JP2000178731A - イオンビームスパッタ成膜装置 - Google Patents
イオンビームスパッタ成膜装置Info
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- JP2000178731A JP2000178731A JP10350058A JP35005898A JP2000178731A JP 2000178731 A JP2000178731 A JP 2000178731A JP 10350058 A JP10350058 A JP 10350058A JP 35005898 A JP35005898 A JP 35005898A JP 2000178731 A JP2000178731 A JP 2000178731A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】フィラメントの組成成分が不純物として薄膜に
混入することのないイオンビームスパッタ成膜装置の提
供。 【解決手段】真空チャンバー1の内部には、回転式のタ
ーゲットホルダー4が設けられており、該ターゲットホ
ルダー4には、異なる4種類の成膜材料からそれぞれ成
るターゲット3a、3b、3c及び3dが保持されてい
る。該各ターゲットからスパッタアウトされる粒子を堆
積させて、多層膜を形成するための基板5が所定の基板
ホルダー(図示されない)に保持されており、更に該各
ターゲットに対して、高エネルギーのイオンビームを照
射するイオンビーム源2が設けられている。イオンビー
ム源2には、ターゲット3a、3b、3c及び3dの各
成膜材料と同一の組成成分からそれぞれ成る4つのフィ
ラメントが設けられており、基板5に対して多層構造の
薄膜を形成する際には、ターゲットの選択に同期して、
該成膜材料と同一の組成成分から成るフィラメントが自
動的に選択されて稼働する。
混入することのないイオンビームスパッタ成膜装置の提
供。 【解決手段】真空チャンバー1の内部には、回転式のタ
ーゲットホルダー4が設けられており、該ターゲットホ
ルダー4には、異なる4種類の成膜材料からそれぞれ成
るターゲット3a、3b、3c及び3dが保持されてい
る。該各ターゲットからスパッタアウトされる粒子を堆
積させて、多層膜を形成するための基板5が所定の基板
ホルダー(図示されない)に保持されており、更に該各
ターゲットに対して、高エネルギーのイオンビームを照
射するイオンビーム源2が設けられている。イオンビー
ム源2には、ターゲット3a、3b、3c及び3dの各
成膜材料と同一の組成成分からそれぞれ成る4つのフィ
ラメントが設けられており、基板5に対して多層構造の
薄膜を形成する際には、ターゲットの選択に同期して、
該成膜材料と同一の組成成分から成るフィラメントが自
動的に選択されて稼働する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はイオンビームスパッ
タ成膜装置に関する。
タ成膜装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、イオンビームスパッタ成膜装置に
おいては、数百eV(エレクトロン・ボルト)から数K
eVのエネルギーを持つイオンビームをターゲットに対
して照射し、当該ターゲットからスパッタアウトされて
放出される粒子を、所定の基板上に堆積させることによ
り、所望の薄膜を該基板上に生成している。この種のイ
オンビームスパッタ成膜装置におけるイオンビーム源
は、所定のフィラメントから放出される電子を数十eV
から数百eVに至るまで加速し、特定のチャンバー内に
導入されたガスに該電子を衝突させることによってイオ
ンを生成し、該イオンをイオンビームとして取り出して
いる。そして、そのイオンビーム源におけるフィラメン
ト材料には、一般にタングステン又はタンタルが使用さ
れている。
おいては、数百eV(エレクトロン・ボルト)から数K
eVのエネルギーを持つイオンビームをターゲットに対
して照射し、当該ターゲットからスパッタアウトされて
放出される粒子を、所定の基板上に堆積させることによ
り、所望の薄膜を該基板上に生成している。この種のイ
オンビームスパッタ成膜装置におけるイオンビーム源
は、所定のフィラメントから放出される電子を数十eV
から数百eVに至るまで加速し、特定のチャンバー内に
導入されたガスに該電子を衝突させることによってイオ
ンを生成し、該イオンをイオンビームとして取り出して
いる。そして、そのイオンビーム源におけるフィラメン
