JP2000180416A - フラックス充填量測定方法および装置 - Google Patents

フラックス充填量測定方法および装置

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JP2000180416A
JP2000180416A JP10361291A JP36129198A JP2000180416A JP 2000180416 A JP2000180416 A JP 2000180416A JP 10361291 A JP10361291 A JP 10361291A JP 36129198 A JP36129198 A JP 36129198A JP 2000180416 A JP2000180416 A JP 2000180416A
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flux
impedance
wire
flux filling
filling amount
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JP10361291A
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English (en)
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Gakuo Ogawa
岳夫 小川
Sumihiko Maeno
純彦 前野
Akio Suzuki
紀生 鈴木
Yasuharu Jin
康晴 神
Hirohisa Watanabe
博久 渡辺
Yasuyuki Onishi
保行 大西
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 つねに正確なフラックス充填量を測定するこ
とのできる方法および装置を提供する。 【解決手段】 本方法(装置)は、フラックス充填デー
タが既知である基準ワイヤ1aについてインピーダンス
を検出し(ステップS1,S2)、この検出されたイン
ピーダンスと、少なくともフラックスの透磁率および重
量から決定されるパラメータとの関係式を決定しておき
(ステップS3)、フラックス充填データが未知である
被測定ワイヤ1bについてインピーダンスを検出し(ス
テップS5)、この検出されたインピーダンスを上記関
係式に適用することにより、被測定ワイヤ1bのフラッ
クス充填量を測定するので(ステップS6,S7)、つ
ねに正確なフラックス充填量を測定することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フラックス入り溶
接ワイヤのフラックス充填量を非破壊で測定する方法お
よび装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フラックス入り溶接ワイヤ(以下、単に
「ワイヤ」という。)は、帯鋼等を湾曲して形成される
外皮金属あるいはシームレス管の内部にフラックスを充
填し、所定の外径まで伸線されたものである。このよう
なワイヤ中のフラックス重量や、そのフラックス重量の
ワイヤ全体重量に対する比率であるフラックス充填率を
非破壊で測定する方法として、各種の技術が開示されて
いる。
【0003】例えば、特公平4−15904号公報に開
示された技術(以下、「従来例1」という。)は、ワイヤ
外径を一定とした場合、フラックス充填量が多くなる
と、外皮肉厚が薄くなることに着目したものである。
【0004】ここでは、フラックス充填率測定用の電気
コイルと、この電気コイルのインピーダンス変化を検出
するLC共振回路とを用意する。そして、被測定ワイヤ
を電気コイルに挿入した状態で同コイルに交流電流を流
す。すると、交番磁界が発生し、被測定ワイヤ表面には
電磁誘導作用による渦電流が発生する。渦電流は上記交
番磁界を打ち消すように作用するため、電気コイルの見
かけ上のインピーダンスを低下させる。渦電流の強度や
