JP2000179565A - 等速自在継手 - Google Patents

等速自在継手

Info

Publication number
JP2000179565A
JP2000179565A JP36106298A JP36106298A JP2000179565A JP 2000179565 A JP2000179565 A JP 2000179565A JP 36106298 A JP36106298 A JP 36106298A JP 36106298 A JP36106298 A JP 36106298A JP 2000179565 A JP2000179565 A JP 2000179565A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
roller
peripheral surface
outer peripheral
velocity universal
universal joint
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP36106298A
Other languages
English (en)
Inventor
Kaga Shioda
佳雅 潮田
Katsuhiro Suzuki
勝博 鈴木
Kenji Terada
健二 寺田
Masaru Komatsu
優 小松
Shigeyoshi Ishiguro
重好 石黒
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp, NTN Toyo Bearing Co Ltd filed Critical NTN Corp
Priority to JP36106298A priority Critical patent/JP2000179565A/ja
Priority to FR9913578A priority patent/FR2785342B1/fr
Priority to US09/431,228 priority patent/US6322453B1/en
Priority to KR1019990048178A priority patent/KR20000035166A/ko
Publication of JP2000179565A publication Critical patent/JP2000179565A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Rolling Contact Bearings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 外側継手部材とトリポード部材とが作動角を
とりつつ回転トルクを伝達する際に発生する誘起スラス
トを一層軽減し、より振動の少ないトリポード型の等速
自在継手を提供する。 【解決手段】 内側ローラ3の外周面3bのPCR2を
外側ローラ4の外周面4bのPCR1よりも脚軸基端側
に所定量ΔHだけずらし、それによって外側ローラ4の
内周面4aと内側ローラ3の外周面3bとの接触位置S
がPCR1上に位置するようにしている。また、ローラ
案内面1a1と外側ローラ4の外周面4bとの間の案内
隙間11の大きさtを誘起スラストを効果的に低減しう
る値に最適設定している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車や各種産業
機械等の動力伝達装置に使用される等速自在継手に関
し、特にトリポード型等速自在継手に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】トリポード型等速自在継手として、例え
ば図8および図9に示す構造を有するものが知られてい
る。この等速自在継手は、内周部に軸方向の3本のトラ
ック溝22が形成され、各トラック溝22の両側にそれ
ぞれ軸方向のローラ案内面22aを有する外側継手部材
21と、半径方向に突出した3本の脚軸25を有し、各
脚軸25の円筒状外周面にそれぞれ針状ころ26を介し
てローラ20を回転自在に装着したトリポード部材24
とで構成される。トリポード部材24の各ローラ20
は、外側継手部材21のトラック溝22のローラ案内面
22aにそれぞれ適合収容される。各ローラ20が脚軸
25の軸心回りに回転しながらローラ案内面22a上を
転動することにより、外側継手部材21とトリポード部
材24との間の相対的な軸方向変位や角度変位が円滑に
案内されると同時に、外側継手部材21とトリポード部
材24とが所定の作動角を取りつつ回転トルクを伝達す
る際の、回転方向位相の変化に伴う、各脚軸25のロー
ラ案内面22aに対する軸方向変位が円滑に案内され
る。
【0003】ところが、実際には、図10および図11
