JP2000179668A - パワートレインの制御装置 - Google Patents

パワートレインの制御装置

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JP2000179668A
JP2000179668A JP36130598A JP36130598A JP2000179668A JP 2000179668 A JP2000179668 A JP 2000179668A JP 36130598 A JP36130598 A JP 36130598A JP 36130598 A JP36130598 A JP 36130598A JP 2000179668 A JP2000179668 A JP 2000179668A
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Japan
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control
speed ratio
ratio
continuously variable
power
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JP36130598A
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English (en)
Inventor
Hidetoshi Nobemoto
秀寿 延本
Hiromasa Yoshida
裕将 吉田
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無段変速機構を備えたパワートレインの変速
比制御を状況に応じた適切なものに改良することを課題
とする。 【解決手段】 パワートレインへの入力トルクが大きい
とき、パワートレイン変速比が大きいとき、走行モード
がローモードのとき、レンジが後退レンジのときは、そ
れぞれ、変速比フィードバック制御における制御ゲイン
を小さくするコントロールユニット300を備える。ト
ルクが大きいと無段変速機構の構成部材の物理的変形が
著しくなり、それに起因して変速比制御が困難なものと
なるから、そのような場合に制御ゲインを小さくするこ
とにより制御の安定性が図れる。加えて、変速比が大き
く変速比の変動が著しいときや、走行モードがローモー
ドで変速比の変動が著しいとき、あるいはレンジが後退
レンジで円滑な制御が要望されるときにも安定した制御
が行なえる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両用パワートレイ
ン、より詳しくは無段変速機構を備えた車両用パワート
レイン、さらに詳しくはトロイダル式無段変速機構を備
えた車両用パワートレインの制御装置に関し、車両用駆
動装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】近年、無段変速機構を備えた車両用パワ
ートレインが実用化されつつあり、特開平9−2101
91号公報にはトロイダル面を有する入力ディスクと出
力ディスクとの間にパワーローラを介設したトロイダル
式無段変速機構が開示されている。このトロイダル式無
段変速機構では、ディスクに対するローラの傾転角が変
化すると、該ディスクとローラとの接触点が半径方向に
移動して変速比が無段階に変化する。一般に、この種の
パワートレインでは、車速やスロットル開度(エンジン
負荷)等の車両の走行状態に基づいて目標エンジン回転
数を求め、該回転数と車速とから目標変速比を設定し、
その目標変速比が実現するように上記ローラの傾転角が
フィードバック制御される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、無段変速機
構に入力されたトルクは該機構の各構成部材に作用する
から、いかにこれらの部材の剛性を高めたとしても該構
成部材が入力トルクの影響を受けて物理的変形を起こす
ことは免れ得ないものである。それゆえ、入力トルクが
増大すると、例えばディスク面の歪みや撓みなどの振れ
幅が大きくなる。このことはディスクとローラとの接触
点のずれ、すなわち変速比の変動をもたらし、変速比制
御を困難なものとする。
【0004】また、パワーローラを支持部材に支持し、
この支持部材をディスクに対して移動させることによ
り、ローラがディスクの回転を受けて傾転するように構
成する場合がある。支持部材には油圧が供給され、この
油圧によって支持部材が支持される。変速比を変化させ
ないときは、支持部材は、ローラがディスクの回転を受
けずに傾転が進行しない位置に保持され、変速比を変化
させるときは、支持部材は、ローラがディスクの回転を
受けてその傾転が所定の方向に所定の角度だけ進行する
ように移動される。すなわち目標変速比が実現するよう
に支持部材への供給油圧がフィードバック制御される。
ここで、入力トルクが増大すると、一般に供給油圧の元
圧であるライン圧が高められるから、オイルポンプの脈
動が増幅されて、供給油圧の振れ幅が大きくなり、これ
によってもまた変速比制御が困難なものとなる。
【0005】一方、支持部材のピストン部などは油圧の
供給を直接受けるがディスクに近いローラ支持部などは
ローラを引きずろうとするディスクの回転力を大きく受
ける。それゆえ、供給油圧とディスクの回転力とにより
支持部材が伸縮し、入力トルクが増大するとその伸縮の
程度が大きくなる。このこともまたディスクとローラと
の接触点のずれ、すなわち変速比の変動をもたらし、変
速比制御を困難なものとする。
【0006】本発明はこのような現状に鑑みてなされた
もので、無段変速機構を備えたパワートレインの変速比
フィードバック制御を状況に応じた適正なものに改良す
ることを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は次のような手段を用いる。
【0008】すなわち、本願の特許請求の範囲の請求項
1に記載の発明は、入出力ディスク間にパワーローラが
介設されたトロイダル式無段変速機構を備え、車両の走
行状態を検出する走行状態検出手段と、該検出手段の検
出結果に基づいて目標変速比を設定する目標変速比設定
手段と、該設定手段で設定された目標変速比が実現する
ように上記入出力ディスクに対するパワーローラの傾転
角をフィードバック制御する変速比制御手段とを有する
パワートレインの制御装置であって、トルクを検出する
トルク検出手段と、該検出手段で検出されたトルクに応
じて上記変速比制御手段によるフィードバック制御の制
御ゲインを変更する制御ゲイン変更手段とが設けられて
いることを特徴とする。
【0009】この発明によれば、変速比フィードバック
制御における制御ゲインがトルクに応じて変更される。
それゆえ、例えば入力トルクが大きく、変速比制御が困
難なものとなっている状況下では、制御ゲインを小さく
することにより、変速比フィードバック制御のハンティ
ングを防止することができる。逆に、例えば入力トルク
が小さく、変速比制御が困難なものとなっていない状況
下では、制御ゲインを大きくすることにより、変速比フ
ィードバック制御の応答性を確保することができる。
【0010】次に、請求項2に記載の発明は、上記請求
項1に記載の発明において、無段変速機構の変速比を検
出する変速比検出手段が備えられ、制御ゲイン変更手段
は、トルク検出手段で検出されたトルクと、この変速比
検出手段で検出された変速比とに応じて制御ゲインを変
更することを特徴とする。
【0011】この発明によれば、制御ゲインがさらに無
段変速機構の変速比に応じてもまた変更される。それゆ
え、例えば無段変速機構の変速比の変化に伴い、パワー
トレインのトルクが大きく変動するような状況下では、
制御ゲインを小さくすることにより、著しいトルク変動
を防止することができる。逆に、例えば無段変速機構の
変速比の変化に伴い、パワートレインのトルクが大きく
変動しないような状況下では、制御ゲインを大きくする
ことにより、変速比フィードバック制御の応答性を確保
することができる。
【0012】次に、請求項3に記載の発明は、同じく上
記請求項1に記載の発明において、歯車機構が備えら
れ、無段変速機構とこの歯車機構とを経由する第1の動
力伝達経路と、無段変速機構のみを経由する第2の動力
伝達経路とが設けられていると共に、走行状態検出手段
の検出結果に基づいてこれらの経路を選択的に達成する
経路達成手段が備えられて、制御ゲイン変更手段は、ト
ルク検出手段で検出されたトルクと、この経路達成手段
