JP2000185415A - 印刷装置、印刷方法および記録媒体 - Google Patents

印刷装置、印刷方法および記録媒体

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JP2000185415A
JP2000185415A JP10364973A JP36497398A JP2000185415A JP 2000185415 A JP2000185415 A JP 2000185415A JP 10364973 A JP10364973 A JP 10364973A JP 36497398 A JP36497398 A JP 36497398A JP 2000185415 A JP2000185415 A JP 2000185415A
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dots
head
pixel
ink
printing
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English (en)
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Koichi Otsuki
幸一 大槻
Noboru Asauchi
昇 朝内
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Seiko Epson Corp
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Seiko Epson Corp
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Publication date
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各画素ごとに3値以上の濃度を表現可能な多
値プリンタの高画質化を図る。 【解決手段】 インクジェットプリンタにおいて、主走
査中に一各画素に対して連続的にインクを吐出可能と
し、ドット数に応じて各画素ごとに多階調を表現する。
この際、画像データの階調値とドットの形成パターンと
の関係をブラックとその他の色で異なる設定とする。ブ
ラックについては各画素に形成すべきドットを2回の主
走査に分けて形成する。つまり、1回の主走査で各画素
に吐出されるインク量が他の色よりも少なくなるように
設定する。こうすることにより、ブラックについてドッ
トのにじみを抑制でき、画質が向上する。ブラックのノ
ズルを他色よりも多く備えるプリンタでは、印刷速度を
低下させることなく画質を向上することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印刷媒体上にドッ
トを形成して画像を印刷する印刷装置に関し、詳しく
は、各画素ごとに3値以上の濃度表現が可能な印刷装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、コンピュータの出力装置として、
種々のプリンタが多色多階調の画像を印刷するのに広く
用いられている。かかるプリンタの一つとして、例え
ば、ヘッドに備えられた複数のノズルから吐出される数
色のインクによりドットを形成して画像を記録するイン
クジェットプリンタがある。インクジェットプリンタ
は、通常、各画素ごとにはドットのオン・オフの2階調
しか表現し得ない。従って、原画像データの有する多階
調をドットの分布により表現するハーフトーン処理を施
した上で画像を印刷する。
【0003】近年では、豊かな階調表現を実現を図る技
術として、各ドットごとにオン・オフの2値よりも多く
の階調表現を可能としたプリンタ、いわゆる多値プリン
タが提案されている。多値プリンタとしては、印刷デー
タとして各画素ごとに与えられた階調値に応じてインク
量の異なるドットを形成可能とするものや、各画素に複
数のドットを重ねて形成するものなどが挙げられる。か
かる多値プリンタでは、滑らかな階調表現を実現して高
画質な印刷を行うことができる。
【0004】一般にプリンタでは、ドットの視認性を低
くし粒状感に優れた画像を印刷すること、滑らかな階調
表現を実現することによる画質の向上が重要な課題であ
る。また、画像の印刷速度を確保することも重要であ
る。従来の多値プリンタでは、これらの両面を考慮し
て、各画素ごとに表現可能な階調値が設定されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の多値プリンタで
は、各画素ごとの階調値とドットの形成態様との関係
が、全ての色について統一されていた。例えば、インク
量を大中小の3段階に変化させてドットを形成する多値
プリンタでは、大ドットのインク量、中ドットのインク
量、小ドットのインク量がそれぞれ全ての色について統
一されていた。
【0006】しかし、一般に同じインク量でドットを形
成しても色によってドットの視認性は異なる。例えば、
イエロのインクで形成された小ドットと、ブラックのイ
ンクで形成された小ドットでは、後者の方がドットとし
ての視認性が高い。また、インク量を変化させた場合の
階調表現への寄与も異なる。例えば、小ドットで表現さ
れる濃度と大ドットで表現される濃度との差異を、イエ
ロとブラックで比較すると、後者の方が前者よりも大き
い。
【0007】ドットの視認性を抑えて粒状感に優れた画
像を印刷するため、各ドットのインク量を少なく設定す
れば、イエロのような一部の色については階調表現を豊
かにする効果が低減する。一方、かかる色について階調
表現を豊かにするために各ドットのインク量の差異を大
きくすれば、ブラックのような一部の色についてはドッ
トが視認されやすくなり、粒状感が悪く滑らかさに欠け
た画像になる。また、各ドットのインク量を増大すれ
ば、印刷されたドットににじみが生じやすい。ドットの
視認性が高いインクについて生じたにじみは非常に視認
されやすく画質を低下させる原因となる。このように従
来の多値プリンタでは、画像の粒状感やにじみの向上と
階調表現の向上とを十分に図ることができる態様で各ド
ットを形成することが困難であった。
【0008】一方、多色を印刷するプリンタは、単色の
みを印刷するモードを備えているのが一般的である。か
かるプリンタでは、単色印刷時における印刷速度を確保
するために、単色印刷で使用される色のノズルを他の色
