JP2000179623A - ダンパ装置 - Google Patents
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Abstract
クランク軸に装着されて、同クランク軸の捩り振動を効
果的に低減し得る小型軽量で、耐久性及び信頼性が優れ
たダンパ装置を提供する。 【解決手段】 クランク軸に装着されるダンパ装置を、
環状中空室を備えたケーシングと、同ケーシング内に小
間隙を存して収蔵されたリング状の慣性体と、上記小間
隙内に充填封入されたシリコンオイル等の高粘度液体と
を有するビスカスダンパとし、同ビスカスダンパに封入
される高粘度液体を、動的せん断弾性係数G′=0.1
6〜0.2kgf/cm2、動的粘性係数μ′=1.5
〜1.9×10−4kgs/cm2の液体、好ましくは
30万cst±10%(at25℃)のシリコンオイル
とする。ダンパの捩り固有振動数fdとクランク軸系の
等価捩り固有振動数の比Λ=0.5〜0.8、ダンパの
慣性モーメントIdとクランク軸系の等価慣性モーメン
トとの比R=0.03〜0.1 、ダンパの減衰係数を
CdとしたときCd/(2Id×2πfe)で表わされ
る減衰比ζ=0.4〜0.7に設定する。
Description
ジン、特に4気筒ディーゼルエンジンのクランク軸に装
着されて捩り振動を低減するダンパ装置に関するもので
ある。
するダンパ装置として、クランク軸に同軸的に装着され
同クランク軸と一体に回転する環状中空室を備えたケー
シングと、同環状中空室内にその内壁面との間に小間隙
を存して収蔵された環状の慣性体とを有し、上記ケーシ
ングの内壁面と慣性体との間の間隙に高粘度液体(通常
は耐熱性が優れたシリコンオイルが使用されている)を
充填してなる所謂ビスカスダンパは従来公知である。
実公平7−17869号公報に、高粘度液体として、充
填時に50〜60万cst(at25℃)の粘弾性液を
使用すると共に、ダンパの捩り固有振動数fdとクラン
ク軸系の等価固有振動数feとの比Λを0.8〜1.1
に設定し、かつダンパの減衰係数をCdとしダンパの慣
性モーメントをIdとしたとき、Cd/(2Id×2π
fe)で表わされる減衰比ζを0.3〜0.45に設定
したダンパ装置(以下、場合により既提案のダンパ装置
という)が開示されている。
は、軸線方向の寸度が大きく、捩り振動が発生し易い直
列多気筒エンジン、特に起振トルクが大きい直列6気筒
ディーゼルエンジンの捩り振動を低減し、エンジン騒音
の低減を図ると共に、クランク軸の捩り振動に基づく早
期破損を防止することを、主たる目的として提案された
ものであり、軸線方向の長さが直列6気筒エンジンに較
べて短く、かつ小型軽量の4気筒エンジン用のクランク
軸には、適合しない。
性モーメントIdとクランク軸系の等価慣性モーメント
Ieとの比R=Id/Ieが通常0.2以上で、慣性体
の質量がクランク軸に対し相対的に大きく、短小かつ軽
量な4気筒エンジン用クランク軸に対しては過大である
ため、4気筒エンジンのクランク軸に適用した場合、捩
り振動の制振効果が不十分であり、かつダンパ振幅即ち
ダンパケーシングに対する慣性体の相対回転変位が大き
く、耐久性及び信頼性が劣る不具合があり、さらにダン
パ装置全体が大型化するので、取付スペースの確保が難
しく、重量が増大する欠点がある。
鑑み創案されたもので、多気筒エンジン、特に4気筒デ
ィーゼルエンジンのクランク軸に装着されて、同クラン
ク軸の捩り振動を効果的に低減してエンジンの運転騒音
を低減することができ、しかも小型でクランク軸への取
付けが容易であり、かつ軽量で、耐久性及び信頼性が優
れたダンパ装置を提供することを、主たる目的とするも
のである。
め、本発明は、クランク軸に同軸的に装着され同クラン
ク軸と一体に回転する環状中空室を備えたケーシング
と、上記環状中空室内にその内側面との間に小間隙を存
して収蔵された環状の慣性体とを有し、上記ケーシング
の内側面と慣性体との間の間隙に高粘度液体を充填して
なるダンパにおいて、上記高粘度液体が、動的せん断弾
性係数G′=0.16〜0.2Kgf/cm2、動的粘
性係数μ′=1.5〜1.9×10−4kgs/cm2
の液体であり、かつ上記ダンパの捩り固有振動数fdと
クランク軸系の等価捩り固有振動数feの比Λ=fd/
fe、ダンパの慣性モーメントIdとクランク軸系の等
価慣性モーメントIeとの比R=Id/Ie、及びダン
パの減衰係数をCdとしたときCd/(2Id×2πf
e)で表わされる減衰比ζが、夫々Λ=0.5〜0.
