JP2000161362A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

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JP2000161362A
JP2000161362A JP10338955A JP33895598A JP2000161362A JP 2000161362 A JP2000161362 A JP 2000161362A JP 10338955 A JP10338955 A JP 10338955A JP 33895598 A JP33895598 A JP 33895598A JP 2000161362 A JP2000161362 A JP 2000161362A
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一到 西北
秀司 ▲吉▼田
Hideji Yoshida
Yoshiki Fujita
良樹 藤田
Hajime Tazumi
一 田積
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Tsubaki Nakashima Co Ltd
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Koyo Seiko Co Ltd
Tsubaki Nakashima Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】転がり軸受において、衝撃荷重や高荷重が負荷
される用途で耐久性向上を図ること。 【解決手段】鋼製の玉3を有する転がり軸受Aにおい
て、玉3の表面側から深さ方向複数位置での円周方向圧
縮残留応力を個別に特定する。これにより、玉3の表面
から所要深さ位置までが適度な硬度と靭性を持つように
なるので、玉3の表面損傷や転がり疲労亀裂の発生、進
展を抑制できるようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、転がり軸受に関す
る。この転がり軸受は、例えば振動などの衝撃荷重や高
荷重が負荷されるような用途に使用される。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の転がり軸受では、その転
動体について、JIS規格G4805で規定される高炭
素クロム軸受鋼を素材として、外形を粗成形した後、焼
入れ、焼き戻しなどの熱処理を施し、研磨やラップなど
の仕上げを行うことにより製作される。なお、前述の熱
処理の後で冷間加工などの表面硬化処理を施すこともあ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例では、冷間
加工を施すことにより転動体の表面硬度を高めて表面損
傷を防止するようにしているが、材料が弱体化すること
があって、衝撃荷重や高荷重の負荷により転がり疲労亀
裂が発生、進展しやすくなる。なお、転がり疲労亀裂
は、転動体の表面に沿う方向に発生するもので、剥離に
つながる。
【0004】このようなことから、本願発明者は、転動
体の表面側と内部との強度のバランスが重要になってい
ることを見いだした。このような事情に鑑み、本発明
は、転がり軸受において、衝撃荷重や高荷重が負荷され
る用途での耐久性向上を図ることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明にかかる
転がり軸受は、鋼製の転動体を有し、その表面側から深
さ方向複数位置での円周方向圧縮残留応力が個別に特定
されている。
【0006】請求項2の発明にかかる転がり軸受は、上
記請求項1において、前記転動体の表面から直径のほぼ
1/100の深さ位置における円周方向圧縮残留応力
が、400〜800MPaの範囲に設定されている。
【0007】請求項3の発明にかかる転がり軸受は、上
記請求項2において、前記転動体の表面から直径のほぼ
1/25の深さ位置における円周方向圧縮残留応力が、
100MPa以下に設定されている。
【0008】このような本発明において、転動体の直径
のほぼ1/100の位置とは、転がり疲労亀裂の発生起
点付近であり、また、転動体の直径のほぼ1/25の位
置とは、転がり疲労亀裂が進展する部分である。
【0009】このように、転動体の深さ方向における損
傷の形態を調べて、それらの損傷形態に応じて各深さ位
置の円周方向圧縮残留応力を個別に特定することにより
硬度と靭性とを最適に管理している。これにより、転動
体の表面損傷や転がり疲労亀裂の発生を長期にわたって
防止できるようになる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の詳細を図面に示す実施形
態に基づいて説明する。
【0011】図1および図2に本発明の一実施形態を示