のノズルよりも多く備えていることが多い。多色印刷時
には、全色について同数のノズルを用いて印刷が実行さ
れるため、単色印刷用の余剰のノズルは印刷に用いられ
ず、十分に活用されていなかった。多色印刷時に、これ
らの余剰ノズルを活用して画質を向上することについて
は検討されていなかった。
【0009】本発明は、上述の課題を解決するためにな
されたものであり、各画素ごとに3値以上の階調値を表
現可能な多色の印刷装置において、ドットの視認性およ
びにじみを抑制するとともに階調表現を向上して画質の
向上を図る技術を提供することを目的とする。また、ヘ
ッドに備えられたドット形成要素の有効活用により画質
を向上する技術を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明は、
次の構成を採用した。本発明の印刷装置は、駆動信号に
応じて多色のドットを形成可能なヘッドを印刷媒体の一
方向に相対的に往復動する主走査を行いつつ、各画素ご
とに3値以上にハーフトーン処理された印刷データの階
調値に応じたドットを形成することで該印刷媒体上に画
像を印刷する印刷装置であって、前記階調値と形成され
るドットとの対応関係であって、前記多色のうち少なく
とも1色の特定色については他の色と異なって設定され
た対応関係を記憶する記憶手段と、前記主走査中に前記
ヘッドに前記駆動信号を出力して、前記対応関係に応じ
た形成態様で、各画素ごとに前記多色のドットを形成す
る駆動手段とを備えることを要旨とする。
【0011】かかる印刷装置によれば、前記特定色につ
いて、他の色と異なる形成態様でハーフトーン処理済み
の階調値に応じたドットを形成することができる。この
結果、各色ごとに形成されたドットの視認性やにじみ、
階調表現への寄与などを考慮して設定された適切な形成
態様でドットを形成することができる。従って、本発明
の印刷装置によれば、ドットの視認性およびにじみを抑
制するとともに、階調表現を向上した高画質な印刷を実
現することができる。
【0012】例えば、インク量を変えることによって前
記2種類以上のドットを形成する印刷装置においては、
階調値とインク量との関係を異なるものとすることがで
きる。従って、階調値1に対するインク量をイエロでは
多く、ブラックでは少なく設定することが可能となる。
階調値1と階調値3に対するインク量の変化を、イエロ
では多く、ブラックでは少なく設定することも可能とな
る。この結果、両者の色についてドットの視認性および
階調表現への寄与の双方をそれぞれ向上することが可能
となる。ハーフトーン処理は、形成されるドットにより
表現される濃度を考慮してなされるのが通常であるか
ら、上述のようにイエロにつき階調値とインク量との対
応関係を異なる設定にしても印刷される画像の色調を損
ねることはない。
【0013】なお、ここではイエロとブラックを例にと
って説明したが、その他の色についても種々設定可能で
あることはいうまでもない。駆動信号の出力回数を変え
ることによって前記2種類以上のドットを形成する印刷
装置においても同様に各色ごとに適切な回数を設定する
ことができる。
【0014】本発明の印刷装置において、前記対応関係
は、前記特定色について、前記階調値に対し、他の色よ
りも多い主走査で形成されるドットを対応させる関係で
あるものとすることもできる。
【0015】かかる対応関係には、階調値とインク量と
の関係が、全色につき統一されているものおよび各色で
異なるものの双方が含まれる。上述の対応関係によれ
ば、前記特定色は、他の色よりも多くの主走査でドット
が形成される。これらのドットが異なるノズルで形成さ
れる場合には、ノズルごとに生じるドットの形成位置の
ずれを分散することができ、ドットのずれが小さい高画
質な印刷を実現することができる。
【0016】インクを用いてドットを形成するヘッドに
おいては、ドットを複数回に分けて形成することによ
り、インクのにじみを抑制することができ、高画質な印
刷を実現することができる。一般ににじみは印刷媒体を
構成する微細な繊維の隙間に毛細管現象によってインク
が染み込むことが原因と考えられる。ドットを複数回に
分けて形成した場合には、1回目のインクが乾燥するこ
とによって、これらの微細な隙間が塞がれる。従って、
2回目以降のインクはにじみが生じにくくなるのであ
る。
【0017】この様に、特定色について多くの主走査で
ドットを形成する印刷装置においては、前記ヘッドは、
前記ドットを形成するドット形成要素を、前記特定色に
つき、他の色よりも多く備えるヘッドであることが望ま
しい。
【0018】こうすれば、印刷速度の低下を抑えつつ、
特定色について主走査の回数を増やすことができる。こ
こで、主走査の回数とは、各画素のドットの形成に要す
る主走査の延べ回数を意味する。従って、ヘッドの1回
の運動中に一つの画素に対して異なる2つのドット形成
要素でドットを形成する場合、主走査の延べ回数は2回
と考える。
【0019】本発明の印刷装置は、種々のヘッドを備え
る印刷装置に適用可能であるが、特に、前記ヘッドは、
液体のインクを前記印刷媒体に吐出してドットを形成す
るヘッドであるものとすることが好ましい。液体のイン
クを用いてドットを形成する印刷装置では、ドットの形
成位置のずれやにじみなどを抑制することによる画質の
向上の効果が非常に大きい。
【0020】また、本発明の印刷装置は、各画素ごとに
3値以上の濃度を表現可能な種々の印刷装置に適用可能
である。例えば、前記ヘッドが、前記駆動信号に応じて
前記インク量を変えることにより、前記2種類以上のド
ットを形成可能なヘッドである印刷装置に適用してもよ
いし、前記駆動手段は、各画素ごとに出力される駆動信
号の数を変えることにより、各画素ごとに3値以上の濃
度を表現する手段である印刷装置に適用してもよい。
【0021】本発明における特定色は、種々の色に設定
可能であるが、特に特定色は黒であるものとすることが
望ましい。一般に黒は視認されやすいため、本発明を適
用してドットの視認性やにじみを抑制することによる画
質の向上の効果が大きく現れる。もちろん、特定色は、
1色に限られるものではなく、複数色に設定することも
可能である。この場合でも、黒を含むことが望ましい。
【0022】本発明は以下に示す印刷方法として構成す
ることもできる。本発明の印刷方法は、駆動信号に応じ
て多色のドットを形成可能なヘッドを印刷媒体の一方向
に相対的に往復動する主走査を行いつつ、各画素ごとに