ト材料には、一般にタングステン又はタンタルが使用さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のイオン
ビームスパッタ成膜装置においては、イオンビーム源に
おいて使用されているフィラメントとして、タングステ
ン又はタンタルの何れかが用いられている。しかしなが
ら、当該イオンビーム源において生成されたイオンビー
ムをターゲットに対して照射し、該ターゲットからスパ
ッタアウトされた成膜材料の粒子(原子)を基板上に堆
積させるという手法により薄膜を形成する場合には、電
子を放出するフィラメントからは、上述のような薄膜形
成上必要不可欠な電子のみならず、同時にフィラメント
自体の組成成分も放出されるので、該フィラメントの組
成成分が基板に堆積される薄膜中に混入される。
ビームスパッタ成膜装置においては、イオンビーム源に
おいて使用されているフィラメントとして、タングステ
ン又はタンタルの何れかが用いられている。しかしなが
ら、当該イオンビーム源において生成されたイオンビー
ムをターゲットに対して照射し、該ターゲットからスパ
ッタアウトされた成膜材料の粒子(原子)を基板上に堆
積させるという手法により薄膜を形成する場合には、電
子を放出するフィラメントからは、上述のような薄膜形
成上必要不可欠な電子のみならず、同時にフィラメント
自体の組成成分も放出されるので、該フィラメントの組
成成分が基板に堆積される薄膜中に混入される。
【0004】屈折率の異なる、数種類の物質の堆積構造
から成る多層膜光学素子を所定基板上に成膜する場合に
は、その使用する波長によって使用される成膜材料なら
びに膜厚が異なる。例えば、波長が13nmの近傍のX
線用の多層膜光学素子の場合には、成膜材料として、S
i (シリコン)とMo (モリブデン)との組み合わせが
用いられており、また波長が4.4nm付近の多層膜光
学素子の場合には、C(炭素)とNi (ニッケル)との
組み合わせが用いられている。このような多層膜構造に
おいて、それぞれの層に同一の物質が混入すると、層と
層との屈折率差が小さくなり、これにより多層膜光学素
子の光学素子としての機能(この場合においては反射
率)が低下するという欠点がある。
から成る多層膜光学素子を所定基板上に成膜する場合に
は、その使用する波長によって使用される成膜材料なら
びに膜厚が異なる。例えば、波長が13nmの近傍のX
線用の多層膜光学素子の場合には、成膜材料として、S
i (シリコン)とMo (モリブデン)との組み合わせが
用いられており、また波長が4.4nm付近の多層膜光
学素子の場合には、C(炭素)とNi (ニッケル)との
組み合わせが用いられている。このような多層膜構造に
おいて、それぞれの層に同一の物質が混入すると、層と
層との屈折率差が小さくなり、これにより多層膜光学素
子の光学素子としての機能(この場合においては反射
率)が低下するという欠点がある。
【0005】また、他の波長領域として、紫外線〜可視
光〜赤外線の領域においては、成膜材料として、SiO2
またはTiO2 などの誘電体材料が使用されるが、このよ
うな物質に対して、前述のフィラメントの組成成分であ
るタングステンまたはタンタル等の物質が混入すると、
吸収損失の大きい膜が形成され、同様に多層膜光学素子
の光学素子としての性能が低下するという欠点がある。
光〜赤外線の領域においては、成膜材料として、SiO2
またはTiO2 などの誘電体材料が使用されるが、このよ
うな物質に対して、前述のフィラメントの組成成分であ
るタングステンまたはタンタル等の物質が混入すると、
吸収損失の大きい膜が形成され、同様に多層膜光学素子
の光学素子としての性能が低下するという欠点がある。
【0006】本発明の目的は、イオンビームをターゲッ
トに対して照射し、該ターゲットからスパッタアウトさ
れた粒子を基板上に堆積させて薄膜を形成する際に、該
薄膜中に、フィラメントの組成成分が不純物として混入
することを防止し、これにより成膜される薄膜の機能特
性の低下を防止できるイオンビームスパッタ成膜装置を
提供することにある。
トに対して照射し、該ターゲットからスパッタアウトさ
れた粒子を基板上に堆積させて薄膜を形成する際に、該
薄膜中に、フィラメントの組成成分が不純物として混入
することを防止し、これにより成膜される薄膜の機能特
性の低下を防止できるイオンビームスパッタ成膜装置を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のイオンビームス
パッタ成膜装置は、所定のフィラメントから放出される
電子を加速して、高エネルギーのイオンビームを生成す
るイオンビーム源と、成膜の対象とする複数の成膜材料
