JP2000160251A - L方向及びc方向の磁気特性に優れた電磁鋼熱延板の製造方法 - Google Patents

L方向及びc方向の磁気特性に優れた電磁鋼熱延板の製造方法

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JP2000160251A
JP2000160251A JP10335094A JP33509498A JP2000160251A JP 2000160251 A JP2000160251 A JP 2000160251A JP 10335094 A JP10335094 A JP 10335094A JP 33509498 A JP33509498 A JP 33509498A JP 2000160251 A JP2000160251 A JP 2000160251A
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Akihiro Matsuzaki
明博 松崎
Osamu Kondo
修 近藤
Shigeaki Takagi
重彰 高城
Takako Yamashita
孝子 山下
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷間圧延及び仕上げ焼鈍を行なわず、熱間圧
延後に再結晶させたままであっても、L方向及びC方向
の磁気特性に優れた電磁鋼熱延板を製造するための方法
を提供することにある。 【解決手段】 Si:4.0 wt%以下を含有する鋼スラブを
熱間粗圧延し、所定条件で熱間仕上げ圧延を行い、所定
の鋼組織にした後、再結晶させることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、交流磁心に用い
られ、圧延方向(以下、「L方向」という。)及びそれ
に対して直交する方向((以下、「C方向」という。)
の2方向の磁気特性に優れた電磁鋼熱延板の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】変圧器や電動機の鉄心材料としては、こ
れら機器の高効率化や小型化を図るため、磁束密度が高
く鉄損が低いことが要求される。この種の鉄心材料に供
する磁性合金としては、Fe−Si合金が知られており、無
方向性電磁鋼板として広く実用化されており、この鋼板
の磁気特性を向上させるため、集合組織を改善する種々
の試みが行われてきた。
【0003】その中でも、{011}<100>方位、
すなわちゴス方位の結晶粒を富化することにより、鉄損
が低減し、とりわけ磁束密度が増加することが、特開昭
54−110121号公報等に記載されている。通常、ゴス方位
はL方向の磁気特性を改善し、結果的にC方向も含めた
平均的な磁気特性も改善する。
【0004】しかしながら、C方向の磁気特性はある程
度改善されるにすぎないため、平均的な磁気特性を向上
させるには自ずと限界があった。
【0005】一方、{100}<001>方位、すなわ
ち面上立方方位は、L方向及びC方向の2方向の磁気特
性を同時に改善することが知られている。
【0006】しかしながら、面上立方方位のみに集積し
た組織を得るには、特公昭46−23814 号公報に記載され
ているように高温中間焼鈍を行なう方法、特開平5−30
6438号公報に記載されているように急冷薄帯を所定の圧
下率で冷間圧延する方法、特開平1−108345号公報に記
載されているような脱炭に伴うγ→α変態法等が挙げら
れるが、これらは、いずれも複雑ないし長時間の工程を
要し、コスト高となるため、工業的な実用性を確立する
には至らないと推察される。
【0007】さらに、上記磁気特性を向上させる手段と
しては、磁気特性を向上させる方位の結晶粒を促進する
と共に、磁気特性を劣化させる方位の結晶粒を抑制する
ことが有用である。磁気特性を劣化させる方位の結晶粒
としては、特に<111>//ND(鋼板面に垂直な方
向)方位の結晶粒があり、かかる方位の結晶粒の生成を