3値以上にハーフトーン処理された印刷データの階調値
に応じたドットを形成することで該印刷媒体上に画像を
印刷する印刷方法であって、(a) 前記印刷データを
入力する工程と、(b) 前記主走査中に前記ヘッドに
前記駆動信号を出力して、前記階調値と形成されるドッ
トについて予め記憶された所定の対応関係に応じた形成
態様で、各画素ごとに前記多色のドットを形成する工程
とを備え、前記対応関係は、前記多色のうち少なくとも
1色の特定色については他の色と異なって設定された対
応関係である印刷方法である。かかる印刷方法によれ
ば、先に印刷装置で説明したのと同様の作用により、高
画質な印刷を実現することができる。
【0023】また、本発明は、プログラムを記録した記
録媒体として構成することもできる。即ち、本発明の記
録媒体は、駆動信号に応じて多色のドットを形成可能な
ヘッドを印刷媒体の一方向に相対的に往復動する主走査
を行いつつ、各画素ごとに3値以上にハーフトーン処理
された印刷データの階調値に応じたドットを形成する印
刷装置を駆動するためのプログラムをコンピュータ読み
取り可能に記録した記録媒体であって、該プログラムに
使用されるデータとして、前記階調値と形成されるドッ
トとの対応関係であって、前記多色のうち少なくとも1
色の特定色については他の色と異なって設定された対応
関係を記録した記録媒体である。
【0024】かかる記録媒体に記録されたプログラムが
コンピュータによって実現されることにより、本発明の
印刷装置および印刷方法を実現することができる。な
お、印刷装置を駆動するためのプログラムの本体を別の
記録媒体に記憶し、上記所定の対応関係のみを記憶した
記録媒体としての構成も可能である。
【0025】この場合の記憶媒体としては、フレキシブ
ルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカー
ド、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードな
どの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶
装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装
置等、コンピュータが読取り可能な種々の媒体を利用で
きる。また、通信経路を介してこれらのプログラムおよ
び上記対応関係をコンピュータに供給するプログラム供
給装置としての態様も含む。
【0026】
【発明の実施の形態】(1)装置の構成:以下、本発明
の実施の形態について、実施例に基づき説明する。図1
は、本発明の実施例としてのプリンタPRTを用いた印
刷システムの構成を示す説明図である。プリンタPRT
は、コンピュータPCに接続され、コンピュータPCか
ら画像データを受け取って印刷を実行する。コンピュー
タPCは、外部のネットワークTNに接続されており、
特定のサーバーSVに接続することにより、プリンタP
RTを駆動するプログラムをダウンロードすることも可
能である。また、必要なプログラムおよびデータをフレ
キシブルディスクドライブFDDやCD−ROMドライ
ブCDDを用いてフレキシブルディスクやCD−ROM
などの記録媒体からロードすることも可能である。
【0027】図1にプリンタPRTの機能ブロックの構
成を併せて示した。プリンタPRTには、入力部91、
バッファ92、主走査部93、副走査部94、ヘッド駆
動部95、形成パターンテーブル96が備えられてい
る。入力部91は、コンピュータPCから画像データを
受け取り、一旦、バッファ92に蓄える。コンピュータ
PCから与えられる画像データは、2次元的に配列され
た各画素ごとにドットを形成することによって表現され
るべき濃度を与えるデータである。主走査部93は、画
像データに基づいてプリンタPRTのヘッドを印刷用紙
に対して相対的に往復動する主走査を行う。副走査部9
4は、主走査が終了する度に印刷用紙を主走査方向に直
交する方向に搬送する副走査を行う。ヘッド駆動部95
は、主走査中にバッファ92に記憶された画像データに
基づいてプリンタのヘッドを駆動し、印刷用紙上にドッ
トを形成する。後述する通り、本実施例のプリンタPR
Tは、各画素に形成されるドット数を変えることによ
り、4段階の濃度を表現可能である。画像データとして
与えられた濃度とドットの形成パターンとの対応関係
は、形成パターンテーブル96に記憶されている。ヘッ
ド駆動部95は、この形成パターンテーブル96を参照
しつつ、各画素に所定のパターンでドットを形成する。
【0028】次に、図2によりプリンタPRTの概略構
成を説明する。図示するように、このプリンタPRT
は、紙送りモータ23によって用紙Pを搬送する機構
と、キャリッジモータ24によってキャリッジ31をプ
ラテン26の軸方向に往復動させる機構と、キャリッジ
31に搭載された印字ヘッド28を駆動してインクを吐
出する機構と、これらの紙送りモータ23,キャリッジ
モータ24,印字ヘッド28および操作パネル32との
信号のやり取りを司る制御回路40とから構成されてい
る。
【0029】キャリッジ31をプラテン26の軸方向に
往復動させる機構は、プラテン26の軸と並行に架設さ
れキャリッジ31を摺動可能に保持する摺動軸34と、
キャリッジモータ24との間に無端の駆動ベルト36を
張設するプーリ38と、キャリッジ31の原点位置を検
出する位置検出センサ39等から構成されている。
【0030】このキャリッジ31には、黒インク(K)
用のカートリッジ71とシアン(C)、ライトシアン
(LC)、マゼンタ(M)、ライトマゼンタ(LM)、
イエロ(Y)の5色のインクを収納したカラーインク用
のカートリッジ72が搭載可能である。キャリッジ31
の下部の印字ヘッド28には計6個のインク吐出用ヘッ
ド61〜66が形成されている。キャリッジ31にカー
トリッジ71、72を装着すると、各インクカートリッ
ジからヘッド61〜66にインクが供給される。
【0031】図3は、ヘッド61〜66におけるノズル
Nzの配列を示す説明図である。これらのノズルは、各
色ごとにインクを吐出する6組のノズルアレイから成っ
ている。ブラックインク用のノズルアレイには、96個
のノズルNzが一定のノズルピッチkで千鳥状に配列さ
れている。カラーインク用のノズルアレイには、48個
のノズルNzがブラックの2倍のノズルピッチ2kで一
列に配列されている。プリンタPRTは、ブラックイン