分布の状況は、交番磁界の周波数や強度の他、外皮金属
の導電率,透磁率,肉厚等によって変化するため、肉厚
以外の因子が一定であるならば、電気コイルのインピー
ダンス変化をLC共振回路の出力信号強度の変化として
検出することにより肉厚を評価できる。従来例1は、こ
の評価結果により、フラックス充填率を求めるようにな
っている。
【0005】また、特公平5−63278号公報や特開
昭63−236956号公報に開示された技術(以下、
「従来例2」という。)は、単に電気コイルのインピー
ダンス変化を検出するだけでは、炭素鋼等のワイヤを測
定しようする場合には、その製造条件等で透磁率が変動
するとして、インピーダンス検出に際してワイヤに直流
磁場を印加し、外皮金属を磁気飽和させることによっ
て、見かけ上の透磁率変動を低減させている。従来例2
は、このように見かけ上の透磁率変動を低減させた上
で、電気コイルのインピーダンス変化を検出し、この検
出結果に基づいてフラックス充填率を測定するようにな
っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例1の構成で
は、オーステナイト系ステンレス鋼等の非磁性体金属を
外皮とし、かつ、フラックスを構成する混合粉の成分に
鉄粉(Fe粉),ニッケル粉(Ni粉)等の強磁性体金
属を含む場合に以下のような問題が発生し易い。すなわ
ち、電気コイルのインピーダンスは、外皮部分の厚さよ
りもフラックスの量、厳密には強磁性体の量に大きく影
響される。この影響の程度は、フラックス中の強磁性体
成分の種類(例えば、Fe粉,Ni粉等)や混合比等に
よっても変わるため、単純にインピーダンス変化を検出
するだけでは正確なフラックス充填率を測定することが
できない。また、フラックス種類(成分や混合比)ごと
に基準肉厚のワイヤを用意することも考えられるが、フ
ラックス種類が多岐にわたる場合には、多数の基準ワイ
ヤを用意し、交換することになり、煩雑な作業が強いら
れる。
【0007】また、従来例2の構成では、インピーダン
ス検出に際してワイヤに直流磁場を印加し、外皮金属を
磁気飽和させることによって、見かけ上の透磁率変動を
低減させているので、上記従来例1のような問題は解消
するものの、磁気飽和させるための機構が必要となり、
装置が複雑化する。
【0008】本発明は、従来構成の問題点を解決すべく
創案されたもので、簡単な構成で、外皮やフラックス種
類のいかんにかかわらず、つねに正確なフラックス充填
量(含む率)を測定することのできるフラックス充填量
測定方法および装置を提供することを目的とするもので
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、内部にフ
ラックスが充填された筒状の溶接ワイヤを電気コイルに
挿入し、この電気コイルに脈動電流を流したときの上記
電気コイルのインピーダンスを検出し、この検出された
インピーダンスに基づいて上記溶接ワイヤのフラックス
充填量を測定するフラックス充填量測定方法において、
フラックス充填データが既知である基準ワイヤについて
上記インピーダンスを検出し、この検出されたインピー
ダンスと、少なくともフラックスの透磁率および重量か
ら決定されるパラメータとの関係式を決定しておき、フ
ラックス充填データが未知である被測定ワイヤについて
上記インピーダンスを検出し、この検出されたインピー
ダンスを上記関係式に適用することにより、上記フラッ
クス充填データが未知である被測定ワイヤのフラックス
充填量を測定してなることを特徴とするフラックス充填
量測定方法として構成されている。
【0010】このような方法によれば、フラックス充填
データが既知である基準ワイヤについてコイルインピー
ダンスが検出され、この検出されたインピーダンスと、
少なくともフラックスの透磁率および重量から決定され
るパラメータとの関係式が決定された上で、フラックス
充填データが未知である被測定ワイヤについてコイルイ
ンピーダンスが検出され、この検出されたインピーダン