している。図1は、転がり軸受の断面図、図2は、転が
り軸受の耐久性能試験機を示す側面図である。
【0012】図中、Aは深溝型玉軸受などの転がり軸受
の全体を示している。この転がり軸受Aは、内輪1、外
輪2、転動体としての複数の玉3、保持器4とから構成
されている。
【0013】そして、内・外輪1,2および玉3は、J
IS規格SUJ2、SUS440Cなど各種の鋼材を素
材として製作される。保持器4は、使用用途により異な
るが、金属材の他、一般的なポリアミド樹脂(ナイロン
66)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など
のふっ素系などの合成樹脂とされる。保持器4の形式と
しては、図示する冠型の他、波型やもみ抜き型など任意
である。
【0014】本発明の特徴は、上述した玉3について、
その表面側から深さ方向複数位置での円周方向圧縮残留
応力を個別に特定していることである。具体的に、玉3
の表面から直径のほぼ1/100の深さ位置における円
周方向圧縮残留応力は、400〜800MPaの範囲に
設定され、また、玉3の表面から直径のほぼ1/25の
深さ位置における円周方向圧縮残留応力は、100MP
a以下に設定される。
【0015】この実施形態では、玉3の製作方法とし
て、ある程度の真円度を有する素球に成形した後、焼入
れ、焼き戻しなどの熱処理を施すとともに、冷間加工な
どの表面硬化処理を施してから、研磨やラップなどの仕
上げを行うことにより製作される。
【0016】前述の冷間加工は、一般的に周知の方法で
あるが、例えば回転ドラム内に複数の玉3を入れ、回転
ドラムを所要回転速度で所要時間にわたって回転させる
ものである。
【0017】この実施形態では、前述の冷間加工での回
転ドラムの回転速度や処理時間を適宜設定することによ
り、上述した残留応力を管理するのである。ちなみに、
玉3の直径が大きいほど最大残留応力の位置が深くな
り、処理時間を長くするほど残留応力値が大きくなり、
なおかつ残留応力形成の範囲が深くなる傾向となる。
【0018】具体的に、玉3の素材をJIS規格SUJ
2とし、焼入れを温度830〜850℃で30分〜60
分とし、焼き戻しを温度150〜170℃で1〜2時間
とし、冷間加工での回転速度を40〜70rpmとし、
処理時間を1〜2時間とした。このような条件であれ
ば、玉3の表面から直径のほぼ1/100の深さ位置に
おける円周方向圧縮残留応力を、およそ400〜800
MPaの範囲に、また、玉3の表面から直径のほぼ1/
25の深さ位置における円周方向圧縮残留応力を100
MPa以下にできる。この場合、玉3の表面から直径の
ほぼ1/25の深さ位置における残留オーステナイト量
(γR)は、8〜15%の範囲になり、表面硬度は、ロ
ックウェル硬さ(HRC)で64〜68となる。
【0019】以上説明した実施形態の転がり軸受Aで
は、玉3が深さ方向で適度な硬度となるとともに適度な
靭性を持つ構造となるから、玉3の表面損傷や転がり疲
労亀裂の発生を長期にわたって抑制できて、玉3の初期
性状を長期にわたって安定に保つことができるようにな
る。これにより、転がり軸受Aの振動や騒音などの発生
を長期にわたって抑制できるなど長寿命化を達成でき
る。
【0020】具体的に、転がり軸受Aの耐久性について
調べたので説明する。
【0021】試験機は、図2に示すようなものを用い
る。図2において、20は回転軸、21は支持台、22
はコイルバネを用いる荷重負荷ユニット、23は回転軸
20のサポート軸受、24は試験軸受である。試験は、
試験軸受24に対してラジアル荷重を与えた状態で回転
軸20を回転させて行う。
【0022】試験軸受24は、呼び番号6304の深溝
玉軸受とする。この場合、玉3のサイズは3/8inc
hである。
【0023】試験条件は、ラジアル荷重を動定格荷重の
50%(6.35KN)、回転数を12000rpm、
グリース潤滑である。
【0024】そして、試験軸受24については、下記す
る表1に示すように、実施形態1〜8、比較例1,2を
用意した。
【0025】
【表1】
【0026】結果的に、実施形態1〜8はいずれも30
0時間を越えるまで異状無しであるのに対して、比較例
1は191時間、比較例2は206時間でそれぞれ玉3
に剥離が発生した。ちなみに、上記試験条件での試験軸
受24の計算寿命は21.7時間であるので、比較例
1,2も計算寿命に比べて優れているものの、実施形態
1〜8に比べて劣る。このことから、玉3の直径のほぼ
1/100の深さ位置における円周方向圧縮残留応力を
400〜800MPaの範囲で設定すれば、転がり疲労
亀裂が発生しにくくなっていると言える。
【0027】さらに、実施形態3,7については他の実
施形態1,2,4,6,8に比べてさらに耐久性が向上
する結果となっており、実施形態3,7のように玉3の
直径のほぼ1/25の深さ位置における円周方向圧縮残