ク用のノズルをカラーインク用のノズルの2倍備えてい
る。
【0032】インクを吐出する機構について説明する。
図4はインク吐出用ヘッド28の内部の概略構成を示す
説明図である。図示の都合上K、C、LCの3色につい
て示した。ヘッド61〜66には、各ノズルごとにピエ
ゾ素子PEが配置されている。図4に示すように、ピエ
ゾ素子PEは、ノズルNzまでインクを導くインク通路
68に接する位置に設置されている。ピエゾ素子PE
は、周知のように、電圧の印加により結晶構造が歪み、
極めて高速に電気−機械エネルギの変換を行う素子であ
る。本実施例では、ピエゾ素子PEの両端に設けられた
電極間に所定時間幅の電圧を印加することにより、ピエ
ゾ素子PEが電圧の印加時間だけ伸張し、図中の矢印で
示すようにインク通路68の一側壁を変形させる。この
結果、インク通路68の体積はピエゾ素子PEの伸張に
応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、粒子I
pとなって、ノズルNzの先端から高速に吐出される。
このインク粒子Ipがプラテン26に装着された用紙P
に染み込むことにより印刷が行われる。
【0033】本実施例のプリンタPRTは、各画素あた
りに形成されるドットの数を0〜4個の範囲で変えるこ
とによって、各画素ごとに4段階の濃度を表現すること
ができる。図5に本実施例におけるドットの形成パター
ンを示す。プリンタPRTは、各画素あたりにW1〜W
4の駆動波形を用いてドットを形成する。図5に示す通
り、各駆動波形は、基準電圧から一旦電圧を低くし、そ
の後高い電圧を印加して基準電圧に戻る波形をなしてい
る。駆動波形W1〜W4は同一の波形であり、キャリッ
ジ31の移動とともに、各画素あたりに4つの駆動波形
が入る周期で出力される。
【0034】プリンタPRTの制御回路40は、駆動波
形W1〜W4を選択的にオン・オフすることで各画素当
たりに形成されるドット数を変え、各画素ごとに表現さ
れる濃度を4段階に変えている。表現される濃度が最も
低い状態D0としては、駆動波形W1〜W4の全てをオ
フにする。このときは図5に示す通り、ドットは形成さ
れない。
【0035】濃度が2番目に低い状態D1としては、駆
動波形W2のみをオンにする。このときは図5に示す通
り画素内に1個のドットが形成される。図中のハッチン
グを施した円が形成されるドットを意味している。濃度
が3番目に低い状態D2としては、駆動波形W2および
W3をオンにする。このときは図5に示す通り、画素内
に2個のドットが形成される。濃度が最も高い状態D3
としては、駆動波形W1〜W4の全てをオンにする。こ
のときは図5に示す通り、画素内に4個のドットが形成
される。
【0036】本実施例では、図5で示したD0〜D3の
4種類の形成パターンを画像データに応じて使い分ける
ことにより画像を印刷する。形成パターンと画像データ
の階調値との対応関係は、印刷モードによって異なる関
係に設定されている。対応関係の設定を図6に示す。プ
リンタPRTは、印刷モードとして、ブラックのインク
のみを用いて印刷を行うモノクロ印刷モードと、全イン
クを用いて印刷を行うカラー印刷モードとを有してい
る。図6は、それぞれの印刷モードにおける画像データ
と形成パターンとの対応関係を示している。なお、画像
データの階調値0に対しては、ドットを形成しない状態
D0がいずれのモードにおいても対応するため、図示を
省略した。
【0037】モノクロ印刷モードにおいては、画像デー
タの階調値1に対して形成パターンD1、階調値2に対
して形成パターンD2、階調値3に対して形成パターン
D3が対応するよう設定されている。かかる設定によ
り、各画素ごとに画像データに応じた濃度を表現するこ
とができる。
【0038】カラー印刷モードにおいては、画像データ
の階調値に応じた形成パターンが、ブラックインク(K)
と有色インク(C,LC,M,LM,Y)とで異なる対
応関係に設定されている。有色インクについては、画像
データの階調値1に対して形成パターンD1、階調値2
に対して形成パターンD2、階調値3に対して形成パタ
ーンD3が対応するよう設定されている。ブラックイン
ク(K)については、画像データの階調値1に対して形
成パターンD1と形成パターンD0の組み合わせ、階調
値2に対して形成パターンD1と形成パターンD1の組
み合わせ、階調値3に対して形成パターンD2と形成パ
ターンD2の組み合わせで設定されている。
【0039】組み合わせとは、2回に分けてドットが形
成されることを意味している。例えば、形成パターンD
1と形成パターンD1の組み合わせでは、ある画素に対
して形成パターンD1として1つのドットが形成された
後、別のノズルによって再度同じ画素に対して形成パタ
ーンD1として1つドットが形成されることを意味す
る。この画素には時間をおいて合計2つの画素が形成さ
れることになる。形成されるドットの数は、形成パター
ンD2と同数であるから、形成パターンD2に相当する
濃度を表現することができる。形成パターンD2と形成
パターンD2の組み合わせも同様に、2回に分けて2つ
ずつ合計4個のドットが形成されることを意味してい
る。この様に、モノクロ印刷モードとカラー印刷モード
とで異なる対応関係に設定してある理由、およびカラー
印刷モードにおいてブラックインクと有色インクとで異
なる対応関係に設定してある理由については後述する。
【0040】一般にプリンタPRTが表現可能な階調値
が増せば高画質な印刷を実現することが可能となるが、
その一方でコンピュータPRTによるハーフトーン処理
の負担が増え、印刷時間が長くなる。本実施例では、印
刷時間の低下を回避するため、プリンタPRTで表現可
能な階調値を4段階としており、画素内に3つのドット
が形成される状態を用いないものとした。もちろん、画
素内に3つのドットを形成する状態を用いて各画素ごと
に5段階の階調表現を可能にしてもよい。
【0041】次にプリンタPRTの制御回路40の内部
構成を説明する。図7は制御回路40の内部構成を示す
説明図である。図示する通り、この制御回路40の内部
には、CPU81,PROM42,RAM43の他、コ
ンピュータPCとのデータのやりとりを行うPCインタ
フェース44と、紙送りモータ23、キャリッジモータ
24および操作パネル32などとの信号をやりとりする
周辺入出力部(PIO)45と、計時を行うタイマ46
と、ヘッド61〜66にドットのオン・オフの信号を出