抑制することが望ましいが、上述した特殊でコスト高の
手段を用いる場合を除き、これまでの無方向性電磁鋼板
の製法では、<111>//ND方位の結晶粒を減少させ
ることが困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、冷
間圧延及び焼鈍を行なわず、熱間圧延後に再結晶させた
ままであっても、L方向及びC方向の磁気特性に特に優
れた電磁鋼熱延板を、工業的かつ安価に製造するための
方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、無方向性
電磁鋼板の磁気特性を実用的に向上させるための手段を
広く研究した結果、熱間粗圧延後の熱間仕上げ圧延によ
り集合組織を制御できることを見出し、特願平10−2138
83号で提案した。その骨子は、粗大なフェライト粒径
を、未再結晶温度域で、各スタンドにおける熱延速度/
熱延圧下率の比を大きく、即ち大きな熱延速度で熱間仕
上げ圧延を行ない、これにより、熱延後の再結晶過程で
{015}<100>方位粒が生成し、これが冷間圧延
及び焼鈍時に磁気特性に最も好都合な{100}<00
1>方位粒として発達することを活用したものである。
【0010】尚、(015)〔100〕方位粒が、冷間
圧延と再結晶焼鈍を経ることにより、(001)〔10
0〕に変化する点については、既に公知文献(田岡ら:
鉄と鋼,54(1968) 162.)に開示されているものの、工業
的に(015)〔100〕を発現できる製造方法は全く
不明であった。このため、本発明者らは、(015)
〔100〕粒の発現および制御技術を新規に見出したの
である。
【0011】また、(015)〔100〕方位粒の存在
により、冷間圧延及び焼鈍を経た鋼板の磁気特性を劣化
させる<111>//ND方位の集積度が抑制されると共
に、L方向の磁気特性を向上させる{011}<100
>方位粒が増加する結果として、L方向及びC方向の平
均の磁気特性が向上することを新規に見出した。
【0012】上記技術を実工程に適用する場合には、上
記の製造条件の中でも特に、各圧延スタンドにおける熱
延速度/圧下率の比を大きくすること、即ち熱延速度を
大きくすることが重要であるが、大きな熱延速度を電磁
鋼板の製造工程に適用するのは、圧延機の能力や形状制
御等の点で困難を伴うのが現状であった。
【0013】前述した先願発明(特願平10−213883号)
は、特殊条件での熱間圧延後の再結晶過程で(015)
〔100〕方位をもつ特有な再結晶粒が生じることに基
づいたものであるが、本発明者らは、熱延後の組織と再
結晶/集合組織形成挙動の関係についてさらに詳細な研
究を重ねた結果、熱間圧延後の未再結晶組織の層間隔と
(015)〔100〕方位粒の形成の間に密接な関係が
あることを見出した。
【0014】即ち、この層間隔を250 μm以上になるよ
うに熱間仕上げ圧延を行なえば、特殊な熱延条件に依存
することなく、所期の{015}<100>方位粒が発
現できることを見出し、本発明を完成させるに至ったの
である。
【0015】さらに、本発明者らは熱間仕上げ圧延後に
再結晶させた電磁鋼熱延板の集合組織及び磁気特性につ
いて研究を行なった。その結果、かかる電磁鋼熱延板
は、{015}<100>方位粒を中心とした磁気特性
に好都合な集合組織を呈し、優れた磁気特性を有するこ
とを発見した。このことは、{015}<100>方位
粒が磁気特性に最も好適な{100}<001>の近傍
方位であることが有効に作用したものと推察される。
【0016】以上のことから、冷間圧延及び仕上げ焼鈍
を行うことなく、熱間仕上げ圧延後に再結晶を行なった
ままであっても、L方向及びC方向の磁気特性に特に優
れた電磁鋼熱延板を、現行の電磁鋼板の製造工程で容易
に工業的製造が可能な製造方法を見出し、この発明を完
成するに至ったのである。
【0017】この発明は、具体的にはSi:4.0 wt%以下
を含有する鋼スラブを熱間粗圧延し、下記1の(1)及