8、R=0.03〜0.1 、ζ=0.4〜0.7に設
定されたことを特徴とするダンパ装置を提案するもので
ある。
G′及び動的粘性係数μ′を有する高粘度液体、好まし
くは、30万cst±10%の粘度を有するシリコンオ
イルを使用すること、及びダンパの捩り固有振動数fd
とクランク軸系の等価捩り固有振動数feとの比Λ、ダ
ンパの慣性モーメントIdとクランク軸系の等価慣性モ
ーメントIeとの比R、ダンパの減衰比ζを夫々上記範
囲に設定することによって、小型軽量で4気筒エンジン
のクランク軸への装着が容易であり、同クランク軸の捩
り振動を効果的に低減することができ、しかも耐久性及
び信頼性が優れたダンパ装置を提供することができる。
が4気筒エンジンのクランク軸であり、上記ケーシング
が同クランク軸のウエブに同軸的に形成された円筒状取
付部に外嵌され、上記中空室内に粘度30万cst±1
0%(at25℃)のシリコンオイルが充填されること
が好ましい。上記のように、ダンパ装置のケーシング
を、4気筒エンジンのクランク軸のウエブに設けられた
円筒状取付部に外嵌することにより、ダンパ装置をエン
ジンのクランクケース内に収容することができるので、
取付スペース上の問題を解決することができ、また上記
粘度のシリコンオイルを高粘度液体として使用すること
により、十分な振動低減効果及び耐久性を確保すること
ができる。
を、図1ないし図3を参照して具体的に説明する。図1
は車両用4気筒エンジンのクランク軸10の側面図であ
る。クランク軸10は、軸線方向に間隔を存して配置さ
れた5個のクランクジャーナル12と、隣接するクラン
クジャーナル12間に配設された4個のクランクピン1
4と、各クランクピン14の両側に配置されクランクピ
ン14とクランクジャーナル12とを連結するクランク
ウエブ16及び適宜のクランクウエブ16に一体的に形
成されたバランスウエイト18とを備えている。
記クランクジャーナル12及びクランクピン14の外周
摺動面にオイルを供給するための油路20及び22が形
成され(図1ではその一部のみが示されている)ると共
に、前端にはカムシャフトや燃料噴射ポンプ等の補機類
を駆動するタイミングギヤトレーンを駆動するクランク
ギヤ24が固着され、また同クランク軸10の後端には
フライホイール26が装着されている。
ンクピン14と最前端のクランクジャーナル12とを連
結するクランクウエブ16には、クランク軸線に対し同
軸的に円筒状取付部28が形成され、同円筒状取付部2
8には、総括的に符号30で示したビスカスダンパ(以
下、場合により単にダンパと略称する)が外嵌され圧接
固着されている。
細に示されているように、略コ字状の断面形状を有し、
好ましくはアルミニウム合金鍛造品で作られた環状ケー
シング本体32と、同環状ケーシング本体32のクラン
クウエブ16に対向した環状開口端即ち後方に向って開
いた開口端34に、かしめ或いは溶接により固着されて
同開口端を液密に密閉する好ましくはアルミニウム合金
鍛造品で作られた環状カバー36とからなるケーシング
38を備えている。同ケーシング38の内部に、上記環
状ケーシング本体32及び環状カバー36により環状の
中空室40が形成され、同中空室40内に、小間隙を存
して環状をなす慣性体42が収蔵されている。
との間の間隙内には、高粘度液体、例えばシリコンオイ
ルが封入されている。なお、上記中空室40内には、上
記慣性体42が直接環状ケーシング本体32の内側面及
び環状カバー36の内側面に当接することを防止する樹
脂材料製のスペーサ兼ベアリングパッド又はシート44
が配設されている。また、上記環状ケーシング本体32
の内周面において、環状カバー36を取付ける側に隣接
する部分に円環状の段差部46が形成されている。
円筒状取付部28に外嵌し圧入することによってクラン
ク軸10に対し簡単かつ容易に固着されるが、このとき
