JP2000174371A - レーザ装置およびレーザ装置の発振周波数制御方法 - Google Patents
レーザ装置およびレーザ装置の発振周波数制御方法Info
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- JP2000174371A JP2000174371A JP10348714A JP34871498A JP2000174371A JP 2000174371 A JP2000174371 A JP 2000174371A JP 10348714 A JP10348714 A JP 10348714A JP 34871498 A JP34871498 A JP 34871498A JP 2000174371 A JP2000174371 A JP 2000174371A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 単一周波数発振をさせるレーザに於いて、シ
ード光の周波数に対しレーザ発振器の共振器長が理想値
からどの方向にずれているかが不明であり、共振器長の
調整が困難であった。 【解決手段】 安定化した単一周波数レーザ21のシー
ド光をエタロン31に入射させ、このときに透過光検出
器32で観測される透過光強度が最大となるように透過
波長可変手段35を用いて透過光波長を設定する。共振
器長可変手段40を備えるレーザ発振器にインジェクシ
ョンシードを行い、発振したレーザ光をエタロン板31
に入射させ、このときの透過光強度を透過光検出器33
で検出する。制御手段51は透過光検出器33で検出さ
れる透過光強度が最大となるように共振器長可変手段4
0を制御し共振器長を変化させる。このようにして共振
器の縦モードのひとつをシード光の周波数と一致させ単
一周波数でレーザ発振を行わせることができる。
ード光の周波数に対しレーザ発振器の共振器長が理想値
からどの方向にずれているかが不明であり、共振器長の
調整が困難であった。 【解決手段】 安定化した単一周波数レーザ21のシー
ド光をエタロン31に入射させ、このときに透過光検出
器32で観測される透過光強度が最大となるように透過
波長可変手段35を用いて透過光波長を設定する。共振
器長可変手段40を備えるレーザ発振器にインジェクシ
ョンシードを行い、発振したレーザ光をエタロン板31
に入射させ、このときの透過光強度を透過光検出器33
で検出する。制御手段51は透過光検出器33で検出さ
れる透過光強度が最大となるように共振器長可変手段4
0を制御し共振器長を変化させる。このようにして共振
器の縦モードのひとつをシード光の周波数と一致させ単
一周波数でレーザ発振を行わせることができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はレーザ装置およびレ
ーザ装置の共振器長の制御方法に関し、特に単一縦モー
ド発振を行う単数もしくは複数ユニットのレーザ発振器
からなるレーザ装置およびその制御方法に関する。この
ような装置の適用例としては、例えば半導体製造装置用
の露光装置用光源が上げられる。
ーザ装置の共振器長の制御方法に関し、特に単一縦モー
ド発振を行う単数もしくは複数ユニットのレーザ発振器
からなるレーザ装置およびその制御方法に関する。この
ような装置の適用例としては、例えば半導体製造装置用
の露光装置用光源が上げられる。
【0002】
【従来の技術】半導体露光装置では、高解像度を実現す
るために露光光の波長を短くし、かつ波長の単色性を上
げるべく開発がなされてきた。そしてこれまでに短波長
光源としてKrFエキシマレーザ(波長248nm)が実用化さ
れ、露光装置用光源として使われてきた。
るために露光光の波長を短くし、かつ波長の単色性を上
げるべく開発がなされてきた。そしてこれまでに短波長
光源としてKrFエキシマレーザ(波長248nm)が実用化さ
れ、露光装置用光源として使われてきた。
【0003】しかし、KrFをはじめとするエキシマレ
ーザでは、この波長帯での色消しレンズの制作が困難な
ためにそのスペクトル線幅を1pm以下に狭帯域化する必
要があり、またこの狭帯域化に伴ってレーザビームの空
間的コヒーレンスが上がる結果スペックルが発生すると
いう問題があった。またエキシマレーザは大型化かつ高
価であり、また有毒なフッ素ガスを使うためメインテナ
ンスが容易でないという問題があった。
ーザでは、この波長帯での色消しレンズの制作が困難な
ためにそのスペクトル線幅を1pm以下に狭帯域化する必
要があり、またこの狭帯域化に伴ってレーザビームの空
間的コヒーレンスが上がる結果スペックルが発生すると
いう問題があった。またエキシマレーザは大型化かつ高
価であり、また有毒なフッ素ガスを使うためメインテナ
ンスが容易でないという問題があった。
【0004】そこで、特開平8−334803号公報
や、特開平9−148658号公報にはエキシマレーザ
に変わる露光装置用光源として、多数のレーザ要素と波
長変換要素とをアレー状に形成して、コヒーレンス性の
低い固体紫外アレーレーザが提案されている。これらの
公報に開示された紫外レーザ光源は、狭帯域の光を得る
ためにアレーを構成する個々のレーザ要素(レーザ発振
器)にインジェクションシード(あるいはインジェクショ
ンロック)の手法を用いている。
や、特開平9−148658号公報にはエキシマレーザ
に変わる露光装置用光源として、多数のレーザ要素と波
長変換要素とをアレー状に形成して、コヒーレンス性の
低い固体紫外アレーレーザが提案されている。これらの
公報に開示された紫外レーザ光源は、狭帯域の光を得る
ためにアレーを構成する個々のレーザ要素(レーザ発振
器)にインジェクションシード(あるいはインジェクショ
ンロック)の手法を用いている。
【0005】また、Qスイッチパルスレーザにおいて、
インジェクションシードによりパルスレーザの発振周波
数をシードレーザの光周波数に同調させる場合の、周波
数同調の有効性あるいは無効性を判断する方法として、
発振タイミングの変化を用いる方法(”Solid-State
Laser Engineering”,Walter Koecher,Springer,
Chapter5,Section2)が知られている。
インジェクションシードによりパルスレーザの発振周波
数をシードレーザの光周波数に同調させる場合の、周波
数同調の有効性あるいは無効性を判断する方法として、
発振タイミングの変化を用いる方法(”Solid-State
Laser Engineering”,Walter Koecher,Springer,
Chapter5,Section2)が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、例えば前記公
報記載の紫外アレーレーザにおいて、インジェクション
シード(あるいはインジェクションロック)によってアレ
ー全体の発振周波数を一定の範囲内とし、その波長の単
一性をより高めるためには、アレーを構成する個々のレ
ーザ発振器の共振器長を、理想値からのずれをはかって
正しい値に制御する必要があった。しかし前記公報で
は、各レーザ発振器の共振器長の制御については言及さ
れていない。
報記載の紫外アレーレーザにおいて、インジェクション
シード(あるいはインジェクションロック)によってアレ
ー全体の発振周波数を一定の範囲内とし、その波長の単
一性をより高めるためには、アレーを構成する個々のレ
ーザ発振器の共振器長を、理想値からのずれをはかって
正しい値に制御する必要があった。しかし前記公報で
は、各レーザ発振器の共振器長の制御については言及さ
れていない。
【0007】また、Qスイッチパルスレーザにおいて、
シーディングの有効無効性判断に発振タイミングの変化
を用いる方法では、パルスレーザ発振器の共振器長が理
想値からどの程度ずれているのか、また、ずれの方向は
共振器長が理想値より長い方向なのか、あるいは短い方
向なのかを判断することが困難であった。このことは特
に複数のレーザ要素を駆動し、その出力を結合して用い
るレーザ装置にとって光波長の単一性を高めるうえで問
題であった。
シーディングの有効無効性判断に発振タイミングの変化
を用いる方法では、パルスレーザ発振器の共振器長が理
想値からどの程度ずれているのか、また、ずれの方向は
共振器長が理想値より長い方向なのか、あるいは短い方
向なのかを判断することが困難であった。このことは特
に複数のレーザ要素を駆動し、その出力を結合して用い
るレーザ装置にとって光波長の単一性を高めるうえで問
題であった。
【0008】本発明は係る問題に鑑てなされたものであ
り、レーザ発振器の共振器長の理想値とのずれとその方
向を検出し、共振器長の制御を高精度に行うことにより
レーザ発振器の発振周波数をある基準の光の周波数に同
調させて発振させることができるレーザ装置及びその発
振周波数の制御方法を提供することを目的とする。
り、レーザ発振器の共振器長の理想値とのずれとその方
向を検出し、共振器長の制御を高精度に行うことにより
レーザ発振器の発振周波数をある基準の光の周波数に同
調させて発振させることができるレーザ装置及びその発
振周波数の制御方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係るレーザ装置は、共振器長を変化させる