び(2)に示す条件で熱間仕上げ圧延を行い、下記
(3)の鋼組織にした後、再結晶させることを特徴とす
るL方向及びC方向の磁気特性に優れた電磁鋼熱延板の
製造方法である。
【0018】記1 (1)熱間仕上げ圧延機に入る際の鋼板温度を、オース
テナイト相を生じる成分組成を有する鋼についてはAr1
変態点以下でかつ900 ℃以下500 ℃以上の温度域、オー
ステナイト相を生じない成分組成を有する鋼については
900 ℃以下500 ℃以上の温度域とすること。 (2)熱間仕上げ圧延での総圧下率を70%以上90%未満
とすること。 (3)熱間仕上げ圧延機の最終スタンドの出側における
鋼板中の未再結晶伸展フェライト粒の平均層間隔が250
μm以上であること。
【0019】また、鋼スラブは、さらにMn:2.0 wt%以
下,P:0.3 wt%以下,Al:2.0 wt%以下を含有するの
がより好適である。
【0020】
【発明の実施の形態】まず、この発明の鋼組成成分の限
定理由を説明する。 Si:4.0 wt%以下 Siは比抵抗を増大させ、渦電流損を低減させる効果があ
り、この発明では必須の添加元素である。しかし、Si含
有量が4.0 %を超えると、磁束密度の低下が大きくなる
とともに加工性が低下する。従って、Si含有量は4.0wt
%以下に限定する。
【0021】この発明では、鋼スラブ中の成分組成につ
いては、Si含有量のみを必須の添加成分としたが、この
他の成分として、Mn:2.0 wt%以下、P:0.3 wt%以
下、Al:2.0 wt%以下を含有させることがより好適であ
る。
【0022】Mn:2.0 wt%以下,Al:2.0 wt%以下,Mn
とAlは、ともに鋼の脱酸剤として、また比抵抗を増大さ
せ渦電流損を低減させる効果があり、Siの補助元素とし
て有効である。しかし、 AlとMnの含有量がそれぞれ2.0
wt%を超えると、磁束密度の低下や加工性の低下が大き
くなる。従って、AlとMnの含有量はいずれも2.0 wt%以
下の範囲に限定する。
【0023】P:0.3 wt%以下 Pは比抵抗を増大させ、渦電流損を低減させる効果があ
り、Siの補助元素として有効である。しかし、P含有量
が0.3 wt%を超えると、加工性が低下する。従って、P
含有量は0.3 wt%以下の範囲に限定する。
【0024】尚、この発明では、Si:4 wt%以下を必須
の発明特定事項とし、他の成分については特に限定はし
ないため、上記Si含有量を満足する全ての鋼種を用いる
ことができる。
【0025】次に、この発明の製造条件について説明す
る。 (I)熱間仕上げ圧延時 (i)熱間仕上げ圧延機に入る際の鋼板温度:相変態を
生じる成分組成を有する鋼についてはAr1 変態点以下で
かつ900 ℃以下500 ℃以上の温度域、相変態を生じない
成分組成を有する鋼については900 ℃以下500 ℃以上の
温度域とすること 熱間仕上げ圧延前の粗大粒の効果を有効に発揮させるた
めには、圧延スタンド間での再結晶による微細化を抑制
することが重要であり、そのためには、熱間仕上げ圧延
温度は再結晶が進行しにくい低温で行うこと、具体的に
は900 ℃以下にすることが必要である。
【0026】また、相変態を生じる成分組成を有する鋼
については、2相域またはオーステナイト域での圧延は
その後の変態により効果が消失するため、これを防止す
べく、熱間仕上げ圧延を行なう温度域はフェライト相
域、すなわちAr1 変態点以下でかつ900 ℃以下の低温で
あることが必要である。
【0027】一方、熱間仕上げ圧延温度の下限は、いず
れの鋼の場合も、500 ℃未満の低温域で圧延すると、蓄
積歪み量が増大し、再結晶集合組織が劣化するため、そ
の下限を500 ℃とした。
【0028】(ii)熱間仕上げ圧延での総圧下率を70%
以上90%未満とすること 熱間仕上げ圧延での総圧下率は、その圧延後に行なう再
結晶過程における(015)〔100〕方位粒の生成、
並びに他の方位の形成に影響し、磁気特性に影響を及ぼ
