例えば、水易溶性のポリア
クリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリア
クリル酸アンモニウムなどのポリアクリル酸塩類、メチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナ
トリウムなどのセルロース低級アルキルエーテル類、ポ
リエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、アミロ
ース、プルランなどが、また水難溶性の結晶セルロー
ス、α−セルロース、架橋カルボキシメチルセルロース
ナトリウムなどのセルロース類、ヒドロキシプロピン澱
粉、カルボキシメチル澱粉、架橋澱粉、アミロース、ア
ミロペクチン、ペクチンなどの澱粉類、ゼラチン、カゼ
イン、カゼインナトリウムなどのタンパク類、アラビア
ガム、トラガントガム、グルコマンナンなどのガム類、
ポリビニルポリピロリドン、架橋ポリアクリル酸および
その塩、架橋ポリビニルアルコールなどが挙げられ、こ
れらを混合して用いてもよい。さらに粉末状剤には、酸
化防止剤、着色剤、保存剤、防腐剤、矯腐剤等を添加し
てもよい。かかる液状剤、粉末状剤は例えばスプレー器
具等を用いて投与することができる。
【0035】直腸内投与のためには、ゼラチンソフトカ
プセルなどの通常の坐剤が用いられる。
【0036】また吸入のためには、スプレー、ネブライ
ザー、アトマイザー等の投与装置を用いて、本発明の有
効成分のビタミンD3誘導体を単独又は適当な生体適合
性の賦形剤と組み合わせて粉末状又は液状組成物として
疾患部位に投与することができる。あるいはフロン等の
エアロゾル用噴射剤に懸濁することによって疾患部位に
投与することもできる。
【0037】本発明の有効成分の治療有効量は、投与経
路、患者の年齢、性別、疾患の程度によって異なるが、
通常0.001〜100μg/日程度、より好適には
0.01〜50μg/日程度であり、投与回数は通常1
〜3回/日であり、このような条件を満足するように製
剤を調製するのが好ましい。
【0038】なお、本発明の炎症性呼吸器疾患治療剤
は、既存の薬剤と併用することも可能である。
【0039】
【実施例】ハムスターリポポリサッカライド(LPS)
惹起肺炎症モデル用いた好中球浸潤抑制作用 雄性ゴールデンハムスターを吸入用チャンバー(容量:
12リットル)に入れ、超音波ネブライザーにて発生さ
せたLPS(ネブライザー充填濃度:2.0mg/m
l)を30分間吸入させ、肺炎症を惹起した。LPSの
吸入直後にハロセン麻酔下にて本発明に係る化合物を2
0μg/kg経気道投与し、24時間後に気管支肺胞洗
浄を行って洗浄液中の好中球数を測定した。本発明に係
る化合物を投与しない場合の好中球数をコントロールと
し、これに対する好中球数の減少率を%抑制率として示
した。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】本モデルは炎症性肺疾患モデルとして汎用
されており( Esbenshade, A.M. ら,ジャーナル・オブ
・アプライド・フィジオロジー( J. Appl. Physio
l.)、53巻、967−976頁、1982年)、炎症
性肺疾患の急性悪化様の病態を示すことが報告されてい
る( Hurlar, L.M. ら, ジャーナル・オブ・アプライド
・フィジオロジー( J. Appl. Physiol.)、54巻、1
463−1468頁、1983年)。
【0042】表1の結果から、本発明に係る化合物が本
モデルにおいて好中球浸潤抑制作用を有することが認め
られた。以上のことから本発明に係る化合物は炎症性呼
吸器疾患治療剤として有効であることが示された。
【0043】
【発明の効果】本発明で用いられる上記式[1]で表さ
れるラクトン誘導体の炎症性呼吸器疾患への有用性は、
実施例に具体的に示したように炎症性肺疾患モデルとし
て汎用されているLPS惹起肺炎症ハムスターを用いた
実験において示された。すなわち、本発明の化合物はL
PSで惹起した肺炎症を有意に抑制することがわかっ
た。一方、一般に活性型ビタミンD3化合物で最も懸念
される副作用は血中カルシウム濃度の上昇であるが、本
発明に記載の化合物は1α,25−ジヒドロキシビタミ