共振器長可変手段を備えるレーザ発振器と、このレーザ
発振器にモニター光を入射するモニター光入射手段と、
モニター光およびレーザ発振器から射出されたレーザ光
を入射させ、少なくともモニター光と同じ周波数の光を
選択する選択周波数を有し、前記選択周波数の帯域幅は
前記レーザ発振器の発振可能な周波数のうち所望の周波
数の光のみを選択する幅を有する周波数選択手段と、こ
の周波数選択手段で選択されたモニター光およびレーザ
光の強度をそれぞれ検出する強度検出手段と、この強度
検出手段からの信号に基づいて前記共振器長可変手段を
制御する制御手段とを備えて構成する。
め、本発明に係るレーザ装置は、共振器長を変化させる
共振器長可変手段を備えるレーザ発振器と、このレーザ
発振器にモニター光を入射するモニター光入射手段と、
モニター光およびレーザ発振器から射出されたレーザ光
を入射させ、少なくともモニター光と同じ周波数の光を
選択する選択周波数を有し、前記選択周波数の帯域幅は
前記レーザ発振器の発振可能な周波数のうち所望の周波
数の光のみを選択する幅を有する周波数選択手段と、こ
の周波数選択手段で選択されたモニター光およびレーザ
光の強度をそれぞれ検出する強度検出手段と、この強度
検出手段からの信号に基づいて前記共振器長可変手段を
制御する制御手段とを備えて構成する。
【0010】また、本発明に係るレーザ装置の発振周波
数制御方法では、レーザ装置の発振周波数を所定の周波
数に同調させるレーザ装置の発振周波数制御方法におい
て、モニター光を周波数選択手段に入射し、周波数選択
手段で選択された周波数の光強度が最大になるように周
波数制御手段を制御し、制御された周波数選択手段に、
レーザ装置からのレーザ光を入射させ、周波数選択手段
で選択されたレーザ光の強度を検出し、レーザ光の強度
に基づいて、レーザ装置が所望の発振状態になるようレ
ーザ装置を制御することとしている。
数制御方法では、レーザ装置の発振周波数を所定の周波
数に同調させるレーザ装置の発振周波数制御方法におい
て、モニター光を周波数選択手段に入射し、周波数選択
手段で選択された周波数の光強度が最大になるように周
波数制御手段を制御し、制御された周波数選択手段に、
レーザ装置からのレーザ光を入射させ、周波数選択手段
で選択されたレーザ光の強度を検出し、レーザ光の強度
に基づいて、レーザ装置が所望の発振状態になるようレ
ーザ装置を制御することとしている。
【0011】この様な装置及び方法では、レーザ発振器
にモニター光を入射させ、更に周波数選択手段にも入射
する。また、レーザ発振器から発せられたレーザ光も周
波数選択手段に入射させる。そして周波数選択手段で選
択されたモニター光およびレーザ光の光強度をそれぞれ
検出し、レーザ光の光強度が所望の強度になるようにレ
ーザ発振器の共振器長を制御する。なお、この周波数選
択手段は、少なくともモニター光と同じ周波数の光を選
択する選択周波数を有し、前記選択周波数の帯域幅は前
記レーザ発振器の発振可能な周波数のうち所望の周波数
の光のみを選択する幅を有している。
にモニター光を入射させ、更に周波数選択手段にも入射
する。また、レーザ発振器から発せられたレーザ光も周
波数選択手段に入射させる。そして周波数選択手段で選
択されたモニター光およびレーザ光の光強度をそれぞれ
検出し、レーザ光の光強度が所望の強度になるようにレ
ーザ発振器の共振器長を制御する。なお、この周波数選
択手段は、少なくともモニター光と同じ周波数の光を選
択する選択周波数を有し、前記選択周波数の帯域幅は前
記レーザ発振器の発振可能な周波数のうち所望の周波数
の光のみを選択する幅を有している。
【0012】また、更に周波数選択手段の選択周波数を
所望の周波数に可変させるために、周波数選択手段を経
て強度検出手段で検出されるモニター光の光強度に応
じ、所望の光強度になるまで選択周波数を変化させる選
択周波数可変手段を備えることが好ましい。また、周波
数選択手段としてはエタロン板が好ましく、エタロン板
にモニター光及びレーザ光を入射させ、それぞれの透過
光強度をモニターすることによって、エタロン板の選択
周波数を確認したり、レーザ光の周波数がモニター光の
周波数と所望の関係を有しているかを確認することがで
きる。
所望の周波数に可変させるために、周波数選択手段を経
て強度検出手段で検出されるモニター光の光強度に応
じ、所望の光強度になるまで選択周波数を変化させる選
択周波数可変手段を備えることが好ましい。また、周波
数選択手段としてはエタロン板が好ましく、エタロン板
にモニター光及びレーザ光を入射させ、それぞれの透過
光強度をモニターすることによって、エタロン板の選択
周波数を確認したり、レーザ光の周波数がモニター光の
周波数と所望の関係を有しているかを確認することがで
きる。
【0013】また、本発明では、レーザ発振器の共振器
長を微小変化させながら、レーザ光の強度をモニターす
ることで、理想の周波数を発振させるためにレーザ発振
器の共振器長さをどの方向に調整すべきかがわかる。
長を微小変化させながら、レーザ光の強度をモニターす
ることで、理想の周波数を発振させるためにレーザ発振
器の共振器長さをどの方向に調整すべきかがわかる。
【0014】更に、本発明では、上述したレーザ装置を
複数備え、ある一つの光源から発せられたモニター光を
それぞれのレーザ発振器と周波数選択手段に入射させ
て、周波数選択手段によって選択された光強度を検出し
て、周波数選択手段の選択周波数を調整し、そしてレー
ザ光を周波数選択手段に入射して、周波数選択手段を経
た光強度を検出して、レーザ発振器の共振器長を調整す
ることで、それぞれのレーザ発振器から放射される光を
殆ど同じ周波数にすることができる。
複数備え、ある一つの光源から発せられたモニター光を
それぞれのレーザ発振器と周波数選択手段に入射させ
て、周波数選択手段によって選択された光強度を検出し
て、周波数選択手段の選択周波数を調整し、そしてレー
ザ光を周波数選択手段に入射して、周波数選択手段を経
た光強度を検出して、レーザ発振器の共振器長を調整す
ることで、それぞれのレーザ発振器から放射される光を
殆ど同じ周波数にすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以降、本発明に係るレーザ装置お
よびその発振周波数制御方法の実施の形態について図面
を用いて詳細に説明する。図1には本発明のレーザ装置
の第一の実施形態を示す。
よびその発振周波数制御方法の実施の形態について図面
を用いて詳細に説明する。図1には本発明のレーザ装置
の第一の実施形態を示す。
【0016】図1のレーザ装置1において、共振器長可
変手段40を備えるレーザ発振器10はQスイッチパル
スレーザであり、このレーザ媒質の利得幅内にある一定
波長で単一周波数発振を行わせるためインジェクション
シードが行われている。このレーザ発振器10にシード
光(モニター光)を入射させるモニター光入射手段は、マ
スターレーザ21及びこのマスターレーザ21から放射
された光をシード光としてレーザ発振器10に導く全反
射鏡22及び部分反射鏡23を備えて構成されている。
変手段40を備えるレーザ発振器10はQスイッチパル
スレーザであり、このレーザ媒質の利得幅内にある一定
波長で単一周波数発振を行わせるためインジェクション
シードが行われている。このレーザ発振器10にシード
光(モニター光)を入射させるモニター光入射手段は、マ
スターレーザ21及びこのマスターレーザ21から放射
された光をシード光としてレーザ発振器10に導く全反
射鏡22及び部分反射鏡23を備えて構成されている。
【0017】このシード光はレーザ発振器10内に注入
される光路の途中に設けられた周波数選択手段であるエ
タロン板31を透過し、その透過光の一部は部分反射鏡
23を透過してシード光の透過光検出器32で透過光強
度が検出される。エタロン板31の透過周波数を制御す
るコントローラ35は、このシード光の透過強度が最大
となるようにエタロン板の温度等を制御する。またイン
ジェクションシーディングされパルス発振したレーザ発
振器10からのレーザ光は、部分反射鏡23でその一部
が反射されエタロン31を透過したのち部分反射鏡61
を介して透過光検出器33でその透過光強度が検出され
る。
される光路の途中に設けられた周波数選択手段であるエ
タロン板31を透過し、その透過光の一部は部分反射鏡
23を透過してシード光の透過光検出器32で透過光強
度が検出される。エタロン板31の透過周波数を制御す
るコントローラ35は、このシード光の透過強度が最大
となるようにエタロン板の温度等を制御する。またイン
ジェクションシーディングされパルス発振したレーザ発
振器10からのレーザ光は、部分反射鏡23でその一部
が反射されエタロン31を透過したのち部分反射鏡61
を介して透過光検出器33でその透過光強度が検出され
る。
【0018】制御手段たる発振周波数制御コントローラ
51は、レーザ発振器10の共振器長可変手段40に対
して共振器長の変位信号を出力し、共振器長を変化させ
たときの透過光検出器33で検出される透過光強度変化
から共振器長のずれの方向とずれ量を算出し、透過光検
出器33の透過光強度が最大となるように共振器長を制