すため、前記総圧下率は70%以上とすることが必要であ
る。即ち、前記総圧下率が70%未満だと、(015)
〔100〕方位粒を形成するための歪みが不足し、磁気
特性が大幅に劣化する傾向があるからであり、また、前
記総圧下率が90%以上だと、かえって(015)〔10
0〕方位粒以外の方位粒の形成が増加し、磁気特性を劣
化させる傾向があるからである。
【0029】(II) 熱間仕上げ圧延後 (i)熱間仕上げ圧延機の最終スタンドの出側における
鋼板中の未再結晶伸展フェライト粒の平均層間隔が250
μm以上であること 熱間仕上げ圧延機の最終スタンドの出側における鋼板中
の未再結晶伸展フェライト粒の平均層間隔(ここでいう
層間隔とは厚み方向の層間隔を意味する。)が250 μm
以上と大きい場合には、その後の再結晶過程で粒界上に
生成した(015)〔100〕方位粒の安定度が増し、
全面再結晶時でも残存することにより、集合組織並びに
磁気特性を向上させるため、前記平均層間隔は250 μm
以上、好ましくは250 〜500 μmの範囲とした。
【0030】尚、前記層間隔と(015)〔100〕方
位粒の安定性に関する冶金的関係は必ずしも明瞭ではな
いが、次のように理解することができる。本発明者ら
は、初めに、熱間圧延後の再結晶過程で生じる(01
5)〔100〕方位粒は主として伸展粒界から生成する
ことを見出した。
【0031】しかし、通常の熱間圧延及び再結晶後の組
織にはこの方位粒は殆ど観察されないことから、(01
5)〔100〕方位粒は本来不安定な方位と推察され
る。即ち、熱間圧延後の再結晶過程で、再結晶粒同士の
食い合いが生じるようになると、他の方位粒に食われや
すく消滅しやすいと考えられる。しかしながら、伸展粒
界上に生成した(015)〔100〕方位粒が隣接の再
結晶粒との食い合いが生じる前に十分に大きなサイズに
なった場合には、サイズ効果により安定となるため、食
い合い過程でも残存しやすくなる。即ち、(015)
〔100〕方位粒が残存するための臨界サイズがあると
考えられる。
【0032】一方、本発明者らの研究によれば、この発
明の対象となる鋼の熱間圧延後の伸展粒界からの核生成
頻度はさほど大きくなく、従来の製造条件の場合の層間
隔は通常50μm以下である。
【0033】従って、従来の製造方法の場合には、同一
粒界上の隣接再結晶粒よりも隣接する伸展粒界からの再
結晶粒との食い合いが先に起こる。即ち、食い合いが生
じる際の再結晶粒サイズは、伸展粒の層間隔で律速され
ていることになる。前記層間隔が250 μm以上で(01
5)〔100〕方位粒が残存しやすいということは、か
かる層間隔が臨界サイズの生成条件に対応しているもの
と推察される。
【0034】また、前記未再結晶伸展フェライト粒の平
均層間隔を250 μm以上にするための具体的な手段とし
ては、例えば、スラブ加熱温度:1100〜1500℃の範囲に
すること、熱間仕上げ圧延前の加熱ないし保温:1000〜
1150℃の範囲にすること、及び熱間仕上圧延での総圧下
率を90%未満にすることなどが考えられる。
【0035】即ち、スラブ加熱は、加熱温度が高いほど
加熱時の結晶粒が粗大化し、これに伴って、熱間仕上げ
圧延前の結晶粒も粗大化しやすくなるため、スラブ加熱
温度を高くすることが磁気特性を向上させるには有効で
あり、そのため、スラブ加熱温度は1100℃以上にするこ
とが望ましい。しかし、過度に高温にするのは、スケー
ル増加による歩留まり低下等の問題を招くため、スラブ
加熱温度の上限は1500℃とすることが好ましい。
【0036】また、この発明では、熱間仕上げ圧延を行
う前において粗大粒を得るため、熱間粗圧延後、熱間仕
上げ圧延機に入る際の鋼板温度を上記適正温度に設定す
る前に、1000〜1150℃の範囲で加熱ないし保温して結晶
粒を粗大化させておくことがより好適である。尚、この
加熱時にオーステナイト相になる鋼は、その後の冷却時
にフェライト変態が生じるが、初期オーステナイト粒径
が大きいために、仕上げ圧延機に入る際のフェライト粒
