JP2000178677A - 靭性に優れ、降伏点の歪み速度依存性の小さい低降伏点鋼およびその製造方法 - Google Patents

靭性に優れ、降伏点の歪み速度依存性の小さい低降伏点鋼およびその製造方法

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JP2000178677A
JP2000178677A JP35021598A JP35021598A JP2000178677A JP 2000178677 A JP2000178677 A JP 2000178677A JP 35021598 A JP35021598 A JP 35021598A JP 35021598 A JP35021598 A JP 35021598A JP 2000178677 A JP2000178677 A JP 2000178677A
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義之 渡部
Atsuhiko Yoshie
淳彦 吉江
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 C、N、Ti当量間の関係を限定し、実効的
なC量を適正範囲に制御することで、ミクロ組織をはじ
め、降伏点の存在、降伏比、降伏点の歪み速度依存性を
限定することで、建築物の地震時のエネルギー吸収デバ
イス用として靭性に優れ、降伏点の歪み速度依存性の小
さい低降伏点鋼を得る。 【解決手段】 重量%で、C:0.005〜0.06
%、Si:0.4%以下、Mn:1.5%以下、P:
0.025%以下、S:0.015%以下、Al:0.
06%以下、Ti:0.005〜0.05%、 N:
0.006%以下に加え、Ti(eq.)=Ti+Nb
/1.94+V/1.06+Ta/3.77と定義する
Ti当量とC、N量との間の関係が−0.01%≦C−
[Ti(eq.)−3.4N]/4≦0.01%を満足
するようにNb、V、Taのうち1種以上を含有し、ミ
クロ組織がフェライト単相でその平均切片長さが15〜
60μmであって、上下降伏点を有し、降伏比が50%
以上、歪み速度10-4/秒での引張時の下降伏点に対す
る100/秒での引張時の下降伏点との比が1.5以下
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として地震によ
る建物への入力エネルギーを特定の部位に吸収させ耐震
性能を確保するためのエネルギー吸収デバイス用低降伏
点鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より行われている耐震設計は、大地
震時に柱や梁の構造体が塑性化することによりエネルギ
ーを吸収しようとするものであり、建築物の倒壊を防ぎ
人的被害の防止を大前提としながら、建設コストも比較
的低く抑えることができる非常に合理的な設計法であ
る。
【0003】一方、近年の耐震設計技術の発展により、
制振・免震構造の開発と実用化が進み、地震による建物
への入力エネルギーを特定の部位(エネルギー吸収デバ
イス)に吸収させ耐震性能を確保するとともに、主要構
造である柱、梁の損傷を防止する設計技術が注目されて
いる。
【0004】このような制震デバイス用として低降伏点
鋼が利用される。その原理は、通常の柱や梁の構造材よ
りも降伏点が低いことにより、地震時に早期に降伏し、
地震による振動エネルギーを塑性エネルギーに変換する
ことで振動応答を抑えるというものである。
【0005】低降伏点化するためには、特開平3−31
467号公報に開示されているように添加元素のほとん
どない純鉄に近いものとし、場合によっては特開平5−
214442号公報、特開平5−320760号公報、
特開平5−320761号公報などに開示されているよ
うに純鉄に近い成分をさらに高温で焼準処理される。こ
れらはいずれも粗粒なフェライトにすることによる低降
伏点化のため、低温靭性に劣るという欠点があった。ま
た、いずれもCを0.005%以下とする必要があり、
製鋼工程への負荷が高く、添加元素はほとんどないにも
関わらずコスト的には必ずしも有利ではないという問題
があった。さらに、これらの鋼では(極)低C+粗粒フ
ェライトであるため、引張試験における荷重−伸び曲線
は降伏点の出ないラウンドものとなって、降伏比が低
く、地震エネルギー吸収後、すなわち加工硬化による降
伏点の上昇が大きく、エネルギー吸収デバイス用鋼とし
ては好ましいものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、Cを極端に
低減することなしに制震デバイス用鋼として優れた性能
を発揮するエネルギー吸収デバイス用低降伏点鋼および
その製造方法を提供することを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明では、Cを極端に
低減しなくてもC、N、Ti当量間の関係を適切に制限
することにより実効的なCを低減し、組織を制御するこ
とで制震デバイス用鋼として優れた性能を発揮できるこ
とを見出し本発明を完成した。
【0008】本発明の要旨は、以下の通りである。
【0009】(1) 重量%で、C:0.005〜0.