御する。
51は、レーザ発振器10の共振器長可変手段40に対
して共振器長の変位信号を出力し、共振器長を変化させ
たときの透過光検出器33で検出される透過光強度変化
から共振器長のずれの方向とずれ量を算出し、透過光検
出器33の透過光強度が最大となるように共振器長を制
御する。
【0019】以下、この実施形態についてより詳細に説
明する。図1に示すレーザ装置ではレーザ発振器10と
して共振器長60mm発振波長1.06μmのパルス発振を行う
QスイッチNd3+ドープYVO4レーザを用いた例を示
す。このQスイッチNd:YVO4レーザは励起源として
の発振波長0.8μm帯の半導体レーザ及びそのビーム整形
光学素子等からなるLDブロック15を備え、レーザ媒
体であるNd3+ドープYVO4結晶13の片面(LDブロ
ック15側)には波長1.06μmの光に対し高い反射率を有
し波長0.8μmの光を透過する光学薄膜が形成される。そ
してLDブロックの光はこの膜を通過してエンドポンプ
される。またQスイッチ素子14を挟んでレーザ光の射
出側には出力ミラー12が配設され、このレーザ発振器
10の共振器は出力ミラー12とレーザ媒質13に形成
された光学薄膜とで構成されている。
明する。図1に示すレーザ装置ではレーザ発振器10と
して共振器長60mm発振波長1.06μmのパルス発振を行う
QスイッチNd3+ドープYVO4レーザを用いた例を示
す。このQスイッチNd:YVO4レーザは励起源として
の発振波長0.8μm帯の半導体レーザ及びそのビーム整形
光学素子等からなるLDブロック15を備え、レーザ媒
体であるNd3+ドープYVO4結晶13の片面(LDブロ
ック15側)には波長1.06μmの光に対し高い反射率を有
し波長0.8μmの光を透過する光学薄膜が形成される。そ
してLDブロックの光はこの膜を通過してエンドポンプ
される。またQスイッチ素子14を挟んでレーザ光の射
出側には出力ミラー12が配設され、このレーザ発振器
10の共振器は出力ミラー12とレーザ媒質13に形成
された光学薄膜とで構成されている。
【0020】このようにして構成されるレーザ発振器1
0の出力ミラー12には共振器長を変化させる共振器長
可変手段として圧電素子(ピエゾ素子:PZT)41が取
り付けられており、レーザ発振器10の外部に設けられ
たPZTドライバー42からの電圧印加によって光共振
器の光軸方向に駆動される。なお、圧電素子41は中空
円筒状のものを使用しており中空部分をレーザ光が通っ
ている。本実施例では印加電圧に対する変位量が1×1
0-2μm/1Vのピエゾ素子を用いた。
0の出力ミラー12には共振器長を変化させる共振器長
可変手段として圧電素子(ピエゾ素子:PZT)41が取
り付けられており、レーザ発振器10の外部に設けられ
たPZTドライバー42からの電圧印加によって光共振
器の光軸方向に駆動される。なお、圧電素子41は中空
円筒状のものを使用しており中空部分をレーザ光が通っ
ている。本実施例では印加電圧に対する変位量が1×1
0-2μm/1Vのピエゾ素子を用いた。
【0021】一方、シード光の光源であるマスターレー
ザ21は、発振波長1.06μmで、安定化された単一周波
数のCWレーザを用いる。このようなレーザ光源とし
て、例えばDFB半導体レーザやモノリシックNd:Y
AGレーザ,MISER型Nd:YAGレーザ等を用い
ることができる。この光はレーザ発振器10に入射させ
るシード光としての他に、次に述べるエタロン板31の
共鳴周波数を制御するためのモニター光としても用いら
れる。
ザ21は、発振波長1.06μmで、安定化された単一周波
数のCWレーザを用いる。このようなレーザ光源とし
て、例えばDFB半導体レーザやモノリシックNd:Y
AGレーザ,MISER型Nd:YAGレーザ等を用い
ることができる。この光はレーザ発振器10に入射させ
るシード光としての他に、次に述べるエタロン板31の
共鳴周波数を制御するためのモニター光としても用いら
れる。
【0022】ところで、この単一周波数のシード光は全
反射鏡22,部分反射鏡61を介してエタロン板31に
入射する。なお、エタロン板31の共鳴周波数がシード
光の光波長と一致するよう、エタロン板31の温度を設
定している。このエタロン板31の透過波長制御は、エ
タロン板31を透過するシード光の透過光強度を透過光
検出器(ディテクタ)32で検出し、透過光強度が最大と
なるようにエタロン板31の温度を±0.01℃程度の精度
で設定する。
反射鏡22,部分反射鏡61を介してエタロン板31に
入射する。なお、エタロン板31の共鳴周波数がシード
光の光波長と一致するよう、エタロン板31の温度を設
定している。このエタロン板31の透過波長制御は、エ
タロン板31を透過するシード光の透過光強度を透過光
検出器(ディテクタ)32で検出し、透過光強度が最大と
なるようにエタロン板31の温度を±0.01℃程度の精度
で設定する。
【0023】エタロン板31を透過した単一周波数のシ
ード光は、部分反射鏡23で一部が反射されレーザ発振
器10の共振器内に注入される。そして、電気光学変調
器(EOM)や音響光学変調器(AOM)等のQスイッチ素
子の作動により、Q値が高められたとき、共振器内の損
失が小さくなりシード光周波数と最も近い縦モードで単
一周波数発振を行う。
ード光は、部分反射鏡23で一部が反射されレーザ発振
器10の共振器内に注入される。そして、電気光学変調
器(EOM)や音響光学変調器(AOM)等のQスイッチ素
子の作動により、Q値が高められたとき、共振器内の損
失が小さくなりシード光周波数と最も近い縦モードで単
一周波数発振を行う。
【0024】このインジェクションシードをより有効に
動作させるためには、共振器によって定まる縦モードを
シード光の光周波数と一致するように、レーザ発振器1
0の共振器長を制御する必要がある。
動作させるためには、共振器によって定まる縦モードを
シード光の光周波数と一致するように、レーザ発振器1
0の共振器長を制御する必要がある。
【0025】図2には、共振器長L=60mmのときのレー
ザ発振器の共振器縦モード(細い実線)と利得媒体の利得
の広がり(太い実線)との関係を横軸周波数の関数として
示す。なお、この図は光共振器の高反射ミラー(レーザ
媒質13に形成された波長1.06μmに対する光学薄膜)の
反射率をR1=99.7%,出力ミラー12の反射率をR2=
70%として計算したものである。
ザ発振器の共振器縦モード(細い実線)と利得媒体の利得
の広がり(太い実線)との関係を横軸周波数の関数として
示す。なお、この図は光共振器の高反射ミラー(レーザ
媒質13に形成された波長1.06μmに対する光学薄膜)の
反射率をR1=99.7%,出力ミラー12の反射率をR2=
70%として計算したものである。
【0026】この図から、このレーザ発振器10の共振
器の縦モード間隔は2.1GHzであり、利得媒体(この実施
例ではYVO4結晶中にドープされたNd3+)の利得幅(約
15GHz)内に複数の縦モードが入っている。従って、イン
ジェクションシードを行うことなくレーザ発振させたと
きには、この利得幅内の複数の共振モード(周波数)で発
振し得る。
器の縦モード間隔は2.1GHzであり、利得媒体(この実施
例ではYVO4結晶中にドープされたNd3+)の利得幅(約
15GHz)内に複数の縦モードが入っている。従って、イン
ジェクションシードを行うことなくレーザ発振させたと
きには、この利得幅内の複数の共振モード(周波数)で発
振し得る。
【0027】このレーザに単一周波数のシード光を注入
(シーディング)すると、レーザ発振器10の共振器縦モ
ードのうち、いずれかがこのシード光の周波数とほぼ一
致する場合には、この周波数で単一波長発振を行う。こ
れがインジェクションシードの機構であるが、インジェ
クションシードはこのシード光の周波数と最も近い共振
器縦モード周波数との間に多少の周波数差があっても
(離調していても)機能する。インジェクションシードが
機能する同期可能な周波数の範囲(同期幅)をインジェク
ションシードのキャプチャー・レンジと定義する。な
お、本実施形態におけるインジェクションシードのキャ
プチャー・レンジは250〜400 MHzである。
(シーディング)すると、レーザ発振器10の共振器縦モ
ードのうち、いずれかがこのシード光の周波数とほぼ一
致する場合には、この周波数で単一波長発振を行う。こ
れがインジェクションシードの機構であるが、インジェ
クションシードはこのシード光の周波数と最も近い共振
器縦モード周波数との間に多少の周波数差があっても
(離調していても)機能する。インジェクションシードが
機能する同期可能な周波数の範囲(同期幅)をインジェク
ションシードのキャプチャー・レンジと定義する。な
お、本実施形態におけるインジェクションシードのキャ
プチャー・レンジは250〜400 MHzである。
【0028】レーザ発振器10で発振したレーザ光は部
分反射鏡23で一部が反射され、シード光と同軸にエタ
ロン板31に入射し、その透過光は部分反射鏡61で反
射され透過光検出器33で検出される。ここで、エタロ
ン板31の共鳴周波数は前述のようにシード光の波長で
透過強度が最大となるように調整されている。従って、
レーザ発振器10の発振周波数とシード光の周波数とが
