JP2000167720A - 工具の表面処理方法と処理された表面を有する工具 - Google Patents

工具の表面処理方法と処理された表面を有する工具

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JP2000167720A
JP2000167720A JP11295744A JP29574499A JP2000167720A JP 2000167720 A JP2000167720 A JP 2000167720A JP 11295744 A JP11295744 A JP 11295744A JP 29574499 A JP29574499 A JP 29574499A JP 2000167720 A JP2000167720 A JP 2000167720A
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carbide
steel
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Klaus Keller
ケラー クラウス
Fritz Koch
コッホ フリッツ
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Verschleiss Schutz Technik Keller GmbH and Co KG
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 第一級カーバイドに制約された欠陥潜在性を
除去し、かつ、極度に可負荷性があり、かつ、耐摩耗性
の、高い信頼性のある層系を有する工具を得ることを目
的とする。 【解決手段】 工具の鋼素地内に第一級カーバイドが蒸
着されている工具鋼から成る工具の表面処理方法であっ
て、その際、表面に存在する第一級カーバイドが点状に
掘下げられた表面を形成しながら剥離または完全に解離
され、かつ、表面上に硬質材料層が析出される。さら
に、工具の鋼素地内に第一級カーバイドが蒸着されてい
る工具鋼から成る工具であって、工具内に第一級カーバ
イドが本質的に掘下げられ、かつ、その上に硬質材料層
が塗布される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工具の素地内に第
一級カーバイドが蒸着された工具鋼から成る工具の表面
処理方法と、処理された表面を有する、工具の鋼素地内
に第一級カーバイドが蒸着された工具とに関する。
【0002】
【従来の技術】数十年前から、超硬工具は最良の耐摩耗
性を得るために硬質材料層が具備されている。この硬質
材料層は、少なくともチタン、ジルコニウム、クロム、
タングステン、タンタル、バナジウム、ニオブおよびハ
フニウムの金属類から形成され、たとえば窒素、炭素お
よび/またはホウ素のような少なくとも1つの軽質元素
を含有する、たとえば窒化物、炭化物、浸炭窒化物およ
びホウ化物から成る。層析出は、好ましくはCVD技術
(CVD=化学蒸着法)またはPVD(PVD=物理蒸
着法)により行われる。
【0003】工具は、好ましくはレーデブライト系冷間
鋼および超高速度鋼(HSS)から製造される。これら
の鋼類は、適切な熱処理により高硬度に調製し、かつ、
(鋼素地内に)蒸着された、非常に硬質のカーバイドを
提供し、この炭化物は(大径)第一級および(小径)第
二級カーバイドに分けられる。前記カーバイド、特に例
えばM73タイプの第一級カーバイドは、前記工具鋼に
追加の耐摩耗性を付与するため、この結果、通常、大径
のカーバイド成分が目標とする鋼合金に求められてい
る。
【0004】円形の、わずか数μmの小径の第二級カー
バイドは鋼素地内に比較的均一に分布しており、すなわ
ち破壊機構的に問題がないのに対し、粒径が約2〜3オ
ーダの大径の第一級カーバイドは破壊機構にとり非常に
重要である。これは、(殆ど)粗粒の第一級カーバイド
が特色のある(カーバイド)列に成形および/または
(カーバイド)網に密集するとき、ますます重要にな
る。物理的に様ざまの材料性質(鋼素地は(微)可塑的
に挙動するが、カーバイドはヤング率が本質的に高いと
き線弾性にのみ、すなわち非可塑的に挙動する)がある
ため、すでに適度の外部負荷により応力ピーク値が生
じ、これが早期に機能上重要な割れを誘発させる可能性
がある。
【0005】すなわち前記第一級カーバイド、特に高く
負荷される表面領域のカーバイドは、(脆性)工具破壊
に対し常に問題があると見なされる出発点になる。該第
一級カーバイドは、常に欠陥潜在性を内包し、脆性のカ
ーバイド部分が切屑の剪断面に個別的なカーバイド弛緩
を有する破損し易い粗いカーバイド表面を残す場合、表
面の切削加工により前記潜在性がさらに高められる。大
径のカーバイド堆積領域には、砕け易く、支持能力の少
ない欠陥箇所を形成し、この箇所が高く負荷される滑動
面において最初に微小表面損傷を惹き起す原因となる。
これは特に高負荷帯域、すなわち突出部、半径方向また
