JP2000161409A - 緩衝材およびその緩衝材を用いた落橋防止構造 - Google Patents

緩衝材およびその緩衝材を用いた落橋防止構造

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Yasunori Sakihata
康典 崎畑
Nobuyasu Ikoma
信康 生駒
Shinjiro Nishikawa
信二郎 西川
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安志 西本
Mikio Fukuchi
幹男 福知
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大地震では、線路橋や高速道路等の高架橋は
その桁の落下や橋脚の破壊が発生するのを防ぐことを目
的とする。 【解決手段】 弾性体を剛性体内に納めて緩衝体とした
ことを特徴とし、さらに、この緩衝体を橋脚と桁の任意
の一方に水平方向に対向させた状態で取り付け、桁の水
平方向の移動に対して緩衝するようにしたことを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、衝撃の緩衝材およ
びその緩衝材を用いた橋脚と桁間に設置する落橋防止構
造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、橋脚と桁間には、図13に示す如
く、ゴムの中に鋼板を積層させて埋設した免震ゴム支承
材1を鉛直荷重方向に配置してあり、水平方向には、桁
の温度変化による伸縮に対応する弾性材によるパッド2
が配置してある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、兵庫県南部地
震では、上記の構造のような線路橋や高速道路等の高架
橋はその桁の落下や橋脚の破壊が発生した。それに対し
てさまざまな検討が行われ、地震力を軽減する緩衝材の
必要性や桁の落下を防止するための緩衝材の必要性が提
言された。
【0004】そこで、ゴムを主体とした一般的な緩衝材
では破壊点が明確でないために、地震のような巨大な力
が作用した場合には緩衝材よりもその反力により取り付
けてある構造物かもしくは相対する構造物を破壊してし
まうという二次破壊が発生する問題がある。また、発生
荷重が設計荷重を下回る小規模な地震の場合でも、緩衝
材や桁構造物に大変位が発生し、むしろ支障が発生して
いない桁構造物に移動変位が発生してその後の復元に多
大な労力と費用を必要とするという問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで本発明は、弾性体
を剛性体内に納めて複合させた緩衝体としたことを特徴
とし、さらに、この緩衝体を橋脚と桁の任意の一方に水
平方向に対向させた状態で取り付け、桁の水平方向の移
動に対して緩衝するようにしたことを特徴とするもの
で、発生荷重が設計荷重以下の場合においては変位の少
ない剛性体で負担することにより桁に発生する変位を設
計許容量以内として地震の知の速やかな供用を可能と
し、設計震度を上回る大規模な地震に対しては剛性体が
座屈等により破壊した後に速やかに座屈経の可能な弾性
体が負担する複合構造となっている。また、弾性体は破
壊点を明確化するために布状体を積層埋設した構造とす
るとよい。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面
を用いて説明する。図1は緩衝材の断面図、図2は平面
図である。図において、3は弾性体であり、天然ゴム、
合成ゴム、合成樹脂等の弾性材4の中にその一部もしく
は全体にわたって、天然繊維、合成繊維、金属繊維等に
よる織布もしくは不織布による布状体5を弾性体3の水
平方向に弾性材4と交互に積層させて埋設してある。こ
の埋設状態は弾性体3全体にわたってもよくまた部分的
であってもよい。なお、形状は、図2は平面形状を円形
とした偏平な柱状体であるが、図3に示す如く、円錐台
形でもよく、さらには平面形状が矩形や台形等の任意形
状の長尺形状でもよい。
【0007】6は上記弾性体3の外周の周面に密着させ
るか間隔をあけるかして配置したFRP、合成樹脂、金
属等の剛性材料による中空状の剛性体であり、その高さ
は弾性体3の高さと同じかそれより高い高さとなってい
る。さらに、場合によっては図4に示す如く、蓋体7お
よび/もしくは底板8を設けて一体性を高めて高い剛性
を得ることができ、さらに図5に示す如く、固定用のフ
ランジ部9を設けてもよい。
【0008】剛性体6にはさらに必要に応じて図6に示
す如く、切り欠きや溝等による破壊を集中させる箇所と
なる破壊部10を設けてもよく、剛性体6の剛性は構造
