JP2000180355A - スルホン基含有芳香族系重合体中のスルホン化度の定量方法 - Google Patents

スルホン基含有芳香族系重合体中のスルホン化度の定量方法

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JP2000180355A
JP2000180355A JP36046698A JP36046698A JP2000180355A JP 2000180355 A JP2000180355 A JP 2000180355A JP 36046698 A JP36046698 A JP 36046698A JP 36046698 A JP36046698 A JP 36046698A JP 2000180355 A JP2000180355 A JP 2000180355A
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Masanao Tounan
雅尚 東南
Tadashi Okada
忠司 岡田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】スルホン基を含有する芳香族系重合体中のスル
ホン化度を迅速かつ高精度に定量する方法を提供する。 【解決の手段】スルホン基含有芳香族系重合体のスルホ
ン化度を決定するに際し、標準試料及び対象試料を赤外
吸収スペクトル測定装置により所定数の波数で測定して
吸光度を求め、標準試料の吸光度と対象試料の吸光度と
を比較して対象試料のスルホン化度を定量する方法にお
いて、標準試料の吸光度比を重回帰分析手法又は主成分
回帰分析手法により計算して検量線を作成し、その後対
象試料のスルホン化度を標準試料と同じ波数における吸
光度比を用いて検量線により定量することを特徴とする
スルホン基含有芳香族系重合体中のスルホン化度の定量
方法を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスルホン基を含有す
る芳香族系重合体中のスルホン化度を赤外分光分析法に
より迅速かつ高精度に定量する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カ−ボンブラック、炭酸カルシウムなど
の顔料やセメント、石炭、コークス等へ流動性を付与す
る目的で使用される水溶性のスルホン酸系分散剤として
スルホン基を含有する芳香族系重合体が広く知られてい
る。スルホン酸系分散剤中のスルホン化度は水溶解性、
分散性等の物性値に大きく影響するため、新規分散剤の
開発及び製品管理上、迅速かつ高精度に分析する必要が
ある。
【0003】スルホン基を含有する芳香族系重合体中の
スルホン化度の定量法として、従来2つの方法が用いら
れてきた。1つは酸素フラスコ燃焼−イオンクロマトグ
ラフィ−法により試料中の全S含有量から求める方法
(元素分析法)で、もう1つはNMRによる方法であ
る。前者の方法は全S含有量の分析法としては正確な分
析値が得られるが、試料中に合成時に使用した原料由来
の硫酸塩等の不純物が含まれる場合、スルホン化度は高
めの値となる。さらにこの方法は試料の前処理が煩雑と
いう問題もある。一方後者のNMRによる方法はスルホ
ン基の結合しているベンゼン環のCあるいはHによる信
号を使用するため、原料由来の硫酸塩等が含まれてもス
ルホン化度定量には影響しない。しかし、スルホン化度
定量のためのNMR測定を行うためには試料を有機溶媒
へ溶解する必要がある。水溶性のスルホン酸系分散剤に
は有機溶媒へ溶解しないものもあり、NMR測定が不能
な試料もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上述し
た課題を解決し、スルホン基を含有する芳香族系重合体
中のスルホン化度を迅速かつ高精度に定量する方法を提
供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
解決すべく鋭意検討を重ねた結果、スルホン基を含有す
る芳香族系重合体中のスルホン化度をあらかじめ得られ
るスルホン化度既知の試料の赤外吸収スペクトルの吸光
度比から作成した検量線と比較して定量する方法におい
て、特定波数の赤外分光分析計で得られた複数の吸光度
とこれとは別の特定波数の吸光度との比を統計解析手法
により計算して検量線を作成し、測定対象試料のスルホ
ン化度を定量することで、簡便かつ高精度なスルホン化
度が得られることを見出し、本発明を完成させるに至っ
た。
【0006】すなわち本発明は、スルホン基を含有する
芳香族系重合体中のスルホン化度を、あらかじめ得られ
たスルホン化度既知の試料の赤外吸収スペクトルの28
00〜3000cm-1の波数の内の所定のスペクトルの
ピークの吸光度と1380〜1500cm-1の波数の内