は切断周縁部で急激に拡大し、この結果、瞬間的に工具
故障が生じる。
【0006】この微小欠陥構造は、全体として溶融治金
学的に製造された、カーバイドを豊富に含有する切削加
工後の鋼中に存在する。この欠陥構造は、たとえばラッ
ピングまたはバニシングのような再処理である程度低減
することはできるが、完全に除去することはできない。
「標準」の応力用として設計された非被膜滑面は、なじ
み過程の枠内で妨げとなる欠陥がさらに低減され、か
つ、なじみ後には十分な可負荷性(トレーニング効果)
が生じるので、前記のような再処理を十分に満たすこと
ができる。
【0007】しかし滑面が被膜されると、なじみ過程は
まさに取込まれた高い耐摩耗性の保護層のために不可能
である。むしろ前述の完全に変化した条件のもとで、以
下の観点を含む、上載せされた硬質材料層と接触する表
面的に切出された大径の(第一級)カーバイドから出発
する。
【0008】1) 層硬質材料は、カーバイドに類似し
て、鋼鉄材料(本質的に高いヤング率、低い膨張係数な
ど)に比べ、著しく異なる材料性質を提供する。これら
の層は、負荷されると同様に線弾性にのみ挙動するが、
可塑的には挙動しない。ヤング率が高いために、それに
対応して亀裂のない層偏位が弾性領域で抑制される。こ
の結果、層偏位が比較的小さいとき、鋼素地内にまだ十
分に弾性的な挙動は存在するが、硬質材料層内ではすで
に割れ形成が発生する限界負荷に達する。この、金属-
セラミックス接合技術から良く知られている、複合材料
タイプの現象は、極端な可負荷性と耐摩耗性が要求され
るとき、この複合体を層鋼を介して非常に厳しい条件の
構造要素として微小寸法でも処理することが強制され
る。
【0009】2) 鋼上の硬質材料層は、常に(高い)
接線方向の内部圧縮応力にさらされるので、この材料層
は表面に対して垂直に − 弾性領域で接線方向の内部圧
縮応力を分解しながら、垂直の層偏位を割れなしに耐え
る注目すべき可能性を提供する。すなわち表面点に垂直
に作用する過負荷は、その下にある基材にすでに可塑性
の変形を惹き起こす原因となるが、最大偏位領域にまだ
接線方向の内部圧縮応力が存在する限り、前記層を通し
て割れなしに耐えることができる。これは、高く負荷さ
れる滑面内の非平坦性を連続的に平滑化することがで
き、その際、硬質材料層のセラミックスの性質が通常は
過負荷される接触箇所の溶着を阻止することを可能にす
る。すなわちこの系には一定の層固有の、自立的な接触
パターンの改善が基礎におかれており、これが前述のよ
うな硬質材料層の過度の可負荷性の一部を解明する。
【0010】3) 垂直に過負荷される一般に好ましい
前記層挙動とは異なり、接線方向に層の中に導かれた作
用は様ざまに評価されなければならない。一方で局部的
に高い摩擦力により誘発された水平の層偏位は、力方向
の層内部圧縮応力のために非常に好ましく吸収される。
他方、側面方向により少ない負荷と、それにより少ない
偏位とをもつ隣接領域に剪断運動が発生し、この運動は
線弾性限界内でのみ前記層を通して割れなしに耐えるこ
とができる。ところが層材料のヤング率が高いために、
この相対運動は鋼素地内よりも小さくなるため、この結
果、局部的な水平の過負荷が比較的急激に前記層に割れ
形成を惹き起こす可能性がある。これは、基材が − 特
にヤング率が小さくても − 可塑性の領域内の形状変化
許容性には全く関係なく、引き続き弾性的に移動可能で
あるとき、ますます該当する。
【0011】4) 上記2)および3)の考察は、硬質
材料層が均一な鋼素地に密着する場合にのみ該当する。
ところがカーバイド捕獲結晶が鋼素地の周縁部に固着し
たとき、前記観点は、カーバイドもしくはカーバイド形
成が(層厚に対して)大きくなるほど、ますます当ては
まらなくなる。カーバイドの対角寸法が層厚の約2倍の
オーダに達すると、基材内に投錨した前記カーバイドは
位置をずらすことのできない支柱と類比的に1つの流れ
の中で作用する。この対角寸法は、欠陥潜在性と割れ形
成傾向とを著しく高めながら、層、カーバイドおよび基
材間の応力状態を著しく複雑にする。特に膨潤負荷にお
いて、かつ、特に変動負荷において、応力は大径カーバ
イドと接触して破壊を誘発するように影響する。たしか
にカーバイドの「融点」は、これまで密着強さを高める
ために望ましい層の投錨点と見なされているが、これは
層厚の領域でカーバイドの粒径が小さい場合、すなわち
上記の第二級カーバイドの場合にのみ当てはまる。
【0012】5) さらに表面を精密加工する際、特に
バニシングにより、カーバイドの硬度が高いために、硬
化されても軟質のままの鋼素地より緩やかに除去される
ため、この結果、より低速のバニシング後に隆起した、
いわゆるカーバイド浮上りが生ずるという欠点がある。
この浮上りは、当然ながら層表面にも形成される。この
ような隆起部(層厚のオーダになることが多い)は、被
膜前にほとんど知られていないが、カーバイドもしくは
カーバイド濃度が大きくなるほど、ますます層上に頻繁