スが上記関係式に適用されることにより、上記フラック
ス充填データが未知である被測定ワイヤのフラックス充
填量が測定されるので、例えばオーステナイト系ステン
レス鋼等の非磁性体金属を外皮とし、かつ、フラックス
を構成する混合粉の成分に鉄粉(Fe粉,ニッケル粉
(Ni粉)等の強磁性体金属を含む場合であっても、影
響の大きいフラックス中の強磁性体成分の種類(例え
ば、Fe粉,Ni粉等)や混合比等を十分に考慮してつ
ねに正確なフラックス充填量を測定することができる。
また、フラックス種類が多岐にわたる場合でも、一本の
基準ワイヤを用意することで足りるので、作業が簡単で
ある。さらに、上記フラックス充填量測定を、フラック
ス充填量をワイヤ重量に対する重量比率として求めるも
のであることとすれば、上記被測定ワイヤのフラックス
充填率をも測定することができる。
【0011】第2の発明は、上記第1の発明方法を具現
化できる装置として構成されているので、上記第1の発
明方法と同様の作用効果を得ることができる。また、従
来例2のような磁気飽和させるための機構が不要である
ので、装置が簡単なものとなる。
【0012】その結果、簡単な構成で、外皮やフラック
ス種類のいかんにかかわらず、つねに正確なフラックス
充填量(含む率)を測定することのできるフラックス充
填量測定方法および装置が得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。
なお、以下の実施の形態は本発明を具体化した一例であ
って、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0014】図1は、本発明の実施の形態に係るフラッ
クス充填量の測定方法(以下、「本方法」という。)の
概略手順を示すフロー図,図2は溶接ワイヤを電気コイ
ルに挿入した状態を示す斜視的模式図である。図1,図
2に示すように、本方法は、内部にフラックスが充填さ
れた筒状の溶接ワイヤ(以下、単に「ワイヤ」というこ
とがある。)1を電気コイル2に挿入し、この電気コイ
ル2に脈動電流を流したときの電気コイル2のインピー
ダンスを検出し、この検出されたインピーダンスに基づ
いて溶接ワイヤ1のフラックス充填量を測定する点は従
来例1,2と同様である。
【0015】しかし、本方法では、フラックス充填デー
タが既知である基準ワイヤ1aを電気コイル2に挿入し
(ステップS1)、この基準ワイヤ1aについて電気コ
イル2のインピーダンスを検出し(ステップS2)、こ
の検出されたインピーダンスと、少なくともフラックス
の透磁率および重量から決定されるパラメータとの関係
式を決定しておき(ステップS3)、フラックス充填デ
ータが未知である被測定ワイヤ1bをその一端から電気
コイル2に順次挿入していき(ステップS4)、この被
測定ワイヤ1bについて電気コイル2のインピーダンス
を検出し(ステップS5)、この検出されたインピーダ
ンスを上記関係式に適用することにより、フラックス充
填データが未知である被測定ワイヤ1bのフラックス充
填量を測定し(ステップS6)、被測定ワイヤ1bの他
端に至るまで、上記ステップS5,S6を繰り返す(ス
テップS7)点で従来例1,2と異なる。
【0016】図3は本方法を具現化しうる装置の概略構
成を示すブロック図である。同図において、上記ステッ
プS1,S2,S4,S5は電気コイル2を備えた渦流
探傷器(インピーダンス検出手段に相当)3により、ま
た上記ステップS3,S6,S7はメモリ(記憶手段に
相当)4,表示器5,入力装置8等を備えた、例えばC
PUである制御演算器(フラックス充填量測定手段に相
当)6によりそれぞれ実行される。つまり、この装置の
動作により、本方法が具現化されるようになっている。
なお、制御演算器6は、さらに、制御手段6a,パラメ
ータ演算手段6b,関係式決定手段6c,フラックス充
填量演算手段6d等より構成されており、このうち制御
手段6aは各機器の制御を行うものである。また、これ
