JP2000178621A - 出銑樋の冷却方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】出銑樋の受銑部の損耗を抑制し、その補修頻度
を低減すると共に、稼働率を向上する。 【解決手段】高炉１の出銑孔に対向して配設された出銑
樋２の外側に冷媒流路４を形成し、この冷媒流路４内で
冷媒を送給して出銑樋２を冷却するにあたり、出銑樋２
の受銑部３に相当する冷媒流路４を狭めて絞り５を形成
し、その部分の冷媒流速を、その他の部分より速くする
ことで、冷却能を強くし、もって受銑部３の損耗を抑制
して補修期間を延長し、補修頻度の低減と稼働率の向上
とを達成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば高炉から排
出される出銑滓を受銑する出銑樋の冷却方法に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】例えば高炉等から排出される高温の出銑
滓を受銑する出銑樋は、熱による損耗が激しいので、そ
れを低減するために冷却しなければならない。この出銑
樋の冷却方法としては、種々の方法が提案されている
が、その中には、多量の冷媒を、出銑樋の外側に沿って
設けられた流路内で、出銑滓の流れる方向に送給し、そ
の際に生じる出銑樋から冷媒への熱伝達で冷却するもの
もある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、出銑樋
の損耗は、出銑滓を直接受銑する受銑部が最も激しいの
で、その他の部分の損耗が限界に達していなくても、受
銑部の損耗で出銑作業を中止し、何らかの補修を施す，
所謂受銑部律速の傾向にある。従って、出銑樋の長手方
向，つまり出銑滓の流れる方向に一様に冷却する前記従
来の冷却方法では、補修頻度が高く、稼働率が低下し易
いという問題があった。

【０００４】本発明は、意図的に受銑部の損耗を抑制す
ることで、補修頻度を低減し、稼働率を向上することが
できる出銑樋の冷却方法を提供することを目的とするも
のである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記諸問題を解決するた
め、本発明の出銑樋の冷却方法は、出銑樋の外側に沿っ
て設けられた流路内で、冷媒を送給して当該出銑樋を冷
却する方法であって、当該出銑樋の受銑部で冷媒流路を
絞り、当該受銑部での冷媒流速を速めることを特徴とす
るものである。

【０００６】連続する冷媒流路では、絞り部分で冷媒流
速が速くなる。この絞り部分以外の部分でも十分な流量
が確保でき、冷媒と出銑樋との温度差が十分であれば、
絞り部分での単位時間当たりの冷媒への熱伝達量は、そ
の他の部分でのそれに比して大きくなるから、当該絞り
部分の冷却能は高くなっていることになる。これによ
り、出銑樋の受銑部の温度を低くして損耗を抑制し、そ
の他の部分の損耗とバランスさせて補修作業を延期させ
ることができる。

【０００７】

【発明の実施の形態】次に本発明に係る出銑樋の冷却方
法の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図１
は、本実施形態の出銑樋の一例を示す平面図である。図
中の符号１は高炉、符号２は高炉１の出銑孔に対向する
出銑樋である。この出銑樋２は、外殻主要構造をなすバ
ックライニングと、このバックライニングの内側で実際
に出銑滓に触れる部分に吹付けられたワーキングライニ
ングとかなる。このワーキングライニングは、本出願人
が先に開発したものであり、耐火レンガ等からなるバッ
クライニングの上に耐火練材を吹付け、乾燥個化させた
ものである。このワーキングライニングも、勿論、熱に
よって損耗するが、その損耗箇所だけ、新たな耐火練材
を吹付ければよいので、補修が容易であるという利点が
ある。本実施形態でも、ワーキングライニングの吹付け
補修を何度か繰返すが、損耗がバックライニング近傍ま
で達し、ワーキングライニングの補修だけでは不足する
ようになったときを１キャンペーンとする。なお、図中
の符号３が、出銑樋２のうち、前記出銑孔から排出され
る出銑滓を直接受銑する受銑部である。

【０００８】前記出銑樋２の外側には、冷媒流路４が形
成されている。この冷媒流路４では、出銑滓の流れる方
向に冷媒を流して、この冷媒と出銑樋２との熱伝達で当
該出銑樋２を冷却する。なお、図中の符号４ａは冷媒配
管、符号４ｂは冷却ファンである。

【０００９】そして、本実施形態では、出銑樋２の受銑
部３に相当する部分で冷媒流路４を外側から狭めて絞り
５を形成している。この絞り５以外の部分でも十分な冷
媒流速があれば、当然絞り５の部分では冷媒流速が速く
なり、冷媒と出銑樋２との温度差が十分であれば、出銑
樋２から冷媒に伝達される単位時間当たりの熱伝達量
は、その他の部分より大きくなる。この様子を図２に示
す。即ち、冷媒流速が速くなれば冷却能が強くなるの
で、前記出銑樋２を構成するワーキングライニング耐火
物の損耗速度は遅くなる。逆に、冷媒流速が遅くなれば
冷却能が弱くなるので、ワーキングライニング耐火物の
損耗速度は速くなる。

【００１０】次に、図３に本実施形態での受銑部耐火物
残厚のキャンペーン中の変化と、従来の冷却方法による
受銑部耐火物残厚のキャンペーン中の変化と示す。同図
から明らかなように、本実施形態では受銑部耐火物残厚
の損耗速度を遅くすることができるので、従来に比して
一回当たりのワーキングライニング耐火物吹付け補修ピ
ッチが長く、耐火物残厚が損耗限界に達するまでのキャ
ンペーン長さも長くできる。即ち、本実施形態の出銑樋
の冷却方法によれば、出銑樋の補修頻度を低減し、キャ
ンペーン長を長くして出銑作業の稼働率を向上すること
も可能となるのである。

【００１１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の出銑樋の
冷却方法によれば、出銑樋の受銑部で冷媒流路を外側か
ら絞り、当該受銑部での冷媒流速を速めることとしたた
め、当該絞り部分，つまり受銑部の冷却能を、その他の
部分より高くし、これにより、出銑樋の受銑部の温度を
低くして損耗を抑制し、その他の部分の損耗とバランス
させて補修作業を延期させることができるので、出銑樋
の補修頻度を低減し、キャンペーン長を長くして出銑作
業の稼働率を向上することも可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の出銑樋の冷却方法の一実施形態を示す
平面図である。

【図２】冷媒流速と出銑樋耐火物損耗速度との関係を示
す説明図である。

【図３】本発明の出銑樋の冷却方法による作用の説明図
である。

【符号の説明】

１は高炉 ２は出銑樋 ３は受銑部 ４は冷媒流路 ５は絞り

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 磯村 敬一郎 千葉県千葉市中央区川崎町１番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Ｆターム(参考） 4K015 EC02 EC03

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 出銑樋の外側に沿って設けられた流路内
   で、冷媒を送給して当該出銑樋を冷却する方法であっ
   て、当該出銑樋の受銑部で冷媒流路を絞り、当該受銑部
   での冷媒流速を速めることを特徴とする出銑樋の冷却方
   法。