に発生する。より高い浮上り構造は、基材成分を著しく
低減する可能性がある。材料状態と変動する剪断力のた
めに、この突出部が弛緩され、最終的に欠落ち、しばし
ば − 典型的な二次損傷として − 層に深い溝をつけ
る。明らかな損傷箇所は、滑面対に溝と腐食条溝を惹き
起こす低温溶着の端緒を形成する。
【0013】6) 類似の浮上り構造は、たとえばPV
D法において良好な層付着を得るために本来の被膜相に
先行するスパッタリングがあまりに集中的に実施される
と− 極く弱い作用でも発生する可能性がある。その理
由は、カーバイドで材料の除去に要する最小エネルギー
が鋼素地の場合より明らかに高くなり、かつ、それによ
り鋼素地が急激にスパッタされるためである。
【0014】7) さらに冒頭に述べた切削に限定され
た欠陥潜在性が、破損し易く、かつ、一部弛緩した第一
級カーバイドにより、特に角取りされた平面移行部の領
域で、特に小半径において突出する鋭角部および切断周
縁部を考慮するとき、どのような欠陥強度がその複合系
に内在しているかを推論することができる。
【0015】上記の欠陥考察に基づき、第一級カーバイ
ドを含有しない鋼が基本的に支持機能に対しより好まし
い前提条件を提供する、と推論することができる。ただ
し考慮すべき点は、この鋼が十分硬質ではなく、かつ、
十分耐熱性がないために、超硬工具に一般に見られるよ
うに特に高い応力がかかる場合、硬質材料層に必要な支
持が生じないことである。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、上述の第一級カーバイドに制約された欠陥
潜在性を除去し、かつ、極度に可負荷性があり、かつ、
耐摩耗性の、高い信頼性のある層系を有する工具を提供
することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】この課題は、特許請求の
範囲第1項の特徴を有する工具の表面処理方法と、特許
請求の範囲第13項ないし第18項のいずれかに記載の
特徴を有する工具と、により解決される。
【0018】従属請求項は、本出願の目的の好ましい実
施態様を定義する。
【0019】本発明は、表面に露出および/または切出
および/または浮上り状に突出した第一級カーバイドが
点状に掘下げた表面を形成しながら剥離または完全に解
離され、かつ、前記表面に単層または多層の硬質材料層
が析出されること、を特徴とする、工具の鋼素地の中に
第一級カーバイドが蒸着される、工具鋼から成る工具の
表面処理方法に関する。
【0020】さらに本発明は、周縁付近の鋼領域におい
て第一級カーバイドが所定の寸法で少なくとも約1μm
分、層厚の約2倍まで掘下げまたは完全に解離され、か
つ、単層または多層のCVD硬質材料層が前記凹部また
は空洞を、剥離された第一級カーバイドの成分と共に完
全に充填され、かつ、それにより点状に分布した、形状
嵌合による層投錨が基材内に存在し、前記投錨が硬質材
料層に追加の剪断疲れ限度と密着強さとを付与するこ
と、を特徴とする、処理された表面を有する、工具の鋼
素地内に第一級カーバイドが蒸着されている、工具鋼か
ら成る工具に関する。
【0021】さらに本発明は、特に周縁付近の鋼領域に
おいて第一級カーバイドが所定の寸法で少なくとも約1
μm〜4μm低減され、かつ、PVD硬質材料層が前記
凹部を被覆または充填し、かつ、それにより点状に分布
した、形状嵌合による層投錨が基材内に存在し、前記投
錨がPVD硬質材料層に追加の剪断疲れ限度と密着強さ
とを付与すること、を特徴とする、処理された表面を有
する、工具の鋼素地内に第一級カーバイドが蒸着されて
いる、工具鋼から成る工具に関する。複合系の支持強度
を追加でさらに高めるために、周縁付近の鋼領域の窒化
と同様に、硬質材料層と基材間に微接合も考慮されてい
る。
【0022】
【発明の実施の形態】図面により、本発明の実施の形態
について説明する。
【0023】本発明に基づき、硬質材料層をCVD法ま
たはPVD法により析出することが可能である。ただ
し、ここではCVD被膜法が好ましい。
【0024】CVD被膜においては、本来の被膜を開始
する直前に同一の熱化学的工程で特に調製されたガスが
第一級カーバイドを化学的および/または熱的に一定の
深さまで剥離および/または解離されなければならな
い。この深さは、通常、層厚の2倍まで少なくとも1μ
mになる。
【0025】また選択肢として、剥離もしくは解離をC
VD被膜に前置された、独立の工程で液体溶媒中で電気
的または化学的に実施することも可能である。
【0026】PVD法の場合、第一級カーバイドが事前
に独立の工程で液体溶媒中で電気的または化学的に所定
の深さに剥離または解離される。この深さは、好ましく
は層厚の2倍まで1μmの範囲になければならない。
【0027】未処理の工具表面は図1に示した。鋼素地
2には第一級カーバイド3と第二級カーバイド4とが蒸
着されている。第一級カーバイドのほかに基材表面1に
まで達する処理に限定された空隙6がある。さらに第一