環状ケーシング本体32の内周面において環状カバー3
6側に隣接する部分に円環状の段差部46が設けられて
いるので、同段差部46と円筒状取付部28との間に円
環状の隙間48が形成され、圧入時に、環状カバー36
の取付部分に圧入力が作用することがない。
密性を損なうような変形や細隙等が発生することがな
く、中空室40内に封入されたシリコンオイルが漏出し
て、ダンパ30が破損し又は制振機能の低減を招くよう
な不具合がなく、ダンパ30の制振効果を十分に発揮さ
せることができると共に、耐久性及び信頼性を確保する
ことができる。また、ダンパ30が、クランク軸10の
クランクウエブ16に形成された円筒状取付部28に生
産性良く直接装着されるので、従来のクランク軸のよう
に、ダンパ30を取付けるための特別の部材、例えばク
ランクプーリや取付用フランジを設ける必要がないの
で、クランク軸10の全長、従ってエンジン自体の全長
を短縮し、軽量化を達成すると共に、製造コストを低減
し得る構造上の利点がある。
たエンジンの運転中、クランク軸10に捩り振動が発生
すると、ケーシング38内部の中空室40内に収蔵され
た慣性体42が、封入されたシリコンオイルの剪断変形
を伴いながら上記ケーシング38に対し相対回転するこ
とにより、捩り振動が低減される。このときシリコンオ
イルに吸収された振動エネルギは熱エネルギに変換さ
れ、シリコンオイルの発熱は、ケーシング38に伝達さ
れて大部分はその表面から外気に放散される。従って、
上記中空室40内に封入されたシリコンオイルの温度上
昇を抑制してその耐久性を確保するためには、シリコン
オイルの捩り振動抑制機能及び耐熱性に関する特性が重
要である。
隙内に封入されたシリコンオイルの粘度低下率を縦軸に
とり、横軸に耐久時間をとって種々のシリコンオイルの
耐久性能を示した線図である。図中点線の曲線S1は、
10万cst(at25℃)のシリコンオイル、実線の
曲線S2は30万cst(at25℃)のシリコンオイ
ル、一点鎖線の曲線S3は60万cst(at25℃)
のシリコンオイルを示し、これらの曲線S1〜S3は、
シリコンオイルのダンパ稼働時に実際に遭遇する或る一
定温度、例えば130℃における粘度低下率と稼働時間
との関係を示したものである。
の粘度が10万〜30万cst(at25℃)では、耐
久時間が長くなっても粘度の低下率が小さくシリコンオ
イルの粘度が60万cst(at25℃)のものは、耐
久時間が長くなると、相対的に粘度低下率が大きくな
り、従って、ダンパ30の捩り振動低減効果の劣化が早
いことが、明らかである。
シリコンオイルの粘度と、ダンパ表面温度上昇量ΔT
(環状ケーシング本体32及び環状カバー36の平均温
度上昇量)との関係を示したものである。図示のよう
に、粘度が10万cst(at25℃)のシリコンオイ
ルの温度上昇量が最も大きく、30cst(at25
℃)付近の温度上昇量が最も小さく、60万cst(a
t25℃)のシリコンオイルでは温度上昇量が再び上昇
傾向を示す。従って、上記ダンパ30に封入されるシリ
コンオイルとしては、30万cst±10%(at25
℃)の粘度のものが最適である。
オイルの捩り振動低減機能に大きな影響を及ぼす動的せ
ん断弾性係数G′及び動的粘性係数μ′とシリコンオイ
ルの温度との関係を調べた結果が、図6及び図7に示さ
れている。上記図4と同じく、点線の曲線S1は10万
cst(at25℃)のシリコンオイル、実線の曲線S
2は30万cst(at25℃)のシリコンオイル、一
点鎖線の曲線S3は60万cst(at25℃)のシリ
コンオイルを夫々示す。
パ30の稼働時におけるシリコンオイル温度40〜14
0℃の全領域において、30cst(at25℃)のシ
リコンオイルが最も安定した特性を示し、高粘度液体の
物性として、動的せん断弾性係数G′=0.16〜0.