らの手段6a〜6dは、例えば実行形式のプログラムに
よって構築されるものである。
【0017】以下、本方法(装置)の基本的な原理等を
説明する。
【0018】一般に電気コイル2のインピーダンスは、
コイル形状の他に、コイル内部に充填されたコア材の透
磁率や充填率によって変化することは周知である。この
インピーダンスの変化は、コア材の透磁率が大きいほ
ど、その体積あるいは重量が大きいほど、大きな変化を
示すことから、近似的にコア材の透磁率と重量の積に比
例するものと考えられる。そして、コア材が、外部を金
属(外皮)とし、内部を強磁性粉体を含む混合粉体(フ
ラックス)とするような2重構造を有する被測定材(基
準ワイヤ1a,被測定ワイヤ1b)である場合、コイル
インピーダンスが外皮とフラックスの影響を加算したも
のと考えられ、さらにフラックス部分については各成分
の影響を加算したものと考えられる。かかる観点から、
電気コイル2のインピーダンスはコア部分の磁気特性を
表すパラメータMの関数とみなすことができる。
【0019】
【数1】
【0020】ここで、K,Lは定数、wfはフラックス
重量、μfi,pfiはフラックスを構成するn種類成
分の透磁率と混合率(i=1〜n)、whは外皮重量、
μhは外皮の透磁率である。上記数1式の関数となるイ
ンピーダンス量としては、インピーダンス絶対値,位相
角,実数成分である抵抗成分,虚数成分であるインダク
タンス成分等が使用できる。
【0021】インピーダンス検出にあたり、図3に示す
ように、電気コイル2として測定用コイル2aと測定基
準用コイル2'の2コイルを用いてブリッジ回路を渦流
探傷器3内に構成する。そして、測定用コイル2aに基
準ワイヤ1aまたは被測定ワイヤ1bを挿入し、測定基
準用コイル2'に測定基準ワイヤ1'を挿入した状態で制
御手段6aからの検出指令によりブリッジ回路出力を検
出するが、この場合、得られるのはインピーダンス差で
ある。測定基準ワイヤ1'としては、別途用意してもよ
いし、測定用コイル2にて測定中のもの以外の基準ワイ
ヤ1aを用いてもよい。ここで、2コイルを用いたの
は、ノイズ等の影響をなくすためである。ただし、その
ようなおそれが少ない場合には、1コイルとしてもよ
い。
【0022】測定用コイル2aと測定基準用コイル2'
を同一形状にし、空芯状態でブリッジ回路出力がゼロと
なるようにバランスさせた場合、インピーダンス差を決
定するコア、すなわち、基準ワイヤ1aまたは被測定ワ
イヤ1bの磁気特性は、ブリッジ回路の線形性から、上
記数1式を変形した次式で表現できる。
【0023】
【数2】
【0024】ここで、K,Lは定数、wfはフラックス
重量、μfi',pfiはフラックスを構成するn種類
成分の比透磁率と混合率(i=1〜n)、whは外皮重
量、μh'は外皮の比透磁率である。ただし、上記数2
式では真空中での透磁率をμ0とし、上記数1式のK,
LについてK・μ0,L・μ0をあらたにK,Lに置き
換えている。
【0025】電気コイル2のインピーダンス検出におい
て、基準ワイヤ1aまたは被測定ワイヤ1bの外皮部分
に誘起される渦電流によって、内部フラックスに対する
遮蔽効果が発生するため、通常は上記数1式あるいは数
2式の定数KとLは異なる値となる。しかし、渦電流の
浸透深さδが外皮厚さより十分深くなるような周波数を
選択した場合、遮蔽効果は小さくなることが知られてお
り(従来例2を参照)、その場合には、K=Lとみなせ
るようになる。このような周波数の選択は、例えば入力
装置8を用いてユーザ指定による選択、あるいは、自動
選択により行うことができる。ここで、浸透深さδと
は、渦電流の強度が最表面での値から1/e(e:自然
対数の底)になる深さをいい、次式で表される。
【0026】
【数3】
【0027】ただし、fは周波数(Hz),ρは抵抗率
(Ωm),μは透磁率(H/m)である。
【0028】また、外皮がオーステナイト系ステンレス
鋼(例えばSUS304)等の非磁性体金属で、混合粉
体であるフラックスの成分にFe粉やNi粉等の強磁性