06%以下、Si:0.4%以下、Mn:1.5%以
下、P:0.025%以下、S:0.015%以下、A
l:0.06%以下、Ti:0.005〜0.05%、
N:0.006%以下に加え、 Nb:0.005〜0.08、% V:0.005〜0.12、% Ta:0.005〜0.1% の範囲内で、 Ti(eq.)=Ti+Nb/1.94+V/1.06
+Ta/3.77 と定義するTi当量とC、N量との間の関係が −0.01%≦C−[Ti(eq.)−3.4N]/4
≦0.01% を満足するようNb、V、Taのうち1種以上を含有
し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、ミクロ組
織がフェライト単相で、かつ任意の断面におけるフェラ
イト粒径としての平均切片長さが15〜60μmであ
り、さらに歪み速度10-4/秒での引張時の下降伏点に
対する100/秒での引張時の下降伏点との比が1.5
以下であることを特徴とする靭性に優れ、降伏点の歪み
速度依存性の小さい低降伏点鋼。
【0010】(2) 鋼組成として、さらに重量%で、
Cu、Ni、Cr、Moの1種以上を、それぞれ0.0
3〜0.5%の範囲で含有することを特徴とする上記
(1)記載の靭性に優れ、降伏点の歪み速度依存性の小
さい低降伏点鋼。
【0011】(3) 鋼組成としてさらに、重量%で、
Ca:0.0005〜0.004%を含有することを特
徴とする上記(1)又は(2)記載の靭性に優れ、降伏
点の歪み速度依存性の小さい低降伏点鋼。
【0012】(4) 引張試験において、上下降伏点を
有し、さらに下降伏点と引張強さとの比が50%以上で
あることを特徴とする上記(1)〜(3)の内のいずれ
か1つに記載の靭性に優れ、降伏点の歪み速度依存性の
小さい低降伏点鋼。
【0013】(5) 上記(1)又は(2)又は(3)
に記載の鋼組成の鋼を、鋳造後直接もしくは1250℃
以下の温度に再加熱後、750℃以上の温度で熱間圧延
を終了した後放冷することを特徴とする靭性に優れ、降
伏点の歪み速度依存性の小さい低降伏点鋼の製造方法。
【0014】(6) さらに、Ac1点以下の温度で焼
き戻しまたはAc3点以上の温度で焼きならしすること
を特徴とする上記(5)記載の靭性に優れ、降伏点の歪
み速度依存性の小さい低降伏点鋼の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明が、請求項の通りに鋼組成
を限定した理由について説明する。
【0016】Cは、靭性を劣化させ、強度上昇させるパ
ーライトなどの硬質第二相の生成に大きな影響を及ぼす
もので、本発明鋼においては低いほど好ましい。しか
し、脱炭のための製鋼コストを考慮し、下限を0.00
5%とした。一方、その上限については、後述するよう
に実質的なC量低減のためのTi、Nb、V、Taの適
正添加により、かなりの量まで許容できるが、Ti、N
b、V、Taの必要添加量が多くなり、コスト的にも、
また溶接部の靭性の観点からも好ましくないため、上限
を0.06%に限定した。
【0017】Siは脱酸上鋼に含まれる元素であるが、
多く添加すると溶接性、HAZ靭性が劣化するため、上
限を0.4%に限定した。鋼の脱酸はTi、Alのみで
も十分可能であり、HAZ靭性、焼入性などの観点から
低いほど好ましく、必ずしも添加する必要はない。
【0018】Mnは固溶強度元素として母材の強度を上
昇させるため、必要とする強度レベルに応じて、任意に
添加できる。しかし、Mn量が多すぎると焼入性が上昇
して溶接性、HAZ靭性を劣化させるだけでなく、連続
鋳造スラブの中心偏析を助長するので上限を1.5%と
した。
【0019】Pは本発明鋼においては不純物であり、P
量の低減はHAZにおける粒界破壊を減少させる傾向が
あるため、少ないほど好ましい。含有量が多いと母材、
溶接部の低温靭性を劣化させるため上限を0.025%
とした。
【0020】SはPと同様本発明鋼においては不純物で
あり、母材の低温靭性の観点からは少ないほど好まし
い。含有量が多いと母材、溶接部の低温靭性を劣化させ
るため上限を0.015%とした。
【0021】Alは、一般に脱酸上鋼に含まれる元素で
あるが、脱酸はSiまたはTiだけでも十分であり、本
発明鋼においては、その下限は限定しない。しかし、A
l量が多くなると鋼の清浄度が悪くなるだけでなく、溶
接金属の靭性が劣化するので上限を0.06%とした。
