JP2000161642A - 火格子取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 都市ごみや産業廃棄物等を焼却処理するスト
ーカ式焼却炉に使用される階段式ストーカの火格子取付
構造に於て、火格子に異物が噛み込んでも火格子が損傷
したり、フレームが歪んだりする様な事故を未然に防止
すると共に、安定した燃焼を維持してメンテナンスコス
トを安くできる様にする。 【解決手段】 フレーム２、火格子３、取付具４、弾性
体５とで構成し、とりわけフレーム２に対して火格子３
を上方へ移動可能に取付ける取付具４と、フレーム２に
対して火格子３を下方へ付勢する弾性体５とを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、主に都市ごみや産
業廃棄物等を焼却処理するストーカ式焼却炉に使用され
る階段式ストーカの火格子取付構造の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、都市ごみや産業廃棄物等（以下
ごみと云う）の処理方法としては、所謂焼却に依る処理
がその主流を占めて居り、ストーカ式ごみ焼却炉や流動
床式ごみ焼却炉を用いた処理方法が多く実用化されてい
る。何故なら、ごみは、焼却に依って灰となり、減量及
び減容されると共に、無害化されるからである。而し
て、近年大都市部に於ては、ごみの排出量が急増しつつ
あり、その結果、ごみ焼却炉も大容量の自動連続運転型
のものが多く用いられる様になって来ている。ごみ焼却
炉の中でも、階段式ストーカを備えたごみ焼却炉が最も
普及している。

【０００３】図２は、従前のストーカ式ごみ焼却炉の一
例を示すものである。当該ストーカ式ごみ焼却炉５０
は、炉本体５１、灰出し口５２、燃焼室５３、ごみ供給
用ホッパ５４、定量供給装置５５、階段式ストーカ５６
（乾燥ストーカ５７、燃焼ストーカ５８及び後燃焼スト
ーカ５９から成る）及び灰ホッパ６０等から構成されて
いる。ごみ供給用ホッパ５４内へ投入されたごみＷは、
定量供給装置５５に依って乾燥ストーカ５７上へ順次供
給され、ここで乾燥ストーカ５７の下方から供給される
一次空気Ａと上方の高温状態にある燃焼室５３からの輻
射熱に依って加熱・乾燥される。その結果、ごみＷ内の
水分が蒸発すると共に、ＣＯやＣ_m Ｈ_n 、ＨＮ ₃ 等の還
元ガスが放出される。次に、乾燥されたごみＷは、引続
き乾燥ストーカ５７上から燃焼ストーカ５８上へ移送さ
れ、下方から供給される一次空気Ａに依って火炎を上げ
て燃焼をすると共に、燃焼ストーカ５８上の先端部に於
て丁度燃え切り点に達する。そして、燃焼ストーカ５８
の先端部で燃え切ったごみは、引続き後燃焼ストーカ５
９上へ移送され、ここで所謂おき燃焼をして完全な焼却
灰Ｃとなった後、灰出し口５２から冷却水槽（図示省
略）内へ落下排出される。一方、主に乾燥ストーカ５７
から生じた還元ガスや燃焼ガス中の未燃焼物は、炉本体
５１の炉壁部分から燃焼室５３内へ供給される二次空気
Ｂに依って完全燃焼をした後、燃焼室５３から廃熱ボイ
ラ（図示省略）側へ排出される。

【０００４】乾燥ストーカ５７に供給されたごみＷが燃
焼ストーカ５８、後燃焼ストーカ５９へ順次移送され、
且つ、この間にストーカ下から供給される一次空気Ａに
依って乾燥、燃焼、おき燃焼の目的を達成せしめる為の
ストーカ火格子の構成としては、例えば摺動式が公知で
ある。これは、図３に示す様に、上段から下段にかけて
横一列づつ交互に瓦状に配置された可動火格子６１と固
定火格子６２とから成り、可動火格子６１がごみＷの移
動方向に対して前後に摺動する事に依ってごみＷを上段
から下段に移行させる様になっている。