体金属を含む場合、外皮の比透磁率はμh'=1,フラ
ックス部分の比透磁率はμfi'≫1であるから、上記
数2式はさらに簡単化でき、次式のようになる。
【0029】
【数4】
【0030】ここで、Kは定数、wfはフラックス重
量、μfi',pfiはフラックスを構成するn種類成
分の比透磁率と混合率(i=1〜n)である。
【0031】上記数1,数2,数4式で示されるよう
に、電気コイル2のインピーダンスは、フラックスを構
成するn種成分の透磁率(あるいは比透磁率)と重量の
積、および、外皮の透磁率(あるいは比透磁率)と重量
の積から決定されるパラメータMの関数となり、ワイヤ
の概略形状(外形や肉厚等の平均値や狙い値)が決まれ
ば統一的に表現することが可能となる。
【0032】このことは、見方を変えれば、予めパラメ
ータMを決定する要素であるフラックス重量wf等のフ
ラックス充填データが分かっている基準ワイヤ1aでパ
ラメータMとインピーダンスとの関係を求めておき、上
記フラックス充填データが分かっていない被測定ワイヤ
1bについてのインピーダンス検出値からパラメータM
を計算できることを意味する。本方法(装置)では、基
準ワイヤ1aについて、パラメータ演算手段6bにより
パラメータMを演算し、これと渦流探傷器3により検出
されたインピーダンスとの関係式を関係式決定手段6c
により決定し、これをメモリ4に記憶しておくようにな
っている。そして、図示しないワイヤ送り手段により電
気コイル2a内に順次送られてくる被測定ワイヤ1bに
ついて、渦流探傷器3により検出されたインピーダンス
を検出し、これをメモリ4に記憶しておいた上記関係式
に適用する。この場合、入力手段8により別途入力され
た外皮やフラックスの設計値から、比透磁率μfi'や
混合率pfi等が分かるため、フラックス充填量演算手
段6dにより被測定ワイヤ1bのフラックス重量wfを
求めることができる。
【0033】この求められたフラックス充填量を用いて
フラックス充填率を算出できる。その場合には、被測定
ワイヤ1b全体の重量、あるいは、外皮部分の重量が必
要となるが、被測定ワイヤ1b全体の重量については、
これを別途測定してもよいし、過去の製作実績からの平
均値を使用してもよい。これらは例えば入力装置8によ
りユーザが入力する。ただし、外皮部分の重量について
は、設計値および光学的外径測定器7等による被測定ワ
イヤ1bの外径測定値から制御演算器6の図示しない計
算機能等を用いて計算することもできる。例えば被測定
ワイヤ1bの外皮を外径D,内径dの円筒と考えると、
フラックス部分は外径dの円柱となり、その密度をσと
すれば、その重量wfは次式で与えられる。
【0034】
【数5】
【0035】インピーダンス検出値より求めた重量wf
をこれに代入すれば、フラックス部分外径つまり被測定
ワイヤ1bの内径dが求められる。一方、外皮重量wf
は外径測定器7等により求めた被測定ワイヤ1bの外径
Dと、先に求めた被測定ワイヤ1bの内径dと、外皮金
属の密度σhを用いれば、次式により計算できる。
【0036】
【数6】
【0037】フラックス充填率は、wf/(wf+w
h)である。これらフラックス充填率を求めるための一
連の計算は例えば制御演算器6中に構築された図示しな
いフラックス充填率演算手段により行われる。
【0038】以上述べたように、円筒状金属管にフラッ
クスを封入した溶接ワイヤ1に対して、外皮の重量およ
び透磁率(あるいは比透磁率)の積、フラックスの各成
分の重量および透磁率(あるいは比透磁率)の積より算
出されるパラメータMなる概念を導入し、このパラメー
タMとインピーダンスの関係をフラックス充填データが
分かっている基準ワイヤ1aについて予め求めておき、
これとフラックス充填データが分かっていない被測定ワ
イヤ1bについてのインピーダンス検出値からフラック
ス重量を推定することによって、フラックス種類ごとに
相関関係を用意することなく、かつ、従来例2のような
外部磁場による磁気飽和を行わずとも、フラックス充填