力する駆動用バッファ47などが設けられており、これ
らの素子および回路はバス48で相互に接続されてい
る。また、制御回路40には駆動波形を出力する発信器
51、および発信器51からの出力をヘッド61〜66
に所定のタイミングで分配する分配器55も設けられて
いる。
【0042】制御回路40は、コンピュータPCでハー
フトーン処理された印刷データを受け取り、これを一時
的にRAM43に蓄え、所定のタイミングで駆動用バッ
ファ47に出力する。駆動用バッファ47は、印刷デー
タに従って印刷モードに応じた対応関係で各画素ごとに
駆動波形W1〜W4のオン・オフを決定し、分配器55
に出力する。この結果に応じて、駆動波形W1〜W4が
各ノズルに出力され、図5に示した種々のドットが形成
される。画像データの階調値と駆動波形W1〜W4のオ
ン・オフとの対応関係(図6参照)は、形成パターンテ
ーブルとしてPROM42に記憶されている。
【0043】以上説明したハードウェア構成を有するプ
リンタPRTは、紙送りモータ23により用紙Pを搬送
しつつ(以下、副走査という)、キャリッジ31をキャ
リッジモータ24により往復動させ(以下、主走査とい
う)、同時に印字ヘッド28の各色ヘッド61〜66の
ピエゾ素子PEを駆動して、各色インクの吐出を行い、
ドットを形成して用紙P上に多色の画像を形成する。
【0044】なお、本実施例では、上述の通りピエゾ素
子PEを用いてインクを吐出するヘッドを備えたプリン
タPRTを用いているが、他の方法によりインクを吐出
するプリンタを用いるものとしてもよい。例えば、イン
ク通路に配置したヒータに通電し、インク通路内に発生
する泡(バブル)によりインクを吐出するタイプのプリ
ンタに適用するものとしてもよい。その他、いわゆる熱
転写型、昇華型やドットインパクト型など種々のプリン
タを適用することも可能である。
【0045】(2)ドット形成制御:次に本実施例にお
けるドット形成処理について説明する。ドット形成ルー
チンのフローチャートを図8に示す。これは、プリンタ
PRTのCPU41が実行する処理である。この処理が
開始されると、CPU41は、印刷データを入力する
(ステップS10)。この画像データは、コンピュータ
PCでハーフトーン処理されたデータであり、画像を構
成する各画素ごとにプリンタPRTが備える各インクで
表現されるべき濃度を階調値0〜3で表したデータであ
る。
【0046】CPU41は、このデータを入力すると、
一旦、RAM43に記憶する。そして、主走査中に各ノ
ズルに順次出力するデータを駆動用バッファ47に設定
する(ステップS20)。CPU41は、印刷データと
ヘッドとの位置関係から、各ノズルでドットを形成すべ
きラスタを判定し、該ラスタ上のデータを順次駆動用バ
ッファ47に転送するのである。印刷データは、駆動用
バッファ47に転送される際に、印刷モードに応じた対
応関係(図6参照)で、各駆動波形W1〜W4のオン・
オフを示すデータに変換される。例えば、モノクロ印刷
モードにおいて、印刷データの階調値が値1であれば、
駆動用バッファ47には、駆動波形W1のオフを示す値
0、駆動波形W2のオンを示す値1、駆動波形W3,W
4のオフを示す値0を有する4ビットのデータ「010
0」が転送されるのである。
【0047】カラー印刷モードでは、ブラックについて
は、各画素が異なる2つのノズルで形成される。図6に
示す通り、例えば、階調値が値1の場合、該画素を最初
に通過するノズルは形成パターンD1で1つのドットを
形成する。該画素に2番目に通過するノズルは形成パタ
ーンD2、即ちドットを形成しない。このようにブラッ
クについては、各画素の階調値と形成パターンとの対応
関係が、最初に通過するノズルと2番目に通過するノズ
ルとで異なる。CPU41は、ヘッドと印刷データの位
置関係および従前の印刷履歴から、それぞれのノズルが
各画素を最初に通過するノズルであるか否かを判定した
上で、図6に示した対応関係に基づいて駆動用バッファ
47にデータを設定する。なお、後述する通り、一定の
送り量で副走査を行う場合には、ブラックのそれぞれの
ノズルと、画素を通過する順序とは一義的な関係が成立
するため、かかる関係に基づいて、上述の判定を容易に
行うことができる。
【0048】こうして駆動用バッファ47にデータを設
定すると、CPU41は、主走査を行いながらドットを
形成する(ステップS30)。次に、CPU41は、所
定の送り量で用紙の搬送、即ち副走査を行う(ステップ
S40)。以上の処理を印刷が終了するまで繰り返し
(ステップS80)、画像を完成させる。
【0049】図9に本実施例によるドット形成の様子を
示す。図中の左側には、1回目〜6回目までの主走査に
おけるブラックインクのヘッド(以下、ブラックヘッド
という)の副走査方向の位置を示した。図中の右側に
は、1回目〜6回目までの主走査における有色インクの
ヘッド(以下、カラーヘッドという)の副走査方向の位
置を示した。両者の間には、形成されるドットを丸印で
示した。なお、ここでは図示の便宜上、ブラックインク
と有色インクのヘッドを左右に描いたに過ぎず、実際に
は両者のヘッドは一体的に移動することはいうまでもな
い。また、図9では図示の都合上、ブラックヘッドにつ
いては2ドットのノズルピッチで6つのノズルを備え、
カラーヘッドについては4ドットのノズルピッチで3つ
のノズルを備えるものとして示した。ブラックヘッドと
カラーヘッドとのノズル数およびノズルピッチの関係
は、先に図3で説明したのと同様である。
【0050】図中の数字、英字を丸印で囲んだものがノ
ズルである。数字、英字はノズル記号を意味している。
ブラックヘッドとカラーヘッドで副走査方向の位置が一
致しているノズルについては1〜3の数字でノズル記号
を付した。ブラックヘッドに固有のノズルについてはa
〜cの英字でノズル記号を付した。カラーヘッドには1
番ノズル〜3番ノズルのみが備えられている。ブラック
ヘッドには、1番ノズル〜3番ノズルが備えられている
他、これらの間および3番ノズルの下方にノズルa〜ノ
ズルcが備えられている。
【0051】かかる間隔および数でノズルを備えるヘッ
ドでは、3ドットに相当する一定の送り量で副走査を行
うことにより、図9の中央に示した領域、つまり1回目
の主走査で3番ノズルが位置するラスタよりも下方の領
域において画像を印刷することができる。この際、最初
の数回の主走査においては、下方に位置するノズル(3
番ノズル等)によってのみドットが形成される。上方に