2kgf/cm2、動的粘性係数μ′=1.5〜1.9
×10−4kgs/cm2が有利な数値範囲であること
が認められた。
軸10において、ダンパ30の慣性モーメントIdと、
上記ケーシング38を含むクランク軸系の等価慣性モー
メントIeとの比Rは、R=Id/Ie=0.03〜
0.1 に設定される。図8は、縦軸にクランク軸10
及びダンパ30の捩り振幅(ダンパ30では、そのケー
シング38に対する慣性体42の相対捩り振幅)及びダ
ンパ30の重量Wをとり、横軸に慣性モーメント比Rを
とって、慣性モーメントの変化に対する捩り振幅の変化
の態様を示すと共に、ダンパ30の重量Wの変化の態様
を示した線図である。
に、クランク軸10の捩り振幅は、慣性モーメント比R
が0.03未満で急増し、0.03以上0.1 以下の
範囲では漸減するが、0.1 を超えると略一定とな
り、ダンパ30の重量Wのみが増大する。一方、図中に
点線の曲線θdで示されているように、ダンパ30の相
対捩り振幅は、慣性モーメント比Rが0.03未満では
急増し、0.3以上0.1 以下の範囲では漸減する
が、0.1 を超えると振幅の減少は僅かであって、略
サチュレートし、ダンパ30の重量Wのみが増大する。
を確保すると共に、特にダンパ30の耐久性を確保し、
かつ軽量化を図るために、ダンパ30の慣性モーメント
とクランク軸系の等価慣性モーメントとの比Rは、R=
0.03〜0.1 に設定することが有利である。
ランク軸の捩り振動低減を目的として提案された前記既
提案のダンパ装置では、上記慣性モーメント比Rが0.
2以上であるのに較べて、図示の構成では、慣性モーメ
ント比Rが、0.03〜0.1 で極めて小さく、従っ
てクランク軸10の質量に対しダンパ30内の慣性体4
2の質量が、相対的に著しく小さく、ダンパ30それ自
体も勿論小型軽量となるので、図1に示されているよう
に、クランク軸10のウエブ16への装着が可能とな
る。
軸10において、ダンパ30の捩り固有振動数fdと、
上記ケーシング38を含むクランク軸系の等価捩り固有
振動数feとの比Λは、Λ=fd/fe=0.5〜0.
8に設定されている。図9は、縦軸にクランク軸10の
捩り振幅θcをとり、横軸に周波数をとって、ダンパ3
0の捩り固有振動数fdとクランク軸系の等価捩り固有
振動数feの比Λを種々変化させた場合のI節及びII
節のクランク軸捩り振幅と振動周波数との関係を示した
ものである。
0.5(実線の曲線で示す)のとき、最も小さく、Λが
0.65(点線の曲線で示す)から0.8(一点鎖線の
曲線で示す)に増大するに伴れてピーク値が次第に増加
し、かつ高周波数側に移動する。しかしながら、図中に
比較のために示されたビスカスダンパ30を具備しない
クランク軸10の捩り振動の唯一個のピーク値と較べて
格段に低く、ビスカスダンパ30を装着することによっ
て、振動の振幅がダンパ無しの振幅曲線の両側のI節及
びII節に分散され、かつピーク値が30〜60%減少
する。
にダンパ30の相対振幅θdをとって、上記捩り固有振
動数比Λを種々変化させた場合のI節及びII節の振動
のピークと、振動周波数との関係を示したものである。
図示のように、捩り固有振動数比Λが0.5(実線の曲
線で示す)から0.65(点線の曲線で示す)、さらに
0.8(一点鎖線の曲線で示す)に増大するに従い、I
節振動の相対振幅のピーク値が増大し、かつピーク値が
高周波数側に移動する。また、II節振動のピーク値
は、Λが0.5から0.65、さらに0.8に増大する
に伴れて、高周波数側に移動する。ピーク振幅の大きさ
はI、II節振動を通じ全体として小さく、従って、ダ
ンパ30の耐久性に悪影響を及ぼす恐れがない。
動数比Λをとり、縦軸にクランク軸10及びダンパ30
の捩り振幅をとって、Λを種々変化させた場合のI節及
びII節振動のピーク値の変化を示したものであり、ク
ランク軸捩り振幅θc及びダンパ相対振幅θdの夫々に
おいて、I節振動のピーク値を実線で、II節振動のピ
ーク値を点線で示している。
は、ダンパ相対振幅θd及びクランク軸捩り振幅θcの
双方とも、II節振動のピーク値が急激に増大すると共
に、Λが0.8を超える領域では、ダンパ相対振幅θd
及びクランク軸捩り振幅θcの双方が増大するが、特に
後者の増大が著しい。従って、Λ=0.5〜0.8に設
定することによって、クランク軸10の捩り振動に対す
る耐久性を確保することができると共に、ダンパ30の
耐久性を確保することができる。
Cdとしたとき、Cd/(2Id×2πfe)で表わさ
れる減衰比ζを横軸にとり、縦軸にダンパ相対振幅θd
をとって、種々の減衰比ζに対するダンパ相対振幅の変
化を調べたものである。図示のように、ζが0.4未満
の領域では、ダンパ相対振幅θdが急増するので、耐久
性が劣る不具合があり、またζが0.7を超える領域で
はダンパ相対振幅θdの低減が略サチュレートして、一
層の低減が得られず、減衰比ζの増大による発熱のみが
増加するので、好ましくない。従って、減衰比ζ=0.