率を測定することができる。
【0039】なお、上記実施の形態では、図1におい
て、フラックス充填量を求めることとしているが、これ
を基にフラックス充填率を測定できることは上述したと
おりである。その場合には図中のステップS6とS7と
の間に上記フラックス充填率演算手段の実行ステップを
追加すればよい。さらに、上記図1においては、被測定
ワイヤ1bの1ロットごとに基準ワイヤ1aによる関係
式を求めているが(ステップS1〜S3)、同種のロッ
トであれば、多ロットにわたり同一の関係式を用いるこ
ともできる。その場合には、例えば図中のステップS7
のリターンをステップS4の直前に接続すればよい。そ
の他、1ポイント的にフラックス充填量を求めることも
できる。その場合には、例えば図中のステップS7の実
行をスキップさせればよい。さらに、図示しないワイヤ
送り量検出手段により、被測定ワイヤ1bのインピーダ
ンス検出位置が検出されている場合には、局所的なフラ
ックス充填量やその率の偏在等についての正確な情報を
も得ることもできる。
【0040】
【実施例】今回、上記数1,数2および数4式が、異な
るフラックス成分(混合率)で、統一的に表現できるこ
とを、上記装置を用いて実験的に確認した。
【0041】外皮がΦ1.2mmのSUS304(μ'
=1)、フラックス成分としてFe粉(μ'=10
0)、Ni粉(μ'=25)、その他常磁性の酸化物粉
(μ'=1)である基準ワイヤ1aを用意し、フラック
スの成分比や充填率の異なる複数のものついて実験し
た。基準ワイヤ1aは大きく2グループ(A),(B)
に分類され、このうち(A)はFe粉が30%前後、N
i粉が50%前後、(B)はFe粉が5%前後、Ni粉
が15%前後である。測定には、空芯時インピーダンス
が100Ωの測定コイルおよび空芯コイルを用意し、渦
流探傷器3を用いてインピーダンス差の変化をブリッジ
回路にて測定した。
【0042】その結果、単一の基準ワイヤの測定例とし
て図4に示すようなインピーダンス変化を確認した。ま
た、ワイヤ種類を変えた場合の結果例を図5に示した。
両図において、横軸のX出力成分はインピーダンスの実
数成分である抵抗成分、縦軸のY出力成分は虚数成分で
あるインダクタンス成分にそれぞれ比例している。そし
て、周波数を30KHzに固定し、パラメータMとイン
ピーダンス(実軸成分Xと虚軸成分Y)の関係が図6に
示したようになることを確認した。
【0043】この場合、外皮での浸透深さはδ=2.2
mm程度となり、パラメータとしては上記(3)式のM
を使用している。また、図6において、上記(3)式の
定数Kは1/100としている。また、図示していない
が、別途測定したインピーダンス絶対値でも同様の概略
直線関係であった。
【0044】この結果から、ワイヤのフラックスの混合
率等によらず、パラメータMとインピーダンスが単調な
相関関係となり、ほぼ直線状を示すことが確認できた。
したがって、フラックス充填データが既知の基準ワイヤ
1aについてのインピーダンス検出値を求め(図1のス
テップS1,S2)、このような相関関係を予め求め
て、メモリ4に記憶させておくことにより(図1のステ
ップS3)、フラックス充填データが未知の被測定ワイ
ヤ1bについてのインピーダンスを検出し(図1のステ
ップS4,S5)、この検出値と、フラックスの設計値
から求まるΣ{(μfi'−1)・pfi}と上記相関
関係とから、フラックス重量wfを求め、最終的にフラ
ックス充填率を測定することができることが確認でき
た。この測定結果は表示器5上に適当な表示形態で表示
することができる(図1のステップS6,S7)。
【0045】各種実験を行った結果、フラックス充填率
が低く、フラックスに含まれる強磁性体金属が少ない場
合、あるいは、外皮金属がわずかに磁性を帯びている場
合には、上記数2式を使用した方が相関関係をよくする
ことができることが分かった。例えば、外皮がSUS3
04であるフラックス入りワイヤの場合、その伸線工程
でSUS304にわずかに磁性を帯び、比透磁率が1.