位置するノズル(1番ノズル等)で形成されるラスタに
は、以後の主走査で隣接するラスタを完成し得ないラス
タがあるからである。
【0052】ブラックヘッドはカラーヘッドの2倍のノ
ズルを有している。従って、図9から明らかな通り、カ
ラーヘッドが各ラスタを1つのノズルで形成するのに対
し、ブラックヘッドは各ラスタを2つのノズルで形成す
ることができる。つまり、カラーヘッドの駆動効率を低
下させることなく、ブラックヘッドは各ラスタを2つの
ノズルで形成することができる。この結果、カラー印刷
モードにおいて、全体の印刷速度の低下を招くことな
く、各画素に対して2つのノズルでドットを形成するよ
うに設定された形成パターンを用いることができる。
【0053】一定の副走査量で画像を印刷する場合に
は、図9から明らかな通り、ブラックヘッドの各ノズル
が各ラスタを通過する順序には一義的な関係が存在す
る。ブラックヘッドの下方に位置する3つのノズル、即
ちノズルc、3番ノズル、ノズルbは、各ラスタを最初
に通過するノズルである。上方に位置する3つのノズ
ル、即ち1番ノズル、ノズルa、2番ノズルは、各ラス
タを2番目に通過するノズルである。図9では、ブラッ
クヘッドとして6つのノズルを備える場合を例示した
が、48個のノズルを備える場合も同様に下方に位置す
る半分のノズルが最初に通過するノズルとなり、上方に
位置する半分のノズルが2番目に通過するノズルとな
る。従って、一定の副走査量で画像を印刷する場合、C
PU41は、かかる一義的な対応関係に基づいて、階調
値と形成パターンとの対応関係を各ノズルごとに容易に
設定することができる。
【0054】以上で説明した本実施例のプリンタPRT
によれば、カラー印刷モードにおいて、各画素のブラッ
クのドットが、2つのノズルにより時間間隔を開けて形
成される。最初に通過するノズルから吐出されたインク
が、印刷用紙Pの繊維の隙間に毛細管現象によって染み
込む。このインクが乾燥した後、2番目に通過するノズ
ルからインクが吐出される。この時点では、印刷用紙の
繊維の隙間が先に吐出されたインクによって塞がれてい
るから、2番目に吐出されたインクは、広範囲に広がる
ことなく乾燥する。このようにブラックのインクを2回
に分けて吐出することにより、本実施例のプリンタPR
Tは、同量のインクを一度に吐出した場合と比較してに
じみの少ない、面積の小さいドットを形成することがで
きる。この結果、本実施例のプリンタPRTによれば、
ドットの視認性およびにじみを抑制した高画質な印刷を
実現することができる。
【0055】本実施例のプリンタPRTはブラックヘッ
ドについては、カラーヘッドの倍のノズルが備えられて
いる。従って、本実施例のプリンタPRTは、図9で説
明した通り、カラー印刷モードにおいて、画像の印刷速
度を低下させることなく、上述の高画質な印刷を実現す
ることができる。また、モノクロ印刷モードにおいて
は、多く備えられたノズルを全て使用して高速での印刷
を行うことができる。本実施例のプリンタPRTは、図
6に示した通り、階調値とドットの形成パターンとの対
応関係を印刷モードに応じて変えることにより、モノク
ロ印刷モードにおいて適切な階調表現を確保しつつ、高
速での印刷を実現可能としている。こうすることによ
り、ブラックヘッドに備えられたノズルをモノクロ印刷
モード、カラー印刷モードの双方で有効に活用すること
ができる。
【0056】本実施例のプリンタPRTは、先に説明し
た通り、カラー印刷モードにおいては、各画素ごとに2
つのノズルを用いてブラックのドットを形成する。一般
にインクを吐出してドットを形成するヘッドでは、ヘッ
ドの機械的な製造誤差などによってインクの吐出特性に
ばらつきが生じ、ドットの形成位置がずれることがあ
る。従って、ドットの形成位置にずれが生じるノズルで
形成されたラスタと隣接するラスタとの間に濃淡ムラが
生じ、画質が低下することがある。本実施例のプリンタ
PRTはブラックについて各画素ごとに2つのノズルで
ドットを形成することにより、ドットの形成位置のずれ
に起因する濃淡ムラを抑制することができ、画質を向上
することができる。
【0057】本実施例のプリンタPRTは、ブラックに
ついてドットの形成態様を改善することにより、上述の
種々の効果を得ている。もちろん、ブラック以外の色に
ついて多くのノズルを備えることも可能である。但し、
一般にブラックのドットは視認されやすく、にじみや形
成位置のずれが画質に大きな影響を与えやすいため、本
実施例のようにブラックのドットの形成態様を改善すれ
ば、画質を向上する効果が非常に大きい。
【0058】(3)第2実施例:次に第2実施例として
のプリンタPRTについて説明する。第2実施例として
のプリンタPRTのハードウェア構成およびソフトウェ
ア構成自体は、先に示した実施例(図1〜図4)と同じ
である。第2実施例では、発信器51から出力される駆
動波形が第1実施例と相違し、インク量の異なるドット
が形成可能となっている。
【0059】インク量の異なるドットを形成する原理に
ついて説明する。図10は、インクが吐出される際のノ
ズルNzの駆動波形と吐出されるインクIpとの関係を
示した説明図である。図10において破線で示した駆動
波形が通常のドットを吐出する際の波形である。区間d
2において一旦、基準電圧よりも低い電圧をピエゾ素子
PEに印加すると、先に図4で説明したのとは逆にイン
ク通路68の断面積を増大する方向にピエゾ素子PEが
変形する。ノズルへのインクの供給速度には限界がある
ため、インク通路68の拡大に対してインクの供給量が
不足する。この結果、図10の状態Aに示した通り、イ
ンク界面MeはノズルNzの内側にへこんだ状態とな
る。図10の実線で示す駆動波形を用い、区間d2に示
すように電圧を急激に低くすると、インクの供給量はさ
らに不足した状態となる。従って、状態aで示す通りイ
ンク界面は状態Aに比べて大きく内側にへこんだ状態と
なる。
【0060】次に、ピエゾ素子PEに高い電圧を印加す
ると(区間d3)、先に説明した原理に基づいてインク
が吐出される。このとき、インク界面があまり内側にへ
こんでいない状態(状態A)からは状態Bおよび状態C
に示すごとく大きなインク滴が吐出され、インク界面が
大きく内側にへこんだ状態(状態a)からは状態bおよ
び状態cに示すごとく小さなインク滴が吐出される。こ
のように、駆動電圧を低くする際(区間d1,d2)の
変化率に応じて、ドット径を変化させることができる。
