JP2000162359A - 原子炉格納容器の配管貫通部支持構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】前記鉄筋コンクリート製格納容器配管貫通部の
耐圧バウンダリを構成する部位における設計クリティカ
ルを緩和し、十分な設計裕度を確保し、構造の健全性及
び信頼性を向上させ機器側及び配管側の設計フレキシビ
リティを拡大できる鉄筋コンクリート製格納容器配管貫
通部支持構造を提供する。 【解決手段】本発明は、貫通部スリーブにベローズを設
け、かつ、貫通部スリーブ先端の配管付の閉止板に支持
板及びアンカー用サポートの支持具を介して鉄筋コンク
リートに支持する構造である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、原子力発電所の鉄
筋コンクリート製格納容器に係わり、特に鉄筋コンクリ
ート製原子炉格納容器の配管貫通部支持構造を改善し
て、高信頼性の確保，設計裕度の拡大による安全性の向
上かつ設計フレキシビリティの向上を図った鉄筋コンク
リート製格納容器配管貫通部構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】特開平8−220274 号公報に示される鉄筋
コンクリート製格納容器配管貫通部の支持構造は、図４
及び図５に示すように鉄筋コンクリート製格納容器駆体
のRCCV壁１に、配管貫通部を、フランジプレート４及び
配管貫通部の周上に取付けられたガセットプレート５を
介して取付けられた構造となっている。配管貫通部に加
わる荷重は、フランジプレート４及びガセットプレート
５を通じてＲＣＣＶ壁１に流れる構造である。また、配
管貫通部の耐圧バウンダリの一部を構成する閉止板８を
貫通する配管７は、ＲＣＣＶ内・外の各種機器とを相互
に連結するため設けられており、その用途は数１０種類
も及び各々の配管毎に種々の使用条件が負荷されてい
る。

【０００３】また、配管はＲＣＣＶ内・外の各空間スペ
ースを有効利用し、引き廻され、必要かつ合理的な支持
点を選定して、引き廻しの配管ルートの中で配管サポー
トを用いてアンカされている。さらに、その配管ルート
の中の、アンカ点の１つに前記配管貫通部閉止板８と配
管７との接合部がある。

【０００４】すなわち、上記配管貫通部閉止板８には、
配管７を通じて、熱，自重，地震あるいは機械的荷重等
の配管反力が加わり、さらにその閉止板８から配管貫通
部スリーブ３を通じ、上記フランジプレート４，ガセッ
トプレート５に前記配管反力がＲＣＣＶ壁１に流れるこ
ととなる。

【０００５】このため、配管貫通部のＲＣＣＶ壁１内に
埋め込まれ、配管貫通部の周状に等ピッチで配置されて
いるガセットプレート５は、各貫通部に加わる配管反力
等の荷重の大きさに合わせ、等ピッチで４枚，６枚，〜
１２枚等の枚数を増やすことで大きな荷重に対応できる
構造としている。またフランジプレート４も、配管貫通
部のＲＣＣＶ壁１への支持点となるため、配管反力等の
大きさに見合った板厚，長さを有する構造となってい
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記の実施例に示すよ
うに鉄筋コンクリート製原子炉格納容器（ＲＣＣＶ）の
配管貫通部は、図４及び図５に示すようにフランジプレ
ート４及びガセットプレート５を用いてＲＣＣＶ壁１に
支持されており、この支持部に加わる荷重のうち、支配
的な荷重である配管反力による荷重の増大に応じて、フ
ランジプレートの板厚，長さ及びガセットプレート枚数
を増やしている。このため、配管口径が大きくかつ高温
高圧の使用条件が最も厳しい主蒸気配管では、図５に示
すようにガセットプレート５は配管貫通部の外周上に１
２枚用いられている他の実施例がある。

【０００７】このガセット枚数は、配管反力に応じて増
やすことで設計されるが、プラントユニークに定まる耐
震荷重等の使用条件が厳しくなる場合、ガセット枚数を
荷重に応じて増やすことは、ガセット強度は増えるが、
ガセット間のコンクリート部分が少なくなり、配管貫通
部をＲＣＣＶ壁１に固定させる支持強度が不足すること
が考えられる。すなわち、ＲＣＣＶ壁１への配管貫通部
の支持構造では、ガセット５の強度とガセット間のＲＣ
ＣＶコンクリート部強度のバランス設計を要する構造と
なっている。

【０００８】また、配管貫通部に取付く配管側の設計方
法では、取付く機器側の設計クライテリアを前提に、機
器側での配管反力に対する設計裕度が確保できるような
配管サポート設計を行う必要があり、機器側と配管側の
調整作業には多大な工数を要している。さらに、高耐震
等の厳しい配管反力となるプラントでは、配管貫通部の
フランジプレート及びガセットによる支持構造における
ガセット構造等の機器側のクリティカル設計のため、配
管のサポート設計において、機器側との微妙な調整によ
る調整作業工数の増大及びサポート物量の増大の要因と
なっている。