に示すように、外側継手部材21とトリポード部材24
とが作動角θをとりつつ回転トルクを伝達する際、脚軸
25の傾きに伴って、各ローラ20とローラ案内面22
aとが互いに斜交した関係となり、各ローラ20の円滑
な転動が妨げられてしまう結果となる。すなわち、ロー
ラ20は図10に矢印aで示す方向(脚軸25の軸線回
り)に回転しようとするのに対し、ローラ案内面22a
は断面円弧状面でかつ外側継手部材21の軸線と平行に
延びているため、ローラ20はローラ案内面22a上を
こじるような状態で転動しながら軸方向移動することに
なる。そのため、ローラ20の外周面とローラ案内面2
2aとの接触部分に滑りが生じて摩擦抵抗(摺動抵抗)
が大きくなり、これが誘起スラストを増大させる一因と
なる。誘起スラストは継手部分の振動誘起原因となり、
例えば自動車の動力伝達装置では、継手部分の誘起スラ
ストが大きいと、これが動力伝達系路を経由して車体に
伝わり増幅されると共に、車体の振動と共振し、騒音を
増大させて、乗員に不快感を与えるという問題がある。
【0004】上記の事情から、ローラとローラ案内面と
の斜交状態を解消して、誘起スラストの低減を図るた
め、図12および図13に示す構成の等速自在継手が提
案され(特公平3−1529号公報等)、振動や騒音の
低減に寄与している。この等速自在継手は、トリポード
部材24の脚軸25に装着されるローラを外側ローラ2
3と内側ローラ27の2種のローラで構成し、外側ロー
ラ23と脚軸25(および内側ローラ27)との間の傾
斜を許容したものである(傾斜機構)。外側ローラ23
はローラ案内面22aと接触し、ローラ案内面22a上
を転動する。内側ローラ27は球面状外周面27bを有
し、外側ローラ23の円筒状内周面23aに嵌合され
る。内側ローラ27の内周面は、針状ころ26を介して
脚軸25の円筒状外周面に嵌合される。
【0005】図14に示すように、外側継手部材21と
トリポード部材24とが作動角θをとりつつ回転トルク
を伝達する際、脚軸25の傾きに伴って、内側ローラ2
7はローラ案内面22aに対して傾くが、外側ローラ2
3は脚軸25および内側ローラ27に対する傾きが許容
されているため、ローラ案内面22aに対する平行姿勢
を維持しつつ、ローラ案内面22a上を転動することが
できる。その結果、外側ローラ23の円滑な転動が確保
され、ローラ案内面22aとの摺動抵抗が低減し、誘起
スラストが抑制される。
【0006】上記のように、図12および図13に示す
等速自在継手では、それ以前のものに比べて誘起スラス
トが低減されているが、誘起スラストをさらに低減しよ
うとするには限界があった。その理由は、図12および
図13に示す等速自在継手では、外側ローラのローラ案
内面に対する平行姿勢が傾斜機構によってある程度維持
されるものの、外側ローラと内側ローラとの接触部分の
摩擦力の影響や、外側ローラと内側ローラとの接触部
分、および、外側ローラとローラ案内面との接触部分に
作用する継手荷重のバランス、外側ローラの外周面とロ
ーラ案内面との間の案内隙間の存在等により、外側ロー
ラが外側継手部材の縦断面方向(外側継手部材の軸線を
含む断面方向)で若干傾き、あるいは、外側ローラが外
側継手部材の横断面方向(外側継手部材の軸線と直交す
る断面方向)で若干傾き、ローラ案内面に対する姿勢が
安定しないことにあると考えられる。
【0007】以上の事情に鑑み、本出願人は、誘起スラ
ストの一層の低減を図るため、図7に例示される構成の
等速自在継手を開発し既に出願している(特開平9−1
4280号)。同図において、トリポード部材2’の脚
軸2a’の外周に複数の針状ころ7’を介して内側ロー
ラ3’が回転自在に嵌合され、脚軸2a’の先端部に装
着された抜け止めリング8’(及び止め輪9’)と脚軸
2a’の基端部に装着されたワッシャ10’によって脚
軸2a’の軸線Z方向への移動が規制されている。実際
には、針状ころ7’および内側ローラ3’と、抜け止め
リング8’およびワッシャ10’との間には僅かなアキ
シャル隙間δ’がある(隙間δ’の大きさは実際よりも
かなり誇張して図示されている)。内側ローラ3’の内
周面3a’は円筒状面、外周面3b’は凸球状面であ
る。外周面3b’の母線は、内側ローラ3’の半径中心
O2’から所定量だけ外側にオフセットされた点O1’
を中心とする半径R1の円弧である。
【0008】外側ローラ4’は、内側ローラ3’の外周
面3b’に回転自在に嵌合される。同図に示す例では、
外側ローラ4’の内周面4a’は脚軸2a’の先端側に
向かって縮径した円錐状になっている。内周面4a’の
傾斜角α’(図4参照)は例えば0.1°〜3°程度の
僅かなものであるが、図面では傾斜の度合いがかなり誇
張されている。外周面4b’の母線は、点O3’を中心
とする半径R3の円弧である。外周面4b’は、外側継
手部材1’のローラ案内面1a’と2点p’、q’でア