一致した状態では透過光検出器33により検出される透
過光強度が最大となる。すなわち、この透過光強度を検
出することにより、レーザ発振器10の発振周波数とシ
ード光の周波数とのずれを検出することができる。
分反射鏡23で一部が反射され、シード光と同軸にエタ
ロン板31に入射し、その透過光は部分反射鏡61で反
射され透過光検出器33で検出される。ここで、エタロ
ン板31の共鳴周波数は前述のようにシード光の波長で
透過強度が最大となるように調整されている。従って、
レーザ発振器10の発振周波数とシード光の周波数とが
一致した状態では透過光検出器33により検出される透
過光強度が最大となる。すなわち、この透過光強度を検
出することにより、レーザ発振器10の発振周波数とシ
ード光の周波数とのずれを検出することができる。
【0029】ここで、共振器長のずれをレーザ光の透過
強度で検出するに際し、エタロン板31が満たすべき条
件は、(a)エタロン板の自由スペクトル空間(FSR)
が、Qスイッチレーザの利得幅よりも広いこと、(b)透
過スペクトル幅δが、インジェクションシードのキャプ
チャー・レンジと同程度であること、である。すなわ
ち、前者はエタロン板31がレーザの発振波長領域内に
2本以上の次数の共鳴波長を持たないことであり、後者
はインジェクションシードを行ったときに引き込み可能
な周波数域を透過する幅を持つことを意味する。
強度で検出するに際し、エタロン板31が満たすべき条
件は、(a)エタロン板の自由スペクトル空間(FSR)
が、Qスイッチレーザの利得幅よりも広いこと、(b)透
過スペクトル幅δが、インジェクションシードのキャプ
チャー・レンジと同程度であること、である。すなわ
ち、前者はエタロン板31がレーザの発振波長領域内に
2本以上の次数の共鳴波長を持たないことであり、後者
はインジェクションシードを行ったときに引き込み可能
な周波数域を透過する幅を持つことを意味する。
【0030】本実施例では、厚さl=2mmのBK7製の
エタロン板を用いる場合について記述する。まず自由ス
ペクトル空間FSRは、
エタロン板を用いる場合について記述する。まず自由ス
ペクトル空間FSRは、
【0031】
【数1】 FSR=c/(2nl) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(1) ここで、c:エタロン板中での光速 n:エタロン板の屈折率(BK7ではn=1.5) l:板厚(l=2mm) これらから本実施例ではFSR=60 GHzであり、レーザ
媒質の利得(約15 GHz)に比較して十分大きい。従って上
記条件(a)を満足する。
媒質の利得(約15 GHz)に比較して十分大きい。従って上
記条件(a)を満足する。
【0032】
【数2】エタロン板のフィフネスFは、 F=π√R/(1−R) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(2) ここで、R:エタロン板両面の反射率でR=0.98を用い
た。このときフィフネスはF=156となる。
た。このときフィフネスはF=156となる。
【0033】
【数3】透過スペクトル幅δは、 δ=FSR/F ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(3)
【0034】これから、δ=385 MHzであり、このレー
ザ発振器10におけるインジェクションシードのキャプ
チャー・レンジ250〜400 MHzと同程度である。従って上
記条件(b)を満足する。
ザ発振器10におけるインジェクションシードのキャプ
チャー・レンジ250〜400 MHzと同程度である。従って上
記条件(b)を満足する。
【0035】このようにして、上記条件(a)(b)を満た
すこのエタロン板31の透過率を図3に示す。図の横軸
は、中心周波数を0として、その周波数からの差を示し
ている。
すこのエタロン板31の透過率を図3に示す。図の横軸
は、中心周波数を0として、その周波数からの差を示し
ている。
【0036】このようにしてエタロン板31は、シード
光の光波長とレーザ光の発振波長とが一致したとき(す
なわち図3における横軸が0のとき)に透過光検出器3
3で検出される透過光強度が最大となる。従って、この
透過光強度が最大となるように共振器長可変手段40を
用いて共振器長を制御することによってシード光と同一
の単一周波数でレーザ発振させることができる。
光の光波長とレーザ光の発振波長とが一致したとき(す
なわち図3における横軸が0のとき)に透過光検出器3
3で検出される透過光強度が最大となる。従って、この
透過光強度が最大となるように共振器長可変手段40を
用いて共振器長を制御することによってシード光と同一
の単一周波数でレーザ発振させることができる。
【0037】なお、更に本実施の形態では、現在の共振
器長が理想値に対し長い方なのか短い方なのかを判断す
るため、発振周波数制御コントローラ51はPZTドラ
イバ42を介してピエゾ素子41への印加電圧を例えば
±0.5V程度の微少振り幅で微少変位させ、このときに透
過光検出器33で検出される透過光強度の変化を参照し
ている。そして、共振器長が理想値に近づくように、す
なわち透過光強度がより大きくなる方向に、ピエゾ素子
41への印加電圧を変化させながら共振器長の制御を行
う。そして、この制御を常時繰り返して行うことによ
り、レーザ発振器10の発振周波数をシード光の周波数
に一致させて、所望の周波数で単一周波数発振を実現す
ることができる。
器長が理想値に対し長い方なのか短い方なのかを判断す
るため、発振周波数制御コントローラ51はPZTドラ
イバ42を介してピエゾ素子41への印加電圧を例えば
±0.5V程度の微少振り幅で微少変位させ、このときに透
過光検出器33で検出される透過光強度の変化を参照し
ている。そして、共振器長が理想値に近づくように、す
なわち透過光強度がより大きくなる方向に、ピエゾ素子
41への印加電圧を変化させながら共振器長の制御を行
う。そして、この制御を常時繰り返して行うことによ
り、レーザ発振器10の発振周波数をシード光の周波数
に一致させて、所望の周波数で単一周波数発振を実現す
ることができる。
【0038】なお、レーザ発振器10の共振器長が理想
値になったときには、透過光強度は最大値となるが、本
実施例の制御方法においてはそこが最適値かどうかを判
断するためピエゾ素子41への印加電圧を常に微少量変
化させているため、共振器長もこの振り幅に対応する範
囲で常に変化することとなる。
値になったときには、透過光強度は最大値となるが、本
実施例の制御方法においてはそこが最適値かどうかを判
断するためピエゾ素子41への印加電圧を常に微少量変
化させているため、共振器長もこの振り幅に対応する範
囲で常に変化することとなる。
【0039】この印加電圧の変化量(±0.5V)に対応する
共振器長の変化量は、本実施例では5×10-3μmであり、
この変位に対するレーザ発振器10の発振周波数の変化
は±18 MHzである。換言すれば、この制御方法によれば
±18 MHzの精度でレーザ発振器10の発振周波数が制御
できることを示している。
共振器長の変化量は、本実施例では5×10-3μmであり、
この変位に対するレーザ発振器10の発振周波数の変化
は±18 MHzである。換言すれば、この制御方法によれば
±18 MHzの精度でレーザ発振器10の発振周波数が制御
できることを示している。
【0040】この発振波長の制御幅は、露光装置を含む
マイクロマシニンイングや検査機等のように狭帯域化さ
れたレーザ光を必要とする応用分野においても、十分小
さい周波数幅である。なお、発振レーザ光のさらなる狭
帯域化は、透過光強度の測定精度を向上させ、またピエ
ゾ素子41への印加電圧の振り幅をさらに小さくするこ
とにより可能となる。
マイクロマシニンイングや検査機等のように狭帯域化さ
れたレーザ光を必要とする応用分野においても、十分小
さい周波数幅である。なお、発振レーザ光のさらなる狭
帯域化は、透過光強度の測定精度を向上させ、またピエ
ゾ素子41への印加電圧の振り幅をさらに小さくするこ
とにより可能となる。
【0041】図4および図5には、本実施例に示した手
法により発振周波数制御を行った実験結果を示す。図4
は、レーザ発振器10の出力レーザ光をスペクトラムア
ナライザで分析した結果であり、発振周波数のスペクト
ルを示す。この計測結果から、発振周波数の周波数幅は
半値全幅(FWHM)63 MHzで単一周波数発振を行ってい
ることが確認される。
法により発振周波数制御を行った実験結果を示す。図4
は、レーザ発振器10の出力レーザ光をスペクトラムア
ナライザで分析した結果であり、発振周波数のスペクト
ルを示す。この計測結果から、発振周波数の周波数幅は
半値全幅(FWHM)63 MHzで単一周波数発振を行ってい
ることが確認される。
【0042】また、図5(a)(b)は、発振周波数の時間
変動および個々の発振周波数における周波数幅を9分間
にわたり測定したものであり、図中の黒丸が発振周波数
(中心値)を、この黒丸の上下にこの周波数での発振周波
数幅をバーで示している。なお、図5(b)は図5(a)の
縦軸を拡大して示したものである。