の所定のスペクトルのピークの吸光度との比を重回帰分
析又は主成分回帰分析により計算して検量線を求め、こ
の検量線とスルホン化度未知の測定対象試料の上記と同
じ波数の吸光度の比とを比較してスルホン化度を定量す
ることを要旨とするものである。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】<測定対象試料>本発明の方法においてそ
の対象となる試料は、下記の構造式(3)(式中、R1
及びR2は水素原子、ハロゲン原子及び置換されてもよ
いメチル基からなる群よりそれぞれ独立して選ばれる1
種である。)
【0009】
【化3】
【0010】及び構造式(4)(式中、Xは水素、アル
カリ金属、アンモニア及びエタノールアミン類からなる
群より選ばれる1種である。)
【0011】
【化4】
【0012】を構成単位とするスルホン基含有芳香族系
重合体であれば特に限定されるものではない。
【0013】例えば、下記の構造式(5)(式中、n及
びmは0以上の整数であり、Xは水素、アルカリ金属、
アンモニア及びエタノールアミン類からなる群より選ば
れる1種であり、R1及びR2は水素原子、ハロゲン原子
及び置換されてもよいメチル基からなる群よりそれぞれ
独立して選ばれる1種である。)や構造式(6)(式
中、pは0以上の整数であり、Xは水素、アルカリ金
属、アンモニア及びエタノールアミン類からなる群より
選ばれる1種であり、R1及びR2は水素原子、ハロゲン
原子及び置換されてもよいメチル基からなる群よりそれ
ぞれ独立して選ばれる1種である。)で表される重合体
が挙げられ、さらに、重合体中に上記の構造式(3)の
繰り返し構造の中に構造式(4)が任意の位置に任意の
数存在するものであってもよい。
【0014】
【化5】
【0015】
【化6】
【0016】また本発明のスルホン化度とは以下の式
(α)で定義されるものである。
【0017】 スルホン化度=100×s1/(s1+s2) (α) (式中のs1はスルホン基含有芳香族系重合体中の構成
単位である上記の構造式(4)の構成数であって0以上
の整数であり、s2はスルホン基含有芳香族系重合体中
の構成単位である上記の構造式(3)の構成数であって
1以上の整数である。) 本発明の方法においてその対象となる試料としては上記
の構造を有しており、例えば、広く知られているポリス
チレンスルホン酸塩、スチレンとパラスチレンスルホン
酸塩の共重合体等に使用できる。
【0018】さらに詳しく述べれば、上記の構造式
(3)において、R1及びR2は水素原子、ハロゲン原子
及び置換されてもよいメチル基からなる群よりそれぞれ
独立して選ばれる1種であることが好ましい。R1及び
2が上記記載の構造のものであれば、本発明の方法に
より実施される赤外吸収スペクトルのピークの波数にお
ける吸光度を用いてスルホン化度の定量を精度よく行う
ことができるため好ましい。ここで、ハロゲン原子とは
フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。また、置換
されてもよいメチル基とは、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、i
so−ブチル基等の飽和炭化水素基を挙げることがで
き、ハロゲン等により置換されていてもよい。
【0019】また、上記の構造式(4)において、Xは
SO3と塩を形成するものであり、水素、アルカリ金
属、アンモニア、エタノールアミン類であればスルホン
化度の定量を精度よく行うことができるため好ましい。
ここで、アルカリ金属としては、Li、Na、K等が挙
げられ、殊にNaはより広く用いられていることから本
発明の方法を効果的に用いることができる。エタノール
アミン類としては、モノエタノールアミン、ジエタノー
ルアミン、トリエタノールアミンが挙げられる。さら
に、塩がプロトンで置換された酸となっていてもよい。
【0020】本発明の方法においてその対象となる試料
の分子量としては、上記の構造式(3)及び構造式
(4)を構成単位とする重合体であれば特に限定されな
いが、通常、重量平均分子量として2000〜2000
000程度のものが好ましく用いられる。
【0021】本発明の方法においてその対象となる試料
は、スルホン基を含有する芳香族系重合体であれば特に
限定されるものではないが、検量線を作成する際に用い
られるスルホン化度既知の標準試料のスルホン化度の最
大と最小の範囲内のスルホン化度となるものであれば本
発明の方法により得られる測定精度がよくなり好まし
い。
【0022】試料の形態は赤外分光測定が可能な試料形
態であれば特に限定されないが、赤外透過モードで測定
可能な例えばKBr粉末と混合して薄膜錠剤整形可能な
ものが望ましい。赤外分光装置は特に限定されないが、
分光方式が非分散型のものが望ましい。殊にNMRでは