から成るターゲットと、該ターゲットに対し前記イオン
ビームを照射してスパッタアウトされる粒子を堆積させ
る基板とを備え、該基板上に前記成膜材料に対応する多
層膜を形成するイオンビームスパッタ成膜装置におい
て、前記フィラメントは互いに独立に加熱される複数の
独立加熱フィラメントからなり、複数の前記独立加熱フ
ィラメントは、前記多層膜を形成する複数の成膜材料か
ら成るターゲットに対応して、それぞれの成膜材料と1
対1に対応する同一の組成成分からそれぞれ成ることを
特徴としている。なお、前記基板に対し順次成膜するタ
ーゲットの成膜材料の切替え操作に同期して、該成膜材
料と同一の組成成分から成る前記独立加熱フィラメント
を逐次選択する切替操作を行うようにしてもよい。
パッタ成膜装置は、所定のフィラメントから放出される
電子を加速して、高エネルギーのイオンビームを生成す
るイオンビーム源と、成膜の対象とする複数の成膜材料
から成るターゲットと、該ターゲットに対し前記イオン
ビームを照射してスパッタアウトされる粒子を堆積させ
る基板とを備え、該基板上に前記成膜材料に対応する多
層膜を形成するイオンビームスパッタ成膜装置におい
て、前記フィラメントは互いに独立に加熱される複数の
独立加熱フィラメントからなり、複数の前記独立加熱フ
ィラメントは、前記多層膜を形成する複数の成膜材料か
ら成るターゲットに対応して、それぞれの成膜材料と1
対1に対応する同一の組成成分からそれぞれ成ることを
特徴としている。なお、前記基板に対し順次成膜するタ
ーゲットの成膜材料の切替え操作に同期して、該成膜材
料と同一の組成成分から成る前記独立加熱フィラメント
を逐次選択する切替操作を行うようにしてもよい。
【0008】
【作用】上記の構成によれば、イオンビームをターゲッ
トに照射し、スパッタアウトされた粒子を基板上に堆積
させて多層構造の薄膜を成膜する際に、該薄膜内にフィ
ラメントの組成成分が不純物として混入することが排除
され、成膜される多層構造の薄膜の機能特性の低下が未
然に防止される。
トに照射し、スパッタアウトされた粒子を基板上に堆積
させて多層構造の薄膜を成膜する際に、該薄膜内にフィ
ラメントの組成成分が不純物として混入することが排除
され、成膜される多層構造の薄膜の機能特性の低下が未
然に防止される。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明について図面を参照
して説明する。
して説明する。
【0010】本発明の実施形態は、フィラメントから放
出される電子を加速して、高エネルギーのイオンビーム
を生成するイオンビーム源と、複数の成膜材料から成る
ターゲットに対し前記イオンビームを照射してスパッタ
アウトされる粒子を堆積させる基板とを備えており、前
記イオンビーム源には、前記多層膜を形成する複数の成
膜材料から成るターゲットに対応して、それぞれの成膜
材料と1対1に対応する同一の組成成分から成る複数の
フィラメントを備えている。
出される電子を加速して、高エネルギーのイオンビーム
を生成するイオンビーム源と、複数の成膜材料から成る
ターゲットに対し前記イオンビームを照射してスパッタ
アウトされる粒子を堆積させる基板とを備えており、前
記イオンビーム源には、前記多層膜を形成する複数の成
膜材料から成るターゲットに対応して、それぞれの成膜
材料と1対1に対応する同一の組成成分から成る複数の
フィラメントを備えている。
【0011】図1は、本実施形態の1実施例の構成概要
を示す模式図であり、真空チャンバー1の内部には、回
転式のターゲットホルダー4が設けられており、該ター
ゲットホルダー4には、異なる4種類の成膜材料からそ
れぞれ成るターゲット3a、3b、3cおよび3dが保
持されている。また、ターゲットホルダー4に保持され
ている各ターゲットよりスパッタアウトされる粒子を堆
積させて、多層膜を形成するための基板5が、所定の基
板ホルダー(図示されない)に保持されている。そして
更に、該真空チャンバー1内部の各ターゲットに対し
て、高エネルギーのイオンビームを照射するイオンビー
ム源2が設けられている。
を示す模式図であり、真空チャンバー1の内部には、回
転式のターゲットホルダー4が設けられており、該ター
ゲットホルダー4には、異なる4種類の成膜材料からそ
れぞれ成るターゲット3a、3b、3cおよび3dが保
持されている。また、ターゲットホルダー4に保持され
ている各ターゲットよりスパッタアウトされる粒子を堆
積させて、多層膜を形成するための基板5が、所定の基
板ホルダー(図示されない)に保持されている。そして