変動および個々の発振周波数における周波数幅を9分間
にわたり測定したものであり、図中の黒丸が発振周波数
(中心値)を、この黒丸の上下にこの周波数での発振周波
数幅をバーで示している。なお、図5(b)は図5(a)の
縦軸を拡大して示したものである。
【0043】まず、図5(a)に示したように、本実施例
の発振周波数制御を行った結果、全計測範囲中98%の確
率で一定周波数での単一周波数発振を行っていることが
確認された。なお、発振周波数制御を外れる場合が2%
の確率で観測されたが、これは主に本計測における実験
条件の制約から発生したものであり、本実施例の本質的
性能を表すものではない。また、この時間領域全体での
発振周波数の変動幅は図5(b)から約155 MHz(標準偏
差)であり、この周波数範囲で発振周波数制御が良好に
作用していることが確認される。
の発振周波数制御を行った結果、全計測範囲中98%の確
率で一定周波数での単一周波数発振を行っていることが
確認された。なお、発振周波数制御を外れる場合が2%
の確率で観測されたが、これは主に本計測における実験
条件の制約から発生したものであり、本実施例の本質的
性能を表すものではない。また、この時間領域全体での
発振周波数の変動幅は図5(b)から約155 MHz(標準偏
差)であり、この周波数範囲で発振周波数制御が良好に
作用していることが確認される。
【0044】次に、本発明に係るレーザ装置およびその
発振周波数制御方法の第二の実施の形態について、図6
を参照して説明する。まず、本実施の形態において、波
長可変手段40を備えるレーザ発振器10と、このレー
ザ発振器10にモニター光(シード光)を入射させるモニ
ター光入射手段(21〜23)、透過波長可変手段(エタ
ロン板温度コントローラ)35を備えるエタロン板31
等の装置の構成は、前記第一の実施の形態と同一の構成
である。
発振周波数制御方法の第二の実施の形態について、図6
を参照して説明する。まず、本実施の形態において、波
長可変手段40を備えるレーザ発振器10と、このレー
ザ発振器10にモニター光(シード光)を入射させるモニ
ター光入射手段(21〜23)、透過波長可変手段(エタ
ロン板温度コントローラ)35を備えるエタロン板31
等の装置の構成は、前記第一の実施の形態と同一の構成
である。
【0045】そして、本実施形態におけるレーザ装置2
が第1の実施の形態であるレーザ装置1と異なる点は、
本実施形態においてはレーザ発振器10光とシード光と
が互いに角度θをなしてエタロン板に入射させる点、及
び部分反射鏡23を透過したシード光が折り返し鏡6
2,63,64を反射して、透過光検出器32に入射し
ている点である。
が第1の実施の形態であるレーザ装置1と異なる点は、
本実施形態においてはレーザ発振器10光とシード光と
が互いに角度θをなしてエタロン板に入射させる点、及
び部分反射鏡23を透過したシード光が折り返し鏡6
2,63,64を反射して、透過光検出器32に入射し
ている点である。
【0046】このシード光は折り返し鏡62,63,6
4で折り返されてエタロン板31を透過し、その透過光
はシード光の透過光検出器32で透過光強度が検出され
る。エタロン板31のコントローラ35は、シード光の
透過強度が最大となるように透過波長を制御する。また
インジェクションシーディングされパルス発振したレー
ザ光は部分反射鏡23でその一部が反射され反射鏡61
で反射されシード光と角度θをなしてエタロン板31に
入射し、この透過光は透過光検出器33でその透過光強
度が検出される。
4で折り返されてエタロン板31を透過し、その透過光
はシード光の透過光検出器32で透過光強度が検出され
る。エタロン板31のコントローラ35は、シード光の
透過強度が最大となるように透過波長を制御する。また
インジェクションシーディングされパルス発振したレー
ザ光は部分反射鏡23でその一部が反射され反射鏡61
で反射されシード光と角度θをなしてエタロン板31に
入射し、この透過光は透過光検出器33でその透過光強
度が検出される。
【0047】制御手段たる発振周波数制御コントローラ
51は、レーザ発振器10の出力ミラー12に取り付け
られたピエゾ素子41を駆動するPZTドライバ42に
対して共振器長の変位信号を出力し、共振器長を微少変
化させたときのレーザ発振器10の透過光強度変化から
共振器長のずれの方向とずれ量を算出し、この透過光強
度が最適となるように共振器長を制御する。
51は、レーザ発振器10の出力ミラー12に取り付け
られたピエゾ素子41を駆動するPZTドライバ42に
対して共振器長の変位信号を出力し、共振器長を微少変
化させたときのレーザ発振器10の透過光強度変化から
共振器長のずれの方向とずれ量を算出し、この透過光強
度が最適となるように共振器長を制御する。
【0048】ここで、Qスイッチレーザ光のエタロン板
31への入射角が0度ではなく、シード光と角度θをな
していることから、シード光と同一の周波数で入射させ
た場合であってもその透過光強度は最大値とならない。
そこで、前記第一の実施形態と同一のエタロン板31を
用い、本実施形態における入射角θ=1.18 mradとした
場合の、入射光の周波数に対するエタロン板31の透過
率を計算した結果を図7に示す。
31への入射角が0度ではなく、シード光と角度θをな
していることから、シード光と同一の周波数で入射させ
た場合であってもその透過光強度は最大値とならない。
そこで、前記第一の実施形態と同一のエタロン板31を
用い、本実施形態における入射角θ=1.18 mradとした
場合の、入射光の周波数に対するエタロン板31の透過
率を計算した結果を図7に示す。
【0049】この図7は、既に示した図3と同様に中心
周波数を単一周波数レーザの発振周波数としたときの周
波数の変化に対する透過率の変化を示している。すなわ
ち、単一周波数レーザの光(シード光)の透過光強度が最
大となるようにエタロン板31の温度を制御した状態
で、レーザ発振器10光を入射角θ=1.18 mradでこの
エタロン板31に入射させたときに、透過光検出器33
で検出されるレーザ光の透過光強度は、その発振周波数
の差に応じこの透過特性に従って変化する。
周波数を単一周波数レーザの発振周波数としたときの周
波数の変化に対する透過率の変化を示している。すなわ
ち、単一周波数レーザの光(シード光)の透過光強度が最
大となるようにエタロン板31の温度を制御した状態
で、レーザ発振器10光を入射角θ=1.18 mradでこの
エタロン板31に入射させたときに、透過光検出器33
で検出されるレーザ光の透過光強度は、その発振周波数
の差に応じこの透過特性に従って変化する。
【0050】このように、本実施形態においてはシード
光の光波長とレーザ発振器10からのレーザ光の発振波
長とが一致したとき(図3における横軸が0のとき)でも
透過光検出器33で検出される透過光強度は最大値とな
らず、透過率T0=0.5となる。また一方、この一致領域
近傍では入射光の周波数変化に対する透過率の変化は単
調変化(単調増加もしくは単調減少)を示す。
光の光波長とレーザ発振器10からのレーザ光の発振波
長とが一致したとき(図3における横軸が0のとき)でも
透過光検出器33で検出される透過光強度は最大値とな
らず、透過率T0=0.5となる。また一方、この一致領域
近傍では入射光の周波数変化に対する透過率の変化は単
調変化(単調増加もしくは単調減少)を示す。
【0051】従って、本実施形態によれば、第一の実施
形態のように透過光強度が最大値か否かを判断するため
に出力ミラー12を常時微少変位させる必要がなく、透
過光検出器33によって検出されるレーザ発振器10光
の透過光強度が透過率T=0.5に対応する値となるよう
に、共振器長可変手段40を用いて共振器長の制御を行
えばよい。そしてこのような方法によれば、レーザ発振
器10の発振周波数をシード光の周波数に高精度に一致
させることができる。
形態のように透過光強度が最大値か否かを判断するため
に出力ミラー12を常時微少変位させる必要がなく、透
過光検出器33によって検出されるレーザ発振器10光
の透過光強度が透過率T=0.5に対応する値となるよう
に、共振器長可変手段40を用いて共振器長の制御を行
えばよい。そしてこのような方法によれば、レーザ発振
器10の発振周波数をシード光の周波数に高精度に一致
させることができる。
【0052】なお、透過光検出器33によって検出され
るレーザ発振器10からのレーザ光の透過光強度が透過
率T=0.5に対応する値であるかどうかの判断は、例え
ば、共振器長可変手段によりその発振条件での最大透過
光強度を予め検出し、この最大透過光強度に対して1/2
となる透過光強度を用いる方法のほか、共振器長を微少
変化させたときの透過光強度の変化(微分値)から前記透
過特性における透過率を算出する方法、レーザ発振器1
0の発振全パワー計測値との比例関係から算出する方法
等を用いることができる。
るレーザ発振器10からのレーザ光の透過光強度が透過
率T=0.5に対応する値であるかどうかの判断は、例え
ば、共振器長可変手段によりその発振条件での最大透過
光強度を予め検出し、この最大透過光強度に対して1/2
となる透過光強度を用いる方法のほか、共振器長を微少
変化させたときの透過光強度の変化(微分値)から前記透