測定時に溶液状とすることが望まれるが、本発明の方法
においては溶液化できず固体状のままの試料であっても
用いることができ、NMR法に比べ大きな利点がある。
【0023】以下、本発明の方法の具体的態様を重回帰
分析の場合と主成分分析の場合に分けて示す。
【0024】<重回帰分析の場合> 1)検量線の作成 スルホン化度既知の標準試料を、少なくとも4点、好ま
しくは10点以上について赤外吸収スペクトルを測定す
る。スペクトルの範囲としては通常赤外分光分析装置に
より測定される400〜4000cm-1の範囲の内、少
なくとも2800〜3000cm-1及び1380〜15
00cm-1の波数の範囲においてスペクトルのピークの
最大吸光度を示す波数を含んでおればよく、さらには、
本発明の方法により作成される検量線を作成するに必要
な波数を測定すればよい。ここで、最大吸光度とはスペ
クトルのピークの山の部分を指し、このピークの位置
は、得られるスペクトルデータを目視あるいはコンピュ
ータ等の情報処理装置などにより確認することができ、
その他いかなる方法をも採用できる。そして、この最大
吸光度を示す波数が上記範囲の波数の中に入っていれば
よい。
【0025】そして、上記範囲の波数のうち、1380
〜1500cm-1の波数(以下「子波数」という)の範
囲については、得られたスペクトルのピークの最大吸光
度を示す波数を2以上、好ましくは3以上選択し、それ
らの波数における吸光度を用いる。また、2800〜3
000cm-1、好ましくは2900〜3000cm-1
波数(以下「母波数」という)の範囲については、得ら
れたスペクトルのピークの最大吸光度の波数を選択し、
それらの吸光度を用いる。ついで、子波数における吸光
度を母波数における吸光度で除してそれぞれの吸光度比
を説明変数とし、スルホン化度を目的変数として重回帰
分析を実施する。
【0026】さらに、赤外分光測定における特定の波数
として、2800〜3000cm-1の波数の範囲は測定
における内部標準に相当するものであり、この波数とし
ては精度よく測定するためにピークの最大吸光度を示す
波数として2924cm-1が好ましく用いられるが、こ
の範囲以外にも680〜750cm-1の波数の範囲、殊
に699cm-1の波数を用いることもできる。また、1
380〜1500cm-1の波数の範囲は測定対象試料で
あるスルホン基含有芳香族系重合体に特有の赤外吸収を
示すものであり、この波数としては、対象試料のスルホ
ン化度を精度よく測定するために1411cm-1、14
53cm-1及び1494cm-1の3つの波数がピークの
最大吸光度を示す波数として好ましく用いられる。
【0027】例えば、1380〜1500cm-1の波数
の範囲に3つ以上のピークが存在し、それらの内、子波
数としてλ1、λ2、λ3の3つの波数を選択した場合に
は、それら3つの波数の吸光度、すなわちそれぞれ
1、A2、A3を求め、さらに、2800〜3000c
-1の波数の範囲に1つ以上のピークが存在し、それら
の内、母波数としてλ0の波数を選択した場合には、そ
の波数の吸光度A0を求め、次いで、A1/A0(=
1)、A2/A0(=B2)、A3/A0(=B3)の吸光
度比を求める。
【0028】そして、重回帰分析で得られた回帰係数
a、b、c及びdを以下の式(β)に代入して検量線式
を得る。尚、重回帰分析は通常の統計解析で用いられる
手法を使用する。
【0029】 スルホン化度(%)=a×B1+b×B2+c×B3+d (β) (式中、a、b、c及びdは、重回帰分析法により計算
して得られる回帰係数である。) 2)未知試料のスルホン化度の定量 検量線作成時と同様の条件で未知試料の赤外吸収スペク
トルを測定し、スルホン化度既知の試料で求めた際と同
じ波数の子波数及び母波数における吸光度を同様に除し
てそれぞれの吸光度比を求め、得られた吸光度比を1)
で求めた検量線式に代入すれば未知試料のスルホン化度
がただちに求まる。
【0030】<主成分分析の場合> 1)重回帰分析の場合と同様に、標準試料及び未知試料
について、子波数及び母波数における吸光度を求め、そ
れぞれの吸光度比を求める。ついで、標準試料及び未知
試料について、吸光度比を変数として相関行列による主
成分分析を実施し、第1主成分得点を計算する。尚、主
成分分析は通常の統計解析で用いられる手法を使用す
る。
【0031】2)1)で得られた標準試料の第1主成分
得点を説明変数、スルホン化度を目的変数として回帰分
析を実施し、回帰係数を求める。そして、得られた回帰
係数を以下の式(γ)に代入して検量線式を得る。
【0032】 スルホン化度(%)=e×PC1+f (γ) (式中、PC1は、式(β)と同じ意味のB1、B2、B3
を用い、主成分分析計算して得られる第1主成分得点で
あり、e及びfは、第1主成分得点を単回帰計算して得