【0061】プリンタPRTは図11に示す通り2種類
の駆動波形W1,W2を連続的に出力する。駆動波形W
1は小さいインク滴IPsを吐出して小ドットを形成す
る波形であり、駆動波形W2は、大きいインク滴IPm
を吐出して中ドットを形成する波形である。インク滴I
Pmの飛翔速度はインク滴IPsの飛翔速度よりも大き
い。従って、キャリッジ31が主走査方向に移動しなが
ら、駆動波形W1,W2を連続的に吐出すれば、飛翔速
度の差に基づいて、それぞれのインク滴を同一画素に吐
出して大ドットを形成することができる。プリンタPR
Tでは、駆動波形の出力タイミングおよびキャリッジ3
1の移動速度を調節し、それぞれの画素にインク量の異
なる3種類のドットを形成可能としている。
【0062】図12は、ドットの形成パターンとして、
インク量の異なるドットと印刷データの階調値との対応
関係を示す説明図である。図示する通り、モノクロ印刷
モードおよびカラー印刷モードにおける有色インクにつ
いては、階調値1に対して小ドットDSの形成が対応
し、階調値2に対して中ドットDMの形成が対応し、階
調値3に対して大ドットDLの形成が対応する。カラー
印刷モードにおけるブラックインクについては、階調値
1に対して小ドットの形成DSとドットの非形成DNと
の組み合わせが対応し、階調値2に対して小ドットの形
成DSと小ドットの形成DSとの組み合わせが対応し、
階調値3に対して中ドットの形成DMと中ドットの形成
DMとの組み合わせが対応する。
【0063】第2実施例のプリンタPRTは、かかる形
成パターンに従って印刷を実行することにより、第1実
施例の場合と同様、カラー印刷時にブラックのドットの
にじみや形成位置のずれを抑制することができ、高画質
な印刷を実現することができる。また、ブラックヘッド
に備えられた余剰のノズルをカラー印刷時に活用するこ
とが可能となる。
【0064】以上で説明した第1実施例および第2実施
例において、ヘッドのノズル配置は、図3に示した他、
種々の配置が可能である。図3に示した例では、ブラッ
クヘッドのノズルピッチがカラーヘッドのノズルピッチ
の半分になるようにノズルが配置されている。これに対
して、図13に示す通り、ブラックヘッドについては、
カラーヘッドと同じノズルピッチで備えられたノズル列
を主走査方向に複数列設けるように配置してもよい。か
かる配置では、1回の主走査で各画素に2つのノズルで
ブラックのドットを形成することができる。
【0065】図3に示した例では、各色のカラーヘッド
が主走査方向に配列されている。これに対して、図14
に示す通り、各色のカラーヘッドを副走査方向に配列す
るとともに、こうして配列された有色インクと副走査方
向の幅が一致するようにブラックヘッドを配置するもの
としてもよい。図14では、シアン、マゼンタ、イエロ
の3色のヘッドを備える例を示した。この例では、ブラ
ックヘッドはカラーヘッドの3倍のノズルを有すること
になる。当然、5色の有色インクを備えるカラーヘッド
においても同様の構成が可能である。
【0066】また、第1実施例および第2実施例では、
一部の色についてノズル数が多い場合の例を示したが、
全ての色につき同数のノズルを備えるプリンタにおいて
適用するものとしても構わない。かかる場合の適用とし
て、例えば、ブラックのドットを主走査の往動時および
復動時の双方向で形成し、その他の色をいずれか一方向
でのみ形成する態様をとることも可能である。
【0067】(4)第3実施例:次に第3実施例につい
て説明する。第3実施例のプリンタPRTは第2実施例
と同様のハードウェア構成であり、第2実施例と同様の
駆動波形を用いてインク量の異なるドットを形成するこ
とができる。第1実施例および第2実施例では、カラー
印刷モードにおいてブラックについて有色インクと異な
る形成パターンを適用した。第1実施例および第2実施
例では、各画素に吐出されるインク量が、全色でほぼ同
等になる形成パターンを用いた。
【0068】第3実施例では、イエロのインクについて
その他の色と異なる形成パターンを適用する。第3実施
例における形成パターンを図15に示す。ここでは、カ
ラー印刷モードにおける形成パターンを示した。図示す
る通り、イエロについては、印刷データの階調値1に対
して小ドットを1個形成した状態DY1が対応し、階調
値2に対して中ドットを2個形成した状態DY2が対応
し、階調値3に対して大ドットを4個形成した状態DY
3が対応する。その他のインクについては、階調値1に
対して小ドットを1個形成した状態D1が対応し、階調
値2に対して小ドットを2個形成した状態D2が対応
し、階調値3に対して小ドットを4個形成した状態D3
が対応する。第3実施例では、このようにイエロについ
て各画素に吐出されるインク量は、その他の色と異なっ
ている。
【0069】一般にイエロのインクは明度が高いため、
ドットの視認性が低い。また、インク量の変化による濃
度への影響が小さい。第3実施例で示した形成パターン
で各ドットを形成すれば、イエロについてインク量の変
化量を大きく設定することにより、階調値の変化に対応
した適切な濃度を表現することができる。一方、その他
の色については、インク量の少ない小ドットを主として
用い、各画素に吐出されるインク量をイエロよりも低く
設定することにより、ドットの視認性およびにじみを抑
制することができる。かかる作用により、第3実施例の
プリンタPRTは画像の粒状感を向上し、階調表現を豊
かにして高画質な印刷を実現することができる。
【0070】もちろん、コンピュータ90では、印刷デ
ータの階調値と形成されるドットにより表現される濃度
評価値との関係を考慮した上で、原印刷データをハーフ
トーン処理して印刷に供する印刷データを生成するか
ら、イエロについて上述のようにインク量の変化量を大
きく設定しても、画像の色調を損なうことはない。
【0071】以上の実施例では、ドットを形成するため
に要する主走査の回数やインク量などを一部の特定色に
ついて他色と異なる設定にした種々の形成パターンを例
示した。形成パターンは、主走査の回数、インク量、各
画素に形成されるドットの個数などについて種々の組み
合わせで設定可能である。また、いずれの実施例でも、
プリンタに備えられたいずれか1色のインクにつき異な
る形成パターンを適用するものとしているが、複数色で
異なるパターンを適用するものとしてもよい。
【0072】以上、本発明の種々の実施例について説明
してきたが、本発明はこれらに限定されるものではな