級カーバイドには処理に限定された、同様に基材表面ま
で延長する割れ7が形成されている。符号5は処理方向
を表す。第一級カーバイドは、基材表面から突出するこ
とができる。このようなカーバイド浮上り20は図11
に示す。
【0028】本発明に基づく方法において、機能上重要
な加工面の機械加工後に、すなわち切削加工、ラッピン
グまたはバニシング後に、かつ、被膜する前に、切出お
よび露出された第一級カーバイドが所定の深さまで平坦
にされ、必要がある場合には完全に周縁付近の鋼素地か
ら解離される。その際、カーバイド除去は、被膜に前置
された独立の処理で行うことができ、または − もっぱ
らCVD法でのみ可能なように − 被膜工程自体でも可
能である。
【0029】カーバイド剥離が − PVD法で必要なよ
うに − 被膜工程に前置された独立の処理工程において
液相で、たとえばアルカリ電解液で行われる場合、電解
液の組成は、好ましくは第一級カーバイドのみが剥離も
しくは除去されるように選択される。カーバイド除去お
よびその強度、すなわち速度および除去深さは、電解液
の化学的組成と濃度ならびに電流の強さ、槽温度および
浸漬時間にわたり制御される。図2に、電解により除去
された第一級カーバイドの領域8を示した。液相による
カーバイド除去の欠点は、特に処理対象物が後から最終
的な集中乾燥も含め各種の洗浄槽もしくは中和槽を通過
させなければならず、それにより被膜表面が錆たりもし
くは制御されずに不純物で汚染する可能性があり、これ
が層密着性を耐性のないものにすることである。
【0030】PVDで析出された層は、図4および5に
示す。析出された硬質材料層11は、基材表面にあり、
かつ、窪み状の凹部12を形成する。PVD法に典型的
なことは、空隙6が全く充填されずまたは極くわずかに
充填されることである。すなわち「固着」されないた
め、この結果、切欠作用が引き続き増大して存在する。
さらに図5に支持能力を向上させる微接合22と窒化帯
域23を示した。図8は、好ましくない第一級カーバイ
ドと処理に限定された空隙6とを有する非被膜切断周縁
部16を示す。図9に示したPVD被膜切断周縁部17
は、たしかに好ましい部分剥離に還元される第一級カー
バイドを識別できるが、ただし図4および5と同様に、
空隙が充填されず、もしくは「固着」されないことを示
し、これによりここでは特に問題のある欠陥形成が生じ
る。
【0031】それに対しCVD被膜の場合は、カーバイ
ド除去が直接被膜工程で「本来の箇所」 − 開始段階に
組合せることができる。カーバイドを剥離する溶媒は、
ここでは加熱された、高速流の、高活性化および腐食性
のプロセスガスである。このプロセスガスの組成は、ガ
ス供給装置で好ましくは任意に可変できるため、この結
果、選択的かつ連続的に処理対象物の必要条件を引受け
ることができる。そこから以下のようなCVDに典型的
な長所が生ずる。
【0032】a) 液相に比べ気相は、ガス状の反応溶
媒が極微細な割れおよび最も深い空隙の中にも浸透する
ため、この結果、前記割れおよび空隙は完全に除去さ
れ、不活性化および面取され、これが本質的に層の密着
品質を改善する。
【0033】b) さらに1)から、割れ、分散または
弛緩したカーバイドがより広く接触するため − まさに
前記割れおよび空隙にも − ガス状の反応溶媒で速く除
去させることができ、かつ、特に最も欠陥の激しい箇所
で集中的に欠陥を低減することができる。
【0034】c) またカーバイドを剥離するプロセス
ガスの任意の組合せは、穿孔されたカーバイド網もしく
はカーバイド空洞の壁部および周縁部を、剥離したカー
バイドおよび鋼素地の合金成分で一次合金化し、かつ、
最微割れを封止し、ならびに鋭い切欠、鋭角部および角
部を面取もしくは充填することも可能である。「封止」
と同時に、破壊機構的に前記凹部内で以下の被膜および
層蒸着のための好ましい前提条件が作られる。
【0035】d) カーバイド剥離相は、同時にまたは
時間的に少し遅れて移行相(本来の箇所で)も重ねら
れ、カーバイド剥離および層形成では同時にまたは時間
的に遅れて行うことができ、これが、たとえばc)に基
づき一次合金化、封止および平滑化の効果を支援し、お
よび/または鋼素地を事前に被膜する長所を有する。
【0036】図3は、CVD法によるカーバイド除去の
長所を具体的に示す。除去された第一級カーバイドの領
域9では、同様に角部10が隆起形成しながら面取され
る。
【0037】カーバイド剥離により、点状ないし小面積
の凹部が通常は変化しない加工面に発生し、その際、カ
ーバイドの掘下げ深さは、層厚、被膜法、カーバイド形
成および応力に依存して選択される。掘下げ深さは、通
常、本質的に層厚の30%〜200%を超えてはなら
ず、その際、掘下げは約1〜2μmが下限となる。前記
数値はすでに5)および6)記載の浮上り形成の欠点を
十分に減少させ、かつ、凹部内で層にすでに一定の追加
の支持を与えることができる。
【0038】カーバイド除去後のCVD層は、図6およ
び7に示した。CVD層13は、PVD層よりも約2倍