により達成されている動力伝達経路の種類とに応じて制
御ゲインを変更することを特徴とする。
【0013】この発明によれば、無段変速機構と歯車機
構とを経由する第1の動力伝達経路と、無段変速機構の
みを経由する第2の動力伝達経路とが選択的に達成可能
に設けられている場合に、制御ゲインがさらに現在の動
力伝達経路の種類に応じてもまた変更される。それゆ
え、例えば第1の動力伝達経路においては無段変速機構
の変速比の変化に伴うパワートレインのトルク変動が大
きく、第2の動力伝達経路においてはそれが小さい場合
に、第1の動力伝達経路が達成されている状況下では、
制御ゲインを小さくすることにより、著しいトルク変動
を防止することができる。逆に、第2の動力伝達経路が
達成されている状況下では、制御ゲインを大きくするこ
とにより、変速比フィードバック制御の応答性を確保す
ることができる。
【0014】次に、請求項4に記載の発明は、同じく上
記請求項1に記載の発明において、レンジを検出するレ
ンジ検出手段が備えられ、制御ゲイン変更手段は、トル
ク検出手段で検出されたトルクと、このレンジ検出手段
で検出されたレンジとに応じて制御ゲインを変更するこ
とを特徴とする。
【0015】この発明によれば、制御ゲインがさらにレ
ンジに応じてもまた変更される。それゆえ、例えば後退
レンジが選択されている状況下では、制御ゲインを小さ
くすることにより、安定性よくスムーズに車両を後進さ
せることができる。逆に、例えば前進レンジが選択され
ている状況下では、制御ゲインを大きくすることによ
り、応答性よくスピーディに車両を前進させることがで
きる。
【0016】次に、請求項5に記載の発明は、上記請求
項1に記載の発明と同様、トロイダル式無段変速機構を
備え、走行状態検出手段と、目標変速比設定手段と、変
速比制御手段とを有するパワートレインの制御装置であ
って、無段変速機構の変速比を検出する変速比検出手段
と、該検出手段で検出された変速比に応じて上記変速比
制御手段によるフィードバック制御の制御ゲインを変更
する制御ゲイン変更手段とが設けられていることを特徴
とする。
【0017】また、請求項6に記載の発明は、上記請求
項3に記載の発明と同様、トロイダル式無段変速機構と
歯車機構とを備え、第1の動力伝達経路と第2の動力伝
達経路とが設けられていると共に、走行状態検出手段
と、目標変速比設定手段と、変速比制御手段とを有する
パワートレインの制御装置であって、走行状態検出手段
の検出結果に基づいて第1、第2の動力伝達経路を選択
的に達成する経路達成手段と、該達成手段により達成さ
れている動力伝達経路の種類に応じて上記変速比制御手
段によるフィードバック制御の制御ゲインを変更する制
御ゲイン変更手段とが設けられていることを特徴とす
る。
【0018】さらに、請求項7に記載の発明は、上記請
求項1に記載の発明と同様、トロイダル式無段変速機構
を備え、走行状態検出手段と、目標変速比設定手段と、
変速比制御手段とを有するパワートレインの制御装置で
あって、レンジを検出するレンジ検出手段と、該検出手
段で検出されたレンジに応じて上記変速比制御手段によ
るフィードバック制御の制御ゲインを変更する制御ゲイ
ン変更手段とが設けられていることを特徴とする。
【0019】これらの各発明によれば、制御ゲインが無
段変速機構の変速比、動力伝達経路の種類、またはレン
ジに応じて補正されるから、それぞれ請求項2、請求項
3、または請求項4に記載の発明の各特徴部分と同様の
作用が得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態を通して
本発明をさらに詳しく説述する。
【0021】図1および図2に示すように、本実施の形
態に係るパワートレイン10は、エンジン1の出力軸2
にトーショナルダンパ3を介して連結されたインプット
シャフト11と、該シャフト11の外側に遊嵌合された
中空のプライマリシャフト12と、これらのシャフト1
1,12に平行に配置されたセカンダリシャフト13と
を有し、これらのシャフト11〜13が、いずれも当該
車両の横方向に延びるように配置されている。
【0022】また、上記インプットシャフト11および
プライマリシャフト12の軸線上には、トロイダル式の
第1、第2無段変速機構20,30と、これらに軸方向
の荷重を付与して動力伝達を可能とするローディングカ
ム機構40とが配設されていると共に、セカンダリシャ
フト13の軸線上には、遊星歯車機構50と、ロークラ
ッチ60およびハイクラッチ70とが配設されている。
さらに、インプットシャフト11およびプライマリシャ
フト12の軸線と、セカンダリシャフト13の軸線との
間に、ローモードギヤ列80と、ハイモードギヤ列90
とが介設されている。
【0023】上記第1、第2無段変速機構20,30は
ほぼ同一の構成であり、いずれも、対向面がトロイダル
面とされた入力ディスク21,31と出力ディスク2
2,32とを有し、これらの各対向トロイダル面間に、
両ディスク21,22間および31,32間でそれぞれ
動力を伝達するパワーローラ23,33が2つづつ介設
されている。
【0024】そして、エンジン1から遠い方に配置され
た第1無段変速機構20は、入力ディスク21が反エン
ジン側に、出力ディスク22がエンジン側に配置され、
また、エンジン1に近い方に配置された第2無段変速機
構30は、入力ディスク31がエンジン側に、出力ディ
スク32が反エンジン側に配置されており、かつ、両変
速機構20,30の入力ディスク21,31はプライマ
リシャフト12の両端部にそれぞれ結合され、また、出
力ディスク22,32は一体化されて、該プライマリシ
ャフト12の中間部に回転自在に支持されている。
【0025】また、インプットシャフト11の反エンジ
ン側の端部には上記ローモードギヤ列80を構成する第
1ギヤ81が結合され、該第1ギヤ81と第1無段変速
機構20の入力ディスク21との間に上記ローディング
カム機構40が介設されており、さらに、第1、第2無
段変速機構20,30の一体化された出力ディスク2
2,32の外周に、上記ハイモードギヤ列90を構成す
る第1ギヤ91が設けられている。
【0026】一方、セカンダリシャフト13の反エンジ
ン側の端部には、上記ローモードギヤ列80を構成する
第2ギヤ82が回転自在に支持されて、アイドルギヤ8
3を介して上記第1ギヤ81に連結されていると共に、
該セカンダリシャフト13の中間部には上記遊星歯車機
構50が配設されている。そして、該遊星歯車機構50
のピニオンキャリヤ51と上記ローモードギヤ列80の
第2ギヤ82との間に、これらを連結しもしくは切断す
るロークラッチ60が介設されている。
【0027】また、遊星歯車機構50のエンジン側に
は、ハイモードギヤ列90を構成する第2ギヤ92が回
転自在に支持されて、上記第1、第2無段変速機構2
0,30における出力ディスク22,32の外周に設け
られた第1ギヤ91に噛み合わされていると共に、該第
2ギヤ92と遊星歯車機構50のサンギヤ52とが連結
されており、さらに該遊星歯車機構50のインターナル
ギヤ53がセカンダリシャフト13に結合されている。
そして、該遊星歯車機構50のエンジン側に、上記ハイ
モードギヤ列90の第2ギヤ92とセカンダリシャフト
13とを連結しもしくは切断するハイクラッチ70が介
設されている。
【0028】さらに、上記セカンダリシャフト13のエ
ンジン側の端部に、第1、第2ギヤ4a,4bとアイド
ルギヤ4cとでなる出力ギヤ列4を介してディファレン
シャル装置5が連結されており、このディファレンシャ
ル装置5から左右に延びる駆動軸6a,6bが左右の駆
動輪(図示せず)に連結されている。
【0029】なお、インプットシャフト11の反エンジ
ン側の端部にはオイルポンプ100が配置され、該イン
プットシャフト11により上記ローモードギヤ列80の
第1ギヤ81を介して駆動されるようになっている。
【0030】次に、上記第1、第2無段変速機構20,
30の構成を第1無段変速機構20を例にとってさらに
詳しく説明する。
【0031】図3に示すように、一対のパワーローラ2
3,23は、入、出力ディスク21,22のほぼ半径方
向に延びるシャフト24,24を介してトラニオン2
5,25にそれぞれ支持され、入、出力ディスク21,
22の互いに対向するトロイダル面の円周上の180°
反対側にほぼ水平姿勢で上下に平行に配置されており、
その周面の180°反対側の2箇所で上記両ディスク2
1,22のトロイダル面にそれぞれ対接している。
【0032】また、上記トラニオン25,25は、当該
パワートレイン10のケース101に取り付けられた左