更に、該真空チャンバー1内部の各ターゲットに対し
て、高エネルギーのイオンビームを照射するイオンビー
ム源2が設けられている。
【0012】また、図2は、イオンビーム源2の構成の
概要を模式的に示した図である。図2に示されるよう
に、イオンビーム源2は、ターゲット3a、3b、3c
および3dそれぞれの成膜材料と個別に1対1に対応す
る組成成分から成るフィラメント7a、7b、7cおよ
び7d(前述の独立加熱フィラメントに対応)と、これ
らのフィラメントより放出される電子を加速するアノー
ド6と、生成されたイオンビーム103を外部に取り出
すグリッド8とを備えて構成される。
概要を模式的に示した図である。図2に示されるよう
に、イオンビーム源2は、ターゲット3a、3b、3c
および3dそれぞれの成膜材料と個別に1対1に対応す
る組成成分から成るフィラメント7a、7b、7cおよ
び7d(前述の独立加熱フィラメントに対応)と、これ
らのフィラメントより放出される電子を加速するアノー
ド6と、生成されたイオンビーム103を外部に取り出
すグリッド8とを備えて構成される。
【0013】本実施例に対する説明の順序として、まず
図2のイオンビーム源2について説明する。図2におい
て、アノード6の加速電圧により、フィラメント7a、
7b、7cおよび7dの内の一つのフィラメントより放
出される電子は、数十eVから数百eVのエネルギーを
持つ電子に加速され、チャンバー内に導入される特定の
ガス102に衝突することによりイオンが生成され、グ
リッド8を介してイオンビーム103が外部に放出され
る。この場合に、本発明の特徴とするところは、図1に
示されるターゲット3a、3b、3cおよび3dの内の
何れか1つのターゲットの成膜材料に等しい組成成分か
ら成るフィラメントのみが選択されて、当該選択された
フィラメントが加熱されて電子が放出されることにあ
る。
図2のイオンビーム源2について説明する。図2におい
て、アノード6の加速電圧により、フィラメント7a、
7b、7cおよび7dの内の一つのフィラメントより放
出される電子は、数十eVから数百eVのエネルギーを
持つ電子に加速され、チャンバー内に導入される特定の
ガス102に衝突することによりイオンが生成され、グ
リッド8を介してイオンビーム103が外部に放出され
る。この場合に、本発明の特徴とするところは、図1に
示されるターゲット3a、3b、3cおよび3dの内の
何れか1つのターゲットの成膜材料に等しい組成成分か
ら成るフィラメントのみが選択されて、当該選択された
フィラメントが加熱されて電子が放出されることにあ
る。
【0014】動作例として、図1におけるターゲット3
dの成膜材料を基板5に堆積して成膜しようとする場合
には、ターゲットホルダー4は回転方向101に沿って
回転され、ターゲット3dが、イオンビーム源2のグリ
ッド8の向きに対向するように設定される。このターゲ
ットホルダー4の設定状態に対応して、図2のイオンビ
ーム源2においては、該ターゲット3dの成膜材料と同
一の組成成分から成るフィラメント7dのみが選択され
て稼働状態となり、アノード6に印加される加速電圧に
より、該フィラメント3dより放出される電子が、所望
のエネルギー・レベルに加速され、チャンバー内に導入
されるガス102に衝突して、イオンビーム103が生
成される。このイオンビーム103は、対向するターゲ
ット3dに照射され、該ターゲット3dからは、ターゲ
ット3dの成膜材料の構成原子より成る粒子104が放
出され、基板5には該成膜材料が堆積されて所定の薄膜
が形成される。この一連の動作は、他のターゲット3
a、3bおよび3cの各成膜材料の薄膜を、基板5上に
成膜する場合においても全く同様である。なお、本実施
例においては、図1に示されるように、基板5に積層す
る成膜材料の選択は、ターゲットホルダー4を回転する
ことにより、選択の対象とする成膜材料のターゲットを
イオンビーム源2に対向させるように設定することによ
り行われる。このターゲットホルダー4の回転に同期し
て、イオンビーム源2においては、選択された前記ター
ゲットの成膜材料と同一の組成成分から成るフィラメン
トが自動的に切替えられて稼働状態となる。それ以降の
基板5に対する薄膜形成の動作については、上述したタ
ーゲット3dが選択された場合の動作と同様である。
dの成膜材料を基板5に堆積して成膜しようとする場合
には、ターゲットホルダー4は回転方向101に沿って
回転され、ターゲット3dが、イオンビーム源2のグリ
ッド8の向きに対向するように設定される。このターゲ
ットホルダー4の設定状態に対応して、図2のイオンビ