く、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の形態による実
施が可能である。例えば、上記実施例で説明した種々の
制御処理は、その一部または全部をハードウェアにより
実現してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のプリンタPRTを適用した印刷システ
ムの概略構成図である。
【図2】プリンタPRTの概略構成図である。
【図3】プリンタPRTにおけるノズル配置例を示す説
明図である。
【図4】プリンタPRTにおけるドット形成原理を示す
説明図である。
【図5】実施例におけるドットの形成パターンを示す説
明図である。
【図6】印刷モードと形成パターンとの対応関係を示す
説明図である。
【図7】プリンタPRTの制御装置の内部構成を示す説
明図である。
【図8】ドット形成ルーチンのフローチャートである。
【図9】実施例におけるドットの形成の様子を示す説明
図である。
【図10】インク量の異なるドットを形成する原理の説
明図である。
【図11】小ドット、中ドットから大ドットを形成する
原理の説明図である。
【図12】第2実施例における形成パターンを示す説明
図である。
【図13】第1の変形例としてのノズル配置を示す説明
図である。
【図14】第2の変形例としてのノズル配置を示す説明
図である。
【図15】第3実施例における形成パターンを示す説明
図である。
【符号の説明】
23…モータ 24…キャリッジモータ 26…プラテン 28…印字ヘッド 31…キャリッジ 32…操作パネル 34…摺動軸 36…駆動ベルト 38…プーリ 39…位置検出センサ 40…制御回路 41…CPU 42…PROM 43…RAM 44…PCインターフェース 45…PIO 46…タイマ 47…駆動用バッファ 48…バス 51…発信器 55…分配器 61〜66…ヘッド 68…インク通路 71…カートリッジ 72…カートリッジ 91…入力部 92…バッファ 93…主走査部 94…副走査部 95…ヘッド駆動部 96…形成パターンテーブル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C057 AF39 AF91 AG15 AG16 AG44 AM03 AM18 AN02 AR16 BA04 BA14 CA01 5C077 LL19 MP08 NN02 NN05 NN06 NP07 PP33 PP38 PQ05 PQ23 SS02 TT05 TT06

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動信号に応じて多色のドットを形成可
    能なヘッドを印刷媒体の一方向に相対的に往復動する主
    走査を行いつつ、各画素ごとに3値以上にハーフトーン
    処理された印刷データの階調値に応じたドットを形成す
    ることで該印刷媒体上に画像を印刷する印刷装置であっ
    て、 前記階調値と形成されるドットとの対応関係であって、
    前記多色のうち少なくとも1色の特定色については他の
    色と異なって設定された対応関係を記憶する記憶手段
    と、 前記主走査中に前記ヘッドに前記駆動信号を出力して、
    前記対応関係に応じた形成態様で、各画素ごとに前記多
    色のドットを形成する駆動手段とを備える印刷装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の印刷装置であって、 前記対応関係は、前記特定色について、前記階調値に対
    し、他の色よりも多い主走査で形成されるドットを対応
    させる関係である印刷装置。
  3. 【請求項3】 前記ヘッドは、前記ドットを形成するド
    ット形成要素を、前記特定色につき、他の色よりも多く
    備えるヘッドである請求項2記載の印刷装置。
  4. 【請求項4】 前記ヘッドは、液体のインク滴を前記印
    刷媒体に吐出してドットを形成するヘッドである請求項
    1記載の印刷装置。
  5. 【請求項5】 前記ヘッドは、前記駆動信号に応じて前
    記インク滴のインク量を変えることにより2種類以上の
    ドットを形成可能なヘッドである請求項4記載の印刷装
    置。
  6. 【請求項6】 前記駆動手段は、各画素ごとに出力され
    る駆動信号の数を変えることにより、各画素ごとに3値
    以上の濃度を表現する手段である請求項1記載の印刷装
    置。
  7. 【請求項7】 前記特定色は黒である請求項1記載の印
    刷装置。
  8. 【請求項8】 駆動信号に応じて多色のドットを形成可
    能なヘッドを印刷媒体の一方向に相対的に往復動する主
    走査を行いつつ、各画素ごとに3値以上にハーフトーン
    処理された印刷データの階調値に応じたドットを形成す
    ることで該印刷媒体上に画像を印刷する印刷方法であっ
    て、(a) 前記印刷データを入力する工程と、(b)
    前記主走査中に前記ヘッドに前記駆動信号を出力し
    て、前記階調値と形成されるドットについて予め記憶さ
    れた所定の対応関係に応じた形成態様で、各画素ごとに
    前記多色のドットを形成する工程とを備え、 前記対応関係は、前記多色のうち少なくとも1色の特定
    色については他の色と異なって設定された対応関係であ
    る印刷方法。
  9. 【請求項9】 駆動信号に応じて多色のドットを形成可
    能なヘッドを印刷媒体の一方向に相対的に往復動する主
    走査を行いつつ、各画素ごとに3値以上にハーフトーン
    処理された印刷データの階調値に応じたドットを形成す
    る印刷装置を駆動するためのプログラムをコンピュータ
    読み取り可能に記録した記録媒体であって、 該プログラムに使用されるデータとして、前記階調値と
    形成されるドットとの対応関係であって、前記多色のう
    ち少なくとも1色の特定色については他の色と異なって
    設定された対応関係を記録した記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100382562C (zh) * 2004-01-09 2008-04-16 三星电子株式会社 控制虚线密度的设备和方法

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