05〜1.1程度となる場合がある。しかも、この変化
範囲は、伸線条件、焼鈍条件等で変わってくる。したが
って、例えば焼鈍が比透磁率=1となる完全焼鈍ではな
い場合や、フラックスの強磁性体成分が少ない場合、上
記数2式の第2項が第1項に比べて無視できなくなり、
上記数4式によるパラメータMよりも、上記数2式のパ
ラメータMの方がよいことは容易に理解できる。外皮の
比透磁率としてどの値を用いるかは、所定の伸線条件、
焼鈍条件にて予め評価しておけばよい。ここで、浸透深
さδを十分大きくすれば、上記数2式の定数KとLは、
K=Lとみなすことが可能となることは、上述したとお
りである。
【0046】
【発明の効果】以上の説明のとおり、第1の発明は、内
部にフラックスが充填された筒状の溶接ワイヤを電気コ
イルに挿入し、この電気コイルに脈動電流を流したとき
の上記電気コイルのインピーダンスを検出し、この検出
されたインピーダンスに基づいて上記溶接ワイヤのフラ
ックス充填量を測定するフラックス充填量測定方法にお
いて、フラックス充填データが既知である基準ワイヤに
ついて上記インピーダンスを検出し、この検出されたイ
ンピーダンスと、少なくともフラックスの透磁率および
重量から決定されるパラメータとの関係式を決定してお
き、フラックス充填データが未知である被測定ワイヤに
ついて上記インピーダンスを検出し、この検出されたイ
ンピーダンスを上記関係式に適用することにより、上記
フラックス充填データが未知である被測定ワイヤのフラ
ックス充填量を測定してなることを特徴とするフラック
ス充填量測定方法として構成されているので(請求項
1)、例えばオーステナイト系ステンレス鋼等の非磁性
体金属を外皮とし、かつ、フラックスを構成する混合粉
の成分に鉄粉(Fe粉,ニッケル粉(Ni粉)等の強磁
性体金属を含む場合であっても、影響の大きいフラック
ス中の強磁性体成分の種類(例えば、Fe粉,Ni粉
等)や混合比等を十分に考慮してつねに正確なフラック
ス充填量を測定することができる。また、フラックス種
類が多岐にわたる場合でも、一本の基準ワイヤを用意す
ることで足りるので、作業が簡単である。
【0047】さらに、パラメータを、フラックスの透磁
率および重量の積からなるものとすれば(請求項2)、
特に外皮が非磁性体金属で、フラックスの成分に強磁性
体金属を含む場合のフラックス充填量測定に好適であ
る。
【0048】さらに、パラメータを、フラックスの透磁
率および重量の積と、ワイヤ外皮の透磁率および重量の
積とからなるものとすれば(請求項3)、特にフラック
スに含まれる強磁性体金属が少ない場合、あるいは、外
皮金属がわずかに磁性を帯びている場合のフラックス充
填量測定に好適である。
【0049】さらに、電気コイルのインピーダンスを、
ワイヤ外皮に生じる渦電流の浸透深さが上記外皮厚さよ
りも深くなるような周波数で測定するものとすれば(請
求項4)、内部フラックスに対する遮蔽効果を抑えて正
確なインピーダンス検出ができるようになる。
【0050】さらに、上記フラックス充填量測定を、フ
ラックス充填量をワイヤ重量に対する重量比率として求
めるものであることとすれば(請求項5)、上記被測定
ワイヤのフラックス充填率をも測定することができる。
【0051】第2の発明は、上記第1の発明方法を具現
化できる装置として構成されているので(請求項6,
7)、上記第1の発明方法と同様の作用効果を得ること
ができる。また、従来例2のような磁気飽和させるため
の機構が不要であるので、装置が簡単なものとなる。
【0052】その結果、簡単な構成で、外皮やフラック
ス種類のいかんにかかわらず、つねに正確なフラックス
充填量(含む率)を測定することのできるフラックス充
填量測定方法および装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るフラックス充填量測
定方法の概略手順を示すフロー図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る溶接ワイヤと電気コ
イルの外形を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るフラックス充填量測
定装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】コイルインピーダンスの変化を示す説明図であ
る。
【図5】被測定ワイヤを挿入状態でインピーダンスを検
出した結果を示す説明図である。
【図6】インピーダンスの絶対値とパラメータとの関係
(実験結果)を示す説明図である。
【符号の説明】