【０００９】したがって、本発明の目的は、前記鉄筋コ
ンクリート製原子炉格納容器配管貫通部のクリティカル
設計における無理・無駄を排除し、高信頼性及び安全性
の向上を図れる鉄筋コンクリート製原子炉格納容器配管
貫通部構造にある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成させるた
めに、本発明は、まず鉄筋コンクリート製格納容器壁を
貫通する配管貫通部において、格納容器壁より突出して
耐圧バウンダリを構成する貫通部スリーブと配管の取付
く閉止板のうち、貫通部スリーブの軸方向に分割し、分
割した貫通部スリーブ間を、スリーブと中心軸を同じく
する筒上のベローズで結ぶ。

【００１１】次に、上記配管貫通部の軸上に分割された
貫通部スリーブのうち、配管の取付く閉止板を有する貫
通部スリーブの閉止板に支持具を取付け、さらにこの支
持具を鉄筋コンクリート製格納容器壁あるいは、原子炉
建屋の鉄筋コンクリート部にアンカさせる。

【００１２】また、貫通部スリーブ部のうち、格納容器
壁を貫通する貫通部スリーブ部は、このスリーブ部の外
周上にフランジプレートを格納容器壁をはさむように取
付ける。

【００１３】即ち、上記手段によれば、配管貫通部の格
納容器壁を貫通するスリーブ部は、フランジプレートに
より貫通部軸方向の引き抜けを防止し、閉止板及び配管
の取付くスリーブ部は配管反力等の荷重をベローズによ
り吸収かつ、格納容器壁あるいは原子炉建屋に支持され
る支持具により、鉄筋コンクリート部に流すことがで
き、格納容器壁を貫通するスリーブ及びフランジプレー
トに加わる配管反力荷重を大幅に低減することができ
る。

【００１４】このため、鉄筋コンクリート製格納容器壁
に配管貫通部を支持させるガセットプレートの削除が可
能となる。また、配管貫通部において、配管反力を鉄筋
コンクリート駆体あるいは建屋に流す支持の取合部が、
従来は耐圧バウンダリーを構成する貫通部スリーブに直
接取付くガセットプレート及びフランジプレートであっ
たが、本発明によれば、支持具を介した鉄筋コンクリー
ト駆体あるいは建屋のアンカ部であるため、耐圧バウン
ダリーの設計裕度が確保され、信頼性及び安全性が大幅
に向上する。

【００１５】また、貫通部スリーブベローズによる変位
吸収構造かつ非耐圧部における支持構造のため、配管反
力の増大に対応できる構造であり、機器側と配管側の設
計調整業務を大幅に低減することができ、配管サポート
設計の合理化設計が可能となりフレキシビリティが向上
する。

【００１６】

【発明の実施の形態】本発明の実施例を図１を用いて説
明する。

【００１７】図１に示すように、鉄筋コンクリート製原
子炉格納容器壁１は、格納容器内側に内張りされたライ
ナプレート２及び配管貫通部スリーブ３の外周に取付け
られたフランジプレート内側４及びガセットプレート５
とに接合され、貫通部スリーブ３，配管貫通部ベローズ
６及び配管７を取付けられた閉止板８とともに格納容器
耐圧バウンダリを構成している。

【００１８】また上記閉止板８を貫通し取付けられる配
管７の格納容器外側において、閉止板８に取付けられた
支持板９、この支持板９に取付けられたアンカ用サポー
ト１０を、配管７がアンカー用サポート１０を貫通する
貫通口に配管７と間隔を設け設置する。さらに、アンカ
ー用サポート１０は、原子炉建屋１１の鉄筋コンクリー
ト部にベースプレート１２を介して、アンカーさせてい
る。

【００１９】また、配管７により閉止板８に作用する配
管反力は、変位をベローズ６によって吸収され、荷重は
支持板９を介してアンカー用サポート１０に流れ、ベー
スプレート１２を介して原子炉建屋１１の鉄筋コンクリ
ート部に流れることとなり、貫通部スリーブ３及びベロ
ーズ６を介してフランジプレート４及びガセットプレー
ト５と貫通部スリーブ３の結合部に流れる荷重は、大幅
に低減できる。