ンギュラコンタクトする。外側ローラ4’の外周面4
b’の中心O3’を含み、脚軸2a’の軸線Zと直交す
る中心線L1と、内側ローラ3’の外周面3b’の中心
O1’を含み、脚軸2a’の軸線Zと直交する中心線L
1とは、設計上一致するようにしている。
【0009】図4に示すように、外側ローラ4’の内周
面4a’が脚軸先端側(同図で上側)に向かって漸次縮
径した円錐状になっているため、内側ローラ3’の外周
面3b’との接触位置S’に脚軸先端側に向いた負荷分
力Fが発生する。この負荷分力Fは、外側ローラ4’を
脚軸先端側に押し上げるように作用して、非負荷側のロ
ーラ案内面1a’におけるB部(図7a参照)の接触面
圧を低減する。また、接触位置S’には、負荷分力Fの
反力として脚軸基端側(同図で下側)に向いた力F’が
発生する。この反力F’は、内側ローラ3’を脚軸基端
側に押し下げるように作用して、内側ローラ3’および
針状ころ7’の脚軸2a’に対する軸方向移動を抑制す
る。その結果、図7(b)に示すように、内側ローラ
3’および針状ころ7’は常時下側のワッシャ10’に
押し付けられた状態になり、アキシャル隙間δ’に起因
する接触位置S’の変動が抑制される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】図7に例示される既出
願の等速自在継手は、非負荷側のローラ案内面1a’に
おけるB部の接触面圧低減と、接触位置S’の安定化と
が相俟って、誘起スラストの一層の低減に寄与するもの
であったが、多くの実験の過程で、誘起スラストが目標
値を超える試験品が散見された。その原因については未
だ明確には解明されていないが、次のように考えること
ができる。
【0011】すなわち、継手が作動角を取りつつ回転ト
ルクを伝達する際、脚軸2a’の回転方向の位相変化に
伴い、接触位置S’は作動角が0°の時の位置(図4に
示す位置)を基点として、そこから脚軸基端側(同図で
下側)および脚軸先端側(同図で上側)の所定領域内で
往復移動することになる(作動角0°の時の位置から脚
軸基端側への移動量の方が脚軸先端側への移動量よりも
大きい。)。しかしながら、上記構成の等速自在継手で
は、作動角が0°の時の接触位置S’が、外側ローラ
4’の外周面4b’の中心線L1(中心線L1はアンギ
ュラコンタクト点p’、q’間の2等分位置になる。)
よりも脚軸先端側(同図で上側)にΔH’だけずれてお
り(外側ローラ4’の内周面4a’が傾斜角α’をもっ
ているので、幾何学的な関係からそうなる。但し、傾斜
角α’はごく小さいので、ΔH’は実際には図示されて
いるような大きさではなく、微小なものである。)、し
かも接触位置S’に脚軸先端側に向いた負荷分力Fが作
用するので、継手回転時の継手荷重が相対的に脚軸先端
側の接触点p’に偏重して、接触点p’、q’間の荷重
バランスに変動が生じる。そして、接触点p’、q’間
の荷重バランスの変動によって外側ローラ4’に僅かな
傾き(ふらつき)が生じると考えられる。さらに、この
種の等速自在継手では、一般に、継手のバックラッシュ
を抑制するため、外側ローラの外周面とローラ案内面と
の間の案内隙間をできるだけ小さくしており、そのため
に、外側ローラ4’の僅かな傾きに対して、非負荷側の
ローラ案内面1a’と外側ローラ4’の外周面4a’と
が比較的強く接触し、その結果として、負荷側のローラ
案内面1a’における接触面圧も比較的高くなると考え
られる。
【0012】上記のように、外側ローラのローラ案内面
に対する傾きの程度と案内隙間の大きさとの兼ね合いに
よって、両者の接触部分の面圧が高くなり、摺動抵抗が
増大して、外側ローラの円滑な転動が妨げられ、これが
誘起スラストを増大させる要因になっていると考えられ
る。
【0013】そこで、本発明は、ローラ案内面と外側ロ
ーラの外周面との間の案内隙間を最適管理し、また、外
側ローラの傾きを抑制することにより、誘起スラストを
より一層効果的に低減し、それによってより低振動の等
速自在継手を提供しようとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、内周部に軸方向の3本のトラック溝が形
成され、各トラック溝の両側にそれぞれ軸方向のローラ
案内面を有する外側継手部材と、半径方向に突出した3
本の脚軸を有し、各脚軸にそれぞれローラを回転自在に
装着したトリポード部材とを備え、前記ローラがトラッ
ク溝のローラ案内面に案内される外周面を有する等速自
在継手において、トラック溝の両側のローラ案内面と前
記ローラの外周面との間の案内隙間を、誘起スラストを
低減しうる所定量に管理した。
【0015】前記ローラは、トラック溝のローラ案内面
に案内される外周面を有する外側ローラと、外側ローラ
の内周面と線接触する球面状の外周面を有する内側ロー