【０００５】そして、各火格子（可動火格子６１、固定
火格子６２）６３は、図４に示す様にフレーム（可動フ
レーム６４、固定フレーム６５）６６にボルト・ナット
等から成る取付具６７に依り強固に固定されている。つ
まり、従来の火格子取付構造７０は、フレーム６６と、
これの上部に配される火格子６３と、フレーム６６に対
して火格子６３を固定する為の取付具６７と、から構成
されていた。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが、この様なも
のは、火格子がフレームに取付具に依り強固に固定され
ていたので、火格子の先端にごみ中に含まれている固い
異物が噛み込んだ場合には、火格子が割れたり、クラッ
クが入ったり、或はフレームが歪んだりする事があっ
た。火格子が割れると、火床面に穴が開く事になってそ
の穴からごみや灰が落下したり、燃焼空気が吹き抜けた
りする。又、火格子が損傷したりフレームが歪んだりす
ると、この様な事故を修復する為に多大の時間と費用を
要する事になる。本発明は、叙上の問題点に鑑み、これ
を解消する為に創案されたもので、その課題とする処
は、火格子に異物が噛み込んでも火格子が損傷したり、
フレームが歪んだりする様な事故を未然に防止すると共
に、安定した燃焼を維持してメンテナンスコストを安く
できる火格子取付構造を提供するにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の火格子取付構造
は、基本的には、フレームと、フレームの上部に配され
る火格子と、フレームに対して火格子を上方へ移動可能
に取付ける取付具と、フレームに対して火格子を下方へ
付勢する弾性体と、から構成した事に特徴が存する。

【０００８】火格子の先端に異物が噛み込むと、火格子
の先端が上方に移動しようとする。この時、火格子は、
取付具に依りフレームに対して上方へ移動可能に設けら
れていると共に、弾性体に依りフレームに対して下方へ
付勢されているので、弾性体の弾力に抗して上方へ移動
する事ができる。従って、異物に依り火格子やフレーム
に無理な力が作用せず、火格子が割れたり、クラックが
入ったり、フレームが歪む事がない。

【０００９】弾性体が皿バネであるのが好ましい。この
様にすれば、小さなスペースで大きな弾力を得る事がで
きる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面に基づいて説明する。図１は、本発明の火格子取付構
造を示す側面図である。

【００１１】火格子取付構造１は、フレーム２、火格子
３、取付具４、弾性体５とからその主要部が構成されて
いる。

【００１２】フレーム２は、火格子取付構造１の基本部
分を為すもので、この例では、可動フレーム又は固定フ
レームを構成し、断面略平板状を呈して居り、上面には
火格子３の後側下部と位置決め嵌合させる為の嵌合部が
形成されている。

【００１３】火格子３は、フレーム２に取付けられるも
ので、この例では、可動火格子又は固定火格子を構成
し、前半下側と後側が開放された中空箱状を呈して居
り、上壁６と、これの前側に連設された斜壁７と、これ
の前側に連設された前壁８と、これら各壁６，７，８の
両側に設けられた左右の側壁９と、これらの後側下部ど
うしを連結する下壁１０と、上壁６と斜壁８と前壁９に
跨がって前後方向に沿って並行に垂設された適数のフィ
ン１１とを備えている。下壁１０は、フレーム２の嵌合
部と適合すべく前後に分割されている。

【００１４】取付具４は、フレーム２に対して火格子３
を上方へ移動可能に取付けるもので、この例では、フレ
ーム２の下側に配される角筒状の取付枠１２と、火格子
３の下壁１０とフレーム２と取付枠１２とに上下方向に
連通すべく穿設された複数の通孔１３と、これに下から
挿通されるボルト１４と、これに挿通されるワッシャ１
５と、ボルト１４に螺合されるナット１６とを備えてい
る。

【００１５】弾性体５は、フレーム２に対して火格子３
を下方へ付勢するもので、この例では、取付具４のボル
ト１４に挿通されてフレーム２の下部に当合する板状の
バネ受け１７と、ボルト１４に挿通されてその頭部に当
合するワッシャ状のバネ受け１８と、ボルト１４に挿通
されて両バネ受け１７，１８間に介装される複数の皿バ
ネ１９とを備えている。