右の支持部材26,26間に支持され、両ディスク2
1,22の接線方向であってパワーローラ23,23の
シャフト24,24に直交する水平方向の軸心X,X回
りの回動および該軸心X,X方向の直線往復運動が可能
とされている。そして、これらのトラニオン25,25
に、上記軸心X,Xに沿って一側方に延びるロッド2
7,27が連設されていると共に、上記ケース101の
側面には、これらのロッド27,27およびトラニオン
25,25を介して上記パワーローラ23,23を傾転
させる変速制御ユニット110が取り付けられている。
【0033】この変速制御ユニット110は、油圧制御
部111とトラニオン駆動部112とを有し、トラニオ
ン駆動部112には、上下のトラニオン25,25のロ
ッド27,27のそれぞれに対向状に取り付けられた増
速用および減速用のピストン113,114が配置さ
れ、各対向するピストン113,114により、増速用
および減速用油圧室115,116がそれぞれ形成され
ている。
【0034】なお、上方に位置するトラニオン25につ
いては、増速用油圧室115がパワーローラ23側に、
減速用油圧室116が反パワーローラ23側にそれぞれ
配置され、また、下方に位置するトラニオン25につい
ては、増速用油圧室115が反パワーローラ23側に、
減速用油圧室116がパワーローラ23側にそれぞれ配
置されている。
【0035】そして、上記油圧制御部111で生成され
た増速用油圧PHが、油路117,118を介して上下
のトラニオン25,25の増速用油圧室115,115
に供給され、また、同じく油圧制御部111で生成され
た減速用油圧PLが、図示しない油路を介して上下のト
ラニオン25,25の減速用油圧室116,116に供
給され、これらの油圧PH,PLの制御により、当該変
速機構20,30の変速比が制御されるようになってい
る。
【0036】ここで、第1無段変速機構20について変
速比制御の具体的動作を説明すると、まず、図3に示す
油圧制御部111により、上下のトラニオン25,25
の増速用油圧室115,115に供給されている増速用
油圧PHが、減速用油圧室116,116に供給されて
いる減速用油圧PLに対して所定の釣り合い状態より相
対的に高くされると、上方のトラニオン25は図面上、
右側に、下方のトラニオン25は左側にそれぞれ水平移
動することになる。
【0037】このとき、図示されている出力ディスク2
2がx方向に回転しているものとすると、上方のパワー
ローラ23は、右側への移動により該出力ディスク22
から下向きの力を受け、図面の手前側にあって反x方向
に回転している入力ディスク21からは上向きの力を受
けることになる。また、下方のパワーローラ23は、左
側への移動により、出力ディスク22から上向きの力を
受け、入力ディスク21からは下向きの力を受けること
になる。
【0038】その結果、上下のパワーローラ23,23
とも、入力ディスク21との接触位置は半径方向の外側
に、出力ディスク22との接触位置は半径方向の内側に
移動するように傾転し、当該変速機構20の変速比が小
さくなる(増速)。
【0039】また、上記とは逆に、上下のトラニオン2
5,25の減速用油圧室116,116に供給されてい
る減速用油圧PLが、増速用油圧室115,115に供
給されている増速用油圧PHに対して所定の釣り合い状
態より相対的に高くされると、上方のトラニオン25は
図面上、左側に、下方のトラニオン25は右側にそれぞ
れ水平移動することにより、上方のパワーローラ23は
出力ディスク22から上向きの力を、入力ディスク21
から下向きの力を受け、また、下方のパワーローラ23
は、出力ディスク22から下向きの力を、入力ディスク
21から上向きの力を受けることになる。その結果、上
下のパワーローラ23,23とも、入力ディスク21と
の接触位置は半径方向の内側に、出力ディスク22との
接触位置は半径方向の外側に移動するように傾転し、当
該変速機構20の変速比が大きくなる(減速)。
【0040】なお、このような油圧制御部111による
増速用および減速用油圧PH,PLの供給制御について
は、後述する油圧制御回路の説明においてさらに説明す
る。
【0041】以上のような第1無段変速機構20につい
ての構成および作用は、第2無段変速機構30について
も同様である。そして、図1、図2に示すように、イン
プットシャフト11上に遊嵌合された中空のプライマリ
シャフト12の両端部に、第1、第2無段変速機構2
0,30の入力ディスク21,31がそれぞれスプライ
ン嵌合されて、これらの入力ディスク21,31が常に
同一回転するようになっており、また、前述のように、
両変速機構20,30の出力ディスク22,32は一体
化されているので、両変速機構20,30の出力側の回
転速度も常に同一となる。したがって、上記のようなパ
ワーローラ23,33の油圧制御による第1、第2無段
変速機構20,30の変速比制御も、変速比が常に同一
に保持されるように行われることになる。
【0042】次に、上記変速制御ユニット110と、ケ
ース101の下部に取り付けられたクラッチ制御ユニッ
ト120(図3参照)とによって構成される当該パワー
トレイン10の油圧制御回路について説明する。
【0043】図4に示すように、この油圧制御回路20
0には、オイルポンプ100から吐出される作動油の圧
力を所定のライン圧に調整してメインライン201に出
力するレギュレータバルブ202と、該メインライン2
01から供給されるライン圧を元圧として所定のリリー
フ圧を生成し、これをリリーフ圧ライン203に出力す
るリリーフバルブ204と、運転者の切り換え操作によ
ってDレンジ、Rレンジ、NレンジおよびPレンジの選
択を可能とするマニュアルバルブ205とが備えられて
いる。
【0044】これらのバルブのうち、マニュアルバルブ
205は、上記メインライン201を、Dレンジでは第
1、第2出力ライン206,207に、Rレンジでは第
1、第3出力ライン206,208にそれぞれ連通させ
ると共に、NレンジおよびPレンジではライン圧を遮断
するように動作する。
【0045】また、上記レギュレータバルブ202およ
びリリーフバルブ204には、ライン圧制御用リニアソ
レノイドバルブ209およびリリーフ圧制御用リニアソ
レノイドバルブ210がそれぞれ備えられていると共
に、上記ポンプ100の吐出圧を元圧として一定圧を生
成するレデューシングバルブ211が備えられ、このレ
デューシングバルブ211で生成された一定圧に基づい
て、上記リニアソレノイドバルブ209,210がそれ
ぞれ制御圧を生成するようになっている。
【0046】そして、これらの制御圧が上記レギュレー
タバルブ202およびリリーフバルブ204の制御ポー
ト202a,204aに供給されることにより、ライン
圧およびリリーフ圧が、各リニアソレノイドバルブ20
9,210に出力される制御信号によってそれぞれ調整
されることになる。
【0047】さらに、レデューシングバルブ211で生
成された一定圧は、フェールセーフバルブ212を作動
させるオンオフソレノイドバルブ213にも導かれてい
る。このオンオフソレノイドバルブ213は、通常時は
オンとされて上記一定圧をフェールセーフバルブ212
の制御ポート212aに供給し、これにより該バルブ2
12のスプールを右側に移動させている一方、フェール
セーフ時にオフとされたときには上記一定圧をフェール
セーフバルブ212の制御ポート212aからドレイン
し、これにより該バルブ212のスプールを左側に移動
させる。
【0048】また、この油圧制御回路200には、変速
制御用として、上記ライン圧およびリリーフ圧に基づい
て、前進時および後退時のそれぞれにおいて、増速用油
圧PHおよび減速用油圧PLを生成する前進用三層弁2
20および後退用三層弁230と、これらの三層弁22
0,230を選択的に作動させるシフトバルブ240と
が備えられている。
【0049】このシフトバルブ240は、一端の制御ポ
ート240aに制御圧としてライン圧が供給されるか否
かによりスプールの位置が決定され、ライン圧が供給さ
れていないときは、該スプールが右側に位置して、上記
メインライン201を前進用三層弁220に通じるライ
ン圧供給ライン241に連通させ、また、ライン圧が供
給されたときには、スプールが左側に位置して、メイン
ライン201を後退用三層弁230に通じるライン圧供
給ライン242に連通させるように作動する。
【0050】ここで、シフトバルブ240の制御ポート
240aにライン圧が供給されるのは、通常時において
は、スプールが右側に移動した上記フェールセーフバル