ラとで構成することができる。その場合、外側ローラの
内周面は、内側ローラの外周面との接触位置で脚軸先端
側に向いた負荷分力を発生させる形状になっているのが
好ましい。具体的には、外側ローラの内周面の形状とし
て、特開平9−14280号に示された種々の形状を採
用することができる。すなわち、外側ローラの内周面の
形状として、脚軸先端側に向かって漸次縮径した円錐
状、内側ローラの外周面の母線中心に対して脚軸基端側
にオフセットされた点を母線中心とする凹球面(特開平
9−14280号、第3図の形状)、内側ローラの外周
面の母線中心に対して脚軸先端側にオフセットされた点
を母線中心とする凸球面(特開平9−14280号、第
4図の形状)、脚軸先端側に向かって縮径した円錐テー
パ面と凸球面との合成面(特開平9−14280号、第
5図の形状)、円筒面と凸球面との合成面(特開平9−
14280号、第6図の形状)等、種々の形状を採用す
ることができる。但し、製造工程を簡略化できる観点か
ら、外側ローラの内周面は脚軸先端側に向かって漸次縮
径した円錐状とするのが好ましい。
【0016】内側ローラの外周面の母線半径を、この外
周面の最大半径より小さくしても良い。また、外側ロー
ラを、その外周面の中心を含み、脚軸の軸線と直交する
中心線に対して非対称とし、中心線から脚軸先端側部分
の幅が、中心線から脚軸基端側部分の幅より大きくなる
ようにしても良い(特開平9−14280号、第2図の
形状)。
【0017】外側ローラの外周面とローラ案内面とが、
2点でアンギュラコンタクトする構成とすることができ
る。
【0018】ローラ案内面と外側ローラの外周面との間
の案内隙間の大きさtは、0.080mm≦t≦0.1
10mmの範囲内としたときに好ましい結果が得られ
る。
【0019】また、作動角が0°の時の、外側ローラの
外周面の中心を含み、脚軸の軸線と直交する中心線と継
手中心との間の垂直距離(PCR1)と、内側ローラの
外周面の中心を含み、脚軸の軸線と直交する中心線と継
手中心との間の垂直距離(PCR2)との差Δh(=P
CR1−PCR2)は、−0.2mm≦Δh≦0.33
mmの範囲内、好ましくは−0.1mm≦Δh≦0.3
mm、より好ましくは−0.1mm≦Δh≦0.27m
mの範囲内のときに好ましい結果が得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
従って説明する。尚、図1および図3は、いずれも継手
の作動角が0°の時の状態を示している。
【0021】図1に示すように、この実施形態の等速自
在継手は、連結すべき二軸の一方に結合される外側継手
部材1と、他方に結合されるトリポード部材2とを備え
ている。外側継手部材1は概ねカップ状の外観をなし、
軸方向に延びる3本のトラック溝1aが内周部の円周等
配位置に形成されている。各トラック溝1aの両側に
は、それぞれローラ案内面1a1が設けられている。ト
リポード部材2は半径方向に突出した3本の脚軸2aを
円周等配位置に有する。各脚軸2aの円筒状の外周面に
は、複数の針状ころ7を介して内側ローラ3が回転自在
に嵌合され、さらにその外側に外側ローラ4が回転自在
に嵌合されている。
【0022】図1(b)に拡大して示すように、針状こ
ろ7および内側ローラ3は、それらの一端が脚軸2aの
先端部に装着された抜け止めリング8と止め輪9によっ
て係止され、他端が脚軸2aの基端部に装着されたワッ
シャ10によって係止され、脚軸2aの軸線Z方向への
移動が規制されている。実際には、針状ころ7および内
側ローラ3と、抜け止めリング8およびワッシャ10と
の間には僅かなアキシャル隙間δがある。図面では、ア
キシャル隙間δの大きさが実際よりもかなり誇張されて
いる。また、脚軸2aの外周面および内側ローラ3の内
周面3aと針状ころ7との間には僅かなラジアル隙間が
ある。内側ローラ3の内周面3aは円筒状面、外周面3
bは凸球状面である。この実施形態において、外周面3
bの母線は、内側ローラ3の半径中心O2から所定量だ
け外側にオフセットされた点O1を中心とする半径R1
の円弧である。半径R1は、外周面3bの最大半径R2
よりも小さい。
【0023】外側ローラ4は、内側ローラ3の外周面3
bに回転自在に嵌合される。この実施形態において、外
側ローラ4の内周面4aは脚軸2aの先端側に向かって
漸次縮径した円錐状で、内側ローラ3の外周面3bと線
接触する。これにより、外側ローラ4と内側ローラ3と
の間の相対的な傾き変位が許容される(傾斜機構)。内
周面4aの傾斜角α(図3参照)例えば0.1°〜3°
と僅かなものであり、この実施形態ではα=0.5°に
設定している。図面では、内周面4aの傾斜の度合いが
かなり誇張されている。外側ローラ4の外周面4bの母
線は、点O1よりもさらに外側にオフセットされた点O
3を中心とする半径R3の円弧である。