留応力を30MPaに設定することが好ましいことを意
味している。
【0028】以上のことから、実施形態3,7のよう
に、玉3の直径のほぼ1/100の深さ位置における円
周方向圧縮残留応力を400〜800MPaの範囲と
し、かつ玉3の直径のほぼ1/25の深さ位置における
円周方向圧縮残留応力を30MPaに設定すれば、転が
り疲労亀裂の発生と進展とを抑制できるようになり、こ
れらの条件を持たせることが最も好ましいと言える。し
かし、実用範囲からすると、上記結果から明らかなよう
に、玉3の直径のほぼ1/100の深さ位置における円
周方向圧縮残留応力を400〜800MPaの範囲とす
れば、玉3の直径のほぼ1/25の深さ位置における円
周方向圧縮残留応力は、100MPa以下に設定しても
十分であると言える。
【0029】ところで、上記実施形態のように、玉3の
素材をJIS規格SUJ2とする場合においても、それ
に含有する硫黄(S)、アルミニウム(Al)、酸素
(O)についての量を、それぞれ0.015mass%
以下、0.010〜0.040mass%、0.001
0mass%以下に設定するのが好ましい。なぜなら
ば、玉3の転がり疲労亀裂の起点は、素材に含有するM
nS,Al23の非金属介在物の存在位置で起こる。つ
まり、これらの非金属介在物を減少させれば、転がり疲
労亀裂の発生、進展を抑制できると言える。ここで、非
金属介在物であるMnSは、SがMnと結び付いて形成
されるものであり、また、Al23は、AlとOが結び
付いて形成されるものである。したがって、冷間加工に
よる表面硬化処理を深さ方向複数位置での円周方向残留
応力を管理するとともに、非金属介在物形成元素である
S、Al、Oを減少させることが望ましく、S、Al、
Oの含有量は生産性、加工性の点から、上記範囲に設定
することが望ましい。
【0030】なお、上記実施形態では、転動体を玉とし
たが、円筒ころや円すいころにも応用できる。
【0031】
【発明の効果】本発明の転がり軸受では、玉を深さ方向
で適度な硬度と靭性を持つ構造にできるから、特に高荷
重、衝撃荷重が負荷される用途での使用において、玉の
表面損傷や転がり疲労亀裂の発生を長期にわたって抑制
できて、玉の初期性状を長期にわたって安定に保つこと
ができるようになる。これにより、転がり軸受の振動や
騒音などの発生を長期にわたって抑制できるなど長寿命
化を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の転がり軸受の断面図
【図2】転がり軸受の耐久性能試験機を示す側面図
【符号の説明】
A 転がり軸受 1 内輪 2 外輪 3 玉 4 保持器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ▲吉▼田 秀司 兵庫県尼崎市梶ケ島19番28号 株式会社ツ バキ・ナカシマ内 (72)発明者 藤田 良樹 大阪市中央区南船場三丁目5番8号 光洋 精工株式会社内 (72)発明者 田積 一 大阪市中央区南船場三丁目5番8号 光洋 精工株式会社内 Fターム(参考) 3J101 AA02 AA32 AA42 AA54 BA10 BA50 DA03 DA05 DA11 EA01 EA02 EA03 EA06 EA33 EA36 FA31

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼製の転動体を有し、その表面側から深さ
    方向複数位置での円周方向圧縮残留応力が個別に特定さ
    れている、ことを特徴とする転がり軸受。
  2. 【請求項2】請求項1の転がり軸受において、 前記転動体の表面から直径のほぼ1/100の深さ位置
    における円周方向圧縮残留応力が、400〜800MP
    aの範囲に設定されている、ことを特徴とする転がり軸
    受。
  3. 【請求項3】請求項2の転がり軸受において、 前記転動体の表面から直径のほぼ1/25の深さ位置に
    おける円周方向圧縮残留応力が、100MPa以下に設
    定されている、ことを特徴とする転がり軸受。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1279847A1 (en) * 2001-07-24 2003-01-29 Koyo Seiko Co., Ltd. Rolling bearing
JP2009191280A (ja) * 2008-02-12 2009-08-27 Nsk Ltd ころ軸受及びその製造方法

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US6858100B2 (en) 2001-07-24 2005-02-22 Koyo Seiko Co., Ltd. Rolling bearing
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