径の粗大化にも有効である。
【0037】(ii)熱間仕上げ圧延後に再結晶させること この発明では、熱間仕上げ圧延後に再結晶させることを
必須の発明特定事項とする。即ち、この発明は、熱間仕
上げ圧延後の再結晶により生成した(015)〔10
0〕方位粒を活用したものである。従って、製品として
の電磁鋼熱延板の組織は再結晶組織であることが必要と
なる。熱間仕上げ圧延後に再結晶させる手段としては、
熱間仕上げ圧延後の自己焼鈍でも再加熱による焼鈍でも
構わない。また、再結晶粒の体積分率は70%以上が好ま
しい。
【0038】(III)その他の製造条件 この発明の製造方法は、上記(I)〜(II) に記載した
条件を満足する必要があるが、これに加えて、熱間仕上
げ圧延前における、等軸フェライト粒の平均粒径が 300
μm以上でかつ粒径が100 μm以下の等軸フェライト粒
の体積分率が20%以下にすることがより好適である。
【0039】即ち、熱間仕上げ圧延前の等軸フェライト
平均粒径が300 μm 以上になると、熱間圧延や焼鈍後の
(015)〔100〕方位粒が増加する。その結果、冷
間圧延と仕上げ焼鈍を行なった後の{011}<100
>方位粒の増加並びに<111>//ND方位の集積度の
抑制に繋がるため、仕上げ焼鈍後の集合組織が改善さ
れ、磁気特性が向上するからである。
【0040】しかし、前記フェライト平均粒径を300 μ
m 以上にしても、粒径が100 μm 以下の微細粒が多数混
在すると、粗大粒からの(015)〔100〕方位粒の
成長が抑制されることにより磁気特性が劣化するため、
微細粒の体積分率も同時に抑制することが肝要である。
そのため、100 μm 以下の結晶粒の体積分率を20%以下
にすることがより好適である。
【0041】尚、熱間仕上げ圧延前における、等軸フェ
ライト粒の平均粒径が 300μm以上でかつ粒径が100 μ
m以下のフェライト粒の体積分率が20%以下であること
を達成するための具体的手段の一例を挙げると、スラブ
加熱温度を1100〜1500℃の範囲にしたり、熱間仕上げ圧
延前の加熱ないし保温を1000〜1150℃の範囲で行なう方
法が考えられる。
【0042】加えて、未再結晶進展粒の粒界は、熱間粗
圧延後に局所的な再結晶を生じており、熱間仕上げ圧延
後の粒界からの(015)〔100〕方位粒の生成には
寄与しない。このため、熱間粗圧延後に再結晶した等軸
フェライト粒の体積分率については、大きくすること、
具体的には80%以上にすることがより好適である。
【0043】尚、上述したところは、この発明の実施形
態の一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の
変更を加えることができる。
【0044】
【実施例】表1に示す鋼を転炉溶製し、連続鋳造により
200mm 厚さのスラブとした。これらのスラブを1200℃に
再加熱してから熱間粗圧延を行ない、引き続き熱間仕上
げ圧延を行なった。その際の熱間仕上げ圧延の条件及び
熱間仕上げ圧延後の未再結晶伸展フェライト粒の層間隔
を表2に示す。熱間仕上げ圧延の板厚は0.80mmとした。
総圧下率は、熱間粗圧延条件及び熱間粗圧延での板厚み
によって調整した。そして、熱間仕上げ圧延後に、850
〜1000℃で再結晶処理を行なうことによって、電磁鋼熱
延板(鋼No.1〜16)を製造した。比較のため、表1に示
す各鋼種a〜eについて、板厚2.3mm に熱間仕上げ圧延
後再結晶処理を行ない、さらに、板厚0.80mmに冷間圧延
を行なった後、850 〜1000℃で仕上げ焼鈍を行なう従来
法によって電磁鋼板(鋼No.17 〜21)を製造した。
【0045】表2に、各製造条件を示すと共に、熱間圧
延、再結晶後の集合組織((015)〔100〕の集積度のラ
ンダム組織に対する比率で表す。)及び磁気特性につい
も併記した。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】以下に、この発明による磁気特性の改善結