ブ212および第3出力ライン208を介して、マニュ
アルバルブ205がRレンジに位置したときである。こ
れに対し、通常時であってフェールセーフバルブ212
のスプールが右側に移動していても、マニュアルバルブ
205がDレンジに位置したときには、シフトバルブ2
40の制御ポート240aにはライン圧が供給されな
い。また、フェールセーフ時には、フェールセーフバル
ブ212のスプールが左側に移動し、シフトバルブ24
0と第3出力ライン208とが遮断されるから、マニュ
アルバルブ205がRレンジに位置していても、シフト
バルブ240の制御ポート240aにはライン圧が供給
されない。
【0051】上記前進用および後退用の三層弁220,
230は同一の構成であって、ボア221,231に軸
方向に移動可能にスリーブ222,232を嵌合すると
共に、該スリーブ222,232に同じく軸方向に移動
可能にスプール223,233をそれぞれ嵌合した構成
とされ、いずれも、図3に示す変速制御ユニット110
における油圧制御部111のバルブボディ111aに収
納されている。
【0052】また、これらの三層弁220,230の中
央部には、上記シフトバルブ240から導かれたライン
圧供給ライン241,242が接続されたライン圧ポー
ト224,234が設けられていると共に、両端部に
は、上記リリーフ圧ライン203が分岐されてそれぞれ
接続された第1、第2リリーフ圧ポート225,22
6,235,236が設けられている。さらに、上記ラ
イン圧ポート224,234と第1リリーフ圧ポート2
25,235との間には増速圧ポート227,237
が、同じくライン圧ポート224,234と第2リリー
フ圧ポート226,236との間には減速圧ポート22
8,238がそれぞれ設けられている。
【0053】そして、前進用および後退用三層弁22
0,230の増速圧ポート227,237からそれぞれ
導かれたライン243,244と、同じく前進用および
後退用三層弁220,230の減速圧ポート228,2
38からそれぞれ導かれたライン245,246とが上
記シフトバルブ240に接続されており、該シフトバル
ブ240のスプールが右側に位置するときに、前進用三
層弁220の増速圧ポート227および減速圧ポート2
28から導かれたライン243,245が増速用ライン
247および減速用ライン248にそれぞれ接続され、
上記増速用油圧室115,115および減速用油圧室1
16,116にそれぞれ連通する。
【0054】また、シフトバルブ240のスプールが左
側に位置するときは、後退用三層弁230の増速圧ポー
ト237および減速圧ポート238から導かれたライン
244,246が上記増速用ライン247および減速用
ライン248にそれぞれ接続されて、上記増速用油圧室
115,115および減速用油圧室116,116にそ
れぞれ連通するようになっている。
【0055】ここで、これらの三層弁220,230の
作動を図5を用いて説明する。なお、図5においては、
三層弁220,230の向きが図4とは左右反対になっ
ている。図示したように、スリーブ222とスプール2
23の位置関係が中立位置にある状態から、例えば前進
用三層弁220のスリーブ222が相対的に図面上、左
側に移動すると、ライン圧ポート224と増速圧ポート
227との連通度、および第2リリーフ圧ポート226
と減速圧ポート228との連通度がそれぞれ増大し、逆
にスリーブ222が相対的に右側に移動すると、上記ラ
イン圧ポート224と減速圧ポート228との連通度、
および第1リリーフ圧ポート225と増速圧ポート22
7との連通度がそれぞれ増大する。したがって、前者の
場合は、増速用油圧PHが上昇して減速用油圧PLが低
下し、後者の場合は、減速用油圧PLが上昇して増速用
油圧PHが低下することになる。
【0056】そして、上記の作用は後退用三層弁230
についても同様であり、これらの三層弁220,230
のスリーブ222,232を上記のように作動させるス
テップモータ251,252が備えられ、それぞれリン
ク部材253,254を介して前進用および後退用三層
弁220,230のスリーブ222,232に連結され
ている。
【0057】また、これらのステップモータ251,2
52によるスリーブ222,232の移動に応じて、ス
プール223,233をスプリング229,239のバ
ネ力に抗して軸方向に移動させるカム機構260が備え
られている。
【0058】このカム機構260は、図5、図6に示す
ように、一方の端面が螺旋面状のカム面261aとされ
て、第2無段変速機構30の上方に位置するトラニオン
35のロッド37の端部に取り付けられたプリセスカム
261と、前進用および後退用三層弁220,230の
スプール223,233の一端側にこれらに直交する方
向に配置されて、油圧制御部111のバルブボディ11
1aに回動自在に支持されたシャフト262と、このシ
ャフト262の一端部に取り付けられて、揺動端が上記
プリセスカム261のカム面261aに当接された従動
レバー263と、同じくシャフト262に取り付けられ
て、揺動端が上記前進用および後退用三層弁220,2
30のスプール223,233の一端に設けられた切り
込み223a,233aに係合された前進用および後退
用の駆動レバー264,265とで構成されている。
【0059】そして、上記増速用油圧PHおよび減速用
油圧PLの制御によって第2無段変速機構30における
上方のパワーローラ33が傾転したときに、これに伴っ
て上方に位置するトラニオン35およびロッド37が軸
心X回りに一体的に回転することにより、上記プリセス
カム261もこれらと一体的に回動し、そのカム面26
1aに揺動端が当接した従動レバー263が所定量揺動
すると共に、シャフト262を介して前進用および後退
用の駆動レバー264,265も同じ角度だけ揺動し、
その結果、その揺動角度に応じた量だけ前進用および後
退用三層弁220,230のスプール223,233が
軸方向に移動することになる。
【0060】したがって、これらのスプール223,2
33の位置は、第2無段変速機構30のパワーローラ3
3(および第1無段変速機構20のパワーローラ23)
の傾転角、換言すればこれらの変速機構20,30の変
速比に常に対応することになる。
【0061】ここで、無段変速機構20,30の変速比
(以下適宜「トロイダルレシオ」ともいう)の制御動作
を、前進時を例にとって説明する。
【0062】まず、油圧制御回路200におけるライン
圧制御用リニアソレノイドバルブ209およびリリーフ
圧制御用リニアソレノイドバルブ210により、レギュ
レータバルブ202およびリリーフバルブ204の制御
圧が生成されて、その制御圧に応じたライン圧とリリー
フ圧とが生成される。
【0063】これらの油圧のうち、ライン圧は、メイン
ライン201からシフトバルブ240およびライン24
1を介して三層弁220のライン圧ポート224に供給
される。また、リリーフ圧は、ライン203を介して三
層弁220の第1、第2リリーフ圧ポート225,22
6に供給される。そして、このライン圧とリリーフ圧と
に基づき、ステップモータ251による三層弁220の
制御により変速制御ユニット110の増速用油圧室11
5,115および減速用油圧室116,116にそれぞ
れ供給される増速用油圧PHおよび減速用油圧PLの差
圧ΔP(=PH−PL)の制御が行われる。
【0064】この差圧制御は、図6に示すように、無段
変速機構20,30のトラニオン25,35に作用する
トラクション力Tに抗して、該トラニオン25,35な
いしパワーローラ23,33を、ローラ23,33がデ
ィスク21,22,31,32の回転を受けずに傾転が
進行しない所定の中立位置に保持すると共に、この中立
位置からトラニオン25,35およびパワーローラ2
3,33を軸心X,X方向に沿って移動させて該パワー
ローラ23,33を傾転させることにより、トロイダル
レシオを変化させるために行われるものである。
【0065】つまり、変速機構20,30において、入
力ディスク21,31のa,a方向の回転によりパワー
ローラ23,33がb,b方向に駆動されるとき、該パ
ワーローラ23,33およびこれを支持するトラニオン
25,35には、これらを入力ディスク21,31の回
転方向a,aと同方向に引きずろうとする力が作用す
る。また、このパワーローラ23,33のb,b方向の
回転により出力ディスク22,32がc方向(図3のx
方向)に駆動されるとき、その反力として、出力ディス
ク22,32の回転方向cと反対方向の力が該パワーロ
ーラ23,33ないしトラニオン25,35に作用す