【0022】Tiは、Cを固定し、実効的なC量を低減
させる上で本発明においては不可欠な元素である。Cの
固定は、Nb、V、Taでも可能であるが、Tiに比べ
て越すとが高く、またTiはC固定の効率が良く、母材
特性も損なわないので、添加することが最も好ましく、
0.005%以上の添加を必須とした。上限について
は、C固定の観点からC量に応じた必要量が算出される
が、Tiの絶対量が増えると、HAZ靭性を損なうた
め、上限を0.05%とした。C固定に対して化学量論
的に不足する分は、後述するNb、V、Taで補うこと
とした。
【0023】Nb、V、TaはいずれもCを固定し、T
iの補完的な意味を持つ。C固定の観点から化学量論的
に等価なTi量=Ti当量(Ti(eq.))として、 Ti(eq.)=Ti+Nb/1.94+V/1.06
+Ta/3.77 と表すことができる。
【0024】したがって、実際の添加量は、後述する
C、N、Ti当量間の関係から自ずと限定される。添加
する場合には、その効果を発現させるため、最低0.0
05%の添加が必要である。Nb、V、Taは三者とも
添加する必要はなく、単独添加でも良いが、おのおのの
上限はコストやHAZ靭性の観点から、0.08%、
0.12%、0.1%に限定しており、二種以上の複合
添加は、おのおのの絶対量を低減できるため好ましい。
【0025】Nは不可避的不純物として鋼中に含まれる
ものであるが、Cを固定するためのTi、Nb、V、T
aを窒化物として消費してしまうため、上限を0.00
6%に限定した。
【0026】鋼の個々の成分を上記の通り限定した上
で、C、N、Ti当量間の関係を −0.01%≦C−[Ti(eq.)−3.4N]/4
≦0.01% となるように限定する。C−[Ti(eq.)−3.4
N]/4はTi、Nb、V、TaがC、Nを固定した
後、化学量論的に残存するC量を表し、パーライトなど
の硬質組織生成やフェライト中に固溶残存するC量に関
わる実効的なC量である。硬質組織は強度を増加させる
ばかりでなく、脆性破壊発生の起点となり靭性を劣化さ
せ、また、固溶C量は降伏点の歪み速度依存性(歪み速
度が大きいほど、降伏点が上昇)を増大させるため、実
効C量は0.01%以下とする必要がある。実効C量が
負ということはTi当量が過剰であることを意味し、T
i、Nb、V、Taのコストや過剰添加による粗大析出
物による靭性劣化、さらには固溶C、Nの完全固定によ
る上下降伏点の消失の点から−0.01%以上とした。
実効C量を上記範囲に限定することで、ミクロ組織は必
然的にフェライト単相となり、また、上下降伏点が消失
しない範囲で固溶C良が低減されるため、降伏点の歪み
速度依存性、すなわち、歪み速度10-4/秒での引張時
の下降伏点に対する100/秒での引張時の下降伏点と
の比が1.5以下とすることができる。
【0027】Cu、Ni、Cr、Moは、特に粗粒フェ
ライトの場合に、目的とする(下)降伏点レベルに応じ
て、固溶強化元素としてそれぞれ任意に添加することが
できる。不可避的混入ではなく、意図的に添加し、強度
レベルに寄与するためそれぞれ添加量の下限は0.03
%とした。ただし、多量に添加すると、溶接熱影響部の
靭性を劣化させるため、上限はいずれも0.5%に限定
した。
【0028】実効C量を上記範囲に限定し、硬質組織生
成を抑制することで靭性は著しく改善されるが、さら
に、Caを添加することでMnSの形態を制御し、靭性
をより改善することが可能となる。MnSの形態制御の
効果を発揮するためには、最低0.0005%の添加が
必要である。しかし、過剰な添加はCa−O−S系の粗
大介在物を形成し、靭性に悪影響を及ぼすため、上限を
0.004%とした。
【0029】さらに、上記フェライト単相組織で、低降
伏点と降伏比50%以上を達成するためには、フェライ
ト粒径を適正範囲に制御する必要がある。降伏強度は、
フェライト粒径との相関が高く、粗粒ほど強度が低くな
る。しかし、粗粒になると降伏点伸びが小さくなり、つ
いには上下降伏点が消失してしまう。このため、フェラ
イト粒径は、任意の断面での平均切片長さで15〜60
μmに限定した。上下限は、上下降伏点を有し、かつ低
降伏点を維持できる範囲である。この上下降伏点は、高
降伏比化のため、必ず出現するよう制御しなければなら
ない。上下降伏点が消失し、引張試験における荷重−伸
び曲線がラウンドになると、降伏強度として一般に0.