ないし3倍の厚さがあり、かつ、窪み14を形成する。
隆起15は層表面に移っている。さらに図7に層と基材
間の微接合22が示されている。
【0039】このように切断周縁部で蒸着された好まし
くない第一級カーバイドは、CVDでより少ない破損性
の被膜をすることができる。図10から、CVD被膜に
よる切断周縁部18またはその中に蒸着された第一級カ
ーバイドが好ましくは面取されていることが分る。さら
に元の間隙6が面取された間隙19に拡大され、かつ、
CVD層により完全に充填され、それにより縮小および
復元された第一級カーバイドが負荷除去されるのみなら
ず、完全に「固着」される。
【0040】図6および7で場合により発生する隆起1
5は、ただちにダイヤモンド研磨により平滑化される。
これは図12に示した。この図において元の隆起15は
面取された角部21を形成しながら平滑化されている。
【0041】それぞれの層厚に応じて解離されたカーバ
イド全体を層表面で引受けることができ、これは好まし
くは潤滑剤留部として液体または固体の潤滑剤の収容に
適している。たとえば図4ないし7および12記載の前
記平坦な窪みの掘下げは、特に最小量の潤滑または潤滑
不足の条件下で、滑動摩擦特性を持続的に改善する。厚
さ数μmの(PVD)層の場合、カーバイド掘下げ深さ
が制限されるため、この結果、第一級カーバイドの完全
な解離は好ましくなく、かつ、それにより欠陥潜在性が
理論的可能性の枠内で低減することができない。また潤
滑剤留部の深さも最適に調整することができない。
【0042】e) CVD被膜技術は、狭い鋭角のかつ
深い空洞でも硬質材料層をまとめて析出することができ
るため、この結果、図6、7および10に識別できるよ
うに、常に完全に被覆または充填されたカーバイド網が
存在する。それによりc)およびd)で説明した切欠作
用を抑制する措置と共に、破壊機構的に最小限の層投錨
のための最良の前提条件が生ずる。それにより空洞内に
封止され、周期的に高圧縮された潤滑剤は、もはや存在
しない切欠および間隙の中に、かつ、硬質材料層のため
に危険となるくさび効果または通常は層の下にあたり、
かつ、最初の層破裂の原因となるような空洞形成を発生
させない。まさに分岐した元のカーバイド濃度の空洞内
に、このCVI(化学蒸着溶浸法)に典型的なCVD被
膜技術の被覆能力が早期の層損傷に対して高い安全性を
提供する。
【0043】f) CVD被膜技術はCVIに典型的な
析出挙動があるために、層材料をさらに微小間隙および
亀裂内にも蒸着させることができる。これはa)および
b)に基づき被膜する前に封止するのみならず、耐支持
性に層材料で固着されるためである。割れ開始、破壊ま
たは弛緩したカーバイドは、それにより形成された亀裂
および/または間隙に沿って剥離開始され、かつ、図1
0および符号19のように再び結合もしくは鋼製素地内
に「固着」される。場合により生ずる切欠およびくさび
効果は、それにより広範に分解され、これにより冒頭に
述べた、第一級カーバイドに制限された欠陥潜在性は著
しく低減することができる。
【0044】g) さらにCVD被膜技術の特殊性は、
本来の層析出に熱的および/または化学的および/また
は熱化学的な中間処理を同一の工程(本来の箇所)に前
置できることである。これは、基材表面の多数の組合せ
調製を可能にするため、たとえば追加の工程段階で鋼製
素地に目標を定めた微小目立ても実施することができ、
しかもカーバイド除去後と被膜前に可能である。これ
は、図7に示したように、層成長の開始時に非常に微細
に形成された、鋼製素地と層間の微接合22の形成を促
進させ、かつ、層支持と共に掘下げた第一級カーバイド
の領域に追加で密着強さを向上させる追加の高い剪断疲
れ限度で作用する。
【0045】a)ないしf)で説明した、CVD固有の
特殊性は、欠陥対策の措置を最も広範囲に、特に基材と
適用仕様に合せて講ずることができる。このように鋼組
成と鋼製造ならびにそれに依存するカーバイド形成(鋳
造、鍛造または圧延)、応力の種類(切断、穿孔、板成
形、量産金型)および被加工材に応じて個別的に使用す
ることができる。たとえば − c)に基づき「封孔効
果」に支援されて − 必要な鋭角の切断周縁部で極く少
量のカーバイド剥離が生じるだけである。それに対し大
径による極度の角部負荷がある場合、より多量のカーバ
イド剥離が考慮され、それに対応して発生した空隙、カ
ーバイド網もしくは空洞が被膜される。逆に「接合」す
る板、たとえばアルミニウムから成形する場合、より少
量のカーバイド掘下げ深さが好ましく、かつ、硫化モリ
ブデン(MoS2)、六方晶系窒化ホウ素(hBN)ま
たは同様に低摩耗性の固体潤滑剤で平な窪み凹部が強化
され、これが同一のCVD工程で最終段階として十分に
可能である。
【0046】CVDを利用して被膜された本発明に基づ
く工具の場合、周縁付近の鋼領域で第一級カーバイドが
所定の寸法に少なくとも約1μmないし層厚の約2倍ま
で掘下げられまたは完全に解離される。単層または多層