る。その結果、パワーローラ23,33およびトラニオ
ン25,35には、図示の方向のトラクション力T,T
が作用することになる。
【0066】そこで、このトラクション力T,Tに抗し
てパワーローラ23,33を中立位置に保持するため
に、各トラニオン25,35に設けられた増速用および
減速用油圧室115,116に、差圧ΔPが上記トラク
ション力Tと釣り合う大きさとなるように、増速用油圧
PHと減速用油圧PLとをそれぞれ供給するのである。
【0067】そして、いま、この状態から例えばトロイ
ダルレシオを小さく(増速)するものとし、ステップモ
ータ251により、前進用三層弁220のスリーブ22
2を、図5において左側(図4では右側)に移動させれ
ば、該三層弁220のライン圧ポート224と増速圧ポ
ート227との連通度、および第2リリーフ圧ポート2
26と減速圧ポート228との連通度が大きくなること
により、図4に示す増速圧ライン247から上記増速用
油圧室115,115に供給されている増速用油圧PH
は増圧され、減速圧ライン248から上記減速用油圧室
116,116に供給されている減速用油圧PLは減圧
されて、差圧ΔPが大きくなり、その結果、この差圧Δ
Pが上記トラクション力Tに打ち勝って、トラニオン2
5,35ないしパワーローラ23,33が図6に示す
d,d方向に移動することになる。
【0068】そして、この移動により、パワーローラ2
3,33は、入力ディスク21,31との接触位置が半
径方向の外側に、出力ディスク22,32との接触位置
が半径方向の内側にそれぞれ変位する方向に傾転して、
第1、第2無段変速機構20,30が増速され、トロイ
ダルレシオが小さくなるのである。
【0069】また、第2無段変速機構30におけるパワ
ーローラ33の上記のような傾転により、カム機構26
0におけるプリセスカム261が同方向(図5に示すe
方向)に同じ角度だけ回転し、これに伴って該カム機構
260における従動レバー263、シャフト262およ
び駆動レバー264がいずれも図6に示すf方向に回動
する。
【0070】その結果、三層弁220のスプール223
は、スプリング229のバネ力によってg方向、即ち図
5の左方向に移動することになるが、この方向は上記ス
テップモータ251によりスリーブ222を移動させた
方向であり、したがって、上記のように、一旦、増大し
たライン圧ポート224と増速圧ポート227との連通
度、および第2リリーフ圧ポート226と減速圧ポート
228との連通度が当初の中立状態に復帰することにな
る。
【0071】これにより、上記差圧ΔPは再びトラクシ
ョン力Tと釣り合う状態となって上記のような変速動作
が終了し、無段変速機構20,30の変速比、即ちトロ
イダルレシオは所定量変化した上で固定されることにな
る。
【0072】その場合に、この変速動作は、上記スプー
ル223がスリーブ222との位置関係において所定の
中立状態となる位置まで移動した時点で終了することに
なるが、その位置はステップモータ251によりスリー
ブ222を移動させた位置であり、また、カム機構26
0を介してパワーローラ23,33およびトラニオン2
5,35の傾転角に対応付けられた位置であるから、ス
リーブ222の位置がパワーローラ23,33およびト
ラニオン25,35の傾転角に対応することになる。そ
の結果、ステップモーター251の制御量が第1、第2
無段変速機構20,30の変速比に対応することにな
り、該ステップモーター251に対するパルス制御によ
り、トロイダルレシオが制御されることになる。
【0073】なお、以上の動作はステップモータ251
により三層弁220のスリーブ222を反対側に移動さ
せた場合も同様に行われ、この場合、無段変速機構20
の変速比は大きくなる(減速)。
【0074】一方、図4に示すように、上記油圧制御回
路200には、以上のような変速比制御用の構成に加え
て、ロークラッチ60およびハイクラッチ70の制御用
として、2個のデューティソレノイドバルブ271,2
72が備えられており、上記マニュアルバルブ205か
ら導かれた第1出力ライン206がロークラッチ用デュ
ーティソレノイドバルブ271に、第2出力ライン20
7がハイクラッチ用デューティソレノイドバルブ272
にそれぞれ接続されている。
【0075】そして、ロークラッチ用デューティソレノ
イドバルブ271により、上記第1出力ライン206か
らのライン圧が調整されてロークラッチ60の締結圧
(以下「ロークラッチ圧」という)が生成され、これ
が、正常時には、フェールセーフバルブ212およびロ
ークラッチライン274を介してロークラッチ60の油
圧室に供給されることにより、その大きさに応じた締結
力でロークラッチ60が締結される。また、ハイクラッ
チ用デューティソレノイドバルブ272の作動により、
上記第2出力ライン207からのライン圧が調整されて
ハイクラッチ70の締結圧(以下「ハイクラッチ圧」と
いう)が生成され、これがハイクラッチライン275を
介してハイクラッチ70の油圧室に供給されることによ
り、その大きさに応じた締結力でハイクラッチ70が締
結されるようになっている。
【0076】その場合に、これらのデューティソレノイ
ドバルブ271,272は、その制御信号のデューティ
率が100%のときにはクラッチ圧を出力せず(全
閉)、0%のときに供給されるライン圧をそのままクラ
ッチ圧として出力する(全開)。そして、その中間のデ
ューティ率では、その値に応じたクラッチ圧を生成する
ようになっている。
【0077】ここで、上記ロークラッチライン274お
よびハイクラッチライン275にはそれぞれアキュムレ
ータ276,277が備えられ、ロークラッチ60およ
びハイクラッチ70への締結圧の供給を緩やかに行わせ
ることにより、これらのクラッチ60,70の締結時に
おけるショックの発生を抑制するようになっている。
【0078】また、マニュアルバルブ205から導かれ
た第3出力ライン208は、前述したように、正常時に
は、上記フェールセーフバルブ212を介してシフトバ
ルブ240の制御ポート240aに接続され、上記マニ
ュアルバルブ205がRレンジの位置に移動したとき
に、ライン圧が上記シフトバルブ240の制御ポート2
40aに供給されて、該シフトバルブ240のスプール
を左側、即ち後退時用の位置に移動させるようになって
いる。
【0079】さらに、フェールセーフ時には、上記フェ
ールセーフバルブ212を作動させるオンオフソレノイ
ドバルブ213がオフとなって、上記フェールセーフバ
ルブ212のスプールが左側に移動し、これにより、上
記ロークラッチ用デューティソレノイドバルブ271と
ロークラッチライン274との間、および第3出力ライ
ン208とシフトバルブ240との間がそれぞれ遮断さ
れるようになっている。
【0080】なお、以上の構成に加えて、図4に示す油
圧制御回路200には、レギュレータバルブ202のド
レンポートから導かれた潤滑ライン281が設けられて
おり、この潤滑ライン281に、潤滑油圧を所定値に調
整するリリーフバルブ282や、第1、第2開閉バルブ
283,284等が配置されて、第1、第2無段変速機
構20,30や遊星歯車機構50等のパワートレイン各
部に対する潤滑油の供給を制御するようになっている。
【0081】この実施の形態に係るパワートレイン10
は、以上のような機械的構成と油圧制御回路200とを
有すると共に、この油圧制御回路200を用いて第1、
第2無段変速機構20,30の変速比制御およびクラッ
チ60,70の締結制御を行うことにより、パワートレ
イン10の全体としての変速比(以下適宜「ユニットレ
シオ」ともいう)の制御を行うコントロールユニットを
備えている。
【0082】図7に示すように、このコントロールユニ
ット300は、当該車両の車速を検出する車速センサ3
01、エンジンの回転数を検出するエンジン回転数セン
サ302、スロットル開度を検出するスロットル開度セ
ンサ303、運転者によって選択されているレンジを検
出する選択レンジセンサ304、アクセルペダルの非踏
み込みを検出するアイドルスイッチ305、並びに入力
ディスク21,31および出力ディスク22,32の回
転数を検出する入力回転数センサおよび出力回転数セン
サ306,307等からの信号を入力する一方、これら
のセンサやスイッチ301〜307からの信号が示す当
該車両の走行状態ないしエンジンの運転状態に応じて、
ライン圧制御用およびリリーフ圧制御用のリニアソレノ
イドバルブ209,210、フェールセーフ用オンオフ
ソレノイドバルブ213、ロークラッチ60用およびハ