ンD3レセプターとの結合能がほとんどなく、血中カル
シウム濃度上昇作用はほとんど認められないことが判明
している。以上のことから、上記式[1]で表されるラ
クトン誘導体は、抗炎症作用発現濃度と血中カルシウム
濃度上昇作用発現濃度の分離が実現されており、副作用
も発現しないと考えられる。よって、上記式[1]で表
されるラクトン誘導体を有効成分として含有する治療剤
は炎症性呼吸器疾患に対して有用であるといえる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07D 309/30 C07D 307/32 Q (72)発明者 高野 泰宏 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝人 株式会社東京研究センター内 Fターム(参考) 4C037 FA03 4C062 BB60 4C086 AA01 AA02 DA16 MA01 NA14 ZA34 ZA59 ZA60 ZB11 ZB13 ZC80

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 治療有効量の下記式[1] 【化1】 [式中、mは0または1を表し、nは0または1を表
    す。]で表わされるラクトン誘導体またはその医薬上許
    容される溶媒和物を含有する、炎症性呼吸器疾患治療
    剤。
  2. 【請求項2】 上記式[1]のmが0であり、nが0で
    ある、請求項1に記載のラクトン誘導体またはその医薬
    上許容される溶媒和物を含有する、炎症性呼吸器疾患治
    療剤。
  3. 【請求項3】 上記式[1]のmが0であり、nが1で
    ある、請求項1に記載のラクトン誘導体またはその医薬
    上許容される溶媒和物を含有する、炎症性呼吸器疾患治
    療剤。
  4. 【請求項4】 上記式[1]のmが1であり、nが0で
    ある、請求項1に記載のラクトン誘導体またはその医薬
    上許容される溶媒和物を含有する、炎症性呼吸器疾患治
    療剤。
  5. 【請求項5】 C−23の不斉中心が(S)配置であ
    り、C−25の不斉中心が(R)配置である、請求項2
    から請求項4のいずれかに記載のラクトン誘導体または
    その医薬上許容される溶媒和物を含有する、炎症性呼吸
    器疾患治療剤。
  6. 【請求項6】 C−23の不斉中心が(R)配置であ
    り、C−25の不斉中心が(R)配置である、請求項2
    から請求項4のいずれかに記載のラクトン誘導体または
    その医薬上許容される溶媒和物を含有する、炎症性呼吸
    器疾患治療剤。
  7. 【請求項7】 炎症性呼吸器疾患が、急性上気道感染
    症、慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、慢性下気道感染
    症、肺気腫、肺炎、気管支喘息、肺結核後遺症、急性呼
    吸窮迫症候群、嚢胞性線維症、および肺線維症からなる
    群から選ばれる1種または2種以上の炎症性呼吸器疾患
    である、請求項1から請求項6のいずれかに記載の炎症
    性呼吸器疾患治療剤。
  8. 【請求項8】 急性上気道感染症が、かぜ、急性咽頭
    炎、急性鼻炎、急性副鼻腔炎、急性扁桃炎、急性喉頭
    炎、急性喉頭蓋炎、および急性気管炎からなる群から選
    ばれる1種または2種以上の疾患である、請求項7に記
    載の炎症性呼吸器疾患治療剤。
  9. 【請求項9】 慢性下気道感染症が、慢性気管支炎、び
    まん性汎細気管支炎、および気管支拡張症からなる群か
    ら選ばれる1種または2種以上の疾患である、請求項7
    に記載の炎症性呼吸器疾患治療剤。
  10. 【請求項10】 炎症性呼吸器疾患が、慢性気管支炎、
    びまん性汎細気管支炎、気管支拡張症、気管支喘息、肺
    気腫、肺結核後遺症、および嚢胞性線維症からなる群か
    ら選ばれる1種または2種以上の炎症性呼吸器疾患であ
    る、請求項1から請求項6のいずれかに記載の炎症性呼
    吸器疾患治療剤。
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