ーム源2においては、該ターゲット3dの成膜材料と同
一の組成成分から成るフィラメント7dのみが選択され
て稼働状態となり、アノード6に印加される加速電圧に
より、該フィラメント3dより放出される電子が、所望
のエネルギー・レベルに加速され、チャンバー内に導入
されるガス102に衝突して、イオンビーム103が生
成される。このイオンビーム103は、対向するターゲ
ット3dに照射され、該ターゲット3dからは、ターゲ
ット3dの成膜材料の構成原子より成る粒子104が放
出され、基板5には該成膜材料が堆積されて所定の薄膜
が形成される。この一連の動作は、他のターゲット3
a、3bおよび3cの各成膜材料の薄膜を、基板5上に
成膜する場合においても全く同様である。なお、本実施
例においては、図1に示されるように、基板5に積層す
る成膜材料の選択は、ターゲットホルダー4を回転する
ことにより、選択の対象とする成膜材料のターゲットを
イオンビーム源2に対向させるように設定することによ
り行われる。このターゲットホルダー4の回転に同期し
て、イオンビーム源2においては、選択された前記ター
ゲットの成膜材料と同一の組成成分から成るフィラメン
トが自動的に切替えられて稼働状態となる。それ以降の
基板5に対する薄膜形成の動作については、上述したタ
ーゲット3dが選択された場合の動作と同様である。
【0015】このように、イオンビーム源2において、
ターゲットの成膜材料と同一の組成成分から成るフィラ
メントを選択してイオンビームを生成することにより、
基板5に形成される多層構造の薄膜中に、フィラメント
の組成成分が不純物として混入することが排除され、該
多層構造の薄膜の動作性能の劣化を未然に防止すること
ができる。
ターゲットの成膜材料と同一の組成成分から成るフィラ
メントを選択してイオンビームを生成することにより、
基板5に形成される多層構造の薄膜中に、フィラメント
の組成成分が不純物として混入することが排除され、該
多層構造の薄膜の動作性能の劣化を未然に防止すること
ができる。
【0016】図3は、基板5に形成されるSi/MO 多層
膜の反射率のシミュレーション結果を示す図である。図
3において、実線105は、Si 層およびMO 層の双方
に、それぞれタングステンが10%混入している場合の
反射率の特性を示しており、破線106は、Si 層およ
びMO 層の双方ともに、不純物が混入していない場合の
反射率の特性を示している。図3より明らかなように、
不純物が混入していない場合には、反射率が30%以上
向上していることが理解される。
膜の反射率のシミュレーション結果を示す図である。図
3において、実線105は、Si 層およびMO 層の双方
に、それぞれタングステンが10%混入している場合の
反射率の特性を示しており、破線106は、Si 層およ
びMO 層の双方ともに、不純物が混入していない場合の
反射率の特性を示している。図3より明らかなように、
不純物が混入していない場合には、反射率が30%以上
向上していることが理解される。
【0017】また、図4は、タングステンが混入してい
るSiO2 膜を、ガラス基板に成膜したサンプルの透過率
特性と、該ガラス基板のみの場合の透過率特性を示す図
である。図4において、実線107は、ガラス基板に成
膜されるSiO2 膜にタングステンが混入している場合の
透過率特性であり、破線108は、ガラス基板のみの場
合の透過率特性である。明らかに、ガラス基板の透過率
から前記サンプルの透過率を差引いたものが、SiO2膜
による吸収損失に相当している。本例におけるSiO2膜
の場合には、250nm付近に大きな吸収領域が存在し
ており、このために、高反射率の多層膜鏡として構成す
る際には、このような多層膜を使用することは不可能で
ある。
るSiO2 膜を、ガラス基板に成膜したサンプルの透過率
特性と、該ガラス基板のみの場合の透過率特性を示す図
である。図4において、実線107は、ガラス基板に成
膜されるSiO2 膜にタングステンが混入している場合の
透過率特性であり、破線108は、ガラス基板のみの場
合の透過率特性である。明らかに、ガラス基板の透過率
から前記サンプルの透過率を差引いたものが、SiO2膜
による吸収損失に相当している。本例におけるSiO2膜
の場合には、250nm付近に大きな吸収領域が存在し
ており、このために、高反射率の多層膜鏡として構成す
る際には、このような多層膜を使用することは不可能で
ある。
【0018】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明では、複
数の成膜材料のターゲットに対応して、イオンビーム源