のCVD硬質材料層が、前記凹部または空洞を解離した
第一級カーバイドの成分と共に完全に充填され、この結
果、点状に分布した、形状嵌合による層投錨が基材内に
存在し、これが硬質材料層に追加の剪断疲れ限度と密着
強さとを付与する。
【0047】欠陥を低減するPVD層系を有する工具鋼
から成る本発明に基づく工具の場合、周縁付近の鋼領域
で第一級カーバイドが所定の寸法で少なくとも約1μm
ないし4μm掘下げられている。PVD硬質材料層がこ
の凹部を被膜するため、この結果、点状に分布した、形
状嵌合による層投錨が基材内に存在し、これがPVD硬
質材料層に追加の剪断疲れ限度と密着強さとを付与す
る。これはPVD被膜に前置された周縁付近の鋼領域の
窒化によりさらに追加して高めることができる。
【0048】PVD層は層と鋼素地との間に形状嵌合に
よる微接合を提供する。さらに掘下げられたカーバイド
上にDIN4761−A1Bに規定する滑油孔を形成す
る点状または窪み状の凹部を有する。
【0049】以下の実施例は本発明を説明するものであ
る。
【0050】
【実施例】実施例1:PVD被膜のためのカーバイド除
【0051】PVD被膜のためのカーバイド除去を実施
するとき、これは独立の工程でのみ可能であり、その
際、第一級カーバイドの剥離のために、たとえばM73
を基材として電解槽が利用され、その際、電解液は5%
苛性ソーダを主成分とするようなアルカリ溶液から成
る。
【0052】より高い支持強度を達成するために、カー
バイド除去の前および後に、かつ、常にPVD被膜の前
に層厚の約1/2まで微小目立てがAl23またはSi
C粒子を使用した微粒子噴射により行うことができる。
同様に追加でPVD被膜の前に周縁付近の鋼領域ないし
層厚の約100倍の深さまでのイオン窒化を実施するこ
とができる。
【0053】最適に形成されたPVD層を有する工具表
面は図13に概略を示した。
【0054】実施例2:CVD被膜のためのカーバイド
除去
【0055】CVD被膜のためのカーバイド除去は本来
の箇所で、すなわち同一の被膜工程において、温度域8
00〜1000℃でアルゴン-水素-HCl混合気内で実
施される。時間、温度およびガス組成は、除去強度もし
くは除去深さおよび発生したカーバイド網の一次合金
化、面取、封止および平滑化を決定する。適切な高速の
ガス速度を有する工業用低圧条件下で混合ガスを供給す
ることが特に好ましく実証されている。それぞれの塩素
成分に応じてカーバイド網の一次合金化および面取もし
くは平滑化は、強度を多少変化させて形成することがで
きる。剥離した第一級カーバイドの成分を有するカーバ
イド網壁の一次合金化のために、凹部の周縁に面取もし
くは被膜が生ずるが、これはやや隆起状に基材表面内に
延長している。
【0056】すでにカーバイド剥離工程中に、たとえば
四塩化チタンのような適切なドナー溶媒を添加すること
により、すでにチタンをカーバイド網の被膜の中に一緒
に蒸着することができる。これは前記凹部から成る層の
カーバイド網の急速な被膜もしくは急速な成長をもたら
す。それと同時に、すでに鋼素地表面に最初にチタンを
含有する硬質材料層が形成される。カーバイド除去段階
に接続して今やカーバイド固有のものではなく、鋼素地
固有に反応する別の混合ガスが反応槽の中に送り込まれ
る場合、これは点状に容易にエッチングの小溝深さ3〜
5μmでエッチングすることができる。
【0057】ここで本来の被膜工程がその直後に開始さ
れる場合、CVD層は表面平行に上述のように調製され
た基材表面全体に形成され、それによりまず初めに単に
層厚分のみ平行に移動した広範囲に均等な層表面もしく
はトポグラフィーが生じる。この方法により層と基材間
に非常に微細な微接合も形成される。後の時点で初め
て、すなわち層厚の成長と共に、かつ、他のガス組成お
よびドナー物質の提供により、多層層技術の枠内で層ト
ポグラフィーを平滑化することができ、その際、それぞ
れの粗さ条件に応じて微小滑油孔は深さを多少変化させ
て調整することができる。
【0058】場合により、第一級カーバイドのサイズも
しくは剥離深さから決定された微小滑油孔の周囲の隆起
は、粗さ調製の枠内でダイヤモンド研磨により必要な粗
深さまで除去される。たとえば3層のTiC-TiN-T
iCN-CVD層により最適に形成された工具表面は、
図14に概略を示した。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、第一級カーバイドに制
約された欠陥潜在性を除去し、かつ、極度に可負荷性が
あり、かつ、耐摩耗性の、高い信頼性のある層系を有す
る工具が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】工具の未処理表面の概略図。
【図2】第一級カーバイドが電解により除去された概略
図。
【図3】CVD法で除去された第一級カーバイドおよび
角取りの概略図ならびにCVD法によるカーバイド除去
後の隆起形成。
【図4】PVDを利用して析出された硬質材料層の概略