イクラッチ70用のデューティソレノイドバルブ27
1,272、並びに前進用三層弁220用および後退用
三層弁230用のステップモータ251,252等に制
御信号を出力する。
【0083】ここで、このコントロールユニット300
によるユニットレシオの制御を簡単に説明する。
【0084】まず、Nレンジにおいては、ロークラッチ
60及びハイクラッチ70の両者が解放状態とされる。
そのため、インプットシャフト11側からセカンダリシ
ャフト13側に伝達される動力は、遊星歯車機構50や
該セカンダリシャフト13には伝達されず、したがっ
て、差動装置5から駆動輪へ動力が出力されることはな
い。
【0085】このとき、遊星歯車機構50においては、
ハイモードギヤ列90からの動力によりサンギヤ52が
駆動されるが、ローモードギヤ列80からの動力はロー
クラッチ60の入力側の回転部材まで伝達されるだけ
で、ピニオンキャリヤ51へは伝達されず、また、セカ
ンダリシャフト13に結合されたインターナルギヤ53
は固定されているから、上記ピニオンキャリヤ51は、
サンギヤ52の回転に連動して無負荷状態で回転してい
る状態にある。
【0086】そして、この状態で、トロイダルレシオを
所定値に設定することにより、上記ピニオンキャリヤ5
1の回転速度を、ロークラッチ60の入、出力側回転部
材の回転速度が等しくなる速度に制御することができ
る。換言すれば、トロイダルレシオを上記所定値に制御
することにより、ロークラッチ60を接続しても、イン
ターナルギヤ53ないしセカンダリシャフト13の回転
を0とすることができるのである。これにより、所謂ギ
ヤードニュートラル状態が得られる(このときのトロイ
ダルレシオの上記所定値を「GNレシオRgn」とい
う)。
【0087】ここで、ステップモータ251,252に
出力する制御信号のパルス数に対するトロイダルレシオ
の変化の特性は例えば図8に示すようになり、パルス数
の増加に応じて変速比が小さくなる方向(ハイ側)に変
化する。
【0088】そして、ギヤードニュートラル状態では、
ユニットレシオは、図9に符号ア、イで示すように無限
大となるが、この状態から上記ステップモータ251,
252に対する制御信号のパルス数を減少させれば、ト
ロイダルレシオが大きくなる方向(ロー側)に変化し
て、上記サンギヤ52への入力回転速度が低下すること
により、遊星歯車機構50のインターナルギヤ53は前
進方向に回転し始める。これにより、パルス数の減少に
従ってユニットレシオが小さくなる方向(ハイ側)に変
化する前進ローモード特性Lfが実現される。
【0089】また、この前進ローモードで発進時から次
第にユニットレシオが小さくなり、図9に符号ウで示す
ように、所定の切り換えレシオに達すると、上記ローク
ラッチ60が切断されると同時にハイクラッチ70が締
結され、インプットシャフト11からの動力が第1、第
2無段変速機構20,30、ハイモードギヤ列90およ
び該ハイクラッチ70を介してセカンダリシャフト13
に伝達されることになる。この状態では、ハイモードギ
ヤ列90のギヤ比が1であるとすれば、ユニットレシオ
はトロイダルレシオに等しくなり、図8に示すトロイダ
ルレシオの特性と同一で、かつ、パルス数の増加に従っ
てユニットレシオが小さくなる方向(ハイ側)に変化す
る前進ハイモード特性Hが実現されることになる。
【0090】なお、上記のギヤードニュートラルの状態
からステップモータ251,252に対する制御信号の
パルス数を増加させることによりトロイダルレシオを小
さくする方向(ハイ側)に変化させて、上記サンギヤ5
2への入力回転速度を上昇させれば、遊星歯車機構50
のインターナルギヤ51は後退方向に回転し始め、パル
ス数の増加に従ってユニットレシオの絶対値が小さくな
るRレンジでの後退ローモード特性Lrが得られる。
【0091】次に、本発明の特徴部分であるトロイダル
レシオないしユニットレシオのフィードバック制御動作
を図10及び図11のフローチャートに従って説明す
る。
【0092】まず、ステップS1で、図7に示す各セン
サやスイッチ301〜307からの信号に基づき、現時
点における車速V、エンジン1のスロットル開度TV
O、選択されているレンジ、アイドルスイッチ305の
ON,OFF状態、トロイダルレシオ等の各種の状態量
を検出する。
【0093】次に、ステップS2で、今回の制御サイク
ルが、アイドルスイッチ305がONからOFFまたは
OFFからONに切り換わった直後のサイクルであるか
否かを判定し、そのような切換直後のサイクルでない場
合は、ステップS3に進んで、タイマtimがゼロであ
るか否かを判定する。そして、タイマtimがゼロの場
合はステップS4に進む一方、ステップS2でアイドル
スイッチ305の切換直後であると判定された場合や、
ステップS3でタイマtimがゼロでないと判定された
場合には共にステップS10に進む。
【0094】ステップS4では、変速線図に基づく目標
ユニットレシオRoの設定が行なわれる。ここで、変速
線図は、図12〜図14に示すように、走行モードが前
進ローモードLfの場合、前進ハイモードHの場合、及
び後退ローモードLrの場合毎に、予め車速Vやスロッ
トル開度TVO等の走行状態に応じてそれぞれ個別に設
定されている。また、各変速線図には、前進ローモード
Lfと前進ハイモードHとの間のモード切換え時のユニ
ットレシオRmを有するモード切換ラインMが設けられ
ている。
【0095】目標ユニットレシオRoは、特に図13の
前進ハイモードHの場合で示すように、現車速と現スロ
ットル開度とから目標エンジン回転数Neoを算出した
のち、この目標エンジン回転数Neoと現車速とから設
定される。
【0096】なお、図12に示す前進ローモードLfの
ときの変速線図と、図14に示す後退ローモードLrの
ときの変速線図とでは、後退ローモードLrのときの方
が前進ローモードLfのときに比べてユニットレシオが
ロー側に設定されている。これは、後退時に前進時と同
様のアップシフトを行なうと、車速が乗り過ぎるため、
後退時には前進時よりもエンジン回転数を上げるように
設定してあるのである。
【0097】そして、ステップS5で、この目標ユニッ
トレシオRoに対する現ユニットレシオRの偏差ΔRを
算出したのち、ステップS6で、入力トルク、変速比、
走行モード、レンジに応じて、PID制御の指数Sにお
ける比例項のゲインKpを設定する。
【0098】このとき、この比例項ゲインKpは、図1
5に示すように、トルクが小さいほど大きく、トルクが
大きいほど小さくなるように設定されている。また、こ
の比例項ゲインKpは、図16に示すように、トロイダ
ルレシオがローモードにおいてGNレシオRgnに近づ
くほど小さく、モード切換え時のレシオRmtに近づく
ほど大きくなるように設定されている。また、同じく図
16に示すように、走行モードがローモードLf,Lr
であるときは小さく、ハイモードHであるときは大きく
なるように設定されている。さらに、同じく図16に示
すように、その場合に、レンジが前進レンジLfである
ときは大きく、後退レンジLrであるときは小さくなる
ように設定されている。
【0099】そして、ステップS7で、このような特性
で設定された比例項ゲインKpを用いて、次式に従い、
PID制御指数Sを設定する。
【0100】
【数1】 ここで、Kiは積分項ゲイン、及びKdは微分項ゲイン
である。
【0101】次いで、ステップS8で、この指数Sに基
づき、図17に示すように予め設定されたマップから、
ステップモータ251,252に出力するパルス数ΔP
を求める。ここで、上記マップでは、指数Sの絶対値が
大きくなるほど出力するパルス数Pも多くなるように設
定されていると共に、指数Sが正のとき(実トロイダル
レシオが目標トロイダルレシオよりもロー側の値のと
き)には、出力パルス数Pを増加させて実トロイダルレ
シオをハイ側に修正し、逆に、指数Sが負のとき(実ト
ロイダルレシオが目標トロイダルレシオよりもハイ側の
値のとき)には、出力パルス数Pを減少させて実トロイ
ダルレシオをロー側に修正するように設定されている
(図8参照)。
【0102】そして、ステップS9で、このようにして
求められたパルス数ΔPの信号をステップモータ25
1,252に出力する。これにより、上記偏差ΔRが解
消されるように該ステップモータ251,252ないし
三層弁220,230のスリーブ222,232が駆動
されると共に、このステップS4〜S9が繰り返し実行
されることにより、ユニットレシオRが目標レシオRo
にフィードバック制御されることになる。
【0103】その場合に、上記比例項ゲインKpを、入