果について表2に基づいて述べる。ここで、この発明に
は、鉄損改善のための比抵抗増加成分も含まれている。
従って、表2に示す磁気特性は、鉄損と磁束密度の双方
の結果から総合的に評価した。
【0049】この発明に従って製造した鋼No.1,5,9,14
と、これらにそれぞれ使用したのと同一の鋼スラブを使
用しかつ冷間圧延及び仕上げ焼鈍を行なう従来法によっ
て製造した冷延焼鈍材である鋼No.17,18,19,20とを比較
すると、前者は、後者に比べて磁気特性が優れており、
よって、この発明によれば、冷間圧延及び焼鈍の工程が
不要で、しかも工業的適用が容易な熱間圧延により、安
価で優れた磁気特性の電磁鋼板が得られることが明らか
である。
【0050】尚、Si含有量がこの発明の適正範囲外であ
ること以外はこの発明に従って製造した鋼No.16 は、従
来法によって製造した鋼No.21 と比べて磁気特性に顕著
な差が認められなかった。
【0051】また、本発明の発明特定事項の少なくとも
1つが適正範囲外である鋼No.2〜4,6 〜8,10〜13,15
は、それぞれ鋼No.1,5,9,14 に比べて磁気特性が劣って
いた。
【0052】尚、表2中の熱間圧延及び再結晶後の(01
5)〔100〕の集積度のランダム組織に対する比率
は、3.0 倍以上のときに良好な磁気特性を有しているの
がわかる。よって、この発明では、熱間圧延及び再結晶
後の(015)〔100〕の集積度のランダム組織に対する
比率は、3.0 倍以上にすることがより好適である。
【0053】
【発明の効果】この発明の製造方法によれば、冷間圧延
及び焼鈍を行なわず、熱間圧延後の再結晶させたままで
あっても、L方向及びC方向の磁気特性に優れた電磁鋼
板の製造が可能になり、しかも、特殊又は複雑な製造条
件や工程に頼ることなく、工業的かつ安価に製造するこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高城 重彰 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 山下 孝子 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4K033 AA03 CA08 CA09 FA02 FA05 5E041 AA02 AA11 AA19 CA02 CA04 HB07 NN01 NN06 NN17 NN18

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si:4.0 wt%以下を含有する鋼スラブを
    熱間粗圧延し、下記1の(1)及び(2)に示す条件で
    熱間仕上げ圧延を行い、下記(3)の鋼組織にした後、
    再結晶させることを特徴とするL方向及びC方向の磁気
    特性に優れた電磁鋼熱延板の製造方法。 記1 (1)熱間仕上げ圧延機に入る際の鋼板温度を、オース
    テナイト相を生じる成分組成を有する鋼についてはAr1
    変態点以下でかつ900 ℃以下500 ℃以上の温度域、オー
    ステナイト相を生じない成分組成を有する鋼については
    900 ℃以下500 ℃以上の温度域とすること。 (2)熱間仕上げ圧延での総圧下率を70%以上90%未満
    とすること。 (3)熱間仕上げ圧延機の最終スタンドの出側における
    鋼板中の未再結晶伸展フェライト粒の平均層間隔が250
    μm以上であること。
  2. 【請求項2】 鋼スラブは、さらにMn:2.0 wt%以下,
    P:0.3 wt%以下,Al:2.0 wt%以下を含有する請求項
    1に記載の電磁鋼熱延板の製造方法。
JP10335094A 1998-11-26 1998-11-26 L方向及びc方向の磁気特性に優れた電磁鋼熱延板の製造方法 Withdrawn JP2000160251A (ja)

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