図。
【図5】図4において、PVD層が窪み状に掘下げら
れ、かつ、基材と微接合され、その際、前記基材が追加
でさらに窒化されている状態図。
【図6】除去された第一級カーバイド上のCVD層の概
略図。
【図7】図6において、層が基材と微接合される状態
図。
【図8】両側で切出され、かつ、片側で空隙形成の結果
弛緩した第一級カーバイドの領域における未処理の切断
周縁部の概略図。
【図9】PVD被膜の切断周縁部の概略図。
【図10】CVD被膜の切断周縁部もしくはCVDによ
り充填された空隙の概略図。
【図11】カーバイド浮上りの概略図。
【図12】バニシングにより平滑にされた隆起部の概略
図。
【図13】第一級カーバイドの領域で最適に形成された
PVD層の概略図。
【図14】第一級カーバイドの領域で最適に形成された
3層のCVD層の概略図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 599146473 Hohe Flum Str.22,D− 79650 Schopfheim Germ any (72)発明者 クラウス ケラー スイス、ツェーハー‐4612 ヴァンゲン、 ハフトレット 7 (72)発明者 フリッツ コッホ ドイツ、デー‐79618 ラインヘルテン- デゲルフェルデン アム ローテンヴェク 22

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 工具の鋼素地の中に第一級カーバイドが
    蒸着された工具鋼から成る工具の表面処理方法であっ
    て、 表面に露出および/または切出および/または浮上り状
    に突出した第一級カーバイドが点状に掘下げた表面を形
    成しながら剥離または完全に解離され、かつ、前記表面
    上に単層または多層の硬質材料層が析出されること、を
    特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 剥離された第一級カーバイドの合金成分
    が部分的に凹底部、凹壁部および凹角部を一次合金化す
    るために使用され、かつ、それにより割れおよび裂けが
    封止され、刻み目および鋭角部が充填され、ならびに角
    部が面取され、かつ、このような方法で前記凹部が全体
    的に丸窪化もしくは平滑化されること、を特徴とする、
    請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 第一級カーバイド剥離が層析出により任
    意の時点で重ねられ、かつ、それにより除去および合成
    される物質移動が第一級カーバイド成分の関与下で窪み
    状の凹部の急速な充填を可能にし、かつ、除去された第
    一級カーバイド上の層表面の掘下げが極わずかに見わけ
    られるかまたは全く見わけられないこと、を特徴とす
    る、請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 硬質材料の析出後、さらにまだ比較的軟
    質の、たとえばMoS2、hBNを主成分とする低摩耗
    性の滑層が析出されること、を特徴とする、請求項1記
    載の方法。
  5. 【請求項5】 弛緩、割れがありまたは裂状の第一級カ
    ーバイドが、特に前記のような隆起箇所、その中でも特
    に角部で、裂け面および割れ面が不活性化され、かつ、
    化学的に活性化されるようにエッチング開始もしくは溶
    解開始されるため、この結果、層析出が、鋼素地内で弛
    緩した第一級カーバイドを封止および再固着するため
    に、前記割れおよび裂けの中でも実施できること、を特
    徴とする、請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 第一級カーバイドの剥離後および層析出
    前に鋼素地がエッチング開始され、かつ、それにより2
    〜5μmの微小粗さが生じ、この微小粗さが層と鋼素地
    間の形状嵌合による微接合の形成を促進させ、この微接
    合が剪断疲れ限度と層密着性とを改善すること、を特徴
    とする、請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 第一級カーバイド剥離とエッチングの
    後、ただし層析出前に、成長種が切出された外部粒径境
    界を形成するように、鋼素地が熱化学的に処理され、前
    記成長種が外部粒径境界領域へ層の成長を促進させ、か
    つ、それにより層と鋼素地間に追加の形状嵌合による投
    錨が達成されること、を特徴とする、請求項6記載の方
    法。
  8. 【請求項8】 独立の工程で液体溶媒中に第一級カーバ
    イドが電気的または化学的に少なくとも1μm以上の所
    定の深さで層厚の2倍まで剥離または解離されること、
    を特徴とする、請求項1記載の方法。
  9. 【請求項9】 硬質材料層がCVD法により析出される