2%耐力がとられ、見かけの降伏強度が低くなって降伏
比が低くなるためである。降伏比が高いということは、
制震デバイス用鋼として地震エネルギー吸収後の加工硬
化による降伏点の上昇が小さいことを意味し、当該用途
鋼にとっては非常に好ましいものである。上下降伏点が
出現することで降伏比は必然的に高くなるが、本発明の
権利範囲を明確に主張するため、下降伏点と引張強さと
の比で50%以上に限定するが、歪み(加工)硬化の観
点からは、高いほど望ましく、60%以上が好ましい。
【0030】鋼成分を上記の通り限定した上で、低降伏
点化を達成し、降伏点の歪み速度依存性に関わる固溶C
を低減するためには、製造方法も限定する必要がある。
【0031】基本的には、本発明の通り成分を限定した
鋼(鋼片あるいは鋳片)を熱間圧延しその後放冷する。
このとき、加熱は必ずしも必要ではなく、圧延温度が確
保されれば、鋳造後直接圧延を行っても良いが、125
0℃以下の温度に再加熱することで容易に圧延温度が確
保できる。上限を1250℃とする理由は、それ以上の
高温再加熱は必要以上に組織が粗大となることや、圧延
温度確保の上では十分なため省エネルギーを考慮したも
のである。また、特にTiが添加された場合には、最終
的なTiの析出形態が変化し、靭性を劣化させる場合が
あるため、再加熱時の上限温度を1250℃以下に限定
した。
【0032】熱間圧延は750℃以上の温度で行う必要
がある。これは、Ti当量とC、N量との間の関係式:
C−[Ti(eq)−3.4N]/4が本発明の範囲に
制御された鋼では変態点(Ar3)が比較的高く、圧延
温度が750℃を下回ると表層近傍ではα/γ二相域圧
延となって加工フェライトが生ずる場合があるためであ
る。加工フェライト、すなわち二相域圧延では、靭性の
劣化や各種性質の異方性などの問題が生ずる場合があ
り、可能な限り避けるべきである。
【0033】圧延後は放冷することで、フェライトから
固溶Cが十分に吐き出され、すなわち固溶C量が低減
し、降伏点の歪み速度依存性が小さくなるが、得ようと
する強度レベルへの調整などの目的で必要に応じて、圧
延後、Ac1以下の温度での焼き戻しやAc3以上の温度
での焼きならしを行っても何ら問題はない。
【0034】
【実施例】転炉−連続鋳造−厚板工程で種々の鋼成分の
鋼板(厚さ12〜50mm)を製造し、その組織、機械
的性質を調査した。
【0035】表1に比較鋼とともに本発明鋼の鋼成分
を、また表2に鋼板のミクロ組織と諸特性、およびその
時の製造プロセスを示す。
【0036】本発明に則った鋼板(本発明鋼)は、いず
れも良好な特性を有する。
【0037】これに対し、本発明によらない比較鋼は、
いずれかの特性が劣る。すなわち、鋼成分の点から、比
較鋼はいずれもC、Ti当量(Ti(eq.))、N量
間の関係が適正でなく、C−[Ti(eq.)−3.4
N]/4の値が本発明が規定する範囲を逸脱しているた
め、総じて靭性に劣る。
【0038】個々に説明すると、比較鋼9は、C量が高
く、C固定のための炭化物形成元素(Ti、Nb、V、
Ta)の総量が不足しているため、C固定が不十分とな
ってフェライト単独組織が得られず母材の靭性が劣る。
また、C量が多いことやフェライト粒径が小さいために
下降伏点が高い。さらに、Ti量が本発明の上限規定を
超えているため、溶接部靭性に劣ると予想される。比較
鋼10は、炭化物形成元素(Ti、Nb、V、Ta)が
添加されておらず、C量の絶対値が低いためにフェライ
ト単独組織ではあるが、C固定が不十分で固溶Cが多く
残存すると推定され、下降伏点の歪み速度依存性が大き
く、靭性にも劣る。比較鋼11は、N量が高いためにC
固定のための炭化物形成元素を消費し、C固定が不十分
となってフェライト単独組織が得られず、下降伏点がや
や高く、靭性にも劣る。比較鋼12は、炭化物形成元素
が過剰なため、靭性に劣るばかりでなく、降伏点が消失
するため降伏比が低い。また、高歪み速度では、降伏点
が出現し、見かけの歪み速度依存性も大きい。さらに、
Ti量が本発明の上限規定を超えているため、比較鋼9
同様、溶接部靭性に劣ると予想される。比較鋼13は、