【００２０】また図２は、図１の応用例であり、図１の
アンカー用サポート１０の支持を原子炉建屋１１のフロ
ア鉄筋コンクリート部でなく、格納容器壁１のコンクリ
ート部にベースプレート１２を介して支持させた構造で
ある。他は、図１と同様である。さらに図３は、図１の
応用例であり、格納容器壁１貫通口の支持部において、
配管貫通部スリーブ３が格納容器壁１の貫通口から引き
抜けることを防止するための格納容器壁１内外のフラン
ジプレート４のみとし、ガセットプレート５を除いた構
造であり、他は図１と同様である。

【００２１】本発明の実施例によれば、次の結果を得る
ことができる。

【００２２】(1).格納容器壁１の貫通口にある配管貫通
部３とフランジプレート４との結合部で、格納容器耐圧
バウンダリを構成する結合部に流れる配管反力による荷
重は、貫通部スリーブのベローズ構造とすることで、大
幅に低減でき、上記結合部の設計裕度が大幅に向上し、
配管貫通部の耐圧バウンダリ及びシールバウンダリーの
健全性，安全性及び信頼性が大きく向上する。

【００２３】(2).配管反力の荷重の流れにおいて、貫通
部ベローズ６により強制変位を吸収させ、支持板９とア
ンカー用サポート１０を介して鉄筋コンクリート部へ荷
重を流しており、耐圧バウンダリである貫通部スリーブ
３と格納容器壁１の結合部に流れる荷重は小さく、結合
部のガセット枚数の増加によるガセットプレート５間の
コンクリート強度とのバランス設計のクリティカル設計
を回避できるため、機器側に流れる配管反力荷重の許容
量を大きくすることができ、配管サポート設計時に行う
機器側と配管側の調整業務を大幅に削減でき、作業工数
の大幅低減が可能となる。

【００２４】(3).また、配管サポート設計のフレキシビ
リティが確保されることから、配管サポート員数の低減
も可能となり、配管サポート設計の物量コスト低減が図
れる。 (4).さらに、図３に示すように、ガセットプレート５の
削減も可能であり、機器側設計におけるガセットプレー
ト５強度とガセットプレート間のコンクリート強度との
バランス設計を削減でき、設計作業工数の合理化が図れ
る。

【００２５】また、本発明のベローズは、既存のもので
あり、実用は容易に行われる。

【００２６】

【発明の効果】本発明によれば、鉄筋コンクリート製原
子炉格納容器の耐圧シールバウンダリーの構造信頼性及
び健全性を向上させ、合わせて機器側及び配管側の設計
合理化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の鉄筋コンクリート製原子炉格納容器の
配管貫通部を支持する側断面図。

【図２】本発明の応用例である鉄筋コンクリート製原子
炉格納容器の配管貫通部を支持する側断面図。

【図３】本発明の応用例であり、図１の変形例である鉄
筋コンクリート製原子炉格納容器の配管貫通部を支持す
る側断面図。

【図４】鉄筋コンクリート製原子炉格納容器の全体を表
わす断面図。

【図５】従来技術による鉄筋コンクリート製原子炉格納
容器の配管貫通部を支持する側断面図。

【符号の説明】

１…原子炉格納容器壁、２…ライナプレート、３…配管
貫通部スリーブ、４…フランジプレート、５…ガセット
プレート、６…ベローズ、７…配管、８…閉止板、９…
支持板、１０…アンカ用サポート、１１…原子炉建屋、
１２…ベースプレート。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 一沢 勝久 茨城県日立市幸町三丁目２番１号 日立エ ンジニアリング株式会社内 (72)発明者 南波 茂 茨城県日立市幸町三丁目１番１号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 大坂 雅昭 茨城県日立市幸町三丁目１番１号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 永田 徹也 茨城県日立市幸町三丁目１番１号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内面にライナプレートを内張りし耐圧バウ
   ンダリを構成する鉄筋コンクリート製原子炉格納容器を
   貫通する鋼製の貫通部、この貫通部の周状に取付けられ
   格納容器駆体の鉄筋コンクリートに埋め込まれたガセッ
   トプレートとコンクリート駆体をはさむ位置に貫通部周
   状に取付けられたフランジプレート，貫通部アセンブリ
   及び貫通部アセンブリに取付けられた配管により構成さ
   れる鉄筋コンクリート製原子炉格納容器の配管貫通部に
   おいて、スリーブ及び閉止板からなる貫通部アセンブリ
   のうち、格納容器壁と配管の取付く閉止板間のスリーブ
   部を軸上に分割し、スリーブと中心軸を同じくする筒状
   のベローズを取付けて分割したスリーブ間を連結し、か
   つ閉止板及び配管の取付く閉止板に支持具を取付け、さ
   らにこの支持具を鉄筋コンクリート製格納容器壁、ある
   いは原子炉建屋鉄筋コンクリート部にアンカさせたこと
   を特徴とする原子炉格納容器の配管貫通部支持構造。