4〜0.7に設定することが有利である。
幅θcをとり、横軸に周波数比λをとって、上記ダンパ
30の減衰比ζ及び捩り固有振動数比Λをパラメータと
して、クランク軸捩り振幅と周波数比との関係を示した
ものである。なお、図中の点Pはダンパ30の減衰比ζ
=0、即ち減衰係数Cdが零の点であって、ダンパ30
を装着していないクランク軸系の捩り振幅のピークと一
致し、また点Qは、ダンパ30の減衰比ζが無限大、即
ちダンパ30の慣性体42がクランク軸系と一体化して
いる状態を示す。
にクランク軸系の捩り振動のピークがI節及びII節の
二つの振動ピークに分割され、I、II節の振動のピー
クが周波数比λ=λQ(λQは上記Q点における周波数
比を示す)を境界線として左右に分離される。本発明に
係るダンパ装置付クランク軸は、上記理由に基づき固有
振動数比Λ=0.5〜0.8、減衰比ζ=0.4〜0.
7に設定されるので、図中に斜線を施した領域Zに含ま
れる。領域Zに含まれるダンパ30を装着したクランク
軸10の捩り振幅θcは、ダンパ無しのクランク軸の捩
り振幅P又はビスカスダンパ30の慣性体がクランク軸
系と一体化した場合のクランク軸の捩り振幅Qより十分
小さく、前述したように、ダンパ無しの場合の振幅θc
より30〜60%低減される。
直列6気筒ディーゼルエンジンに較べて、本発明の主た
る適用対象である4気筒エンジンのクランク軸10の捩
り振動は、それ自体本質的に小さいので、上記図13の
領域Zに含まれる程度のクランク軸捩り振幅θcの低減
(ダンパ無しのクランク軸に較べ)によって、エンジン
の運転騒音を極めて効果的に低減することができる利点
がある。
慣性モーメントとクランク軸系の等価慣性モーメントの
比Rを、既提案のダンパ装置に較べ著しく小さく設定す
ることにより、ダンパ30の小型軽量化が達成され、ク
ランク軸10への装着が容易となり、装着スペース上の
困難がなく、さらに高粘度液体として、動的せん断弾性
係数G′=0.16〜0.2kgf/cm2、動的粘性
係数μ′=1.5〜1.9×10−4kgs/cm2の
液体、従って通常使用されるシリコンオイルの場合、3
0万cst±10%(at25℃)のものを使用するこ
とによって、温度劣化が少なく長期間にわたり安定した
捩り振動低減効果を確保し得る利点がある。
は、クランク軸に同軸的に装着され同クランク軸と一体
に回転する環状中空室を備えたケーシングと、上記環状
中空室内にその内側面との間に小間隙を存して収蔵され
た環状の慣性体とを有し、上記ケーシングの内側面と慣
性体との間の間隙に高粘度液体を充填してなるダンパに
おいて、上記高粘度液体が、動的せん断弾性係数G′=
0.16〜0.2kgf/cm2、動的粘性係数μ′=
1.5〜1.9×10−4kgs/cm2の液体であ
り、かつ上記ダンパの捩り固有振動数fdとクランク軸
系の等価捩り固有振動数fcの比Λ=fd/fe、ダン
パの慣性モーメントIdとクランク軸系の等価慣性モー
メントIeとの比R=Id/Ie、及びダンパの減衰係
数をCdとしたときCd/(2Id×2πfe)で表わ
される減衰比ζが、夫々Λ=0.5〜0.8、R=0.