られる回帰係数である。) 3)1)で得られた未知試料の主成分得点を検量線式
(γ)に代入すれば直ちにスルホン化度が求まる。
【0033】以上のようにして、スルホン化度既知の試
料を赤外分光測定により特定の波数の吸光度比を求め、
重回帰分析あるいは主成分分析による統計処理によって
検量線を作成し、これにスルホン化度未知の試料の吸光
度比を代入してスルホン化度を簡便かつ精度よく求める
ことができる。
【0034】また、重回帰分析計算や主成分回帰分析計
算は市販の計算ソフトもしくは自作のものでも特に限定
されるものではない。
【0035】本発明の方法は、スルホン基を含む化合物
を有した製品の品質管理や、新たな製品開発のために化
合物の物性値と構造との相関を検討する場合に有益であ
る。
【0036】
【実施例】以下、本発明を実施例にてさらに詳細に説明
するが本発明はこれらに限定されるものではない。尚、
以下の実施例ではスルホン化度が0〜100%のポリス
チレンスルホン酸塩及びスチレンとパラスチレンスルホ
ン酸塩の共重合体を使用した。また、赤外分光測定では
試料希釈剤にKBr粉末を用い、透過法で測定した。
【0037】実施例1 1)赤外吸収スペクトル測定 錠剤成形したスルホン化度既知の20の標準試料及びス
ルホン化度未知の試料1に対して400〜4000cm
-1の赤外吸収スペクトルを測定した。得られた吸収スペ
クトルより、1411cm-1、1453cm-1、149
4cm-1及び2924cm-1の吸光度を求め、さらに、
これより2924cm-1における吸光度との比を計算
し、これらの結果及び用いた試料の分子量を表1に示し
た。尚、標準試料のスルホン化度はあらかじめ従来法で
あるNMR法で求めた。
【0038】
【表1】
【0039】2)重回帰分析 赤外吸収スペクトルの測定で得られた標準試料の141
1cm-1、1453cm-1及び1494cm-1の吸光度
と2924cm-1の吸光度との比を説明変数として重回
帰分析し、下式(δ)の検量線を得た。
【0040】 スルホン化度(%)=a×Bλ1411+b×Bλ1453+c×Bλ1494+d (δ) a=18.44、b=−71.58、c=−48.24、d=128.63 (式中、a、b、c及びdは、重回帰分析法により計算
して得られる回帰係数であり、Bλ1411、Bλ1453、B
λ1494は、それぞれ、1411cm-1、1453c
-1、1494cm-1の吸光度を2924cm-1の吸光
度で除した値である。) 得られた式(δ)へ各標準試料の吸光度比を代入して求
めたスルホン化度と従来法で求めたスルホン化度の関係
を図1に示す。この結果、両者の定量値はよく一致して
おり相関係数は0.99と非常に高く、3つの吸光度比
を用いた重回帰分析によりスルホン化度が良好に求まる
ことがわかる。
【0041】3)未知試料の定量 1)で得られた未知試料1の各吸光度比は、Bλ1411
0.540、Bλ1453=0.810、Bλ1411=0.9
21となり、この値を検量線式である上記式(δ)へ代
入するとスルホン化度は36.2%となった。また、本
未知試料を従来法であるNMR法で分析したところスル
ホン化度は38%となり、本法によるスルホン化度は従
来法と同等の正確さであることがわかった。
【0042】実施例2 実施例1の重回帰分析で得られた1411cm-1、14
53cm-1、1494cm-1の吸光度を2924cm-1
の吸光度で除した吸光度比を変数とし、実施例1と同じ
標準試料及び未知試料1を一緒に主成分分析すると表2
に示す第1主成分得点が得られた。
【0043】
【表2】
【0044】各標準試料について第1主成分得点を説明
変数として回帰分析すると下記式(ε)が得られた。
【0045】 スルホン化度(%)=e×PC1+f (ε) e=−12.44、f=46.09 (式中、PC1:Bλ1411、Bλ1453、Bλ1494を用い
て主成分分析計算して得られる第1主成分得点であ
る。) 各標準試料の第1主成分得点を式(ε)へ代入し、スル
ホン化度を計算した値を従来法のスルホン化度と比較し
たグラフを図2に示す。両者の定量値はよく一致してお
り相関係数は0.99と非常に高く、主成分回帰分析に
よっても良好にスルホン化度が求まることがわかる。ま
た、実施例1と同様に未知試料1の第1主成分得点を検
量線式である上記の式(ε)へ代入するとスルホン化度
は37.8%と従来法と非常に良い一致を示した。
【0046】実施例3 合成条件によりスルホン化度を変化させた3つの試料
(未知試料2、3及び4)について、従来法である元素
分析法及びNMR法と本発明の方法(本法)でスルホン
化度を定量した結果を表3に示す。尚、これらの未知試
料の分子量は表1に示した。
【0047】
【表3】
【0048】表3より、未知試料2は従来法と本法のス
ルホン化度定量値がよく一致しており、それぞれの定量