過特性における透過率を算出する方法、レーザ発振器1
0の発振全パワー計測値との比例関係から算出する方法
等を用いることができる。
【0053】次に、本発明に係るレーザ装置およびその
発振周波数制御方法の第三の実施の形態について説明す
る。図8に示すこの実施形態は、本出願人にかかる特開
平8−334803号公報に開示された紫外レーザ光源
について、この光源を構成する各レーザユニット(レー
ザ発振器)に対して本発明の第一の実施形態を適用した
実施例である。
発振周波数制御方法の第三の実施の形態について説明す
る。図8に示すこの実施形態は、本出願人にかかる特開
平8−334803号公報に開示された紫外レーザ光源
について、この光源を構成する各レーザユニット(レー
ザ発振器)に対して本発明の第一の実施形態を適用した
実施例である。
【0054】図8に示すこの実施例に示すレーザ装置3
では、共振器長可変手段を備えるレーザ発振器がユニッ
ト状に形成されており、この実施例においては縦横に10
×10=100個のレーザユニットが配置されてレーザユニ
ット本体が構成されている。この個々のレーザユニット
11はQスイッチパルスレーザであり、これらに対して
一定波長で単一周波数発振を行わせるためインジェクシ
ョンシードを行う。
では、共振器長可変手段を備えるレーザ発振器がユニッ
ト状に形成されており、この実施例においては縦横に10
×10=100個のレーザユニットが配置されてレーザユニ
ット本体が構成されている。この個々のレーザユニット
11はQスイッチパルスレーザであり、これらに対して
一定波長で単一周波数発振を行わせるためインジェクシ
ョンシードを行う。
【0055】このため、これら各レーザユニット11に
対してシード光を入射させるモニター光入射手段は、各
ユニットに共通の1台の狭帯域化されたマスターレーザ
21およびこのマスターレーザ21からの光をシード光
として各レーザユニットに導く各レーザユニットごとに
設けられた部分反射鏡23を備えて構成されている。な
お図8ではアレーを構成する1ユニットについてのみ表
示する。
対してシード光を入射させるモニター光入射手段は、各
ユニットに共通の1台の狭帯域化されたマスターレーザ
21およびこのマスターレーザ21からの光をシード光
として各レーザユニットに導く各レーザユニットごとに
設けられた部分反射鏡23を備えて構成されている。な
お図8ではアレーを構成する1ユニットについてのみ表
示する。
【0056】シード光は各レーザユニット11に注入さ
れる途中に設けられたエタロン板31を透過し、その透
過光の一部は部分反射鏡23を透過してシード光の透過
光検出器32で透過光強度が検出される。エタロン板3
1のコントローラ35は、このシード光の透過強度が最
大となるように透過波長を制御する。またインジェクシ
ョンシーディングされパルス発振したレーザ光は部分反
射鏡23でその一部が反射されエタロン板31を透過し
たのち透過光検出器33でその透過鏡光強度が検出され
る。
れる途中に設けられたエタロン板31を透過し、その透
過光の一部は部分反射鏡23を透過してシード光の透過
光検出器32で透過光強度が検出される。エタロン板3
1のコントローラ35は、このシード光の透過強度が最
大となるように透過波長を制御する。またインジェクシ
ョンシーディングされパルス発振したレーザ光は部分反
射鏡23でその一部が反射されエタロン板31を透過し
たのち透過光検出器33でその透過鏡光強度が検出され
る。
【0057】制御手段たる発振周波数制御コントローラ
51は、各レーザユニットの共振器長可変手段に対して
共振器長の変位信号を出力し、共振器長を変化させたと
きの各レーザユニットの透過光強度変化から共振器長の
ずれの方向とずれ量を算出し、この透過光強度が最大と
なるように共振器長を制御する。
51は、各レーザユニットの共振器長可変手段に対して
共振器長の変位信号を出力し、共振器長を変化させたと
きの各レーザユニットの透過光強度変化から共振器長の
ずれの方向とずれ量を算出し、この透過光強度が最大と
なるように共振器長を制御する。
【0058】このように構成されたレーザ装置3では、
同一のマスターレーザ21からのレーザ光を分岐させ
て、すべてのレーザユニット(レーザ発振器10)11に
インジェクションシードを行う。そしてレーザ装置を構
成するレーザユニット個々について透過光検出器33で
観測される透過光強度が最大となるように共振器長を制
御する。従って、各レーザユニットは第一の実施形態で
得られたと同一の精度でシード光の周波数に一致させて
発振させることができる。
同一のマスターレーザ21からのレーザ光を分岐させ
て、すべてのレーザユニット(レーザ発振器10)11に
インジェクションシードを行う。そしてレーザ装置を構
成するレーザユニット個々について透過光検出器33で
観測される透過光強度が最大となるように共振器長を制
御する。従って、各レーザユニットは第一の実施形態で
得られたと同一の精度でシード光の周波数に一致させて
発振させることができる。
【0059】この結果、各レーザユニットから出力され
るレーザ光を合成して得られるレーザ装置の出力光は、
個々のレーザユニットにおいてシード光の周波数ににほ
ぼ一致した狭帯域化された単一周波数のレーザ光である
ばかりでなく、レーザ装置全体としても単一周波数で狭
帯域化されたレーザ光として得ることができる。すなわ
ち、この実施例によれば、シード光の周波数にほぼ同調
して狭帯域化された単一周波数発振を行うアレイレーザ
を実現することができる。
るレーザ光を合成して得られるレーザ装置の出力光は、
個々のレーザユニットにおいてシード光の周波数ににほ
ぼ一致した狭帯域化された単一周波数のレーザ光である
ばかりでなく、レーザ装置全体としても単一周波数で狭
帯域化されたレーザ光として得ることができる。すなわ
ち、この実施例によれば、シード光の周波数にほぼ同調
して狭帯域化された単一周波数発振を行うアレイレーザ
を実現することができる。
【0060】次に、本発明に係るレーザ装置およびその
発振周波数制御方法の第四の実施の形態を図9に示す。
この実施形態は、前記のようなアレイレーザに対し、本
発明に係る第二の実施形態を適用した実施例である。
発振周波数制御方法の第四の実施の形態を図9に示す。
この実施形態は、前記のようなアレイレーザに対し、本
発明に係る第二の実施形態を適用した実施例である。
【0061】図9に示すこの実施例に示すレーザ装置4
では、共振器長可変手段を備えるレーザ発振器がユニッ
ト状に形成されており、この実施例においては縦横に10
×10=100個のレーザユニットが配置されてレーザユニ
ット本体が構成されている。この個々のレーザユニット
11はQスイッチパルスレーザであり、これらに対して
一定波長で単一周波数発振を行わせるためインジェクシ
ョンシードを行う。
では、共振器長可変手段を備えるレーザ発振器がユニッ
ト状に形成されており、この実施例においては縦横に10
×10=100個のレーザユニットが配置されてレーザユニ
ット本体が構成されている。この個々のレーザユニット
11はQスイッチパルスレーザであり、これらに対して
一定波長で単一周波数発振を行わせるためインジェクシ
ョンシードを行う。
【0062】このため、これら各レーザユニット11に
対してシード光を入射させるモニター光入射手段は、各
ユニットに共通の1台の狭帯域化されたマスターレーザ
21およびこのマスターレーザ21の光をシード光とし
て各レーザユニットに導く各レーザユニットごとに設け
られた部分反射鏡23を備えて構成されている。なお図
9ではアレーを構成する1ユニットについてのみ表示す
る。
対してシード光を入射させるモニター光入射手段は、各
ユニットに共通の1台の狭帯域化されたマスターレーザ
21およびこのマスターレーザ21の光をシード光とし
て各レーザユニットに導く各レーザユニットごとに設け
られた部分反射鏡23を備えて構成されている。なお図
9ではアレーを構成する1ユニットについてのみ表示す
る。
【0063】このシード光は折り返し鏡62,63,6
4で折り返されて周波数選択手段であるエタロン板31
を透過し、その透過光はシード光の透過光検出器32で
透過光強度が検出される。エタロン板31のコントロー
ラ35は、シード光の透過強度が最大となるように透過
波長を制御する。またインジェクションシーディングさ
れパルス発振したレーザ光は部分反射鏡23でその一部
が反射され反射鏡61で反射されシード光と角度θをな
してエタロン板31に入射し、この透過光はレーザユニ
ットの透過光検出器33でその透過鏡光強度が検出され
る。
4で折り返されて周波数選択手段であるエタロン板31
を透過し、その透過光はシード光の透過光検出器32で
透過光強度が検出される。エタロン板31のコントロー
ラ35は、シード光の透過強度が最大となるように透過
波長を制御する。またインジェクションシーディングさ
れパルス発振したレーザ光は部分反射鏡23でその一部
が反射され反射鏡61で反射されシード光と角度θをな
してエタロン板31に入射し、この透過光はレーザユニ
ットの透過光検出器33でその透過鏡光強度が検出され
る。
【0064】ここで、各レーザユニットからのレーザ光
のエタロン板31への入射角が0度ではなく、シード光