力トルクが小さいほど大きく、入力トルクが大きいほど
小さくなるように設定したので、入力トルクが大きいと
きは小さいときに比べて実レシオRの変動が抑制され
る。
【0104】また、上記比例項ゲインKpを、トロイダ
ルレシオがローモードにおいてGNレシオRgnに近づ
くほど小さく、モード切換え時のレシオRmtに近づく
ほど大きくなるように設定したので、換言すれば、ユニ
ットレシオがロー側ほど小さく、ユニットレシオがハイ
側ほど大きくなるように設定したので、ユニットレシオ
が大きいときは小さいときに比べて実ユニットレシオR
の変動が抑制される。
【0105】さらに、上記比例項ゲインKpを、走行モ
ードがローモードLf,Lrであるときは小さく、ハイ
モードHであるときは大きくなるように設定したので、
走行モードがローモードLf,Lrであるときはハイモ
ードHであるときに比べて実レシオRの変動が抑制され
る。
【0106】そして、上記比例項ゲインKpを、レンジ
が前進レンジLfであるときは大きく、後退レンジLr
であるときは小さくなるように設定したので、レンジが
前進レンジLfであるときは後退レンジLrであるとき
に比べて実レシオRの変動が抑制される。
【0107】このような設定にした主な理由の一つはお
よそ次のようなものである。
【0108】すなわち、走行モードがローモードである
場合は、エンジン1からのトルクがインプットシャフト
11及びローモードギヤ列80を介してセカンダリシャ
フト13側へ伝達される一方で、該セカンダリシャフト
13上の遊星歯車機構50で発生する反力としてのトル
クがハイモードギヤ列90を介して無段変速機構20,
30の出力ディスク22,32に還流されて循環トルク
となる。したがって、図6に符号cで示す方向に回転す
る無段変速機構20,30の出力ディスク22,32の
トルクが増大すると、前述のトラクション力が図中の矢
印d方向に働くことになる。もちろん、トラニオン2
5,35には、このようなトラクション力に対抗し得る
だけの油圧が供給されているのではあるが、そのような
制御油圧で直接支えられているピストン部分113,1
14以外の部分で、該ピストン部分113,114より
ディスク21,22,31,32に近い位置に配置され
ているロッド27,37や、トラニオン本体25,3
5、あるいはこれらの接続部分、ないしはローラ支持シ
ャフト24,24、さらには該シャフト24,24とト
ラニオン25,35との連結部分等が、上記矢印d方向
のトラクション力によって引きずられるように撓んだ
り、歪んだりして物理的変形を生じ、その結果、パワー
ローラ23,33が各ディスク21,22,31,32
の回転方向の力を受けて、実トロイダルレシオがよりハ
イ側に小さくなるという挙動を示すのである。そして、
このような変速比の変動は、トルクが増大するほど著し
くなって、該変速比のフィードバック制御が困難なもの
となり、その制御ゲインを大きくすると、制御のハンテ
ィングが生じるのである。
【0109】そこで、入力トルクが大きく、変速比制御
が困難なものとなっている状況下では、制御ゲインKp
を小さくすることにより、変速比フィードバック制御の
ハンティングを防止することができ、逆に、入力トルク
が小さく、変速比制御が困難なものとなっていない状況
下では、制御ゲインKpを大きくすることにより、変速
比フィードバック制御の応答性を確保することができる
ことになる。
【0110】また、図9の符号ア、イで示すように、ト
ロイダルレシオがGNレシオRgnの近傍にある場合の
ように、トロイダルレシオの変化に伴い、ユニットレシ
オないしパワートレインのトルクが大きく変動するよう
な状況下では、制御ゲインKpを小さくすることによ
り、著しいトルク変動を防止することができ、逆に、図
9の符号ウで示すように、トロイダルレシオがモード切
換レシオRmtの近傍にある場合のように、トロイダル
レシオの変化に伴い、ユニットレシオないしパワートレ
インのトルクが大きく変動しないような状況下では、制
御ゲインKpを大きくすることにより、変速比フィード
バック制御の応答性を確保することができることにな
る。
【0111】さらに、ローモードLf,Lrの動力伝達
経路においてはトロイダルレシオの変化に伴うパワート
レインのトルク変動が大きく、ハイモードHの動力伝達
経路においてはそれが小さいから、ローモードLf,L
rの動力伝達経路が達成されている状況下では、制御ゲ
インKpを小さくすることにより、著しいトルク変動を
防止することができ、逆に、ハイモードHの動力伝達経
路が達成されている状況下では、制御ゲインKpを大き
くすることにより、変速比フィードバック制御の応答性
を確保することができることになる。
【0112】そして、後退レンジが選択されている状況
下では、制御ゲインKpを小さくすることにより、安定
性よくスムーズに車両を後進させることができ、逆に、
前進レンジが選択されている状況下では、制御ゲインK
pを大きくすることにより、応答性よくスピーディに車
両を前進させることができることになる。
【0113】一方、ステップS2でアイドルスイッチ3
05がON、OFFの切換直後であると判定された場合
や、ステップS3でタイマtimがゼロでないと判定さ
れた場合には、ステップS10に進んで、該タイマti
mが所定時間Ta以下か否かを判定する。
【0114】そして、以下の場合は、ステップS11
で、今回の制御サイクルでステップモータ251,25
2に出力する制御信号のパルス数ΔPを設定する。
【0115】ここで、このパルス数ΔPは、上記所定時
間Taが経過するまでの間にこのステップS11を経由
する制御サイクルを繰り返すことにより、結果的に、ス
テップモータ251,252に対し、全体として、予め
定められたパルス数P1を一定周波数f1で出力したこ
とになるような値に設定される。
【0116】そして、ステップS12で、上記タイマt
imを1だけ大きくしたのち、ステップS9で、このよ
うにして求められたパルス数ΔPの信号をステップモー
タ251,252に出力する。これにより、上記ステッ
プS11を経由する制御サイクルを繰り返すことによ
り、ユニットレシオRがフィードフォワード制御される
ことになる(図20における時刻t1とt2との間、及
び時刻T3とT4との間)。
【0117】そして、ステップS10で、タイマtim
が所定時間Taを超えたと判定された時点で、ステップ
S13に進み、該タイマtimをゼロにリセットしたの
ち、ステップS4に進んで、変速比のフィードバック制
御に切り換わる。
【0118】ここで、上記フィードフォワード制御のパ
ルス数ΔPは次のようにして設定される。
【0119】すなわち、前述したように、走行モードが
ローモードであって、アクセルペダルが踏込み状態(正
駆動状態)である場合は、エンジンからのトルクは無段
変速機構20,30の出力ディスク22,32から入力
されるのに対して、アクセルペダルが非踏込み状態(逆
駆動状態)である場合は、駆動輪側からのトルクは無段
変速機構20,30の入力ディスク21,31から入力
される。これとは逆に、走行モードがハイモードであっ
て、正駆動状態である場合は、エンジンからのトルクは
無段変速機構20,30の入力ディスク21,31から
入力されるのに対して、逆駆動状態である場合は、駆動
輪側からのトルクは無段変速機構20,30の出力ディ
スク22,32から入力される。つまり、正駆動状態と
逆駆動状態とでは、無段変速機構20,30を通過する
トルクの向きが逆になる。その結果、トラクション力も
相互に逆方向に働くことになり、その結果、実トロイダ
ルレシオの変動方向もまた逆になる。つまり、例えば、
正駆動状態でトロイダルレシオがよりハイ側に小さくな
るという挙動を示す場合は、アクセルペダルの踏込みが
解除され、アイドルスイッチがONとなって、逆駆動状
態となったときにはトロイダルレシオがよりロー側に大
きくなるという挙動を示すのである。
【0120】したがって、アイドルスイッチのON、O
FF切換時に、このトロイダルレシオの変動分を修正し
ないと、ユニットレシオが大きく変化して、著しいトル
ク変動が生じ、ドライブフィーリングが損なわれること
になる。そこで、そのトロイダルレシオの修正をフィー
ドフォワード制御で速やかに行なっているのである。
【0121】その場合、具体的には、図18に示すよう
に、アイドルスイッチのON、OFF切換えに伴って、
トルクがΔiだけ変動し、その結果、トロイダルレシオ
がΔjだけ変化するとすると、図19に示すように、そ
のΔjだけトロイダルレシオが逆に変化するようなパル