【００１６】次に、この様な構成に基づいて作用を述解
する。火格子３の先端下部は、これよりも１段下の火格
子の上面と摺動しているが、ごみ中に含まれている固い
異物、例えば金属片や石等が摺動面に噛み込んだ場合に
は、火格子３の先端が上方に移動しようとする。この
時、火格子３は、取付具４に依りフレーム２に対して上
方へ移動可能に設けられていると共に、弾性体５に依り
フレーム２に対して下方へ付勢されているので、弾性体
５が圧縮されて火格子３の先端が上方に持ち上げられ
る。従って、異物の噛み込みに依り火格子３やフレーム
２に無理な力が作用せず、火格子３が割れたり、クラッ
クが入ったり、フレーム２が歪む事がない。勿論、噛み
込んだ異物が自然に除去された場合には、火格子３は、
元通りに戻り、正常な摺動状態に復元する事ができる。

【００１７】弾性体５を設けてフレーム２に対して火格
子３を弾性上動可能にしたので、摺動面に噛み込んだ異
物が自然に除去され易くなる。フレーム２と弾性体５と
の間に取付枠１２を介設したので、それだけ弾性体５が
火格子３から遠ざけられて熱的影響が軽減されると共
に、点検や交換等が容易に行なえる。

【００１８】尚、取付具４は、先の例では、取付枠１２
を用いたが、これに限らず、例えばこれを省略したり、
或はこれをフレーム２に一体的に設けても良い。弾性体
５は、先の例では、皿バネであったが、これに限らず、
例えばコイルスプリングや耐熱ゴム等でも良い。

【００１９】

【発明の効果】以上、既述した如く、本発明に依れば、
次の様な優れた効果を奏する事ができる。 （１） フレーム、火格子、取付具、弾性体とで構成
し、とりわけフレームに対して火格子を上方へ移動可能
に取付ける取付具と、フレームに対して火格子を下方へ
付勢する弾性体とを設けたので、火格子に異物が噛み込
んでも火格子が損傷したり、フレームが歪んだりする様
な事故を未然に防止すると共に、安定した燃焼を維持し
てメンテナンスコストを安くできる。 （２） 火格子やフレームの破損が抑えられるので、こ
れらの寿命が延びてストーカ式ごみ焼却炉のランニング
コストの低減を図る事ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の火格子取付構造を示す側面図。

【図２】ストーカ式ごみ焼却炉を示す側面図。

【図３】階段式ストーカの作動図。

【図４】従来の火格子取付構造を示す側面図。

【符号の説明】

１，７０…火格子取付構造、２，６６…フレーム、３，
６３…火格子、４，６７…取付具、５…弾性体、６…上
壁、７…斜壁、８…前壁、９…側壁、１０…下壁、１１
…フィン、１２…取付枠、１３…通孔、１４…ボルト、
１５…ワッシャ、１６…ナット、１７，１８…バネ受
け、１９…皿バネ、５０…ストーカ式ごみ焼却炉、５１
…炉本体、５２…灰出し口、５３…燃焼室、５４…ごみ
供給用ホッパ、５５…定量供給装置、５６…階段式スト
ーカ、５７…乾燥ストーカ、５８…燃焼ストーカ、５９
…後燃焼ストーカ、６０…灰ホッパ、６１…可動火格
子、６２…固定火格子、６４…可動フレーム、６５…固
定フレーム、Ａ…一次空気、Ｂ…二次空気、Ｃ…焼却
灰、Ｗ…ごみ。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 フレームと、フレームの上部に配される
   火格子と、フレームに対して火格子を上方へ移動可能に
   取付ける取付具と、フレームに対して火格子を下方へ付
   勢する弾性体と、から構成した事を特徴とする火格子取
   付構造。
2. 【請求項２】 弾性体が皿バネである請求項１に記載の
   火格子取付構造。