法に問題がないことがわかる。未知試料3については従
来法の元素分析法の定量値が他の定量値の約2倍になっ
ており、未知試料中に不純物として硫酸塩等の混入があ
り、元素分析法では正確なスルホン化度を求めることが
できないことがわかる。さらに、未知試料4はNMR測
定用の溶媒へ溶解しなかったため、従来のNMR法によ
る定量は不能であった。
【0049】このように従来法でスルホン化度定量に問
題が生じる場合でも本法では問題なく定量可能であるこ
とが分かった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の結果を示す、赤外吸収スペクトルの
3つの吸光度比を重回帰分析して得られた検量線により
標準試料中のスルホン化度を定量した結果と従来法であ
るNMR法により得られたスルホン化度を比較したグラ
フである。X軸は従来法で得られたスルホン化度(%)
であり、Y軸は重回帰分析で得られた検量線式により得
られたスルホン化度(%)である。
【図2】実施例2の結果を示す、表2の標準試料につい
て得られている第1主成分得点を説明変数としてスルホ
ン化度を回帰分析して得られた検量線へ第1主成分得点
を代入して求めたスルホン化度と従来法によるスルホン
化度を比較したグラフである。X軸は従来法であるNM
R法で得られたスルホン化度(%)であり、Y軸は主成
分回帰分析で得られたスルホン化度である。
【符号の説明】
1:図1において従来法と重回帰分析によるスルホン化
度が一致する点を結んだ線 2:図2において従来法と主成分回帰分析によるスルホ
ン化度が一致する点を結んだ線
【発明の効果】以上詳しく説明したように本発明によれ
ば赤外吸収スペクトル測定で得られた吸光度比を重回帰
分析もしくは主成分回帰分析して得られる検量線を用い
ることで、スルホン基含有芳香族系重合体中のスルホン
化度を迅速かつ高精度に定量することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の構造式(1) (式中、R1及びR2は水素原子、ハロゲン原子及び置換
    されてもよいメチル基からなる群よりそれぞれ独立して
    選ばれる1種である。) 【化1】 及び構造式(2) (式中、Xは水素、アルカリ金属、アンモニア及びエタ
    ノールアミン類からなる群より選ばれる1種である。) 【化2】 を構成単位とするスルホン基含有芳香族系重合体のスル
    ホン化度を決定するに際し、スルホン化度既知の標準試
    料及びスルホン化度未知の対象試料を赤外吸収スペクト
    ル測定装置により所定のベースラインから出発してスペ
    クトル範囲400〜4000cm-1の所定数の波数で測
    定して吸光度を求め、前記標準試料の吸光度と前記対象
    試料の吸光度とを比較して対象試料のスルホン化度を定
    量する方法において、標準試料の2800〜3000c
    -1の波数に極大値を有するピークの最大吸光度と13
    80〜1500cm-1の波数に極大値を有するピークの
    最大吸光度との比を求めて得られた数値を重回帰分析手
    法又は主成分回帰分析手法により計算して検量線を作成
    し、その後前記対象試料のスルホン化度を前記標準試料
    と同じ波数における吸光度の比を用いて前記検量線によ
    り定量することを特徴とするスルホン基含有芳香族系重
    合体中のスルホン化度の定量方法。
  2. 【請求項2】2800〜3000cm-1の波数が292
    4cm-1であり、かつ1380〜1500cm-1の波数
    が1411cm-1、1453cm-1及び1494cm-1
    からなる群より選ばれる2以上であることを特徴とする
    請求項1に記載のスルホン基含有芳香族系重合体中のス
    ルホン化度の定量方法。
  3. 【請求項3】対象試料が固形状であることを特徴とする
    請求項1又は請求項2に記載のスルホン基含有芳香族系
    重合体中のスルホン化度の定量方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20150115112A (ko) * 2014-04-02 2015-10-14 경희대학교 산학협력단 폴리파라페닐렌술파이드의 분지도 분석방법
CN107202870A (zh) * 2017-07-17 2017-09-26 四川维奥制药有限公司 一种蒙脱石药效的体外评价方法

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KR101603159B1 (ko) 2014-04-02 2016-03-15 경희대학교 산학협력단 폴리파라페닐렌술파이드의 분지도 분석방법
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