ス数ΔPが設定される。これにより、図20に鎖線カで
示すような正駆動と逆駆動との違いにより発生する著し
い変速比変動ないしトルク変動が抑制され、実線キで示
すような円滑な変速比制御が確保され、実現することに
なる。
【0122】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、無段変
速機構を備えたパワートレインの変速比フィードバック
制御を入力トルクや変速比、あるいは走行モードやレン
ジ等といった状況に応じた適正なものに改良することが
できるから、変速比のずれや変動の影響を考慮して、狙
い通りの変速制御が実現する。本発明は、車両用パワー
トレイン、特に無段変速機構を備えた車両用パワートレ
イン、さらにはトロイダル式無段変速機構を備えた車両
用パワートレインに好ましく適用可能である。
【0123】
【従来の技術】 【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係るトロイダル式無段
変速機の機械的構成を示す骨子図である。
【図2】 同変速機の要部の具体的構造を展開状態で示
す平面図である。
【図3】 図2のA−A線に沿う断面図である。
【図4】 同変速機の油圧制御の回路図である。
【図5】 図3のB方向からみた変速制御用三層弁の周
辺の部分断面図である。
【図6】 図3のC方向からみた変速制御機構周辺の部
分断面図である。
【図7】 パワートレイン全体の制御システムを示すブ
ロック図である。
【図8】 ステップモータのパルス数とトロイダルレシ
オとの関係を示す特性図である。
【図9】 ステップモーターのパルス数とユニットレシ
オとの関係を示す特性図である。
【図10】 変速比制御動作を示すフローチャートであ
る。
【図11】 同制御動作の一部を示すフローチャートで
ある。
【図12】 前進ローモードで用いられる変速線図であ
る。
【図13】 前進ハイモードで用いられる変速線図であ
る。
【図14】 後退ローモードで用いられる変速線図であ
る。
【図15】 上記制御動作で用いられる制御ゲインと入
力トルクとの関係を示すマップである。
【図16】 上記制御動作で用いられる制御ゲインと、
変速比、走行モード及びレンジとの関係を示すマップで
ある。
【図17】 上記制御動作で用いられる指数と、ステッ
プモータへ出力する制御信号のパルス数との関係を示す
マップである。
【図18】 上記制御動作で用いられるトルクの変化
と、それに伴うトロイダルレシオの変動との関係を示す
マップである。
【図19】 上記制御動作で用いられるトロイダルレシ
オの変動と、それを打ち消すためのパルス数との関係を
示すマップである。
【図20】 同制御動作のタイムチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン 10 パワートレイン 20,30 無段変速機構 50 遊星歯車機構(歯車機構) 60 ロークラッチ 70 ハイクラッチ 200 油圧制御回路 251,252 ステップモータ(変速比制御手段) 300 コントロールユニット(制御手段、ト
ルク検出手段、制御ゲイン変更手段) 301 車速センサ(走行状態検出手段) 303 スロットル開度センサ(走行状態検出
手段

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入出力ディスク間にパワーローラが介設
    されたトロイダル式無段変速機構を備え、車両の走行状
    態を検出する走行状態検出手段と、該検出手段の検出結
    果に基づいて目標変速比を設定する目標変速比設定手段
    と、該設定手段で設定された目標変速比が実現するよう
    に上記入出力ディスクに対するパワーローラの傾転角を
    フィードバック制御する変速比制御手段とを有するパワ
    ートレインの制御装置であって、トルクを検出するトル
    ク検出手段と、該検出手段で検出されたトルクに応じて
    上記変速比制御手段によるフィードバック制御の制御ゲ
    インを変更する制御ゲイン変更手段とが設けられている
    ことを特徴とするパワートレインの制御装置。
  2. 【請求項2】 無段変速機構の変速比を検出する変速比
    検出手段が備えられ、制御ゲイン変更手段は、トルク検
    出手段で検出されたトルクと、この変速比検出手段で検
    出された変速比とに応じて制御ゲインを変更することを
    特徴とする請求項1に記載のパワートレインの制御装
    置。
  3. 【請求項3】 歯車機構が備えられ、無段変速機構とこ
    の歯車機構とを経由する第1の動力伝達経路と、無段変
    速機構のみを経由する第2の動力伝達経路とが設けられ
    ていると共に、走行状態検出手段の検出結果に基づいて
    これらの経路を選択的に達成する経路達成手段が備えら
    れて、制御ゲイン変更手段は、トルク検出手段で検出さ
    れたトルクと、この経路達成手段により達成されている
    動力伝達経路の種類とに応じて制御ゲインを変更するこ
    とを特徴とする請求項1に記載のパワートレインの制御
    装置。
  4. 【請求項4】 レンジを検出するレンジ検出手段が備え
    られ、制御ゲイン変更手段は、トルク検出手段で検出さ
    れたトルクと、このレンジ検出手段で検出されたレンジ
    とに応じて制御ゲインを変更することを特徴とする請求
    項1に記載のパワートレインの制御装置。
  5. 【請求項5】 入出力ディスク間にパワーローラが介設
    されたトロイダル式無段変速機構を備え、車両の走行状
    態を検出する走行状態検出手段と、該検出手段の検出結
    果に基づいて目標変速比を設定する目標変速比設定手段
    と、該設定手段で設定された目標変速比が実現するよう
    に上記入出力ディスクに対するパワーローラの傾転角を
    フィードバック制御する変速比制御手段とを有するパワ
    ートレインの制御装置であって、無段変速機構の変速比
    を検出する変速比検出手段と、該検出手段で検出された
    変速比に応じて上記変速比制御手段によるフィードバッ
    ク制御の制御ゲインを変更する制御ゲイン変更手段とが
    設けられていることを特徴とするパワートレインの制御
    装置。
  6. 【請求項6】 入出力ディスク間にパワーローラが介設
    されたトロイダル式無段変速機構と歯車機構とを備え、
    これらの両機構を経由する第1の動力伝達経路と、無段
    変速機構のみを経由する第2の動力伝達経路とが設けら
    れていると共に、車両の走行状態を検出する走行状態検
    出手段と、該検出手段の検出結果に基づいて目標変速比
    を設定する目標変速比設定手段と、該設定手段で設定さ
    れた目標変速比が実現するように上記入出力ディスクに
    対するパワーローラの傾転角をフィードバック制御する
    変速比制御手段とを有するパワートレインの制御装置で
    あって、走行状態検出手段の検出結果に基づいて第1、
    第2の動力伝達経路を選択的に達成する経路達成手段
    と、該達成手段により達成されている動力伝達経路の種
    類に応じて上記変速比制御手段によるフィードバック制
    御の制御ゲインを変更する制御ゲイン変更手段とが設け
    られていることを特徴とするパワートレインの制御装
    置。
  7. 【請求項7】 入出力ディスク間にパワーローラが介設
    されたトロイダル式無段変速機構を備え、車両の走行状
    態を検出する走行状態検出手段と、該検出手段の検出結
    果に基づいて目標変速比を設定する目標変速比設定手段
    と、該設定手段で設定された目標変速比が実現するよう
    に上記入出力ディスクに対するパワーローラの傾転角を
    フィードバック制御する変速比制御手段とを有するパワ
    ートレインの制御装置であって、レンジを検出するレン
    ジ検出手段と、該検出手段で検出されたレンジに応じて
    上記変速比制御手段によるフィードバック制御の制御ゲ
    インを変更する制御ゲイン変更手段とが設けられている
    ことを特徴とするパワートレインの制御装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009228866A (ja) * 2008-03-25 2009-10-08 Jtekt Corp 車両の駆動制御装置

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