1 溶接ワイヤ 1a 基準ワイヤ 1b 被測定ワイヤ 2 電気コイル 3 渦流探傷器(インピーダンス検出手段に相当) 4 メモリ(記憶手段に相当) 5 表示器 6 制御演算器(フラックス充填量測定手段に相当) 7 外径測定器 8 入力装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 紀生 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目3番1号 株式会社神戸製鋼所高砂製作所内 (72)発明者 神 康晴 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目3番1号 株式会社神戸製鋼所高砂製作所内 (72)発明者 渡辺 博久 神奈川県藤沢市宮前字裏河内100番1 株 式会社神戸製鋼所藤沢事業所内 (72)発明者 大西 保行 神奈川県藤沢市宮前字裏河内100番1 株 式会社神戸製鋼所藤沢事業所内 Fターム(参考) 2G053 AA21 AB21 AB26 AB27 BA04 BA14 BC02 BC14 CA03 CA17 DA02 DA06 DB02 2G060 AA10 AE16 AF03 AF06 HC06

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部にフラックスが充填された筒状の溶
    接ワイヤを電気コイルに挿入し、この電気コイルに脈動
    電流を流したときの上記電気コイルのインピーダンスを
    検出し、この検出されたインピーダンスに基づいて上記
    溶接ワイヤのフラックス充填量を測定するフラックス充
    填量測定方法において、 フラックス充填データが既知である基準ワイヤについて
    上記インピーダンスを検出し、この検出されたインピー
    ダンスと、少なくともフラックスの透磁率および重量か
    ら決定されるパラメータとの関係式を決定しておき、フ
    ラックス充填データが未知である被測定ワイヤについて
    上記インピーダンスを検出し、この検出されたインピー
    ダンスを上記関係式に適用することにより、上記フラッ
    クス充填データが未知である被測定ワイヤのフラックス
    充填量を求めることを特徴とするフラックス充填量測定
    方法。
  2. 【請求項2】 パラメータが、フラックスの透磁率およ
    び重量の積からなる請求項1記載のフラックス充填量測
    定方法。
  3. 【請求項3】 パラメータが、フラックスの透磁率およ
    び重量の積と、ワイヤ外皮の透磁率および重量の積とか
    らなる請求項1記載のフラックス充填量測定方法。
  4. 【請求項4】 電気コイルのインピーダンスを、ワイヤ
    外皮に生じる渦電流の浸透深さが上記外皮厚さよりも深
    くなるような周波数で測定する請求項1乃至3のいずれ
    かに記載のフラックス充填量測定方法。
  5. 【請求項5】 上記フラックス充填量測定は、フラック
    ス充填量をワイヤ重量に対する重量比率として求めるも
    のであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに
    記載のフラックス充填量測定方法。
  6. 【請求項6】 内部にフラックスが充填された筒状の溶
    接ワイヤを挿入する電気コイルと、この電気コイルに脈
    動電流を流したときの上記電気コイルのインピーダンス
    を検出するインピーダンス検出手段と、この検出された
    インピーダンスに基づいて上記溶接ワイヤのフラックス
    充填量を測定するフラックス充填量測定手段とを具備し
    たフラックス充填量測定装置において、 上記インピーダンス検出手段によりフラックス充填デー
    タが既知である基準ワイヤについて検出されたインピー
    ダンスと、少なくともフラックスの透磁率および重量か
    ら決定されるパラメータとの関係式を記憶する記憶手段
    を具備するとともに、上記フラックス充填量測定手段
    が、上記インピーダンス検出手段によりフラックス充填
    データが未知である被測定ワイヤについて検出されたイ
    ンピーダンスを上記記憶手段に記憶された上記関係式に
    適用することにより、上記フラックス充填データが未知
    である被測定ワイヤのフラックス充填量を求めるもので
    あることを特徴とするフラックス充填量測定装置。
  7. 【請求項7】 上記フラックス充填量測定手段は、フラ
    ックス充填量をワイヤ重量に対する重量比率として求め
    るものであることを特徴とする請求項6記載のフラック
    ス充填量測定装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010096504A (ja) * 2008-10-14 2010-04-30 Hioki Ee Corp 被測定物の肉厚非破壊検査方法およびその装置
KR101327588B1 (ko) 2011-01-20 2013-11-12 가부시키가이샤 고베 세이코쇼 플럭스 충전율 판정 장치, 플럭스 충전율 판정 방법, 플럭스 충전율 판정 시스템 및 플럭스 충전율 판정 프로그램을 기록한 컴퓨터 판독가능한 기억 매체
KR101941012B1 (ko) * 2018-01-12 2019-01-23 현대종합금속 주식회사 플럭스 충전 와이어의 충전율 측정 장치

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