【0024】この実施形態において、外側継手部材1の
ローラ案内面1a1の断面形状は、2円弧状(ゴシック
アーチ状)になっている。そのため、ローラ案内面1a
1と外側ローラ4の外周面4bとは2点p、qでアンギ
ュラコンタクトする。アンギュラコンタクト点p、q
は、外側ローラ4の外周面4bの中心O3を含み、脚軸
2aの軸線Zと直交する中心線L1に対して、軸線Z方
向に等距離だけ反対側に離れた位置にある。尚、ローラ
案内面1a1の断面形状は、V字状または放物線状等で
も良い。
【0025】外側ローラ4の外周面4bの中心O3を含
み、脚軸2aの軸線Zと直交する中心線L1と継手中心
Oとの間の垂直距離(PCR1)と、内側ローラ3の外
周面3bの中心O1を含み、脚軸2aの軸線Zと直交す
る中心線L2と継手中心Oとの間の垂直距離(PCR
2)とは、ΔH(=PCR1−PCR2)だけずれてい
る。図1(b)に示す最適な状態では、PCR2がPC
R1よりも最適量ΔHだけ脚軸基端側(同図で下側)に
ずれ、外側ローラ4の内周面4aと内側ローラ3の外周
面3bとの接触位置Sが、外側ローラ4の外周面4bの
中心線L1上(PCR1上)に位置している。上記のΔ
Hの大きさは、図4に示すΔH’の大きさに対応するも
のである。
【0026】図2に示すように、ローラ案内面1a1と
外側ローラ4の外周面4bとの間には案内隙間11が設
けられている。案内隙間11の大きさはtである。案内
隙間11の大きさtは、誘起スラストを低減する観点か
ら最適設定される。尚、同図では、外側ローラ4が両側
のローラ案内面1a1間の中央に位置して、案内隙間1
1が外周面4bの両側にそれぞれt/2づつ配分された
状態になっているが、トルク伝達時は、外周面4bが負
荷側のローラ案内面1a1に接触して、非負荷側のロー
ラ案内面1a1と外周面4bとの間に大きさtの案内隙
間11ができる(外側ローラ4の傾きがない場合)。
【0027】外側ローラ4の内周面4aが脚軸先端側に
向かって漸次縮径した円錐状になっているため、図3に
示すように、内側ローラ3の外周面3bとの接触位置S
に脚軸先端側に向いた負荷分力Fが発生する。また、こ
の負荷分力Fの反力として、脚軸基端側に向いた力F’
が発生する。これら負荷分力F、反力F’の働きに関し
ては、図7に示す構成と変わるところがないので、重複
を避けるため説明を省略する。
【0028】この実施形態の特徴とするところは、内側
ローラ3の外周面3bのPCR2を外側ローラ4の外周
面4bのPCR1よりも脚軸基端側に所定量ΔHだけず
らし、それによって外側ローラ4の内周面4aと内側ロ
ーラ3の外周面3bとの接触位置SがPCR1上に位置
するようにした点、ローラ案内面1a1と外側ローラ4
の外周面4bとの間の案内隙間11の大きさtを誘起ス
ラストを効果的に低減しうる値に最適設定した点にあ
る。このような構成とすることにより、図7に示す構成
に比べ、誘起スラストの一層の低減を図ることができ
る。その理由は次のように考えることができる。
【0029】すなわち、この継手が作動角を取りつつ回
転トルクを伝達する際、脚軸2aの回転方向の位相変化
に伴い、接触位置Sは作動角が0°の時の位置(図3に
示すPCR1上の位置:アンギュラコンタクト点p、q
間の2等分位置になる。)を基点として、そこから脚軸
基端側(同図で下側)および脚軸先端側(同図で上側)
の所定領域内(作動角0°の時の位置から脚軸基端側へ
の移動量の方が脚軸先端側への移動量よりも大き
い。)、つまりアンギュラコンタクト点qに近い領域内
で往復移動することになるが、その接触位置Sのアンギ
ュラコンタクト点q側への移動による影響と、脚軸先端
側に向いた負荷分力Fによる影響とが相殺し合って、ア
ンギュラコンタクト点p、q間の荷重バランスが保た
れ、これにより外側ローラ4の傾き(ふらつき)が抑制
される。また、案内隙間11の大きさtが最適設定され
ているため、外側ローラ4に傾きがあった場合でも、非
負荷側のローラ案内面1a1が外周面4bに適度に軽く
接触して、外側ローラ4のそれ以上の傾きを抑制し、し
かもその際の接触面圧の上昇が最小限に抑制される。案
内隙間11が小さすぎると、外側ローラ4の僅かな傾き
に対して非負荷側のローラ案内面1a1と外周面4bと
が比較的強く接触して接触面圧が高くなり、逆に案内隙
間11が大きすぎると、外側ローラ4の傾きに対する自
由度が大きくなり、外側ローラ4とローラ案内面1a1
との斜行状態が助長される結果となる。このように、接
触位置Sの最適設定による外側ローラ4の傾き抑制効果
と、案内隙間11の最適設定による外側ローラ4の傾き
抑制効果および接触面圧の抑制効果とが相俟って、誘起
スラストがより低減されるものと考えられる。
【0030】以上のように、作動角0°の時の接触位置
Sを外側ローラ4の外周面4bのPCR1上に位置させ
ることによって、誘起スラストをより一層低減させるこ