    こと、を特徴とする、上記請求項のいずれか1項記載の
    方法。
  10. 【請求項10】 CVD被膜を開始する直前に同一の熱
    化学的工程で専用に調製されたガスが第一級カーバイド
    を化学的および/または熱的に少なくとも1μmの所定
    の深さで層厚の2倍まで剥離および/または解離するこ
    と、を特徴とする、請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 硬質材料層がPVD法により析出され
    ること、を特徴とする、上記請求項のいずれか1項記載
    の方法。
  12. 【請求項12】 PVD硬質材料析出の直前に周縁付近
    の鋼領域が層厚の100倍の深さまでイオン窒化される
    こと、を特徴とする、請求項11記載の方法。
  13. 【請求項13】 請求項1または10のいずれか1項に
    従って製造された表面を有する、工具の鋼素地の中に第
    一級カーバイドが蒸着されている、工具鋼から成る工具
    であって、 周縁付近の鋼領域で第一級カーバイドが所定の寸法で少
    なくとも約1μm層厚の約2倍になるまで掘下げられ、
    または完全に解離され、かつ、単層または多層のCVD
    硬質材料層が前記凹部または空洞を、剥離した第一級カ
    ーバイドの成分と共に完全に充填され、かつ、それによ
    り点状に分布した、形状嵌合による層投錨が基材内に存
    在し、前記投錨が硬質材料層に追加の剪断疲れ限度と密
    着強さとを付与すること、を特徴とする工具。
  14. 【請求項14】 CVD層が掘下げた空洞全体に点状ま
    たは窪み状の凹部を形成し、この凹部が層厚の2倍まで
    少なくとも1μmの深さを有し、かつ、滑油孔として機
    能すること、を特徴とする、請求項13記載の方法。
  15. 【請求項15】 特に凹部、角部および突出部の中で弛
    緩、割れまたは欠けた第一級カーバイドが剥離され、ま
    たはCVD層の形成により、剥離した第一級カーバイド
    の成分を添加して部分的に合金化しながら、前記割れ、
    裂けおよび刻み目が固着され、かつ、事前に弛緩した第
    一級カーバイドが素地内で幾分掘下げられ、かつ、再び
    確実に固着されること、を特徴とする、請求項13また
    は14記載の工具。
  16. 【請求項16】 CVD層がカーバイド掘下げ部内の点
    状の投錨のほかにCVD層と鋼素地間の形状嵌合による
    微接合も有し、この微接合が密着強さをさらに高めるこ
    と、を特徴とする、請求項13ないし15のいずれか1
    項記載の工具。
  17. 【請求項17】 CVD層が部分的に鋼素地の外部粒径
    境界領域内へ層厚の半分の深さまで達し、かつ、それに
    より層と鋼素地間に追加の形状嵌合による投錨が生ずる
    こと、を特徴とする、請求項13ないし16のいずれか
    1項記載の工具。
  18. 【請求項18】 請求項1および12記載の方法のいず
    れか1つに従って製造された表面を有する、工具の鋼素
    地内に第一級カーバイドが蒸着された工具鋼から成る工
    具であって、 周縁付近の鋼領域で第一級カーバイドが所定の寸法で少
    なくとも約1μm〜4μm掘下げられ、かつ、PVD硬
    質材料層が前記凹部を被覆または充填し、かつ、それに
    より点状に分布した、形状嵌合による層投錨が基材内に
    存在し、前記投錨がPVD硬質材料層に追加の剪断疲れ
    限度と密着強さとを付与すること、を特徴とする工具。
  19. 【請求項19】 PVD層がカーバイド掘下げ部内の点
    状の投錨のほかに層と鋼素地間の形状嵌合による微接合
    も提供すること、を特徴とする、請求項18記載の方
    法。
  20. 【請求項20】 PVD層が掘下げたカーバイド全体に
    点状または窪み状の凹部を有し、この凹部が滑油孔を形
    成すること、を特徴とする、請求項18または19記載
    の工具。
  21. 【請求項21】 周縁付近の鋼領域が層厚の約100倍
    の深さまでイオン窒化により追加で強化されること、を
    特徴とする、請求項18ないし20いずれか記載の工
    具。
  22. 【請求項22】 CVD層が低摩耗性の、たとえば硫化
    モリブデン(MoS 2)または六方晶系窒化ホウ素(h
    BN)を主成分とする、比較的軟質の固体滑動薄膜によ
    り被膜され、前記薄膜は運転条件下で機能するが、点状
    または窪み状の凹部内に残留し、かつ、そこで摩擦低減
    用滑油孔として作用すること、を特徴とする、請求項1
    3ないし21の少いずれか1項に記載され、かつ、請求
    項4記載の方法により製造された表面を有する工具。
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