と角度θをなしていることから、シード光と同一の周波
数で入射させた場合であってもその透過光強度は最大値
とならない。前記第一の実施形態と同一のエタロン板を
用い、前記第二の実施形態と同様にエタロン板31への
入射角θ=1.18 mradとした場合には、入射光の周波数
に対するエタロン板31の透過率は図7に示す透過特性
となる。
のエタロン板31への入射角が0度ではなく、シード光
と角度θをなしていることから、シード光と同一の周波
数で入射させた場合であってもその透過光強度は最大値
とならない。前記第一の実施形態と同一のエタロン板を
用い、前記第二の実施形態と同様にエタロン板31への
入射角θ=1.18 mradとした場合には、入射光の周波数
に対するエタロン板31の透過率は図7に示す透過特性
となる。
【0065】従って、シード光の透過光強度が最大とな
るようにエタロン板温度を制御した状態で、各レーザユ
ニットからのレーザ光を入射角θ=1.18 mradでこのエ
タロン板に入射させ、このたときに透過光検出器33で
検出される各レーザユニットのレーザ光の透過光強度が
透過率T0=0.5に対応する値となるように共振器長を制
御する。
るようにエタロン板温度を制御した状態で、各レーザユ
ニットからのレーザ光を入射角θ=1.18 mradでこのエ
タロン板に入射させ、このたときに透過光検出器33で
検出される各レーザユニットのレーザ光の透過光強度が
透過率T0=0.5に対応する値となるように共振器長を制
御する。
【0066】なお、本実施形態によれば、シード光と発
振したレーザ光との周波数の一致領域近傍では、入射光
の周波数変化に対する透過率の変化は単調変化(単調増
加もしくは単調減少)を示す。従って、第一の実施形態
のように透過光強度が最大値か否かを判断するために出
力ミラーを常時微少変位させる必要がなく、透過光検出
器33によって検出される各レーザユニットのレーザ光
の透過光強度が透過率T=0.5に対応する値となるよう
に、共振器長可変手段40を用いて共振器長の制御を行
えばよい。そしてこのような方法によれば、レーザ発振
器10の発振周波数をシード光の周波数に高精度に一致
させることができる。
振したレーザ光との周波数の一致領域近傍では、入射光
の周波数変化に対する透過率の変化は単調変化(単調増
加もしくは単調減少)を示す。従って、第一の実施形態
のように透過光強度が最大値か否かを判断するために出
力ミラーを常時微少変位させる必要がなく、透過光検出
器33によって検出される各レーザユニットのレーザ光
の透過光強度が透過率T=0.5に対応する値となるよう
に、共振器長可変手段40を用いて共振器長の制御を行
えばよい。そしてこのような方法によれば、レーザ発振
器10の発振周波数をシード光の周波数に高精度に一致
させることができる。
【0067】このように構成されたレーザ装置4では、
同一のマスターレーザ21からのレーザ光を分岐させ
て、すべてのレーザユニット(レーザ発振器10)にイン
ジェクションシードを行う。そしてレーザ装置を構成す
るレーザユニット個々について透過光検出器33で観測
される透過光強度が最適値となるように共振器長を制御
する。従って、各レーザユニットは第一の実施形態で得
られたと同一の精度でシード光の周波数に一致させて発
振させることができる。
同一のマスターレーザ21からのレーザ光を分岐させ
て、すべてのレーザユニット(レーザ発振器10)にイン
ジェクションシードを行う。そしてレーザ装置を構成す
るレーザユニット個々について透過光検出器33で観測
される透過光強度が最適値となるように共振器長を制御
する。従って、各レーザユニットは第一の実施形態で得
られたと同一の精度でシード光の周波数に一致させて発
振させることができる。
【0068】この結果、各レーザユニットから出力され
るレーザ光を合成して得られるレーザ装置の出力光は、
個々のレーザユニットにおいてシード光の周波数ににほ
ぼ一致した狭帯域化された単一周波数のレーザ光である
ばかりでなく、レーザ装置全体としても単一周波数で狭
帯域化されたレーザ光として得ることができる。すなわ
ち、この実施例によれば、シード光の周波数にほぼ同調
して狭帯域化された単一周波数発振を行うアレイレーザ
を実現することができる。
るレーザ光を合成して得られるレーザ装置の出力光は、
個々のレーザユニットにおいてシード光の周波数ににほ
ぼ一致した狭帯域化された単一周波数のレーザ光である
ばかりでなく、レーザ装置全体としても単一周波数で狭
帯域化されたレーザ光として得ることができる。すなわ
ち、この実施例によれば、シード光の周波数にほぼ同調
して狭帯域化された単一周波数発振を行うアレイレーザ
を実現することができる。
【0069】また、この様にほぼ一致した周波数の光を
出力するアレイレーザを、露光装置の光源として用いる
こともできる。この光源を用いた露光装置としては、次
の構成からなる。先に述べたアレイレーザと、アレイレ
ーザから放射される光をほぼ均一な強度でマスクに照射
するための照明光学系と、そのマスクの像を基板に投影
するための投影光学系とを有する。この様にほぼ一致し
た周波数の光を出力するアレイレーザをこの様な露光装
置に用いることで、色収差を考慮する必要の無い露光装
置を提供することができる。
出力するアレイレーザを、露光装置の光源として用いる
こともできる。この光源を用いた露光装置としては、次
の構成からなる。先に述べたアレイレーザと、アレイレ
ーザから放射される光をほぼ均一な強度でマスクに照射
するための照明光学系と、そのマスクの像を基板に投影
するための投影光学系とを有する。この様にほぼ一致し
た周波数の光を出力するアレイレーザをこの様な露光装
置に用いることで、色収差を考慮する必要の無い露光装
置を提供することができる。
【0070】なお、以上に示した実施の形態において
は、共振器長可変手段として圧電素子を用い、出力ミラ
ーを変位させることで共振器長を変化させているが、共
振器長すなわち共振器内の光路長を変化させることがで
きるものであれば良く、この手法に限定されるものでは
ない。また、以上の実施形態においてはパルスレーザに
対してインジェクションシードを行う例について説明し
たが、CWレーザに対してインジェクションロックを行
う場合においても同様の手法により適用可能である。
は、共振器長可変手段として圧電素子を用い、出力ミラ
ーを変位させることで共振器長を変化させているが、共
振器長すなわち共振器内の光路長を変化させることがで
きるものであれば良く、この手法に限定されるものでは
ない。また、以上の実施形態においてはパルスレーザに
対してインジェクションシードを行う例について説明し
たが、CWレーザに対してインジェクションロックを行
う場合においても同様の手法により適用可能である。
【0071】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るレー
ザ装置では、共振器長可変のレーザ発振器に所定の周波
数を有するモニター光を入射させ、このモニター光に同
調して発振したレーザ光の周波数選択手段を経た光の強
度に基づいて共振器長を高精度に制御する。従って、共
振器長を微少変化させたときの透過光強度を測定するこ
とにより、共振器長が理想値からいずれの方向にずれて
いるのかを把握することができ、この信号に基づいて共
振器長を理想値にほぼ一致させることができる。
ザ装置では、共振器長可変のレーザ発振器に所定の周波
数を有するモニター光を入射させ、このモニター光に同
調して発振したレーザ光の周波数選択手段を経た光の強
度に基づいて共振器長を高精度に制御する。従って、共
振器長を微少変化させたときの透過光強度を測定するこ
とにより、共振器長が理想値からいずれの方向にずれて
いるのかを把握することができ、この信号に基づいて共
振器長を理想値にほぼ一致させることができる。
【0072】従って、この制御方法により、共振器の縦
モード周波数のひとつをモニター光の周波数にほぼ一致
させることができ、その結果レーザ発振周波数を所望の
周波数に同調させて発振させることができる。このこと
は、単一のレーザ発振器のみならず複数のレーザ発振器
を並列に駆動する場合においても同様に適用可能であ
り、複数のレーザ要素で構成されていながら、レーザ装
置全体として狭帯域化された単一周波数発振レーザを提
供することができる。
モード周波数のひとつをモニター光の周波数にほぼ一致
させることができ、その結果レーザ発振周波数を所望の
周波数に同調させて発振させることができる。このこと
は、単一のレーザ発振器のみならず複数のレーザ発振器
を並列に駆動する場合においても同様に適用可能であ
り、複数のレーザ要素で構成されていながら、レーザ装
置全体として狭帯域化された単一周波数発振レーザを提
供することができる。
【図1】本発明に係るレーザ装置の第一の実施形態を概
略的に示す構成図である。
略的に示す構成図である。
【図2】上記レーザ装置のレーザ発振器の共振器の縦モ
ード(実線)と利得媒体の利得の広がり(太い実線)とを示
す説明図である。
ード(実線)と利得媒体の利得の広がり(太い実線)とを示
す説明図である。
【図3】上記レーザ装置の周波数選択手段(エタロン板)
の透過周波数特性を示す図である。