とが可能であるが、各部品の寸法・形状には製造上の誤
差が不可避であり、全ての実製品について上記の最適構
成を得ることは不可能である。また、継手を組立てた状
態で接触位置Sを正確に検知することもできない。そこ
で、組立前の段階で、外側ローラ4の外周面4bのPC
R1、内側ローラ3の外周面3bのPCR2を測定し、
それらの相互差Δh(=PCR1−PCR2)を管理し
て、組立後の接触位置S(ΔH)を予測することとす
る。尚、PCR1のバラツキ要因としては、外側継手部
材1のローラ案内面1a1の寸法・形状の誤差、外側ロ
ーラ4の外周面4bの寸法・形状の誤差等が考えられ
る。また、PCR2のバラツキ要因としては、内側ロー
ラ3の外周面3bの寸法・形状の誤差、脚軸2aの端面
から継手中心Oまでの寸法誤差等が考えられる。
【0031】上記相互差Δh(=PCR1−PCR2)
を精度良く(例えば所定値に)管理することにより、実
製品を上記の最適構成に可及的に近づけることができ
る。その一方で、相互差Δhを高精度に管理することと
すると、部品の不良率が高まり、あるいは部品の高精度
な加工が必要となり、このことは製造コストの上昇につ
ながる。従って、相互差Δhの管理は、誘起スラストの
低減と製造コストとの兼ね合いに配慮して、最適な管理
幅で行うのが好ましい。この相互差Δhの最適な管理幅
を求めるために、実験を行った。実験は、図1に示す構
成の等速自在継手(傾斜角α=0.5°)について、相
互差Δhが異なる種々の試験継手を製作し、各試験継手
を所定の作動角、回転トルク、回転数の下で回転させ
て、誘起スラストを測定することにより行った。その結
果を図5にまとめて示す。尚、図5において、上方の点
線は誘起スラスト(3次成分)の最大値をプロットした
もの、下方の実線は誘起スラスト(3次成分)の最小値
をプロットしたものである。
【0032】図5に示すように、−0.2mm≦Δh≦
0.33mmの範囲で誘起スラストの低減効果が認めら
れ、特に−0.1mm≦Δh≦0.3mmの範囲、さら
に−0.1mm≦Δh≦0.27mmの範囲で誘起スラ
ストの顕著な低減効果が認められた。従って、Δhの管
理幅を、上記の範囲に設定することにより、実製品にお
いて誘起スラストの目標値をクリアーし、良好な低振動
特性を得ることができると同時に、製造コストも抑制す
ることができる。この実施形態では、Δhの管理幅をさ
らに狭めて、−0.05mm≦Δh≦0.15mmにし
ている。
【0033】案内隙間11の大きさtの最適範囲を求め
るために実験を行った。実験は、図1に示す構成の等速
自在継手(傾斜角α=0.5°)について、PCR相互
差Δhを71μmとし、案内隙間11の大きさtが異な
る種々の試験継手を製作し、各試験継手に作動角θ=6
°、8°、10°、12.5°を与えて、所定の回転ト
ルク、回転数の下でそれぞれ回転させて、誘起スラスト
を測定することにより行った。その結果を図6にまとめ
て示す。
【0034】図6に示す結果から、作動角θ=6°、8
°、10°、12.5°の何れを与えた場合でも、0.
08mm≦t≦0.110の範囲内で誘起スラストが低
減することが確認された。通常、乗用車では最大作動角
が9°程度であるが、発進時には重量の移動により最大
12°程度になることがある。従って、このような常用
作動角域では、0.08mm≦t≦0.110が案内隙
間の大きさの最適値と判断できる。
【0035】尚、案内隙間の大きさの最適設定に関する
本発明は、図8および図9に示す構成の等速自在継手、
図12および図13に示す構成の等速自在継手にも適用
でき、また、ローラの脚軸先端側の端面をローラ案内面
の肩面で案内する構成の等速自在継手にも適用できる。
すなわち、案内隙間の大きさの最適設定に関する本発明
は、脚軸に装着したローラの外周面をトラック溝のロー
ラ案内面に案内させる構成の等速自在継手に対して広く
適用可能であり、ローラの構成、形状、案内態様、脚軸
に対する装着態様等は例示されたものに限定されない。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
継手が作動角を取りつつ回転トルクを伝達する際の誘起
スラストをより一層効果的に低減することができる。従
って、本発明の等速自在継手は振動特性に優れ、これを
例えば自動車の動力伝達装置に用いることにより、車体
の振動・騒音の一層の低減に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係わる等速自在継手の横断
面図{図1(a)}、図1(a)の部分拡大断面図{図
1(b)}である。
【図2】ローラ案内面と外側ローラの外周面との間の案
内隙間を示す要部拡大断面図である。
【図3】実施形態の等速自在継手における外側ローラの
内周面と内側ローラの外周面との接触状態を模式的に示