物の設計荷重と同等かそれを少し上回る程度とする。こ
の破壊部10により破壊荷重を定量化することが可能と
なる。このように緩衝材11を弾性体3と剛性体6とに
よって構成すると、初期に作用した荷重は剛性の高い剛
性体6で負担することになるが、発生する変位は小さ
い。そこで、剛性体6が例えばFRPであると、座屈点
に到達すると、FRPの内部繊維がつぎつぎに破断しな
がら変位が進行することになる。これによって、弾性体
3によるばね特性の不足分を補うことになる。
【0009】そこで、弾性体3と剛性体6とによる緩衝
材11は、変位と荷重が一致してからは弾性体3と剛性
体6の両者が荷重を負担することになる。また、弾性体
3は、上記の如く布状体5を積層させることにより、エ
ネルギーの吸収量を増大させることが可能となるばかり
でなくばね特性を向上させると共に破壊点を明確化する
ことが可能となる。また、積層された布状体5の一部に
伸び破壊が発生することにより連鎖的に破断が進行し、
最終的には完全に弾性対が破壊されることになり、最初
の布状体5の破断した時点の反力が最大で布状体5の破
断と共に荷重は低減する。このような弾性体1では吸収
エネルギーは弾性材自体の歪みエネルギーに加えて布状
体5の破壊エネルギーが加算されることとなるために通
常の単体の弾性材に比べて大きな吸収エネルギーを発揮
し、しかも反力の最大値を明確にすることが可能とな
る。
【0010】さらに、剛性体6を弾性体3の高さより高
くすると剛性体6の座屈破壊点を明確化するのに有効で
あるが、あまり高いと座屈後から屈服して弾性体3が作
用するまでの荷重差が大きくなることから衝撃現象が発
生するおそれがある。このように構成した緩衝材11
を、図7に示す如く、橋脚12と桁13間に設置する
と、新設の場合には緩衝材11の設置場所を予め設計す
ることが可能であるが、既設の場合には設置スペースが
狭いことが多く、緩衝材11の高さが制限されることに
なり、高耐荷重性のばね性が要求されることになる。
【0011】そこで、高荷重に対応することになるため
に、橋脚12の取り付けに際して、構造物にボルトで固
定すると、ボルトは太くなりナットは厚くなって全体と
して非常に巨大な係止部となる不都合が生じることか
ら、図8に示す如く、構造物にアンカー14を埋設し、
そのアンカー14に剛性体6を固定することにより取り
付けることが好ましい。
【0012】さらに、作業性を考慮して図9に示す如
く、弾性体3の構造物側に鋼板等の支持板15を接着等
により取り付けておくと位置決めが容易となる。また、
図10に示す如く、剛性体6の頭部内側に弾性体3の高
さに合わせた位置に係止部16を形成しておくことによ
り弾性体3の保持が可能となって作業性の向上をはかる
ことができる。
【0013】なお、緩衝材11は図11に示すように、
桁13の長手方向ばかりではなく橋脚12上の桁13の
幅方向の支持壁もあるために、桁13端部は橋脚12上
で保護壁に囲まれるように設置されている。そこで、長
手方向と幅方向それぞれに緩衝体11を設置してもよい
が、図示する如く、緩衝体11を予めアングル状に形成
しておいて橋脚12に設置する構造としてもよい。
【0014】このようにして橋脚12と桁13間に取り
付けた緩衝材によると、地震が発生した場合、その地震
の震度が設計震度以内の場合には、桁13が振動し、緩
衝材11に外力が伝わるが、剛性体6はその弾性変形内
であるために、座屈や破壊は生ずることなく、地震の終
息によってただちに復元する。そのために地震発生によ
って停止させていた電車や列車は施設の点検後にただち
に運行再開することが可能となり、長時間の停車による
交通障害はなくなる。
【0015】なお、緩衝材11の先端と桁13端面との
距離が大きいと、桁13の揺れによって緩衝材11に衝
突して衝撃力が発生するおそれがあるために、緩衝材1
1の先端と桁13端面との距離を小さくするか、その間
にライナーを介在させて距離を小さくするとよい。つぎ
に、設計震度より大きな地震が発生した場合には、桁1
3の運動を剛性体6の座屈破壊エネルギーと座屈変形に
よる高吸収エネルギーに加えて弾性体3内部の布状体5
等の破壊エネルギーをも加えて吸収し、最悪時の桁13
の落下を防止するために桁の運動の収束または破壊の程
度を大幅に現象させることにより損傷も最小限とするこ
とができ、桁の落下を防止するのに有効とされる支承ヒ
ューズ論を実現化することができる。
【0016】また、緩衝材11の破壊荷重は桁13や橋
脚12の許容荷重より低くするかもしくは同程度に設計
し、かつその荷重に対する破壊点が明確であることか
ら、桁13や橋脚12の損傷がなく、移動のみであった
場合には桁13をもとの位置に戻し、新たな緩衝材11
を設置するだけで復旧工事が終了する場合も生ずること