03〜0.1 、ζ=0.4〜0.7に設定されたこと
を特徴とし、小型軽量であって、多気筒エンジン、特に
4気筒ディーゼルエンジンのクランク軸への装着が容易
であり、かつクランク軸系の捩り振動を効果的に低減す
ることができ、ひいてはエンジン騒音の低減を図ること
ができる耐久性及び信頼性が優れたダンパ装置を提供し
得る利点がある。また、本発明において、上記クランク
軸が4気筒エンジンのクランク軸であり、上記ケーシン
グが同クランク軸のウエブに同軸的に形成された円筒状
取付部に外嵌され、上記中空室内に粘度30万cst±
10%(at25℃)のシリコンオイルが充填されてい
ることにより、4気筒エンジンのクランク軸のウエブに
直接ダンパを装着してエンジンの内部に収容することが
でき、かつ長期間にわたり優れた捩り振動低減効果を確
保することができるので、エンジンの車両への搭載性を
向上し得ると共に運転騒音を低減し得る利点がある。
装着した4気筒ディーゼルエンジンのクランク軸におい
て一部を断面で示した側面図である。
示した要部断面図である。
断面図である。
コンオイルを使用した場合の粘度低下率と耐久時間との
関係を示した線図である。
リコンオイル粘度との関係を示した線図である。
係数とシリコンオイル温度との関係を示した線図であ
る。
シリコンオイル温度との関係を示した線図である。
ーメント比と捩り振幅及びダンパ重量との関係を示した
線図である。
有振動数比とクランク軸振幅との関係を示した線図であ
る。
固有振動数比とダンパ相対振幅との関係を示した線図で
ある。
固有振動数比とクランク軸及びダンパ相対振幅との関係
を示した線図である。
対振幅との関係を示した線図である。
るクランク軸捩り振幅と周波数比との関係を、捩り固有
振動数比及び減衰比をパラメータとして示した特性図で
ある。
クランクピン、16…クランクウエブ、24…クランク
ギヤ、26…フライホイール、28…円筒状取付部、3
0…ビスカスダンパ、32…環状ケーシング本体、36
…環状カバー、38…ケーシング、40…中空室、42
…慣性体。
Claims (2)
- 【請求項1】 クランク軸に同軸的に装着され同クラン
ク軸と一体に回転する環状中空室を備えたケーシング
と、上記環状中空室内にその内周面との間に小間隙を存
して収蔵された環状の慣性体とを有し、上記ケーシング
の内側面と慣性体との間の間隙に高粘度液体を充填して
なるダンパにおいて、上記高粘度液体が、動的せん断弾
性係数G′=0.16〜0.2Kgf/cm2、動的粘
性係数μ′=1.5〜1.9×10−4kgs/cm2
の液体であり、かつ上記ダンパの捩り固有振動数fdと
クランク軸系の等価捩り固有振動数feの比Λ=fd/
fe、ダンパの慣性モーメントIdとクランク軸系の等
価慣性モーメントIeとの比R=Id/Ie、及びダン
パの減衰係数をCdとしたときCd/(2Id×2πf
e)で表わされる減衰比ζが、夫々Λ=0.5〜0.
8、R=0.03〜0.1 、ζ=0.4〜0.7に設
定されたことを特徴とするダンパ装置。 - 【請求項2】 上記クランク軸が4気筒エンジンのクラ
ンク軸であり、上記ケーシングが同クランク軸のウエブ
に同軸的に形成された円筒状取付部に外嵌され、上記中
空室内に粘度30万cst±10%(at25℃)のシ
リコンオイルが充填されていることを特徴とする請求項
1記載のダンパ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP37798098A JP2000179623A (ja) | 1998-12-16 | 1998-12-16 | ダンパ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP37798098A JP2000179623A (ja) | 1998-12-16 | 1998-12-16 | ダンパ装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2000179623A true JP2000179623A (ja) | 2000-06-27 |
Family
ID=18509300
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP37798098A Pending JP2000179623A (ja) | 1998-12-16 | 1998-12-16 | ダンパ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000179623A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104019175A (zh) * | 2014-05-28 | 2014-09-03 | 东风商用车有限公司 | 一种硅油扭振减振器 |
CN105889409A (zh) * | 2016-05-10 | 2016-08-24 | 武汉理工大学 | 船舶柴油机双反馈硅油减振系统 |
-
1998
- 1998-12-16 JP JP37798098A patent/JP2000179623A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104019175A (zh) * | 2014-05-28 | 2014-09-03 | 东风商用车有限公司 | 一种硅油扭振减振器 |
CN104019175B (zh) * | 2014-05-28 | 2017-01-04 | 东风商用车有限公司 | 一种硅油扭振减振器 |
CN105889409A (zh) * | 2016-05-10 | 2016-08-24 | 武汉理工大学 | 船舶柴油机双反馈硅油减振系统 |
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