す図である。
【図4】図7に示す等速自在継手における外側ローラの
内周面と内側ローラの外周面との接触状態を模式的に示
す図である。
【図5】Δhと誘起スラストとの関係を示す図である。
【図6】案内隙間と誘起スラストとの関係を示す図であ
る。
【図7】従来の等速自在継手の横断面図{図7
(a)}、図7(a)の部分拡大断面図{図7(b)}
である。
【図8】従来の他の等速自在継手の縦断面図である。
【図9】図8に示す等速自在継手の横断面図である。
【図10】図8及び図9に示す従来継手が作動角をとっ
た時の状態を示す縦断面図である。
【図11】図8及び図9に示す従来継手が作動角をとっ
た時のローラとローラ案内面の関係を示す斜視図であ
る。
【図12】従来の他の等速自在継手の縦断面図である。
【図13】図10に示す等速自在継手の横断面図であ
る。
【図14】図12及び図13に示す従来継手が作動角を
とった時の状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】 1 外側継手部材 1a トラック溝 1a1 ローラ案内面 2 トリポード部材 2a 脚軸 3 内側ローラ 3b 外周面 4 外側ローラ 4a 内周面 4b 外周面 t 案内隙間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 寺田 健二 静岡県磐田市東貝塚1578番地 エヌティエ ヌ株式会社内 (72)発明者 小松 優 静岡県磐田市東貝塚1578番地 エヌティエ ヌ株式会社内 (72)発明者 石黒 重好 静岡県磐田市東貝塚1578番地 エヌティエ ヌ株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内周部に軸方向の3本のトラック溝が形
    成され、各トラック溝の両側にそれぞれ軸方向のローラ
    案内面を有する外側継手部材と、半径方向に突出した3
    本の脚軸を有し、各脚軸にそれぞれローラを回転自在に
    装着したトリポード部材とを備え、前記ローラがトラッ
    ク溝のローラ案内面に案内される外周面を有する等速自
    在継手において、 前記トラック溝の両側のローラ案内面と前記ローラの外
    周面との間の案内隙間が、誘起スラストを低減しうる所
    定量に管理されていることを特徴とする等速自在継手。
  2. 【請求項2】 前記ローラが、トラック溝のローラ案内
    面に案内される外周面を有する外側ローラと、外側ロー
    ラの内周面と線接触する球面状の外周面を有する内側ロ
    ーラとで構成されている請求項1記載の等速自在継手。
  3. 【請求項3】 前記外側ローラの内周面が、内側ローラ
    の外周面との接触位置で脚軸先端側に向いた負荷分力を
    発生させる形状になっている請求項2記載の等速自在継
    手。
  4. 【請求項4】 前記外側ローラの内周面が、脚軸先端側
    に向かって漸次縮径した円錐状である請求項3記載の等
    速自在継手。
  5. 【請求項5】 前記ローラの外周面とローラ案内面とが
    2点でアンギュラコンタクトする請求項1、2、3又は
    4記載の等速自在継手。
  6. 【請求項6】 前記案内隙間の大きさtが0.080m
    m≦t≦0.110mmである請求項1、2、3、4又
    は5記載の等速自在継手。
  7. 【請求項7】 作動角が0°の時の、前記外側ローラの
    外周面の中心を含み、前記脚軸の軸線と直交する中心線
    と継手中心との間の垂直距離(PCR1)と、前記内側
    ローラの外周面の中心を含み、前記脚軸の軸線と直交す
    る中心線と継手中心との間の垂直距離(PCR2)との
    差Δh(=PCR1−PCR2)が、−0.2mm≦Δ
    h≦0.33mmである請求項2、3、4、5又は6記
    載の等速自在継手。
JP36106298A 1998-11-02 1998-12-18 等速自在継手 Pending JP2000179565A (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36106298A JP2000179565A (ja) 1998-12-18 1998-12-18 等速自在継手
FR9913578A FR2785342B1 (fr) 1998-11-02 1999-10-29 Joint homocinetique universel
US09/431,228 US6322453B1 (en) 1998-11-02 1999-11-01 Constant velocity universal joint
KR1019990048178A KR20000035166A (ko) 1998-11-02 1999-11-02 등속유니버설조인트