に、それぞれ該ターゲットの成膜材料と1対1に対応す
る同一の組成成分から成る複数のフィラメントを備え、
基板に多層構造の薄膜を成膜する際に、イオンビームを
照射するターゲットの選択に同期して、該ターゲットの
成膜材料と同一の組成成分から成るフィラメントを切替
えて稼働させることにより、前記基板に形成される多層
構造の薄膜に、フィラメント組成材料が不純物として混
入することを回避することが可能となり、該多層構造の
薄膜の動作性能の劣化を未然に防止することができる。
数の成膜材料のターゲットに対応して、イオンビーム源
に、それぞれ該ターゲットの成膜材料と1対1に対応す
る同一の組成成分から成る複数のフィラメントを備え、
基板に多層構造の薄膜を成膜する際に、イオンビームを
照射するターゲットの選択に同期して、該ターゲットの
成膜材料と同一の組成成分から成るフィラメントを切替
えて稼働させることにより、前記基板に形成される多層
構造の薄膜に、フィラメント組成材料が不純物として混
入することを回避することが可能となり、該多層構造の
薄膜の動作性能の劣化を未然に防止することができる。
【図1】本発明の1実施例の構成の概要を示す模式図で
ある。
ある。
【図2】図1の実施例におけるイオンビーム源の構成の
概要を示す模式図である。
概要を示す模式図である。
【図3】不純物の有無による多層膜の反射率特性のシミ
ュレーション結果を示す図である。
ュレーション結果を示す図である。
【図4】不純物混入時の成膜の透過率特性と基板のみの
透過率特性を示す図である。
透過率特性を示す図である。
1 真空チャンバー 2 イオンビーム源 3a,3b,3c,3d ターゲット 4 ターゲートホルダー 5 基板 6 アノード 7a,7b,7c,7d フィラメント 8 グリッド
Claims (2)
- 【請求項1】 所定のフィラメントから放出される電子
を加速して、高エネルギーのイオンビームを生成するイ
オンビーム源と、成膜の対象とする複数の成膜材料から
成るターゲットと、該ターゲットに対し前記イオンビー
ムを照射してスパッタアウトされる粒子を堆積させる基
板とを備え、該基板上に前記成膜材料に対応する多層膜
を形成するイオンビームスパッタ成膜装置において、 前記フィラメントは互いに独立に加熱される複数の独立
加熱フィラメントからなり、 複数の前記独立加熱フィラメントは、前記多層膜を形成
する複数の成膜材料から成るターゲットに対応して、そ
れぞれの成膜材料と1対1に対応する同一の組成成分か
らそれぞれ成ることを特徴とするイオンビームスパッタ
成膜装置。 - 【請求項2】 前記基板に対し順次成膜するターゲット
の成膜材料の切替え操作に同期して、該成膜材料と同一
の組成成分から成る前記独立加熱フィラメントを逐次選
択する切替操作を行うことを特徴とする請求項1記載の
イオンビームスパッタ成膜装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10350058A JP2000178731A (ja) | 1998-12-09 | 1998-12-09 | イオンビームスパッタ成膜装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10350058A JP2000178731A (ja) | 1998-12-09 | 1998-12-09 | イオンビームスパッタ成膜装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000178731A true JP2000178731A (ja) | 2000-06-27 |
Family
ID=18407949
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10350058A Pending JP2000178731A (ja) | 1998-12-09 | 1998-12-09 | イオンビームスパッタ成膜装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000178731A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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- 1998-12-09 JP JP10350058A patent/JP2000178731A/ja active Pending
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