の透過周波数特性を示す図である。
【図4】上記レーザ装置の発振スペクトルを示す特性図
である。
である。
【図5】上記レーザ装置の発振周波数の時間変動および
発振周波数幅を示す測定図である。このうち図(a)は上
記特性を広帯域で見たものであり、図(b)は、図(a)の
縦軸を拡大して示した図である。
発振周波数幅を示す測定図である。このうち図(a)は上
記特性を広帯域で見たものであり、図(b)は、図(a)の
縦軸を拡大して示した図である。
【図6】本発明に係るレーザ装置の第二の実施形態を概
略的に示す構成図である。
略的に示す構成図である。
【図7】上記第二の実施形態における周波数選択手段
(エタロン板)の透過周波数特性を示す図である。
(エタロン板)の透過周波数特性を示す図である。
【図8】本発明に係るレーザ装置の第三の実施の形態を
概略的に示す構成図である。
概略的に示す構成図である。
【図9】本発明に係るレーザ装置の第四の実施の形態を
概略的に示す構成図である。
概略的に示す構成図である。
1〜4 レーザ装置 10,11 レーザ発振器(Qスイッチレーザ、レーザ
ユニット) 20 モニター光入射手段(21〜23) 31 周波数選択手段(エタロン板) 32 強度検出手段(透過光検出器、モニター光,シー
ド光) 33 強度検出手段(透過光検出器、レーザ光,Qスイ
ッチレーザ光) 35 選択周波数可変手段(エタロン板温度コントロー
ラ) 40 共振器長可変手段(41ピエゾ素子,42PZT
ドライバ) 51 制御手段(発振周波数制御コントローラ)
ユニット) 20 モニター光入射手段(21〜23) 31 周波数選択手段(エタロン板) 32 強度検出手段(透過光検出器、モニター光,シー
ド光) 33 強度検出手段(透過光検出器、レーザ光,Qスイ
ッチレーザ光) 35 選択周波数可変手段(エタロン板温度コントロー
ラ) 40 共振器長可変手段(41ピエゾ素子,42PZT
ドライバ) 51 制御手段(発振周波数制御コントローラ)
Claims (8)
- 【請求項1】 共振器長を変化させる共振器長可変手段
を備えるレーザ発振器と、 前記レーザ発振器にモニター光を入射するモニター光入
射手段と、 前記モニター光および前記レーザ発振器から射出される
レーザ光を入射させ、少なくとも前記モニター光と同じ
周波数の光を選択する選択周波数を有し、前記選択周波
数の帯域幅は、前記レーザ発振器の発振可能な周波数の
うち所望の周波数の光のみを選択可能とする幅を有する
周波数選択手段と、 前記周波数選択手段で選択されたモニター光およびレー
ザ光の強度をそれぞれ検出する強度検出手段と、 前記強度検出手段からの信号に基づいて前記共振器長可
変手段を制御する制御手段とを備えて構成することを特
徴とするレーザ装置。 - 【請求項2】 共振器長を変化させる共振器長可変手段
を各々備える複数のレーザ発振器と、 前記複数のレーザ発振器のそれぞれにモニター光を入射
するモニター光入射手段と、 それぞれの前記レーザ発振器ごとに設けられ、前記モニ
ター光および前記レーザ発振器から射出されるレーザ光
を入射させ、少なくとも前記モニター光と同じ周波数の
光を選択する選択周波数を有し、前記選択周波数の帯域
幅は前記レーザ共振器の発振可能な周波数のうち所望の
周波数のみを選択する幅を有する周波数選択手段と、 それぞれの前記レーザ発振器ごとに設けられ、前記周波
数選択手段で選択されたモニター光およびレーザ光の強
度をそれぞれ検出する強度検出手段と、 前記強度検出手段からの信号に基づいて、前記複数のレ
ーザ発振器のそれぞれの共振器長可変手段を制御する制
御手段と、を備えて構成することを特徴とするレーザ装
置。 - 【請求項3】 更に、前記強度検出手段から得られる前
記モニター光の光強度に応じて、前記周波数選択手段の
選択する光の周波数を変化させる選択周波数可変手段を
備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載
のレーザ装置。 - 【請求項4】 前記周波数選択手段は、前記モニター光
のエタロン板であり、前記強度検出手段は、前記エタロ
ン板を透過したモニター光およびレーザ光の強度を検出
することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか
一項に記載のレーザ装置。 - 【請求項5】 前記レーザ発振器からのレーザ光は、前
記モニター光と所定の角度をなして前記エタロン板に入
射させることを特徴とする請求項4に記載のレーザ装
置。 - 【請求項6】 前記制御手段は、前記レーザ発振器の共
振器長を微小変化させて、前記共振器長可変手段を制御
することを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか
一項に記載のレーザ装置。 - 【請求項7】 レーザ装置の発振周波数を所定の周波数
に同調させるレーザ装置の発振周波数制御方法におい
て、 モニター光を周波数選択手段に入射し、前記周波数選択
手段で選択された周波数の光強度が最大になるように前
記周波数制御手段を制御し、 制御された前記周波数選択手段に、前記レーザ装置から
のレーザ光を入射させ、前記周波数選択手段で選択され
たレーザ光の強度を検出し、 前記レーザ光の強度に基づいて、前記レーザ装置が所望
の発振状態になるよう前記レーザ装置を制御することを
特徴とするレーザ装置の発振周波数制御方法。 - 【請求項8】 複数のレーザ発振器の発振周波数を所定
の周波数に同調させて単一周波数でレーザ発振させるレ
ーザ装置の発振周波数制御方法において、 モニター光を周波数選択手段に入射し、前記周波数選択
手段で選択された周波数の光強度が最大になるように前
記周波数制御手段を制御し、 制御された前記周波数選択手段に、それぞれの前記レー
ザ発振器からのレーザ光を入射させ、前記周波数選択手
段で選択されたレーザ光の強度を検出し、 それぞれの前記レーザ光の強度に基づいて、それぞれの
前記レーザ共振器が所望の発振状態になるように、それ
ぞれの前記レーザ共振器を制御することを特徴とするレ
ーザ装置の発振周波数制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10348714A JP2000174371A (ja) | 1998-12-08 | 1998-12-08 | レーザ装置およびレーザ装置の発振周波数制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10348714A JP2000174371A (ja) | 1998-12-08 | 1998-12-08 | レーザ装置およびレーザ装置の発振周波数制御方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000174371A true JP2000174371A (ja) | 2000-06-23 |
Family
ID=18398881
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10348714A Pending JP2000174371A (ja) | 1998-12-08 | 1998-12-08 | レーザ装置およびレーザ装置の発振周波数制御方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000174371A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7599413B2 (en) | 2006-05-19 | 2009-10-06 | Pavilion Integration Corp. | Self-contained module for injecting signal into slave laser without any modifications or adaptations to it |
JP2009229918A (ja) * | 2008-03-24 | 2009-10-08 | Univ Of Electro-Communications | 広帯域離散スペクトル発生装置、及び、その周波数制御方法 |
-
1998
- 1998-12-08 JP JP10348714A patent/JP2000174371A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7599413B2 (en) | 2006-05-19 | 2009-10-06 | Pavilion Integration Corp. | Self-contained module for injecting signal into slave laser without any modifications or adaptations to it |
JP2009229918A (ja) * | 2008-03-24 | 2009-10-08 | Univ Of Electro-Communications | 広帯域離散スペクトル発生装置、及び、その周波数制御方法 |
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