になる。
【0017】以上説明した緩衝材11の機能をグラフに
示すと、図12に示す如くであり、剛性体6が弾性変形
するA区間と剛性体6の破壊するX点、剛性体6が破壊
する過程のB区間と弾性体3と剛性体6が荷重を負担す
るY区間、剛性体6の内部に埋設した布状体5が逐次破
断するC区間と弾性体3が完全破断するまでのD区間に
分かれ、設計地震以内では弾性変形で対応し、設計地震
以上の場合には緩衝材11が自己破壊することにより桁
13や橋脚12の被災を最小限にすることを可能とし、
従来のばね材や緩衝材にはない多くの機能を発揮するこ
とになる。
【0018】
【発明の効果】以上詳細に説明した本発明によると、緩
衝体を弾性体を剛性体内に納めて構成し、両者の破壊点
を緩衝体の設置側構造物やその対向側構造物の許容荷重
よりも低く設定した構造としたことから、橋脚と桁間に
設置した場合には、設計震度以下の震度に対しては剛性
体の剛性度で弾性対応し、設計震度以上の地震に対して
は剛性体の座屈破壊エネルギーと弾性体の歪みエネルギ
ーおよび積層した布状体の破断エネルギー等いより、構
造物から受ける運動エネルギーを吸収して橋脚や桁等の
構造物の損傷を最小限にすることができる効果を有す
る。
【0019】さらに上記の結果、復旧工事の作業量の減
少と迅速化をはかることができ、交通再開を速めること
が可能となる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】緩衝材の実施の形態例を示す断面図
【図2】平面図
【図3】弾性体の他の形状例を示す断面図
【図4】剛性体の他の形状例を示す断面図
【図5】剛性体の他の形状例を示す断面図
【図6】剛性体の他の形状例を示す断面図
【図7】橋脚と桁との間に設けた説明図
【図8】橋脚に緩衝材を取り付けた状態の説明図
【図9】橋脚に緩衝材を取り付けた状態の説明図
【図10】橋脚に緩衝材を取り付けた状態の説明図
【図11】緩衝体の形状例を示す説明図
【図12】緩衝体の作用状態を示すグラフ
【図13】従来技術の説明図
【符号の説明】
3 弾性体 4 弾性材 5 布状体 6 剛性体 7 蓋体 8 底板 9 フランジ部 10 破壊部 11 緩衝材 12 橋脚 13 桁 14 アンカー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16F 15/04 F16F 15/04 A (72)発明者 崎畑 康典 東京都国分寺市光町二丁目8番地38 財団 法人鉄道総合技術研究所内 (72)発明者 生駒 信康 兵庫県明石市魚住町中尾1058番地 シバタ 工業株式会社内 (72)発明者 西川 信二郎 兵庫県明石市魚住町中尾1058番地 シバタ 工業株式会社内 (72)発明者 西本 安志 兵庫県明石市魚住町中尾1058番地 シバタ 工業株式会社内 (72)発明者 福知 幹男 兵庫県明石市魚住町中尾1058番地 シバタ 工業株式会社内 Fターム(参考) 2D059 GG30 3J048 AA02 AC06 BA24 BB04 BC09 EA39 3J059 AA10 AE01 BA54 BC06 BC12 BD01 DA16 GA50 3J066 AA01 AA23 BA01 BA03 BB01 BC01 BD05 BD07 BE06 BF01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弾性体を剛性体内に納め、その両者の破
    壊点を設置側構造物やその対向側構造物の許容荷重より
    も低く設定したことを特徴とする緩衝材。
  2. 【請求項2】 請求項1において、弾性体を、布状体を
    弾性材と交互に積層埋設したことを特徴とする緩衝材。
  3. 【請求項3】 請求項1において、剛性体の高さを弾性
    体の高さより高くしたことを特徴とする緩衝材。
  4. 【請求項4】 請求項1において、剛性体の高さと弾性
    体の高さを同じにしたことを特徴とする緩衝材。
  5. 【請求項5】 請求項1において、剛性体に破壊部を形
    成したことを特徴とする緩衝材。
  6. 【請求項6】 弾性体を剛性体内に納めた緩衝体を、橋
    脚と桁の任意の一方に水平方向に対向する状態で取り付
    け、桁の水平方向の移動に対して緩衝するようにしたこ
    とを特徴とする落橋防止構造。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019168054A (ja) * 2018-03-23 2019-10-03 株式会社ブリヂストン 緩衝体、及び、緩衝体の取付構造
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