C固定のためのTiが添加されていないため、C固定が
不十分となってフェライト単独組織が得られず、下降伏
点かやや高く、靭性にも劣る。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】本発明により、建築物の地震時のエネル
ギー吸収デバイス用として靭性に優れた低降伏点鋼が安
価に供給可能となり、地震時の建物の安全性をより一層
高めることが可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K032 AA01 AA04 AA08 AA11 AA14 AA16 AA19 AA21 AA22 AA23 AA27 AA29 AA31 AA33 AA35 AA36 BA01 CA02 CA03 CC03 CC04 CD05 CF02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C:0.005〜0.06%以下、 Si:0.4%以下、 Mn:1.5%以下、 P:0.025%以下、 S:0.015%以下、 Al:0.06%以下、 Ti:0.005〜0.05%、 N:0.006%以下 に加え、 Nb:0.005〜0.08、% V:0.005〜0.12、% Ta:0.005〜0.1% の範囲内で、 Ti(eq.)=Ti+Nb/1.94+V/1.06
    +Ta/3.77 と定義するTi当量とC、N量との間の関係が −0.01%≦C−[Ti(eq.)−3.4N]/4
    ≦0.01% を満足するようNb、V、Taのうち1種以上を含有
    し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、ミクロ組
    織がフェライト単相で、かつ任意の断面におけるフェラ
    イト粒径としての平均切片長さが15〜60μmであ
    り、さらに歪み速度10-4/秒での引張時の下降伏点に
    対する100/秒での引張時の下降伏点との比が1.5
    以下であることを特徴とする靭性に優れ、降伏点の歪み
    速度依存性の小さい低降伏点鋼。
  2. 【請求項2】 鋼組成として、さらに重量%で、Cu、
    Ni、Cr、Moの1種以上を、それぞれ0.03〜
    0.5%の範囲で含有することを特徴とする請求項1記
    載の靭性に優れ、降伏点の歪み速度依存性の小さい低降
    伏点鋼。
  3. 【請求項3】 鋼組成としてさらに、重量%で、 Ca:0.0005〜0.004% を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の靭性
    に優れ、降伏点の歪み速度依存性の小さい低降伏点鋼。
  4. 【請求項4】 引張試験において、上下降伏点を有し、
    さらに下降伏点と引張強さとの比が50%以上であるこ
    とを特徴とする請求項1〜3の内のいずれか1つに記載
    の靭性に優れ、降伏点の歪み速度依存性の小さい低降伏
    点鋼。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2又は3に記載の鋼組成の
    鋼を、鋳造後直接もしくは1250℃以下の温度に再加
    熱後、750℃以上の温度で熱間圧延を終了した後放冷
    することを特徴とする靭性に優れ、降伏点の歪み速度依
    存性の小さい低降伏点鋼の製造方法。
  6. 【請求項6】 さらに、Ac1点以下の温度で焼き戻し
    またはAc3点以上の温度で焼きならしすることを特徴
    とする請求項5記載の靭性に優れ、降伏点の歪み速度依
    存性の小さい低降伏点鋼の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104233061A (zh) * 2014-10-08 2014-12-24 南京钢铁股份有限公司 一种低温低屈服钢及其生产方法
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