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36106298A JP2000179565A (ja) 1998-12-18 1998-12-18 等速自在継手

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000179565A true JP2000179565A (ja) 2000-06-27

Family

ID=18472040

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP36106298A Pending JP2000179565A (ja) 1998-11-02 1998-12-18 等速自在継手

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000179565A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023068018A1 (ja) * 2021-10-22 2023-04-27 Ntn株式会社 トリポード型等速自在継手

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023068018A1 (ja) * 2021-10-22 2023-04-27 Ntn株式会社 トリポード型等速自在継手

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4781591B2 (ja) トリポード型等速継手
JP2000320563A (ja) 等速自在継手
JP3212070B2 (ja) 等速自在継手
JP2002054649A (ja) トリポード型等速自在継手
US7217194B2 (en) Constant velocity universal joint
US6264565B1 (en) Tripod type constant velocity universal joint
US6322453B1 (en) Constant velocity universal joint
JP4298392B2 (ja) 等速自在継手
JP2000179565A (ja) 等速自在継手
JP2000136830A (ja) 等速自在継手
US6200224B1 (en) Slidable constant velocity universal joint
JPH0814289B2 (ja) テレスコピックトリポート自在継手
JP2001234941A (ja) 等速自在継手
JP2957121B2 (ja) 等速ジョイント
JP3984776B2 (ja) トリポード型等速自在継手
JP2006258255A (ja) トリポード型等速自在継手
JP2000154832A (ja) 等速自在継手
JP2001208090A (ja) 等速自在継手
JP2000291677A (ja) トリポード型等速自在継手
KR101955190B1 (ko) 플런징타입 등속조인트용 샤프트유닛
JP4115043B2 (ja) トリポード型等速自在継手
JP2004036690A (ja) 等速自在継手
JPH10238552A (ja) トリポード型等速自在継手
JP2024086273A (ja) トリポード型等速自在継手
JP2000154830A (ja) 等速自在継手

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040323

A977 Report on retrieval

Effective date: 20060608

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20060621

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20060821

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070105